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Thermistor element, temperature sensor using same, and manufacturing method thereof

阅读:522发布:2024-02-28

专利汇可以提供Thermistor element, temperature sensor using same, and manufacturing method thereof专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a thermistor element, a temperature sensor using the thermistor element, and a manufacturing method of the thermistor element wherein a temperature sensing is made possible properly by it, even under a reduction atmosphere and in the region of a high temperature exceeding 600°C, and its characteristic variation is suppressed.
SOLUTION: The thermistor element 2 has a thermistor 1a comprising a thermistor composition and a reduction-resistant coating layer 1b for coating densely the thermistor 1a. The thermistor 1a has a conductivity and includes a perovskite phase 1aa whose crystal structure is a perovskite type. The coating layer 1b is made of a multiple oxide, e.g., SrAl
2 O
4 , which includes the elements constituting a perovskite phase, i.e. when representing this perovskite phase as ABO
3 , at least a kind of metal element selected from the metal elements positioned in the A site, e.g., Sr, and at least a kind of metal element selected from the metal elements positioned in the B site, e.g., Al.
COPYRIGHT: (C)2007,JPO&INPIT,下面是Thermistor element, temperature sensor using same, and manufacturing method thereof专利的具体信息内容。

  • サーミスタ組成物からなるサーミスタ部と、上記サーミスタ部を被覆する耐還元性の被覆層とを備えるサーミスタ素子であって、
    上記サーミスタ部は、
    導電性を有し、結晶構造がペロブスカイト型であるペロブスカイト相を含み、
    上記被覆層は、
    上記ペロブスカイト相を構成する元素のうち、このペロブスカイト相をABO 3と表記した場合において、
    Aサイトに位置する金属元素のうち少なくとも1種の金属元素と、
    Bサイトに位置する金属元素のうち少なくとも1種の金属元素と、を含む 複酸化物からなるサーミスタ素子。
  • 請求項1に記載のサーミスタ素子であって、
    前記Aサイトに位置する金属元素及び前記被覆層をなす前記複酸化物は、Sr及びYの少なくともいずれかを含み、
    前記Bサイトに位置する金属元素及び上記複酸化物は、Alを含むサーミスタ素子。
  • 請求項2に記載のサーミスタ素子であって、
    前記被覆層をなす前記複酸化物は、SrAl 24であるサーミスタ素子。
  • 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のサーミスタ素子であって、
    前記サーミスタ部は、
    前記ペロブスカイト相よりも低導電性で、
    上記ペロブスカイト相を構成する金属元素から選択された少なくとも1種の金属元素をMeとしたとき、組成式MeOxで表記される金属酸化物の少なくとも1種からなる 金属酸化物相をさらに含むサーミスタ素子。
  • 請求項4に記載のサーミスタ素子であって、
    前記金属酸化物相は、前記被覆層をなす前記複酸化物からなるサーミスタ素子。
  • 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のサーミスタ素子を用いてなる温度センサ。
  • サーミスタ組成物からなるサーミスタ部と、上記サーミスタ部を被覆する耐還元性の被覆層とを備え、
    上記サーミスタ部は、導電性を有し、結晶構造がペロブスカイト型であるペロブスカイト相を含み、
    上記被覆層は、上記ペロブスカイト相を構成する元素のうち、このペロブスカイト相をABO 3と表記した場合において、Aサイトに位置する金属元素のうち少なくとも1種の金属元素と、Bサイトに位置する金属元素のうち少なくとも1種の金属元素と、を含む複酸化物からなるサーミスタ素子の製造方法であって、
    焼成により上記サーミスタ部となる未焼成サーミスタ部成形体の表面に、焼成により上記被覆層となる未焼成被膜を被覆する被覆工程と、
    同時焼成により、上記サーミスタ部を形成すると共に、上記被覆層を上記サーミスタ部の表面に形成する焼成工程と、を備えるサーミスタ素子の製造方法。
  • 請求項7に記載のサーミスタ素子の製造方法であって、
    前記被覆工程は、前記複酸化物を含むスラリーを前記未焼成サーミスタ部成形体にコーティングして、上記未焼成サーミスタ部成形体の表面に前記未焼成被膜を形成するサーミスタ素子の製造方法。
  • 说明书全文

    本発明は、温度によってその抵抗値が変化するサーミスタ素子、特に、還元雰囲気下で600℃を超える高温域でも好適に使用可能なサーミスタ素子、これを用いた温度センサ、及びサーミスタ素子の製造方法に関する。

    従来より、導電性を有し、その抵抗値(比抵抗)が温度によって変化する導電性酸化物焼結体を用いて温度測定を行うサーミスタ素子、さらには、このサーミスタ素子を用いた温度センサが知られている(特許文献1)。
    ところで、サーミスタ素子、温度センサの用途として、自動車エンジンなどの内燃機関からの排ガス温度測定がある。 この用途では、近年、DPFやNOx還元触媒の保護のため、サーミスタ素子に対し、例えば900℃付近の高温域における温度検知が要求される。 さらに、OBD対応等のため、サーミスタ素子に対し、低温での温度検知も要求されており、例えば−40℃の低温域から900℃付近の高温域までの広い温度域における温度検知が要求されこともある。
    また、このような用途の温度センサでは、検知ガス中のススの堆積防止や滴付着防止等の目的で、温度センサの検知部に配置するサーミスタ素子をステンレス合金等からなる金属チューブで覆う構成とする。

    特開平11−251109号公報

    しかるに、この金属チューブが、熱酸化が生じやすくなる600℃を超えると、例えば、900℃程度の高温とされると、熱酸化されて金属チューブ内の雰囲気が還元雰囲気となる。 すると、金属チューブ内のサーミスタ素子をなす酸化物が還元されてしまい、その抵抗値(特性)が変化する。
    そこで、金属チューブを予め熱処理し、その内面に金属または金属酸化物からなる被膜を形成し、高温下での熱酸化を抑え、サーミスタ素子が還元され、その抵抗値(特性)が変化するのを防止している。
    しかしそれでも、温度センサの使用中に、振動等によって被膜が破れたり、形成された被膜に欠陥が存在していたりすると、この部分で金属チューブが熱酸化し、サーミスタ素子が還元されてその抵抗値(特性)が変化する虞がある。

    これに対し、特許文献1には、Y(Cr,Mn)O 3・Y 23 、Y(Cr,Mn)O 3・Al 23等、ペロブスカイト相と金属酸化物相からなるサーミスタ部の表面に、Y 23 ,Al 23 ,SiO 2 ,Y 3 Al 512 ,3Al 23・SiO 2等の耐還元性組成物からなる耐還元性被膜を形成したサーミスタ素子が開示されている。

    しかしながら、上述のサーミスタ素子でも、高温に長時間晒した場合、その特性変動が十分抑えられないことが判った。 その原因は、サーミスタ部のペロブスカイト相と耐還元性被膜との間での金属元素の移動によるものと考えられた。 具体的には、上述の耐還元性組成物は、サーミスタ部のペロブスカイト相におけるAサイトあるいはBサイトに位置する金属元素を含むことを必須としていない。 このため、高温に長時間晒された場合に、Yなどペロブスカイト相のAサイトあるいはBサイトに位置する金属元素が耐還元性被膜(耐還元性組成物)に移行しやすい。 あるいはこの逆に、耐還元性被膜からペロブスカイト相に金属元素が移行し固溶し易い。 このように金属元素の移動による組成変動により、サーミスタ部及び耐還元性被膜の抵抗値やその特性が変化したものと考えられた。

    本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであって、還元雰囲気下で600℃を超える高温域でも、適切に温度検知ができ、特性変動が抑制されたサーミスタ素子を提供することを目的とする。 また、これらのサーミスタ素子を用いた温度センサ、及び、これらのサーミスタ素子の製造方法を提供することを目的とする。

    その解決手段は、サーミスタ組成物からなるサーミスタ部と、上記サーミスタ部を被覆する耐還元性の被覆層とを備えるサーミスタ素子であって、上記サーミスタ部は、導電性を有し、結晶構造がペロブスカイト型であるペロブスカイト相を含み、上記被覆層は、上記ペロブスカイト相を構成する元素のうち、このペロブスカイト相をABO 3と表記した場合において、Aサイトに位置する金属元素のうち少なくとも1種の金属元素と、Bサイトに位置する金属元素のうち少なくとも1種の金属元素と、を含む複酸化物からなるサーミスタ素子である。

    本発明のサーミスタ素子は、サーミスタ部を被覆する耐還元性の被覆層を備える。 この被覆層は、耐還元性を有するので、このサーミスタ素子を温度センサとして使用した場合において、金属ケースが酸化した場合など、サーミスタ素子の周囲の雰囲気が還元性雰囲気となったときでも、この被覆層自身が還元されにくく変化し難い。 従って、確実に内部のサーミスタ部を保護することができる。

    しかも、サーミスタ部のペロブスカイト相を構成する元素のうち、Aサイトに位置する金属元素のうち少なくとも1種の金属元素と、Bサイトに位置する金属元素のうち少なくとも1種の金属元素と、を含む複酸化物からなる。 このため、このサーミスタ素子では、還元雰囲気下で高温に長時間晒された場合でも、その特性変動が小さく、600℃を超える高温域でも適切に温度検知ができる。

    この理由としては、ペロブスカイト相あるいは被覆層の組成変動が生じにくく、サーミスタ部及び被覆層の抵抗値やその特性が変化し難いと考えられるからである。 具体的には、このサーミスタ素子が高温に長時間晒され、ペロブスカイト相のAサイトあるいはBサイトに位置する或る金属元素が被覆層に移行しようとしても、この被覆層は複数種類の金属元素からなる複酸化物であるので、この金属元素単独で被覆層中に移行することが抑制されると考えられる。 特に、その金属元素がこの複酸化物を構成している金属元素である場合には、ペロブスカイト相におけるこの金属元素の存在比と、複酸化物(被覆層)におけるこの金属元素の存在比との差(この金属元素に関する濃度勾配)が小さくなるので、さらに移行しにくいと考えられる。
    この逆に、被覆層からペロブスカイト相に金属元素が移行(固溶)する場合にも、複酸化物を構成する金属元素のうち一方の金属元素のみが他方の金属元素を残したまま、ペロブスカイト相に移行することは、困難であると考えられる。 特に、この複酸化物を構成する金属元素は、このペロブスカイトのAサイトあるいはBサイトに位置する金属元素でもある。 従って、ペロブスカイト相におけるこの金属元素の存在比と、複酸化物(被覆層)におけるこの金属元素の存在比との差が小さくなるので、この金属元素に関する濃度勾配の点からも、移行しにくいと考えられる。 このようにして、本発明のサーミスタ素子では、高温に長時間晒されても、ペロブスカイト相から被覆層(複酸化物)へ、あるいは、被覆層からペロブスカイト相への金属元素の移行が抑制され、これらにおける組成変動が抑制されると考えられる。

    なお、本発明のサーミスタ素子のうち、ペロブスカイト相は、ペロブスカイト型(ABO 3 )の結晶構造を有している。 Aサイトを占める金属元素は、1種でも良いが2種以上の金属元素からなっていても良い。 同じくBサイトを占める金属元素は、1種でも良いが2種以上の金属元素からなっていても良い。
    より具体的には、Aサイトを構成する金属元素としては、Laを除く3A族に含まれる金属元素、2A族に含まれる金属元素の少なくとも1種を挙げることができ、Bサイトを構成する金属元素としては、4A族,5A族,6A族,7a族、8族及びAlの少なくとも1種を挙げることができる。
    さらに、適度な導電性を有し、低温域から600℃を超える高温域までの広い温度域での温度検知を可能をする観点から、ペロブスカイト相は、Aサイトに、Laを除く3A族に含まれる金属元素M1、及び、2A族に含まれる金属元素M2を、Bサイトに、Crを除く4A族,5A族,6A族,7A族,及び8族の少なくともいずれかに含まれる金属元素M3、Al、及び、Crを含むと良い。
    さらにより好ましくは、ペロブスカイト相を(Y,Sr)(Mn,Cr,Al)O 3の組成とすることで、−40〜900℃の温度範囲における温度勾配定数(B定数(-40〜900))を2000〜3000Kの値に調整することが可能となる。

    また、本発明のサーミスタ素子を作製する際の焼成条件(酸化、還元等の焼成雰囲気、及び焼成温度など)や、ペロブスカイト相のAサイト及びBサイトにおける金属元素同士の置換の量比により、酸素の過剰或いは欠損を生じることがある。 従って、上述の組成式ABO 3における酸素原子とAサイトの金属元素とのモル比、及び酸素原子とBサイトの金属元素とのモル比は、それぞれ正確に3:1となっていなくても、ペロブスカイト型の結晶構造が維持されていればよい。

    また、被覆層(複酸化物)としては、ペロブスカイト相のAサイトに位置する金属元素のうち少なくとも1種の金属元素と、Bサイトに位置する金属元素のうち少なくとも1種の金属元素と、を含む複酸化物であり、サーミスタ部を被覆していればよい。 複酸化物の組成としては、例えば、Y−Al系酸化物(YAlO 3 ,Y 3 Al 512等)、Sr−Al系酸化物(SrAl 24 )などが挙げられる。 さらに、複数の複酸化物が混在していても良い。
    さらにこの被覆層は、サーミスタ部より低導電性であるのが好ましく、絶縁性であるのがさらに好ましい。 サーミスタ素子における抵抗値の変化の大半を、サーミスタ部で生じさせ、サーミスタ部の抵抗値や特性で、サーミスタ素子の抵抗値や特性を決定できるからである。

    さらに上述のいずれか1項に記載のサーミスタ素子であって、前記Aサイトに位置する金属元素及び前記被覆層をなす前記複酸化物は、Sr及びYの少なくともを含み、前記Bサイトに位置する金属元素及び上記複酸化物は、Alを含むサーミスタ素子とすると良い。

    本発明のサーミスタ素子では、ペロブスカイト相のうちAサイト、及び、被覆層をなす複酸化物に、Sr及びYの少なくともいずれかを含む。 また、Bサイト及ぶ複酸化物にAlを含む。 即ち、被膜層を、Sr及びYの少なくともいずれかとAlを含む複酸化物とする。 さらに、ペロブスカイト相のうち、AサイトにSr及びYの少なくともいずれか複酸化物と同じ金属元素を含み、その上、Bサイトにも複酸化物に含まれるAlを含んでいる。 このような複酸化物は、高温でも安定で耐還元性に優れる上、Sr,Y及びAlは、ペロブスカイト相のAサイト及びBサイトに用いる金属元素としても適切であるので、ペロブスカイト相の組成選択も適切に行いうる。 しかも、複酸化物とペロブスカイト相のAサイトに、同じSrを、またはYを、またはSrとYとを含む。 また、複酸化物とペロブスカイト相のBサイトに、同じAlを含んでいる。 このため、サーミスタ素子が高温に長時間晒された場合でも、ペロブスカイト相と複酸化物との間での金属元素の移動が生じにくく、サーミスタ部における組成変動が生じにくいため、このサーミスタ素子では、特性がさらに安定になる。

    さらに上述のサーミスタ素子であって、前記被覆層をなす前記複酸化物は、SrAl 24であるサーミスタ素子とすると良い。

    本発明のサーミスタ素子では、被覆層をなす複酸化物をSrAl 24とした。 この複酸化物は、高温でも安定で耐還元性に優れる上、Sr及びAlは、ペロブスカイト相のAサイト及びBサイトに用いる金属元素としても適切であるので、ペロブスカイト相の組成選択も適切に行いうる。

    さらに、上記いずれか1項に記載のサーミスタ素子であって、前記サーミスタ部は、前記ペロブスカイト相よりも低導電性で、上記ペロブスカイト相を構成する金属元素から選択された少なくとも1種の金属元素をMeとしたとき、組成式MeOxで表記される金属酸化物の少なくとも1種からなる金属酸化物相をさらに含むサーミスタ素子とすると良い。

    本発明のサーミスタ素子では、サーミスタ部に、ペロブスカイト相のほか、これより導電性の低い(絶縁性の高い)金属酸化物相を含む。 このため、サーミスタ部におけるペロブスカイト相と金属酸化物相との割合を適宜変化させれば、B定数を維持しつつ、サーミスタ部のひいてはサーミスタ素子全体の抵抗値を適宜の値にシフトさせることができる。 従って、サーミスタ素子において、所望の形態を有しながらも、所望の抵抗値とB定数を有するサーミスタ素子を提供することができる。

    また、もし金属元素Meが、ペロブスカイト相をなす金属元素でない場合には、焼結されたサーミスタ部において、ペロブスカイト相及び金属酸化物相のほかに、予期しない副生成物(副生成物相)が形成される虞があり、この副生成物の生成に起因する特性の変動が生じる可能性がある。 あるいは、金属元素Meが、ペロブスカイト相に固溶して、ペロブスカイト相の組成変動を生じさせ、特性をも変動させる虞がある。
    しかし、本発明のサーミスタ素子では、金属酸化物相における金属元素Meは、ペロブスカイト相を構成する金属元素から選択された金属元素である。 このため、焼結されたサーミスタ部において、ペロブスカイト相及び金属酸化物相のほかに、予期しない副生成物(副生成物相)が形成されるおそれが無く、この副生成物の生成に起因する特性の変動も生じない。 また、金属元素Meが、ペロブスカイト相に固溶して、他の金属元素との存在比が変動したとしても、ペロブスカイト相をなしていない金属元素が固溶した場合ほど、特性の変動が起こりえない。 また、金属酸化物相からペロブスカイト相への金属元素Meの移行も生じにくい。 従って、高温に長時間晒されても、ペロブスカイト相及び金属酸化物相ともに、安定した組成を維持しやすく、サーミスタ部のひいてはサーミスタ素子の抵抗値や特性の変動が生じにくい。

    なお、金属酸化物相としては、ペロブスカイト相を構成する金属元素から選択された少なくとも1種の金属元素をMeとしたとき、組成式MeOxで表記される金属酸化物の少なくとも1種からなる結晶構造を有する相で有ればよい。 具体的には、例えば、ペロブスカイト相が(Y,Sr)(Mn,Cr,Al)O 3の組成をなす場合、単一金属元素の酸化物として、Y 23 ,SrO,CaO,MnO 2 ,Al 23 ,Cr 23などが挙げられる。 また、複酸化物として、Y−Al系酸化物(YAlO 3 ,Y 3 Al 512等)、Sr−Al系酸化物(SrAl 24 )などが挙げられる。 さらに、これらの酸化物が複数混在しているものでも良い。

    さらに、上述のサーミスタ素子であって、前記金属酸化物相は、前記被覆層をなす前記複酸化物からなるサーミスタ素子とすると良い。

    本発明のサーミスタ素子では、金属酸化物相は、被覆層をなす複酸化物からなる。 つまり、金属酸化物相と被覆層とは同じ複酸化物からなる。 このようにすると、高温に長時間晒された際に、金属酸化物相と被覆層との間で、これらを構成する金属元素の移行が生じにくく、これらの組成変動が生じにくい。 従って、さらに、サーミスタ素子の抵抗値や特性の変動が生じにくい。 また、金属酸化物相と被覆層(複酸化物)との熱膨張率差がなく、また、両者が一体化しやすいので、サーミスタ部と被覆層とがより強固に固着する利点もある。

    さらに他の解決手段は、前述のいずれか1項に記載のサーミスタ素子を用いてなる温度センサである。

    本発明の温度センサは、前述のサーミスタ素子を用いている。 このため、本発明の温度センサは、還元性雰囲気下で600℃を超える高温域下に長時間晒された場合でも、適切に温度検知ができ、特性変動も抑制されたものとすることができる。

    さらに、他の解決手段は、サーミスタ組成物からなるサーミスタ部と、上記サーミスタ部を被覆する耐還元性の被覆層とを備え、上記サーミスタ部は、導電性を有し、結晶構造がペロブスカイト型であるペロブスカイト相を含み、上記被覆層は、上記ペロブスカイト相を構成する元素のうち、このペロブスカイト相をABO 3と表記した場合において、Aサイトに位置する金属元素のうち少なくとも1種の金属元素と、Bサイトに位置する金属元素のうち少なくとも1種の金属元素と、を含む複酸化物からなるサーミスタ素子の製造方法であって、焼成により上記サーミスタ部となる未焼成サーミスタ部成形体の表面に、焼成により上記被覆層となる未焼成被膜を被覆する被覆工程と、同時焼成により、上記サーミスタ部を形成すると共に、上記被覆層を上記サーミスタ部の表面に形成する焼成工程と、を備えるサーミスタ素子の製造方法である。

    本発明のサーミスタ素子の製造方法では、未焼成サーミスタ部成形体の表面に未焼成被膜を被覆しておき、同時焼成により、サーミスタ部を形成すると共に、被覆層をサーミスタ部の表面に形成する。 従って、一旦サーミスタ部を焼成した後、これに未焼成被膜を形成し、さらにこれを焼成して被覆層とする場合に比して、これらを有するサーミスタ素子を容易に形成できる。

    しかも、被覆層は、ペロブスカイト相を構成する元素のうち、Aサイトに位置する金属元素と、Bサイトに位置する金属元素とを含む複酸化物からなる。
    このため、本発明により製造されたサーミスタ素子では、還元性雰囲気下で600℃を超える高温に長時間晒された場合でも、その特性変動が小さく、適切に温度検知ができる。 さらに、焼成条件の変動による影響も受けにくく、個体間及び焼成ロット間における特性ばらつきの少ないサーミスタ素子を製造することができる。

    さらに上述のサーミスタ素子の製造方法であって、前記被覆工程は、前記複酸化物を含むスラリーを前記未焼成サーミスタ部成形体にコーティングして、上記未焼成サーミスタ部成形体の表面に前記未焼成被膜を形成するサーミスタ素子の製造方法とすると良い。

    本発明のサーミスタ素子の製造方法は、複酸化物を含むスラリーを用い、未焼成サーミスタ部成形体の表面にコーティングしてにより未焼成被膜を形成する。 このため、未焼成被膜の形成が容易である。 また、複酸化物を含むスラリーを用いるので、焼成時の反応により複酸化物を形成する場合に比して、焼成後の被覆層、あるいは、これに接するサーミスタ部(ペロブスカイト相あるいは金属酸化物相)への影響も抑制できる。

    本発明に係るサーミスタ素子2の実施例を、比較例と対比して説明する。

    まず、実施例1〜4及び比較例1〜3にかかるサーミスタ素子2の製造について説明する。 ペロブスカイト相用の仮焼粉末を以下のようにして得る。 即ち、原料粉末として、実施例1〜4及び比較例1,2については、Y 23 ,Nd 23 ,SrCO 3 ,MnO 2 ,Fe 23 ,Al 23 ,Cr 23 (全て純度99%以上の市販品を用いた。)を用いて、化学式(組成式)を(M1 a M2 b )(M3 c Al d Cr e )O 3としたときのa,b,c,d,eが、表1に示すモル数となるように、それぞれ秤量する。 なお、M1はペロブスカイト相のAサイトに位置するLaを除く3A族に含まれる金属元素を、M2は同じくAサイトに含まれる2A族に含まれる金属元素を、M3はBサイトに位置するCrを除く4A族,5A族,6A族,7A族及び8族に含まれる金属元素を示す。
    さらに、これらの原料粉末を湿式混合して乾燥することにより、ペロブスカイト相用の原料粉末混合物を調整した。 次いで、この原料粉末混合物を大気雰囲気下1400℃で2Hr仮焼し、平均粒径1〜2μmのペロブスカイト相用の仮焼粉末を得た。

    一方、金属酸化物相用の仮焼粉末を以下のようにして得る。 即ち、原料粉末として、SrCO 3 ,Al 23 (全て純度99%以上の市販品を用いた。)を用いて、化学式(組成式)SrAl 24となるように、それぞれ秤量し、これらの原料粉末を湿式混合して乾燥することにより、金属酸化物相用の原料粉末混合物を調整した。 次いで、この原料粉末混合物を大気雰囲気下1200℃で2Hr仮焼し、平均粒径1〜2μmの金属酸化物相用の仮焼粉末を得た。

    ついで、ペロブスカイト相用の仮焼粉末と金属酸化物相用の仮焼粉末とを秤量し、これらの仮焼粉末と、分散媒のエタノールとを樹脂ポットに投入し、高純度Al 23玉石を用いて湿式混合粉砕を行い、実施例1〜3及び比較例1,2のサーミスタ素子2のうち、後述するサーミスタ部1aに用いるスラリーをそれぞれ得た。

    また、比較例3にかかるペロブスカイト相用の仮焼粉末を以下のようにして得た。 即ち、原料粉末として、Y 23 ,Cr 23 (全て純度99%以上の市販品を用いた。)を用いて、化学式(組成式)がYCrO 3となるように、つまり表1に示すように、YとCrのモル比が1:1となるようにそれぞれ秤量し、これらの原料粉末を湿式混合して乾燥することにより、ペロブスカイト相用の原料粉末混合物を調整した。 次いで、この原料粉末混合物を大気雰囲気下1400℃で2Hr仮焼し、平均粒径1〜2μmのペロブスカイト相用の仮焼粉末を得た。
    ついで、このペロブスカイト相用の仮焼粉末を分散媒のエタノールと共に樹脂ポットに投入し、高純度Al 玉石を用いて湿式混合粉砕を行うことで、スラリーを得た。

    次いで、上述のようにして得た各スラリーを80℃で2Hr乾燥し、サーミスタ部用の合成粉末を得た。 その後、この合成粉末100重量部に対し、ポリビニルブチラールを主成分とするバインダーを20重量部添加して混合、乾燥する。 さらに、250μmメッシュの篩を通して造粒し、サーミスタ部用の造粒粉末を得た。
    なお、使用しうるバインダーとしては、上述のポリビニルブチラールに特に限定されず、例えばポリビニルアルコール、アクリル系バインダー等が挙げられる。 バインダーの配合量は上述の仮焼粉末全量に対し、通常5〜20重量部、好ましくは10〜20重量部とする。
    また、バインダーと混合するにあたり、サーミスタ合成粉末の平均粒子径は2.0μm以下としておくのが好ましく、これによって均一に混合することができる。

    ついで上述の造粒粉末を用いて、金型成型法にてプレス成形(プレス圧:4500kg/cm 2 )して、図1に示すように、Pt−Rh合金製の一対の電極線2a,2bの一端側が埋設され他端側が平行に突出する六形板状(厚さ1.24mm)の未焼成サーミスタ部成形体を得る。

    ついで、被覆層用の仮焼粉末を、以下のようにして得る。 即ち、原料粉末として、SrCO 3 ,Al 23 ,Y 23 (全て純度99%以上の市販品を用いた。)を用いて、表1に示す化学式(組成式)となるように、具体的には、実施例1,3,4についてはSrAl 24 ,実施例2及び比較例3についてはY 3 Al 512 ,比較例1についてはY 23 、比較例2についてはAl 23となるようにそれぞれ秤量し、これらの原料粉末をそれぞれ湿式混合して乾燥することにより、被覆層用の原料粉末混合物を調整した。 次いで、この原料粉末混合物をそれぞれ大気雰囲気下1200〜1400℃で2Hr仮焼し、平均粒径1〜2μmの被覆層用の仮焼粉末を得た。

    ついで、この被覆層用の仮焼粉末と、エチルセルロースを主成分とするバインダーと、分散媒のブチルカルビトール及びアセトンとを乳鉢と乳棒を用いて混練し、被覆層用(複酸化物)のスラリーをそれぞれ得た。

    そして、前述の未焼成サーミスタ部成形体のうち、実施例1,3,4及び比較例1,2にかかるものについては、一対の電極線2a,2bの突出部分を除いた部分を、この被覆層用のスラリー中に没して、この被覆層用のスラリーをディップコーティングする。 その後、これを乾燥させて、未焼成サーミスタ部成形体の表面に未焼成被膜を形成した未焼成成形体をそれぞれ得る。

    その後、これらの未焼成成形体を大気雰囲気中において1450〜1550℃で、焼成(同時焼成)した。 これにより、図1に示すように、一対の電極線2a,2bと、この一端側が埋設され他端側が平行に突出する六角形板状のサーミスタ素子本体1とからなる実施例1,3,4及び比較例1,2にかかるサーミスタ素子2を製造した。 なお、サーミスタ素子本体1は、いずれもサーミスタ部1aと、このサーミスタ部1aを緻密に被覆してなる被覆層1bとからなる。

    一方、実施例2及び比較例3に係るサーミスタ素子2については、被覆層(複酸化物)にY 3 Al 512を用いる。 そこで、実施例2及び比較例3に係る前述の未焼成サーミスタ部成形体については、まず、被覆層用のスラリーでコーティングすることなく、上記の焼成条件で焼成する。 その後、一対の電極線2a,2bの突出を除いた部分を部分を、この実施例2及び比較例3に対応して準備した前述の被覆層用のスラリーに没して、被覆層用のスラリーをディップコーティングする。 その後、これを乾燥させて、再度焼成して、サーミスタ部1a及びこれを被覆する緻密な被覆層1bとを有するサーミスタ素子2を製造した。

    実施例2及び比較例3にかかるサーミスタ素子ついては、被覆層1b(複酸化物)にサーミスタ部1aよりも焼結温度の高いY 3 Al 512を用いているため、上述したように、未焼成サーミスタ部成形体を先行して焼成した後に、被覆層1bを形成した。 この点で、同じ実施例のうちでも、実施例2にかかるサーミスタ素子2に比して、実施例1,3,4にかかるサーミスタ素子の方が、容易かつ安価に製造できる。
    なお、各サーミスタ素子2は、そのうちサーミスタ部1aが一辺1.78mmの六角形状で、厚み1.00mm、被覆層1bの厚みが10〜50μm、電極線2a,2bの径φ0.3mm、電極中心間距離0.85mm(ギャップ0.55mm)、電極挿入量1.36mm、である。

    ついで、実施例1〜4及び比較例1〜3にかかるサーミスタ素子2の被覆層1bが、耐還元性及びサーミスタ部1aの保護機能を有していることを確認するため、以下に示す評価を行った。
    まず、外気と遮断された管状炉内にそれぞれのサーミスタ素子2を配置する。 この時点での管状炉内の雰囲気は、大気雰囲気としておく。 そしてこの管状炉内を1000℃に昇温させ、大気雰囲気下1000℃における各サーミスタ素子2の抵抗値Rk(1000)を求めた。
    その後、管状炉内に繋いだ配管から水素ガス及び水蒸気ガスを流して管状炉内の酸素分圧PO2を、PO2=10 -11.1 (atm)となるように制御しつつ、管状炉内を1000℃に保ち、この管状炉内を還元雰囲気とする。 そして、この環境下に各サーミスタ素子2を1Hr放置した後、再度、各サーミスタ素子2について1000℃における抵抗値Rk'(1000)を測定した。
    そして、以下の式(1)を用いて、抵抗値の変化量△Rk(%)を算出した。
    △Rk(%)=100−(Rk(1000)/Rk'(1000))×100 …(1)
    その結果、実施例1〜4及び比較例1〜3のサーミスタ素子2は、いずれも抵抗値変化量△Rkが小さく、大きなものでも高々±5%程度であった。 従って、これらのサーミスタ素子2の被覆層1bはいずれも、自身が還元されにくい耐還元性を有し、しかも内部のサーミスタ部1aを還元性雰囲気から保護できることが確認できた。

    ついで、本実施例1〜3及び比較例1〜3のサーミスタ素子について、以下のようにして温度勾配定数(B定数)B(-40〜900)を測定した(表2参照)。 即ち、まず、サーミスタ素子2を、絶対温度T(-40)=233K(=-40℃)の環境下に放置し、その状態でのサーミスタ素子2の初期抵抗値Rs(-40)を測定した。 ついで、サーミスタ素子2を、絶対温度T(900)=1173K(=900℃)の環境下に放置し、その状態でのサーミスタ素子2の初期抵抗値Rs(900)を測定した。 そして、B定数:B(-40〜900)を、以下の式(2)に従って算出し、初期抵抗値Rs(-40),T(900)及びB定数:B(-40〜900)を表2に示した。
    B(-40〜900)=ln[Rs(900)/Rs(-40)]/[1/T(900)−1/T(-40)] …(2)
    なお、Rs(-40)は−40℃におけるサーミスタ素子の抵抗値(kΩ)、Rs(900)は900℃におけるサーミスタ素子の抵抗値(kΩ)である。

    一方、実施例4については、以下のようにして温度勾配定数(B定数)B(100〜900)を測定した(表2参照)。 まず、実施例4にかかるサーミスタ素子2を、絶対温度T(100)=373K(=100℃)の環境下に放置し、その状態でのサーミスタ素子2の初期抵抗値Rs(100)を測定した。 ついで、このサーミスタ素子2を、絶対温度T(900)=1173Kの環境下に放置し、その状態でのサーミスタ素子2の初期抵抗値Rs(900)を測定した。 そして、B定数:B(100〜900)を、以下の式(3)に従って算出し、それぞれの値を表2に示した。
    B(100〜900)=ln[Rs(900)/Rs(100)]/[1/T(900)−1/T(100)] …(3)
    なお、Rs(100)は100℃におけるサーミスタ素子2の抵抗値(kΩ)である。

    さらに、実施例1〜4及び比較例1〜3にかかる各サーミスタ素子2について、後述するようにして温度センサ100に組み込み、この温度センサ100の状態でのサーミスタ素子2の初期抵抗値Rt(100),Rt(300),Rt(600),及びRt(900)を測定した。 ついで、温度センサ100を大気中1050℃の環境下に50Hr保持し、その後、上述と同様にして、100,300,600,900℃におけるサーミスタ素子の熱処理後抵抗値Rt'(100),Rt'(300),Rt'(600),Rt'(900)をそれぞれ測定した。 その上で、900℃における初期抵抗値Rt(900)と熱処理後抵抗値Rt'(900)との比較から、熱処理による抵抗変化の温度変化換算値CT(900)(単位:deg)を、下記式(4)により算出した。 同様にして、式(5),(6),(7)により温度変化換算値CT(100),CT(300),CT(600)をそれぞれ算出し、表2に示した。
    なお、実施例4については、下記式(4)〜(7)におけるB(-40〜900)に代えて、B(100〜900)を用いて、各温度変化換算値CT(100)等を算出した。
    CT(900)=[(B(-40〜900)×T(900))/[ln(Rt'(900)/Rt(900))×T(900)+B(-40〜900)]]−T(900) …(4)
    CT(100)=[(B(-40〜900)×T(100))/[ln(Rt'(100)/Rt(100))×T(100)+B(-40〜900)]]−T(100) …(5)
    CT(300)=[(B(-40〜900)×T(300))/[ln(Rt'(300)/Rt(300))×T(300)+B(-40〜900)]]−T(300) …(6)
    CT(600)=[(B(-40〜900)×T(600))/[ln(Rt'(600)/Rt(600))×T(600)+B(-40〜900)]]−T(600) …(7)

    また、以下のようにして、サーミスタ部1aの断面組織写真を撮影し、面積分率SP/Sを算出した。
    まず、サーミスタ素子本体1を樹脂に埋め込み、3μmのダイヤペーストを用いたバフ研磨処理を行って断面を研磨した試料を作成した。 その後、走査型電子顕微鏡(JEOL社製 商品名:JSM-6460LA)により、サーミスタ部1aの断面を倍率3000倍で写真撮影する。 図3に実施例1に係るサーミスタ部1aの断面写真を示す。 なお、EDSによる組成分析から白色部分がペロブスカイト相1aa、暗灰色の部分が金属酸化物相(具体的には、SrAl 24 )1abである。 また、黒色部分は気孔である。 このように、実施例1等においては、ペロブスカイト相1aaと金属酸化物相1abとが分散して存在したサーミスタ部1aとなっていることが判る。
    撮影した組織写真のうち、40μm×30μmの視野を画像解析装置にて解析し、視野(断面積S)に対するペロブスカイト相1aaの総断面積SPの占める割合(面積分率)SP/Sを求めた。

    なお、複合相からなる焼結体において、任意の断面において、特定の相が占める面積分率は、当該特定の相が焼結体内で占める体積分率に等しくなる。 つまり、この面積分率SP/Sは、サーミスタ部1aに占めるペロブスカイト相1aaの体積分率とも等しい。 さらに、図3を参照すると判るように、本実施例のサーミスタ部1aは、ペロブスカイト相1aaと金属酸化物相1abの2相からなっているので、気孔分を除けば、面積分率SP/Sは、ほぼ、ペロブスカイト相1aaと金属酸化物相1abとの面積割合や体積割合を示すことになる。

    表2によれば、実施例1〜4のサーミスタ素子2では、温度変化換算値CT(100),CT(300),CT(600),CT(900)が、いずれも低い値、具体的には、高々±3degの範囲の値になった。 これに対し、比較例1〜3では、実施例に比して、温度変化換算値CT(100),CT(300),CT(600),CT(900)が大きな値となった。 即ち、本実施例1〜4のサーミスタ素子2では、各温度における抵抗値が安定しており、高温に長時間晒された後でも、その抵抗値の変化量が少ないことが判る。 このようなサーミスタ素子2では、熱履歴に拘わらず安定して抵抗値測定ができ、正確な温度測定ができる。

    これは、比較例1,2においては、被覆層1bに、複酸化物ではなく、Y 23 (比較例1)あるいはAl 23 (比較例2)を用いたためであると解される。 即ち、高温に長時間晒されると、比較例1では、ペロブスカイト相1aaのAサイトあるいはBサイトに位置する金属元素Sr,Mn,Cr,Alが被覆層1bに移動する、あるいは、被覆層1bを構成する金属元素Yがペロブスカイト相1aaに移動(固溶)することで、ペロブスカイト相1aa及び被覆層1bの組成変動が生じ、これによって、サーミスタ素子2の特性が変動したと考えられる。
    同様に比較例2では、ペロブスカイト相1aaのAサイトあるいはBサイトに位置する金属元素Y,Sr,Mn,Cr,が被覆層1bに移動する、あるいは、被覆層1bを構成する金属元素Alがペロブスカイト相1aaに移動(固溶)することで、ペロブスカイト相1aa及び被覆層1bの組成変動が生じ、これによって、サーミスタ素子2の特性が変動したと考えられる。
    また、比較例3においては、被覆層1bに、複酸化物のY 3 Al 512を用いているが、ペロブスカイト相1aaがYCrO 3であり、被覆層をなす複酸化物が、ペロブスカイト相1aaのうちBサイトに位置する金属元素Crを含んでいない。 このため、高温に長時間晒されると、この金属元素Crが被覆層1bに移動しやすい。 また、複酸化物のうち金属元素Alが、ペロブスカイト相1aaのうちBサイトに含まれていない。 このため、高温に長時間晒されると、この金属元素Alがペロブスカイト相1aaに移動(固溶)しやすい。 このため、ペロブスカイト相1aa及び被覆層1bに大きな組成変動が生じ、これによって、サーミスタ素子2の特性が大幅に変動したと考えられる。

    これに対し、本実施例1のサーミスタ素子2では、被覆層1bは、ペロブスカイト相のAサイトに位置する金属元素SrとBサイトに位置する金属元素Alとを含む複酸化物SrAl 24である。 このため、このサーミスタ素子2が高温に長時間晒されて、ペロブスカイト相のAサイトあるいはBサイトに位置するY,Sr,Mn,Al,Crが被覆層に移行しようとしても、被覆層1bが複酸化物SrAl 24であるので、これらの金属元素単独で被覆層1b中に移行することが抑制される。 特に、これらの金属元素のうちSr,Alについては、この複酸化物を構成している金属元素であるので、ペロブスカイト相と複酸化物におけるSrの存在比の差(濃度勾配)、あるいはAlの存在比の差(濃度勾配)が小さくなるので、さらに移行しにくい。
    またこの逆に、被覆層1bからペロブスカイト相1aaに金属元素Sr,Alが移行(固溶)する場合にも、一方の金属元素(例えばSr)のみが他方の金属元素(たとえばAl)を残したまま、ペロブスカイト相1aaに移行することは、困難であると考えられる。 特に、Sr,Alについては、上述したように、ペロブスカイト相と複酸化物との存在比の差(濃度勾配)が小さくなるので、この点からも、移行しにくい。 かくして、本実施例1のサーミスタ素子2では、高温に長時間晒されても、ペロブスカイト相1aa及び被覆層1bにおける組成変動が抑制されたと考えられる。 同様なことは、他の実施例3及び4についても言えることである。

    さらに、実施例2と、実施例1,3,4における温度変化換算値CT(100),CT(300),CT(600),CT(900)とを比較すると、全体的に、実施例2の方が大きい傾向にある。 このことから、被覆層1bとしては、SrAl 24を用いるのがより好ましいと言える。 さらに、金属酸化物相1abと被覆層1bとを同じ材質とした実施例1,3では、サーミスタ部1aと被覆層1bとがより強固に固着しており、さらに耐久性が高いと考えられる。 金属酸化物相1abと被覆層(複酸化物)1bとの熱膨張率差がなく、また、両者が一体化しやすいからである。

    また、表2によれば、表1に示す、サーミスタ本体1aと、これを被覆する被覆層1bとを有する、実施例1〜3のサーミスタ素子2では、B定数:B(-40〜900)が、B(-40〜900)=2000〜3000Kという、従来に比して相対的に低い値のサーミスタ素子本体1(サーミスタ素子2)とすることができる。
    なお、B定数の範囲は、好ましくは、B(-40〜900)=2000〜2900Kとなるようにすると良く、さらに好ましくは、B(-40〜900)=2000〜2800Kとなるようにすると良い。

    しかも、実施例1〜3においては、サーミスタ部1aに、ペロブスカイト相1aaの他、このペロブスカイト相1aaよりも導電性の低い(絶縁性の高い)金属酸化物相(SrAl )1abが加えられている。 このようにすると、B定数を適宜の値に維持しつつ初期抵抗値R(-40),R(900)など、サーミスタ素子2が示す抵抗値を増加させることができる。 即ち、ペロブスカイト相と金属酸化物相の量比(ペロブスカイト相の面積分率SP/S)の調整によって、抵抗値を適宜の値に調整することができる。

    かくして、本実施例1〜3の各組成を有するサーミスタ部1aを有するサーミスタ素子2は、−40℃の低温下から900℃の高温までの広い範囲にわたって抵抗測定を行うのに適する、2000〜3000KのB定数を有するものとすることができる。 さらに、このサーミスタ素子2は、その形状、電極線の間隔等に応じて、サーミスタ部1aにおける金属酸化物相1abの多寡、つまりペロブスカイト相1aaの面積分率SP/Sを適宜調整することで、抵抗値の大きさを調整することができ、−40℃の低温下から900℃の高温までの広い範囲にわたって適切な抵抗値となるものにできる。 これにより、本実施例1〜3のサーミスタ素子2によれば、−40℃の低温下から900℃の高温までの広い範囲にわたって適切に温度測定が可能となる。

    ついで、本実施例1〜4に係るサーミスタ素子2を用いた温度センサ100の構成について、図2を参照して説明する。 この温度センサ100は、サーミスタ素子2を感温素子として用いるものであり、この温度センサ100を自動車の排気管の取付部に装着して、サーミスタ素子2を排気ガスが流れる排気管内に配置させて、排気ガスの温度検出に使用するものである。

    温度センサ100のうち、軸線に沿う方向(以下、軸線方向ともいう)に延びる金属チューブ3は、先端部31側(図2中、下方)が閉塞した有底筒状をなしており、この先端部31の内側に本実施例のサーミスタ素子2を収納してなる。 この金属チューブ3は、予め熱処理が施されており、その外側面及び内側面が酸化皮膜に覆われている。 この金属チューブ3の内側でサーミスタ素子2の周囲には、セメント10が充填されて、サーミスタ素子2を固定している。 金属チューブ3の後端32は開放されており、この後端32部分は、フランジ部材4の内側に圧入、挿通されている。

    フランジ部材4は、軸線方向に延びる筒状の鞘部42と、この鞘部42の先端側(図2中、下方)に位置し、この鞘部42よりも大きい外径を有して径方向外側に突出するフランジ部41とを備えている。 フランジ部41の先端側には、排気管の取付部とシールを行うテーパ状の座面45を有しいる。 また、鞘部42は、先端側に位置する先端側鞘部44とこれよりも径小の後端側鞘部43とからなる二段形状をなしている。

    そして、フランジ部材4内に圧入された金属チューブ3は、その外周面が後端側鞘部43と周方向全周に亘り部位L1でレーザー溶接されることで、フランジ4に強固に固定されている。 また、フランジ部材4の先端側鞘部44には、概略円筒形状の金属カバー部材6が圧入され、周方向全周に亘り部位L2でレーザ溶接されて、気密状態で接合されている。

    また、フランジ部材4及び金属カバー部材6の周囲には、六角ナット部51およびネジ部52を有するナット5が回動自在に嵌挿されている。 本実施例の温度センサ100は、排気管の取付部(図示しない)にフランジ部材4のフランジ部41の座面45を当接させ、ナット5をこの取付部に螺合させることにより、排気管に固定する。

    金属チューブ3、フランジ部材4および金属カバー部材6の内側には、一対の芯線7を内包するシース部材8が配置されている。 このシース部材8は、金属製の外筒81と、導電性の一対の芯線7と、外筒81内に充填されこの外筒81と各芯線7のと間を絶縁しつつ芯線7を保持する絶縁粉末(図示しない)とから構成されている。 なお、このシース8の外筒にも予め熱処理により、酸化皮膜が形成されている。 金属チューブ3の内部においてシース部材8(外筒81)の先端から(図中下方に)突出する芯線7には、サーミスタ素子2の電極線2a,2bがレーザ溶接によりそれぞれ接続されている。
    一方、シース部材8(外筒81)から後端側に突き出した芯線7は、加締め端子11を介して一対のリード線12に接続されている。 芯線7同士及び加締め端子11同士は、絶縁チューブ15により互いに絶縁されている。

    この一対のリード線12は、金属カバー部材6の後端部内側に挿入された弾性シール部材13のリード線挿通孔を通って、金属カバー部材6の内側から外部に向かって引き出され、外部回路(図示しない。例えば、ECU)と接続するためのコネクタ21の端子部材に接続されている。 これにより、サーミスタ素子2の出は、シース部材8の芯線7からリード線12、コネクタ21を介して図示しない外部回路に取り出され、排気ガスの温度が検出される。 リード線12には、飛石等の外力から保護するためのガラス編組チューブ20が被せられており、このガラス編組チューブ20は、自身の先端部が弾性シール部材13と共に金属カバー部材6に加締め固定されている。

    このような構造を有する温度センサ100では、前述のサーミスタ部1a及び被覆層1bを有するサーミスタ素子2を用いている。 このため、例えば、金属チューブ3やシース8の外筒に形成した酸化皮膜の一部が破損したり、酸化皮膜に欠陥が生じていたりすることにより、サーミスタ素子2の周囲が還元雰囲気となった場合でも、被覆層1bにより、その内部のサーミスタ部1aが還元されることが防止される。 従って、このような場合であっても、サーミスタ素子2の抵抗値や抵抗温度特性を安定して維持することができる。 かくして、安定して適切に温度を測定することができる温度センサとなる。

    以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
    例えば、サーミスタ素子2の製造において、原料粉末として、実施例において例示した各元素を含む化合物の粉末を使用することができる。 そのほか、酸化物、炭酸塩、水酸化物、硝酸塩等の化合物を用いることができる。 なお、特に酸化物、炭酸塩を用いるのが好ましい。
    また、サーミスタ素子(サーミスタ部、被覆層)の焼結性、B定数、温度特性の高温耐久性、耐還元性など、サーミスタ素子、サーミスタ部、被覆層、あるいは温度センサに要求されると特性を損なわない範囲で、サーミスタ部、被覆層に、Na,K,Ga,Si,C,Cl,S等の他の成分を含有していてもよい。
    さらに、実施例で示したサーミスタ素子2は、被覆層1bを有し良好な耐還元性を有していることから、酸化皮膜を形成していない金属チューブを用いた温度センサに適用することもできる。

    本実施例に係るサーミスタ素子の形状を示す説明図であり、(a)は斜視図、(b)は縦断面図である。

    図1のサーミスタ素子を用いた温度センサの構造を示す部分破断断面図である。

    サーミスタ素子本体の断面における組織の状態例(実施例1)を示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。

    符号の説明

    1 サーミスタ素子本体1a サーミスタ部1aa ペロブスカイト相1ab 金属酸化物相1b 被覆層2 サーミスタ素子2a,2b 電極線100 温度センサ

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