首页 / 专利库 / 废物处理与管理 / 厌氧消化 / 酸化 / 殺菌作用を備えた表面を有するインテリア建材および殺菌作用を備えた表面を有する管または部品を備えるキッチン家電

殺菌作用を備えた表面を有するインテリア建材および殺菌作用を備えた表面を有する管または部品を備えるキッチン家電

阅读:239发布:2024-01-25

专利汇可以提供殺菌作用を備えた表面を有するインテリア建材および殺菌作用を備えた表面を有する管または部品を備えるキッチン家電专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且【課題】殺菌作用を備えた表面を有するインテリア建材および殺菌作用を備えた表面を有する管または部品を備えるキッチン家電の提供。 【解決手段】金属基材12と、金属基材上に形成されたポーラス陽極 酸化 層14とを備え、ポーラス陽極酸化層の表面は、表面の法線方向から見たときの2次元的な大きさが100nm超500nm未満である複数の凹部14Apを含み、表面は、隣接する複数の凹部の間に形成された突起部15を有し、突起部は、隣接する複数の凹部の側面が交わることにより形成された稜線を有し、表面が殺菌効果を有する、インテリア建材、および表面が上記殺菌効果を有する管または部品を有する、キッチン家電。 【選択図】図1,下面是殺菌作用を備えた表面を有するインテリア建材および殺菌作用を備えた表面を有する管または部品を備えるキッチン家電专利的具体信息内容。

金属基材と、前記金属基材上に形成されたポーラス陽極酸化層とを備え、 前記ポーラス陽極酸化層の表面は、前記表面の法線方向から見たときの2次元的な大きさが100nm超500nm未満である複数の凹部を含み、 前記表面は、隣接する前記複数の凹部の間に形成された突起部を有し、 前記突起部は、隣接する前記複数の凹部の側面が交わることにより形成された稜線を有し、 前記表面が殺菌効果を有する、インテリア建材。前記複数の凹部の側面は、前記表面の法線方向に対して傾斜している、請求項1に記載のインテリア建材。前記複数の凹部の側面の少なくとも一部は、階段状である、請求項1または2に記載のインテリア建材。前記表面のヘキサデカンに対する静的接触が110.4°以下である、請求項1から3のいずれかに記載のインテリア建材。前記表面のヘキサデカンに対する静的接触角が29.3°以下である、請求項1から4のいずれかに記載のインテリア建材。前記表面のに対する静的接触角が109.6°以下である、請求項1から5のいずれかに記載のインテリア建材。前記表面は、表面処理剤によって処理されている、請求項1から6のいずれかに記載のインテリア建材。前記表面処理剤はアミノ基を有する、請求項7に記載のインテリア建材。前記表面に抗菌性塗料が付与されている、請求項1から6のいずれかに記載のインテリア建材。前記複数の凹部は、不規則に配置されている、請求項1から9のいずれかに記載のインテリア建材。前記複数の凹部の隣接間距離は、100nm超500nm未満である、請求項1から10のいずれかに記載のインテリア建材。前記複数の凹部の前記2次元的な大きさは、140nm以上である、請求項1から11のいずれかに記載のインテリア建材。前記金属基材は、バルブ金属である、請求項1から12のいずれかに記載のインテリア建材。前記ポーラス陽極酸化層は、バルブ金属を陽極酸化することによって形成された、請求項1から13のいずれかに記載のインテリア建材。前記複数の凹部は、略円錐形の部分を含む、請求項1から14のいずれかに記載のインテリア建材。前記複数の凹部の深さは、50nm以上1000nm未満である、請求項1から15のいずれかに記載のインテリア建材。ドアノブまたは手すりである、請求項1から16のいずれかに記載のインテリア建材。サッシである、請求項1から16のいずれかに記載のインテリア建材。金属基材と、前記金属基材上に形成されたポーラス陽極酸化層とを備える管または部品を有し、 前記ポーラス陽極酸化層の表面は、前記表面の法線方向から見たときの2次元的な大きさが100nm超500nm未満である複数の凹部を含み、 前記表面は、隣接する前記複数の凹部の間に形成された突起部を有し、 前記突起部は、隣接する前記複数の凹部の側面が交わることにより形成された稜線を有し、 前記表面が殺菌効果を有する、キッチン家電。前記複数の凹部の側面は、前記表面の法線方向に対して傾斜している、請求項19に記載のキッチン家電。前記複数の凹部の側面の少なくとも一部は、階段状である、請求項19または20に記載のキッチン家電。前記表面のヘキサデカンに対する静的接触角が110.4°以下である、請求項19から21のいずれかに記載のキッチン家電。前記表面のヘキサデカンに対する静的接触角が29.3°以下である、請求項19から22のいずれかに記載のキッチン家電。前記表面の水に対する静的接触角が109.6°以下である、請求項19から23のいずれかに記載のキッチン家電。前記表面は、表面処理剤によって処理されている、請求項19から24のいずれかに記載のキッチン家電。前記表面処理剤はアミノ基を有する、請求項25に記載のキッチン家電。前記表面に抗菌性塗料が付与されている、請求項19から24のいずれかに記載のキッチン家電。前記複数の凹部は、不規則に配置されている、請求項19から27のいずれかに記載のキッチン家電。前記複数の凹部の隣接間距離は、100nm超500nm未満である、請求項19から28のいずれかに記載のキッチン家電。前記複数の凹部の前記2次元的な大きさは、140nm以上である、請求項19から29のいずれかに記載のキッチン家電。前記金属基材は、バルブ金属である、請求項19から30のいずれかに記載のキッチン家電。前記ポーラス陽極酸化層は、バルブ金属を陽極酸化することによって形成された、請求項19から31のいずれかに記載のキッチン家電。前記複数の凹部は、略円錐形の部分を含む、請求項19から32のいずれかに記載のキッチン家電。前記複数の凹部の深さは、50nm以上1000nm未満である、請求項19から33のいずれかに記載のキッチン家電。電気湯沸かし器または飲料供給器である、請求項19から34のいずれかに記載のキッチン家電。

说明书全文

本発明は、表面が殺菌作用を備えたフィンを有する熱交換器、殺菌作用を備えた表面を有する金属部材、熱交換器のフィンの表面または金属部材の表面を用いたカビの発生を抑制する方法および殺菌方法、ならびに、金属部材を有する電気湯沸かし器、飲料供給器および弁当箱のふたに関する。

最近、ブラックシリコン、セミやトンボの羽が有するナノ表面構造が殺菌作用を有することが発表された(非特許文献1)。例えば、ブラックシリコンは、高さが500nmのナノピラーを有し、このナノピラーの物理的な構造が、殺菌作用を発現するとされている。セミやトンボの羽は、高さが240nmのナノピラーを有している。

非特許文献1によると、グラム陰性菌に対する殺菌作用は、ブラックシリコンが最も強く、トンボの羽、セミの羽の順に弱くなる。また、これらの表面のに対する静的接触(以下、単に「接触角」ということがある。)は、ブラックシリコンが80°であるのに対し、トンボの羽は153°、セミの羽は159°である。

特許第4265729号公報

特開2009−166502号公報

国際公開第2011/125486号

国際公開第2013/183576号

特開2010−175131号公報

Ivanova, E. P. et al., "Bactericidal activity of black silicon", Nat. Commun. 4:2838 doi: 10.1038/ncomms3838(2013).

非特許文献1に記載の結果からは、ナノピラーによって細菌が殺されるメカニズムは明らかではない。さらに、ブラックシリコンがトンボやセミの羽よりも強い殺菌作用を有する理由が、ナノピラーの高さや形状の違いにあるのか、表面自由エネルギー(接触角で評価され得る)の違いにあるのか、不明である。また、ナノピラーを有する物質(ブラックシリコンおよびその他の物質(例えば金属))に依存して、殺菌作用が変化するのか否かも不明である。

さらに、ブラックシリコンの殺菌作用を利用するにしても、ブラックシリコンは、量産性に乏しく、また、硬く脆いので、形状加工性が低いという問題がある。

本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、その主な目的は、表面が殺菌作用を備えたフィンを有する熱交換器、殺菌作用を備えた表面を有する金属部材、熱交換器のフィンの表面または金属部材の表面を用いたカビの発生を抑制する方法および殺菌方法、ならびに、金属部材を有する電気湯沸かし器、飲料供給器および弁当箱のふたを提供することにある。

本発明の実施形態による熱交換器は、金属基材と、前記金属基材上に形成されたポーラス陽極酸化層とを有するフィンを有し、前記ポーラス陽極酸化層の表面は、サブミクロンオーダーの凹凸構造を有し、前記凹凸構造は、前記表面の法線方向から見たときの2次元的な大きさが100nm超500nm未満である複数の凹部を含む。

ある実施形態において、前記凹凸構造は、隣接する前記複数の凹部の間に形成された突起部を有する。

ある実施形態において、前記突起部は、隣接する前記複数の凹部の側面が交わることにより形成された稜線を有する。

ある実施形態において、前記複数の凹部の隣接間距離は、前記複数の凹部の前記2次元的な大きさよりも大きい。

ある実施形態において、前記複数の凹部の側面は、前記表面の法線方向に対して傾斜している。

ある実施形態において、前記複数の凹部の側面の少なくとも一部は、階段状である。

ある実施形態において、前記表面のヘキサデカンに対する静的接触角が110.4°以下である。

ある実施形態において、前記表面のヘキサデカンに対する静的接触角が29.3°以下である。

ある実施形態において、前記表面は、表面処理剤によって処理されている。

ある実施形態において、前記表面処理剤はアミノ基を有する。

ある実施形態において、前記複数の凹部の隣接間距離は、20nm超500nm未満である。

ある実施形態において、前記複数の凹部の前記2次元的な大きさは、140nm以上である。

ある実施形態において、前記金属基材は、バルブ金属である。

ある実施形態において、前記ポーラス陽極酸化層は、バルブ金属を陽極酸化することによって形成されている。

本発明の実施形態による金属部材は、金属基材と、前記金属基材上に形成されたポーラス陽極酸化層とを備え、前記ポーラス陽極酸化層の表面は、サブミクロンオーダーの凹凸構造を有し、前記表面が殺菌効果を有する。

ある実施形態において、前記凹凸構造は、前記表面の法線方向から見たときの2次元的な大きさが100nm超500nm未満である複数の凹部を含む。

ある実施形態において、前記表面のヘキサデカンに対する静的接触角が110.4°以 下である。

ある実施形態において、前記表面のヘキサデカンに対する静的接触角が29.3°以下である。

ある実施形態において、前記表面は、表面処理剤によって処理されている。

本発明の実施形態によるカビの発生を抑制する方法は、上記のいずれかの熱交換器の前記フィンの前記表面に、水蒸気を接触させる。

本発明の実施形態による気体または液体を殺菌する方法は、上記のいずれかの熱交換器の前記フィンの前記表面に、気体または液体を接触させる。

本発明の他の実施形態によるカビの発生を抑制する方法は、上記のいずれかの金属部材の前記表面に、水蒸気を接触させる。

本発明の他の実施形態による気体または液体を殺菌する方法は、上記のいずれかの金属部材の前記表面に、気体または液体を接触させる。

本発明の実施形態による電気湯沸かし器は、飲用水を収容し、収容した前記飲用水を加熱する容器と、加熱された前記飲用水を外部に吐き出す注ぎ口と、前記容器および前記注ぎ口の間に設けられた揚水パイプとを有する電気湯沸かし器であって、前記揚水パイプは、金属基材と、前記金属基材上に形成されたポーラス陽極酸化層とを内側に有し、前記ポーラス陽極酸化層の表面は、サブミクロンオーダーの凹凸構造を有し、前記凹凸構造は、前記表面の法線方向から見たときの2次元的な大きさが100nm超500nm未満である複数の凹部を含む。前記電気湯沸かし器は、例えば電気ポットである。

本発明の実施形態による飲料供給器は、飲用水を収容し、収容した前記飲用水を加熱する容器と、加熱された前記飲用水を含む飲料を外部に吐き出す注ぎ口と、前記容器および前記注ぎ口の間に設けられた給水管とを有する飲料供給器であって、前記給水管は、金属基材と、前記金属基材上に形成されたポーラス陽極酸化層とを内側に有し、前記ポーラス陽極酸化層の表面は、サブミクロンオーダーの凹凸構造を有し、前記凹凸構造は、前記表面の法線方向から見たときの2次元的な大きさが100nm超500nm未満である複数の凹部を含む。前記飲料供給器は、例えばコーヒーメーカーである。

本発明の実施形態による弁当箱のふたは、金属基材と、前記金属基材上に形成されたポーラス陽極酸化層とを有し、前記ポーラス陽極酸化層の表面は、サブミクロンオーダーの凹凸構造を有し、前記凹凸構造は、前記表面の法線方向から見たときの2次元的な大きさが100nm超500nm未満である複数の凹部を含む。

本発明の実施形態によると、表面が殺菌作用を備えたフィンを有する熱交換器、殺菌作用を備えた表面を有する金属部材、熱交換器のフィンの表面または金属部材の表面を用いたカビの発生を抑制する方法および殺菌方法、ならびに、金属部材を有する電気湯沸かし器、飲料供給器および弁当箱のふたが提供される。

(a)は、本発明の実施形態による金属部材100Aの模式的な断面図であり、(b)は、本発明の他の実施形態による金属部材100Bの模式的な断面図である。

(a)は、金属部材100Aの模式的な斜視図の一例であり、(b)は、金属部材100Aの模式的な平面図の一例である。

(a)は、金属部材100Aの模式的な平面図の一例であり、(b)は、(a)中の3B−3B’線に沿った、金属部材100Aの模式的な断面図の一例であり、(c)は、(a)中の3C−3C’線に沿った、金属部材100Aの模式的な断面図の一例である。

(a)〜(e)は、金属部材100Aの製造方法および金属部材100Aの構造を説明するための図である。

(a)〜(c)は、金属部材100Bの製造方法および金属部材100Bの構造を説明するための図である。

(a)は、本発明のさらに他の実施形態による金属部材100A’の模式的な断面図であり、(b)は、本発明のさらに他の実施形態による金属部材100B’の模式的な断面図であり、(c)は、金属部材100A’および金属部材100B’の製造方法を説明するための模式的な図である。

(a)は、サンプルNo.3の表面をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察したSEM像であり、(b)は、サンプルNo.3の断面をSEMで観察したSEM像である。

サンプルNo.1〜No.4における、経過時間(h)に対する、菌希釈液B中の菌数(CFU/mL)を示すグラフである。

(a)は、サンプルNo.5の表面を、表面の法線方向から45°傾斜した角度からSEMで観察したSEM像であり、(b)は、サンプルNo.6の表面を、表面の法線方向から45°傾斜した角度からSEMで観察したSEM像であり、(c)は、サンプルNo.5〜No.7の、経過時間(h)に対する、菌希釈液B中の菌数(CFU/mL)を示すグラフであり、(d)は、サンプルNo.8〜No.9の、経過時間(h)に対する、菌希釈液B中の菌数(CFU/mL)を示すグラフである。

サンプルNo.13の透明になった箇所の表面をSEMで観察したSEM像を示す図である。

(a)は、本発明による実施形態の熱交換器が有するフィン50の模式的な断面図であり、(b)は、本発明の実施形態による熱交換器200Aの模式的な断面図であり、(c)は、本発明の他の実施形態による熱交換器200Bの模式的な断面図である。

(a)は、本発明の実施形態による放熱器210Aの模式的な平面図であり、(b)および(c)は、それぞれ、(a)中の12B−12B’線および12C−12C’線に沿った放熱器210Aの断面図である。(d)は、本発明の他の実施形態による放熱器210Bの模式的な平面図であり、(e)および(f)は、それぞれ、(d)中の12E−12E’線および12F−12F’線に沿った放熱器210Bの断面図である。

本発明による実施形態のインテリア建材を用いて製造された椅子60Aを模式的に示す図である。

(a)は、本発明の実施形態による電気湯沸かし器70Aを模式的に示す断面図であり、(b)は、本発明の他の実施形態による電気湯沸かし器70Bを模式的に示す断面図である。

本発明の実施形態による飲料供給器80を模式的に示す断面図である。

本発明の実施形態による弁当箱90aおよび弁当箱のふた90bを模式的に示す図である。

以下で、図面を参照して、本発明の実施形態による金属部材および熱交換器を説明する。なお、本発明は以下で例示する実施形態に限られない。以下の図面において、実質的に同じ機能を有する構成要素は共通の参照符号で示し、その説明を省略することがある。

なお、本明細書においては、以下の用語を用いることにする。

「殺菌(sterilization(microbicidal))」は、物体や液体といった対象物や、限ら れた空間に含まれる、増殖可能な生物(microorganism)の数を、有効数減少させるこ とをいう。

「微生物」は、ウィルス、細菌(バクテリア)、真菌(カビ)を包含する。

「抗菌(antimicrobial)」は、微生物の繁殖を抑制・防止することを広く含み、微生 物に起因する黒ずみやぬめりを抑制することを含む。

本出願人は、モスアイ構造を有する反射防止膜(反射防止表面)を製造するために、反転されたモスアイ構造を表面に有する陽極酸化ポーラスアルミナ層を用いる方法を開発した(例えば、特許文献1〜4)。参考のために、特許文献1〜4の開示内容のすべてを本明細書に援用する。

本発明者は、上記の技術を応用することによって、殺菌作用を備えた表面を有する金属部材、および、表面が殺菌作用を備えたフィンを有する熱交換器を開発するに至った。

図1、図2および図3を参照して、本発明の実施形態による金属部材の構造を説明する。図1(a)は、本発明の実施形態による金属部材100Aの模式的な断面図を示す。図1(b)は、本発明の他の実施形態による金属部材100Bの模式的な断面図を示す。図2(a)および図2(b)は、それぞれ、金属部材100Aの模式的な斜視図および平面図の一例を示す。図3(a)は、金属部材100Aの模式的な平面図の一例を示す。図3(b)は、図3(a)中の3B−3B’線に沿った、金属部材100Aの模式的な断面図の一例を示す。図3(c)は、図3(a)中の3C−3C’線に沿った、金属部材100Aの模式的な断面図の一例を示す。

図1(a)に示すように、金属部材100Aは、金属基材12と、金属基材12上に形成されたポーラス陽極酸化層14とを備える。ポーラス陽極酸化層14の表面は、サブミクロンオーダーの凹凸構造を有する。ポーラス陽極酸化層14の表面は、殺菌効果を有する。本発明の実施形態による金属部材が殺菌効果を有することについては、後に実験例を示す。

ポーラス陽極酸化層14の表面の凹凸構造は、例えば、複数の凹部14Apを含む。図1(a)に例示するように、凹部14Apが密に配列されており、隣接する凹部14Ap間に間隙が存在しない(例えば、図2(a)および図2(b)に例示するように、円錐の底面が部分的に重なる)場合には、凹部14Apの2次元的な大きさDpは凹部14Apの隣接間距離Dintと等しい。ここで、凹部14Apの「2次元的な大きさ」とは、表面の法線方向から見たときの凹部14Apの面積円相当径を指す。例えば、凹部14Apが円錐形の場合、凹部14Apの2次元的な大きさは、円錐の底面の直径に相当する。凹部14Apの2次元的な大きさDpは、例えば、100nm超500nm未満である。また、凹部14Apの隣接間距離Dintは、例えば20nm超500nm未満である。凹部14Apの典型的な深さは、50nm以上1000nm未満である。

金属部材100Aは、金属基材12の上に形成された無機材料層16をさらに有してもよい。金属部材100Aは、ポーラス陽極酸化層14の下に金属残存層18rをさらに有してもよい。

図2(a)および図2(b)に例示するように、凹部14Apが円錐形の場合、円錐の 底面は部分的に重なってもよい。隣接する凹部14Apの間には、稜線14rが形成され得る。稜線14rは、例えば、隣接する凹部14Apが交わることにより形成される。例えば、凹部14Apが円錐形である場合、円錐の側面が交わることにより、稜線14rを形成し得る。図2(b)に例示するように、ポーラス陽極酸化層14の表面の法線方向から見たとき、凹部14Apの中心14oが正三角格子状に配置されている場合、稜線14rは、中心14oを中心とした正六角形状に形成される。さらに、正六角形の頂点にあたる箇所には、尖状突起14cが形成され得る。稜線14rおよび尖状突起14cを含めて、突起部15ということにする。尖状突起14cは、稜線14rに比べて突起しているので、突起部15の先端は複数の点(例えば尖状突起14c)であり得る。突起部15の先端とは、例えば、ポーラス陽極酸化層14の表面の法線方向における先端である。金属部材100Aは、突起部15を表面に有することにより、殺菌作用を有すると考えられる。

図2(a)および図2(b)中に点線で示した円は、凹部14Apの中心14oを中心とし、正六角形の頂点にあたる箇所に形成された尖状突起14cを通る円である。この円の直径を、凹部14Apの「仮想的な直径Dhd」ということがある。図2(a)および図2(b)に例示される場合において、凹部14Apの仮想的な直径Dhdは、隣接間距離Dintおよび2次元的な大きさDpよりも大きい(Dhd>Dint=Dp)。

図3(a)に例示するように、凹部14Apが円錐形の場合、円錐の底面は互いに重ならなくてもよい。図3(a)に例示するように、円錐の底面の円は、互いに接していてもよい。この場合、隣接する凹部14Apの間に稜線14rは形成されなくてもよい。図3(a)に例示されるように、ポーラス陽極酸化層14の表面の法線方向から見たとき、例えば、凹部14Apの中心14oが正三角格子状に配置されている場合には、突起部15は、中心14oを中心とした正六角形の頂点にあたる点14c、および、点14cに囲まれた突起領域14c’を含む。突起領域14c’は、例えば、表面の法線方向から見たときに、凹部14Apを形成しない領域である。

図3(b)に示すように、図3(a)中の3B−3B’線に沿った断面においては、点14cは、隣接する凹部14Apの間に形成された尖状突起14cとなる。図3(c)に示すように、図3(a)中の3C−3C’線に沿った断面においては、点14cよりも突起領域14c’の方が突起し得る。この場合の突起部15の先端は、例えば、点ではなく、複数の領域(例えば突起領域14c’)である。突起部15の先端は、例えば、突起領域14c’と同じ2次元的な大きさを有し得る。突起領域14c’の2次元的な大きさは、表面の法線方向から見たときの突起領域14c’の面積円相当径を指す。突起領域14c’は、サブミクロンオーダーの凹部14Apの間に形成されているので、突起部15の先端の2次元的な大きさは、数百ナノメートルオーダー以下であり得る。従って、突起部15は殺菌性を有し得る。

図3(a)〜(c)に例示される場合において、凹部14Apの仮想的な直径Dhdは、隣接間距離Dintおよび2次元的な大きさDpと等しい(Dhd=Dint=Dp)。表面の物理的構造が優れた殺菌作用を有するという観点からは、図2(a)および図2(b)に例示されるように、凹部14Apの仮想的な直径Dhdは、隣接間距離Dintおよび2次元的な大きさDpよりも大きい(Dhd>Dint=Dp)ことが好ましいと考えられる。突起部15が尖状突起14cを有し、突起部の先端が点になり得るからである。ただし、金属部材の有する殺菌作用には、表面の物理的構造だけでなく、表面の化学的性質(例えば親油性)も寄与することが考えられる。すなわち、後で実験例を示して説明するように、ポーラス陽極酸化層14の表面に、表面処理剤が付与されていてもよい。表面処理剤は、例えば、離型剤、シランカップリング剤、親水性塗料、腐食防止剤等を含む。表面処理剤が表面に付与されることによって、金属部材の表面の親水性および/または親油性が調整され得る。例えば、ポーラス陽極酸化層14の表面のヘキサデカンに対す る静的接触角が110.4°以下であってもよく、さらには29.3°以下であってもよい。また、ポーラス陽極酸化層14の表面に、抗菌性塗料を付与してもよい。抗菌性塗料を表面に付与することで、殺菌作用はさらに向上され得る。

凹部14Apの配置は図2および図3に例示したものに限られず、規則的に配置されていてもよいし、不規則に(ランダムに)配置されていてもよい。

次に、図1(b)を参照して、本発明の他の実施形態による金属部材100Bを説明する。図1(b)に示す金属部材100Bは、ポーラス陽極酸化層14の表面の凹凸構造が、複数の凹部14Bpを含む点において、金属部材100Aと異なる。金属部材100Bは、複数の凹部14Bpを除いて、金属部材100Aと同じであってよい。

図1(b)に示すように、凹部14Bpの隣接間距離Dintは、凹部14Bpの2次元的な大きさDpよりも大きい(Dint>Dp)。凹部14Bpの仮想的な直径Dhdは、凹部14Bpの2次元的な大きさDpと等しい(Dp=Dhd)。この場合には、隣接する凹部14Bpが交わらないので、隣接する凹部14Bpの間に稜線14rは形成されない。ポーラス陽極酸化層14の表面の法線方向における先端は、例えば、面を形成し、その中に複数の凹部14Bpが点在する。金属部材100Bが殺菌性を有するためには、例えば、凹部14Bpの2次元的な大きさDpと、凹部14Bpの隣接間距離Dintとの関係において、(Dint−Dp)/Dintが0.9以下であること(すなわち、Dp/Dintが0.1以上であること)が好ましい。金属部材100Bが殺菌性を有するためには、例えば、ポーラス陽極酸化層14の表面は、表面処理されていることが好ましい。例えば、ポーラス陽極酸化層14の表面のヘキサデカンに対する静的接触角が110.4°以下である。より好ましくは、ポーラス陽極酸化層14の表面のヘキサデカンに対する静的接触角は、29.3°以下であってもよい。

本発明の実施形態による金属部材100Aおよび100Bの製造方法は、例えば、以下に例示するように、特許文献2〜4に記載の反射防止膜を作製するための型の製造方法を援用することができる。これにより、凹部の大きさおよび深さを精度よく制御することが可能になる。また、均一に配置された凹部を得ることができる。ただし、表面の殺菌作用を用いるためには、反射防止膜において要求されるような高い均一性は求められないので、型の製造方法を簡略化することができる。例えば、図6を参照して後述する金属部材100A’および100B’のように、金属基材(例えばバルブ金属から形成される)の表面を直接陽極酸化して製造してもよい。

図4(a)〜図4(e)を参照して、金属部材100Aの製造方法を説明する。

まず、図4(a)に示すように、型基材として、金属基材12と、金属基材12の表面に形成された無機材料層16と、無機材料層16の上に堆積された金属膜18とを有する型基材10を用意する。

金属基材12は、例えば、アルミニウム基材である。金属膜18は、例えば、アルミニウム膜である。以下、アルミニウム基材12およびアルミニウム膜18の例を説明する。ただし、本発明の実施形態による金属部材は、これに限られない。金属基材12および金属膜18は、それぞれ、例えば、バルブ金属から形成される。バルブ金属は、陽極酸化される金属の総称であって、アルミニウムの他、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、Mo(モリブデン)、チタン(Ti)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、タングステン(W)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)を含む。バルブ金属の陽極酸化は、公知の方法で行われる。電解液の種類や電圧等の条件は、個々の金属に応じて適宜選択・設定され得る。また、陽極酸化膜のエッチング液も個々の金属に応じて 選択され得る。例えば、Tiの陽極酸化は、例えば、エチレングリコールとフッ化アンモニウムとの混合水溶液、硫酸および/または燐酸を含む水溶液等の電解液中で行うことができる。Tiのエッチング液としては、例えば、濃燐酸、熱濃硫酸、熱濃塩酸からなる群から選択される酸を含む水溶液、または、フッ酸混合水溶液(例えば、フッ酸/硝酸混合水溶液、フッ酸/過酸化水素水混合水溶液、フッ化アンモニウム/フッ酸混合水溶液等を含む)を用いることができる。

金属基材12および金属膜18は、それぞれ、例えば、ステンレス鋼から形成されてもよい。ステンレス鋼はバルブ金属には属さないが、陽極酸化によって、サブミクロンオーダーの自己組織化構造を形成することが知られている。304タイプのステンレス鋼を用いて、サブミクロンオーダーの凹部を有する陽極酸化膜が形成されることは、例えば、K. Kure et al., "Formation of self-organized nanoporous anodic film on Type 304 stainless steel", Electrochemistry Communications 21(2012)1-4.に記載されている。参考のために、この文献の開示内容の全てを本明細書に援用する。なお、ステンレス鋼のエッチング液としては、例えば、王水(濃塩酸および濃硝酸を体積比3:1で混合したもの)等を用いることができる。

金属基材12および金属膜18は、それぞれ、抗菌効果が高いとされる金属(例えば、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、または銅(Cu))を含んでもよい。金属基材12および金属膜18は、同じ金属から形成されてもよい。例えば、金属膜18がチタンから形成される場合、ポーラス陽極酸化層14は酸化チタンから形成される。酸化チタンは光触媒活性物質であるので、金属部材は、光が照射されることにより、光触媒による殺菌作用も有し得る。

アルミニウム基材12としては、アルミニウムの純度が99.50mass%以上99.99mass%未満である比較的剛性の高いアルミニウム基材を用いる。アルミニウム基材12に含まれる不純物としては、鉄(Fe)、ケイ素(Si)、銅(Cu)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、スズ(Sn)およびマグネシウム(Mg)からなる群から選択された少なくとも1つの元素を含むことが好ましく、特にMgが好ましい。エッチング工程におけるピット(窪み)が形成されるメカニズムは、局所的な電池反応であるので、理想的にはアルミニウムよりも貴な元素を全く含まず、卑な金属であるMg(標準電極電位が−2.36V)を不純物元素として含むアルミニウム基材12を用いることが好ましい。アルミニウムよりも貴な元素の含有率が10ppm以下であれば、電気化学的な観点からは、当該元素を実質的に含んでいないと言える。Mgの含有率は、全体の0.1mass%以上であることが好ましく、約3.0mass%以下の範囲であることがさらに好ましい。Mgの含有率が0.1mass%未満では十分な剛性が得られない。一方、含有率が大きくなると、Mgの偏析が起こり易くなる。モスアイ用型を形成する表面付近に偏析が生じても電気化学的には問題とならないが、Mgはアルミニウムとは異なる形態の陽極酸化膜を形成するので、不良の原因となる。不純物元素の含有率は、アルミニウム基材12の形状、厚さおよび大きさに応じて、必要とされる剛性に応じて適宜設定すればよい。例えば圧延加工によって板状のアルミニウム基材12を作製する場合には、Mgの含有率は約3.0mass%が適当であるし、押出加工によって円筒などの立体構造を有するアルミニウム基材12を作製する場合には、Mgの含有率は2.0mass%以下であることが好ましい。Mgの含有率が2.0mass%を超えると、一般に押出加工性が低下する。

アルミニウム基材12として、例えば、JIS A1050、Al−Mg系合金(例えばJIS A5052)、またはAl−Mg−Si系合金(例えばJIS A6063)で形成された円筒状のアルミニウム管を用いる。

アルミニウム基材12の表面は、バイト切削が施されていることが好ましい。アルミニウム基材12の表面に、例えば砥粒が残っていると、砥粒が存在する部分において、アルミニウム膜18とアルミニウム基材12との間で導通しやすくなる。砥粒以外にも、凹凸が存在するところでは、アルミニウム膜18とアルミニウム基材12との間で局所的に導通しやすくなる。アルミニウム膜18とアルミニウム基材12との間で局所的に導通すると、アルミニウム基材12内の不純物とアルミニウム膜18との間で局所的に電池反応が起こる可能性がある。

無機材料層16の材料としては、例えば酸化タンタル(Ta2O5)または二酸化シリコン(SiO2)を用いることができる。無機材料層16は、例えばスパッタ法により形成 することができる。無機材料層16として、酸化タンタル層を用いる場合、酸化タンタル層の厚さは、例えば、200nmである。

無機材料層16の厚さは、100nm以上500nm未満であることが好ましい。無機材料層16の厚さが100nm未満であると、アルミニウム膜18に欠陥(主にボイド、すなわち結晶粒間の間隙)が生じることがある。また、無機材料層16の厚さが500nm以上であると、アルミニウム基材12の表面状態によって、アルミニウム基材12とアルミニウム膜18との間が絶縁されやすくなる。アルミニウム基材12側からアルミニウム膜18に電流を供給することによってアルミニウム膜18の陽極酸化を行うためには、アルミニウム基材12とアルミニウム膜18との間に電流が流れる必要がある。円筒状のアルミニウム基材12の内面から電流を供給する構成を採用すると、アルミニウム膜18に電極を設ける必要がないので、アルミニウム膜18を全面にわたって陽極酸化できるとともに、陽極酸化の進行に伴って電流が供給され難くなるという問題も起こらず、アルミニウム膜18を全面にわたって均一に陽極酸化することができる。

また、厚い無機材料層16を形成するためには、一般的には成膜時間を長くする必要がある。成膜時間が長くなると、アルミニウム基材12の表面温度が不必要に上昇し、その結果、アルミニウム膜18の膜質が悪化し、欠陥(主にボイド)が生じることがある。無機材料層16の厚さが500nm未満であれば、このような不具合の発生を抑制することもできる。

アルミニウム膜18は、例えば、特許文献3に記載されているように、純度が99.99mass%以上のアルミニウムで形成された膜(以下、「高純度アルミニウム膜」ということがある。)である。アルミニウム膜18は、例えば、真空蒸着法またはスパッタ法を用いて形成される。アルミニウム膜18の厚さは、約500nm以上約1500nm以下の範囲にあることが好ましく、例えば、約1μmである。

また、アルミニウム膜18として、高純度アルミニウム膜に代えて、特許文献4に記載されている、アルミニウム合金膜を用いてもよい。特許文献4に記載のアルミニウム合金膜は、アルミニウムと、アルミニウム以外の金属元素と、窒素とを含む。本明細書において、「アルミニウム膜」は、高純度アルミニウム膜だけでなく、特許文献4に記載のアルミニウム合金膜を含むものとする。

上記アルミニウム合金膜を用いると、反射率が80%以上の鏡面を得ることができる。アルミニウム合金膜を構成する結晶粒の、アルミニウム合金膜の法線方向から見たときの平均粒径は、例えば、100nm以下であり、アルミニウム合金膜の最大表面粗さRmaxは60nm以下である。アルミニウム合金膜に含まれる窒素の含有率は、例えば、0.5mass%以上5.7mass%以下である。アルミニウム合金膜に含まれるアルミニウム以外の金属元素の標準電極電位とアルミニウムの標準電極電位との差の絶対値は0.64V以下であり、アルミニウム合金膜中の金属元素の含有率は、1.0mass%以上 1.9mass%以下であることが好ましい。金属元素は、例えば、TiまたはNdである。但し、金属元素はこれに限られず、金属元素の標準電極電位とアルミニウムの標準電極電位との差の絶対値が0.64V以下である他の金属元素(例えば、Mn、Mg、Zr、VおよびPb)であってもよい。さらに、金属元素は、Mo、NbまたはHfであってもよい。アルミニウム合金膜は、これらの金属元素を2種類以上含んでもよい。アルミニウム合金膜は、例えば、DCマグネトロンスパッタ法で形成される。アルミニウム合金膜の厚さも約500nm以上約1500nm以下の範囲にあることが好ましく、例えば、約1μmである。

次に、図4(b)に示すように、アルミニウム膜18の表面18sを陽極酸化することによって、複数の凹部(細孔)14Apを有するポーラス陽極酸化層(ポーラスアルミナ層)14を形成する。ポーラスアルミナ層14は、凹部14Apを有するポーラス層と、バリア層(凹部(細孔)14Apの底部)とを有している。隣接する凹部14Apの間隔(中心間距離)は、バリア層の厚さのほぼ2倍に相当し、陽極酸化時の電圧にほぼ比例することが知られている。この関係は、図4(e)に示す最終的なポーラスアルミナ層14についても成立する。

ポーラスアルミナ層14は、例えば、酸性の電解液中で表面18sを陽極酸化することによって形成される。ポーラスアルミナ層14を形成する工程で用いられる電解液は、例えば、蓚酸、酒石酸、燐酸、硫酸、クロム酸、クエン酸、リンゴ酸からなる群から選択される酸を含む水溶液である。例えば、アルミニウム膜18の表面18sを、蓚酸水溶液(濃度0.3mass%、液温10℃)を用いて、印加電圧80Vで55秒間陽極酸化を行うことにより、ポーラスアルミナ層14を形成する。

次に、図4(c)に示すように、ポーラスアルミナ層14をアルミナのエッチャントに接触させることによって所定の量だけエッチングすることにより凹部14Apの開口部を拡大する。凹部14Apの開口部が拡大されることによって、凹部14Apの2次元的な大きさDpが大きくなる。凹部14Apの2次元的な大きさDpが、凹部14Apの隣接間距離Dintと等しくなると、隣接する凹部14Apの間に突起部15が形成され得る。エッチング液の種類・濃度、およびエッチング時間を調整することによって、エッチング量(すなわち、凹部14Apの大きさ、深さ、および、突起部15の先端の大きさ)を制御することができる。エッチング液としては、例えば10mass%の燐酸や、蟻酸、酢酸、クエン酸などの有機酸や硫酸の水溶液やクロム酸燐酸混合水溶液を用いることができる。例えば、燐酸水溶液(10mass%、30℃)を用いて20分間エッチングを行う。

この後、図4(d)に示すように、再び、アルミニウム膜18を部分的に陽極酸化することにより、凹部14Apを深さ方向に成長させるとともにポーラスアルミナ層14を厚くしてもよい。ここで凹部14Apの成長は、既に形成されている凹部14Apの底部から始まるので、凹部14Apの側面は階段状になる。

さらにこの後、必要に応じて、ポーラスアルミナ層14をアルミナのエッチャントに接触させることによってさらにエッチングすることにより凹部14Apの孔径をさらに拡大することもできる。エッチング液としては、ここでも上述したエッチング液を用いることが好ましく、現実的には、同じエッチング浴を用いればよい。

このように、上述した陽極酸化工程およびエッチング工程を、例えば交互に複数回繰り返して、図4(e)に示すように、表面に突起部15を有する金属部材100Aが得られ得る。金属部材100Aにおいて、凹部14Apの2次元的な大きさDpは凹部14Apの隣接間距離Dintと等しい。

図4(e)に示すポーラスアルミナ層14(厚さtp)は、ポーラス層(厚さは凹部1 4Apの深さDdに相当)とバリア層(厚さtb)とを有する。ポーラスアルミナ層14 の厚さtpは、例えば、約1μm以下である。ポーラスアルミナ層14が有する凹部14 Apは、例えば円錐形であり、階段状の側面を有してもよい。上述したように、凹部14Apの隣接間距離Dintは、バリア層の厚さtbのほぼ2倍に相当する。

なお、図4(e)に示すポーラスアルミナ層14の下には、アルミニウム膜18のうち、陽極酸化されなかった金属残存層(アルミニウム残存層)18rが存在している。必要に応じて、アルミニウム残存層18rが存在しないように、アルミニウム膜18を実質的に完全に陽極酸化してもよい。例えば、無機材料層16が薄い場合には、アルミニウム基材12側から容易に電流を供給することができる。

ここで例示した金属部材の製造方法は、特許文献2〜4に記載の反射防止膜を作製するための型を製造することができる。高精細な表示パネルに用いられる反射防止膜は、先端が尖った凸部を有することが好ましい。従って、反射防止膜を作製するための型の製造方法においては、上述した陽極酸化工程およびエッチング工程を交互に複数回(例えば5回:陽極酸化を5回とエッチングを4回)繰り返し、陽極酸化工程で終わることによって、凹部14Apの底部を点にすることが好ましい。

これに対して、金属部材の殺菌作用に、凹部14Apの底部が点であることは求められないので、上記の型の製造方法を簡略化することができる。例えば、金属部材の製造工程は、陽極酸化工程で終わってもよいし、エッチング工程で終わってもよい。陽極酸化工程およびエッチング工程をそれぞれ1回ずつ行うことにより、金属部材100Aを製造してもよい。凹部14Apの底部は、図4(e)に例示するように、点であってもよい。凹部14Apの底部は、これに限られず、丸みを帯びていてもよい。凹部14Apの底部は、平らであってもよく、すなわち、凹部14Apの形状は、略円錐台であってもよい。

ただし、突起部15を形成するためには、エッチング工程を少なくとも1回行うことが好ましい。凹部14Apの2次元的な大きさDpは、エッチング工程により拡大されるためである。例えば、凹部14Apの2次元的な大きさDpが、凹部14Apの隣接間距離Dintと等しくなるまで、適宜エッチング工程を行ってもよい。

陽極酸化工程およびエッチング工程を交互に行うことにより、凹部14Apの側面は、例えば、表面の法線方向に対して傾斜する。凹部14Apの側面の少なくとも一部は、例えば、階段状であってもよい。

金属部材が優れた殺菌作用を有するためには、突起部15の先端は、点であることがより好ましいと考えられる。凹部14Apを形成した後、隣接する凹部14Apの間の突起部15の先端が点になるまで、陽極酸化工程および/またはエッチング工程を適宜繰り返してもよい。例えば、略円錐体状の凹部14Apの開口部が拡大されると、凹部14Apの底面の中心14oから最も離れた部分が最終的に残って、尖状突起14cを形成し得る。

上記の製造工程によって金属部材100Aを得た後、必要に応じて、金属部材100Aの表面を安定させる処理(例えば熱処理)を行ってもよい。安定化処理は、凹部14Apを封孔することなく行われ得る。例えば、金属部材100Aをオーブンに入れて熱処理を行うことで、金属部材100Aの表面を安定させることができる。

安定化処理を施さない金属部材は、例えば水と一定時間接触した後に変色することがあ った。金属部材が変色して透明になることもあった。このような変色(透明化を含む)は、目視で確認することができた。金属部材の表面の、反転されたモスアイ構造の形状が変化したことによって、金属部材の表面が変色したと考えられる。安定化処理を行うと、金属部材の変色および表面の反転されたモスアイ構造の形状の変化を防ぐことができる。例えば、後に実験例を示すように、100℃以上250℃以下のオーブンで3時間熱処理を行った金属部材は、水と49時間接触した後も変色しなかった。安定化処理の具体的な条件については、実験例を参照して後述する。

図1(b)に示した金属部材100Bも、例えば、上述した陽極酸化工程とエッチング工程とを組み合わせることによって製造することができる。図5(a)〜(c)を参照して、金属部材100Bの製造方法を説明する。

まず、図4(a)および(b)を参照して説明したのと同様に、型基材10を用意し、アルミニウム膜18の表面18sを陽極酸化することによって、複数の凹部(細孔)14Bpを有するポーラスアルミナ層14を形成する。

次に、図5(a)に示すように、ポーラスアルミナ層14をアルミナのエッチャントに接触させることによって所定の量だけエッチングすることにより凹部14Bpの開口部を拡大する。このとき、図4(c)を参照して説明したエッチング工程よりも、エッチング量を少なくする。すなわち、凹部14Bpの開口部の大きさを小さくする。例えば、燐酸水溶液(10mass%、30℃)を用いて10分間エッチングを行う。

この後、図5(b)に示すように、再び、アルミニウム膜18を部分的に陽極酸化することにより、凹部14Bpを深さ方向に成長させるとともにポーラスアルミナ層14を厚くしてもよい。このとき、例えば、図4(d)を参照して説明した陽極酸化工程よりも、凹部14Bpを深く成長させる。例えば、蓚酸水溶液(濃度0.3mass%、液温10℃)を用いて、印加電圧80Vで165秒間陽極酸化を行う(図4(d)では55秒間)。

その後、図4(e)を参照して説明したのと同様に、エッチング工程および陽極酸化工程を交互に複数回くり返してもよい。例えば、エッチング工程を3回、陽極酸化工程を3回、交互に繰り返すことによって、図5(c)に示すように、金属部材100Bが得られる。このとき、凹部14Bpの2次元的な大きさDpは隣接間距離Dintより小さい(Dp

ここで例示した金属部材100Aおよび100Bの製造方法は、特許文献2〜4に記載の反射防止膜を作製するための型を製造することができる。高精細な表示パネルに用いられる反射防止膜には、高い均一性が要求されるので、上記のようにアルミニウム基材の材料の選択、アルミニウム基材の鏡面加工、アルミニウム膜の純度や成分の制御を行うことが好ましいが、殺菌作用に高い均一性は求められないので、上記の型の製造方法を簡略化することができる。例えば、アルミニウム基材の表面を直接、陽極酸化してもよい。また、このときアルミニウム基材に含まれる不純物の影響でピットが形成されても、最終的に得られる金属部材の凹凸構造に局所的な構造の乱れが生じるだけで、殺菌作用に与える影響はほとんどないと考えられる。

図6を参照して、本発明のさらに他の実施形態による金属部材100A’および本発明のさらに他の実施形態による金属部材100B’の構造および製造方法について説明する 。図6(a)は、本発明のさらに他の実施形態による金属部材100A’の模式的な断面図を示す。図6(b)は、本発明のさらに他の実施形態による金属部材100B’の模式的な断面図を示す。図6(c)は、金属部材100A’および金属部材100B’の製造方法を説明するための模式的な図である。

金属部材100A’は、図6(c)に例示する金属基材18Xの表面18sを直接陽極酸化することによって製造される点において、金属部材100Aと異なる。金属部材100A’は、図4(a)に例示した型基材10を用意することなく製造される。金属部材100A’は、金属部材100Aが有する金属基材12、無機材料層16、および金属残存層18rに代えて、金属基材18Xrを有する点において、金属部材100Aと異なる。金属部材100A’は、上記点を除いて金属部材100Aと同じであってよい。

金属部材100A’の製造方法は、金属基材18Xを用意する点を除いて、金属部材100Aの製造方法と同じであってよい。例えば、金属基材18Xを用意した後、図4(b)〜図4(e)を参照して上述したポーラス陽極酸化層14を生成する条件を用いることで、凹部14Apを形成することができる。凹部14Apを有するポーラス陽極酸化層14が、残存した金属基材18Xrの上に形成されることで、図6(a)に示す金属部材100A’を得ることができる。

金属基材18Xは、陽極酸化可能な金属から形成される。金属基材18Xは、例えばバルブ金属またはステンレス鋼である。金属基材18Xは、抗菌効果が高いとされる金属(例えば、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、または銅(Cu))を含んでもよい。

規則的に配列された凹部を有する金属部材(例えばアルミニウムから形成される)100A’は、例えば、以下のようにして製造されてもよい。特許文献2〜4に記載の反射防止膜を作製するための型は、凹部の配列の規則性が低いことが好ましいが、ポーラス陽極酸化層の凹凸構造の殺菌性を利用する場合には、凹部の配列の規則性は影響しないと考えられる。

アルミニウム基材18Xを用意した後、以下の工程を行う。例えば厚さが約10μmのポーラスアルミナ層を形成した後、生成されたポーラスアルミナ層をエッチングにより除去してから、上述のポーラスアルミナ層を生成する条件で陽極酸化を行えばよい。厚さが10μmのポーラスアルミナ層は、陽極酸化時間を長くすることによって形成される。このように比較的厚いポーラスアルミナ層を生成し、このポーラスアルミナ層を除去すると、アルミニウム膜またはアルミニウム基材の表面に存在するグレインによる凹凸や加工ひずみの影響を受けることなく、規則的に配列された凹部を有するポーラスアルミナ層を形成することができる。なお、ポーラスアルミナ層の除去には、クロム酸と燐酸との混合液を用いることが好ましい。長時間にわたるエッチングを行うとガルバニック腐食が発生することがあるが、クロム酸と燐酸との混合液はガルバニック腐食を抑制する効果がある。

図6(b)に示す金属部材100B’は、ポーラス陽極酸化層14の表面の凹凸構造が、複数の凹部14Bpを含む点において、金属部材100A’と異なる。金属部材100B’は、複数の凹部14Bpを除いて、金属部材100A’と同じであってよい。金属部材100B’の製造工程は、複数の凹部14Bpを形成する工程を除いて、金属部材100A’と同じであってよい。

金属部材100Bおよび金属部材100B’の製造方法は、上述したものに限られない。金属部材100Bおよび金属部材100B’は、エッチング工程を行わずに、陽極酸化工程のみによって製造することもできる(例えば後述するサンプルNo.5参照)。この場合、凹部14Bpの形状は、例えば、略円筒状であってもよい。凹部14Bpの側面は 、表面の法線方向とほぼ平行であってもよい。

以下に、実験例を示して、本発明の実施形態による金属部材が殺菌性を有することを説明する。

各サンプルを作製するために、ガラス板上に、酸化タンタル層およびアルミニウム合金層(Al−Ti層)を順に成膜した。上述した陽極酸化工程およびエッチング工程を交互に行い(陽極酸化工程を5回、エッチング工程を4回)、ガラス板上に反転されたモスアイ構造を表面に有するポーラスアルミナ層を作製することにより、サンプルNo.1を得た。

サンプルNo.2は、サンプルNo.1と同じものの表面に離型剤を付与することにより得た。離型剤は、ダイキン工業株式会社製のオプツールDSXを用いた。離型剤を、上から流しかけるように付与した後、ガラス板上に離型剤が均一に行き渡るように、スピナーによりサンプルを回転させた。

サンプルNo.3およびサンプルNo.4は、それぞれ、サンプルNo.1と同じものの表面に、シランカップリング剤S1およびシランカップリング剤S2を付与することにより得た。シランカップリング剤S1は、信越化学工業株式会社製のKBM−1403であり、アミノ基を含まない。シランカップリング剤S2は、信越化学工業株式会社製のKBM−603であり、アミノ基を含む。シランカップリング剤S1およびシランカップリング剤S2は、それぞれ、以下の化学式(構造式)(1)および(2)で表される。

(CH3O)3SiC3H6NHC2H4NH2 (2)

シランカップリング剤S1およびS2は、原液を用いた。サンプルNo.3およびサンプルNo.4についても、シランカップリング剤を表面に付与した後、スピナーによりサンプルを回転させた。

サンプルNo.2〜4について、ポーラスアルミナ層の表面の反転されたモスアイ構造が、離型剤またはシランカップリング剤により埋まっていないことを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して確認した。図7(a)にサンプルNo.3の表面をSEMで観察したSEM像を示し、図7(b)にサンプルNo.3の断面をSEMで観察したSEM像を示す。図7(a)および図7(b)に示すように、凹部が埋まっていないことが確認できる。他のサンプルについても同様に確認した。

各サンプルに対する、22℃における水およびヘキサデカンの接触角を測定した。測定には接触角計(協和界面科学社製、PCA−1)を用いた。5回測定した接触角の平均値を下記の表1に示す。

殺菌性の評価は、以下の手順で行った。

1.菌数が1E+05CFU/mLのオーダーである菌希釈液A’を用意した。菌希釈液A’中の菌数をカウントすると、4.2E+05CFU/mLだった。

2.栄養源として1/500NB培地(NB培地(栄研化学株式会社製、普通ブイヨン培地E−MC35)を滅菌水で500倍に希釈)を1.の菌希釈液A’に入れた(JIS2801の5.4a)に準拠)。この菌希釈液を菌希釈液Aとする。

3.菌希釈液AをサンプルNo.1〜4のそれぞれの表面に400μLずつ滴下し、ふたをした。

4.サンプルNo.1〜4をそれぞれ透明容器に入れた。容器の中には、乾燥を防ぐために、400μLの滅菌水を滴下した脱脂綿も入れた。

5.3通りの時間(0.1時間、4時間、および24時間)経過後における結果を調べるために、上記3.および4.によるサンプルNo.1〜4のセットを3セット作製した。

6.4時間および24時間経過後の結果を調べるサンプルのセットは、それぞれ、大きな容器に入れた。大きな容器内には、乾燥をさらに防ぐために、150mLの滅菌水を入れたビーカーと、40mLの滅菌水を含ませたキムタオルとをさらに入れた。大きな容器のふたをし、35℃でそれぞれの所定の時間培養した。

7.所定の時間(0.1時間、4時間、および24時間)経過後、菌の洗い出しを行った。濾過袋に9.6mLの滅菌水を入れた。ふたおよびサンプルごと濾過袋に入れて、よく揉み洗いをした。この菌液を菌希釈液Bとする。

8.菌希釈液Bを滅菌水で希釈した。菌希釈液Bを10倍に希釈したものを菌希釈液C、菌希釈液Bを100倍に希釈したものを菌希釈液Dとする。

9.菌希釈液をペトリフィルムにまき、35℃で2日間培養し、菌希釈液B中の菌数を数えた。ペトリフィルムにまいた菌希釈液は、それぞれ、0.1時間経過後においては菌希釈液C1mLおよび菌希釈液D1mL、4時間経過後においては菌希釈液C1mLおよび菌希釈液D1mL、24時間経過後においては菌希釈液B1mL、菌希釈液C1mLおよび菌希釈液D1mLである。

結果を下記の表2および図8に示す。図8は、経過時間(h)に対する、菌希釈液B中の菌数(CFU/mL)を示すグラフである。なお、図8において、見やすさのために、菌数が0の場合は0.01としてプロットしている。

菌希釈液Bは、菌希釈液A(菌数が1E+05CFU/mLのオーダー)を25倍に希釈して得たので、サンプルによる殺菌効果がなければ、菌数は1E+04CFU/mLのオーダーであるはずである。すなわち、菌希釈液A’中の菌数は4.2E+05CFU/mLだったので、サンプルによる殺菌効果がなければ、菌希釈液B中の菌数はおよそ1.7E+04CFU/mLであると考えられる。

表2および図8から分かるように、全てのサンプルNo.1〜4において、菌数が減少し、殺菌作用が認められた。特に、サンプルNo.1、サンプルNo.3およびサンプルNo.4は、0.1時間経過後においても菌数が減少しているので、殺菌作用に即効性があることが認められた。また、サンプルNo.4は、0.1時間経過後に菌数が2桁減少し、4時間経過後に菌数はゼロとなった。サンプルNo.4は、殺菌効果が特に高いことが認められた。

サンプルNo.1およびサンプルNo.3は、それぞれの経過時間における菌数のオーダーが同じである。上記表1に示したように、サンプルNo.1およびサンプルNo.3は、水およびヘキサデカンに対する接触角の値が、それぞれ近い値である。殺菌効果の結果が近いのは、サンプルNo.1およびサンプルNo.3が、同じような撥水性および親油性を有することに起因しているかもしれない。

サンプルNo.3よりサンプルNo.4の方が優れた殺菌作用を有しているのは、シランカップリング剤S2に含まれるアミノ基に起因していることも考えられる。

上記表1に示した接触角の結果および上記表2の結果から、金属部材が優れた殺菌性を有するためには、例えば、ヘキサデカンに対する接触角が110.4°以下であることが好ましいことが分かる。ヘキサデカンに対する接触角は、29.3°以下であることがさらに好ましい。

次に、サンプルNo.5〜7について、殺菌性を評価した。

サンプルNo.5は、サンプルNo.1と同じ材料を用いて形成した。ただし、エッチング工程を行わず、陽極酸化工程を1回のみ行うことにより、表面の凹凸構造を形成した。

サンプルNo.6は、サンプルNo.1と同じ材料および同じ方法で作製した。下記表3に示すように、水およびヘキサデカンに対する接触角は、サンプルNo.1とほぼ同じ値を示した。

サンプルNo.7は、表面に凹凸構造のないPETフィルムである。サンプルNo.5 〜7の表面には、表面処理剤は付与していない。

サンプルNo.5およびサンプルNo.6の表面をSEMで観察したSEM像を、図9(a)および図9(b)に示す。図9(a)および図9(b)は、それぞれ、サンプルNo.5およびサンプルNo.6の表面を、表面の法線方向から45°傾斜した角度からSEMで観察したSEM像である。図9(b)から明らかなように、サンプルNo.6の表面には、隣接する凹部(SEM像中の黒い部分)の間に突起部が形成されている。これに対し、図9(a)から、サンプルNo.5の表面には突起部が形成されていないことがわかる。表面の凹部(SEM像中の黒い部分)の間は、ほぼ平らな面または緩やかなカーブを有している。

各サンプルの表面の水およびヘキサデカンに対する接触角は、上述と同じ方法で測定した。結果を表3に示す。

サンプルNo.5〜No.7の殺菌性の評価は、上記表2について説明した手順と基本的に同じである。ただし、調べた経過時間は、0.05時間、3時間、6時間、および24時間の4通りとした。また、菌希釈液A’中の菌数は、1.1E+05CFU/mLだった。従って、サンプルによる殺菌効果がなければ、菌希釈液Aを25倍にして得た菌希釈液B中の菌数はおよそ4.4E+03CFU/mLであると考えられる。

結果を下記の表4および図9(c)に示す。図9(c)は、サンプルNo.5〜7について、経過時間(h)に対する、菌希釈液B中の菌数(CFU/mL)を示すグラフである。なお、図9(c)において、見やすさのために、菌数が0の場合は1としてプロットしている。

表4および図9(c)から明らかなように、サンプルNo.5およびサンプルNo.6において、ともに殺菌作用が確認できた。特に、サンプルNo.6は、サンプルNo.5に比べて優れた殺菌性を有する。サンプルNo.5およびサンプルNo.6は、ともに表面に何も付与していないので、表面の物理的構造においてのみ異なる。表面の物理的構造のみを比較した場合、サンプルNo.6のように突起部を有する場合は、サンプルNo.5のように突起部を有さない場合よりも優れた殺菌作用を有することが確かめられた。サンプルNo.7(PET)は、殺菌作用を有さず、経過時間とともに菌数が増加した。

次に、サンプルNo.8およびサンプルNo.9について、殺菌性を評価した。

サンプルNo.8は、サンプルNo.4と同じ材料および同じ方法で作製した。下記表5に示すように、水およびヘキサデカンに対する接触角は、サンプルNo.4とほぼ同じ値を示した。

サンプルNo.9は、素ガラスの表面にシランカップリング剤S2(サンプルNo.4に用いたものと同じ)を塗布することにより得た。

サンプルNo.8およびNo.9の表面の水およびヘキサデカンに対する接触角は、上述と同じ方法で測定した。結果を表5に示す。

サンプルNo.8およびNo.9の殺菌性の評価は、上記表2について説明した手順と基本的に同じである。ただし、調べた経過時間は、0.08時間、0.5時間、1時間、3時間および24時間の5通りとした。また、菌希釈液A’中の菌数は、2.6E+05CFU/mLだった。従って、サンプルによる殺菌効果がなければ、菌希釈液Aを25倍にして得た菌希釈液B中の菌数はおよそ1.0E+04CFU/mLであると考えられる。

結果を下記の表6および図9(d)に示す。図9(d)は、サンプルNo.8およびNo.9について、経過時間(h)に対する、菌希釈液B中の菌数(CFU/mL)を示すグラフである。なお、図9(d)において、見やすさのために、菌数が0の場合は0.1としてプロットしている。

表6および図9(d)から明らかなように、サンプルNo.8およびサンプルNo.9において、ともに殺菌作用が確認できた。特に、サンプルNo.8は、サンプルNo.9に比べて優れた殺菌性を有する。サンプルNo.8は、表面の物理的構造と、表面に付与されたシランカップリング剤S2とによって、特に優れた殺菌性を有することが分かった。

続いて、本発明の実施形態による金属部材に施した安定化処理の効果を調べた。

サンプルNo.1と同じ材料および同じ方法で作製したサンプルを3個用意し、それぞ れ異なる条件で安定化処理(ここでは熱処理)を施すことでサンプルNo.10〜No.12を得た。具体的には、加熱前のオーブンにサンプルNo.10〜No.12を入れた後、所定の温度に達するまでオーブンを加熱した。所定の温度とは、サンプルNo.10については250℃、サンプルNo.11については120℃、サンプルNo.12については100℃である。サンプルは、オーブン内に投入されたとき、自然乾燥された状態である(すなわち、サンプルの表面は乾いている)。それぞれの所定の温度に達してから3時間その温度を保った後、オーブンの電源を切った。オーブンが常温になった後、サンプルをオーブンから取り出した。

安定化処理を施した後、サンプルNo.10〜No.12のいずれにも変色は見られなかった。従って、安定化処理によって、サンプルが表面に有する反転されたモスアイ構造の形状に変化は生じなかったと考えられる。

サンプルNo.13は、サンプルNo.1と同じ材料および同じ方法で作製したサンプルであり、安定化処理は施されていない。サンプルNo.10〜No.13のポーラスアルミナ層14の厚さtp(図4(e)参照)は、100nm〜300nmである。

サンプルNo.10〜No.13のそれぞれの表面に、純水を400μL滴下し、ふたをした。サンプルNo.10〜No.13をそれぞれ透明容器に入れ、37℃の恒温槽に入れた。それぞれのサンプルについて、所定の時間(3時間、6時間、21時間、49時間、120時間および144時間)経過後に変色が生じているかどうかを目視で観察して調べた。

結果を下記表7に示す。

表7中、「○」は、変色がなかったことを示し、「×」は、変色があったことを示す。「×」は、サンプルのうち純水と接触していた箇所が透明になっていたことをも含む。透明化した箇所は、実験後、空気に触れる状態で放置しておくと、黒く変色することもあった。図10に、サンプルNo.13のうち、透明になった箇所の表面をSEMで観察したSEM像を示す。図10から分かるように、金属部材のうち透明になった箇所では、表面の反転されたモスアイ構造の形状が変化している。

表7から分かるように、安定化処理を施さなかったサンプルNo.13は、49時間経過時に変色が見られた。100℃で安定化処理を施したサンプルNo.12は、120時間経過時に変色が見られた。120℃および250℃で安定化処理を施したサンプルNo.11およびNo.10は、144時間経過後も変色が見られなかった。

比較のために、陽極酸化工程およびエッチング工程を一切行わずに作製したサンプルを用いて、上記サンプルNo.10〜No.13と同様の実験を行った。この場合は、全て の条件(安定化処理の有無、安定化処理の温度、経過時間)において、変色は見られなかった。

金属部材の変色のメカニズムについて、発明者は以下のように考察する。

金属部材の変色は、金属部材の表面の、反転されたモスアイ構造の形状が変化したことによると考えられる。本出願人は、ポーラスアルミナ層14の厚さtpおよび/または凹 部14Apの形状によって、ポーラスアルミナ層14が異なる色に見える(すなわち、反射光が着色して見える)ことを見出し、系統的に調べた結果を国際公開第2011/145625号に開示している。参考のために、国際公開第2011/145625号の開示内容のすべてを本明細書に援用する。金属部材の変色は、例えばポーラスアルミナ層14の少なくとも一部が水と反応し、水酸化アルミニウム(Al(OH)3)もしくは酸化ア ルミニウム(Al2O3・nH2O)またはその水和物(Al2O3・nH2O)が形成され、ポーラスアルミナ層14の厚さtpおよび/または凹部14Apの形状が変化したことに よると考えられる。金属部材の変色は、ポーラス陽極酸化層の封孔処理において用いられている水和反応と同様の反応によって起こると考えられる。

さらに、ポーラスアルミナ層14が水と反応するだけでなく、ポーラスアルミナ層14の下のアルミニウム残存層18rも、水や酸と反応し、水酸化アルミニウムもしくは酸化アルミニウムまたはその水和物となることで、金属部材が透明になると考えられる。発明者によると、部分的に変色および透明化したあるサンプルにおいて、透明になった箇所は、変色していない箇所に比べて、およそ3μm厚いことが分かった。透明化した箇所は、上記酸化物または水酸化物が形成されることによって、その他の部分よりも厚くなったと考えられる。

ポーラス陽極酸化層(例えばポーラスアルミナ層)の表面を安定化させる処理として、一般的には、封孔処理がよく知られている。陽極酸化によって形成されたポーラスアルミナ層は、そのままでは耐食性がよくないが、封孔処理を施されることによって、優れた耐食性を得ることができる。封孔処理は、ポーラスアルミナを、例えば、高温加圧水蒸気中で処理すること、または、沸騰させた純水中で煮沸することによって行われる。封孔処理を行うと、ポーラスアルミナ層の一部が水和反応を起こすことによって、細孔(凹部)が封じられる、または、狭小化すると考えられている。封孔処理は、高温で行うほど好ましいとされている。

本発明の実施形態による金属部材に施される安定化処理は、一般的に知られている封孔処理とは、以下の点で異なる。安定化処理は、ポーラスアルミナ層14の細孔(凹部)14Apを封孔することなく行われる。安定化処理は、表面に有する反転されたモスアイ構造の形状に変化を与えることなく行われることが好ましい。このような安定化処理によって、本発明の実施形態による金属部材が有する殺菌効果に影響を与えることなく、金属部材の耐食性を向上させることができる。安定化処理(例えば熱処理)は、例えば、乾いた金属部材に対して行うことが好ましい。

表7の結果から、安定化処理(例えば熱処理)の温度は、例えば100℃以上であることが好ましい。熱処理の温度は、例えば120℃以上であることがさらに好ましい。熱処理の時間は、例えば3時間である。

一般的に、加工された金属に熱処理(焼き鈍し)を行うと、回復、再結晶および粒成長と呼ばれる3つの過程が生じる。加工された金属の温度を徐々に上げると、比較的低温でまず回復が起こる。回復過程では、塑性変形によって結晶中に生じた格子欠陥(例えば点欠陥や転移)が消滅する。温度を上げると、ひずみのない新しい結晶粒が形成され(再結 晶)、さらに温度を上げると、結晶粒がさらに大きく成長する(粒成長)。例えばアルミニウムにおいて、回復はおよそ200℃以下、再結晶はおよそ200℃以上350℃以下、粒成長はおよそ350℃以上において起こる。

本発明の実施形態による金属部材に施される安定化処理は、ポーラスアルミナ層14の反転されたモスアイ構造の形状を変化させないために、結晶粒の大きさを変化させない、すなわち粒成長を生じさせないことが好ましい。また、再結晶も生じさせないことがさらに好ましい。従って、安定化処理(熱処理)の温度は、例えば350℃以下であることが好ましく、250℃以下であることがさらに好ましい。また、処理温度が高いと、ポーラスアルミナ層14を支える金属基材12、18Xrが変形するおそれがある。また、消費電を抑制する観点からも、処理温度は低い方が好ましい。このような観点からは、安定化処理(熱処理)の温度は例えば150℃未満であることが好ましい。

実験例から明らかなように、本発明の実施形態による金属部材の表面に安定化処理を施すことによって、金属部材が水と一定時間接触しても、金属部材の変色および表面の反転されたモスアイ構造の形状の変化を抑制することができる。従って、表面構造の形状の変化に伴う殺菌効果の低下が抑制され得る。本発明の実施形態による金属部材は、例えば高温多湿の環境における殺菌作用(防カビ作用を含む)のニーズにも応えることができる。本発明の実施形態による金属部材は、安定化処理を施すことによって、高温多湿の環境においてもその殺菌効果が失われることなく好適に用いられる。また、本発明の実施形態による金属部材は、安定化処理を施すことによって、その外観が変化することが抑制され得る。従って、本発明の実施形態による金属部材は、安定化処理を施すことによって、例えば後述するインテリア建材にも、その意匠性が損なわれることなく好適に用いられる。

安定化処理は、表面処理剤による処理の前に行ってもよいし、表面処理剤による処理の後に行ってもよい。

(実施形態1) 本発明による実施形態の金属部材は、例えば、熱交換器に好適に用いられる。本発明による実施形態1は、本発明による実施形態の金属部材を備える熱交換器である。本発明による実施形態の金属部材から形成されたフィンを備えることで、殺菌作用を有する熱交換器を得ることができる。熱交換器のフィンには、空気中の水分が凝縮されることによって生成された水が付着し得る。本発明の実施形態による熱交換器は、フィンに付着した水滴に起因してカビが発生することを抑制することができる。なお、本発明による実施形態1の熱交換器は、以下で例示するものに限られない。

図11(a)〜図11(c)を参照して、本発明の実施形態による熱交換器200Aおよび本発明の他の実施形態による熱交換器200Bを説明する。図11(a)は、本発明による実施形態1の熱交換器が有するフィン50の模式的な断面図である。図11(b)および図11(c)は、それぞれ、本発明の実施形態による熱交換器200Aおよび熱交換器200Bの模式的な断面図である。

図11(a)に示すように、フィン50は、例えば、金属部材100A’から形成される。フィン50は、金属基材18Xrと、金属基材18Xr上に形成されたポーラス陽極酸化層14とを有する。ポーラス陽極酸化層14の表面は、サブミクロンオーダーの凹凸構造を有する。凹凸構造は、表面の法線方向から見たときの2次元的な大きさが100nm超500nm未満である複数の凹部14Apを含む。フィン50は、金属部材100A’と同じ表面構造(物理的構造および化学的性質を含む)を有する。

図11(b)に示すように、熱交換器200Aは、フィン50を有する。フィン50が 殺菌作用を備えた表面を有するので、熱交換器200Aは殺菌効果を有し得る。

熱交換器200Aのフィン50は、金属部材100A’に限られず、上述の本発明による実施形態の金属部材のいずれから形成されてもよい。

熱交換器200Aは、例えば、チューブ60をさらに有する。例えば、チューブ60は冷媒で満たされ、冷媒と、熱交換器200A内の気体または液体との間で熱エネルギーの交換が行われる。熱エネルギーの交換は、フィン50を介して行われる。熱エネルギーの交換効率を向上させるためには、フィン50の表面積が大きいことが好ましい。図11(b)に示す熱交換器200Aのように、例えば、ほぼ平行に配置されたチューブ60の間に、波型のフィン50が配置されている。または、図11(c)に示す熱交換器200Bのように、ほぼ平行に配置されたフィン50を貫通するように、チューブ60が波型に配置されていてもよい。熱交換器200Bは、フィン50とチューブ60との配置を除いて、熱交換器200Aと同じであってよい。

本発明による実施形態1の熱交換器は、例えば、エアコン(空気調和機)、冷蔵庫、または冷凍庫に用いることができる。エアコンは、ルームエアコンおよびカーエアコンを含む。本発明による実施形態1の熱交換器において、フィンの表面が殺菌性を有するので、フィンに付着した水滴に起因してカビが発生することを抑制することができる。熱交換器内の液体または気体に対する殺菌作用も有し得る。本発明による実施形態1の熱交換器において、フィンの表面がサブミクロンオーダーの凹凸構造を有するので、フィンの表面積が大きくなり、熱交換効率を向上させることができる。

上記の特許文献5は、フィンの表面に陽極酸化によって形成された細孔を有する熱交換器を開示している。特許文献5の熱交換器は、フィンの表面に細孔を有することにより、水切り性能の向上を図っている。特許文献5の熱交換器において、フィンの細孔はエッチング工程を行わずに陽極酸化工程によって形成されているため、隣接する細孔の間に突起部が形成されない。

本発明による実施形態1の熱交換器は、フィンの物理的構造のみによって殺菌作用を有することができる。従って、コストおよび/または製造工程を増加させることなく殺菌作用を有することができる。さらに、上述したように、フィンの表面に表面処理剤(例えば離型剤またはカップリング剤)が付与されることにより、殺菌作用がより向上され得る。

フィンが有する金属基材は、例えばバルブ金属から形成される。フィンが有するポーラス陽極酸化層は、例えばバルブ金属を陽極酸化することによって形成される。金属部材および/またはポーラス陽極酸化層を形成する金属として、ステンレス鋼を用いてもよい。フィンが有する金属基材は、例えばアルミニウム基材であり、フィンが有するポーラス陽極酸化層は、例えばポーラスアルミナ層である。アルミニウムは、例えば、軽い、コストが低い、熱導電性に優れている、容易に加工することができるという特徴を有するので、フィンに用いられることが多い。

フィンのポーラス陽極酸化層がチタンを陽極酸化することにより形成される場合、酸化チタンは光触媒活性物質であるので、フィンに光(例えば紫外線)を照射することにより、光触媒による殺菌効果も得られ得る。熱交換器の殺菌効果がさらに向上し得る。例えば、室内の蛍光灯の光があたるエアコン、または、屋外に設置され太陽光があたる室外機等に用いられる場合は、光(例えば紫外線)をわざわざ照射することなく、光触媒による殺菌効果も得られる可能性がある。

次に、図12(a)〜図12(f)を参照して、本発明の実施形態による放熱器(ヒー トシンク)210Aおよび本発明の他の実施形態による放熱器210Bを説明する。図12(a)および図12(d)は、それぞれ、本発明の実施形態による放熱器210Aおよび放熱器210Bの模式的な平面図である。図12(b)および図12(c)は、それぞれ、図12(a)中の12B−12B’線および12C−12C’線に沿った放熱器210Aの断面図である。図12(e)および図12(f)は、それぞれ、図12(d)中の12E−12E’線および12F−12F’線に沿った放熱器210Bの断面図である。

放熱器210Aおよび放熱器210Bにおいて、フィン50が殺菌作用を備えた表面を有するので、放熱器210Aおよび放熱器210Bは殺菌効果を有し得る。放熱器内の気体に対して殺菌作用を有し得る。フィン50の表面がサブミクロンオーダーの凹凸構造を有するので、フィン50の表面積が大きくなり、放熱効率を向上させることができる。

放熱器210Aは、例えば、プレート70をさらに有する。プレート70上に、フィン50が設けられている。プレート70の法線方向から見たとき、フィン50は、例えば、図12(a)〜図12(c)に例示するようにストライプ状である。図12(d)〜図12(f)に示す放熱器210Bのように、プレート70の法線方向から見たとき、フィン50は、例えば、正方格子状に配列されていてもよい。本発明の実施形態による放熱器は、これらに限られず、フィン50の形状および配置は任意のものであってよい。例えば、フィン50は破線状に配置されていてもよい。例えば、フィン50は、チェッカーボード状に配置されていてもよい。プレート70の形状も図示されたものに限られず、円形のプレート70の上に、フィンが例えば放射線状に配置されていてもよい。

本明細書において熱交換器は、例えば、ラジエータ、エバポレータ、コンデンサ、クーラ、ヒータ、放熱器(ヒートシンク)等、種々の熱交換器を含み、例示されるものに限られない。

例えば、本発明による実施形態1の熱交換器は、冷風扇に用いてもよい。冷風扇は、水の気化熱を利用して、空気の温度を下げるものである。

(実施形態2) 本発明による実施形態の金属部材は、例えば、インテリア建材にも好適に用いられる。本発明による実施形態2は、本発明による実施形態の金属部材を備えるインテリア建材である。なお、本発明による実施形態2のインテリア建材は、以下で例示するものに限られない。

本発明による実施形態の金属部材は、例えばドアノブまたは手すりに用いることができる。本発明による実施形態の金属部材と同じ表面構造(物理的構造および化学的性質を含む)を備えることで、殺菌作用を有し得る。ドアノブまたは手すりは、頻繁に手で触れられるので、水分および微生物の栄養源である有機物が付着することがある。本発明の実施形態によるインテリア建材は、水分および/または有機物に起因して微生物(カビを含む)が発生することを抑制することができる。

本発明による実施形態の金属部材は、例えば、窓枠に用いられるサッシに用いることができる。本発明による実施形態の金属部材と同じ表面構造(物理的構造および化学的性質を含む)を備えることで、殺菌作用を有するインテリア建材を得ることができる。サッシは例えば結露により水滴が付着することがあるが、殺菌作用を有することで、水滴に起因してカビが発生することを抑制することができる。

ドアノブやサッシなどのインテリア建材の材料としては、例えば、アルミニウムまたはステンレス鋼を好適に用いることができる。

本実施形態によるインテリア建材は、例えば椅子に用いることができる。図13に本実施形態によるインテリア建材を用いて製造された椅子60Aを模式的に示す。

椅子60Aは、例えば金属部材100A’を用いて製造される。椅子60Aは、金属基材18Xrと、金属基材18Xr上に形成されたポーラス陽極酸化層14とを有する。ポーラス陽極酸化層14の表面は、サブミクロンオーダーの凹凸構造を有する。凹凸構造は、表面の法線方向から見たときの2次元的な大きさが100nm超500nm未満である複数の凹部14Apを含む。椅子60A全体が、金属部材100A’から形成されていてもよいし、椅子60Aの表面の一部(例えば座面60aおよび背もたれ60bの表面)のみが、金属部材100A’から形成されていてもよい。椅子60Aは、金属部材100A’に限られず、上述の本発明による実施形態の金属部材のいずれを用いて製造されてもよい。

椅子60Aの形状は、図示されるものに限られず、種々の公知の形状であってよい。例えば背もたれを有しなくてもよい。

椅子60Aは、例えば不特定多数に使用される椅子としてもよい。椅子60Aは、公共の場所(例えば駅や公園など)に設置されてもよい。椅子60Aは、屋内に限られず屋外に設置されてもよい。

本発明による実施形態の金属部材の用途は、上述した実施形態に限られない。例えば、日用雑貨に用いることもできる。例えば、弁当箱のふたに用いてもよい。あるいは、キッチン家電に用いられる、例えばアルミニウム製またはステンレス製の部品または管に用いてもよい。キッチン家電は、例えば電気ポット、コーヒーメーカー等を広く含む。例えば、電気ポットまたはコーヒーメーカーの水を入れる内容器と注ぎ口との間に設けられる管に用いてもよい。

図14(a)および(b)は、本発明の実施形態による電気湯沸かし器(例えば電気ポット)70Aおよび70Bを模式的に示す断面図である。

図14(a)に示すように、電気湯沸かし器70Aは、飲用水を収容し、収容した飲用水を加熱する容器72と、加熱された飲用水を外部に吐き出す注ぎ口74と、容器72および注ぎ口74の間に設けられた揚水パイプ50A(100A’)とを有する。揚水パイプ50Aは、例えば金属部材100A’から形成される。揚水パイプ50Aは、金属基材18Xrと、金属基材18Xr上に形成されたポーラス陽極酸化層14とを内側に有する。ポーラス陽極酸化層14の表面は、サブミクロンオーダーの凹凸構造を有する。凹凸構造は、表面の法線方向から見たときの2次元的な大きさが100nm超500nm未満である複数の凹部14Apを含む。揚水パイプ50Aの内側の表面は、金属部材100A’と同じ表面構造(物理的構造および化学的性質を含む)を有する。揚水パイプ50Aは、金属部材100A’に限られず、上述の本発明による実施形態の金属部材のいずれから形成されてもよい。

図14(a)に示すように、容器72および/または注ぎ口74も、金属部材100A’から形成されていてもよい。すなわち、容器72は、金属基材18Xrと、金属基材18Xr上に形成されたポーラス陽極酸化層14とを内側に有してもよい。容器72の内側は、例えば、容器72の内側の側面および底面を含む。注ぎ口74は、金属基材18Xrと、金属基材18Xr上に形成されたポーラス陽極酸化層14とを内側に有してもよい。注ぎ口74の内側とは、飲用水と接する表面をいう。さらに、容器72のふた72cも、金属基材18Xrと、金属基材18Xr上に形成されたポーラス陽極酸化層14とを内側 に有してもよい。

電気湯沸かし器の形状は図示されるものに限られず、種々の公知の形状であってよい。例えば、図14(b)に示す電気湯沸かし器70Bのように、揚水パイプを有しないタイプのものであってもよい。電気湯沸かし器70Bの容器72および/または注ぎ口74は、金属部材100A’から形成されていてもよい。

電気湯沸かし器の詳細な構造については、よく知られているので説明を省略する。

図15は、本発明の実施形態による飲料供給器(例えばコーヒーメーカー)80を模式的に示す断面図である。

図15に示すように、飲料供給器80は、飲用水を収容し、収容した飲用水を加熱する容器82と、加熱された飲用水を含む飲料を外部に吐き出す注ぎ口84と、容器82および注ぎ口84の間に設けられた給水管50B(100A’)とを有する。給水管50Bは、例えば金属部材100A’から形成される。給水管50Bは、金属基材18Xrと、金属基材18Xr上に形成されたポーラス陽極酸化層14とを内側に有する。ポーラス陽極酸化層14の表面は、サブミクロンオーダーの凹凸構造を有する。凹凸構造は、表面の法線方向から見たときの2次元的な大きさが100nm超500nm未満である複数の凹部14Apを含む。すなわち、給水管50Bの内側の表面は、金属部材100A’と同じ表面構造(物理的構造および化学的性質を含む)を有する。給水管50Bは、金属部材100A’に限られず、上述の本発明による実施形態の金属部材のいずれから形成されてもよい。

図15に示すように、容器82および/または注ぎ口84も、金属部材100A’から形成されていてもよい。すなわち、容器82は、金属基材18Xrと、金属基材18Xr上に形成されたポーラス陽極酸化層14とを内側に有してもよい。容器82の内側は、例えば、容器82の内側の側面および底面を含む。注ぎ口84は、金属基材18Xrと、金属基材18Xr上に形成されたポーラス陽極酸化層14とを内側に有してもよい。注ぎ口84の内側とは、飲料と接する表面をいう。飲料供給器80は、注ぎ口84から吐き出される飲料を受ける飲料サーバー86をさらに有してもよい。飲料サーバー86は、金属部材100A’から形成されていてもよい。すなわち、飲料サーバー86は、金属基材18Xrと、金属基材18Xr上に形成されたポーラス陽極酸化層14とを内側に有してもよい。

飲料供給器の形状は図示されるものに限られず、種々の公知の形状であってよい。飲料供給器の詳細な構造については、よく知られているので説明を省略する。

図16は、本発明の実施形態による弁当箱90aおよび弁当箱のふた90bを模式的に示す図である。

図16に示すように、弁当箱90aおよび弁当箱のふた90bは、それぞれ、例えば金属部材100A’を用いて製造される。弁当箱90aおよび弁当箱のふた90bは、それぞれ、金属基材18Xrと、金属基材18Xr上に形成されたポーラス陽極酸化層14とを有する。ポーラス陽極酸化層14の表面は、サブミクロンオーダーの凹凸構造を有する。凹凸構造は、表面の法線方向から見たときの2次元的な大きさが100nm超500nm未満である複数の凹部14Apを含む。すなわち、弁当箱90aおよび弁当箱のふた90bの表面は、金属部材100A’と同じ表面構造(物理的構造および化学的性質を含む)を有する。弁当箱90aおよび弁当箱のふた90bは、それぞれ、金属部材100A’に限られず、上述の本発明による実施形態の金属部材のいずれから形成されてもよい。

図16に示すように、弁当箱90aおよび弁当箱のふた90bは、外側および内側に凹凸構造を有する。弁当箱90aおよび弁当箱のふた90bは、少なくとも内側に凹凸構造を有することが好ましい。外側および内側の表面に、同一の工程(陽極酸化工程およびエッチング工程を含む)で凹凸構造を形成するときは、製造工程を増やすことなく、外側および内側の両方に凹凸構造を設けることができる。

弁当箱90aおよび弁当箱のふた90bの形状は図示されるものに限られず、種々の公知の形状であってよい。

本発明の実施形態による表面が殺菌作用を備えたフィンを有する熱交換器は、例えば、エアコン(空気調和機)、冷蔵庫、冷凍庫等、種々の用途に用いられ得る。本発明の実施形態による殺菌作用を備えた表面を有する金属部材は、インテリア建材または日用雑貨等、種々の用途に用いることができる。

12、18Xr 金属基材 14 ポーラス陽極酸化層 14Ap、14Bp 凹部 15 突起部 50 フィン 50A 揚水パイプ 50B 給水管 70A、70B 電気湯沸かし器 72 容器 74 注ぎ口 80 飲料供給器 82 容器 84 注ぎ口 90a 弁当箱 90b 弁当箱のふた 100A、100B、100A’、100B’ 金属部材 200A、200B 熱交換器 210A、210B 放熱器

高效检索全球专利

专利汇是专利免费检索,专利查询,专利分析-国家发明专利查询检索分析平台,是提供专利分析,专利查询,专利检索等数据服务功能的知识产权数据服务商。

我们的产品包含105个国家的1.26亿组数据,免费查、免费专利分析。

申请试用

分析报告

专利汇分析报告产品可以对行业情报数据进行梳理分析,涉及维度包括行业专利基本状况分析、地域分析、技术分析、发明人分析、申请人分析、专利权人分析、失效分析、核心专利分析、法律分析、研发重点分析、企业专利处境分析、技术处境分析、专利寿命分析、企业定位分析、引证分析等超过60个分析角度,系统通过AI智能系统对图表进行解读,只需1分钟,一键生成行业专利分析报告。

申请试用

QQ群二维码
意见反馈