【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は情報処理装置に関し、特に、操作に慣れていないユーザが利用できるように、計算機内部の論理的な動作状態を外部の物理世界に存在する物の外観や動作を模擬したメタファ環境を提供するメタファインタフェース装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】第１の従来技術として、デスクトップメタファを実現するウィンドウシステムを用いた従来のメタファインタフェース装置では、その操作に関してある程度の知識を持つユーザにとっては画面表示が理解し易いが、予備知識を持たないユーザは、その表示の意味が理解し難い。 例えば、特開平２−２５０１１３号公報や特開平４−２８８６４１号公報に示されるメタファインタフェース装置では、ウィンドウはそれぞれのアプリケーションに着目した場合の個別機能や内容を示し、アイコンは装置自体に着目した場合のアプリケーション間の関係を示すものであり、主たる入出力を行うためのウィンドウと、提供できる機能や同時実行中の処理を示すアイコンが同一画面に表示される。 この場合、表示画面上での位置関係には特別な意味が与えられておらず、ユーザがウィンドウとアイコンを区別するには、その表示面積の差異や内部に描かれている文字や図形の意味を記憶しておく必要がある。 また、異なる視点でのオブジェクトを同一画面に表示することが、不慣れなユーザの理解を混乱させる。

【０００３】第２の従来技術として、メタファ環境上のオブジェクトであるアイコン等の詳細な意味を示すための説明表示を付加してユーザの記憶負荷を低減した従来のメタファインタフェース装置では、例えば、特開平１
−１７３１３９号公報や特開平４−１６８４８２号公報で示すように、アイコンにキーワードや記号といった情報を付加するものがあるが、付加された記号やキーワードが理解できるユーザに対しては有効であっても、予備知識を持たないユーザは、新たなキーワードや記号を記憶する負荷がかかる。 また、特開平３−１４４７１９号公報に示すような機能説明ウィンドウをマニュアル形式で常時画面上に表示するものでは、ユーザに十分な情報が提供されるが、その説明を読むこと自体が煩雑であるとともに、説明表示が大きな画面領域を占有して操作対象の情報を隠してしまうため、操作効率が低下する。

【０００４】第３の従来技術として、ＲＰＧ（ロール・
プレイング・ゲーム）に代表されるように、日常生活している現実世界の景色や事象を模擬した従来のメタファインタフェース装置では、メタファ環境の中での自分自身を表すオブジェクトの操作が煩雑となり操作効率が低下する。 例えば、情報処理学会第４６回全国大会講演論文集に記載の「マップ・アンド・ルーム」（５−１６９
頁〜５−１７０頁）では、空間的広がりを表現可能な地図や都市のメタファによってネットワークサービスを提供するが、現実世界と同様に自分自身を表現するオブジェクトを操作環境で設定された道路（移動可能な経路）
に従って目的地（起動するアプリケーション等）まで移動する操作が必要になるため、操作が煩雑になり操作効率が低下する。

【０００５】第４の従来技術として、ユーザが日常使用している機器等のメタファを利用した従来のメタファインタフェース装置では、特別な訓練や教育を行うことなく操作や表示を理解することが可能であるが、メタファとして適用した従来機器の操作体系によって提供できる機能が限定されることになり、従来の機器と同程度の機能やサービスしか提供できない。 例えば、特開平３−８
４６２２号公報や特開平４−５２７１９号公報に示されるようなＴＶセットやビデオといった既存の機器のメタファを用いた場合、その操作と動作は日常の経験だけで簡単に理解できるが、これらの機器にない機能（画面編集等）をユーザに理解させることが困難であり、メタファインタフェース装置が持つ機能を十分に発揮したサービスが提供できない。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】この従来のメタファインタフェース装置では、第１の従来技術に示すように、
ユーザがウィンドウとアイコンを区別するには、その表示面積の差異や内部に描かれている文字や図形の意味を記憶しておく必要があるとともに、異なる視点でのオブジェクトを同一画面に表示することがユーザの混乱を招くという問題がある。 また、第２の従来技術に示すように、予備知識を持たないユーザに付加情報を理解するための新たなキーワードや記号を記憶する負荷がかかったり、付加された説明を読むこと自体が煩雑で、説明表示が操作対象の情報を隠すため、操作効率が低下したりするという問題がある。 さらに、第３の従来技術で示すように、メタファ環境中での自分自身を表すオブジェクトの操作が煩雑となり操作効率が低下するという問題がある。 さらに、第４の従来技術で示すように、メタファインタフェース装置が持つ機能を十分に発揮できないという問題がある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明のメタファインタフェース装置は、計算機内部の論理的な動作状態をユーザに分かり易く表現するために、外部の物理世界に存在する物の外観や動作を模擬したメタファ環境を利用するメタファインタフェース装置において、２次元表示を行う表示手段と、この表示手段に対応するユーザの入力座標位置を検出し、メタファ環境の状態に応じたイベントデータに変換して出力する入力手段と、ある操作の操作内容や操作条件を記述した代理処理手続を受け取り、指定された条件でユーザが操作した場合と同等なイベントデータを出力することによりユーザ操作の代理実行機能を実現する操作代理手段と、これらのイベントデータを受け取り、あらかじめ用意した機能群から対応する機能を選択的に実行し、その実行結果を出力するとともに、
ある操作の代理実行を要求するイベントデータを受け取った場合に、その操作に対応する代理処理手続を生成し、前記操作代理手段に出力するイベント解釈手段と、
この実行結果を受け取り、メタファを用いてこの実行結果を表現する新たな表示画面を形成して前記表示手段に出力するとともに、この新たなメタファ環境の状態を前記入力手段に出力するメタファ環境生成手段で構成される。

【０００８】また、本発明のメタファインタフェース装置は、前記入力手段が、前記表示手段とともに直接操作を実現する一体型入出力手段を形成することを特徴とする。

【０００９】また、本発明のメタファインタフェース装置は、通信回線から受信したデータに対応したイベントデータを生成し前記イベント解釈手段に出力するとともに、前記メタファ環境生成手段が出力するメタファ環境の状態を受け取り、必要なデータを通信回線に送信する通信制御手段を有し、通信回線を介して接続された他のメタファインタフェース装置との双方向通信を行う手段を有することを特徴とする。

【００１０】また、本発明のメタファインタフェース装置は、前記イベント解釈手段が、前記入力手段又は前記操作代理手段からイベントデータを入力とし、該入力されたイベントデータがある操作の代理実行を要求するものかを判別する代理処理イベント判別手段と、前記判別が代理実行の要求である場合に、前記代理処理イベント判別手段から前記イベントデータを入力し、対応する操作の操作内容及び操作条件を記述した代理処理手続を生成し前記操作代理手段に出力する代理処理手続生成手段と、前記判別が代理実行の要求でない場合に、前記代理処理イベント判別手段から前記イベントデータを入力し、対応する処理をアプリケーションプログラムから取得して実行し、実行結果を出力するオブジェクト制御手段とから構成されることを特徴とする。

【００１１】また、本発明のメタファインタフェース装置は、前記メタファ環境生成手段が、メタファの取り決め事項を記述したメタファルールを蓄積するメタファルール蓄積手段と、前記イベント解釈手段から前記実行結果を入力し前記メタファルール蓄積手段から前記メタファルールを読み出し表示画面等の動作状況の変更を指示するメタファ管理手段と、前記メタファ管理手段の指示により動作状態を決定して保持し、メタファ環境の状態を前記入力装置に出力する状態保持手段と、メタファの表示イメージを蓄積する画面データ蓄積手段と、前記状態保持装置から前記動作状態を入力し、前記画面データ蓄積手段から表示イメージを読み出し、表示画面を形成し出力する表示制御手段とから構成されることを特徴とする。

【００１２】

【作用】本発明のメタファインタフェース装置では、街等の現実世界の景色や事象を模擬したメタファを利用して操作環境や処理動作を表現しており、ユーザは日常得られる知識だけで表示内容を理解することができ、特別な記憶負荷がかかったり混乱したりすることがなく、第１の従来技術の問題を解決する。

【００１３】また、ユーザに負荷がかかる複雑な処理を代行する操作代理手段を有しており、この操作代理手段がメタファインタフェース装置のもつ機能を十分に発揮してサービスを提供するため、第４の従来技術の問題を解決するとともに、これらの提供サービスの操作体系を操作代理手段によって統一することが可能である。

【００１４】また、この操作代理手段をメタファ環境が表現する世界上のキャラクタとして表現し、その処理をキャラクタの動作として視覚化しており、特別なキーワード等の記憶が不必要であるとともに、文章等で表現されるメッセージを読む場合と比べて、ユーザが短時間でその動作の概要を理解可能であるため、メッセージ表示が占有する画面領域や表示時間を減少させることができ、第２の従来技術の問題を解決する。

【００１５】また、特別な訓練や教育なしでユーザが操作可能な一体型入出力手段を有することによって、操作代理手段の処理と独立にユーザが画面上のオブジェクトを直接操作可能としており、メタファ環境の中での自分自身を表すオブジェクトを持つことによる操作効率の低下がなく、第３の従来技術の問題点を解決する。

【００１６】

【実施例】次に、本発明について図面を参照して説明する。

【００１７】本発明の第１の実施例をブロックで示す図１を参照すると、この実施例のメタファインタフェース装置において、表示装置１は２次元表示を行う。 入力装置２は、ユーザ入力時に表示装置１に対応する入力座標位置を検出し、メタファ環境の状態に応じて座標位置をイベントデータに変換して出力する。 操作代理装置５
は、ある操作の操作内容や操作条件を記述した代理処理手続を受け取り、指定された条件でユーザが操作した場合と同等なイベントデータを出力することによりユーザ操作の代理実行機能を実現する。 イベント解析装置３
は、入力装置２及び操作代理装置５の出力であるイベントデータを受け取り、あらかじめ用意した機能群から対応する機能を選択的に実行し、その実行結果を出力する。 また、イベント解釈装置３は、ある操作の代理実行を要求するイベントデータを受け取った場合に、その操作に対応する代理処理手続を生成し、操作代理装置５に出力する。 メタファ環境生成装置４は、イベント解釈装置３の実行結果を受け取り、ユーザが日常生活で知覚できる現実世界の景色や事象を模擬したメタファを用いた新たな表示画面を形成して表示装置１に出力する。 また、メタファ環境生成装置４は、この新たなメタファ環境の状態を入力装置２に出力する。

【００１８】イベント解釈装置３の一例を示す図２を参照する。 代理処理イベント判別装置１１は、入力装置２
及び操作代理装置５の出力であるイベントデータを受け取り、このイベントデータがある操作の代理実行を要求するものであるかを判別し、受け取ったイベントデータを、代理実行の要求であった場合には、代理処理手続生成装置１２に、それ以外の場合には、オブジェクト制御装置１３に選択的に出力する。 代理処理手続生成装置１
２は、代理処理イベント判別装置１１から操作の代理実行を要求するイベントデータを受け取り、対応する操作の操作内容や操作条件を記述した代理処理手続を生成し、操作代理装置５に出力する。 アプリケーションプログラム１４は、イベントデータに対応した処理内容を記述したプログラム群である。 オブジェクト制御装置１３
は、代理処理イベント判別装置１１からイベントデータを受け取り、対応する処理をアプリケーションプログラム１４から取得して実行しその実行結果を出力する。

【００１９】メタファ環境生成装置４の一例を示す図３
を参照する。 メタファルール蓄積装置１６は、例えば、
操作環境を表す街の景色と代理処理動作を表すキャラクタで構成した街のメタファにおけるキャラクタ移動範囲や表示方法のように、適用したメタファの取り決め事項（現実世界での物理法則等に対応する）を記述したメタファルールを蓄積する。 メタファ環境管理装置１５は、
イベント解釈装置３の出力である実行結果を受け取り、
メタファルール蓄積装置１６から読み出したメタファルールに従って表示画面等の動作状態の変更を状態保持装置１７に指示する。 状態保持装置１７は、現在の動作状態を保持し、その動作状態を入力装置２及び表示制御装置１８に出力する。 また、状態保持装置１７は、メタファ環境管理装置１５の指示により動作状態を変更する。
画面データ蓄積装置１９は、例えば、街のメタファにおける街の景色やキャラクタの外観のように、適用したメタファの表示イメージを蓄積する。 表示制御装置１８
は、状態保持装置１７から現在の動作状態を受け取り、
画面データ蓄積装置１９から必要な表示イメージを読み出して表示画面を形成し、表示装置１に出力する。

【００２０】本発明によるメタファインタフェース装置の表示画面の一例を示す図６を参照すると、操作世界は街のメタファとして表現される。 操作世界の中のオブジェクトは、アプリケーションプログラムの起動を指示するための建物アイコンと、代理操作の指示及びその動作表示を行うためのキャラクタで構成される。 ユーザは、
入力装置２で選択（ポインティング操作）することにより、これらのオブジェクトを操作可能である。 建物アイコンを選択した場合は、対応するアプリケーションが起動され、アプリケーション実行画面が表示される。 アプリケーション実行中は、表示画面上のリストやソフトボタン等のオブジェクトを選択することによりアプリケーションへの入力を行う。 アプリケーションの実行を終了（終了ボタン選択等）すると、起動前の街のメタファ画面に戻る。 同様に、キャラクタを選択した場合には、ソフトボタンやリスト選択等による代理処理の指示画面となり、以降表示画面上のオブジェクトを選択して代理処理の指示を行う。 代理処理の指示を終了すると、街のメタファ画面に戻る。 このようにして指示された代理処理は、予約時間になる等の指示した条件が満たされると、
実行が開始される。 代理処理の実行中は、画面上のキャラクタが街の建物を訪ね歩く等の動作表示が行われ、アプリケーションの選択や実行等の様子がユーザに視覚的に示される。 さらに、動作中のキャラクタを選択することにより、指示内容や実行状況の詳細が画面に表示される。

【００２１】図１、図２、図３、図６を参照してこの実施例の動作を説明する。 表示装置１に図６に示すような操作世界（街のメタファ画面）が表示されている状態で、ユーザが建物アイコンを選択すると、入力装置２により表示装置１に対応する入力座標が検出され、現在のメタファ環境の状態（入力位置に建物アイコンが表示されていること）から対応するイベントデータ（アプリケーションの起動要求）が生成される。 オブジェクト制御装置１３は、このイベントデータを代理処理イベント判別装置１１を介して受け取り、アプリケーションプログラム１４から対応する処理を選択的に実行し、実行結果（アプリケーション起動完了等）を出力する。 メタファ環境管理装置１５は、この実行結果を受け取り、メタファルール蓄積装置１６に蓄積されているルール（アプリケーション機動に関するルール）を得て対応する画面表示状態を決定し、状態保持装置１７に画面表示状態の変更（アプリケーション起動画面の表示）を指示する。 状態保持装置１７は、この指示によって動作状態を変更し、新しい動作状態を入力装置２及び表示制御装置１８
に出力する。 表示制御装置１８は、この新しい動作状態に従って画面データ蓄積装置から必要な表示イメージ（アプリケーション起動画面等）を読み出して表示画面を形成し、表示装置１に出力する。 このようにして、ユーザが建物アイコンを選択した結果としてアプリケーション起動画面が表示される。 さらに、入力装置２は、受け取った新しい動作状態に従って、以降のユーザ入力の座標位置からイベントデータ（アプリケーションへの入力等）を生成する。 このイベントデータは、同様に、オブジェクト制御装置１３が受け取り、アプリケーション実行中の入力データとして処理される。 その結果は、メタファ環境管理装置１５でメタファルールと比較され、
状態保持装置１７の動作状態（表示画面等）を変更する。 さらに、表示制御装置１８を介して表示装置１の表示が変更されるとともに、入力装置２で以降生成されるイベントデータも変更される。 ユーザがアプリケーションを終了する入力を行うと、同様にして状態保持装置１
７の動作状態が変更され、街のメタファ画面に戻る。

【００２２】ユーザが街のメタファ画面でキャラクタを選択した場合も、入力装置２がイベントデータ（代理処理の指示開始）を生成し、オブジェクト制御装置１３が代理装置の指示を行うアプリケーションを起動する。 この結果が状態保持装置１７を介して表示装置１の表示に反映（代理処理指示画面が表示）される。 アプリケーション操作と同様にして代理処理を指示した後、ユーザが指示終了を入力（ソフトボタンの選択等）すると、入力装置２が指示終了を示すイベントデータとともに、代理処理要求を示すイベントデータを生成する。 指示終了を示すイベントデータは、代理処理イベント判別装置１１
を介してオブジェクト制御装置１３が受け取り、状態保持装置１７の保持する動作状態が変更され、表示が街のメタファ画面に戻る。 また、代理処理要求を示すイベントデータは、代理処理イベント判別装置１１を介して代理処理手続生成装置１２に出力される。 代理処理手続生成装置１２は、このイベントデータを受け取り、対応する操作の操作内容や操作条件を記述した代理処理手続を生成して操作代理装置５に出力する。 代理処理の実行は、操作代理装置５がこのようにして与えられた手続の内容や条件に従って、ユーザが操作した場合と同様なイベントデータをイベント解釈装置３に出力することによって実現される。 代理処理では、オブジェクト制御装置１３の処理結果を受け取ったメタファ環境管理装置１５
が、状態保持装置１７にキャラクタ表示状態の変更を指示する。 表示制御装置１８は、状態保持装置１７の変更された動作状態を受け取り、キャラクタ表示を変更（イメージ変更や移動等）して表示装置１に出力する。 このようにして、ユーザ操作の代理実行機能を提供し、その実行状態を視覚的にユーザに示す。

【００２３】以上述べたように、街のメタファによって統一された操作世界を提供することにより、アプリケーションや代理処理の実行内容が視覚的に理解し易く、ユーザが日常得られる知識だけで表示内容や動作が理解できる。 さらに、予約処理等の特定の条件で実行しなければならない処理や、情報の検索または編集といった複雑な処理をユーザに代わって処理する機構を提供することで、ユーザに特別な操作知識や技術を要求することなく、メタファインタフェース装置のもつ機能を十分に発揮したサービスを提供することが可能である。 例えば、
ある商品の情報収集を行う場合、様々なアプリケーションを起動しながら必要な情報を複写してメモ帳アプリケーションに記録していくといった複雑で煩雑な操作が必要である。 これを商品名や機能（情報収集等）という簡単なキーワードで代理処理として実行することにより、
ユーザの負荷が大きく軽減される。 また、この代理処理の実行が操作世界上の動作として視覚化されるため、ユーザが動作を確認しながら指示を行うことが可能であり、操作の信頼性と効率が向上する。 さらに、ユーザが情報収集の方法を知らなかった場合にも、代理処理として指示し、画面上のキャラクタの動作を追うことによって、その操作を理解することができる。 このように、動作を伴うマニュアルとして利用することで、ユーザへの教育効果が期待できる。

【００２４】本発明の第２の実施例をブロックで示す図４を参照すると、この実施例のメタファインタフェース装置は、例えば、ディスプレイとその表示面前面に装着されたタッチパネルのように、図１における表示装置１
と入力装置２が、直接操作を実現する一体型入出力装置１０を形成するように構成されたものである。 このように、直接操作を実現することで特別な操作技術を持たないユーザでも利用可能であり、ユーザが装置を使うための教育期間が大幅に短縮される。 また、キャラクタ等の選択操作は、指やペンで画面上のオブジェクトをタッチするだけでよく、ユーザがメタファ環境の中での自分自身を表すオブジェクトを操作する従来のメタファインタフェース装置に比べて操作効率が向上する。 さらに、マウスやカーソルキーといった現在の座標位置からの相対的な移動方向や移動距離を示すデバイスに比べて、操作にかかる時間が大幅に短縮され、マウスやカーソルキーでは困難であった動くオブジェクトの選択操作が容易に行える。 このため、メタファ環境内でキャラクタが移動しても、ユーザが容易にキャラクタを選択（タッチする）ことができ、ユーザの操作負荷を増加させることなく、代理操作の視覚化の効果を十分に発揮できる。

【００２５】本発明の第３の実施例をブロックで示す図５を参照すると、この実施例のメタファインタフェース装置は、図１の実施例の構成に加えて、通信制御装置６
により通信回線を介して接続された他のメタファインタフェース装置との双方向通信を行う機能を有する。 他のメタファインタフェース装置からのデータは、通信制御装置６によって通信回線を介して受信され対応するイベントデータに変換されてイベント解釈装置３に出力される。 イベント解釈装置３は、対応する機能を選択的に実行し、その実行結果によりメタファ環境生成装置４が、
メタファを利用した表示画面を生成して表示装置１に表示する。 また、通信制御装置６は、メタファ環境生成装置４からメタファ環境の状態を受け取り、必要なデータを他のメタファインタフェース装置へ通信回線を介して送信する。 他のメタファインタフェース装置からの接続要求は、通信制御装置６が通信回線を介して受け取り、
イベントデータに変換する。 イベント解釈装置３は、このイベントデータを受け取り通信アプリケーションを起動する。 メタファ環境生成装置４は、この実行結果を受け取ってメタファを利用した表示画面を生成し、表示装置１の画面上に通信相手を表すキャラクタを表示する。
さらに、通信制御装置６がメタファ環境生成装置４からメタファ環境の状態を受け取り、通信開始要求データを生成し、他のメタファインタフェース装置へ通信回線を介して送信する。 このようにして、双方向通信が確立すると、ユーザは画面上のキャラクタを選択することにより相手の名前等の情報を画面に表示したり、テレビ電話のようなアプリケーションをお互いに起動することが可能である。 また、通信相手の要求を受け情報提供を行う場合等、特定の手順に従った複雑な処理が必要となる場合には、通信制御装置６からのイベントデータにより、
ユーザが予め定めた範囲内で操作代理装置５が必要な手順の操作を代行することができる。 通信が終了すると、
ディスプレイ１の画面上から相手キャラクタの表示が消える。

【００２６】このように、通信サービス提供時に、通信相手を表すキャラクタを画面に表示することで、通信開始時の動作が容易に理解できるとともに、ユーザ同士のコミュニケーションを円滑化する。 例えば、電話のようなユーザ同士のコミュニケーションを開始する前に名前や目的等の事前情報を入手することが可能であり、自然なコミュニケーションへの移行とユーザの的確な対応を支援する。 また、双方の代理処理機能によりキャラクタ同士のコミュニケーション（双方の代理処理装置同士の通信機能）を実現することにより、ユーザの操作を要求しない情報収集が可能となる。 例えば、興味のある情報の収集をあらかじめ代理処理として指示しておけば、他のメタファインタフェース装置との通信時に必要情報が自動的に収集される。 また、情報を共有したいユーザをあらかじめ指定しておくことにより、ユーザが情報の転送等の操作を行うことなく、情報を共有することができる。 これにより、ユーザの負荷が軽減されるとともに、
情報交流の機会が増加する。 さらに、このキャラクタ同士のコミュニケーションが視覚化されているため、必要に応じたユーザによる処理内容の確認及び修正が容易に行える。 これにより、ユーザの要求を的確に反映した効率的で信頼性の高い処理を実現可能である。

【００２７】

【発明の効果】以上説明したように、本発明のメタファインタフェース装置では、複雑な操作をユーザに代わって実行する操作代理装置と、ユーザが日常得られる知識だけで画面表示の内容や装置の動作状態が理解可能なメタファ環境を提供するメタファ環境生成装置と、操作が直接的で理解し易い一体型入出力装置と、他のメタファインタフェース装置との双方向通信を実現する通信制御装置を提供し、ユーザに特別な操作知識や技術を要求することなく、メタファインタフェース装置のもつ機能を十分に発揮したサービスを統一した操作体系で提供することが可能である。 これにより、従来のメタファインタフェース装置に比べて、画面表示や操作体系の複雑さによるユーザの混乱がない。 また、ユーザの記憶負荷や教育期間が大幅に短縮され、これまで操作の困難さのために利用できなかった人に対しても情報通信サービスを提供できる。 さらに、メッセージを動きの情報として視覚的に示すため、文章等を読む場合と比べて、短時間でその動作の概要を理解可能であり、メッセージが占有する画面領域や表示時間が大幅に減少するとともに、ユーザ教育の効果がある。 また、通信時において、同じ操作性で事前情報の提供を可能とし、コミュニケーションの円滑化とユーザの的確な対応を支援する。 また、効率的で信頼性の高い代理処理を実現し、操作負荷を軽減しながら、情報交流の機会を増加させることが可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例を示すブロック図である。

【図２】イベント解釈装置の一例を示すブロック図である。

【図３】メタファ環境生成装置の一例を示すブロック図である。

【図４】本発明の第２の実施例を示すブロック図である。

【図５】本発明の第３の実施例を示すブロック図である。

【図６】本発明によるメタファインタフェース装置の表示画面の一例を示す図である。

【符号の説明】

１ 表示装置 ２ 入力装置 ３ イベント解釈装置 ４ メタファ環境生成装置 ５ 操作代理装置 ６ 通信制御装置 １０ 一体型入出力装置 １１ 代理処理イベント判別装置 １２ 代理処理手続生成装置 １３ オブジェクト制御装置 １４ アプリケーションプログラム １５ メタファ環境管理装置 １６ メタファルール蓄積装置 １７ 状態保持装置 １８ 表示制御装置 １９ 画面データ蓄積装置