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Manufacturing method of electrolysis liquid for vanadium redox-flow battery

阅读:874发布:2021-07-11

专利汇可以提供Manufacturing method of electrolysis liquid for vanadium redox-flow battery专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a method of manufacturing electrolysis liquid for a redox- flow battery containing V4+ and V3+ of equal mol from a V compound originated by combustion soot.
SOLUTION: The method includes steps (a) manufacture of V4+: combustion soot is suspended in water (pH=1 to 3), reduction and filtration are carried out to obtain V4+ content solution, pH is adjusted with ammonia so as to be 4.2 to 4.8, and oxy hydroxide vanadium monohydrate V4+ is deposited; (b) manufacture of V3+: to a mixture of sulfuric acid of 1.8 to 3.5 mols heated to 160 to 240°C and sulfur of 0.3 to 4 mols, per V 1 mol of electrolysis liquid, V4+ of 0.51 to 0.60 mols is added, VOH is reduced, and an obtained deposited compound is cooled to 150°C or lower water is added, so that the concentration of SO42- becomes 6 to 10 mols/L, the deposited compound is dissolved at 110 to 140°C, and filtered, and V3+ solution is obtained; and (c) manufacture of electrolysis liquid: V4+ 1-(0.5 to 0.61) mol is added to the V3+ solution and is solved by heating, and filtered, as needed. The electrolysis liquid containing equal mol of V4+ and V3+ is obtained by adjusting the concentration of SO42- to 3.5 to 7.0 mols/L.
COPYRIGHT: (C)2002,JPO,下面是Manufacturing method of electrolysis liquid for vanadium redox-flow battery专利的具体信息内容。

【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 (a)化石燃料の燃焼の際に発生した燃焼煤をpHを1〜3に調整した水中に懸濁した状態で還元剤を作用させた後、濾過して不溶性残渣を除去し、4
    価のバナジウムを含有する水溶液を得る工程、(b)前記工程(a)で得られた4価のバナジウムを含有する水溶液に、アンモニアまたはアンモニア水を添加し、該水溶液のpHを4.2〜4.8に調整し、オキシ水酸化バナジウム水和物を析出させる工程、(c)前記工程(b)で析出したオキシ水酸化バナジウム水和物を濾過し、取得する工程、(d)目的とする電解液中のバナジウムの含有量が〔A〕モルであるとき、硫酸(1.8〜
    3.5)×〔A〕モルと硫黄y×〔A〕モル(yは0.
    3〜4.0の数である)との混合物を160〜240℃
    に加熱し、その混合物の中に、前記工程(c)で取得したオキシ水酸化バナジウム水和物のx〔A〕モル(xは0.51〜0.60の数である)を添加し、160〜2
    40℃の温度でオキシ水酸化バナジウム水和物を還元する工程、(e)前記工程(d)で得られた反応混合物を150℃以下の温度に冷却し、水を該反応混合物に添加してSO 4 2-濃度が6〜10モル/Lとなるように調整した後、該反応混合物を110〜140℃に保持して析出物質を溶解させ、必要により濾過して溶液を得る工程、(f)前記工程(e)で得られた溶液に、前記工程(c)で取得したオキシ水酸化バナジウム水和物の(1
    −x)〔A〕モル(xは前記と同じ)を仕込み、110
    〜140℃に保持してオキシ水酸化バナジウム水和物を溶解させ、必要により濾過する工程、および(g)前記工程(f)で得られた反応混合物に水を添加し、SO 4
    2-濃度を3.5〜7.0モル/Lに調整し、必要により濾過する工程からなる3価バナジウムと4価バナジウムとを等モルで含有するバナジウムレドックスフロー電池用電解液の製造方法。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【発明の属する技術分野】本発明は、バナジウムレドックスフロー電池用電解液の製造方法に関する。 さらに詳しくは、バナジウムレドックスフロー電池の正極および負極の共用スタート用電解液として好適に使用しうるバナジウムレドックスフロー電池用電解液の製造方法に関する。

    【0002】

    【従来の技術】従来のバナジウムレドックスフロー電池では、正極区画室には5価〜4価のレドックス系電解液が使用され、また負極区画室には3〜2価のレドックス系電解液が使用されているので、正極室には4価のバナジウム電解液、負極には3価のバナジウム電解液がチャージされている。 しかし、最近では、正極室および負極室にチャージする電解液を共通化することにより、合理化を図ることが考えられている。 このような電解液としては、4価バナジウムと3価バナジウムとを等モル含有する電解液が提案されている。 この電解液に使用されている3価バナジウムの原料として、酸化バナジウム(II
    I) が使用されている。

    【0003】III 価のバナジウム化合物の製造方法としては、液相法が知られている(Inorg. Sy nth. ,p.9
    2) 。 この方法によれば、V 25を化学量論量の7.
    67倍、すなわち12.4重量倍という多量の硫酸中で、化学量論量の1.5倍の硫黄とともに170〜20
    0℃で16時間加熱して還元した後、濾過・洗し、得られた物質を50%エタノール水溶液中に懸濁し、これに二硫化炭素を注ぎ、過剰量の硫黄を層状にして分離することにより、固体のV 2 (SO 4 ) 3が得られる。 このV
    2 (SO 4 ) 3を電解液の原料とした場合、該V 2 (SO 4 ) 3
    1モルを硫酸4モル/Lの水溶液1L中で120〜15
    0℃に加熱溶解させることにより、V 3+濃度が2モル/
    L、SO 4 2-濃度が4モル/LのIII 価のバナジウム電解液が得られる。

    【0004】しかしながら、これら固体のV 2 (SO 4 ) 3
    の製造方法およびそれを用いた電解液の製造方法には、
    種々の欠点がある。 特に、固体のV 2 (SO 4 ) 3の製造方法には、以下の4つの大きな欠点がある。

    【0005】 攪拌を可能にするために、非常に多量の硫酸を要する点 固体のV 2 (SO 4 ) 3を取得するために、多量の濃厚な硫酸溶液の濾過を必要とする点 多量の硫酸廃液が発生する点 過剰量で使用された硫黄の除去を要する点

    【0006】これらの欠点のうち、前記の欠点は、固体のV 2 (SO 4 ) 3および硫黄を含む溶液を次の硫酸による溶解工程に使用し、例えば、 III価バナジウム化合物の硫酸4モル/L溶液を調製した後、この溶液から硫黄を濾過により除去する方法を採用することにより、回避することができる。 しかしながら、前記〜の欠点は、未だ充分に回避されていない。

    【0007】また、電解液中に夾雑金属が存在している場合、電池の性能に悪影響を及ぼすおそれがある。 したがって、例えば、化石燃料を燃焼させる際に発生した燃焼を原料とする場合、この燃焼煤の処理工程で得られる不純物を含有するメタバナジン酸アンモニウムを再度、溶解・析出させる方法で精製し、これを高温に加熱して脱水・脱アンモニア化を行なうという煩雑な工程を要するという欠点がある。

    【0008】

    【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、化石燃料の燃焼の際に発生した燃焼煤の最も簡単な処理方法で得られる不純物含量が少ないバナジウム化合物を使用し、極めて有利な方法で4価バナジウムと3価バナジウムを等モルで含有する電解液を製造しうる方法を提供することを目的とする。

    【0009】

    【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の要旨は、(a)化石燃料の燃焼の際に発生した燃焼煤をpH
    を1〜3に調整した水中に懸濁した状態で還元剤を作用させた後、濾過して不溶性残渣を除去し、4価のバナジウムを含有する水溶液を得る工程、(b)前記工程(a)で得られた4価のバナジウムを含有する水溶液に、アンモニアまたはアンモニア水を添加し、該水溶液のpHを4.2〜4.8に調整し、オキシ水酸化バナジウム水和物を析出させる工程、(c)前記工程(b)で析出したオキシ水酸化バナジウム水和物を濾過し、取得する工程、(d)目的とする電解液中のバナジウムの含有量が〔A〕モルであるとき、硫酸(1.8〜3.5)
    ×〔A〕モルと硫黄y×〔A〕モル(yは0.3〜4.
    0の数である)との混合物を160〜240℃に加熱し、その混合物の中に、前記工程(c)で取得したオキシ水酸化バナジウム水和物のx〔A〕モル(xは0.5
    1〜0.60の数である)を添加し、160〜240℃
    温度でオキシ水酸化バナジウム水和物を還元する工程、

    【0010】(e)前記工程(d)で得られた反応混合物を150℃以下の温度に冷却し、水を該反応混合物に添加してSO 4 2-濃度が6〜10モル/Lとなるように調整した後、該反応混合物を110〜140℃に保持して析出物質を溶解させ、必要により濾過して溶液を得る工程、(f)前記工程(e)で得られた溶液に、前記工程(c)で取得したオキシ水酸化バナジウム水和物の(1−x)〔A〕モル(xは前記と同じ)を仕込み、1
    10〜140℃に保持してオキシ水酸化バナジウム水和物を溶解させ、必要により濾過する工程、および(g)
    前記工程(f)で得られた反応混合物に水を添加し、S
    4 2-濃度を3.5〜7.0モル/Lに調整し、必要により濾過する工程からなる3価バナジウムと4価バナジウムとを等モルで含有するバナジウムレドックスフロー電池用電解液の製造方法に関する。

    【0011】

    【発明の実施の形態】各工程について、以下に説明する。 まず、工程(a)について説明する。 本発明に使用される化石燃料としては、例えば、瀝青質鉱物、重油、
    タール、アスファルトなどをはじめ、これらをエマルジョン化した燃料などが挙げられる。 また、燃焼煤は、これらの化石燃料を燃焼することによって発生したものであればよく、特に限定がない。 この燃焼煤を水中に懸濁すると、4価のバナジウムイオンおよび5価のバナジウムイオン、Fe、Ni、Cr、Mg、Naなどの金属イオン、ならびに珪酸イオンを含有する、pH1〜3の水不溶性物質の懸濁液が得られる。 燃焼煤の量は、水中に懸濁させることができる量であればよく、特に限定がない。 該懸濁液のpHは、4価のバナジウムイオンを高濃度でかつ安定して得ることができるようにするために、
    1〜3に調整される。

    【0012】次に、燃焼煤を水中に懸濁させた懸濁液には、還元剤を作用させる。 還元剤としては、例えば、S
    2およびその塩類、ヒドラジン、その水和物およびその塩類、ならびにヒドロキシルアミンおよびその塩類からなる群より選ばれた少なくとも1種が挙げられる。 還元剤の具体例としては、亜硫酸ガスおよび亜硫酸アンモニウムなどの亜硫酸の塩類、ヒドラジンまたはヒドラジンの水和物、あるいは硫酸ヒドラジンなどのヒドラジンの塩類、ヒドロキシルアミンまたは硫酸ヒドロキシルアミン、塩酸ヒドロキシルアミンなどのヒドロキシルアミンの塩類などが挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。 還元剤の選択は、還元を達成するのに必要な量と還元剤の入手可能な単価との積から経済性を判断して定めることが望ましい。 その際、還元剤として金属を含有しないものを選ぶことが好ましい。

    【0013】還元剤の量は、操作中に大気に含まれている酸素によって還元剤が酸化したり、消耗することを考慮して、懸濁液中に存在している5価のバナジウム化合物の還元に必要な化学量論量の1.1〜1.2倍とすることが好ましい。

    【0014】懸濁液に還元剤を添加すると、懸濁液中に含まれている5価のバナジウム化合物が迅速に4価のバナジウムイオンに還元され、不溶性物質に含まれている殆どのバナジウムがこの懸濁液中に溶解する。

    【0015】この懸濁液を濾過することにより、還元後に残存している不溶性残渣を濾別し、除去することができる。

    【0016】この濾過によって得られた4価のバナジウムを含有する水溶液は、次に、工程(b)で使用される。

    【0017】工程(b)では、前記工程(a)で得られた4価のバナジウムを含有する水溶液に、アンモニアまたはアンモニア水を添加し、該水溶液のpHを4.2〜
    4.8に調整し、オキシ水酸化バナジウム水和物を析出させる。

    【0018】本発明においては、このpHを4.2〜
    4.8に調整する点に1つの大きな特徴がある。 このようにpHを調整した場合には、水溶液中のバナジウムイオンをオキシ水酸化バナジウム水和物として効率よく、
    例えば、70〜80%の収率で析出させることができるという、格別顕著に優れた効果が発現される。

    【0019】前記水溶液のpHを4.0に調整した場合、オキシ水酸化バナジウム水和物を析出させることができる。 しかし、オキシ水酸化バナジウム水和物を濾過し、取得したときのの収率は、バナジウムに対して高々30%程度である。

    【0020】他方、例えば、前記水溶液のpHを5.0
    に調整した場合、バナジウムに対する収率が90%程度と高くなる。 しかし、析出したオキシ水酸化バナジウム水和物におけるFe、Niなどの金属の含量が著しく増加するようになる。 さらに、前記水溶液のpHが6.0
    を超えると、該水溶液中に含有されているバナジウムに対する収率が殆ど定量的になるが、析出したオキシ水酸化バナジウム水和物におけるFe、Niなどの金属の含量がより一層著しくなる。

    【0021】これに対して、本発明においては、pHが4.2〜4.8とされているので、驚くべきことに、これらの欠点が解消され、不純物たるFe、Ni、Cr、
    Mg、Naなどの金属イオンや、珪酸イオンからの析出物などの含量の低減が図られ、しかも高収率でオキシ水酸化バナジウム水和物を得ることができるという、格別顕著に優れた効果が奏される。

    【0022】かくして析出した「オキシ水酸化バナジウム水和物」は、一説によれば、酸化バナジウム(IV)のV
    2・2H 2 Oであるとされている。 しかし、GMELINS
    HANDBUCH DER ANORG. CHEMIE. V[B].S.65 〜72に記載されている赤外吸収スペクトルにおける−OH吸収帯の現れ方を根拠とする学説に則り、本発明者らは、前記「オキシ水酸化バナジウム水和物」は、式: VO(OH) 2・nH 2 O (式中、nは約1を示す)で表される化合物であると推定する。 以下、本明細書においては、この化合物をオキシ水酸化バナジウム水和物と称する。

    【0023】前記工程(b)で析出させて得られたオキシ水酸化バナジウム水和物は、次に、工程(c)で使用される。

    【0024】工程(c)では、前記工程(b)で析出したオキシ水酸化バナジウム水和物を濾過することにより、取得する。

    【0025】オキシ水酸化バナジウム水和物の濾過は、
    例えば、吸引濾過などの通常の濾過方法によって行なうことができる。

    【0026】得られたオキシ水酸化バナジウム水和物は、必要により、洗浄水で洗浄してもよい。 なお、洗浄の際に、pHが高い水を使用した場合、取得したケーキ状のオキシ水酸化バナジウム水和物に含まれている夾雑金属イオンから析出物が生じるおそれがある。 他方、p
    Hが低い水を使用した場合、析出物の一部が溶解するようになる。 これらのことから、洗浄の際に使用する洗浄水のpHは、前記濾過時におけるpHの範囲内にあることが好ましい。

    【0027】以上のようにして、オキシ水酸化バナジウム水和物を濾過し、洗浄した場合には、ケーキ状のオキシ水酸化バナジウム水和物を高純度で得ることができる。

    【0028】次に、前記工程(c)で取得したオキシ水酸化バナジウム水和物は、工程(d)で使用される。

    【0029】工程(d)では、目的とする3価バナジウムと4価バナジウムとを等モルで含有する電解液中のバナジウムの含有量が〔A〕モルであるとき、硫酸(1.
    8〜3.5)×〔A〕モルと硫黄y×〔A〕モル(yは0.3〜4、好ましくは1.3〜4.0の数である)との混合物を160〜240℃に加熱し、その混合物の中に、前記工程(c)で取得したオキシ水酸化バナジウム水和物のx〔A〕モル(xは0.51〜0.60の数である)を添加し、160〜240℃の温度でオキシ水酸化バナジウム水和物を還元する。

    【0030】この還元反応は、反応式(I): 4VO(OH) 2・H 2 O+S+6H 2 SO 4 → 2V 2 (SO 4 ) 3 +14H 2 O+SO 2 (I) にしたがって進行するものと考えられる。

    【0031】3価バナジウムと4価バナジウムとを等モルで含有する電解液を調製する際におけるバナジウム化合物の量〔A〕モルと硫酸の量〔B〕モルとの関係は、
    以下のとおりである。

    【0032】この種の電解液が用いられる電池の蓄電容量は、電解液中のバナジウムの量〔(電解液の量)×
    (電解液中のバナジウムイオンの濃度)〕によって支配される。

    【0033】したがって、〔A〕/〔B〕の値は大きいほうが好ましい。 しかし、3価バナジウムの電解液の成分は、V 2 (SO 4 ) 3がH 2 SO 4水溶液中でイオン化したものであるから、〔A〕/〔B〕の値は、2/3よりも大とはなり得ない。

    【0034】また、4価バナジウムの電解液の成分は、
    VOSO 4がH 2 SO 4水溶液中でイオン化したものであるから、〔A〕/〔B〕の値は、1/1よりも大とはなり得ない。

    【0035】したがって、3価バナジウムと4価バナジウムとを等モルで含有する電解液においては、V 2 (SO
    4 ) 3およびVOSO 4として存在するとみなされるSO
    4 2-以外にはSO 4 2-が存在しない状態、すなわちいわゆる「限界状態」においても、V 2 (SO 4 ) 3における2
    /3とVOSO 4における1/1との平均値、すなわち5/6以上とはなり得ない。

    【0036】ところで、本発明の目的化合物である3価バナジウムと4価バナジウムとを等モルで含有する電解液においては、充電・放電に際して、正極側および負極側で以下の反応が起こるとされている。

    【0037】

    【0038】すなわち、負極側にチャージされた電解液は、充電に際して全部V 2+となるので、その対イオンとして必要と考えられるSO 4 2-イオンは、バナジウムと等モルである。

    【0039】一方、正極側にチャージされた電解液は、
    充電に際して全部5価となる。 そこで、単純に考えれば、その対イオンとして必要と考えられるSO 4 2-イオンは、バナジウムの5/2=2.5倍モルとなり、前記〔A〕/〔B〕=2/5=0.4となる。

    【0040】しかし、5価バナジウムの硫酸溶液におけるイオン状態については、確定的なことは知られていない。 したがって、前記〔A〕/〔B〕=0.4は、絶対的であるとはいえない。

    【0041】これらの複雑な事情があるので、バナジウムレドックスフロー電池の電解液は、種々の実験の結果、バナジウムの量を1.8〜3.5モル/L、SO 4
    2-の量を3.6〜7.0モル/Lとし、かつSO 4 2-
    〔B〕モルとバナジウム〔A〕モルとのモル比〔B〕/
    〔A〕を1.8〜3.5、好ましくは2.0〜3.0とすべきであるとされている。

    【0042】したがって、例えば、電解液中のバナジウムの濃度が2モル/Lである場合、SO 4 2-の濃度は、
    3.6〜6.4モル/Lとされることが多く、4〜6モル/Lとされることが最も多い。 ,また、例えば、電解液中のバナジウム濃度が2モル/Lであり、SO 4 2-濃度が4モル/Lである場合には、硫酸をオキシ水酸化バナジウム水和物1モルに対して2モル使用することとなる。

    【0043】ところで、本発明において目的とする電解液は、4価バナジウムと3価バナジウムとを等モル含有する電解液である。 したがって、前記式で表される4価バナジウムから3価バナジウムへの還元反応は、50%
    進行させれば足りる。 換言すれば、理論上、目的とする電解液中のバナジウムの量〔A〕モルの1/2モルだけを前記式で表わされる還元反応に付すればよい。

    【0044】しかし、上述の理論どおりに還元反応を行なった場合、その後の操作中に僅かでも酸化反応が起こったときには、電解液のバナジウムの価数を引き下げるために、別途、3価バナジウム酸化物を添加しなければならない。

    【0045】これに対して、電解液のバナジウムの価数の引き上げは、前記オキシ水酸化バナジウム水和物や、
    一般に広く市販されているV 25を添加することによって容易に行なうことができる。

    【0046】したがって、還元反応の後に、3価バナジウム化合物が(0.5+α)×〔A〕モル(αは0.0
    1〜0.1の数である)だけ存在するようにすればよい。

    【0047】また、還元反応が僅かに不完全となることも往々にしてあるので、還元反応の際には、オキシ水酸化バナジウム水和物を(0.51〜0.60)×〔A〕
    モル、好ましくは(0.53〜0.57)×〔A〕モル仕込むことが望ましい。 なお、オキシ水酸化バナジウム水和物を0.60×〔A〕モル以上仕込むことは、後述するように、反応混合物を攪拌する際に問題が発生することから、避けなくてはならない。

    【0048】ところで、本発明においては、還元反応の際に仕込んだ硫酸は、濾過によって除去されることなく、そのまま電解液のSO 4 2-となる。

    【0049】このように、還元反応では、硫酸の量が厳しく制限される。 したがって、オキシ水酸化バナジウム水和物、硫黄および硫酸を原料とする反応混合物の混合、攪拌および反応を円滑にするためには、前記のように還元反応の際のオキシ水酸化バナジウム水和物の仕込み量を規制するのみならず、オキシ水酸化バナジウム水和物を一括して仕込むのではなく、間欠的に分割して、
    あるいは連続的に徐々に仕込むことが望ましい。

    【0050】オキシ水酸化バナジウム水和物を還元させる際の還元温度は、160〜240℃、好ましくは21
    0〜230℃である。

    【0051】還元温度が160℃以上である場合、還元反応は進行するが、180℃以下では、反応速度が低い。 したがって、反応速度を高める観点から、反応温度は180℃以上であることが好ましい。 しかし、反応温度が180〜200℃では、硫黄の粘度が非常に高くなるので、適切でない。 温度が200℃以上では、硫黄の粘度が低下の方向を辿る。 しかし、反応温度が250℃
    以上である場合には、反応混合物が大気中に漏出したときに、その中の硫黄が自然発火するおそれがあるうえ、
    加熱のためのエネルギーおよび反応容器の材質選択の点から好ましくない。 これらの事項から、還元温度は、前述のように、210〜230℃が好ましいと判断される。

    【0052】この反応の出発原料であるオキシ水酸化バナジウム水和物は、空気中で酸化しやすいので、乾燥品は若干の5価バナジウムを含有する。 しかし、5価バナジウム化合物も以下の硫黄による還元を容易に受けるので、支障はない。

    【0053】これらの事情を考慮して、オキシ水酸化バナジウム水和物を還元させる際の還元温度は、前述の温度となるように調整される。

    【0054】オキシ水酸化バナジウム水和物の還元反応が進行するにしたがって、その反応混合物の粘性が低下するので、該反応混合物の混合・攪拌を容易に行なうことができる。

    【0055】還元反応における硫黄の量は、前記式に示したように、オキシ水酸化バナジウム水和物1モルに対して、化学量論的には0.25モルである。 しかし、反応速度を大きくするためにはこれよりも多いことが望ましい。 なお、過剰量の硫黄は、後で容易に回収することができる。 しかしながら、硫黄は、160〜240℃の温度、特に180〜200℃の温度では、極めて粘性が高いうえ、硫酸中に溶解あるいは分散しない。 したがって、硫黄の量があまりに多い場合には、却って混合攪拌の妨げとなる。 このことから、硫黄の量は、目的とする電解液中のバナジウムの量〔A〕モルに対して(0.3
    〜4.0)×〔A〕モル、好ましくは(1.3〜3.
    0)×〔A〕モルである。

    【0056】また、工程(d)に記載した前半の還元で分割して仕込むオキシ水酸化バナジウム水和物の合計量x〔A〕モルに対して、使用する硫黄をy〔A〕モル(yは前記と同じ)とし、硫黄のモル数/オキシ水酸化バナジウム水和物のモル数の値をβと定義すると、 β=y〔A〕/x〔A〕=y/x となる。 例えば、xが0.525、yが2.2であるとき、βは4.19となる。

    【0057】前述した反応式(I)に示されるように、
    この場合の硫黄の化学量論上の必要量は、オキシ水酸化バナジウム水和物のモル数の1/4であるから、y=
    2.2、β=4.19は、化学量論量の16.76倍に相当することとなる。

    【0058】還元反応の進行状況および終点は、発生するSO 2ガスを検出することによって観察することができる。 より精密には、110〜140℃の温度で反応混合物を40〜60%H 2 SO 4中に加熱溶解した溶液を吸光スペクトル法などで分析することにより、還元反応の進行状況および終点を確認することができる。

    【0059】以上のようにして反応率が90〜98%に到達したときには、前述したように、反応混合物中に3
    価バナジウム化合物(0.5+α)〔A〕モル(αは前記と同じ)が存在する。

    【0060】なお、オキシ水酸化バナジウム水和物は、
    大気中に存在している酸素によって酸化され、5価のバナジウム化合物に変化しやすいことが難点と考えられるかもしれない。 しかしながら、この工程(d)における還元反応は、5価のバナジウム化合物に対しても非常に有効であり、しかも硫黄が大過剰量で使用されていることから、オキシ水酸化バナジウム水和物の10%程度が大気中に存在している酸素によって酸化されたとしても、その後の工程に支障が生じるようなことがない。

    【0061】かくして得られた反応混合物には、還元反応によって生成した固体のV 2 (SO 4 ) 3や、使用した過剰量の硫黄などが析出物質として含有されている。 したがって、反応混合物に含まれている固体のV 2 (SO 4 ) 3
    を溶解し、過剰量の硫黄を主体とする物質を析出残渣とするために、この反応混合物は、次の工程(e)に付される。

    【0062】工程(e)では、前記工程(d)で得られた反応混合物を次の工程での激しい発熱による危険を避けるために、150℃以下に冷却し、水を該反応混合物に添加してSO 4 2-濃度が6〜10モル/Lとなるように調整した後、該反応混合物を110〜140℃に保持して析出物質を溶解する。 この際、次の工程(f)または(g)で濾過を行なわない場合には濾過して、硫黄を主とする不溶性残渣を除去することが必要である。

    【0063】前記工程(d)で得られた反応混合物には水が添加されるが、硫酸と水との急激な反応による発熱を考慮して、該反応混合物を150℃以下、好ましくは100〜120℃の温度に冷却する。 この好ましい温度に反応混合物を冷却した場合には、該反応混合物に水を添加した後、析出物質を加熱して溶解させ、溶液を得るための再加熱における手数を軽減させることができるという利点がある。

    【0064】反応混合物に添加する水の量は、常温で析出物を生じないようにするとともに、後述する工程(g)において、反応混合物に水を添加し、SO 4 2-濃度を所望の濃度に調整しうる余地を残すために、SO 4
    2-濃度が6〜10モル/Lとなるように調整される。

    【0065】反応混合物に水を添加して、硫酸濃度を調整した後、固体のV 2 (SO 4 ) 2を主とする析出物質を溶解させるために、110〜140℃に保持する。 この保持温度を110℃以下とすると、溶解速度が極めて小となり、一方、140℃以上とすると、溶解反応が完結しない状態で停止してしまう。

    【0066】かかる温度保持によって得られた溶液には、工程(d)で使用した過剰量の硫黄を主体とする不溶性残渣が含まれている。

    【0067】この残渣は、工程(e)、(f)または(g)のいずれかで濾過して除去・回収することができる。 また、より好ましい電解液の調製法としては、工程(c)または工程(f)で濾過したうえ、さらに製品である電解液の品質を向上させる観点から、最終工程(g)で再度濾過する。

    【0068】このようにして工程(e)で得られた溶液は、次に、工程(f)に供される。

    【0069】工程(f)では、前記工程(e)で得られた溶液に、前記工程(c)で取得したオキシ水酸化バナジウム水和物の(1−x)〔A〕モル(xは前記と同じ)を仕込み、110〜140℃に保持してオキシ水酸化バナジウム水和物を溶解させる。

    【0070】このオキシ水酸化バナジウム水和物の量(1−x)〔A〕モルは、本発明で使用されるオキシ水酸化バナジウム水和物の全量Aのうち、工程(d)で使用されたオキシ水酸化バナジウム水和物(x〔A〕モル)の量を差し引いた残部である。 この残部のオキシ水酸化バナジウム水和物を添加することにより、3価バナジウムイオンと4価バナジウムイオンとを等モルで含有する電解液が得られる。

    【0071】この工程において使用するオキシ水酸化バナジウム水和物が遊離の水分を有している場合には、後の水添加による溶液濃度の調整工程(g)で添加する水をその水分に相当する量だけ減らすようにすれば、目的が達せられる。 したがって、ここで用いるオキシ水酸化バナジウム水和物の乾燥を省略することもできる。

    【0072】オキシ水酸化バナジウム水和物を前記工程(e)で得られた溶液に添加した後、該オキシ水酸化バナジウム水和物を溶液に溶解させることは、比較的容易である。 オキシ水酸化バナジウム水和物を迅速に溶解させるためには、加熱温度が高いほうが好ましい。 しかし、その上限温度は、前記溶液にオキシ水酸化バナジウム水和物を添加した反応混合物の沸点によって制約される。 これらのことから、この温度は110〜140℃、
    好ましくは115〜130℃とする。

    【0073】加熱時間は、特に限定がなく、通常、オキシ水酸化バナジウム水和物が溶解するまでとすればよい。

    【0074】前記工程(e)において、オキシ水酸化バナジウム水和物の後半部分を添加して溶解した工程(f)の反応混合物には、硫黄を主体とする不溶性残渣が存在しているので、前の工程(e)および次の工程(g)で濾過を行なわない場合には、この工程(f)で濾過して硫黄を主体とする不溶性残渣を除去することが必要である。

    【0075】一方、該オキシ水酸化バナジウム水和物に若干含有されている5価バナジウム化合物は、3価バナジウム化合物と容易に反応して4価バナジウム化合物となるので、それを考慮した量のオキシ水酸化バナジウム水和物を使用すればよい。

    【0076】濾過は、このようにこの工程で行なってもよく、あるいは次工程(g)で行なってもよい。 濾過は、例えば、合成繊維製濾過布、メンブレンなどを用いた濾過などの通常の濾過方法によって行なうことができる。

    【0077】次に、工程(f)で得られた反応混合物は、工程(g)に供される。 工程(g)では、前記工程(f)で得られた反応混合物に水を添加し、SO 4 2 -濃度を3.5〜7.0モル/Lに調整する。

    【0078】バナジウムレドックスフロー電池用電解液においては、電池の性能、電解液の安定性などの観点から、SO 4 2-濃度は、通常、3.5〜7.0モル/L、
    なかんづく4.0〜6.0モル/Lとなるように調整されている。 したがって、本発明においても、前記工程(f)で得られた反応混合物に水を添加し、SO 4 2-濃度を3.5〜7.0モル/L、なかんづく4.0〜6.
    0モル/Lとなるようにに調整する。

    【0079】なお、前記工程(f)で濾過を省略した場合には、この工程(g)で合成繊維製濾過布、メンブレンなどを用いて濾過して、存在している硫黄などからなる析出物を除去する必要がある。

    【0080】また、前記工程(f)で濾過を行なった場合であっても、電解液の品質を向上させる観点から、再度、濾過することが望ましい。 この濾過の際には、メンブレンフィルターを用いることが好ましい。

    【0081】かくして、本発明で目的とするバナジウムレドックスフロー電池用電解液が得られる。

    【0082】

    【実施例】次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。

    【0083】実施例1 オキシ水酸化バナジウム水和物の調製 瀝青質混合物(ベネズエラ産)の燃焼の際に得られた集塵機灰〔湿潤重量:10062g〕(水分含有率:1
    9.00%、乾燥品の重量:8150g、乾燥品の分析値:V2.50%、N15.75%、S22.60%、
    C0.35%、Fe0.12%、Ni0.43%、Cr
    0.01%、Mg6.15%)〔バナジウム含有量:2
    03.76g(4.00モル)〕を40℃の水40Lに添加し、攪拌して懸濁させた。 得られた懸濁液のpHは2.25であり、溶液中のV 5+含量/総V含量(モル比)は0.413であった。

    【0084】この懸濁液に35〜55℃でSO 2ガス2
    2.26Lを20分間で吹き込み、微量の酸およびアルカリでpHを2〜2.3に調整し、30分間保持した。

    【0085】濾過した後、濾過残渣(主成分:カーボン)を水250mLで2回洗浄した。 残渣の乾燥重量は、33.0gであった。

    【0086】次に、濾液に水を添加し、総量を5100
    0gとし、この溶液を窒素ガス置換した容器中に保存した。 この溶液を分析すると、バナジウム含有率が0.3
    75重量%、即ち191.25gであることから、原料灰からのバナジウムの収率は93.9%であり、溶液は4価バナジウムの存在を示す青色であった。

    【0087】この溶液からサンプリングした残りの50
    666g(バナジウム含有量:190g)を窒素ガス置換した装置の中の容器に入れ、50±3℃でアンモニア水を徐々に添加し、pH4.7で30分間保持した。

    【0088】析出したオキシ水酸化バナジウム水和物を窒素ガス置換した装置の中で減圧濾過し、SO 2ガスをバブリングしたpH4.2〜4.8に調整した水500
    0mLずつで3回洗浄し、減圧下で乾燥した。

    【0089】得られたオキシ水酸化バナジウム水和物は、乾燥重量364.52g、バナジウム分析値43.
    70%、バナジウム含有量159.30g、溶液からのバナジウム収率83.8%であった。

    【0090】その夾雑金属の分析値は、Fe0.013
    %、Ni0.015%、Cr0.010%であった。

    【0091】空気酸化による酸化の程度は、V 5+含量/
    (V 4+ +V 5+ )含量(モル比)=0.025で示された。

    【0092】 硫酸中での硫黄還元 前記で得られたオキシ水酸化バナジウム水和物の硫酸中での硫黄還元を行なった。

    【0093】500mL容の4つ口フラスコに攪拌機、
    温度計および窒素ガス吹き込み管および排気排出管を付し、該フラスコに98%硫酸400g(4.0モル)および硫黄(粉末)70.4g(2.20当量)を仕込み、窒素ガス50mL/分を吹き込みながら215〜2
    25℃に昇温し、これに前記で得られたオキシ水酸化バナジウム水和物122.4g〔バナジウム分析値4
    3.70%、バナジウム100%換算53.5g(1.
    05当量)〕を次のように分割仕込みをした。

    【0094】まず、オキシ水酸化バナジウム水和物5
    7.2gをフラスコに仕込み、215〜225℃で3時間反応させると、反応混合物の粘性が一旦増大するが、
    経時とともに低下した。 ここで、オキシ水酸化バナジウム水和物32.6gを仕込み、前記と同様に215〜2
    25℃で3時間反応させると、一旦、粘性が増大するが、経時とともに低下した。 ここで、オキシ水酸化バナジウム水和物32.6gを仕込み、前記と同様にして2
    15〜225℃で3時間反応させると、反応混合物の粘性は低下し、排出ガス中のSO 2濃度が30ppm以下となった。

    【0095】この工程で反応混合物中に固体のV 2 (SO
    4 ) 2が生成し、還元が達成された。

    【0096】 反応混合物中の固体のV 2 (SO 4 ) 2の溶解 前記の反応混合物を110〜130℃に冷却し、水3
    00mLを徐々に添加した後、120〜130℃の温度に6時間加熱攪拌し、該反応混合物中に固体のV 2 (SO
    4 ) 2を溶解した。 その後半の3時間では、窒素ガス10
    0mL/分を該反応混合物中に通じ、還元反応で生成したSO 2を追い出した。

    【0097】この時点で、反応溶液を吸光法スペクトル分析したところ、V 3+ :V 4+ =100:1.94であった。

    【0098】 4価バナジウム化合物、すなわちオキシ水酸化バナジウム水和物の添加・溶解によるV 3+ :V
    4+のモル比および(V 3+ +V 4+ )濃度の調整 次に、前記で得られた反応溶液に、前記で得られたオキシ水酸化バナジウム水和物〔バナジウム分析値:4
    3.70%、バナジウム100%換算48.4g(0.
    95当量)、V 5+含量/(V 4+ +V 5+ )含量(モル比)
    =0.025〕を添加し、120〜130℃の温度に2
    時間加熱してオキシ水酸化バナジウム水和物を溶解した。

    【0099】 不溶性残渣の濾過除去 次に、前記反応混合物を吸引濾過したところ、濾液として次の分析値を示す電解液用原液と、濾液ケーキとして硫黄を主体とする不溶性残渣68.5gを得た。

    【0100】この不溶性残渣は、次回の仕込みの還元剤として使用することができる。 ただし、金属酸化物をも微量含有するため、数回リサイクルをした後には、処分することが望ましい。

    【0101】 濾液の吸光スペクトル分析 反応溶液を吸光法スペクトル分析したところ、V 3+ :V
    4+ (モル比)は1.005:1.000であった。

    【0102】 濃度調整 前記で得られた反応溶液に水を加え、全量を1000
    mLに調整した。

    【0103】 微量の不溶性残渣の濾過除去 前記で得られた溶液中の微量の不溶解残渣をメンブレンフィルターで濾過した。 得られた濾液は、分析の結果、以下のとおりであった。

    【0104】 V 3+含量/(V 3+ +V 4+ )含量(モル比)=1.005 (V 3+ +V 4+ )含量=2.002モル/L SO 4 2-含量=4.003モル/L Fe含量=30mg/L Ni含量=35mg/L Cr含量=23mg/L

    【0105】以上の結果から、この溶液は、バナジウムレドックスフロー電池用電解液として好適であった。

    【0106】実施例2 原料オキシ水酸化バナジウム水和物の調製 瀝青質混合物(ベネズエラ産)の燃焼の際に得られた集塵機灰〔湿潤重量:10062g〕(水分:19.00
    %、乾燥品の重量:8150g、乾燥品の分析値:V
    2.50%、N15.75%、S22.60%、C0.
    35%、Fe0.12%、Ni0.43%、Cr0.0
    1%、Mg6.15%)〔バナジウム含有量:203.
    76g(4.00モル)〕を40℃の水40Lに添加し、攪拌して懸濁させた。 得られた懸濁液のpHは2.
    25であり、溶液中のV 5+ /総V(モル比)は0.41
    3であった。

    【0107】この懸濁液にSO 2ガスを22.26Lを20分間で吹き込み、微量の酸およびアルカリでpHを2〜2.3に調整し、30分間保持した。

    【0108】濾過した後、濾過残渣(主成分:カーボン)を水125mLで2回洗浄した。 残渣の乾燥重量は、34.0gであった。

    【0109】次に、濾液に水を加えて51000gとし、この溶液を窒素ガス置換した容器に保存した。 この溶液を分析すると、バナジウム含有量が0.370%、
    即ち188.7gであり、原料灰からのバナジウムの収率は92.6%であり、溶液は4価バナジウムの存在を示す青色であった。

    【0110】この溶液48649g(バナジウム含有量:180g)を窒素ガス置換した装置の中の容器に入れ、50±3℃でアンモニア水を徐々に添加し、pHを4.7に30分間保持した。

    【0111】析出したオキシ水酸化バナジウム水和物を窒素ガス置換した装置の中で減圧濾過し、SO 2ガスをバブリングしたpH4.2〜4.8に調整した水250
    0mLづつで3回洗浄した。

    【0112】得られたオキシ水酸化バナジウム水和物の約半分を湿潤状態のままで窒素ガス置換した容器中に残して保存し、残りの約半分を減圧乾燥した。

    【0113】湿潤状態のものは、その量が426.9
    g、バナジウム含有率が17.10%、バナジウム10
    0%換算量が73.0g、溶液からのバナジウム収率が81.1%、酸化の程度を示すV 5+ /(V 4+ +V 5+
    〔モル比〕が0.010であった。

    【0114】減圧乾燥したものは、その量が166.6
    g、バナジウム含有率が43.75%、バナジウム10
    0%換算量が72.9g、溶液からのバナジウム収率が81.0%、酸化の程度を示すV 5+ /(V 4+ +V 5+
    〔モル比〕が0.075であった。 また、その夾雑金属の分析値は、次のとおりであった。 Fe:0.014
    %、Ni:0.014%、Cr:0.010%

    【0115】 硫酸中での硫黄還元 前記で得られたオキシ水酸化バナジウム水和物の硫酸中での硫黄還元を行なった。

    【0116】500mLの4つ口フラスコに攪拌機、温度計および排気排出管を取付け、98%H 2 SO 4 40
    0g(4.0モル)、硫黄(粉末)64.1g=2.0
    0当量を仕込み、窒素ガス100mL/分を通じながら、225〜235℃に昇温し、これに前記で得られたオキシ水酸化バナジウム水和物118.8g〔バナジウム分析値:43.75%、バナジウム100%換算5
    1.96g(1.02当量)〕を以下のように分割仕込みをした。 即ち、225〜235℃に保持した前記硫酸中に、前記で得られたオキシ水酸化バナジウム水和物を約10gずつ30分間間隔で添加した。

    【0117】約6時間で添加を終了するが、この間、反応混合物の粘性は、充分に攪拌可能な範囲内であった。

    【0118】更に225〜235℃で3時間反応させると、反応混合物の粘性が一層低下し、排出ガス中のSO
    2は50ppm以下となった。

    【0119】この工程において、反応混合物中に固体のV 2 (SO 4 ) 2が生成し、還元が達成された。

    【0120】 反応混合物中の固体のV 2 (SO 4 ) 2の溶解 前記の反応混合物を110〜130℃に冷却し、水3
    00mLを徐々に添加した後、120〜130℃に6時間加熱攪拌し、該反応混合物中の固体のV 2 (SO 4 ) 2の溶解を溶解した。 その後半の3時間には窒素ガス100
    mL/分を該反応混合物中に通じて、還元反応で生成したSO 2を追い出した。

    【0121】この時点で反応液を吸光スペクトル分析したところ、V 3+ :V 4+ =1.00:0.02であった。

    【0122】 4価バナジウム化合物、即ちオキシ水酸化バナジウム水和物の添加・溶解による(V 3+
    4+ )比率および(V 3+ +V 4+ )濃度の調整

    【0123】次に、これに前記で得られたオキシ水酸化バナジウム水和物の中で湿潤状態のまま、窒素置換した容器中に残して保存しておいたオキシ水酸化バナジウム水和物〔バナジウム含有率17.14%、水分60.
    7%、V 5+ /(V 4+ +V 5+ )=0.010〕291.9
    g(バナジウム100%換算49.92g、0.98当量)を添加し、120〜130℃に2時間加熱して溶解した。

    【0124】 不溶性残渣の濾過除去 次に、前記反応混合物を吸引濾過したところ、濾液として次の分析値を示す電解液用原液と、濾液ケーキとして硫黄を主体とする不溶性残渣61.0gを得た。

    【0125】この不溶性残渣は、次回の仕込みの還元剤として使用することができる。 ただし、金属酸化物をも微量含有するため、数回リサイクルをした後には、処分することが望ましい。

    【0126】 濾液の吸光スペクトル分析 前記の濾液を吸光スペクトル分析したところ、V 3+
    4+ =1.002:1.000であった。

    【0127】 濃度調整 前記で得られた濾液に水を加えて、全量を1000m
    Lに調整した。

    【0128】 微量の不溶性残渣の濾過除去 前記で得られた溶液中の微量の不溶解残渣をメンブランフィルターで濾過した。 得られた濾液は、分析の結果、

    【0129】 V 3+ :V 4+ =1.002:1.000 (V 3+ +V 4+ )=2.001モル/L SO 4 2- =3.998モル/L Fe=35mg/L Ni=38mg/L Cr=20mg/L であり、バナジウムレドックスフロー電池用電解液として好適であった。

    【0130】

    【発明の効果】本発明の製造方法によれば、化石燃料の燃焼の際に発生した燃焼煤の最も簡単な処理方法で得られる不純物含量が少ないバナジウム化合物を使用し、極めて有利な方法で4価バナジウムと3価バナジウムを等モルで含有する電解液を製造することができるという効果が奏される。

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 征郎 大阪府堺市築港新町3丁27番地13 新興化 学工業株式会社内 (72)発明者 川茂 恵正 大阪府堺市築港新町3丁27番地13 新興化 学工業株式会社内 (72)発明者 徳田 信幸 大阪府大阪市北区中之島3丁目3番22号 関西電株式会社内 (72)発明者 古家 昌之 大阪府大阪市北区中之島3丁目3番22号 関西電力株式会社内 (72)発明者 坂中 絃次郎 大阪府大阪市港区弁天1丁目2番1−1800 号 関電化工株式会社内 Fターム(参考) 5H026 AA10 BB01 BB08 BB10 EE11 HH00 HH05 HH08

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