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地熱蒸気タービンノズルおよびその製造方法

阅读:17发布:2020-05-24

专利汇可以提供地熱蒸気タービンノズルおよびその製造方法专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且【課題】地熱蒸気タービンノズルの耐食性とともに付着堆積するスケールを低減させると共に、付着後の剥離除去性を高めて、長期にわたって利用可能にした地熱蒸気タービンを提供するとともに、長寿命化を図った地熱蒸気タービンを提供する。 【解決手段】地熱蒸気タービンノズルの地熱 流体 との 接触 部位の少なくとも一部に、セラミックス粒子が分散した樹脂材料を含んでなる被覆層が形成されてなる地熱蒸気タービンノズルであって、前記の被覆層は、その表面部から深層部に向けて前記のセラミックス粒子の含有率が減少している傾斜組成を有することを特徴とする、地熱蒸気タービンノズル、 およびその製造方法。 【選択図】図3,下面是地熱蒸気タービンノズルおよびその製造方法专利的具体信息内容。

地熱蒸気タービンノズルの地熱流体との接触部位の少なくとも一部に、セラミックス粒子が分散した樹脂材料を含んでなる被覆層が形成されてなる地熱蒸気タービンノズルであって、 前記の被覆層は、その表面部から深層部に向けて前記のセラミックス粒子の含有率が減少している傾斜組成を有することを特徴とする、地熱蒸気タービンノズル。前記の被覆層は、前記のセラミックス粒子の含有率が0〜80重量%の範囲内で厚さ方向で組成変動した傾斜組成を有するものである、請求項1に記載の地熱蒸気タービンノズル。前記の樹脂材料は、エポキシ樹脂またはポリエステル樹脂を含むものである、請求項1または2に記載の地熱蒸気タービンノズル。前記のセラミックス粒子は、Cr、W、Ti、Nb、Alの炭化物および酸化物からなる群から選ばれるものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の地熱蒸気タービンノズル。前記のセラミックス粒子のうち、粒径が20μmを超える粒子の割合が10重量%以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の地熱蒸気タービンノズル。前記被覆層は、その表面部側に、厚さ50〜100μmの、前記セラミックス粒子の含有率が40〜80重量%の樹脂層を有するものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の地熱蒸気タービンノズル。前記被覆層は、その深層部側に、厚さ20〜40μmの、前記セラミックス粒子を含まない樹脂層を有するものである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の地熱蒸気タービンノズル。地熱蒸気タービンノズルの基材に、 セラミックス粒子が分散した樹脂材料からなり、表面部から深層部に向けて前記のセラミックス粒子の含有率が減少している傾斜組成を有する被覆層を、少なくとも1層形成することを特徴とする、地熱蒸気タービンノズルの製造方法。前記の被覆層を、溶射処理によって形成する、請求項8に記載の地熱蒸気タービンノズルの製造方法。前記の被覆層を、樹脂材料中のセラミックス粒子の含有率が異なる複数の溶射材料によりそれぞれ形成される複数の溶射層の累積によって形成する、請求項9に記載の地熱蒸気タービンノズルの製造方法。

说明书全文

本発明の実施形態は、地熱蒸気タービンノズルおよびその製造方法に関する。

地熱蒸気タービンは、地下のマグマによって加熱された蒸気(地熱蒸気)を、井戸を掘削して地上に導き出し、この蒸気を直接タービンに導入して作動流体とし、回転を得るようにしたものである。

図1は、代表的な地熱蒸気タービンの概要を示すものである。 図1の地熱蒸気タービン1において、蒸気入口2から地熱蒸気として地熱蒸気タービン1に導入された地熱エネルギーは、地熱蒸気がタービン静翼3(タービンノズル30)とタービン動翼4とからなるタービン段落を通って膨張することによって、速度エネルギーに変換され、この速度をもった地熱蒸気がタービン動翼4に作用して、このタービン動翼4が植設されたタービンロータ軸5を回転させる力を発生させる。その後、蒸気は、蒸気出口6から排出される。

一般的に、地熱蒸気は、地下がマグマ等の地熱によって加熱されて発生する性質上、蒸気中に硫化水素、塩分などの腐食性成分や、シリカ、カルシウムなどのスケール成分、更には砂、泥、酸化鉄などの固体粒子を含んでいる。

また、地熱蒸気は、飽和状態あるいは飽和状態に近い状態にあるため、タービン内部では蒸気の湿り度が高く、地熱蒸気タービンとしては過酷な運用を強いられる状況にある。

さらには、地熱蒸気中に含まれる化学成分の種類や濃度、地熱蒸気タービンに持ち込まれる固体粒子の大きさや量、そして地熱蒸気の蒸気状態等は、地熱蒸気タービンが設置される地熱地帯や井戸によって異なり、また、同じ井戸でも経年的に大きく変化していくこと、新設された井戸においては地熱蒸気中に含まれる化学成分の種類や濃度、地熱蒸気タービンに持ち込まれる固体粒子の大きさや量の変動は経年使用された井戸とは大きく異なって、井戸開設当初が最も顕著であることが確認されており、地熱蒸気タービンの設計を一段と複雑なものにしている。

地熱蒸気中に硫化水素等の腐食性ガスが含まれていることは、材料の全面腐食による肌荒れによりシリカ、カルシウムなどのスケール成分が付着堆積しやすい環境を整えやすい要因を内在している。特に、地熱蒸気タービンの入口部の段落は腐食環境が活性のため腐食や孔食を受けやすく激しく肌荒れをしている例が見受けられる。

特開2004−270484号公報

地熱蒸気タービンノズルのスケール付着防止技術としては種々あるが、いずれも地熱タービンノズルの構造を大きく改造する必要があって、改造費用も高額になるとともに必ずしも期待どおりの効果が得られているとは言いがたかった。

本発明の実施形態は、地熱蒸気タービンノズルの構造を大きく変化させることなく、従来と同様の構造とし、定期点検時に地熱蒸気タービンノズルの表面に堆積したスケールを簡単に除去できる地熱蒸気タービンノズルを提供するものである。

さて、一般的に、地熱蒸気タービンを高効率で長期間かつ安定的に運転するためには、タービンの設置箇所にて行うことができる比較的容易な点検・保守作業と、タービン内部機構の分解や交換、更新等を伴う比較的大規模な点検・整備作業の両者が必要とされている。例えば、タービンノズルのスケール付着状況の確認や、簡単なスケール除去作業等は、前者の比較的容易な点検・保守作業としてタービンの運転事業者(例えば、発電事業者等)がタービンの設置箇所にて行なうことが多い。一方、後者の大規模な点検・整備作業は、要求される技術レベルや設備等の事情からタービン運転事業者が自ら行うことが困難であるので、例えばタービン製造メーカー等の管理の下、その工場等で行われることが多い。

仮に、タービン運転事業者がスケールの除去作業を丁寧に行っていたとしても、スケールを完全に除去したり、タービンノズル自体の劣化ないし損傷を完全に修復してタービンノズルの初期性能を回復することは容易ではない。そこで、これらの作業は、大規模な点検・整備作業の際に行われるのが一般的である。ここで、タービンノズルの表面に被覆層が設けられている場合、この被覆層の更新作業(即ち、劣化した被覆層の除去作業および新規の被覆層の形成作業)は、通常、大規模な点検・整備作業の際に行われることになる。

しかし、本発明者らが知る限りでは、従来の被覆層は、主として耐久性の向上や被覆強度の向上を主眼として開発されてきたためか、劣化した被覆層を複雑かつ精緻な表面形状をしているタービンノズルから除去することは、必ずしも容易であるとは言えなかった。

通常、地熱蒸気タービンノズルは、高温かつ高圧の湿り雰囲気中で、かつスケール原因物質にもなるケイ素等の化学物質の共存下で長時間使用されることから、その過程において被覆層の変質ないし劣化が避けがたい。従って、そのような過酷な運転状況における耐久性とともに、そのような使用後の被覆層の剥離性をも達成することは容易ではなかった。

本発明の実施形態は、上述した事情を考慮してなされたもので、地熱蒸気タービンノズルの耐食性の向上と共に、付着堆積するスケール量の低減と付着後の剥離除去性とを高めて長期にわたって利用可能にした地熱蒸気タービンを提供するとともに、長寿命化を図った地熱蒸気タービンを提供することを目的としている。

そして、本発明の実施形態は、タービンの運転によって劣化した被覆膜の除去が容易であり、かつ再度タービンの運転に用いられた時にも、良好なスケール付着防止性、スケールの除去性および耐久性等を有する地熱蒸気タービンノズルおよびその製造方法を提供することを目的としている。

したがって、本発明の実施形態による地熱蒸気タービンノズルは、地熱蒸気タービンノズルの地熱流体との接触部位の少なくとも一部に、セラミックス粒子が分散した樹脂材料を含んでなる被覆層が形成されてなる地熱蒸気タービンノズルであって、 前記の被覆層は、その表面部から深層部に向けて前記のセラミックス粒子の含有率が減少している傾斜組成を有すること、を特徴とする。

そして、本発明の実施形態による地熱蒸気タービンノズルの製造方法は、地熱蒸気タービンノズルの基材に、 セラミックス粒子が分散した樹脂材料からなり、表面部から深層部に向けて前記のセラミックス粒子の含有率が減少している傾斜組成を有する被覆層を、少なくとも1層形成すること、を特徴とする。

本発明の実施形態による地熱蒸気タービンノズルは、スケール付着後の剥離除去を容易にし、地熱媒体と一緒に飛来してくる固体粒子による衝撃摩耗に耐える被覆膜を有するものであって、産業上の価値は極めて高いものといえる。

このような本発明の実施形態では、スケールを従来のハンマリングとグラインダによる除去方法から、例えばハンマリングのみで簡単に脱落させることが可能であり、ノズル基材に損傷等の影響を無くした地熱蒸気タービンノズルを提供するものである。

本発明の実施形態による地熱蒸気タービンノズルは、表面部から深層部に向けて前記のセラミックス粒子の含有率が減少している傾斜組成を有する被覆層が形成されており、この被覆層と地熱蒸気タービンノズル基材との接触面にはセラミックス粒子が実質的に存在しない樹脂層が形成されている。このことから、地熱蒸気タービンノズル基材から被覆層を剥離することが容易であり、地熱蒸気タービンノズルの基材表面に被覆層が残存することが抑制されている。よって、地熱蒸気タービンノズルの基材から劣化した被覆層を剥離することが容易であり、かつ被覆層を剥離除去した後に、再度新しい被覆層を形成することが容易である。

そして、本発明の実施形態による地熱蒸気タービンノズルは、表面部から深層部に向けて前記のセラミックス粒子の含有率が減少している傾斜組成を有する被覆層が形成されている。このことから、熱膨張係数の相違等に基づく応力の発生が抑制され、かつ被膜内での応力緩和や外部からの衝撃等の緩和が図れて、被覆層表面および被覆層内部での破断およびクラック発生が抑制されている。特に、地熱蒸気タービンノズル基材との接触面にはセラミックス粒子が実質的に存在しない樹脂層が形成されていることから、この樹脂層が衝撃吸収ないし応力緩和層として有効に機能して、被覆層全体の耐久性、耐エロージョン性を著しく向上させている。

また、本発明の実施形態による地熱蒸気タービンノズルの製造方法によれば、所定の傾斜組成を有する被覆層を、容易にかつ効率的に形成することができる。例えば、手による刷毛塗りやスプレー塗布では、地熱蒸気タービンノズルの必要箇所に所定の傾斜組成を有する被覆層を均質に形成することは容易ではなかったが、溶射処理によれは従来よりも容易にかつ効率的に所定の被覆層を形成することができる。このような製造方法によれば、刷毛塗りやスプレー塗布では得らなかったような、均質かつ強靱であり、優れた耐エロージョン性、スケールの付着防止性およびスケール除去性を有する被覆膜を容易に得ることができる。

地熱蒸気タービンの概要を示す図。

地熱蒸気タービンの地熱流体の通路部の模式図。

本発明の好ましい実施形態による地熱蒸気タービンノズルの断面構造を示す模式図。

被覆層のエロージョン減量を示す図。

剥離除去性の評価に用いた蒸気タービンノズルを示す図。

耐固体粒子エロージョン性の評価に用いた蒸気タービンノズルを示す図。

<地熱蒸気タービンノズル> 本発明の実施形態による地熱蒸気タービンノズルは、地熱蒸気タービンノズルの地熱流体との接触部位の少なくとも一部に、セラミックス粒子が分散した樹脂材料を含んでなる被覆層が形成されてなる地熱蒸気タービンノズルであって、 前記の被覆層は、その表面部から深層部に向けて前記のセラミックス粒子の含有率が減少している傾斜組成を有すること、を特徴とする。 ここで、「タービンノズル」とは、「蒸気のもつエネルギーを速度エネルギーに変換するための蒸気の噴出口」をいう。

本発明の実施形態による地熱蒸気タービンノズルは、例えば図1および図2の中に示されるように、タービン静翼3を複数を保持しているものであって、隣接して配置された他のタービン静翼3との間の空間を地熱流体の通路部ないし噴出口とするものである。代表的な地熱蒸気タービンノズルは、ダイヤフラムの外輪と内輪との間にダイヤフラムの直径方向に沿って配列した多数のタービン静翼3を挟持した構造をしている。

そして、地熱蒸気タービン1には、複数のタービンノズル(30〜36)がタービンケーシング7の内部に配設され、それぞれ固定されている。

図2に示される1つのタービンノズル30に設けられた複数の静翼3は、地熱流体の流路の隔壁を形成しているところから、各静翼3の表面は、それぞれ地熱流体との接触部位となっている。

本発明の実施形態による地熱蒸気タービンノズルにおける「地熱流体との接触部位」には、地熱流体の流路、典型的には、上記のような静翼3の表面部、ならびにダイヤフラムの外輪およびダイヤフラム内輪における「地熱流体との接触部位」が包含される。

図2に示される静翼3においては、地熱流体の流入側(上流側)の領域Xは、地熱流体ないし地熱流体に混入した粒子等(例えば、水滴や、泥や岩石粉等の固体粒子)が衝突する頻度が高いので、一般的にエロージョンが進行しやすい領域である。一方、タービンノズルの地熱流体の流出側(下流側)の領域Yは、スケール8の堆積が進行しやすい領域である。なお、図2中の矢印9は、タービンロータの回転方向を示している。

このようなことから、タービンノズルの被覆層には、エロージョンに対する耐摩耗性と、スケールに対する付着防止性およびスケールの除去容易性が求めれることになる。

本発明の実施形態による地熱蒸気タービンノズルは、例えば図1および図2のタービンノズル30〜36と同様なタービンノズルとしての機能、目的および形態をとることができるものであって、上記のようなエロージョンに対する耐浸食性と、スケールに対する付着防止性およびスケールの除去容易性とが両立したものである。

そして、本発明の実施形態による地熱蒸気タービンノズルは、劣化した被覆膜の除去が容易であり、かつ再度被覆膜を形成した後に、再びタービンの運転が行われた時にも、良好なスケールの付着防止性および除去性ならびに耐久性等を達成するものである。

<樹脂材料> 被覆層を形成する樹脂材料は、エポキシ樹脂またはポリエステル樹脂を含むものである。樹脂材料は、耐熱性が高いことが好ましく、例えば地熱蒸気温度が280℃であることから、樹脂材料の耐熱性が250℃以上の物を用いることが好ましい。

<セラミックス粒子> 被覆層を形成する樹脂材料には、セラミックス粒子が分散されている。セラミックス粒子としては、例えば、Cr、W、Ti、Nb、Alの炭化物および酸化物からなる群から選ばれるものを用いることができ、好ましくは、Cr3C2、WC、TiC、NbC等の炭化物およびCr2O3、A2O3等の酸化物から選ばれる1種類以上のセラミックス粒子を用いることができる。これらのなかでも特に好ましいものは、WC、Cr3C2、TiCである。

前記のセラミックス粒子は、最大径が25μm以下であることが好ましく、特に最大径が20μm以下であることが好ましい。粒子径が25μm以下であると球状であるが、これを超えた径になると多形粒状となることが多く、被覆層にき裂を生じさせ易くなる。したがって、セラミックス粒子のうち、粒径が25μmを超える粒子は少ない方が好ましい。従って、粒径が25μmを超える粒子の割合は10重量%以下が好ましく、特に5重量%以下であることが好ましい。 そして、セラミックス粒子の粒径は、5〜25μmであることが好ましい。

<被覆層> 図3は、本発明の特に好ましい実施形態による地熱蒸気タービンノズル30ならびに被覆層10の一具体例の断面構造を模式的に示す図である。

図3に断面が示される本発明の実施形態による地熱蒸気タービンノズルは、地熱蒸気タービンノズルの地熱流体との接触部位の少なくとも一部に、セラミックス粒子Rが分散した樹脂材料からなる被覆層10が形成されてなる地熱蒸気タービンノズルであって、 前記の被覆層10は、その表面部Aから深層部Bに向けて前記のセラミックス粒子Rの含有率が減少している傾斜組成を有するものである。

この図3に示される被覆層10は、前記のセラミックス粒子の存在量が0〜80重量%の範囲内で、被覆層1の厚さ方向で、組成変動した傾斜組成を有するものである。この被覆層10の厚さは、好ましくは75〜100μm、特に好ましくは120〜140μm、である。

この図3に具体的に示される被覆層10は、セラミックス粒子の含有率が異なる6層の樹脂層(層11〜層16)からなるものであるが、本発明の被覆層10では樹脂層の数は限定されない。

なお、本発明の被覆層10は、被覆層10全体として傾斜組成を有していればよく、セラミックス粒子の配合割合が連続的に変化した傾斜組成を有しているものでも、セラミックス粒子の配合割合が段階的に変化した傾斜組成を有しているもの(即ち、各層の境界でセラミックス粒子の配合割合が階段状に変化しているもの)でもよい。

ここで、被覆層10を形成している層11〜16においては「層」と表現されているが、これらの各層の境界線は常に明瞭に区別されるものでない。特に、一般的に、各層が同種の材料の溶射処理によって形成された場合、各層の境界は明瞭に判別できないのが普通である。このことから、層11〜16は、セラミックス粒子の含有率が段階的にもしくは連続的に変化している、境界が明瞭あるいは不明瞭な「領域」と捉えることも可能である。

被覆層10の最深部に形成された、地熱蒸気タービンノズルの基材17と接する層11は、セラミックス粒子の含有率が、好ましくは0〜20重量%、特に好ましくは0重量%、であるものである。すなわち、セラミックス粒子の含有率が少ないか、セラミックス粒子が存在しない樹脂層であることが好ましい。セラミックス粒子の含有率が20重量%を超えると、樹脂層11と地熱蒸気タービンノズルの基材17の界面との密着性が低下する。ここで、地熱蒸気タービンノズルの基材17としては、静翼3ならびにこの静翼3を保持しているダイヤフラムの外輪およびダイヤフラムの内輪等が対象になる。

この被覆層10の最深部に形成された樹脂層11の厚さは、好ましくは20〜50μm、特に好ましくは20〜40μm、である。この樹脂層11の厚さが20μm未満では、被膜が薄く基材との密着性が高すぎるために、剥離性に問題が生じることがある。一方、50μmを超える場合、樹脂層11の層内で破断が生じやすく、被覆層の残存が生じやすくなる傾向がある。

一方、被覆層10の表面部に形成された層16は、被覆層10の全体において最もセラミックス粒子の含有率が多い層である。この層16におけるセラミックス粒子の含有率は、好ましくは40〜80重量%、特に好ましくは50〜80重量%、である。セラミックス粒子の含有率が40重量%未満では、セラミックス粒子による耐熱性および耐摩耗性の向上効果を十分得られないことがある。セラミックス粒子の含有率が高いほど、被覆層10の耐熱性および耐摩耗性が向上することから好ましいが、セラミックス粒子の含有率が80重量%を超える場合、樹脂被覆の接着機能が低下することがある。

この層16の厚さは、任意であって、例えば被覆膜10の耐熱性、耐摩耗性、耐クラック性、寿命等を考慮して適宜定めることができる。例えば、次に予定される大規模な点検・整備作業(詳細前記)まで、十分な機能および効果が持続されるような厚さにすることが好ましい。したがって、この層16の厚さは、好ましくは20〜50μm、特に好ましくは20〜40μm、である。

被覆層10中の層12〜15は、それぞれ、前記の層16よりもセラミックス粒子の含有率が少なく、かつ前記の層11よりもセラミックス粒子の含有率が多い層であって、「被覆層10がその表面部Aから深層部Bに向けて前記のセラミックス粒子の含有率が減少している傾斜組成を有する」という条件を満たすような層である。

例えば、前記の層16のセラミックス粒子の含有率が80重量%であり、前記の層11のセラミックス粒子の含有率が0重量%であるときは、層15については70重量%程度、層14については60重量%程度、層13については50重量%程度、層12については40重量%程度というように、セラミックス粒子の含有率を定めることができる。層12〜15の各層の厚さは、それぞれ適宜定めることができる。

なお、これらの層12〜15は、いずれも、本発明の実施形態による被覆層10において必須のものでない。従って、これらの層12〜15のいずれか一層あるいは二層以上、あるいは層12〜15の全層を省略することが可能である。

これらの層12〜15のいずれかあるいは全層が不要な場合、被覆層10の表面部に形成された層16の厚さを、必要に応じて、前記の値よりも大きくすることができる。例えば、層12〜15が存在しない場合、層16の厚さは、好ましくは40〜80μm、特に好ましくは40〜100μm、とすることができる。

表面部側に、厚さ40〜100μmの、前記のセラミックス粒子の存在量が40〜80重量%の範囲内で組成変動した傾斜組成層を有し、かつ、深層部側に、厚さ20〜40μmの、前記のセラミックス粒子が存在しない樹脂層を有する、被覆層が形成された、地熱蒸気タービンノズルは、本発明の特に好ましい地熱蒸気タービンノズルの一具体例に該当する。

なお、被覆層10の全体の厚さならびに被覆層10中の各層の厚さは、地熱蒸気タービンノズルの全領域で均一である必要はなく、部分的に異なることができる。例えば、エロージョンの発生や進行が局部的に速い場所があるときは、それに応じて、その部分の被覆層10の全体の厚さあるいはいずれかの層(特に好ましくは層16)の厚さを増加させることが好ましい。

<地熱蒸気タービンノズルの製造方法> 本発明の実施形態による地熱蒸気タービンノズルの製造方法は、 地熱蒸気タービンノズルの基材に、 セラミックス粒子が分散した樹脂材料からなり、表面部から深層部に向けて前記のセラミックス粒子の含有率が減少している傾斜組成を有する被覆層を、 少なくとも1層形成すること、を特徴とする。

ここで、地熱蒸気タービンノズル、セラミックス粒子、樹脂材料、傾斜組成を有する被覆層等の詳細は、前記した通りである。

地熱蒸気タービンノズルの基材は、従来の地熱蒸気タービンノズルと同様に、例えば、12CrMoVのような金属材料からなる。この地熱蒸気タービンノズルの基材は、その表面の平均粗さRaが12.5μm以下であることが好ましい。

本発明の実施形態による地熱蒸気タービンノズルの製造方法では、前記の被覆層を溶射処理によって形成することが好ましい。

このような溶射処理によれば、前記の所定の傾斜組成を有する被覆層を容易にかつ効率的に形成することができる。例えば、手による刷毛塗りやスプレー塗布では、地熱蒸気タービンノズルの必要箇所に所定の傾斜組成を有する被覆層を均質に形成することは容易ではなかったが、溶射処理によれば従来よりも容易にかつ効率的に所定の被覆層形成することができる。また、溶射処理によれば、刷毛塗りやスプレー塗布では得らなかったような、均質かつ強靱であり、優れた耐エロージョン性、スケールの付着防止性や除去性を有する被覆膜を容易に得ることができる。

被覆層を溶射処理によって形成する方法は、任意である。本発明の実施形態による地熱蒸気タービンノズルの製造方法では、前記の被覆層を、好ましくは、例えば、樹脂材料中のセラミックス粒子の存在量が異なる複数の溶射材料によりそれぞれ形成される複数の溶射層の累積によって形成することができる。特に好ましくは、樹脂材料中のセラミックス粒子の含有率が異なる複数の溶射材料を用意し、セラミックス粒子の含有率が低い溶射材料から高い溶射材料へと順番に溶射材料を使用して、形成される各溶射層を重ね合わせるように複数回の溶射処理を行うことによって、傾斜組成を有する被覆層を得ることができる。

<被覆層の除去> 本発明の実施形態による地熱蒸気タービンノズルの被覆層は、傾斜組成を有するものであって、この被覆層と地熱蒸気タービンノズル基材とは接触界面はセラミックス粒子が実質的に存在しない樹脂層が形成されていることから、地熱蒸気タービンノズル基材から被覆層を剥離することが容易であって、地熱蒸気タービンノズルの基材表面に被覆層が残存することが抑制されている。

したがって、本発明の実施形態では、例えば、タガネ、ハンマ等によって、その被覆層を容易かつ短時間で剥離除去することができる。

<実施例1>(剥離除去性の評価) 基材の表面をブラスト処理した後、エポキシ樹脂を溶射施工を行って、基材表面に樹脂層が形成された「試料1」を作成した。これについて、270℃の地熱蒸気温度を模擬した電気炉にて長時間加熱時効を行い、コーティング層の剥離除去性を確認した。

エポキシ樹脂の代わりにポリエステル樹脂を用いた以外は上記と同様にして「試料2」を作成した。そして、エポキシ樹脂の代わりに炭化物セラミックスあるいは酸化物セラミックス用いた以外は上記と同様にして「試料3」および「試料4」を作成した。

これらの「試料2」〜「試料4」についても、上記と同じように、コーティング層の剥離除去性を確認した。 結果は、表1に記載される通りである。

セラミックスコーティング層は、機械的結合による密着強度が高く、基材から容易に剥離することは不可能であったが、樹脂コーティング層は、10000時間加熱後でも、コーティング層の劣化もなく、基材からの剥離が容易に行うことができた。

<実施例2>(密着性の評価(その1)) 機械的結合力が被膜剥離性に大きく影響することから、上記の「試料1」〜「試料4」のコーティング層の密着力と耐剥離性を接着剤を用いた試験によって評価した。 結果は、表2に記載される通りである。

密着強度が70MPa以上では機械的結合力が高く、基材から容易に剥離することができない。これに対して、樹脂コーティング層の密着強度は40MPa以下であり、この密着性強度が低いことにより基材から容易に剥離除去できる。

<実施例3>(密着性の評価(その2)) 基材の表面をブラスト処理した後、エポキシ樹脂を溶射施工を行って、基材表面に厚さ10μm、20μm、40μmあるいは70μmの樹脂層が形成された試料を作成した。

また、基材の表面をブラスト処理した後、ポリエステル樹脂を溶射施工を行って、表面に厚さ10μm、20μm、40μmあるいは70μmの樹脂層が形成された試料を作成した。 なお、樹脂層の形成は、溶射による1パス当たりの被膜厚さを10μmに設定し、目的の厚さになるまで溶射を繰り返すことにより行った。 コーティング層の密着力と耐剥離性を接着剤を用いた剥離試験によって評価した。 結果は、表3に記載される通りである。

被膜厚さが10μmでは、被膜が薄く基材との密着性が良いために、剥離性に問題がある。被膜厚さが20〜40μmでは基材の影響を受けず、剥離を容易に行うことができるが、70μmと厚くした場合では被膜の中央部で剥離を生じ、被膜が残存するため、厚さとしては20〜40μmが剥離除去性としては最も良いことが確認された。

<実施例4>(耐固体粒子エロージョン性の評価(その1)) ノズル板基材の表面に、セラミックス含有量が40%であるエポキシ樹脂を用いて溶射施工を行って、基材表面に樹脂層が形成された試料を作成した。これについて、粒子を衝突させることによって、耐エロージョン性の評価を行った。

また、セラミックス含有量が60%あるいは75%であるエポキシ樹脂を用いて溶射施工を行って、基材表面に樹脂層が形成された試料を作成し、同様に耐エロージョン性の評価を行った。

また、エポキシ樹脂の代わりにポリエステル樹脂を用いて溶射施工を行って、表面にセラミックス含有量が40%、60%あるいは75%である、樹脂層が形成された「試料」を作成し、上記と同様に、耐固体粒子エロージョン性を評価した。

表4は、外層にセラミックスを添加した場合の耐固体粒子エロージョン性を示したもので、樹脂コーティングをバインダとして適用確認したものである。

上記表の耐固体粒子エロージョン性の数値は、ノズル板基材のエロージョン減量を1として表したときのものである。コーティング層の耐固体粒子エロージョン特性は、樹脂コーティングのみでは耐エロージョン性は全く認められないが、セラミックスを添加することにより耐エロージョン性が飛躍的に向上することが確認された。

<実施例5>(耐固体粒子エロージョン性の評価(その2)) ノズル板基材の表面に、セラミックス(WC)含有量が75%である樹脂を用いて溶射施工を行って、基材表面に樹脂層が形成された試料を作成した。この試料にFe3O4粒子を衝突させることによって、耐エロージョン性の評価を行った。

セラミックス(WC)含有量が80%あるいは91%である樹脂を用いて溶射施工を行って試料を作成し、同様に耐エロージョン性の評価を行った。

また、セラミックス(CrC)含有量75%、80%あるいは93%である樹脂を用いて溶射施工を行って試料を作成し、同様に耐エロージョン性の評価を行った。結果は、図4に記載される通りである。

WCとCrC含有量を変化させ、地熱蒸気タービン運用条件よりも厳しい条件にて試験を行った結果、WCは含有量に関係なく耐エロージョン性はほぼ一定であり、CrCは93%と多量に含有させたものは靭性が劣るため80%CrC、75%CrCよりも耐エロージョン性は劣るが、12Cr鋼基材に比べると優れた耐食性を示した。

<実施例6>(剥離除去性の評価) 長期間使用した蒸気タービンノズルから耐食・耐摩耗コーティングが剥離除去できることを確認するために、蒸気タービンノズルへのコーティング施工部位を、図5のように、4区画に分け、各区画に (1)ポリエステル樹脂+WC (2)エポキシ樹脂+WC (3)WC単独 (4)CrC単独 にて溶射施工を行い、実機地熱蒸気タービン(蒸気温度270℃)にて2年間の実機試験を行った結果、ノズル板からの剥離性は樹脂コーティングを施工したものは簡単に剥離除去できたが、WC、CrCを単独で溶射施工を行ったノズルではコーティング層の除去はブラスト処理との併用で行っても多大な時間を要した。

<実施例7>(耐食性の評価) 実施例6と同様に、蒸気タービンノズル上に形成された四種類の被覆層について、それらの耐食性の評価を行った。耐食性の評価としてはコーティング層の気孔を介して腐食生成物が侵入し、基材との界面剥離とともに腐食にともなう重量増減も合わせて確認した。

基材とコーティング層との界面剥離については、いずれのコーティング層にも界面剥離は生じていなかった。

腐食試験において重量の増減はほとんど認められず、CrC溶射材において腐食生成物の付着にともなう重量が若干増加していた。 その結果、上記の被覆層が形成された地熱蒸気タービンノズルは樹脂コーティング層を形成することによりノズル板からの剥離除去が簡単に行えることが確認されるとともに、耐食性、耐エロージョン性も有していることが確認された。

<実施例8>(耐固体粒子エロージョン性の評価(その3)) 実機条件下で試験を行ったコーティングの耐摩耗性について新たに試験を実施し、確認を行った。地熱蒸気タービンノズルへのコーティング施工部位を6分割し、図6のように、図6のように、6区画に分け、各区画に (1)ポリエステル樹脂 (2)エポキシ樹脂 (3)ポリエステル樹脂+WC (4)エポキシ樹脂+WC (5)WC単独 (6)CrC単独 にて溶射施工を行い、実機地熱蒸気タービン(蒸気温度270℃)にて4992時間の実機試験を行った。

地熱蒸気中への岩石等の固体粒子の流入量が比較的少ないこともあり、コーティング厚さならびにコーティングの損傷等の異常は認められなかったが、樹脂コーティングを単独で施工したものはノズル板より固体粒子エロージョンにより侵食されていた。

本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の実施形態よる地熱蒸気タービンノズルによれば、耐食性の向上と共に、付着堆積するスケール量の低減と付着後の剥離除去性とを高めて長期にわたって利用可能にした地熱蒸気タービンを提供するとともに、長寿命化を図った地熱蒸気タービンが提供される。

そして、本発明の実施形態によれば、タービンの運転によって劣化した被覆膜の除去が容易であり、かつ再度タービンの運転に用いられた時にも、良好なスケール付着防止性、スケールの除去性および耐久性等を有する地熱蒸気タービンノズルおよびその製造方法が提供される。

1 地熱蒸気タービン 2 蒸気入口 3 タービン静翼 30〜36 タービンノズル 4 タービン動翼 5 タービンロータ軸 6 蒸気出口 7 タービンケーシング 8 スケール 9 タービンロータの回転方向 10 傾斜組成を有する被覆層 A 傾斜組成を有する被覆層の表面部 B 傾斜組成を有する被覆層の深層部 R セラミックス粒子 12〜16 セラミックス粒子が分散した樹脂層 17 地熱蒸気タービンノズルの基材

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