热词 | 大豆 豆乳 不飽和脂肪酸 飽和脂肪酸 酵素 保温 工程 脂肪酸 脂肪 飽和 | ||
专利类型 | 发明专利 | 法律事件 | |
专利有效性 | 公开 | 当前状态 | |
申请号 | JP2007514684 | 申请日 | 2006-04-21 |
公开(公告)号 | JPWO2006115214A1 | 公开(公告)日 | 2008-12-18 |
申请人 | サッポロビール株式会社; | 申请人类型 | 企业 |
发明人 | 黒田 久夫; 久夫 黒田; | 第一发明人 | 黒田 久夫 |
权利人 | サッポロビール株式会社 | 权利人类型 | 企业 |
当前权利人 | サッポロビール株式会社 | 当前权利人类型 | 企业 |
省份 | 当前专利权人所在省份: | 城市 | 当前专利权人所在城市: |
具体地址 | 当前专利权人所在详细地址: | 邮编 | 当前专利权人邮编: |
主IPC国际分类 | A23L1/20 | 所有IPC国际分类 | A23L1/20 ; A23L11/00 ; A23C11/10 ; C12P7/64 |
专利引用数量 | 0 | 专利被引用数量 | 0 |
专利权利要求数量 | 0 | 专利文献类型 | A1 |
专利代理机构 | 专利代理人 | ||
摘要 | トリヒドロキシオクタデセン酸及びトリヒドロキシオクタデカジエン酸等の炭素数18のヒドロキシ不飽和 脂肪酸 の含有量が高められた豆乳の製造方法を提供する。この製造方法は、粉砕された大豆が 水 に分散・溶解された大豆スラリーを得る懸濁化工程と、懸濁化工程を経て得られた大豆スラリーを分離させ上清である豆乳を得る分離工程とを備える、豆乳の製造方法であって、分離工程前の大豆スラリーに、リノール酸及びリノレン酸からなる群より選ばれる少なくとも1つの不飽和脂肪酸を添加して、該大豆スラリーに含まれる酵素が活性化される 温度 にて保温することを特徴とする。 | ||
权利要求 | 粉砕された大豆が水に分散・溶解された大豆スラリーを得る懸濁化工程と、前記懸濁化工程を経て得られる大豆スラリーを分離させ上清である豆乳を得る分離工程とを備える、豆乳の製造方法であって、 前記分離工程前の大豆スラリーに、リノール酸及びリノレン酸からなる群より選ばれる少なくとも1つの不飽和脂肪酸を添加して、該大豆スラリーに含まれる酵素が活性化される温度にて保温する、製造方法。 粉砕された大豆が水に分散・溶解された大豆スラリーを得る懸濁化工程と、前記懸濁化工程を経て得られる大豆スラリーを分離させ上清である豆乳を得る分離工程とを備える、豆乳の製造方法であって、 前記懸濁化工程の後に、前記懸濁化工程で得られた大豆スラリーにリノール酸及びリノレン酸からなる群より選ばれる少なくとも1つの不飽和脂肪酸を添加して該大豆スラリーに含まれる酵素が活性化される温度にて保温する保温工程を実施し、前記分離工程において該保温工程で得られた大豆スラリーを分離させる、製造方法。 前記温度は20〜65℃である、請求項1又は2に記載の製造方法。 前記温度にて保温して、大豆スラリー中に炭素数18のヒドロキシ不飽和脂肪酸を生成させる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。 前記炭素数18のヒドロキシ不飽和脂肪酸は、トリヒドロキシオクタデセン酸及び/又はトリヒドロキシオクタデカジエン酸である、請求項4に記載の製造方法。 前記不飽和脂肪酸はリノレン酸であり、前記温度にて保温して大豆スラリー中にトリヒドロキシオクタデセン酸及びトリヒドロキシオクタデカジエン酸を生成させる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。 請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法で得ることのできる豆乳。 炭素数18のヒドロキシ不飽和脂肪酸の製造方法であって、 粉砕された大豆が水に分散・溶解された大豆スラリーを得る懸濁化工程と、 前記懸濁化工程を経て得られる大豆スラリーから炭素数18のヒドロキシ不飽和脂肪酸を得る分離工程と、を備え、 前記分離工程前の大豆スラリーに、リノール酸及びリノレン酸からなる群より選ばれる少なくとも1つの不飽和脂肪酸を添加して、該大豆スラリーに含まれる酵素が活性化する温度にて保温する、製造方法。 炭素数18のヒドロキシ不飽和脂肪酸の製造方法であって、 粉砕された大豆が水に分散・溶解された大豆スラリーを得る懸濁化工程と、 前記懸濁化工程を経て得られる大豆スラリーから炭素数18のヒドロキシ不飽和脂肪酸を得る分離工程と、を備え、 前記懸濁化工程の後に、前記懸濁化工程で得られた大豆スラリーにリノール酸及びリノレン酸からなる群より選ばれる少なくとも1つの不飽和脂肪酸を添加して該大豆スラリーに含まれる酵素が活性化される温度にて保温する保温工程を実施し、前記分離工程において、該保温工程で得られた大豆スラリーから炭素数18のヒドロキシ不飽和脂肪酸を得る、製造方法。 前記温度は20〜65℃である、請求項8又は9に記載の製造方法。 前記炭素数18のヒドロキシ不飽和脂肪酸は、トリヒドロキシオクタデセン酸及び/又はトリヒドロキシオクタデカジエン酸である、請求項8〜10のいずれか一項に記載の製造方法。 前記不飽和脂肪酸はリノレン酸であり、前記温度にて保温して大豆スラリー中にトリヒドロキシオクタデセン酸及びトリヒドロキシオクタデカジエン酸を生成させる、請求項8〜11のいずれか一項に記載の製造方法。 炭素数18のヒドロキシ不飽和脂肪酸の製造方法であって、 粉砕された大豆が水に分散・溶解された大豆スラリーを得る懸濁化工程と、 前記大豆スラリー中の酵素が含まれるように酵素含有留分を抽出する抽出工程と、 前記酵素含有留分にリノール酸及びリノレン酸からなる群より選ばれる少なくとも1つの不飽和脂肪酸を添加して前記酵素が活性化される温度にて保温して反応物を得る保温工程と、 前記反応物から炭素数18のヒドロキシ不飽和脂肪酸を得る分離工程と、を備える、製造方法。 前記温度は20〜65℃である、請求項13に記載の製造方法。 前記炭素数18のヒドロキシ不飽和脂肪酸は、トリヒドロキシオクタデセン酸及び/又はトリヒドロキシオクタデカジエン酸である、請求項13又は14のいずれか一項に記載の製造方法。 前記不飽和脂肪酸はリノレン酸であり、前記温度にて保温して前記反応物中にトリヒドロキシオクタデセン酸及びトリヒドロキシオクタデカジエン酸を生成させる、請求項13〜15のいずれか一項に記載の製造方法。 |
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说明书全文 | 本発明は、豆乳及びその製造方法並びに炭素数18のヒドロキシ不飽和脂肪酸の製造方法に関する。 豆乳の製造方法としては、呉(大豆を水に浸漬した後に磨砕することによって得られる材料)に対して45〜65℃で瞬時〜20分の加熱を行った後、おから(呉を漉して得られる材料)を分離する製造方法が知られている(例えば、下記特許文献1参照)。 ところで、生活習慣病の広まりに呼応するように、近年においては健康志向が高まっている。 そこで、健康増進を目的とした食品や飲料の開発が望まれ、様々な機能性食品が開発されている。 そのような機能性食品の一例として、健康油や脂質を含むサプリメントが開発されている。 これは、脂質が重要な栄養素であると共に、その一部はヒトへの機能性を有することを利用している。 脂質を構成する脂肪酸の一つであるトリヒドロキシオクタデセン酸は、古くから大豆の苦味やビールの収斂味の元として知られている。 また、最近ではトリヒドロキシオクタデセン酸がインフルエンザウイルス感染時の免疫賦活化効果を有すると共に(Nagai et al.“Pinellic acid from the tuber of Pinellia ternate Breitenbach as an effective oral adjuvant fornasal influenza vaccine” International Immunopharmacology. 2002)、アレルギー抑制効果があることが知られている(Nagai et al. “Anti-allergic activity of a Kampo (Japanese herbal) medicine “Sho-seiryu-to(Xiao-Qing-Long-Tang)”on airway inflammation in a mouse model” International Immunopharmacology. 2004)。 また、トリヒドロキシオクタデセン酸が不飽和化した化合物であるトリヒドロキシオクタデカジエン酸は、糖尿病の治療効果(Karageuzyan et al. “Restorationof the disordered glucose-fatty acid cycle in alloxan-diabetic rats bytrihydroxyoctadecadienoic acids from Bryonia alba, a native Armenian medicinalplant” Planta Medica, 1998)や動脈硬化予防効果(Orekhov et al. “Trihydroxyoctadecadienoicacids exhibit antiatherosclerotic and antiatherogenic activity” Phytomedicine,1994)があることが知られている。 しかし、トリヒドロキシオクタデカジエン酸は、ごく一部の植物(Bryonia、ホワイトブリオニー)でその存在が知られている程度で、大豆からの合成法は知られていない。 また、トリヒドロキシオクタデセン酸についても、豆乳中の含量を増加させる方法は知られていない。 そこで本発明は、トリヒドロキシオクタデセン酸及びトリヒドロキシオクタデカジエン酸等の炭素数18のヒドロキシ不飽和脂肪酸の含有量が高められた豆乳の製造方法及びその製造方法で得られる豆乳、並びに炭素数18のヒドロキシ不飽和脂肪酸の製造方法を提供することを目的とする。 上記目的を達成するため、本発明は、粉砕された大豆が水に分散・溶解された大豆スラリーを得る懸濁化工程と、懸濁化工程を経て得られる大豆スラリー(豆汁ともいう。以下同様)を分離させ上清である豆乳を得る分離工程とを備える、豆乳の製造方法であって、分離工程前の大豆スラリーに、リノール酸及びリノレン酸からなる群より選ばれる少なくとも1つの不飽和脂肪酸を添加して、該大豆スラリーに含まれる酵素が活性化される温度にて保温する豆乳の製造方法を提供する。 本発明の製造方法では、分離工程前の大豆スラリーに不飽和脂肪酸を添加して、この大豆スラリーに含まれる酵素が活性化される温度にて保温することから、不飽和脂肪酸が酵素の基質となり、トリヒドロキシオクタデセン酸及びトリヒドロキシオクタデカジエン酸等の炭素数18のヒドロキシ不飽和脂肪酸の合成が促進される。 従って、豆乳中の炭素数18のヒドロキシ不飽和脂肪酸の含有量を効果的に増加させることができ、豆乳に、免疫賦活化効果、アレルギー抑制効果、糖尿病の治療効果、動脈硬化予防効果等が期待できる。 なお、「分離工程前」としては、懸濁化工程、又は懸濁化工程と分離工程との間に設けられる任意の工程が挙げられる。 本発明はまた、粉砕された大豆が水に分散・溶解された大豆スラリーを得る懸濁化工程と、懸濁化工程を経て得られた大豆スラリーを分離させ上清である豆乳を得る分離工程とを備える、豆乳の製造方法であって、懸濁化工程の後に、懸濁化工程で得られた大豆スラリーにリノール酸及びリノレン酸からなる群より選ばれる少なくとも1つの不飽和脂肪酸を添加して該大豆スラリーに含まれる酵素が活性化される温度にて保温する保温工程を実施し、分離工程において該保温工程で得られた大豆スラリーを分離させる、豆乳の製造方法を提供する。 このように、保温工程を設けることで、炭素数18のヒドロキシ不飽和脂肪酸の合成を確実に促進させることができる。 従って、豆乳中の炭素数18のヒドロキシ不飽和脂肪酸の含有量を効果的に増加させることができる。 なお、本発明の豆乳の製造方法の一態様としては、大豆を粉砕する粉砕工程と、当該粉砕した大豆に水を加えて攪拌し、均質に溶解して大豆スラリーを得る均質化工程と、大豆スラリーを加熱分離する加熱処理工程とを備え、均質化工程内又は均質化工程と加熱処理工程との間に、大豆スラリーにリノール酸及びリノレン酸の少なくとも一方を添加し、大豆スラリーに含まれる酵素が活性化される温度にて保温する保温工程を備えた豆乳の製造方法が挙げられる。 本発明の炭素数18のヒドロキシ不飽和脂肪酸の製造方法は、粉砕された大豆が水に分散・溶解された大豆スラリーを得る懸濁化工程と、大豆スラリーを分離させ炭素数18のヒドロキシ不飽和脂肪酸を得る分離工程とを備え、分離工程前の大豆スラリーに、リノール酸及びリノレン酸からなる群より選ばれる少なくとも1つの不飽和脂肪酸を添加して、該大豆スラリーに含まれる酵素が活性化する温度にて保温することを特徴とする。 上記製造方法によれば、活性化した酵素の働きにより、基質であるリノール酸及びリノレン酸(いずれも炭素数18の不飽和脂肪酸)が、大豆スラリー中で炭素数18のヒドロキシ不飽和脂肪酸へと変化するため、これを分離することで炭素数18のヒドロキシ不飽和脂肪酸を得ることができる。 本発明の炭素数18のヒドロキシ不飽和脂肪酸の製造方法は、粉砕された大豆が水に分散・溶解された大豆スラリーを得る懸濁化工程と、大豆スラリーを分離させ炭素数18のヒドロキシ不飽和脂肪酸を得る分離工程とを備え、懸濁化工程の後に、懸濁化工程で得られた大豆スラリーにリノール酸及びリノレン酸からなる群より選ばれる少なくとも1つの不飽和脂肪酸を添加して該大豆スラリーに含まれる酵素が活性化される温度にて保温する保温工程を実施し、前記分離工程において該保温工程で得られた大豆スラリーを分離させる製造方法であってもよい。 本発明では、分離工程前の大豆スラリーにリノール酸及び/又はリノレン酸を加えればよいため、例えば、懸濁化工程においてこれらの不飽和脂肪酸を添加することも可能である。 しかし、懸濁化工程とは別に、保温工程を設けるようにすれば、酵素が活性化される温度で保温することがより容易且つ確実にでき、これにより酵素反応を促進できるため、炭素数18のヒドロキシ不飽和脂肪酸の合成を確実にできる。 なお、「分離工程前」としては、懸濁化工程、又は懸濁化工程と分離工程との間に設けられる任意の工程が挙げられる。 本発明はまた、炭素数18のヒドロキシ不飽和脂肪酸の製造方法であって、粉砕された大豆が水に分散・溶解された大豆スラリーを得る懸濁化工程と、大豆スラリー中の酵素が含まれるように酵素含有留分を抽出する抽出工程と、この酵素含有留分にリノール酸及びリノレン酸からなる群より選ばれる少なくとも1つの不飽和脂肪酸を添加して前記酵素が活性化される温度にて保温して反応物を得る保温工程と、この反応物から炭素数18のヒドロキシ不飽和脂肪酸を得る、製造方法を提供する。 上記製造方法によれば、リノール酸及びリノレン酸の少なくとも一方を添加する前に、炭素数18のヒドロキシ不飽和脂肪酸の合成に不要なたんぱく質等を除去することができるため、分離工程の前に、より高濃度の炭素数18のヒドロキシ不飽和脂肪酸を含む反応物(溶液)が得られ、分離が容易となる。 本発明の豆乳及び炭素数18のヒドロキシ不飽和脂肪酸の製造方法は、上記大豆スラリー又は上記酵素含有留分の保温温度を20〜65℃とすることが好ましい。 この温度範囲であれば、酵素によって、大豆スラリー中に効果的にトリヒドロキシオクタデセン酸及びトリヒドロキシオクタデカジエン酸等の炭素数18のヒドロキシ不飽和脂肪酸を生成させることができる。 炭素数18のヒドロキシ不飽和脂肪酸は、トリヒドロキシオクタデセン酸及びトリヒドロキシオクタデカジエン酸の少なくとも一方であることが好ましい。 トリヒドロキシオクタデセン酸及びトリヒドロキシオクタデカジエン酸が生成する機構は必ずしも明らかでないが、トリヒドロキシオクタデセン酸については、リノール酸がリポキシゲナーゼによりリノール酸ヒドロペルオキシドに変換され、リノール酸ヒドロペルオキシドはペルオキシゲナーゼ又はエポキシアルコール合成酵素によりエポキシアルコールに変換され、最終的に、非酵素的又はエポキサイドハイドラーゼにより合成されているものと推測される。 本発明では、不飽和脂肪酸をリノレン酸としたときに、酵素が活性化される温度にて保温して大豆スラリー中にトリヒドロキシオクタデセン酸及びトリヒドロキシオクタデカジエン酸を生成させることができる。 大豆から懸濁工程を経て得られた大豆スラリーにリノール酸を添加しても、生成物の殆どはトリヒドロキシオクタデセン酸であるが、リノレン酸を添加すれば、トリヒドロキシオクタデセン酸に加えて、トリヒドロキシオクタデカジエン酸をも生成させることが可能となる。 これによって、トリヒドロキシオクタデセン酸及びトリヒドロキシオクタデカジエン酸の両方を同時に製造でき、これらを含む豆乳の製造が可能となる。 本発明によれば、トリヒドロキシオクタデセン酸及びトリヒドロキシオクタデカジエン酸などの炭素数18のヒドロキシ不飽和脂肪酸を製造することが可能となる。 また、トリヒドロキシオクタデセン酸及びトリヒドロキシオクタデカジエン酸などの炭素数18のヒドロキシ不飽和脂肪酸の濃度が、従来の豆乳よりも高い豆乳を製造することができる。 これにより、アレルギー抑制、インフルエンザ感染時の免疫賦活、及び動脈硬化予防、又は糖尿病の予防又は改善といった効果を期待できる豆乳を製造することができる。 以下、本発明を実施するための好ましい形態について説明する。 まず、実施形態に係る豆乳の製造方法について図1を参照しながら説明する。 図1は、本発明の実施形態に係る豆乳の製造方法の手順を示した工程図である。 本実施形態の豆乳の製造方法は、懸濁化工程(ステップS01)、保温工程(ステップS02)と、分離工程(ステップS03)を備えている。 懸濁化工程(ステップS01)では、まず大豆原料を一晩水に浸漬して吸水させ、その後水切りを行う。 そして、水切りした大豆を粉末状に粉砕し、当該粉砕した大豆に水を加え、攪拌して粉砕された大豆が水に分散・溶解した大豆スラリーを得る。 なお、大豆の粉砕を水中で行って、一度に大豆スラリーを得てもよい。 当該懸濁化工程(ステップS01)では、大豆に含まれる酵素(リポキシゲナーゼ、ペルオキシゲナーゼ、エポキシアルコール合成酵素)が失活しないよう、好ましくは0〜4℃の低温で行う。 また、攪拌は、フォーミングが起こらないように行う。 次に、保温工程(ステップS02)では、懸濁液工程(ステップS01)で得られた大豆スラリーに、リノール酸及びリノレン酸の少なくとも一方を加え、大豆スラリーに含まれる酵素が活性化される温度で保温する。 酵素を活性化するため、保温の温度範囲は、20〜65℃が好ましく、20〜50℃がより好ましい。 65℃を超える保温温度では酵素失活する可能性がある。 20℃未満の温度では、酵素の活性化が不十分で反応が進みにくくなる場合がある。 なお、懸濁化工程(ステップS01)は、酵素失活防止のため0〜4℃の低温で行うことを述べたが、これは懸濁化工程(ステップS01)が攪拌を伴うため酵素失活が起こり易いからである。 保温工程(ステップS02)における、適正保温温度と保温時間の関係は、以下の通りである。 すなわち、基本的に温度が高いほど酵素の活性が高く、短時間で反応を終えることができるが、保温時間は20〜60分が適当である。 また、添加すべきリノール酸及びリノレン酸の総量は、大豆スラリー中の濃度が0.1〜5.0g/Lとなるよう調整する。 上記濃度が0.1g/L未満であると、炭素数18のヒドロキシ不飽和脂肪酸の生成量が少なくなる場合がある。 一方、5.0g/Lを超える量を加えても炭素数18のヒドロキシ不飽和脂肪酸の生成量は大幅に増えない傾向にある。 次に、分離工程(ステップS03)では、大豆スラリーから上清を豆乳として分離する。 分離工程では、大豆スラリーを加熱することにより分離させ上清を漉し取ることが好ましく、30〜50℃の比較的低温で数分〜数十分加熱を行っても、80〜100℃の高温で数分(3〜5分程度)加熱を行ってもよい。 なお、豆乳とは、大豆を主原料とする飲料の一般名称であり、その主成分は、水分、たんぱく質、脂質、炭水化物、灰分である。 各成分の濃度や成分の種類は、添加物の種類や量に応じて変動する。 得られた豆乳中のトリヒドロキシオクタデセン酸及びトリヒドロキシオクタデカジエン酸含有量の測定は、LC−MS及びGC−MSで行なうことができる。 上記製造方法により豆乳が得られるが、この豆乳では、トリヒドロキシオクタデセン酸及びトリヒドロキシオクタデカジエン酸の少なくとも一方の含有量が増加しているため(典型的な含有量は、トリヒドロキシオクタデセン酸については5〜20mg/L、トリヒドロキシオクタデカジエン酸については0.5〜8mg/L)、豆乳が本来有する、イソフラボンによる骨粗鬆症予防などの効果に加えて、アレルギー抑制効果、インフルエンザ感染時の免疫賦活効果、及び動脈硬化予防、又は糖尿病の予防又は改善が期待できる。 なお、大豆スラリーにリノール酸を添加した場合は、トリヒドロキシオクタデカジエン酸は生成されず、炭素数18のヒドロキシ不飽和脂肪酸の主要成分(または全成分)は、トリヒドロキシオクタデセン酸となる。 一方、大豆スラリーにリノレン酸を添加した場合は、炭素数18のヒドロキシ不飽和脂肪酸としては、トリヒドロキシオクタデセン酸とトリヒドロキシオクタデカジエン酸の両方が含まれる。 すなわち、大豆スラリーにリノレン酸を添加すれば、トリヒドロキシオクタデセン酸だけでなく、トリヒドロキシオクタデカジエン酸をも含有する豆乳が製造できる。 次に、第一実施形態に係る炭素数18のヒドロキシ不飽和脂肪酸の製造方法を以下に説明する。 第一実施形態に係る炭素数18のヒドロキシ不飽和脂肪酸の製造方法も、本発明の実施形態に係る豆乳の製造方法と同様に、懸濁化工程(ステップS01)、保温工程(ステップS02)及び分離工程(ステップS03)を備えている。 分離工程(ステップS03)の前までは、上述した実施形態に係る豆乳の製造方法と同様である。 分離工程(ステップS03)では、トリヒドロキシオクタデセン酸及びトリヒドロキシオクタデカジエン酸の少なくとも一方を含む大豆スラリーから、トリヒドロキシオクタデセン酸及びトリヒドロキシオクタデカジエン酸の少なくとも一方を分離する。 大豆スラリーが固形分を含む場合は、まず、大豆スラリーの上澄み採取や大豆スラリーのろ過で、固形分を除去した後、ゲルろ過カラムやイオン交換クロマトグラフィーを用いてトリヒドロキシオクタデセン酸及びトリヒドロキシオクタデカジエン酸の少なくとも一方を得る。 上述した製造方法で得られた豆乳を、上記分離工程(ステップS03)で分離してトリヒドロキシオクタデセン酸やトリヒドロキシオクタデカジエン酸を得ることも可能である。 次に、第二実施形態に係る炭素数18のヒドロキシ不飽和脂肪酸の製造方法を以下に説明する。 本発明の第二実施形態である炭素数18のヒドロキシ不飽和脂肪酸の製造方法は、懸濁化工程(ステップS01)、抽出工程(ステップS02)、保温工程(ステップS03)及び分離工程(ステップS04)を備えている。 懸濁化工程までは、上述した本発明の第一実施形態と同様である。 抽出工程(ステップS02)では、懸濁化工程で得られた大豆スラリーをろ過し、ゲルろ過カラムやイオン交換クロマトグラフィーによって、酵素を含む酵素含有留分を抽出する。 保温工程(ステップS03)では、抽出した酵素含有留分にリノール酸及びリノレン酸の少なくとも一方を添加し、保温してトリヒドロキシオクタデセン酸及びトリヒドロキシオクタデカジエン酸の少なくとも一方を合成する。 分離工程(ステップS04)では、保温工程(ステップS03)を終えた溶液をシリカゲルのクロマトグラフィー等によって分離し、トリヒドロキシオクタデセン酸及びトリヒドロキシオクタデカジエン酸の少なくとも一方を得る。 この方法によれば、リノール酸及びリノレン酸の少なくとも一方を添加する前に、大豆スラリーに含まれるトリヒドロキシオクタデセン酸やトリヒドロキシオクタデカジエン酸の合成に不要なたんぱく質等を除去することができる。 このため、分離工程(ステップS04)の前に、より高濃度のトリヒドロキシオクタデセン酸あるいはトリヒドロキシオクタデカジエン酸を含む溶液が得られ、分離が容易となる。 以下、実施例及び比較例に基づき本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。 (実施例1) (実施例2) (比較例1) 製造した豆乳に含まれるトリヒドロキシオクタデセン酸及びトリヒドロキシオクタデカジエン酸の濃度測定は以下の通り行った。 まず、実施例1,実施例2及び比較例1で得られた豆乳を100μL分取し、等量の10ppm 2−ヒドロキシデカン酸エタノール溶液と混合した後、遠心上清をウルトラフリー(5000カット)でろ過した。 その後、HPLC−MSで、ろ液に含まれるトリヒドロキシオクタデセン酸及びトリヒドロキシオクタデカジエン酸の濃度を測定した。 HPLC−MSの条件は次の通りである。 移動相には0.5%酢酸(A液)とアセトニトリル(B液)の混合液を用い、移動相の流速は0.3mL/minとした。 A液=100(0分)→B液=100(10分)のリニアグラジエント、更にB液=100(6分)の保持条件で、カラムはウォーターズ社製Assymetry(No.106005;C18,3.5μm:2.1×150mm)を用いた。 カラム温度は50℃とし、ヒューレットパッカード社製1100型高速液体クロマトグラフシステムを用いて、それぞれ2.5μLのサンプルを分離した。 質量分析は、ウォーターズ社製ZQを用い、ESイオン化ネガティブモードでトリヒドロキシオクタデセン酸及びトリヒドロキシオクタデカジエン酸を、それぞれ質量329.2と327.2としてモニタリングした。 図2は、豆乳に含まれるトリヒドロキシオクタデセン酸(THODE)の濃度について比較例1、実施例1及び実施例2を比較するための図である。 図3は、トリヒドロキシオクタデカジエン酸(THODI)の濃度について比較例1、実施例1及び実施例2を比較するための図である。 図2に示すように、大豆スラリーに基質を添加しなかった比較例1に対して、リノール酸を添加した実施例1はトリヒドロキシオクタデセン酸含量が5.8倍に増えた。 また、図2及び図3に示すように、大豆スラリーに基質を添加しなかった比較例に対して、リノレン酸を添加した実施例2ではトリヒドロキシオクタデセン酸含量が1.7倍に、トリヒドロキシオクタデカジエン酸含量が51倍に、それぞれ増えた。 (実施例3) 図4は、大豆スラリーの上清を高速液体クロマトグラフィーで分離した抽出液の、たんぱく量とトリヒドロキシオクタデセン酸(THODE)の生成活性を表した図である。 溶出液量32〜42mlの留分を分取し、トリヒドロキシオクタデセン酸の生成に必要な酵素を含有する酵素含有留分を得た。
トリヒドロキシオクタデセン酸(THODE)とトリヒドロキシオクタデカジエン酸(THODI)の生成量の測定は、実施例1と同様にHPLC−MSで行った。 (実施例4) (比較例2) 図5は、酵素含有留分に、基質を添加しなかった場合と、基質としてリノール酸またはリノレン酸を添加した場合の、トリヒドロキシオクタデセン酸(THODE)の生成量を比較するための図である。 酵素含有留分に基質としてリノール酸またはリノレン酸を添加した場合は、トリヒドロキシオクタデセン酸(THODE)を生成したが、基質を加えなかった場合は、トリヒドロキシオクタデセン酸(THODE)を生成しなかった。 図6は、酵素含有留分に、基質を添加しなかった場合と、基質としてリノール酸またはリノレン酸を添加した場合の、トリヒドロキシオクタデカジエン酸(THODI)の生成量を比較するための図である。 酵素含有留分に基質としてリノレン酸を添加した場合は、トリヒドロキシオクタデカジエン酸(THODI)を生成したが、基質としてリノール酸を添加した場合及び基質を添加しなかった場合は、トリヒドロキシオクタデカジエン酸(THODI)を生成しなかった。 (実施例5) 図7は、0.1M酢酸緩衝液を使用した場合の、酵素含有留分とリノレン酸の反応によるトリヒドロキシオクタデカジエン酸(THODI)の生成活性の相対値(pH5.0を100)を示す図である。 トリヒドロキシオクタデカジエン酸生成活性の至適pHは、5.0であった。 リポキシゲナーゼの至適pHは6〜7と9〜10、ペルオキシゲナーゼの至適pHは7.2であることが知られている。 このことから、リノレン酸からのトリヒドロキシオクタデカジエン酸の生成には、リポキシゲナーゼとペルオキシゲナーゼの他に、他の酵素が関与していると考えられる。 (実施例6) |