ネイルプリント装置及びネイルプリント装置の印刷制御方法

申请号 JP2013263161 申请日 2013-12-20 公开(公告)号 JP2015116429A 公开(公告)日 2015-06-25
申请人 カシオ計算機株式会社; 发明人 美藤 仁保;
摘要 【課題】比重が重い又は粒径の大きな色材等を含んだインクを用いて描画を行う場合でも、色材等の沈殿や凝集を解消して高精細なネイルプリントを施すことのできるネイルプリント装置及びネイルプリント装置の印刷制御方法を提供する。 【解決手段】インクを収容するペン軸部411を備え、インクによって印刷指U1の爪Tの表面に描画を施す描画ヘッドと、描画ヘッドの 角 度を調整する角度調整部としてのロータリーソレノイドとを備え、描画ヘッドによる描画を行う前に、ロータリーソレノイドにより、描画ヘッドを傾けてペン軸部411内のインクを攪拌する攪拌動作を行う。 【選択図】図3
权利要求

手の指の爪の表面又は足の指の爪の表面を描画対象面とし、液状材料を収容する液状材料収容部を備え、前記液状材料によって前記描画対象面に描画を施す少なくとも一つの描画用具が装着される描画ヘッドと、 前記描画用具により前記描画を行う前に、前記描画ヘッドに装着された前記描画用具の前記液状材料収容部内の前記液状材料を攪拌する攪拌動作を行う撹拌部と、 を備えることを特徴とするネイルプリント装置。前記撹拌部は、前記描画ヘッドの度を可変とする角度調整部を有し、 前記角度調整部は、前記描画ヘッドを傾斜させることにより前記撹拌動作を行うことを特徴とする請求項1に記載のネイルプリント装置。前記描画用具の前記液状材料収容部は、一端部と該一端部と対向する他端部とを有し、 前記角度調整部は、前記撹拌動作を行うとき、前記描画ヘッドを、前記液状材料収容部の前記一端部が前記他端部より低い位置となる第1の角度と、前記液状材料収容部の前記一端部が前記他端部より高い位置となる第2の角度と、に傾斜させることを特徴とする請求項2に記載のネイルプリント装置。前記角度調整部は、前記攪拌動作を行うとき、前記描画ヘッドを前記第1の角度及び前記第2の角度に傾斜させる動作を複数回行うことを特徴とする請求項3に記載のネイルプリント装置。前記撹拌部は、更に、前記描画用具により前記描画が行われている間において、所定の時間が経過する毎に、前記描画の動作を中断させて、前記撹拌動作を行うことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のネイルプリント装置。前記描画用具は、軸部と該軸部の一端側に設けられた先端部とを有し、前記軸部内に前記液状材料収容部が設けられ、前記先端部が前記描画対象面に接触したときに該描画対象面に前記液状材料を塗布する、筆記具であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のネイルプリント装置。前記描画ヘッドは、複数の前記描画用具を保持可能とされ、前記描画に使用する1つの特定の描画用具を選択する、回転式のキャリッジを備え、 前記角度調整部は、前記撹拌動作を行うとき、前記キャリッジを傾斜させることを特徴とする請求項2から請求項6のいずれか一項に記載のネイルプリント装置。前記液状材料は、粒径が200〜400nmの顔料、又は、粒径が100〜200μmのラメ、を含んでいるものであることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のネイルプリント装置。前記描画対象面は、幅方向に沿って中央部が両端側より盛り上がった湾曲形状を有し、 前記角度調整部は、更に、前記描画を施す際に、前記描画ヘッドの角度を、前記爪の湾曲形状に対応した角度に調整することを特徴とする請求項2に記載のネイルプリント装置。前記角度調整部は、前記描画ヘッドが前記爪の表面の前記幅方向の両端部側の領域に描画を施すときに前記角度を調整して、前記爪の表面の前記幅方向に対する前記描画ヘッドの角度を、前記描画ヘッドが前記爪の表面の幅方向の中央部に描画するときの前記描画ヘッドの、前記爪の表面の前記幅方向に対する角度に近づけることを特徴とする請求項8に記載のネイルプリント装置。手の指の爪の表面又は足の指の爪の表面を描画対象面とし、該描画対象面に描画を施すネイルプリント装置の印刷制御方法において、 前記ネイルプリント装置は、前記描画対象面に描画を施す少なくとも一つの描画用具が装着される描画ヘッドと、前記描画ヘッドに装着された前記描画用具の前記液状材料収容部内の前記液状材料を攪拌する撹拌部と、を備え、 前記撹拌部により、前記描画ヘッドに装着された前記描画用具の前記液状材料収容部内の前記液状材料を攪拌する撹拌動作を行い、 前記撹拌動作を実行した後に、前記描画ヘッドを前記印刷対象面に対して移動させて、前記描画用具により前記描画対象面に描画を施すことを特徴とするネイルプリント装置の印刷制御方法。前記撹拌動作は、前記描画ヘッドを傾斜させて、前記描画用具の前記液状材料収容部内の前記液状材料を攪拌する角度調整動作を含むことを特徴とする請求項11に記載のネイルプリント装置の印刷制御方法。前記描画用具の前記液状材料収容部は、一端部と該一端部と対向する他端部とを有し、 前記角度調整動作は、前記描画ヘッドを、前記液状材料収容部の前記一端部が前記他端部より低い位置となる第1の角度と、前記液状材料収容部の前記一端部が前記他端部より高い位置となる第2の角度と、に傾斜させる動作を含むことを特徴とする請求項12に記載のネイルプリント装置の印刷制御方法。前記描画用具により前記描画を施している間において所定の時間が経過する毎に、前記描画の動作を中断させて、前記撹拌動作を実行する動作を含むことを特徴とする請求項11から請求項13のいずれか一項に記載のネイルプリント装置の印刷制御方法。

说明书全文

本発明は、ネイルプリント装置及びネイルプリント装置の印刷制御方法に関するものである。

従来、爪にネイルデザインを印刷するネイルプリント装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。 このような装置を用いれば、ネイルサロン等を利用しなくても手軽にネイルデザインを楽しむことができる。

特表2003−534083号公報

しかしながら、ネイルプリント装置では、発色を良くするために、比重が重い又は粒径の大きな顔料等の色材等を含んだインクを用いて印刷を行うことがある。 このようなインク、特に白色の顔料やラメ等を含むインクを用いて印刷を行う場合、使用前に振ってインクを撹拌しないと、インク内の顔料やラメの粒子等が沈殿したり凝集したりして、所望の色が出なかったり、詰まってしまったりすることがあった。 また、ネイルプリント装置にインクをセットする前に振って一旦インクを撹拌したとしても、印刷開始までに時間が経過したり、大量に印刷する場合等印刷完了までに時間を要してしまうと、時間の経過とともにインク内の顔料やラメの粒子等が沈殿したり、凝集したりして、所望の色が出なかったり、詰まってしまったりすることがあった。

本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、比重が重い又は粒径の大きな色材等を含んだインクを用いて印刷を行う場合でも、色材等の沈殿や凝集を解消して高精細なネイルプリントを施すことのできるネイルプリント装置及びネイルプリント装置の印刷制御方法を提供することを目的とするものである。

前記課題を解決するために、本発明のネイルプリント装置は、 手の指の爪の表面又は足の指の爪の表面を描画対象面とし、液状材料を収容する液状材料収容部を備え、前記液状材料によって前記描画対象面に描画を施す少なくとも一つの描画用具が装着される描画ヘッドと、 前記描画用具により前記描画を行う前に、前記描画ヘッドに装着された前記描画用具の前記液状材料収容部内の前記液状材料を攪拌する攪拌動作を行う撹拌部と、 を備えることを特徴としている。

また、本発明のネイルプリント装置の印刷制御方法は、 手の指の爪の表面又は足の指の爪の表面を描画対象面とし、該描画対象面に描画を施すネイルプリント装置の印刷制御方法において、 前記ネイルプリント装置は、前記描画対象面に描画を施す少なくとも一つの描画用具が装着される描画ヘッドと、前記描画ヘッドに装着された前記描画用具の前記液状材料収容部内の前記液状材料を攪拌する撹拌部と、を備え、 前記撹拌部により、前記描画ヘッドに装着された前記描画用具の前記液状材料収容部内の前記液状材料を攪拌する撹拌動作を行い、 前記撹拌動作を実行した後に、前記描画ヘッドを前記印刷対象面に対して移動させて、前記描画用具により前記描画対象面に描画を施すことを特徴としている。

本発明によれば、粒径の大きな色材等を含んだインクを用いて印刷を行う場合でも、色材等の沈殿や凝集を解消して高精細なネイルプリントを施すことができる。

第1の実施形態におけるネイルプリント装置の正面図である。

図1におけるII-II線に沿うネイルプリント装置の側断面図である。

図1におけるIII−III線に沿う断面図である。

描画状態におけるキャリッジ及びこれに支持されたペンを拡大した図であり、(a)は、キャリッジ及びペンの側面図であり、(b)は、(a)のキャリッジ及びペンを矢視b方向から見た上面図であり、(c)は、(a)のキャリッジ及びペンを矢視c方向から見た正面図である。

第1の実施形態に係るネイルプリント装置の制御構成を示した要部ブロック図である。

第2の実施形態におけるネイルプリント装置の正面図である。

図6におけるネイルプリント装置の側断面図である。

第2の実施形態の描画ヘッドを拡大した図であり、(a)は、描画ヘッドの上面図であり、(b)は、(a)の描画ヘッドを矢視b方向から見た正面図であり、(c)は、(a)の描画ヘッドを矢視c方向から見た側面図である。

(a)は、第2の実施形態における描画ヘッドを95°と47.5°との間で傾ける状態を示す図であり、(b)は、第2の実施形態における描画ヘッドを95°と−95°との間で傾ける状態を示す図である。

第3の実施形態の描画ヘッドを拡大した図であり、(a)は、描画ヘッドの上面図であり、(b)は、(a)の描画ヘッドを矢視b方向から見た正面図であり、(c)は、(a)の描画ヘッドを矢視c方向から見た側面図である。

第3の実施形態における描画ヘッドを0°と95°との間で傾ける状態を示す図である。

本実施形態の一変形例における描画ヘッドを拡大した図であり、(a)は、描画ヘッドの上面図であり、(b)は、(a)の描画ヘッドを矢視b方向から見た正面図であり、(c)は、(a)の描画ヘッドを矢視c方向から見た側面図である。

図12に示す描画ヘッドを0°と95°との間で傾ける状態を示す図である。

[第1の実施形態] 図1から図5を参照しつつ、本発明に係るネイルプリント装置1の第1の実施形態について説明する。なお、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。

図1は、本実施形態におけるネイルプリント装置の正面図であり、図2は図1におけるII-II線に沿うネイルプリント装置の側断面図である。 図1及び図2に示すように、このネイルプリント装置1は、ケース本体2と、このケース本体2に収容される装置本体10と、を備えている。なお、図1及び図2において、ケース本体を二点鎖線で示している。

ケース本体2の前面上部一端には、後述する描画部40のペン41(筆記具)を交換するために開閉可能に構成されたペン交換用蓋部23が設けられている。ペン交換用蓋部23は、例えばヒンジ等を介して、図2に示すように閉状態から開状態まで回動自在となっている。 さらに、ケース本体2の一側面(本実施形態では、図1において左側面)であって後述するペン慣書部61に対応する位置には、ペン慣書部61に載置される被描画媒体(図示せず)を入れ替え可能な媒体挿出口24が形成されている。

ケース本体2の上面(天板)には操作部25(図5参照)が設置されている。 操作部25は、ユーザが各種入を行う入力部である。 操作部25には、例えば、ネイルプリント装置1の電源をONする電源スイッチ釦、動作を停止させる停止スイッチ釦、爪Tに描画するデザイン画像を選択するデザイン選択釦、描画開始を指示する描画開始釦等、各種の入力を行うための図示しない操作釦が配置されている。

また、ケース本体2の上面(天板)のほぼ中央部には表示部26が設置されている。 表示部26は、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイその他のフラットディスプレイ等で構成されている。 本実施形態において、この表示部26には、例えば、印刷指U1を撮影して得た爪画像(爪Tの画像を含む指画像)、この爪画像中に含まれる爪Tの輪郭線等の画像、爪Tに描画すべきデザイン画像を選択するためのデザイン選択画面、デザイン確認用のサムネイル画像、各種の指示を表示させる指示画面等が適宜表示される。 なお、表示部26の表面にタッチパネルが一体的に構成されていてもよい。この場合には、例えば、指先等でタッチパネル表面にタッチすることにより各種選択や指示を行うことができる。指以外でも例えばスタイラスペンや、先の尖った棒状の筆記具等によって表示部26の表面をタッチするタッチ操作によっても各種の入力を行うことができるように構成される。

装置本体10は、ほぼ箱状に形成され、ケース本体2の内部下方に設置された下部機枠11と、この下部機枠11の上方で且つケース本体2の内部上方に設置されている上部機枠12と、を備えている。

まず、下部機枠11について説明する。 下部機枠11は、背面板111、底板112、左右一対の側板113a,113b、X方向移動ステージ収容部114、Y方向移動ステージ収容部115及び隔壁116を有する。 側板113a,113bの下端部は、底板112の左右両端部にそれぞれ連結され、側板113a,113bが底板112に対して立てられた状態に設けられている。 図2に示すように、背面板111の下部は、前方(指挿入方向手前側)に向かって2段に窪むように形成されている。背面板111の下端部は底板112の前端部に連結されており、背面板111は、底板112と側板113a,113bによって囲われた領域を前後に区切っている。 この窪んだ背面板111の後ろ側に形成される空間がX方向移動ステージ収容部114、Y方向移動ステージ収容部115(図2参照)となっている。X方向移動ステージ収容部114内には、描画部40(図9参照)が前方(指挿入方向手前側)に移動した際に描画部40のX方向移動ステージ45が収容される。また、Y方向移動ステージ収容部115内には、描画部40のY方向移動ステージ47が配置されている。 また、隔壁116は、下部機枠11の内部前方側の空間(背面板111、底板112及び側板113a,113bによって囲われた指挿入方向手前側の空間)を上下に区切るように下部機枠11の内側に設けられている。隔壁116はほぼ平に設けられ、隔壁116の左右両端部が側板113a,113bにそれぞれ連結され、隔壁116の後端部が背面板111に連結されている。

この下部機枠11には、指固定部30が一体的に設けられている。 図3を参照して、指固定部30について説明する。 図3は図1に示されたIII−III線に沿った断面を矢印方向に見て示した断面図である。

指固定部30は、描画を施す爪Tに対応する指(以下、これを「印刷指U1」という。)を受け入れる指受入部31と、この印刷指U1以外の指(以下、これを「非印刷指U2」という。)を退避させる指退避部32と、から構成されている。 指受入部31は、隔壁116の上側であって下部機枠11の幅方向のほぼ中央部に配置されている。また、隔壁116によって下部機枠11の下側に区分けられた空間が指退避部32を構成している。 例えば、薬指の爪Tに描画を施す場合には、図3に示すように、指受入部31に印刷指U1としての薬指を挿入し、非印刷指U2であるその他の4指(親指、人差し指、中指、小指)を指退避部32に挿入する。 指受入部31は、下部機枠11の前面側(印刷指挿入方向の手前側)に開口しており、下側が隔壁116の一部を構成する指載置部116a、両側が仕切り31a、奥側が仕切り31cによって区画されている。指載置部116aは、描画を施す爪Tの指(印刷指U1)をXY平面上に載置するものである。 また、指受入部31の上側は天井部31dによって区画されている。天井部31dには、指受入部31に挿入された印刷指U1の爪Tを露出させるための窓31eが形成されている。

また、隔壁116の上面であって下部機枠11の前面側の両側部には、下部機枠11の前面側を塞ぐ前壁31f(図1参照)が立設されている。また、隔壁116の上面には、この前壁31fの中央部寄りの端部から前記指受入部31に向けて狭窄し、印刷指U1を指受入部31内に案内する一対のガイド壁31gが立設されている。 ユーザは指受入部31に挿入した印刷指U1と指退避部32に挿入した非印刷指U2との間に隔壁116を挟むことができる。そのため、指受入部31内に挿入された印刷指U1が安定して固定される。 なお、本実施形態では、隔壁116の前端部に下方向に張り出した突出部116bが形成されている。突出部116bは、手前側に向かうにつれてその厚さが漸減し、奥側に向かうにつれて漸増するテーパー部となっていてもよいし、突出部116bの厚さが、隔壁116の奥側の窪みに対して全体が厚い構造になっていてもよい。隔壁116の前端部に突出部116bが形成されていることにより、図3に示すように、非印刷指U2が指退避部32に挿入された際、描画済みの指の爪Tと隔壁116との間に空間が確保され、爪Tが隔壁116の下面に接触して装置側にインクが付着したり、爪Tに描画された絵柄が擦れて損なわれたりするのを防止することができる。

図1及び図2に示すように、隔壁116の上面であって、指受入部31の横(ケース本体2の媒体挿出口24に対応する位置であり、本実施形態では、図1において左側)には、後述する描画ヘッド42の移動可能範囲内に、後述するペン41の慣らし書きをするためのペン慣書部61が設けられている。なお、ペン慣書部61は、印刷指U1が指受入部31に挿入された際の爪Tの高さとほぼ同じとなる高さに設けられていることが好ましい。 ペン慣書部61は、平板状の部分であり、前述のケース本体2の媒体挿出口24から挿入された図示しない被描画媒体が載置されるようになっている。 ペン慣書部61に載置される被描画媒体は、ペン先412を慣らすことができるものであればよく、例えば紙片である。 ペン慣書部61は、ペン先412が乾いていたりインクの乗りが悪い等により書き始めがかすれたりするのを防止するために、爪Tに画像データによる描画を開始する前に被描画媒体の上にペン41を下ろして「○」や「∞」等の所定の図形を描画して慣らし書きを行い、ペン先412の状態を良好にするためのものである。慣らし書きを行う際に描画する所定の図形は特に限定されないが、インクを無駄に使いすぎないよう、「○」や「∞」等の単純な図形であることが好ましい。「○」や「∞」等の慣らし書きは、ペン慣書部61の範囲内で毎回少しずつずらしながら書くようにすることが好ましい。なお、被描画媒体のほぼ全面に書いてしまったときには、表示部26に「紙を交換して下さい」等の被描画媒体の交換を促す表示画面を表示させるようにする。この場合、ユーザが媒体挿出口24から被描画媒体を取り出して新しいものと交換することにより新しい被描画媒体に慣らし書きができる状態となる。もし、被描画媒体がロール紙である場合は、描画スペースが無くなったときには、ロール紙から被描画媒体を繰り出し、新しい描画面に慣らし書きを行えるようにする。

また、本実施例ではゴム製のペンキャップ62がペン慣書部61の前方(指挿入方向の手前側)に設置されている。ペンキャップ62は、描画部40に装着されるペン41に対応する数(本実施形態では1つ)だけ設けられており、描画部40にペン41を装着後であって描画を行っていないとき(非描画時)には、ペン41はペンキャップ62に収容される。ペンキャップ62等が配置されている領域は、非描画時に、ペン41が待機しているホームスペースとなっている。 すなわち、非描画時には、ペン41をペンキャップ62の真上にペン41を移動させ後、後述するソレノイド440(図5参照)によってペン41を下降させ、ペン先412をペンキャップ62内に収容する。 このようにペン先412をペンキャップ62内に収容することにより、非描画時におけるペン先412の乾燥を防止することができる。なお、ペンキャップ62の形状等は図示例に限定されず、例えば、描画部40に装着される全てのペン41のペン先412を受け入れることのできる長尺な溝状のペンキャップ等であってもよい。 なお、本実施形態では、このように、ペンキャップ62がペン慣書部61の傍に設けられているので、描画を開始するときには、ペン41を上昇させてすぐ傍のペン慣書部61で慣らし書きを行い、描画を開始することができる。このため、ペン41の移動等にかかる時間を最小限に抑えることができ、迅速な描画動作を行うことができる。

描画部40は、ペン41(筆記具)を備える描画ヘッド42、描画ヘッド42を支持するユニット支持部材44、描画ヘッド42をX方向(図1におけるX方向、ネイルプリント装置1の左右方向)に移動させるためのX方向移動ステージ45、X方向移動モータ46、描画ヘッド42をY方向(図2におけるY方向、ネイルプリント装置1の前後方向)に移動させるためのY方向移動ステージ47、Y方向移動モータ48等を備えて構成されている。

本実施形態において、描画ヘッド42は、ペン41を保持するキャリッジ43を1つ備えている。 ペン41は、先端部が爪Tの表面に接触して描画を施す筆記具である。 図4(a)から図4(c)は、キャリッジ43及びこれに支持されたペン41を拡大した図であり、描画を行っているときの状態(描画状態)を示している。 図4(a)は、キャリッジ43及びペン41の側面図であり、図4(b)は、図4(a)のキャリッジ43及びペン41を矢視b方向から見た上面図であり、図4(c)は、図4(a)のキャリッジ43及びペン41を矢視c方向から見た正面図である。

図4(a)から図4(c)に示すように、キャリッジ43に保持されるペン41は、ペン軸部411の先端側にペン先412が設けられたものである。ここで、ペン軸部411の先端側に対して逆の他端側をペン41の上部とし、ペン先412の先端部をペン41の下部とする。ペン軸部411の内部は、液状の各種インクを収容するインク収容部(液状材料収容部)となっている。ペン軸部411内には、内部のインクを攪拌するための図示しない球状体(ボール)がインクとともに収容されていてもよい。 ペン軸部411の内部に収容されるインク(液状材料)は、粘度や色材(顔料等)の粒径(粒子の大きさ)等は特に限定されず、例えば、金銀のラメ入りのインクや白色のインク、UV硬化型のインクやジェルネイル、アンダーコート用、トップコート用やマニキュア等も用いることが出来る。

ここで、インクジェット方式のプリント装置で一般的に用いられるインクに含まれる染料の粒径は、50nm程度以下、顔料(色材)の粒径についても100nm程度以下である。 これに対して、本実施形態のペン41内に収容されているインクは、爪Tの上に塗布した際の発色をよくするために、これらよりも粒径の大きな顔料等(色材)を含んでいる。例えばベース等として爪Tに塗布される白インクは、白色の顔料(色材)を含んでいる。一般に白色の顔料(例えば酸化チタン;TiO2)は、粒径が200〜400nm程度あり、2次凝集するため実質的にはこの数倍の大きさとなる。また、インクがラメを含んでいる場合、ラメの粒径は100〜200μm程度とかなり大きいものである。 また、沈殿のしやすさは、粒径よりもその材料の比重に左右されるところ、例えば白色の顔料を構成するTiO2等は、溶媒(例えば水)を1とした場合に4程度の比重があり、溶媒に比べてかなり重いため、沈殿しやすい。 このため、本実施形態では、後述するように、描画開始時の直前等に、ペン41内に収容されているインクを攪拌する撹拌動作を行うようになっている。

ペン軸部411の他端側には、ペン軸部411よりも外側に張り出した鍔部413が形成された蓋部414が取り付けられている。ペン軸部411及び蓋部414を形成する材料は特に限定されないが、ペン41を量産するのに適した樹脂等で形成されていることが好ましい。 本実施形態において、蓋部414の上部にはつまみ部415が設けられていて、手やピンセット等でつまみ易いようになっている。さらに、例えば、このつまみ部415には磁石に吸着するように小さな鉄片416が埋設、貼着等により設けられている。

ペン41は、例えばペン先412を爪Tの表面に押し当てることでペン軸部411内に収容されているインクが染み出して描画する、ペン先412がボールペンタイプとなったペンである。なお、ペン41は、ボールペンタイプのものに限定されず、例えばフェルト状のペン先にインクを染み込ませて描画するサインペンタイプや、束ねた毛にインクを染み込ませて描画する筆ペンタイプのもの等であってもよい。また、ペン先412の太さも各種のものを用意することができる。 キャリッジ43に保持されるペン41が取り替え可能に複数用意されている場合には、これらのペン41は全て同じタイプのペン先412を有するペンでもよいし、異なるタイプのペン先412を有するペンであってもよい。 ペン41は後述するようにキャリッジ43のペン保持部437d及びペンホルダ431に上方から挿通するだけで保持されているため、ケース本体2に設けられているペン交換用蓋部23を開けて、例えば手やピンセットでつまみ部415を摘む、若しくは、図示しない棒状部材の先に磁石を取り付けたものをつまみ部415に近づけて鉄片416を磁石に吸着させて引き上げる等の手法により、簡易に交換が可能である。このため、ユーザは、キャリッジ43に装着するペン41を、描画したいネイルデザインに応じてペン先412の種類やインクの種類の異なるペン41に適宜入れ替えることで、幅広いネイルデザインを実現することができる。

キャリッジ43には、ペン41をほぼ垂直に保持するペンホルダ431と、ペン41を上下移動させるためのペン上下機構432が設けられている。 ペンホルダ431は、内部にペン先412及びペン軸部411が挿通され、ペン41を保持する筒状の部分である。 ペン上下機構432は、プランジャ434とコイル部435で構成されるソレノイド440と、ソレノイド440のプランジャ434の移動端側に取り付けられたピン436と、このピン436を介してプランジャ434と連結されているペン上下レバー437と、ペン上下レバー437が上昇しすぎるのを抑制するストッパ438と、を備えている。 ソレノイド440は、銅線等が巻回されたコイル部435の中で可動式のプランジャ434がピストンのように往復運動をする仕組みとなっている。プランジャ434は、ばね433によって前方(図2、図4(a)における右側方向)に付勢されており、ソレノイド440は、このばね433の付勢力に抗してプランジャ434を後方(図2、図4(a)における左側方向)に吸引するプル型のソレノイドである。なお、ソレノイド440は、プル型に限定されず、プッシュ型に構成されたものでもよい。 ペン上下レバー437は、図4(a)に示すように、短アーム437aと長アーム437bとがほぼ直に交わるL字状の部材であり、短アーム437aの先端側にピン436に係止される長孔437cが形成されている。また、長アーム437bの先端側には、ペン41が挿通されるペン保持部437dが設けられている。ペン保持部437dは、ペン41のペン軸部411及びペン先412の径よりも大きく、ペン41の鍔部413の径よりも小さい内径を有するリング状に形成されており、ペン軸部411及びペン先412を挿通させるとともに鍔部413を下側から支持するように係止している。 ペン上下レバー437における短アーム437aと長アーム437bとの交点には、キャリッジ43側から支軸439が挿通されている。

本実施形態において、ソレノイド440が駆動されている状態では、図4(a)に示すように、ばね433の付勢力に抗してプランジャ434が後方に引かれた状態となり、プランジャ434のピン436に係止されているペン上下レバー437は長アーム437bがほぼ水平となる位置で保持される。この状態において、ペン41のペン先は、キャリッジ43のペンホルダ431よりも下方に下りた状態となり、爪Tの表面や被描画媒体と接触可能な描画状態となる。また、ソレノイド440が開放された状態では、ばね433の付勢力によってプランジャ434が前方に突出する。このとき、プランジャ434のピン436に係止されているペン上下レバー437は支軸439を支点として上方向(反時計方向)に回動し、長アーム437bがストッパ438に当接して止まる。これにより、ペン41の鍔部413が、ペン上下レバー437によって上方向に跳ね上げられる(図2参照)。この状態において、ペン41のペン先は、キャリッジ43のペンホルダ431よりも上方に上がった状態となり、爪Tの表面や被描画媒体と接触しない非描画状態となる。 このように、ソレノイド440のプランジャ434を前後移動させる力は、支軸439及びこれを支点として回動するペン上下レバー437によってペン41を上下移動させる力に変換される。

なお、ペン41は、キャリッジ43のペンホルダ431に挿通されて保持されているのみであり、ペン上下レバー437等に固定されていないため、自重によって下方に付勢されている。これにより、ペン41は、鍔部413がペン保持部437dの上面に接触する位置まで、ペンホルダ431に沿って自由に下降できるとともに、爪Tの表面や被描画媒体に突き当たると、ペン先412が爪Tの表面や被描画媒体に押し当てられるようになっている。 すなわち、爪Tにペン41で描画する場合、ペン先412は、爪Tの表面形状(表面の起伏等)に追従して(爪Tの曲面や高さに合わせて)、印刷指U1が載置されているXY平面に直交するZ方向(すなわち上下方向)に自由に移動可能に構成されている。 例えば、爪Tの高さの低い部分(例えば爪Tの幅方向の両端部等)に描画する場合には、ペン41は、鍔部413がペン保持部437dの上面に接触する位置近くまで下降し、爪Tの高さの高い部分(例えば、爪Tの幅方向の中央部等)に描画する場合には、ペン41は、爪Tの高さに追従して上昇し、鍔部413がペン保持部437dの上面から離間する。 ペン41の重量は数グラム〜数十グラムと極めて軽量であるため、ペン先412が爪Tに突き当たってもユーザが痛みを感じることはなく、また自重によりペン41の筆圧は確保されるため爪Tの上等にネイルデザインを描くことができる。

本実施形態では、このペン上下機構432を構成する部材のうち、支軸439及びストッパ438は、ステンレス等の金属で形成されており、それ以外の部材は、樹脂等の軽量で磁石に反応しない材料で形成されている。なお、ペン上下機構432を構成する部材の材料は、ここに例示したものに限定されない。 また、本実施形態では、ペン41を上下させるためのアクチュエータとしてソレノイド440を用いているが、ペン41を上下させるためのアクチュエータは、ソレノイド440に限定されない。ペン41は軽量であるため、ソレノイドの他、各種小型の駆動装置によりペン41を上下させるためのアクチュエータを構成することができる。

描画ヘッド42は、ヘッド支持部材441に支持されており、ヘッド支持部材441は、支軸442を介してユニット支持部材44に連結されている。 すなわち、図2等に示すように、ユニット支持部材44の上部背面側(ネイルプリント装置1の裏面側、図2において右側)には、ロータリーソレノイド443が取り付けられており、このロータリーソレノイド443の回転軸である支軸442にヘッド支持部材441の下端部が固定されている。 ロータリーソレノイド443は、支軸442の軸芯を中心として正逆自在に回転可能となっている。ロータリーソレノイド443の支軸442が回転することにより、この支軸442に固定されているヘッド支持部材441を正逆回転自在に回転させることができる。

ロータリーソレノイド443は、ヘッド支持部材441を回転させることで描画ヘッド42の角度を可変とする角度調整部である。更に、ロータリーソレノイド443は、描画ヘッド42による描画前に、描画ヘッド42を傾けてインク収容部であるペン軸部411内のインクを攪拌する攪拌動作を行う撹拌部として機能するものである。 本実施形態では、描画用具であるペン41のインク収容部(液状材料収容部)であるペン軸部411は、一端部(例えば上部)とこの一端部と対向する他端部(例えば下部)とを有し、ロータリーソレノイド443は、撹拌動作を行うとき、描画ヘッド42を、ペン軸部411の一端部(例えば上部)が他端部(例えば下部)より低い位置となる第1の角度と、ペン軸部411の一端部(例えば上部)が他端部(例えば下部)より高い位置となる第2の角度と、に傾斜させるようになっている。以下具体的に説明する。

本実施形態では、ロータリーソレノイド443を駆動させていない初期状態では、描画ヘッド42がXY平面に対してほぼ垂直である状態となっている。 例えば、この初期状態を角度「0°」とした場合、ロータリーソレノイド443は、例えば、この角度「0°」の状態(すなわち、描画ヘッド42がXY平面に対してほぼ垂直である状態)から「90°」を超えた状態(すなわち、例えば「95°」等、描画ヘッド42がXY平面に対して平行となる位置よりもさらに回転し、描画ヘッド42の上部が下部よりも低い位置となる状態)まで傾けることができるように構成されている。 すなわち、ロータリーソレノイド443を駆動させると、描画ヘッド42は上記の角度「0°」の状態から「90°」を超えた状態(すなわち、例えば「95°」等)に傾く。そして、ロータリーソレノイド443をOFFとすると、描画ヘッド42は上記の「90°」を超えた状態から角度「0°」の状態に戻るようになっている。このようなロータリーソレノイド443のON/OFF動作を行うことにより、描画ヘッド42が角度「0°」の状態と角度「95°」等の状態との間で揺動し、これによりペン41内のインクを撹拌することができる。なお、インクを十分攪拌するためには、このような攪拌動作を複数回繰り返すことが好ましい。

ペン41内のインクは、ペン41内に収容されている球状体の移動によって攪拌されるところ、球状体は、インク収容部であるペン軸部411がXY平面に対して平行となる角度「90°」の状態よりも大きく傾き、描画ヘッド42の上部が下部よりも低い位置に配置されたときにインク収容部内を移動する。このため、攪拌動作では、ロータリーソレノイド443の駆動により、描画ヘッド42が「90°」を超えた状態となるまで傾けることが好ましい。 図1では、描画ヘッド42の角度が、XY平面に対してほぼ垂直となっている状態を実線で示し、ロータリーソレノイド443により、描画ヘッド42の角度が「95°」程度変更され、XY平面に対して平行となる位置よりもさらに傾いた状態を二点鎖線で示している。

なお、ロータリーソレノイド443を駆動させることでインク収容部であるペン軸部411がXY平面に対して平行となる角度「90°」の状態よりも大きく傾く状態を作出できればよく、描画ヘッド42を傾ける角度は上記の例に限定されない。 例えば、「100°」等、さらに大きく傾けてもよい。また、一旦角度「90°」の状態よりも大きく傾ければ、角度「0°」の状態まで戻さなくてよく、例えば、角度「95°」と角度「47.5°」との間や、角度「100°」と角度「50°」との間等で揺動するように複数回傾けてもよい。また、装置内の各部に干渉しない限りは、角度「0°」の状態を挟んで、角度「95°」と角度「−95°」との間等で左右に大きく揺動するように複数回傾けてもよい。さらに、角度「0°」のと角度「95°」等、2つの定まった角度の間で往復させるのではなく、傾ける角度を無段階的に調整できるようにしてもよい。

また、本実施形態では、角度調整部としてのロータリーソレノイド443は、更に、爪Tの表面の幅方向に対する描画ヘッド42の角度を調整可能に構成されている。 具体的には、ロータリーソレノイド443は、後述する爪情報検出部812(図5参照)により検出された爪Tの表面の傾斜角度(爪Tが載置されるXY平面に対する角度)に応じて、描画ヘッド42(描画ヘッド42に装着されているペン41)のXY平面に対する角度を調整する。 すなわち、ロータリーソレノイド443は、描画ヘッド42が爪Tの表面の幅方向の両端部側の領域に描画を施すときに角度を調整して、爪Tの表面の幅方向に対する描画ヘッド42の角度を、描画ヘッド42が爪Tの表面の幅方向の中央部に描画するときの描画ヘッド42の、爪Tの表面の幅方向に対する角度に近づけるようになっている。

ネイルプリント装置1に使用されるペン41は、描画対象面である爪Tの表面に対してペン先412がほぼ垂直方向から当接する場合に最も安定して線等を描くことができる。 しかし、爪Tは、幅方向の中央部分から端部に向かって高さが低くなる曲面形状を有し、幅方向の両端部に行くにしたがい傾斜が大きくなっている。このため、描画ヘッド42を角度「0°」の状態(すなわち、描画ヘッド42がXY平面に対してほぼ垂直である状態)に維持したまま描画を行うと、幅方向の中央部ではペン41がほぼ垂直方向から爪Tの表面に当接するのに対して、幅方向の両端部ではペン41が斜め方向から爪Tの表面に当接し、ペン先412の種類によっては、爪Tの表面に描画することができなかったり、描画することができても、線の太さが不揃いになったりする等、高精細な描画を行うことができない。 この点、本実施形態では、描画ヘッド42を傾けて、爪Tの表面の幅方向の両端部に描画するときには、爪Tの表面の幅方向に対する描画ヘッド42の角度を、描画ヘッド42が爪Tの表面の幅方向の中央部に描画するときの描画ヘッド42の、爪Tの表面の幅方向に対する角度(すなわち、ほぼ直角に近い角度)に近づける。これにより、爪Tの端部においても爪Tの中央部に描画するのと近い状態で高精細な描画を行うことができる。

なお、描画ヘッド42(描画ヘッド42に装着されているペン41)のXY平面に対する角度を調整する角度調整部を構成する機構はロータリーソレノイド443に限定されない。例えば、ステップモータやサーボモータ等の各種モータ等で構成されていてもよい。 また、ロータリーソレノイド443は、「0°」「95°」等の2段階や「0°」「47.5°」「95°」等の3段階等の数段階で動作可能なものに限定されず、より細かい角度で支軸442を回転させることのできるものであってもよい。例えば、角度調整部として、ほぼ無段階的に角度を制御することのできるロータリーソレノイド443やステップモータ、サーボモータ等を用いて、ほぼ無段階的に支軸442を回転させることのできる構成としてもよい。

描画ヘッド42を支持するユニット支持部材44は、X方向移動ステージ45に取り付けられたX方向移動部451に固定されている。X方向移動部451は、X方向移動モータ46の駆動によりX方向移動ステージ45上を図示しないガイドに沿ってX方向に移動するようになっており、これにより、描画ヘッド42がX方向(図1におけるX方向、ネイルプリント装置1の左右方向)に移動するようになっている。 また、X方向移動ステージ45は、Y方向移動ステージ47のY方向移動部471に固定されている。Y方向移動部471は、Y方向移動モータ48の駆動によりY方向移動ステージ47上を図示しないガイドに沿ってY方向に移動するようになっており、これにより、描画ヘッド42がY方向(図2におけるY方向、ネイルプリント装置1の前後方向)に移動するようになっている。 なお、本実施形態において、X方向移動ステージ45及びY方向移動ステージ47は、X方向移動モータ46、Y方向移動モータ48と、図示しないボールネジ及びガイドとを組み合わせることで構成されている。本実施形態のX方向移動モータ46及びY方向移動モータ48としては、1パルス送られるごとに所定量ずつ移動するステップモータが適用される。 本実施形態では、X方向移動モータ46及びY方向移動モータ48等により、爪Tに描画を施すペン41を備える描画ヘッド42をX方向及びY方向に駆動するヘッド駆動部49(図5参照)が構成されている。

図1及び図2に示すように、撮影部50は、上部機枠12に設けられている。 すなわち、上部機枠12には基板13が設置されており、この基板13の中央部下面には、撮像装置としてのカメラ51が2つ設置されている。カメラ51は、例えば200万画素程度以上の画素を有するものであることが好ましい。 カメラ51は、指受入部31内に挿入されている印刷指U1の爪Tを撮影して、印刷指U1の爪Tの画像である爪画像(爪Tの画像を含む指画像)を得るものである。 本実施形態では、2つのカメラ51は、指受入部31に挿入されている印刷指U1の爪Tの幅方向にほぼ並んで設けられている。2つのカメラ51のうち、一方のカメラ51は、指受入部31の底面に対向して設けられており、爪Tを真上から撮影するものである。また、他方のカメラ51は、指受入部31の底面に対して僅かに傾けて配置されており、爪Tを斜め上方向から撮影するものである。 また、基板13には、カメラ51を囲むように白色LED等の照明灯(照明装置)52が設置されている。照明灯52は、カメラ51による撮影の際に、印刷指U1の爪Tを照明するものである。撮影部50は、このカメラ51及び照明灯52を備えて構成されている。 この撮影部50は、後述する制御装置80の撮影制御部811(図5参照)に接続され、該撮影制御部811によって制御されるようになっている。 撮影部50によって撮影された画像の画像データは、後述する記憶部82の爪画像記憶領域821に記憶される。

本実施形態では、撮像装置としての2つのカメラ51によって少なくとも2つの異なった位置・角度から爪Tを撮影することができ、少なくとも2枚の爪画像が取得される。 そして、これらの爪画像に基づいて、後述する爪情報検出部512が、爪Tの輪郭(爪Tの形状)の他、爪Tの表面の、XY平面に対する傾斜角度(以下「爪Tの傾斜角度」又は「爪曲率」という。)や爪Tの垂直位置等の爪情報を検出できるようになっている。すなわち、例えば、爪Tの真上からの画像と、爪Tの斜め上方向からの画像と、を取り込むことにより、爪Tの輪郭だけでなく、位置、爪Tの表面の傾斜角度を正確に検出することができる。 なお、撮像装置として2つのカメラ51を備え、爪Tの傾斜角度又は爪曲率を検出できるように構成することは必須の構成ではなく、爪Tを上方向のみから撮影して爪Tの輪郭(爪Tの形状)を爪情報として検出するようにしてもよい。

また、制御装置80は、例えば上部機枠12に配置された基板13等に設置されている。 図6は、本実施形態における制御構成を示す要部ブロック図である。 制御装置80は、図5に示すように、図示しないCPU(Central Processing Unit)により構成される制御部81と、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等(いずれも図示せず)で構成される記憶部82とを備えるコンピュータである。

記憶部82には、ネイルプリント装置1を動作させるための各種プログラムや各種データ等が格納されている。 具体的には、記憶部82のROMには、爪画像から爪Tの形状や爪Tの傾斜角度等の爪情報を検出するための爪情報検出プログラム、描画データを生成するための描画データ生成プログラム、描画処理を行うための描画プログラム等の各種プログラムが格納されており、これらのプログラムが制御装置80によって実行されることによって、ネイルプリント装置1の各部が統括制御されるようになっている。 また、本実施形態において記憶部82には、撮影部50によって取得されたユーザの印刷指U1の爪Tの爪画像を記憶する爪画像記憶領域821、爪情報検出部812を含む爪情報検出部812によって検出された爪情報(爪Tの輪郭や爪Tの傾斜角度等)が記憶される爪情報記憶領域822、及び爪Tに描画されるネイルデザインの画像データを記憶するネイルデザイン記憶領域823が設けられている。

制御部81は、機能的に見た場合、撮影制御部811、爪情報検出部812、描画データ生成部813、表示制御部814、描画制御部815等を備えている。これら撮影制御部811、爪情報検出部812、描画データ生成部813、表示制御部814、描画制御部815等としての機能は、制御部81のCPUと記憶部82のROMに記憶されたプログラムとの共働によって実現される。

撮影制御部811は、撮影部50のカメラ51及び照明灯52を制御してカメラ51により、指受入部31に挿入された印刷指U1の爪Tの画像を含む指の画像(以下「爪画像」という。)を撮影させるものである。 本実施形態では、撮影制御部511は、2つのカメラ51によって異なる位置・角度(例えば、爪Tの真上と爪Tの斜め上方等)から少なくとも2枚の爪画像を取得させる。 撮影部50により取得された爪画像の画像データは、記憶部82に記憶されてもよい。

爪情報検出部812は、カメラ51によって撮影された指受入部31に挿入された印刷指U1の爪Tの画像に基づいて、印刷指U1の爪Tについての爪情報を検出するものである。本実施形態では、爪情報検出部812は、爪Tの傾斜角度を検出する爪情報検出部812を含んでいる。 ここで、爪情報とは、例えば、爪Tの輪郭(爪形状、爪Tの水平位置)、爪Tの高さ(爪Tの垂直方向の位置、以下「爪Tの垂直位置」又は単に「爪Tの位置」ともいう。)、爪Tの表面の、XY平面に対する傾斜角度(爪Tの傾斜角度、爪曲率)である。 なお、爪Tの傾斜角度(爪曲率)とは、上述のように、爪Tの幅方向における水平面(すなわち、印刷指U1が載置されている指載置部116aのXY平面)に対する角度をいう。本実施形態において、爪情報検出部812は、爪画像に基づいて、これらの爪情報のうち、爪Tの輪郭(爪形状、爪Tの水平位置)及び爪Tの傾斜角度(爪曲率)を検出するようになっている。

具体的には、爪情報検出部812は、カメラ51により取得された印刷指U1の爪Tの爪画像から、爪Tの輪郭(形状や大きさ)、位置を検出し、この輪郭をx,y座標等で表される情報として取得する。 爪情報検出部812は、例えば、カメラ51により取得された印刷指U1の爪Tの爪画像から爪Tとそれ以外の指部分との色の違い等に基づいて爪Tの輪郭(形状)を検出するものである。なお、爪情報検出部812が爪Tの輪郭(形状)を検出する手法は特に限定されず、ここに挙げたものに限られない。 また、爪情報検出部812は、2つのカメラ51によって撮影された少なくとも2つの爪画像に基づいて、爪Tの傾斜角度(爪曲率)を検出する。 爪情報検出部812は、例えば2つのカメラ51によって異なる位置・角度(例えば、爪Tの真上と爪Tの斜め上方等)から撮影された2つの爪画像に現われる位置、形状の違い等からユーザの爪Tについて爪Tの位置と傾斜角度(爪曲率)を検出する。なお、爪情報検出部812が爪Tの傾斜角度(爪曲率)を検出する手法は特に限定されず、ここに挙げたものに限られない。

描画データ生成部813は、爪情報検出部812により検出された爪情報に基づいて、描画ヘッド70により印刷指U1の爪Tに施される描画用のデータを生成する。 具体的には、描画データ生成部813は、爪情報検出部812により検出された爪Tの形状等に基づいてネイルデザインの画像データを拡大、縮小、切出し等による合せ込み処理を行い、爪Tに描画を施すためのデータを生成する。 また、本実施形態では、描画データ生成部813は、爪情報検出部812により検出された爪Tの傾斜角度(爪曲率)に応じて、ネイルデザインの画像データの曲面補正を行う。 これにより、ネイルデザインの描画用のデータが生成される。

表示制御部814は、表示部26を制御して表示部26に各種の表示画面を表示させるものである。本実施形態では、表示制御部814は、例えばネイルデザインの選択画面やデザイン確認用のサムネイル画像、印刷指U1を撮影して取得した爪画像、各種の指示画面等を表示部26に表示させるようになっている。

描画制御部815は、描画データ生成部813によって生成された描画データを描画部40に出力し、爪Tに対してこの描画データにしたがった描画を施すように描画部40、ソレノイド440、ロータリーソレノイド443、X方向移動モータ46、Y方向移動モータ48を制御する制御部である。 本実施形態では、描画制御部815は、描画ヘッド42による描画動作を開始する直前に、ロータリーソレノイド443を動作させて、ペン41のペン軸部411(すなわち、インク収容部)内のインクを攪拌する攪拌動作を行わせるようになっている。具体的には、例えば、描画制御部815は、ロータリーソレノイド443のON/0FFを切り替えることにより、ペン41の角度「0°」の初期状態から角度「95°」等となる位置まで、1回又は複数回繰り返して描画ヘッド42を大きく傾ける。なお、傾ける角度が十分であれば傾ける速度が遅くてもペン軸部411内の球状体は移動可能であるため、インクの攪拌は可能である。また、何回攪拌動作を繰り返すかは特に限定されず、適宜設定される。例えばインクの種類等に応じて攪拌回数を異ならせるように設定されていてもよい。 攪拌動作は、例えば、ペンキャップ62からペン41を取り出した後、描画位置(すなわち、爪Tの表面上方)に移動するまでの間に行われる。なお、攪拌動作を行う位置はこれに限定されず、周囲の装置各部に干渉しない位置であればどこでもよい。 また、描画途中にも適宜攪拌動作を行ってもよい。この場合爪Tに描画を行う描画位置の上方で攪拌動作を行ってもよいが、ペンキャップ62等が配置されているホームスペースまで移動して攪拌動作を行うことが好ましい。 なお、描画途中でも攪拌動作を行うとした場合、描画開始前に行う攪拌動作と描画途中で行う攪拌動作とは同じでもよいし、例えば、後者については前者よりも傾ける回数を少なくしたり、描画ヘッド42を傾ける角度を小さくしたりする等、異なる内容の攪拌動作を行うようにしてもよい。

また、本実施形態の描画制御部815は、ロータリーソレノイド443を制御して、爪情報検出部812により検出された爪Tの表面の傾斜角度に応じて、ペン41が装着された描画ヘッド42のXY平面に対する角度を調整する。 なお、このように描画を行う際にも描画ヘッド42(描画ヘッド42に装着されたペン41)の角度が調整された場合には、ペン先412が爪Tに当接する当接位置が変化する。このため、描画制御部815は、このペン先412の接触位置の変化に応じて描画位置を補正する描画位置補正を行う。

次に、本実施形態におけるネイルプリント装置1により描画を行うときの動作について説明する。

このネイルプリント装置1により描画を行う場合、ユーザはまず、電源スイッチを入れて制御装置80を起動させる。 表示制御部814は、表示部26にデザイン選択画面を表示させる。ユーザは操作部25の操作釦等を操作して、デザイン選択画面に表示された複数のネイルデザインの中から所望のネイルデザインを選択し、これにより、操作部25から選択指示信号が出力されて爪Tに描画すべきネイルデザインが選択される。 ネイルデザインが選択されると、制御部81は、当該選択されたネイルデザインを描画するのに必要なペン41を描画ヘッド42の所定のキャリッジ43にセットするよう促す指示画面を表示部26に表示させる。例えば、赤インク、ラメ入り金インクが必要であるときは、どのキャリッジ43にどのインクのペン41を装着すべきかを表示部26において指示する。ユーザは表示画面に表示された指示にしたがって、所定のキャリッジ43に所定の種類のペン41をセットする。なお、ユーザがあえて指示と異なるペン41をセットして、好みの色や質感のネイルデザインを実現するようにしてもよい。 なお、キャリッジ43にどの種類のペン41がセットされているかをバーコード等により制御部81が読み取ることができるように構成してもよく、この場合には、キャリッジ43にセットされているペン41によって描画できるネイルデザインを表示部26のデザイン選択画面を表示させ、ユーザにその中からネイルデザインを選択させるようにしてもよい。 次に、ユーザは、印刷指U1を指受入部31に挿入し、非印刷指U2を指退避部32に挿入して、印刷指U1を固定した上で、描画スイッチを操作する。 例えば、図3では、左手の薬指が印刷指U1として指受入部31に挿入され、その他の指が非印刷指U2として指退避部32に挿入されている例を示している。

描画スイッチから指示が入力されると、描画動作を開始する前に、まず撮影制御部811が撮影部50を制御して、照明灯52により描画指U1を照明しながら2つのカメラ51により印刷指U1を撮影させる。これにより、撮影制御部811は、指受入部31に挿入された印刷指U1の爪Tの画像(爪画像)を少なくとも2つ取得する。 次に、爪情報検出部812は、爪画像に基づいて爪Tの輪郭(爪形状)を検出する。また、爪情報検出部812は、爪画像に基づいて爪Tの傾斜角度(爪曲率)、爪Tの位置を検出する。

爪情報検出部812により爪Tの輪郭(爪形状)が検出され、爪情報検出部812により爪Tの傾斜角度(爪曲率)が検出されると、これらの爪情報に基づいて、描画データ生成部813が、ネイルデザインの画像データの爪Tへの合せ込み処理を行う。 また、描画データ生成部813は、これら爪情報に基づいて、ネイルデザインの画像データにつき曲面補正を行う。これにより描画データが生成される。

次に、描画制御部815は、ロータリーソレノイド443を動作させて、例えば角度「0°」と状態から角度「95°」の状態との間で描画ヘッド42が揺動するように支軸442を回転中心として回転させて、描画ヘッド42を1回又は複数回繰返して傾ける。これにより、インク収容部であるペン軸部411内のインクが攪拌される。 次に、描画制御部815は、爪Tへの描画開始前に、描画部40をペン慣書部61に移動させて、ペン41を保持するキャリッジ43のソレノイド440を駆動させ、ペン41を描画可能状態とする。そして、被描画媒体に「○」や「∞」等の所定の図形を描く慣らし書きを行う。なお、慣らし書きは、選択されたネイルデザインを描画するのに必要なペン41についてのみ行ってもよいし、全てのペン41について行ってもよい。

インクの攪拌動作が完了し、慣らし書きも完了すると、描画制御部815は、描画データを描画部40に出力し、この描画データに基づいて描画ヘッド42による描画を行わせる。 描画を行う際には、描画制御部815は、爪Tの表面の傾斜角度に応じて描画ヘッド42(描画ヘッド42に保持されるペン41)のXY平面に対する角度を調整するようにロータリーソレノイド443の動作を制御する。

なお、顔料等の沈殿が生じやすいインクを用いて描画を行う場合や、描画時間が長くかかる場合等、描画の途中でインクの沈殿や凝集が起こるおそれがある場合には、描画の途中でも、描画動作を一旦中断して、適宜インクの攪拌動作を行うようにしてもよい。 例えば、爪Tの上にベースとなるインクを塗布した後、複数個のデザインパーツ(ワンポイント柄やストライプ柄等の絵柄)を描画するような場合、ベースを塗り終わったタイミングや、各デザインパーツを描画し終わったタイミング等でそれぞれ攪拌動作を行ってもよい。また、描画開始から所定の時間が経過するごとに、描画動作を一旦中断して、攪拌動作を行うようにしてもよい。

なお、複数の指の爪Tに描画を施す場合には、1つの指の爪Tについて描画処理が終了した後、当該描画済みの爪Tの指を指受入部31から抜いて次に描画すべき爪Tの指を印刷指U1として指受入部31に挿入し、当該爪Tの爪画像を取得して、上記の処理を繰り返す。次の印刷指U1の爪Tに描画を開始する前には、描画制御部815はロータリーソレノイド443を動作させて、再度インクの攪拌動作を行わせることが好ましい。 なお、ペン41を交換する場合には、描画制御部815は、描画ヘッド42をペン交換用蓋部23に対応する位置まで移動させる。この状態でユーザがペン交換用蓋部23を開けることにより、ペン41の取り出し、交換が可能となる。

以上のように、本実施形態によれば、描画ヘッド42の角度を調整する角度調整部としてロータリーソレノイド443を備え、ロータリーソレノイド443を動作させることにより、描画ヘッド42による描画前に、描画ヘッド42を傾けてインク収容部であるペン軸部411内のインクを攪拌する攪拌動作を行うようになっている。 これにより、粒径の大きな顔料や比重の重い顔料等を含むインクを用いて描画を行う場合に、描画前にインク収容部内のインクの沈殿や凝集によるインクの詰まりを解消し、所望の発色による高精細なネイルプリントを施すことができる。 また、本実施形態の角度調整部であるロータリーソレノイド443は、爪Tの表面の幅方向に対する描画ヘッド42の角度を調整可能に構成されている。このため、比較的小さなスペース内でインク収容部であるペン軸部411を大きく動かすことができ、周囲の装置各部との干渉を避けられるとともに、装置を大型化させずにインクの攪拌動作を行うことができる。 また、このように、ロータリーソレノイド443が、爪Tの表面の幅方向に対する描画ヘッド42の角度を調整可能に構成されている場合には、このロータリーソレノイド443を用いて、描画時に爪Tの表面の傾斜角度に応じて描画ヘッド42(描画ヘッド42に保持されるペン41)のXY平面に対する角度を調整することができる。すなわち、爪Tの表面の傾斜角度に応じた描画時の描画ヘッド42の角度調整と、描画前等におけるインクの攪拌動作とを、1つのロータリーソレノイド443により実現することができ、部品点数を減らして装置構成を簡易化しつつ、インクの沈殿や凝集を解消することのできるネイルプリント装置1を実現することができる。 また、本実施形態では、描画ヘッドは、先端部が爪Tの表面に接触して描画を施す描画用具であるペン41を備えている。このため、透け感のない描画が可能であり市販のマニキュア液に使用されるような粒径の大きな色材やラメ等を含むインク、粘度の高いインク等を描画に用いることができ、例えばインクジェット方式のプリント装置の場合よりもネイルプリント装置1において使用可能なインクの種類の自由度が広がり、よりネイルサロン等で施されるネイルアートに近いネイルデザインを描画することができる。そして、このようなインクを用いる場合でも、描画開始前等にインクの攪拌動作を行うため、インクの沈殿や凝集によるインクの詰まりを解消し、所望の発色による高精細なネイルプリントを施すことができる。

[第2の実施形態] 次に、図6から図9を参照しつつ、本発明に係るネイルプリント装置の第2の実施形態について説明する。なお、本実施形態は、描画部の構成のみが第1の実施形態と異なるものであるため、以下においては、特に第1の実施形態と異なる点について説明する。

図6は、本実施形態におけるネイルプリント装置の正面図であり、図7は図6のネイルプリント装置の一部を断面にして内部構造を示した側面図である。 図6及び図7に示すように、描画部7は、描画用のペン71を備える描画ヘッド70、描画ヘッド70を支持するヘッド支持部材441、ヘッド支持部材441が支軸442を介して接続されたユニット支持部材44、ヘッド支持部材441に支持された描画ヘッド70を支軸442の軸芯を中心として回転させるロータリーソレノイド443、描画ヘッド70をX方向(図6におけるX方向、ネイルプリント装置1の左右方向)に移動させるためのX方向移動ステージ45、X方向移動モータ46、描画ヘッド70をY方向(図2におけるY方向、ネイルプリント装置1の前後方向)に移動させるためのY方向移動ステージ47、Y方向移動モータ48等を備えて構成されている。

図8(a)は、描画ヘッド70の上面図である。 図8(b)は、図8(a)の描画ヘッド70を矢視b方向から見た正面図である。 図8(c)は、図8(a)の描画ヘッド70を矢視c方向から見た側面図である。

図8(b)及び図8(c)に示すように、本実施形態におけるペン71は、ペン軸部713aの先端側(図8(b)等において下側)にペン先713bが設けられたものである。ペン軸部713aの(図8(b)等において上側)他端側には、軸部712aが設けられている。 ペン軸部713aの内部は、各種インクを収容するインク収容部となっている。 ペン軸部713aの内部に収容されるインクとしては、第1の実施形態と同様、粒径の大きな顔料(色材)や比重が重い顔料(色材)を含むインク等、各種のインクが適用可能である。

図8(a)から図8(c)に示すように、本実施形態において、描画ヘッド70は、複数のペン71を保持可能な回転式のキャリッジ72、キャリッジ72を回転させるキャリッジ回転機構73、キャリッジ72に保持されたペン71を上下移動させるためのペン上下機構74を備えている。 本実施形態のキャリッジ72は、円筒状に形成され、周に沿って4つのペン保持部721が配置されたキャリッジ本体722を備えている。 なお、ペン保持部721の数は特に限定されず、4つよりも多くてもよいし、これより少なくてもよい。多くのペン保持部721を備えるほど、より複数のペン71を同時に保持することができ、多様なインクを用いた複雑なネイルデザインを描画することが可能となる。 なお、全てのペン保持部721にペン71が保持されている必要はない。図8(a)及び図8(c)では、4つのペン保持部721のうちの2つにペン71が保持されている場合を一例として示している。

キャリッジ本体722の外周面には、歯車723が形成されている。 また、キャリッジ72のほぼ中央部には、回転軸724が設けられている。キャリッジ72は、この回転軸724を中心としてほぼ水平に回転可能に構成されている。 キャリッジ72のキャリッジ本体722の外周面の所定位置(例えば、所定のペン保持部721に対応する位置等)には、キャリッジ72の回転の基準位置を示すための基準指標725が設けられている。 基準指標725は、例えば、フォトリフレクタによって読取可能な反射布や反射シート等であり、キャリッジ本体722の外周面に貼付等により固定されている。

図8(c)に示すように、キャリッジ回転機構73は、ステップモータ731と、このステップモータ731に回転軸732を介して接続されキャリッジ本体722の歯車723と噛み合う歯車733を備えている。 本実施形態において、ステップモータ731の駆動により回転軸732が回転し、回転軸732に取り付けられている歯車733が回転すると、この歯車733と噛み合っているキャリッジ本体722の歯車723が回転する。これにより、キャリッジ72が左右に回転するようになっている。 また、キャリッジ回転機構73は、キャリッジ72の基準指標725を読み取るための指標読取部734を備えている。指標読取部734は、例えば、反射布や反射シート等で構成されている基準指標725を読み取ることのできるフォトリフレクタ等で構成される。指標読取部734は、基準指標725を読み取る毎にその読取結果を描画制御部815に出力するようになっている。

ペン上下機構74はソレノイドで構成されており、バネ741により上方向(図8(b)において上方向)に付勢されたプランジャ742と、バネ741の付勢力に抗してプランジャ742を下方向に押し下げるコイル部743を備えている。 プランジャ742の下端部には、ペン71の軸部712aの先端部を受ける円錐形の凹部742aが形成されている。後述のように、軸部712aの先端部は、半球状又は円錐状等に形成されているため、これを凹部742aで受けることにより、軸部712a及びこれを有するペン71自体を安定して垂直方向に押し下げることができるようになっている。 なお、軸部712aの先端部を受ける部分の形状は円錐凹形状に限定されない。例えば後述する軸部712aの先端部の形状を凹形状とし、この軸部712aの先端部を受ける部分の形状を半球状又は錐状等としてもよい。 また、キャリッジ72を回転させるキャリッジ回転機構の構成、ペン71を押し下げるペン上下機構の構成等は、ここに例示したものに限定されない。例えば、キャリッジ回転機構は、ラチェット機構とソレノイド等で構成されていてもよい。

本実施形態において、ロータリーソレノイド443は、支軸442の軸芯を中心として正逆自在に回転可能となっている。図示しない描画制御部の制御に従いロータリーソレノイド443が動作することによって、ロータリーソレノイド443の支軸442が回転し、この支軸442に固定されているヘッド支持部材441を正逆回転自在に回転させることができる。これにより、ヘッド支持部材441に支持された描画ヘッド70が支軸442の軸芯を中心として回転し、爪Tの表面の幅方向に対する描画ヘッド70の角度が調整可能となっている。

第1の実施形態と同様に、ロータリーソレノイド443は、描画ヘッド70による描画前に、描画ヘッド70を傾けてインク収容部であるペン軸部713a内のインクを攪拌する攪拌動作を行う角度調整部として機能する。また、描画時には、ロータリーソレノイド443を動作させることによって爪Tの表面の傾斜角度に応じた描画ヘッド70の角度調整を行う。

例えば、ロータリーソレノイド443を駆動させていない初期状態では、描画ヘッド70がXY平面に対してほぼ垂直である状態となっている。 図9(a)では、この初期状態を角度「0°」とした場合に、ロータリーソレノイド443を動作させることによって、例えば、この角度「0°」の状態(すなわち、描画ヘッド70がXY平面に対してほぼ垂直である状態)から「90°」を超えた状態(すなわち、例えば「95°」等、描画ヘッド42がXY平面に対して平行となる位置よりもさらに回転して、描画ヘッド70の上部が下部よりも低い位置に配置される状態、図9(a)において二点鎖線で示す)まで傾けた状態と、この状態から角度「47.5°」等、「0°」と「95°」との中間に位置する状態まで描画ヘッド70の角度を戻した状態(図9(a)において実線で示す)と、を例示している。 このように、描画ヘッド70を角度「47.5°」と「95°」との間で揺動するように傾けることでペン軸部713a内のインクを攪拌することができる。

なお、攪拌動作において描画ヘッド70を傾ける角度は、第1の実施形態と同様に、上記の例に限定されない。 例えば、図9(b)に示すように、ロータリーソレノイド443を動作させることで、描画ヘッド70を初期状態である角度「0°」の状態から「95°」の状態まで傾け、さらに、「−95°」の状態となるまで逆側に傾けるようにしてもよい。ロータリーソレノイド443は、描画ヘッド70による描画前に、描画ヘッド70を傾けてインク収容部であるペン軸部713a内のインクを攪拌する攪拌動作を行う角度調整部として機能する。

なお、その他の構成は、第1の実施形態と同様であることから、同一部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。

次に、本実施形態におけるネイルプリント装置により描画を行うときの動作について説明する。 まず、第1の実施形態と同様に、描画を開始する前に、 描画制御部815は、ロータリーソレノイド443を動作させて、例えば角度「0°」と状態から角度「95°」の状態との間で描画ヘッド70が揺動するように支軸442を回転中心として回転させて、描画ヘッド70を1回又は複数回繰返して傾ける。これにより、インク収容部であるペン軸部713a内のインクが攪拌される。 次に、キャリッジ72をペン慣書部61に移動させて、慣らし書きを行う。

インクの攪拌動作が完了し、慣らし書きも完了すると、描画制御部815は、描画データを描画部7に出力し、この描画データに基づいて描画ヘッド70による描画を行わせる。 具体的には、描画制御部815は、描画に用いるペン71を選択し、当該ペン71がペン上下機構74の下方に位置するようにキャリッジ72を回転させる。 ペン71がペン上下機構74の下方に位置すると、ペン上下機構74は、当該ペン71を爪Tの表面に接触する位置まで押し下げる。これにより、ペン71は、ペン先が爪Tの表面に適度な力で押圧され、描画可能な状態となる。 描画を行う際には、描画制御部815は、爪Tの表面の傾斜角度に応じて描画ヘッド70(描画ヘッド70に保持されるペン71)のXY平面に対する角度を調整するようにロータリーソレノイド443の動作を制御する。

なお、顔料等の沈殿が生じやすいインクを用いて描画を行う場合や、描画時間が長くかかる場合等、描画の途中でインクの沈殿が起こるおそれがある場合には、描画の途中で、描画動作を一旦中断して、適宜インクの攪拌動作を行うようにしてもよい。 例えば、爪Tの上にベースとなるインクを塗布した後、複数個のデザインパーツを描画するような場合、ベースを塗り終わったタイミングや、各デザインパーツを描画し終わったタイミング等でそれぞれ攪拌動作を行ってもよい。また、描画開始から所定の時間が経過するごとに、描画動作を一旦中断して、攪拌動作を行うようにしてもよい。

なお、その他の点については、第1の実施形態と同様であることから、その説明を省略する。

以上のように、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得られる他、以下の効果を得ることができる。 すなわち、本実施形態では、複数種類(本実施形態では最大4種類)のペン71を同時に保持させて描画を行うことができる。このため、例えば、複数の色のインクを必要とする複雑な絵柄や、段階的に濃さの異なる複数のインクを必要とするグラデーション柄等、多色を必要とする複雑かつ繊細なデザインでも簡易に描画することができる。

[第3の実施形態] 次に、図10及び図11を参照しつつ、本発明に係るネイルプリント装置の第3の実施形態について説明する。なお、本実施形態は、ロータリーソレノイドの設けられる位置が第1の実施形態及び第2の実施形態と異なるものであるため、以下においては、特に第1の実施形態及び第2の実施形態と異なる点について説明する。

図10(a)は、描画ヘッド70の上面図である。 図10(b)は、図10(a)の描画ヘッド70を矢視b方向から見た正面図である。 図10(c)は、図10(a)の描画ヘッド70を矢視c方向から見た側面図である。

図10(a)から図10(c)に示すように、本実施形態における描画ヘッド70は、第2の実施形態と同様に、複数のペン71を保持可能な回転式のキャリッジ72を備えている。 本実施形態において、描画ヘッド70は、ヘッド支持部材445に支持されている。本実施形態のユニット支持部材44は、ヘッド支持部材445の側方に配置される延出部44aを有し、上面視においてほぼL字型に形成されている(図10(a)参照)。ヘッド支持部材445の側部には、支軸446を介してユニット支持部材44の延出部44aが接続されている。また、この支軸446には延出部44aを介してロータリーソレノイド447が接続されている。 そして、ロータリーソレノイド447が支軸446をその軸芯を中心として回転させることにより、ヘッド支持部材445及びこれに支持された描画ヘッド70を上下方向(図10(c)において上下方向)に傾けることができるようになっている。すなわち、本実施形態のロータリーソレノイド447は、爪Tの表面の幅方向と直交する長さ方向に対する描画ヘッド70の角度を調整可能に構成されている。

第1の実施形態と同様に、ロータリーソレノイド447は、描画ヘッド70による描画前に、描画ヘッド70を傾けてインク収容部であるペン軸部713a内のインクを攪拌する攪拌動作を行う角度調整部として機能する。

例えば、ロータリーソレノイド447を駆動させていない初期状態では、描画ヘッド70に設けられているペン71(ペン71内のインク収容部)がXY平面に対してほぼ垂直である状態となっている。 図11(a)では、この初期状態を角度「0°」とした場合に、ロータリーソレノイド447を動作させることによって、例えば、この角度「0°」の状態(すなわち、描画ヘッド70に設けられているペン71(ペン71内のインク収容部)がXY平面に対してほぼ垂直である状態と、図11(a)において二点鎖線で示す)から「90°」を超えた状態(すなわち、例えば「95°」等、描画ヘッド42に設けられているペン71(ペン71内のインク収容部)がXY平面に対して平行となる位置よりもさらに回転し描画ヘッド70に設けられているペン71(ペン71内のインク収容部)の上部が下部よりも低い位置に配置される状態)まで傾けた状態(図11(a)において実線で示す)と、を例示している。 このように、描画ヘッド70を角度「0°」と「95°」との間で揺動させることでペン軸部713a内のインクを攪拌することができる。

なお、攪拌動作において描画ヘッド70を傾ける角度は、上記の例に限定されない。 例えば、図9(b)に示すように、ロータリーソレノイド447を動作させることで、描画ヘッド70を初期状態である角度「0°」の状態から「100°」の状態等、さらに大きく傾けるようにしてもよい。

なお、その他の構成は、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様であることから、同一部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。

次に、本実施形態におけるネイルプリント装置により描画を行うときの動作について説明する。 まず、第1の実施形態と同様に、描画を開始する前に、 描画制御部815は、ロータリーソレノイド447を動作させて、例えば角度「0°」と状態から角度「95°」の状態との間で描画ヘッド70が揺動するように支軸446を回転中心として回転させて、描画ヘッド70を1回又は複数回繰返して傾ける。これにより、インク収容部であるペン軸部713a内のインクが攪拌される。 次に、キャリッジ72をペン慣書部61に移動させて、慣らし書きを行う。

慣らし書きも、インクの攪拌動作も完了すると、描画制御部815は、描画データを描画部7に出力し、この描画データに基づいて描画ヘッド70による描画を行わせる。 具体的には、描画制御部815は、描画に用いるペン71を選択し、当該ペン71がペン上下機構74の下方に位置するようにキャリッジ72を回転させる。 ペン71がペン上下機構74の下方に位置すると、ペン上下機構74は、当該ペン71を爪Tの表面に接触する位置まで押し下げる。これにより、ペン71は、ペン先が爪Tの表面に適度な力で押圧され、描画可能な状態となる。

なお、顔料等の沈殿が生じやすいインクを用いて描画を行う場合や、描画時間が長くかかる場合等、描画の途中でインクの沈殿が起こるおそれがある場合には、描画の途中で、描画動作を一旦中断して、インクの攪拌動作を行うようにしてもよい。 例えば、爪Tの上にベースとなるインクを塗布した後、複数個のデザインパーツを描画するような場合、ベースを塗り終わったタイミングや、各デザインパーツを描画し終わったタイミング等でそれぞれ攪拌動作を行ってもよい。また、描画開始から所定の時間が経過するごとに、描画動作を一旦中断して、攪拌動作を行うようにしてもよい。

なお、その他の点については、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様であることから、その説明を省略する。

以上のように、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得られる他、以下の効果を得ることができる。 すなわち、本実施形態では、第2の実施形態と同様に、複数種類(本実施形態では最大4種類)のペン71を同時に保持させて描画を行うことができる。このため、例えば、複数の色のインクを必要とする複雑な絵柄や、段階的に濃さの異なる複数のインクを必要とするグラデーション柄等、多色を必要とする複雑かつ繊細なデザインでも簡易に描画することができる。 また、角度調整部であるロータリーソレノイド447は、爪Tの表面の幅方向と直交する長さ方向に対する描画ヘッド70の角度を調整可能に構成されている。このため、例えば、ユニット支持部材44に、高さ方向(図10(b)における上下方向)を調整可能な機構を設けた場合には、ロータリーソレノイド447により描画ヘッド70を傾けることで、先端部分が極端に曲がった爪T等、長さ方向において傾斜している爪Tに対しても対応することができ、端部まで美しい仕上がりのネイルプリントを施すことが可能となる。

なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。

例えば、上記各実施形態では、ネイルプリント装置1として、描画ヘッド70が印刷指U1の爪Tに描画を施すペン71を備えるプロッタ方式のプリント装置である場合を例示したが、描画部7の描画ヘッド70はペン71を備えるものに限定されない。 例えば、図12(a)〜図12(c)に示すように、インクジェット方式の描画ヘッド42を備える構成としてもよい。 インクジェット方式の描画ヘッド42を備える構成の場合の構成について、図12(a)〜図12(c)を参照しつつ、説明する。 図12(a)は、インクジェット方式の描画ヘッドを備える場合の描画ヘッド周辺の上面図である。 図12(b)は、図12(a)の描画ヘッド等を矢視b方向から見た上面図である。 図12(c)は、図12(a)の描画ヘッド等を矢視c方向から見た正面図である。

図12(a)及び図12(c)に示すように、ロータリーソレノイド443の支軸442を介してユニット支持部材44に連結されているヘッド支持部材441には、描画ヘッド42を保持するキャリッジ43が取り付けられている。 キャリッジ43の奥側(ネイルプリント装置の背面側、図12(a)及び図12(c)において上側)の面には、描画ヘッド42を駆動させるヘッドドライブ回路基板422が、キャリッジ43の内側に図示しないコネクタ部が露出した状態で設けられている。 キャリッジ43の上側には、ヘッド固定ばね421がねじ止め等により固定されている。ヘッド固定ばね421は、例えば板ばねであり、キャリッジ43に描画ヘッド42が装着された際、描画ヘッド42の上側に当接して描画ヘッド42を固定する。なお、描画ヘッド42の上面にはヘッド固定ばね421が嵌め込まれる凹部が形成されており、ヘッド固定ばね421がこの凹部に嵌まる位置まで描画ヘッド42をキャリッジ43内に押し込むことで、描画ヘッド42が位置決めされるとともにキャリッジ43内に固定される。また、描画ヘッド42の背面側(図12(a)及び図12(c)において上側)には、ヘッドドライブ回路基板422のコネクタ部と接続されるヘッド側のコネクタ部(図示せず)が設けられている。ヘッド固定ばね421によって描画ヘッド42が位置決めされ、キャリッジ43に固定された状態において、描画ヘッド42側のコネクタ部がヘッドドライブ回路基板422のコネクタ部と接続されて、描画ヘッド42が駆動可能な状態となる。 なお、描画ヘッド42をキャリッジ43から取り外す際には、ヘッド固定ばね421の自由端側を上方向に引き上げて描画ヘッド42の凹部から外し、キャリッジ43の前側(ネイルプリント装置の前面側、図12(a)及び図12(c)において下側)に描画ヘッド42を引き抜くことにより外すことができる。

描画ヘッド42は、インク収容部であるインクタンクが一体化された一体型のカートリッジであり、内部には、個別に仕切られた複数のインク室が設けられ、各インク室内には、例えば、C,M,Y3色のインクがそれぞれ充填されている。 なお、インクの種類や数はここに例示したものに限定されない。例えば、UVインクジェット用のインクや、白の顔料を含むインク等が充填されていてもよい。なお、インクジェット用の白インクの場合、インクに含まれる白の顔料の粒径は200nm程度であり、沈殿しやすく、描画開始前に撹拌動作を行うことが必要となる。 描画ヘッド42の下側面(描画ヘッド42をキャリッジ43に装着した際に指載置部116aに対向する面、図12(c)において右側)には、インク室に充填されている各色のインクを吐出させる吐出口が形成された吐出面431が設けられている。

描画ヘッド42がこのようなインクジェット方式である場合にも、描画制御部815が角度調整部であるロータリーソレノイド443を制御することにより、図13に示すように、描画ヘッド42による描画前に、描画ヘッド42の角度を調整し、描画ヘッド42を傾けてインク収容部内のインクを攪拌する攪拌動作を行う。 これにより、上記のインクジェット用白インク等、比較的粒径の大きな顔料や比重の重い顔料(色材)を含み、沈殿しやすいインクを用いる場合でも、描画開始前に撹拌動作を行うことで、インクの沈殿や凝集によるインク詰まり等を解消し、高精細なネイルプリントを実現することができる。

また、描画時には、爪情報検出部812により検出された爪Tの表面の傾斜角度に応じて、描画制御部815が、ロータリーソレノイド443を制御することにより、描画ヘッド42のXY平面に対する角度を調整する。 描画ヘッドが、インクを微小な液滴として噴射するインクジェット方式である場合には、爪Tに対して斜め方向からインクが噴射された場合、着弾位置がずれたり、爪Tの端部まで十分にインクが届かなかったりする。 この点、上記の様に描画ヘッド42のXY平面に対する角度を調整すれば、爪Tの角度に関わらず、爪Tに対してほぼ垂直方向からインクを噴射することができる。このため、上記実施形態で説明したペン71を備える場合と同様に、傾斜角度の大きい爪Tの端部まで高精細な描画を行うことができ、美しい仕上がりのネイルアートを実現できる。 なお、インクジェット方式の場合にも、描画ヘッド42のXY平面に対する角度を調整した場合に、吐出面431の水平位置がずれてしまう。このため、描画ヘッド42の位置(インクを吐出させる吐出面431の位置)を補正する処理を行った上で描画動作を行うことが好ましい。

また、インクの攪拌動作は、インク収容部内のインクの沈殿・凝集を解消できるものであればよく、インクを攪拌する手法は、上記各実施形態で例示したものに限定されない。 例えば、ロータリーソレノイドを動作させて描画ヘッドを横にした後、X方向移動モータ46を動作させて、描画ヘッドをネイルプリント装置の幅方向(X方向)に複数回往復移動させてもよい。

また、第1の実施形態では、ネイルプリント装置1が1本のペン41を装着可能なキャリッジ43を備えている場合を例示しているが、ネイルプリント装置1が保持するペン41は1本に限定されない。例えば4本等、さらに多くの本数のペン41を装着可能なキャリッジを備えてもよい。装着可能なペン41の数が多いほど、多くの色を用いた複雑なネイルデザインを描画することが可能となる。 また、キャリッジ43に装着するペン41を自動で交換する機構を実装してもよい。この場合には、例えば複数のペンを待機スペースに保持しておき、ここから自動でペンを選択してキャリッジ43に装着する。このような構成とすれば、更に装置に保持できるペン41の本数を増やすことも可能となる。また、キャリッジ43に装着するペン41を必要に応じて適宜ユーザが手動でペンを交換する方式としてもよい。

また、本実施形態では、ペン71を上下移動させるペン上下機構としてソレノイドを用いた構成を例示しているが、ペン上下機構の構成はこれに限定されない。例えば、ステップモータ、DCモータ、モータ及びボールネジ等により構成してもよい。

また、上記各実施形態では、描画ヘッドを移動させるためのX方向移動ステージ45及びY方向移動ステージ47を、ステップモータであるX方向移動モータ46、Y方向移動モータ48と、図示しないボールネジ及びガイドとの組み合わせにより構成する例を示したが、描画ヘッドを移動させるための構成はこれに限定されない。 X方向移動モータ46、Y方向移動モータ48は、描画ヘッドを前後左右に随意に動かせるものであればよく、例えば、従来の安価なプリンタ等に用いられているようなシャフトやガイドとワイヤーで構成された機構を用いた構成でもよいし、サーボモータ等を用いた構成でもよい。

また、第2の実施形態及び第3の実施形態では、描画ヘッド70のキャリッジ72を回転させるキャリッジ回転機構73の駆動手段としてステップモータ731を用いる例を示したが、キャリッジ回転機構73の構成はこれに限定されない。 例えば、描画ヘッドのキャリッジを回転させるキャリッジ回転機構を、ラチェット機構とソレノイド等で構成してもよい。

また、本実施形態では、ペンとしてインクにより描画するものを例示したが、描画ヘッドに装着されるペンは、インクを描画するものに限定されない。 例えば、無色や有色透明の液状糊を収容したペンを描画ヘッドに装着し、これを用いて描画した後、糊が乾く前に粉状のラメ等をふり掛けたり、ラインストーン等を貼着したりすることにより、より豪華なネイルデザインを実現することもできる。 また、香料を含んだ液体等を収容したペンを描画ヘッドに装着し、これを用いて描画を行い、香り付きのネイルプリントを楽しむことができるようにしてもよい。

また、本実施形態では、ペンの慣書用に紙片である被描画媒体を用いる場合を例示したが、被描画媒体は紙に限定されない。また、被描画媒体はロール状のものを用いてもよい。この場合には、自動又は手動により被描画媒体を送り出すとともに巻き取る媒体送り機構を設ける。また、被描画媒体はロール状のものである場合には、媒体挿出口24に代えてロール状の被描画媒体を着脱するための媒体着脱口を設ける。

また、本実施形態では、描画データ生成部813が、ネイルデザインの画像データを爪Tの形状に合わせ込むとともに、ネイルデザインの画像データについて曲面補正を行い、描画データを生成する場合を例としたが、描画データ生成部813が描画データを生成することは本発明の必須の構成要素ではない。例えば、描画データを別途生成せずに、描画制御部815において、ネイルデザインの画像データをLUT(Lookup Table)等により適宜変換しつつ描画ヘッドに出力して爪形状に合った描画を行うように描画制御を行ってもよい。

また、本実施形態では、爪情報として爪Tの形状を検出し、これに基づいて描画データを生成する場合を例としたが、爪形状を検出することは本発明の必須の構成要素ではない。例えば、爪Tの中程にワンポイント柄を描画する場合のように、描画を行う上で爪Tの輪郭を抽出することが必須でない場合であれば、正確に爪Tの形状を認識する必要はなく、爪形状の検出を行うことなく描画を行うことができる。

また、撮像装置は、静止画を撮影するカメラ51に限定されず、動画を撮影可能なものであってもよい。この場合、カメラによって動画を撮影し、撮影された動画から、爪Tの上面の画像を適宜切り出して、爪情報の検出に用いる。

また、本実施形態では、爪画像記憶領域821、爪情報記憶領域822、ネイルデザイン記憶領域823が制御装置80の記憶部82内に設けられている場合を例としたが、爪画像記憶領域821、爪情報記憶領域822、ネイルデザイン記憶領域823は制御装置80の記憶部82に設けられている場合に限定されず、別途記憶部が設けられていてもよい。

また、本実施形態では、指を1本ずつ装置に挿入して順次描画を行うネイルプリント装置1を例としたが、複数本の指に対して、各指を抜き差しすることなく、連続的に描画を行うことのできる装置に本発明を適用することも可能である。 例えば、ペンの稼動範囲を広げて描画可能範囲を大きくすることにより、複数の印刷指U1に同時に挿入した状態で、各指に連続的に描画を施すことも可能となる。

以上本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。 以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。 〔付記〕 <請求項1> 手の指の爪の表面又は足の指の爪の表面を描画対象面とし、液状材料を収容する液状材料収容部を備え、前記液状材料によって前記描画対象面に描画を施す少なくとも一つの描画用具が装着される描画ヘッドと、 前記描画用具により前記描画を行う前に、前記描画ヘッドに装着された前記描画用具の前記液状材料収容部内の前記液状材料を攪拌する攪拌動作を行う撹拌部と、 を備えることを特徴とするネイルプリント装置。 <請求項2> 前記撹拌部は、前記描画ヘッドの角度を可変とする角度調整部を有し、 前記角度調整部は、前記描画ヘッドを傾斜させることにより前記撹拌動作を行うことを特徴とする請求項1に記載のネイルプリント装置。 <請求項3> 前記描画用具の前記液状材料収容部は、一端部と該一端部と対向する他端部とを有し、 前記角度調整部は、前記撹拌動作を行うとき、前記描画ヘッドを、前記液状材料収容部の前記一端部が前記他端部より低い位置となる第1の角度と、前記液状材料収容部の前記一端部が前記他端部より高い位置となる第2の角度と、に傾斜させることを特徴とする請求項2に記載のネイルプリント装置。 <請求項4> 前記角度調整部は、前記攪拌動作を行うとき、前記描画ヘッドを前記第1の角度及び前記第2の角度に傾斜させる動作を複数回行うことを特徴とする請求項3に記載のネイルプリント装置。 <請求項5> 前記撹拌部は、更に、前記描画用具により前記描画が行われている間において、所定の時間が経過する毎に、前記描画の動作を中断させて、前記撹拌動作を行うことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のネイルプリント装置。 <請求項6> 前記描画用具は、軸部と該軸部の一端側に設けられた先端部とを有し、前記軸部内に前記液状材料収容部が設けられ、前記先端部が前記描画対象面に接触したときに該描画対象面に前記液状材料を塗布する、筆記具であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のネイルプリント装置。 <請求項7> 前記描画ヘッドは、複数の前記描画用具を保持可能とされ、前記描画に使用する1つの特定の描画用具を選択する、回転式のキャリッジを備え、 前記角度調整部は、前記撹拌動作を行うとき、前記キャリッジを傾斜させることを特徴とする請求項2から請求項6のいずれか一項に記載のネイルプリント装置。 <請求項8> 前記液状材料は、粒径が200〜400nmの顔料、又は、粒径が100〜200μmのラメ、を含んでいるものであることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のネイルプリント装置。 <請求項9> 前記描画対象面は、幅方向に沿って中央部が両端側より盛り上がった湾曲形状を有し、 前記角度調整部は、更に、前記描画を施す際に、前記描画ヘッドの角度を、前記爪の湾曲形状に対応した角度に調整することを特徴とする請求項2に記載のネイルプリント装置。 <請求項10> 前記角度調整部は、前記描画ヘッドが前記爪の表面の前記幅方向の両端部側の領域に描画を施すときに前記角度を調整して、前記爪の表面の前記幅方向に対する前記描画ヘッドの角度を、前記描画ヘッドが前記爪の表面の幅方向の中央部に描画するときの前記描画ヘッドの、前記爪の表面の前記幅方向に対する角度に近づけることを特徴とする請求項8に記載のネイルプリント装置。 <請求項11> 手の指の爪の表面又は足の指の爪の表面を描画対象面とし、該描画対象面に描画を施すネイルプリント装置の印刷制御方法において、 前記ネイルプリント装置は、前記描画対象面に描画を施す少なくとも一つの描画用具が装着される描画ヘッドと、前記描画ヘッドに装着された前記描画用具の前記液状材料収容部内の前記液状材料を攪拌する撹拌部と、を備え、 前記撹拌部により、前記描画ヘッドに装着された前記描画用具の前記液状材料収容部内の前記液状材料を攪拌する撹拌動作を行い、 前記撹拌動作を実行した後に、前記描画ヘッドを前記印刷対象面に対して移動させて、前記描画用具により前記描画対象面に描画を施すことを特徴とするネイルプリント装置の印刷制御方法。 <請求項12> 前記撹拌動作は、前記描画ヘッドを傾斜させて、前記描画用具の前記液状材料収容部内の前記液状材料を攪拌する角度調整動作を含むことを特徴とする請求項11に記載のネイルプリント装置の印刷制御方法。 <請求項13> 前記描画用具の前記液状材料収容部は、一端部と該一端部と対向する他端部とを有し、 前記角度調整動作は、前記描画ヘッドを、前記液状材料収容部の前記一端部が前記他端部より低い位置となる第1の角度と、前記液状材料収容部の前記一端部が前記他端部より高い位置となる第2の角度と、に傾斜させる動作を含むことを特徴とする請求項12に記載のネイルプリント装置の印刷制御方法。 <請求項14> 前記描画用具により前記描画を施している間において所定の時間が経過する毎に、前記描画の動作を中断させて、前記撹拌動作を実行する動作を含むことを特徴とする請求項11から請求項13のいずれか一項に記載のネイルプリント装置の印刷制御方法。

1 ネイルプリント装置 40 印刷部 41 ペン 42 印刷ヘッド 43 キャリッジ 46 X方向移動モータ 48 Y方向移動モータ 49 ヘッド駆動部 50 撮影部 81 制御部 82 記憶部 440 ソレノイド 441 ヘッド支持部材 442 支軸 443 ロータリーソレノイド 811 撮影制御部 812 爪情報検出部 815 印刷制御部 821 爪画像記憶領域 822 爪情報記憶領域 823 デザイン画像記憶領域 T 爪 U1 印刷指

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