【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はテレホンカード等の可搬記録媒体に広告情報と広告プログラムを記憶させておき、可搬記録媒体を端末装置にセットしたとき、広告プログラムを起動させて広告情報を端末装置の画面に表示するようにした広告システムに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、広告手段として、紙をベースとした、例えば新聞、雑誌、折り込み広告等さまざまな媒体が使われており、一方、テレビやラジオと言った放送メディアを利用したコマーシャル等も広く用いられている。 また、ネオンサインや街頭での大画面を利用して広告を表示することも行われている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】紙をベースとした広告の場合、大量に配付するなり、提示することで、常に広告の提示が可能であるが、動きや音等で伝わる臨場感を表現する事は不可能である。 また、テレビやラジオといった放送メディアを活用した場合、臨場感は表現できるものの、広告を流す時間帯等に宣伝効果が依存してしまい、必ずしも十分な宣伝効果が得られるとは限らない。
また、街頭の大画面等による方法では装置が大がかりであり、かつ宣伝する領域が限定されてしまい、広くあまねく宣伝することはできない。

【０００４】本発明は上記課題を解決するためのもので、紙や放送メディアを利用することなく、また大がかりな装置を必要とせずに可搬記録媒体を利用する人達へのサービスを提供すると共に、広告を確実に提示できる可搬記録媒体による広告システムを提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、ディスプレイを有する端末装置と、端末装置と情報のやり取りを行うとともに、電子決済する機能を有する可搬記録媒体とからなるシステムにおいて、可搬記録媒体は書換え可能な記憶領域に電子財布、広告情報および広告プログラムが格納されており、可搬記録媒体を端末装置にセットしたとき、前記広告情報及び／または広告プログラムを読み出して端末装置に送信し、前記端末装置は受信した広告プログラムを起動させて前記ディスプレイに広告情報を表示することを特徴とする。 また、本発明は、ディスプレイを有する端末装置と、端末装置と情報のやり取りを行うとともに、電子決済する機能を有する可搬記録媒体とからなるシステムにおいて、前記可搬記録媒体は、書換え可能な記憶領域に電子財布、広告情報および広告プログラムが格納されるとともに、広告情報、広告プログラムを読み出す読み出し手段と、広告プログラムを起動させる実行手段とを有し、前記実行手段により映像化した広告情報の映像信号を端末装置に送信し、端末装置のディスプレイに広告情報を表示するようにしたことを特徴とする。 また、本発明は、ディスプレイを有する端末装置と、端末装置と情報のやり取りを行うとともに、電子決済する機能を有する可搬記録媒体とからなるシステムにおいて、前記可搬記録媒体は書換え可能な記憶領域に電子財布、広告情報および広告プログラムが格納されており、可搬記録媒体を端末装置にセットしたとき、端末装置からの命令に対する応答として、可搬記録媒体が前記広告情報及び／または広告プログラムを読み出して端末装置に送信し、前記端末装置は受信した広告プログラムを起動させて前記ディスプレイに広告情報を表示することを特徴とする。 また、本発明は、広告情報が音情報を含み、端末装置はディスプレイに広告情報を表示するとともに、音情報を発信するようにしたことを特徴とする。

【０００６】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について説明する。 図１は本発明のシステム概念図で、端末装置１に対してＩＣカード２をセットすると、端末装置１
からはＩＣカード２に対して、コマンド（命令）を送信し、これを受信したＩＣカード２はコマンドを解釈して書き込み、読み取り、読み出し等の処理を実行し、処理結果をレスポンスとして端末装置１に返すようになっている。 端末装置１としては、本発明においては、電話機、会員制テレビ等ディスプレイを有するものであり、
ＩＣカード２は電話カード（テレホンカード）や電子決済機能を有するものである。

【０００７】図２は端末装置１の構成を示し、演算処理装置であるＣＰＵ１０、読み出し専用メモリであるＲＯ
Ｍ１１、処理を実行するためのプログラムやデータを格納して作業エリアを提供するＲＡＭ１２、電話の場合には通話時間、テレビ等の場合は放映時間等を刻むための時計１３、インターフェース１４を介してＣＰＵ１０から送信される情報を表示するためのディスプレイ１５からなっている。

【０００８】図３に示すように、ＩＣカード２はＣＰＵ
２０、ＲＡＭ２１、ＲＯＭ２２、ＥＥＰＲＯＭ２３（不揮発性メモリであれば他のメモリでもよい）を有しており、ＲＯＭ２２に記憶されているプログラムをＣＰＵ２
０に読み込み、端末装置１から送信されるコマンドをＩ
／Ｏポートを通して受信すると、コマンドと共に送信されたデータを読み込んで、必要な処理を行い、結果をＥ
ＥＰＲＯＭ２３の所定のファイルエリアに書き込み、Ｉ
／Ｏポートを通してレスポンスを出力するものである。
なお、プログラムはＥＥＰＲＯＭ２３に記憶してもよい。

【０００９】本発明のＩＣカード２は、ＥＥＰＲＯＭ２
３に広告情報や広告プログラムが格納され、端末装置１
にセットしたときに広告情報がディスプレイに表示されることを特徴とするものである。

【００１０】図４は本発明の実施の形態の例を説明する図である。 ＩＣカード２のＥＥＰＲＯＭ２３には電子財布領域が設けられ、例えば電話カード（テレホンカード）のようなものであれば、電話をかけることができる度数が設定されているか、あるいは決済可能な金額が設定されていて、要した費用がここから減算されるようなものであり、また、広告情報や広告プログラムが格納されている。 ＩＣカード２を端末装置１にセットすると、
端末装置側のＣＰＵ１０は内蔵のカウンタ１７（ＲＡＭ
１２内に設定される）を作動させ、例えば電話の場合では、通話時間に対応した度数（料金）を計数してその計数値をカード側のＣＰＵ２０に送信し、ＣＰＵ２０側では電子財布で決済するか、あるいは設定された度数から減算するようになっている。 電話の場合、端末装置から電話番号を入力し始めると、カードの読出手段２５（Ｒ
ＯＭ２２に格納された読み出しプログラム）が広告情報、広告プログラムを読み出し、これをそのまま電話機の実行手段１６（ＲＯＭ１１に格納されたプログラム）
に渡し、実行手段１６では広告プログラムを起動させて、回線が接続されるとインターフェース１４を介してディスプレイ１５に広告情報を表示する。 通話が終了して回線が遮断されると、広告の提示を終了し、同時にＣ
ＰＵ１０により料金の清算が行われてカード側に伝えられ、決済される。

【００１１】図５は本発明の他の実施の形態を示す図である。 この例では、読取手段２５で広告情報、広告プログラムを読みだし、広告プログラムを起動させて広告情報の映像信号化をカード側の実行手段２６（ＲＯＭ２２
に格納されたプログラム）で行い、端末装置側には広告の映像信号を送信してディスプレイ１５に表示させるようにした点のみ図４の例と異なっており、他は同じである。

【００１２】図６は本発明の広告システムを適用する電話機の外観図である。 図示するように、例えば公衆電話機３０は送受話器３１、大画面からなる表示領域３２を有し、またＩＣカード挿入口３３が設けられている。 もちろん、本発明においては、このような大きな公衆電話機に限らず、家庭用電話機、携帯電話機等にも適用可能である。

【００１３】図７は本発明のシステムを電話機に適用した場合の広告提示処理フローの例を説明する図である。
まず、テレホンカードを挿入し、電話番号入力を開始すると（ステップＳ１，Ｓ２）、広告プログラムが起動し（ステップＳ３）、電話回線が接続されたか否か判断し（ステップＳ４）、回線が接続されると広告が提示される（ステップＳ５）。 次いで回線が遮断されたか否か判断し（ステップＳ６）、通話が継続されている間は広告が提示され、通話が終了して回線が遮断されると広告提示を終了し（ステップＳ７）、料金清算が行われ（ステップＳ８）て処理は終了する。

【００１４】このようなテレホンカードを利用者が購入するとき、例えば１０００円で１２０度数のカードを購入できるようにし、２０度数分の料金を広告を行うスポンサーが引き受ける形とすることにより、利用者およびスポンサーにとってそれぞれメリットが得られる。

【００１５】次に、本発明を会員制放送の会員カードとテレビ（端末装置）に適用したシステムについて説明する。 この例におけるＩＣカードは会員カードであると共に、広告情報、広告プログラムが格納され、これを図８
に示すような端末装置である会員制テレビ４０にセットしたとき、端末装置側ではその暗証番号等から認証を行って真正な利用者に対して会員制放送を提供するものである。 なお、図８において、会員制テレビ４０の画面４
１の下方に会員カード挿入口４２が設けられている。 図９は会員制放送に適用した場合の広告提示処理フローを示す図である。 広告情報、広告プログラムが格納された会員カードをテレビに挿入する。 （ステップＳ１１）。
カードの挿入により広告プログラムが起動し（ステップＳ１２）、画面を通して広告が提示される（ステップＳ
１３）。 次いで、テレビ側では会員カードから読み取った暗証番号等により認証処理を実行し（ステップＳ１
４）、認証がＯＫであれば（ステップＳ１５）、次に番組放映が準備ＯＫか否が判断し（ステップＳ１６）、準備がＯＫであれば広告提示を停止し（ステップＳ１
７）、番組放映を行う（ステップＳ１８）。 そして、番組放映が中断したか否か判断し（ステップＳ１９）、中断した場合には広告提示を行い（ステップＳ２０）、次いで番組中断が解除されたか否か判断し（ステップＳ２
１）、さらに番組が終了したか否か判断し（ステップＳ
２２）、中断が解除されておらず、かつ番組が終了していなければ広告を提示し続け、中断が解除され、かつ番組が終了すると度数を計算して会員制カードに記録する（ステップＳ２３）。

【００１６】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、ＩＣカードのような可搬記録媒体に広告情報や広告プログラムを予め格納しておくため、可搬記録媒体を発行すると同時に広告も配付され、例えばテレホンカードのようなものであれば大量配付を見込む事が可能である。 また、利用者が可搬記録媒体を利用するために端末に挿入した際、
自動的に広告が提示されるので、広告主が広告提示する時間帯を選ぶ必要がなく、効果的な広告の提示が可能になる。 また、広告主にとっては広告を確実に提示でき、
利用者にとっては広告主からのサービスが受けられ、可搬記録媒体の普及に伴い自動的に広告が配られ、さらに動画像、音等を利用した臨場感ある広告を提示可能である。 また、可搬記録媒体を利用している時のみ広告が流れるため、利用者が広告を目にする可能性が極めて高い。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明のシステム概念図である。

【図２】 本発明の端末装置の構成を示す図である。

【図３】 本発明のＩＣカードの構成を示す図である。

【図４】 本発明の一実施の形態を説明する図である。

【図５】 本発明の他の実施の形態を示す図である。

【図６】 本発明の広告システムを行うための電話機の外観図である。

【図７】 電話機における広告提示の処理フローを説明する図である。

【図８】 会員制放送の会員カードとテレビに適用した例を示す図である。

【図９】 会員制放送に適用した場合の処理フローを示す図である。

【符号の説明】

１…端末装置、２…ＩＣカード、１０…ＣＰＵ、１１…
ＲＯＭ、１２…ＲＡＭ、１３…時計、１４…インターフェース、１５…ディスプレイ、２０…ＣＰＵ、２１…Ｒ
ＡＭ、２２…ＲＯＭ、２３…ＥＥＰＲＯＭ。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 林 昌弘 東京都新宿区市谷加賀町一丁目１番１号大 日本印刷株式会社内 (72)発明者 平野晋健 東京都新宿区市谷加賀町一丁目１番１号大 日本印刷株式会社内 Ｆターム(参考） 5B058 KA06 YA02 YA20 5K025 JJ01 JJ10 JJ11 5K040 BB05 BB10 FF02 FF11 5K101 KK00 NN01 NN17 NN21