ネイルプリント装置及びネイルプリント装置の印刷方法

申请号 JP2013148992 申请日 2013-07-18 公开(公告)号 JP2015019769A 公开(公告)日 2015-02-02
申请人 カシオ計算機株式会社; Casio Comput Co Ltd; 发明人 MIFUJI KIMIYASU;
摘要 【課題】描画中にペンによって爪が横方向に押されることを軽減し、ペンに押されて指が動いてしまうことを防止して、高精細なネイルプリントを実現することのできるネイルプリント装置及びネイルプリント装置の印刷方法を提供する。【解決手段】ペン41を載置面上に載置された印刷指U1の爪Tに 接触 させ、ペン41を装着した描画ヘッド42を絵柄に応じて移動させて、爪Tに描画を施すネイルプリント装置において、印刷指U1の爪Tの表面を、爪Tの湾曲形状に応じて、爪の幅方向の一端側の第1領域と幅方向の他端側の第2領域と第1領域と第2領域に挟まれた第3領域とに分け、ペン41を爪Tの表面上で移動させて描画を施す際に、爪Tの表面の第1領域と第2領域とでは、爪Tの高さの低い方から高い方に向かってペン41を移動させない描画方向規制処理を行う。【選択図】図5
权利要求
  • 描画を施す爪の指が載置される平面状の載置面を有する指載置部と、
    前記載置面に載置された前記指の爪に接触して、前記爪に絵柄の描画を施す描画用具と、
    前記描画を施す際に、前記描画用具を前記絵柄に応じて移動させる駆動部と、
    前記駆動部を制御する制御部と、
    を備え、
    前記爪の表面は、前記爪の幅方向の一端側の第1領域と、前記爪の幅方向の他端側の第2領域と、前記第1領域と前記第2領域に挟まれた第3領域と、に分けられ、
    前記第1領域は、前記爪の前記一端側の縁を含んで、前記爪の湾曲形状に応じて前記爪の幅方向の中心を通る中心線より前記一端側に設けられた領域であり、
    前記第2領域は、前記爪の前記他端側の縁を含んで、前記爪の湾曲形状に応じて前記中心線より前記他端側に設けられた領域であり、
    前記制御部は、前記爪の表面の前記第1領域と前記第2領域とにおいて、前記描画用具を前記爪の前記載置面からの高さが低い方から高い方に向かって移動させない描画方向規制処理を行いながら描画を施すように前記駆動部を制御することを特徴とするネイルプリント装置。
  • 前記制御部は、
    前記絵柄が前記第1領域と前記第3領域とに跨って描画される形状を有しているとき、前記第3領域での前記描画用具の移動のさせ方を、前記描画方向規制処理を行う前記第1領域での前記描画用具の移動のさせ方と同じにして、前記第1領域と前記第3領域とで連続して前記絵柄の描画を施すように制御し、
    前記絵柄が前記第2領域と前記第3領域とに跨って描画される形状を有しているとき、前記第3領域での前記描画用具の移動のさせ方を、前記描画方向規制処理を行う前記第2領域での前記描画用具の移動のさせ方と同じにして、前記第2領域と前記第3領域とで連続して前記絵柄の描画を施すように制御することを特徴とする請求項1に記載のネイルプリント装置。
  • 前記制御部は、前記絵柄が塗潰領域を有するとき、前記描画用具を前記塗潰領域の輪郭に沿って移動させて前記輪郭を描画する輪郭描画処理を行った後、前記輪郭の内側領域を、前記爪の幅方向と前記爪の長さ方向とに前記描画用具を移動させながら描画する塗潰描画処理を行うように前記駆動部を制御し、
    前記輪郭描画処理及び前記塗潰描画処理において、描画する領域が前記第1領域又は前記第2領域に含まれるとき、前記第1領域又は前記第2領域において前記描画方向規制処理を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のネイルプリント装置。
  • 前記制御部は、
    前記塗潰領域が前記第1領域と前記第3領域とに跨って描画される形状を含んでいるとき、前記第3領域での前記描画用具の移動のさせ方を、前記描画方向規制処理を行う前記第1領域での前記描画用具の移動のさせ方と同じにして、前記第1領域と前記第3領域とで連続して前記塗潰領域の描画を施すように制御し、
    前記塗潰領域が前記第2領域と前記第3領域とに跨って描画される形状を含んでいるとき、前記第3領域での前記描画用具の移動のさせ方を、前記描画方向規制処理を行う前記第2領域での前記描画用具の移動のさせ方と同じにして、前記第2領域と前記第3領域とで連続して前記塗潰領域の描画を施すように制御することを特徴とする請求項3に記載のネイルプリント装置。
  • 前記第1領域は、前記爪の前記一端側の縁と、前記中心線より前記一端側に前記爪の長さ方向に沿って前記爪の表面に設けられた第1境界線と、で囲まれた領域であり、
    前記第2領域は、前記爪の前記他端側の縁と、前記中心線より前記他端側に前記爪の長さ方向に沿って前記爪の表面に設けられた第2境界線と、で囲まれた領域であることを特徴とする請求項1に記載のネイルプリント装置。
  • 更に、前記爪の表面の、前記載置面に対する傾斜角度を検出する傾斜角度検出部を有し、
    前記第1境界線及び前記第2境界線は、前記傾斜角度の前記爪の幅方向の値が所定の閾値である箇所に設けられることを特徴とする請求項5に記載のネイルプリント装置。
  • 前記制御部は、前記爪の表面の、前記傾斜角度の前記爪の長さ方向の値が前記閾値以上である領域においても、前記描画方向規制処理を行うように前記駆動部を制御することを特徴とする請求項6に記載のネイルプリント装置。
  • 平面状の載置面上に載置された指の爪に描画用具を接触させ、前記描画用具を絵柄に応じて移動させて、前記爪に前記絵柄の描画を施すネイルプリント装置の印刷方法において、
    前記指の爪の表面を、前記爪の幅方向の一端側の縁を含んで、前記爪の湾曲形状に応じて前記爪の幅方向の中心を通る中心線より前記一端側に設けられた第1領域と、前記爪の幅方向の他端側の縁を含んで、前記爪の湾曲形状に応じて前記中心線より前記他端側に設けられた第2領域と、前記第1領域と前記第2領域に挟まれた第3領域と、に分け、
    前記爪の表面の前記第1領域と前記第2領域では、前記爪の前記載置面からの高さが低い方から高い方に向かって前記描画用具を移動させない描画方向規制処理を行いながら描画を施すことを特徴とするネイルプリント装置の印刷方法。
  • 前記絵柄が前記第1領域と前記第3領域とに跨って描画される形状を有しているとき、前記第3領域での前記描画用具の移動のさせ方を、前記描画方向規制処理を行う前記第1領域での前記描画用具の移動のさせ方と同じにして、前記第1領域と前記第3領域とで連続して前記絵柄の描画を施し、
    前記絵柄が前記第2領域と前記第3領域とに跨って描画される形状を有しているとき、前記第3領域での前記描画用具の移動のさせ方を、前記描画方向規制処理を行う前記第2領域での前記描画用具の移動のさせ方と同じにして、前記第2領域と前記第3領域とで連続して前記絵柄の描画を施すことを特徴とする請求項8に記載のネイルプリント装置の印刷方法。
  • 前記絵柄が塗潰領域を有するとき、前記描画用具を前記塗潰領域の輪郭に沿って移動させて前記輪郭を描画する輪郭描画処理を行った後、前記輪郭の内側領域を、前記爪の幅方向と前記爪の長さ方向とに前記描画用具を移動させながら描画する塗潰描画処理を行い、
    前記輪郭描画処理及び前記塗潰描画処理において、描画する領域が前記第1領域又は前記第2領域に含まれるとき、前記第1領域又は前記第2領域において前記描画方向規制処理を行うことを特徴とする請求項8又は請求項9に記載のネイルプリント装置の印刷方法。
  • 前記塗潰領域が前記第1領域と前記第3領域とに跨って描画される形状を含んでいるとき、前記第3領域での前記描画用具の移動のさせ方を、前記描画方向規制処理を行う前記第1領域での前記描画用具の移動のさせ方と同じにして、前記第1領域と前記第3領域とで連続して前記塗潰領域の描画を施すように制御し、
    前記塗潰領域が前記第2領域と前記第3領域とに跨って描画される形状を含んでいるとき、前記第3領域での前記描画用具の移動のさせ方を、前記描画方向規制処理を行う前記第2領域での前記描画用具の移動のさせ方と同じにして、前記第2領域と前記第3領域とで連続して前記塗潰領域の描画を施すことを特徴とする請求項10に記載のネイルプリント装置の印刷方法。
  • 前記第1領域を、前記爪の前記一端側の縁と、前記中心線より前記一端側に前記爪の長さ方向に沿って前記爪の表面に設けられた第1境界線と、で囲まれた領域とし、
    前記第2領域は、前記爪の前記他端側の縁と、前記中心線より前記他端側に前記爪の長さ方向に沿って前記爪の表面に設けられた第2境界線と、で囲まれた領域とすることを特徴とする請求項8に記載のネイルプリント装置の印刷方法。
  • 更に、前記爪の表面の、前記載置面に対する傾斜角度を検出し、
    前記第1境界線及び前記第2境界線を、前記傾斜角度の前記爪の幅方向の値が所定の閾値である箇所に設けることを特徴とする請求項12に記載のネイルプリント装置の印刷方法。
  • 更に、前記爪の表面の、前記傾斜角度の前記爪の長さ方向の値が前記閾値以上である領域においても、前記描画方向規制処理を行うことを特徴とする請求項13に記載のネイルプリント装置の印刷方法。
  • 描画を施す爪の指が載置される平面状の載置面を有する指載置部と、
    前記載置面に載置された前記指の爪に接触して、前記爪に絵柄の描画を施す描画用具と、
    前記描画を施す際に、前記描画用具を前記絵柄に応じて移動させる駆動部と、
    前記駆動部を制御する制御部と、
    を備え、
    前記爪の表面は、前記爪の幅方向の一端側の第1領域と、前記爪の幅方向の他端側の第2領域と、前記第1領域と前記第2領域に挟まれた第3領域と、に分けられ、
    前記第1領域は、前記爪の前記一端側の縁を含んで、前記爪の湾曲形状に応じて前記爪の幅方向の中心を通る中心線より前記一端側に設けられた領域から第1特定領域を除いた領域であり、
    前記第2領域は、前記爪の前記他端側の縁を含んで、前記爪の湾曲形状に応じて前記中心線より前記他端側に設けられた領域から第2特定領域を除いた領域であり、
    前記第1特定領域及び前記第2特定領域は、前記絵柄における一繋がりの絵柄であって、前記描画用具の前記爪の幅方向の移動距離が所定の限度値以下である、特定の絵柄が描画される領域であり、
    前記制御部は、前記爪の表面の前記第1領域と前記第2領域とにおいて、前記描画用具を前記爪の前記載置面からの高さが低い方から高い方に向かって移動させない描画方向規制処理を行いながら描画を施し、前記第1特定領域及び前記第2特定領域における前記特定の絵柄の描画においては前記描画方向規制処理を行わずに、一繋がりに描画するように前記駆動部を制御することを特徴とするネイルプリント装置。
  • 平面状の載置面上に載置された指の爪に描画用具を接触させ、前記描画用具を絵柄に応じて移動させて、前記爪に前記絵柄の描画を施すネイルプリント装置の印刷方法において、
    前記指の爪の表面を、前記爪の幅方向の一端側の縁を含んで、前記爪の湾曲形状に応じて前記爪の幅方向の中心を通る中心線より前記一端側に設けられた領域から第1特定領域を除いた第1領域と、前記爪の幅方向の他端側の縁を含んで、前記爪の湾曲形状に応じて前記中心線より前記他端側に設けられた領域から第2特定領域を除いた2領域と、前記第1領域と前記第2領域に挟まれた第3領域と、に分け、
    前記第1特定領域及び前記第2特定領域を、前記絵柄における一繋がりの絵柄であって、前記描画用具の前記爪の幅方向の移動距離が所定の限度値以下である、特定の絵柄が描画される領域とし、
    前記爪の表面の前記第1領域と前記第2領域では、前記爪の前記載置面からの高さが低い方から高い方に向かって前記描画用具を移動させない描画方向規制処理を行いながら描画を施し、前記第1特定領域及び前記第2特定領域では、前記描画方向規制処理を行わずに前記特定の絵柄一繋がりに描画することを特徴とするネイルプリント装置の印刷方法。
  • 说明书全文

    本発明は、ネイルプリント装置及びネイルプリント装置の印刷方法に関するものである。

    従来、ペン(描画用具)を装着した描画ヘッドを備え、ペンの先端部を用紙(対象物)に当接させて描画を行うプロッタ方式のプリント装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
    特許文献1には、用紙を載置するテーブルの床面に対する傾斜度を検出し、この傾斜角度に応じてペンの筆圧、ペンの下降速度及び描画ヘッドの移動速度を一定の値に保持する構成が開示されている。
    特許文献1に記載の手法では、平面上に描画を施す場合に、斜め方向に関して速度を変えるため、テーブルの傾斜角の変化によって筆圧等が変化しないようにすることができる。

    特開平7−266789号公報

    しかしながら、プロッタをネイルプリント装置として用いる場合には、描画対象が爪であるため、ペンの先端部を当接させる面が上下方向(高さ方向)に変化する。
    比較的高さの低い爪の端部から比較的高さの高い爪の中央部に向かって描画するとき(すなわち、ペンが爪の傾斜面を登る場合)には、ペンによって爪が平方向に強く押されてしまう場合がある。 ペンによって爪が強く押されると、それによって指が動いてしまう場合があり、ネイルプリントの仕上がり品質が低下するという問題がある。

    本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、描画中にペンによって爪が横方向に押されることを軽減し、ペンに押されて指が動いてしまうことを防止して、高精細なネイルプリントを実現することのできるネイルプリント装置及びネイルプリント装置の印刷方法を提供することを目的とするものである。

    前記課題を解決するために、本発明のネイルプリント装置は、
    描画を施す爪の指が載置される平面状の載置面を有する指載置部と、
    前記載置面に載置された前記指の爪に接触して、前記爪に絵柄の描画を施す描画用具と、
    前記描画を施す際に、前記描画用具を前記絵柄に応じて移動させる駆動部と、
    前記駆動部を制御する制御部と、
    を備え、
    前記爪の表面は、前記爪の幅方向の一端側の第1領域と、前記爪の幅方向の他端側の第2領域と、前記第1領域と前記第2領域に挟まれた第3領域と、に分けられ、
    前記第1領域は、前記爪の前記一端側の縁を含んで、前記爪の湾曲形状に応じて前記爪の幅方向の中心を通る中心線より前記一端側に設けられた領域であり、
    前記第2領域は、前記爪の前記他端側の縁を含んで、前記爪の湾曲形状に応じて前記中心線より前記他端側に設けられた領域であり、
    前記制御部は、前記爪の表面の前記第1領域と前記第2領域とにおいて、前記描画用具を前記爪の前記載置面からの高さが低い方から高い方に向かって移動させない描画方向規制処理を行いながら描画を施すように前記駆動部を制御することを特徴としている。

    また、本発明のネイルプリント装置の印刷方法は、
    平面状の載置面上に載置された指の爪に描画用具を接触させ、前記描画用具を絵柄に応じて移動させて、前記爪に前記絵柄の描画を施すネイルプリント装置の印刷方法において、
    前記指の爪の表面を、前記爪の幅方向の一端側の縁を含んで、前記爪の湾曲形状に応じて前記爪の幅方向の中心を通る中心線より前記一端側に設けられた第1領域と、前記爪の幅方向の他端側の縁を含んで、前記爪の湾曲形状に応じて前記中心線より前記他端側に設けられた第2領域と、前記第1領域と前記第2領域に挟まれた第3領域と、に分け、
    前記爪の表面の前記第1領域と前記第2領域では、前記爪の前記載置面からの高さが低い方から高い方に向かって前記描画用具を移動させない描画方向規制処理を行いながら描画を施すことを特徴としている。

    本発明によれば、描画中にペンによって爪が押される感じを軽減し、ペンに押されるによって指が動いてしまうことを防止して、高精細なネイルプリントを実現することができる。

    第1の実施形態におけるネイルプリント装置の正面図である。

    図1におけるII−II線に沿う断面図である。

    (a)は、図1におけるIII−III線に沿う断面図であり、(b)は、(a)に示されたIV−IV線に沿う断面図である。

    描画状態におけるペンキャリッジ及びこれに支持されたペンを拡大した図であり、(a)は、ペンキャリッジ及びペンの側面図であり、(b)は、(a)のペンキャリッジ及びペンを矢視b方向から見た上面図であり、(c)は、(a)のペンキャリッジ及びペンを矢視c方向から見た正面図である。

    本実施形態に係るネイルプリント装置の制御構成を示した要部ブロック図である。

    爪の傾斜角度と爪を押す力との関係を示す説明図であり、(a)は、爪の傾斜角度が0度の場合を示しており、(b)は、爪の傾斜角度が30度のときにペンが爪の傾斜面を登るように移動する場合を示しており、(c)は、爪の傾斜角度が45度のときにペンが爪の傾斜面を登るように移動する場合を示しており、(d)は、爪の傾斜角度が60度のときにペンが爪の傾斜面を登るように移動する場合を示しており、(e)はペンが爪の傾斜面を下るように移動する場合を示している。

    塗潰領域の輪郭を描画する手順を示した説明図である。

    塗潰領域を塗潰す塗潰処理の手順を示した説明図である。

    レース模様のネイルデザインを爪先に施した例を示す図である。

    (Pt1)は、図9のPt1部分を、描画方向規制処理を適用して描画した例を示す図であり、(Pt2)は、図9のPt2部分を、描画方向規制処理を適用して描画した例を示す図であり、(Pt3)は、図9のPt3部分を、描画方向規制処理を適用して描画した例を示す図であり、(Pt1)は、図9のPt1部分を、描画方向規制処理を適用せずに描画した例を示す図であり、(Pt2)は、図9のPt2部分を、描画方向規制処理を適用せずに描画した例を示す図であり、(Pt3)は、図9のPt3部分を、描画方向規制処理を適用せずに描画した例を示す図である。

    塗潰領域の輪郭及び塗潰領域を塗潰す塗潰処理の手順の一変形例を示した説明図である。

    図1から図10を参照しつつ、本発明に係るネイルプリント装置1の一実施形態について説明する。 なお、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。

    図1は、ネイルプリント装置1の内部構成を示す斜視図であり、図2は図1に示されたII−II線に沿った断面を矢印方向に見て示した断面図である。
    図1及び図2に示すように、このネイルプリント装置1は、ケース本体2と、このケース本体2に収容される装置本体10とを備えている。

    ケース本体2の前面上部一端には、後述する描画部40のペン(描画用具)41を交換するために開閉可能に構成されたペン交換用蓋部23が設けられている。 ペン交換用蓋部23は、例えばヒンジ等を介して、図2に示すように閉状態から開状態まで回動自在となっている。
    さらに、ケース本体2の一側面(本実施形態では、図1において左側面)であって後述するペン慣書部61に対応する位置には、ペン慣書部61に載置される被描画媒体(図示せず)を入れ替え可能な媒体挿出口24が形成されている。

    ケース本体2の上面(天板)には操作部25(図5参照)が設置されている。
    操作部25は、ユーザが各種入力を行う入力部である。
    操作部25には、例えば、ネイルプリント装置1の電源をONする電源スイッチ釦、動作を停止させる停止スイッチ釦、爪Tに描画するデザイン画像を選択するデザイン選択釦、描画開始を指示する描画開始釦等、各種の入力を行うための図示しない操作釦が配置されている。

    また、ケース本体2の上面(天板)のほぼ中央部には表示部26が設置されている。
    表示部26は、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイその他のフラットディスプレイ等で構成されている。
    本実施形態において、この表示部26には、例えば、印刷指U1を撮影して得た爪画像(爪Tの画像を含む指画像)、この爪画像中に含まれる爪Tの輪郭線等の画像、爪Tに描画すべきデザイン画像を選択するためのデザイン選択画面、デザイン確認用のサムネイル画像、各種の指示を表示させる指示画面等が適宜表示される。
    なお、表示部26の表面にタッチパネルが一体的に構成されていてもよい。 この場合には、例えば、先の尖った棒状の筆記具様であってタッチパネル表面に押し当てることにより筆記する図示しないスタイラスペンや、指先等によって表示部26の表面をタッチするタッチ操作によっても各種の入力を行うことができるように構成される。

    装置本体10は、ほぼ箱状に形成され、ケース本体2の内部下方に設置された下部機枠11と、この下部機枠11の上方で且つケース本体2の内部上方に設置されている上部機枠12とを備えている。

    まず、下部機枠11について説明する。
    下部機枠11は、背面板111、底板112、左右一対の側板113a,113b、X方向移動ステージ収容部114、Y方向移動ステージ収容部115及び隔壁116を有する。
    側板113a,113bの下端部は、底板112の左右両端部にそれぞれ連結され、側板113a,113bが底板112に対して立てられた状態に設けられている。
    背面板111の下部は、前方(指挿入方向手前側)に向かって2段に窪むように形成されている。 背面板111の下端部は底板112の前端部に連結されており、背面板111は、底板112と側板113a,113bによって囲われた領域を前後に区切っている。
    この窪んだ背面板111の後ろ側に形成される空間がX方向移動ステージ収容部114、Y方向移動ステージ収容部115(図2参照)となっている。 X方向移動ステージ収容部114内には、描画部40が前方(指挿入方向手前側)に移動した際に描画部40のX方向移動ステージ45が収容される。 また、Y方向移動ステージ収容部115内には、描画部40のY方向移動ステージ47が配置されている。
    また、隔壁116は、下部機枠11の内部前方側の空間(背面板111、底板112及び側板113a,113bによって囲われた指挿入方向手前側の空間)を上下に区切るように下部機枠11の内側に設けられている。 隔壁116はほぼ水平に設けられ、隔壁116の左右両端部が側板113a,113bにそれぞれ連結され、隔壁116の後端部が背面板111に連結されている。

    この下部機枠11には、指固定部30が一体的に設けられている。
    図3(a)及び図3(b)を参照して、指固定部30について説明する。
    図3(a)は図1に示されたIII−III線に沿った断面の要部を矢印方向に見て示した断面図であり、図3(b)は図3(a)に示されたIV−IV線に沿った断面の要部を矢印方向に見て示した断面図である。

    指固定部30は、描画を施す爪Tに対応する指(以下、これを「印刷指U1」という。)を受け入れる指受入部31と、この印刷指U1以外の指(以下、これを「非印刷指U2」という。)を退避させる指退避部32とから構成されている。
    指受入部31は、隔壁116の上側であって下部機枠11の幅方向のほぼ中央部に配置されている。 また、隔壁116によって下部機枠11の下側に区分けられた空間が指退避部32を構成している。
    例えば、薬指の爪Tに描画を施す場合には、図3(a)に示すように、指受入部31に印刷指U1としての薬指を挿入し、非印刷指U2であるその他の4指(親指、人差し指、中指、小指)を指退避部32に挿入する。
    指受入部31は、下部機枠11の前面側(印刷指挿入方向の手前側)に開口しており、下側が隔壁116の一部を構成する指載置部116a、両側が仕切り31a、奥側が仕切り31cによって区画されている。 指載置部116aは、描画を施す爪Tの指(印刷指U1)をXY平面上に載置するものである。
    また、指受入部31の上側は天井部31dによって区画されている。 天井部31dには、指受入部31に挿入された印刷指U1の爪Tを露出させるための窓31eが形成されている。

    また、隔壁116の上面であって下部機枠11の前面側の両側部には、下部機枠11の前面側を塞ぐ前壁31fが立設されている。 また、隔壁116の上面には、この前壁31fの中央部寄りの端部から前記指受入部31に向けて狭窄し、印刷指U1を指受入部31内に案内する一対のガイド壁31gが立設されている。
    ユーザは指受入部31に挿入した印刷指U1と指退避部32に挿入した非印刷指U2との間に隔壁116を挟むことができる。 そのため、指受入部31内に挿入された印刷指U1が安定して固定される。
    なお、本実施形態では、隔壁116の前端部に下方向に張り出した突出部116bが形成されている。 突出部116bは、手前側に向かうにつれてその厚さが漸減し、奥側に向かうにつれて漸増するテーパー部となっていてもよいし、突出部116bの厚さが、隔壁116の奥側の窪みに対して全体が厚い構造になっていてもよい。 隔壁116の前端部に突出部116bが形成されていることにより、非印刷指U2が指退避部32に挿入された際、描画済みの指の爪Tと隔壁116との間に空間が確保され、爪Tが隔壁116の下面に接触して装置側にインクが付着したり、爪Tに描画された絵柄が擦れて損なわれたりするのを防止することができる。

    下部機枠11の上面であって、指受入部31の横(ケース本体2の媒体挿出口24に対応する位置であり、本実施形態では、図1において左側)には、後述する描画ヘッド42による描画可能範囲内に、後述するペン41の慣らし書きをするためのペン慣書部61が設けられている。 なお、ペン慣書部61は、下部機枠11の上面の一部が掘り下げられて形成されており、ペン慣書部61の高さが、印刷指U1が指受入部31に挿入された際の爪Tの高さとほぼ同じとなるように設けられていることが好ましい。
    ペン慣書部61は、平板状の部分であり、前述のケース本体2の媒体挿出口24から挿入された図示しない被描画媒体が載置されるようになっている。
    ペン慣書部61に載置される被描画媒体は、ペン先412を慣らすことができるものであればよく、例えば紙片である。
    ペン慣書部61は、ペン先412が乾いていたりインクの乗りが悪い等により書き始めがかすれたりするのを防止するために、爪Tに画像データによる描画を開始する前に被描画媒体の上にペン41を下ろして「○」や「∞」等の所定の画像を描画して慣らし書きを行い、ペン先412の状態を良好にするためのものである。 慣らし書きを行う際に描画する所定の画像は特に限定されないが、インクを無駄に使いすぎないよう、「○」や「∞」等の単純な画像であることが好ましい。 「○」や「∞」等の慣らし書きは、ペン慣書部61の範囲内で毎回少しずつずらしながら書くようにすることが好ましい。 なお、被描画媒体のほぼ全面に書いてしまったときには、表示部26に「紙を交換して下さい」等の被描画媒体の交換を促す表示画面を表示させるようにする。 この場合、ユーザが媒体挿出口24から被描画媒体を取り出して新しいものと交換することにより新しい被描画媒体に慣らし書きができる状態となる。 もし、被描画媒体がロール紙である場合は、印刷スペースが無くなったときには、ロール紙から被描画媒体を繰り出し、新しい印刷面に慣らし書きを行えるようにする。

    また、本実施形態ではゴム製のペンキャップ62がペン慣書部61の前方(指挿入方向の手前側)に設置されている。 ペンキャップ62は、描画部40に装着されるペン41に対応する数(本実施形態では4つ)だけ設けられており、描画部40にペン41を装着後であって描画を行っていないときには、ペンキャップ62の真上にペン41を移動した後、後述するソレノイド435を引いてペン41を下降させ、ペン先412をペンキャップ62内に収容することで、非描画時におけるペン先412の乾燥を防止できるようになっている。 なお、ペンキャップ62の形状等は図示例に限定されず、例えば、描画部40に装着される全てのペン41のペン先412を受け入れることのできる長尺な溝状のペンキャップ等であってもよい。
    なお、本実施形態では、このように、ペンキャップ62がペン慣書部61の傍に設けられているので、描画を開始するときには、ペン41を上昇させてすぐ傍のペン慣書部61で慣らし書きを行い、描画を開始することができる。 このため、ペン41の移動等にかかる時間を最小限に抑えることができ、迅速な描画動作を行うことができる。

    描画部40は、描画用のペン41を備える描画ヘッド42、描画ヘッド42を支持するユニット支持部材44、描画ヘッド42をX方向(図1におけるX方向、ネイルプリント装置1の左右方向)に移動させるためのX方向移動ステージ45、X方向移動モータ46、描画ヘッド42をY方向(図2におけるY方向、ネイルプリント装置1の前後方向)に移動させるためのY方向移動ステージ47、Y方向移動モータ48等を備えて構成されている。

    本実施形態において、描画ヘッド42は、それぞれ1本ずつペン41を保持するペンキャリッジ43を4つ備えている。
    図4(a)〜図4(c)は、ペンキャリッジ43及びこれに支持されたペン41を拡大した図であり、図3(a)及び図3(b)に示したように、ペン先412が爪Tに接触して、爪Tに描画を行うときの状態(描画状態)を示している。
    図4(a)は、ペンキャリッジ43及びペン41の側面図であり、図4(b)は、図4(a)のペンキャリッジ43及びペン41を矢視b方向から見た上面図であり、図4(c)は、図4(a)のペンキャリッジ43及びペン41を矢視c方向から見た正面図である。

    図4(a)〜図4(c)に示すように、各ペンキャリッジ43に保持されるペン41は、ペン軸部411の先端側にペン先412が設けられたものである。 ペン軸部411の内部は、各種インクを収容するインク収容部となっている。 ペン軸部411の内部に収容されるインクは、粘度や色材の粒径(粒子の大きさ)等は特に限定されず、例えば、金銀のラメ入りのインクや白色のインク、UV硬化型のインクやジェルネイル、アンダーコート用、トップコート用やマニキュア等も用いることが出来る。
    ペン軸部411の他端側には、ペン軸部411よりも外側に張り出した鍔部413が形成された蓋部414が取り付けられている。 ペン軸部411及び蓋部414を形成する材料は特に限定されないが、ペン41を軽量化するために樹脂等で形成されていることが好ましい。
    本実施形態において、蓋部414の上部には、手やピンセット等でつまみ易いようにつまみ部415が設けられており、さらに、このつまみ部415には磁石に吸着するように小さな鉄片416が埋設、貼着等により設けられている。

    ペン41は、例えばペン先412を爪Tの表面に押し当てることでペン軸部411内に収容されているインクが染み出して描画する、ペン先412がボールペンタイプとなったペンである。 なお、ペン41は、ボールペンタイプのものに限定されず、例えばフェルト状のペン先にインクを染み込ませて描画するサインペンタイプや、束ねた毛にインクを染み込ませて描画する筆ペンタイプのもの等であってもよい。 また、ペン先412の太さも各種のものを用意することができる。
    各ペンキャリッジ421に保持されるペン41は、同じタイプのペン先412を有するペンでもよいし、異なるタイプのペン先412を有するペンであってもよい。
    ペン41は後述するようにペンキャリッジ43のペン保持部437d及びペンホルダ431に上方から挿通するだけで保持されているため、ケース本体2に設けられているペン交換用蓋部23を開けて、例えば手やピンセットでつまみ部415を摘む、若しくは、図示しない棒状部材の先に磁石を取り付けたものをつまみ部415に近づけて鉄片416を磁石に吸着させて引き上げる等の手法により、簡易に交換が可能である。 このため、ユーザは、各ペンキャリッジ43に装着するペン41を、描画したいネイルデザインに応じてペン先412の種類やインクの種類の異なるペン41に適宜入れ替えることで、幅広いネイルデザインを実現することができる。

    なお、本実施形態では、ペン41を保持するペンキャリッジ43が装置の幅方向(左右方向、図1におけるX方向)に4つ並んでいるため、ペン先412の位置がX方向(装置の左右方向)にずれているが、このずれは描画動作における1ステップの整数倍になっており、描画に使われるペン41に応じて当該ずれている分のステップ数だけ補正して描画を行うため、4つのペン41は、同じ位置に描画を行うことができるようになっている。

    各ペンキャリッジ43には、ペン41をほぼ垂直に保持するペンホルダ431と、ペン41を上下移動させるためのペン上下機構432が設けられている。
    ペンホルダ431は、内部にペン先412及びペン軸部411が挿通され、ペン41を保持する筒状の部分である。
    ペン上下機構432は、ばね433によって前方(図2、図4(a)における右側方向)に付勢されており、ピストンのように往復運動をする円筒形のプランジャ434と、このばね433の付勢力に抗してプランジャ434を後方(図2、図4(a)における左側方向)に保持し、コイルから磁性体を押し出すプッシュ型又はコイルが磁性体を吸引するプル型のソレノイド435と、プランジャ434の移動端側に取り付けられたレバー支持軸436と、このレバー支持軸436を介してプランジャ434と連結され、回転軸439に対して回動可能とされているペン上下レバー437と、ペン上下レバー437が上方向に回動するときの回転角度の上限を規制するように固定して設けられたストッパ438と、を備えている。
    ペン上下レバー437は、図4(a)に示すように、短アーム437aと長アーム437bとがほぼ直角に交わるL字状の部材であり、短アーム437aの先端側にレバー支持軸436に係止される長孔437cが形成されている。 また、長アーム437bの先端側には、ペン41が挿通されるペン保持部437dが設けられている。 ペン保持部437dは、ペン41のペン軸部411及びペン先412の径よりも大きく、ペン41の鍔部413の径よりも小さい内径を有するリング状に形成されており、ペン軸部411及びペン先412を挿通させるとともに鍔部413を下側から支持するように係止している。
    ペン上下レバー437における短アーム437aと長アーム437bとの交点には、ペンキャリッジ43側に固定して設けられた回転軸439が挿通されている。

    本実施形態において、ソレノイド435が駆動されている状態では、図4(a)に示すように、ばね433の付勢力に抗してプランジャ434が後方に引かれた状態となり、プランジャ434のレバー支持軸436に係止されているペン上下レバー437は長アーム437bがほぼ水平となる位置で保持される。 この状態において、ペン41のペン先は、ペンキャリッジ43のペンホルダ431よりも下方に下りた状態となり、爪Tの表面や被描画媒体と接触可能な描画状態となる。 また、ソレノイド435が開放された状態では、ばね433の付勢力によってプランジャ434が前方に突出する。 このとき、プランジャ434のレバー支持軸436に係止されているペン上下レバー437は回転軸439を支点として上方向(反時計方向)に回動し、長アーム437bがストッパ438に当接して止まる。 これにより、ペン41の鍔部413が、ペン上下レバー437によって上方向に跳ね上げられる(図2参照)。 この状態において、ペン41のペン先は、ペンキャリッジ43のペンホルダ431よりも上方に上がった状態となり、爪Tの表面や被描画媒体と接触しない非描画状態となる。
    このように、ソレノイド435によるプランジャ434を前後移動させる力は、回転軸439及びこれを支点として回動するペン上下レバー437によってペン41を上下移動させる力に変換される。

    なお、ペン41は、ペンキャリッジ43のペンホルダ431に挿通されて保持されているのみであり、ペン上下レバー437等に固定されていないため、自重によって下方に付勢されている。 これにより、ペン41は、鍔部413がペン保持部437dの上面に接触する位置まで、ペンホルダ431に沿って自由に下降できるとともに、爪Tの表面や被描画媒体に突き当たると、ペン先412が爪Tの表面や被描画媒体に自重で押し当てられるようになっている。
    すなわち、爪Tにペン41で描画する場合、ペン先412は、爪Tの表面形状(表面の起伏等)に追従して(爪Tの曲面や高さに合わせて)、印刷指U1が載置されているXY平面に直交するZ方向(すなわち上下方向)に自由に移動可能に構成されている。
    例えば、爪Tの高さの低い領域(例えば爪Tの幅方向の両端部等)に描画する場合には、ペン41は、鍔部413がペン保持部437dの上面に接触する位置近くまで下降し、爪Tの高さの高い領域(例えば、爪Tの幅方向の中央部等)に描画する場合には、ペン41は、爪Tの高さに追従して上昇し、鍔部413がペン保持部437dの上面から離間する。
    ペン41の重量は数十グラムと極めて軽量であるため、ペン先412が爪Tに突き当たってもユーザが痛みを感じることはなく、また自重によりペン41の筆圧は確保されるため爪Tの上等にネイルデザインを描くことができる。

    本実施形態では、このペン上下機構432を構成する部材のうち、回転軸436及びストッパ438は、ステンレス等の金属で形成されており、それ以外の部材は、樹脂等の軽量で磁石に反応しない材料で形成されている。 なお、ペン上下機構432を構成する部材の材料は、ここに例示したものに限定されない。
    また、本実施形態では、ペン41を上下させるためのアクチュエータとしてソレノイド435を用いているが、ペン41を上下させるためのアクチュエータは、ソレノイド435に限定されない。 ペン41は軽量であるため、ソレノイドの他、各種小型の駆動装置によりペン41を上下させるためのアクチュエータを構成することができる。

    描画ヘッド42を支持するユニット支持部材44は、X方向移動ステージ45に取り付けられたX方向移動部451に固定されている。 X方向移動部451は、X方向移動モータ46の駆動によりX方向移動ステージ45上を図示しないガイドに沿ってX方向に移動するようになっており、これにより、描画ヘッド42がX方向(図1におけるX方向、ネイルプリント装置1の左右方向)に移動するようになっている。
    また、X方向移動ステージ45は、Y方向移動ステージ47のY方向移動部471に固定されている。 Y方向移動部471は、Y方向移動モータ48の駆動によりY方向移動ステージ47上を図示しないガイドに沿ってY方向に移動するようになっており、これにより、描画ヘッド42がY方向(図2におけるY方向、ネイルプリント装置1の前後方向)に移動するようになっている。
    なお、本実施形態において、X方向移動ステージ45及びY方向移動ステージ47は、X方向移動モータ46、Y方向移動モータ48と、図示しないボールネジ及びガイドとを組み合わせることで構成されている。
    本実施形態では、X方向移動モータ46及びY方向移動モータ48等により、爪Tに描画を施すペン41を備える描画ヘッド42をX方向及びY方向に駆動するXY駆動部としてのヘッド駆動部49が構成されている。

    描画部40におけるペン41を上下移動させるためのソレノイド435、X方向移動モータ46、Y方向移動モータ48は、後述する制御装置80の描画制御部815(図5参照)に接続され、該描画制御部815によって制御されるようになっている。
    本実施形態では、後述するように、描画対象である爪Tの表面の傾斜角度に応じて、描画制御部815が、ペン41が装着された描画ヘッド42の移動のさせ方を調整する。

    図1及び図2に示すように、撮影部50は、上部機枠12に設けられている。
    すなわち、上部機枠12には基板13が設置されており、この基板13の中央部下面には、撮像装置としてのカメラ51が2つ設置されている。 カメラ51は、例えば200万画素程度以上の画素を有するものであることが好ましい。
    カメラ51は、指受入部31内に挿入されている印刷指U1の爪Tを撮影して、印刷指U1の爪Tの画像である爪画像(爪Tの画像を含む指画像)を得るものである。
    本実施形態では、2つのカメラ51は、指受入部31に挿入されている印刷指U1の爪Tの幅方向にほぼ並んで設けられている。 2つのカメラ51のうち、1方のカメラ51は、指受入部31の底面に対向して設けられており、爪Tを真上から撮影するものである。 また、他方のカメラ51は、爪Tの湾曲形状に沿うように指受入部31の底面に対して僅かに傾けて配置されており、爪Tを斜め上方向から撮影するものである。
    また、基板13には、カメラ51を囲むように白色LED等の照明灯(照明装置)52が設置されている。 照明灯52は、カメラ51による撮影の際に、印刷指U1の爪Tを照明するものである。 撮影部50は、このカメラ51及び照明灯52を備えて構成されている。
    この撮影部50は、後述する制御装置80の撮影制御部811(図5参照)に接続され、該撮影制御部811によって制御されるようになっている。
    撮影部50によって撮影された画像の画像データは、後述する記憶部82の爪画像記憶領域821に記憶される。

    本実施形態では、撮像装置としての2つのカメラ51によって少なくとも2つの異なった位置・角度から爪Tを撮影することができ、少なくとも2枚の爪画像が取得される。
    そして、これらの爪画像に基づいて、後述する爪情報検出部512が、爪Tの輪郭(爪Tの形状)や爪Tの垂直位置等の爪情報を検出する。 また、傾斜角度検出部812aが、これらの爪画像に基づいて、爪Tの表面の、XY平面に対する傾斜角度(以下「爪Tの傾斜角度」又は「爪曲率」という。)を検出できるようになっている。 すなわち、例えば、爪Tの真上からの画像と、爪Tの斜め上方向からの画像と、を取り込むことにより、爪Tの輪郭だけでなく、爪Tの表面の傾斜角度を正確に検出することができる。 ここで、爪Tの傾斜角度は図3(b)に示す角度θである。 ここで、角度θは、例えば、左回り方向の角度を正とし、右回り方向の角度を負とする。

    また、制御装置80は、例えば上部機枠12に配置された基板13等に設置されている。
    図5は、本実施形態における制御構成を示す要部ブロック図である。
    制御装置80は、図5に示すように、図示しないCPU(Central Processing Unit)により構成される制御部81と、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等(いずれも図示せず)で構成される記憶部82とを備えるコンピュータである。

    記憶部82には、ネイルプリント装置1を動作させるための各種プログラムや各種データ等が格納されている。
    具体的には、記憶部82のROMには、爪画像から爪Tの形状や爪Tの傾斜角度等の爪情報を検出するための爪情報検出プログラム、描画データを生成するための描画データ生成プログラム、描画処理を行うための描画プログラム等の各種プログラムが格納されており、これらのプログラムが制御装置80によって実行されることによって、ネイルプリント装置1の各部が統括制御されるようになっている。
    また、本実施形態において記憶部82には、撮影部50によって取得されたユーザの印刷指U1の爪Tの爪画像を記憶する爪画像記憶領域821、爪情報検出部812(傾斜角度検出部812aを含む)によって検出された爪情報が記憶される爪情報記憶領域822、及び爪Tに描画されるネイルデザインの画像データを記憶するネイルデザイン記憶領域823が設けられている。

    本実施形態において、ネイルデザイン記憶領域823に記憶されているネイルデザインの画像データには、ネイルデザイン中、塗潰描画処理を行うべき部分、一繋がりの絵柄として描画すべき部分等、描画を行う際の処理内容を規定する情報が付帯されている。
    一繋がりの絵柄として描画すべき部分とは、例えば直径1mm以下のリング状の模様のように一繋がりの絵柄部分であって、描画を施す際の爪Tの幅方向に沿ったペン41の移動距離が所定の限度値に満たないような小さな絵柄部分である。 ここで所定の限度値は、例えば0.8〜1.2mm程度に設定されるが、これに限定されない。 絵柄の種類や描画される線の太さ等に応じてそれぞれ所定の限度値が設定されていてもよい。 なお、デザインとしてずれや切れ目等が目立ちやすい一繋がりの絵柄部分である場合には、爪Tの幅方向に沿ってペン41を移動させながら描画を施す距離に関わらず一繋がりの絵柄として描画すべき部分とし扱ってもよい。
    このような一繋がりの絵柄部分であってペン41が爪Tの幅方向に沿って移動しながら描画を施す際の移動距離が所定の限度値以下である部分は、当該絵柄部分の一部又は全部が後述する急傾斜領域にかかっていても、後述する描画制御部815において描画方向規制処理を行わずに、一繋がりに描画するように処理される。

    制御部81は、機能的に見た場合、撮影制御部811、爪情報検出部812、描画データ生成部813、表示制御部814、描画制御部815等を備えている。 これら撮影制御部811、爪情報検出部812、描画データ生成部813、表示制御部814、描画制御部815等としての機能は、制御部81のCPUと記憶部82のROMに記憶されたプログラムとの共働によって実現される。

    撮影制御部811は、撮影部50のカメラ51及び照明灯52を制御してカメラ51により、指受入部31に挿入された印刷指U1の爪Tの画像を含む指の画像(以下「爪画像」という。)を撮影させるものである。
    本実施形態では、撮影制御部511は、2つのカメラ51によって異なる位置・角度(例えば、爪Tの真上と爪Tの斜め上方等)から少なくとも2枚の爪画像を取得させる。
    撮影部50により取得された爪画像の画像データは、記憶部82に記憶されてもよい。

    爪情報検出部812は、カメラ51によって撮影された指受入部31に挿入された印刷指U1の爪Tの画像に基づいて、印刷指U1の爪Tについての爪情報を検出するものである。 本実施形態では、爪情報検出部812は、爪Tの傾斜角度を検出する傾斜角度検出部812aを含んでいる。
    ここで、爪情報とは、例えば、爪Tの輪郭(爪形状、爪Tの水平位置)、爪Tの高さ(爪Tの垂直方向の位置、以下「爪Tの垂直位置」又は単に「爪Tの位置」ともいう。)、爪Tの表面の、XY平面に対する傾斜角度(爪Tの傾斜角度、爪曲率)である。 なお、爪Tの傾斜角度(爪曲率)とは、上述のように、爪Tの幅方向における水平面(すなわち、印刷指U1が載置されている指載置部116aのXY平面)に対する角度をいい、傾斜角度は図3(b)に示す角度θである。 本実施形態において、傾斜角度検出部812aを含む爪情報検出部812は、爪画像に基づいて、これらの爪情報のうち、爪Tの輪郭(爪形状)及び爪Tの傾斜角度(爪曲率)を検出するようになっている。

    具体的には、爪情報検出部812は、カメラ51により取得された印刷指U1の爪Tの爪画像から、爪Tの輪郭(形状や大きさ)、位置を検出し、この輪郭をx,y座標等で表される情報として取得する。 爪情報検出部812は、例えば、カメラ51により取得された印刷指U1の爪Tの爪画像から爪Tとそれ以外の指部分との色の違い等に基づいて爪Tの輪郭(形状)を検出するものである。 なお、爪情報検出部812が爪Tの輪郭(形状)を検出する手法は特に限定されず、ここに挙げたものに限られない。
    また、傾斜角度検出部812aは、2つのカメラ51によって撮影された少なくとも2つの爪画像に基づいて、爪Tの傾斜角度(爪曲率)を検出する。
    傾斜角度検出部812aは、例えば2つのカメラ51によって異なる位置・角度(例えば、爪Tの真上と爪Tの斜め上方等)から撮影された2つの爪画像に現われる陰影の違い等からユーザの爪Tについて傾斜角度(爪曲率)を検出する。 なお、爪情報検出部812が爪Tの傾斜角度(爪曲率)を検出する手法は特に限定されず、ここに挙げたものに限られない。

    描画データ生成部813は、爪情報検出部812により検出された爪情報に基づいて、描画ヘッド42により印刷指U1の爪Tに施される描画用のデータを生成する。
    具体的には、描画データ生成部813は、爪情報検出部812により検出された爪Tの形状等に基づいてネイルデザインの画像データを拡大、縮小、切出し等による合せ込み処理を行い、爪Tに描画を施すためのデータを生成する。
    また、本実施形態では、描画データ生成部813は、傾斜角度検出部812aにより検出された爪Tの傾斜角度(爪曲率)に応じて、ネイルデザインの画像データの曲面補正を行う。

    表示制御部814は、表示部26を制御して表示部26に各種の表示画面を表示させるものである。 本実施形態では、表示制御部814は、例えばネイルデザインの選択画面やデザイン確認用のサムネイル画像、印刷指U1を撮影して取得した爪画像、各種の指示画面等を表示部26に表示させるようになっている。

    描画制御部815は、描画データ生成部813によって生成された描画データを描画部40に出力し、爪Tに対してこの描画データにしたがった描画を施すように描画部40のソレノイド435、X方向移動モータ46、Y方向移動モータ48を制御する制御部である。
    本実施形態では、描画制御部815は、傾斜角度検出部812aにより検出された爪Tの表面の傾斜角度が所定の閾値未満である領域については、傾斜の向きに関わらず、どちらの方向にもペン41を動かすことができる。
    これに対して、傾斜角度検出部812aにより検出された爪Tの表面の幅方向の傾斜角度が所定の閾値以上である領域(後述する「急傾斜領域」)においては、描画制御部815は、爪TのXY平面(すなわち、指載置部116a)からの高さが高い方から低い方に向かってペン41を移動させ、ペン41を爪Tの高さが低い方から高い方に向かって移動させない、描画方向規制処理を行うようにXY駆動部(すなわち、ヘッド駆動部49を構成するX方向移動モータ46及びY方向移動モータ48)を制御する。
    ここで、傾斜角度の閾値をどのような値とするかは適宜設定可能であり、最適な値は例えばペン41の種類や形態等によっても異なるが、概ね、±40°〜±50°を閾値とするとよいことが実験的に見出されている。 なお、以下においては、便宜上、閾値を±45°として説明する。

    ここで、ペン41を比較的高さの低い爪Tの端部から比較的高さの高い爪Tの中央部に向かって移動させて描画する(すなわち、ペン41が爪Tの傾斜面を登るように移動して描画する)ようにした場合の問題点と、ペン41が爪Tの傾斜面を下るように移動する場合について説明する。
    ペン41を爪Tの傾斜面を登るように移動させた場合には、ペン41によって爪Tが水平方向に押されてしまう場合があり、ペン41によって爪Tが水平方向に強く押されると、それによって印刷指U1が動いてしまう場合があり、ネイルプリントの仕上がり品質が低下する。
    すなわち、ペン41に水平方向の力Pnがかかってペン41が図面右方向に移動するとき、図6(a)に示すように、爪Tの表面が印刷指U1の載置されるXY平面に対してなす角度(爪Tの傾斜角度)θ=0°のときには、ペン41からの力Pnは全て爪Tに水平な力成分P1であり、爪Tを垂直方向に押す力はペン41の自重のみである。 なお、図6(a)から図6(e)では、便宜上、ペン41の自重によって爪Tにかかる力を省略している。
    これに対して、図6(b)から図6(d)に示すように、爪Tの傾斜角度θ=30°のときには、ペン41からの力Pnの Sin(30)=0.50、すなわち半分の力が爪Tの傾斜面を爪Tの傾斜面に対して垂直な垂直方向に押す力成分P2となる。 爪Tの傾斜角度θ=45°のときには、ペン41からの力Pnの Sin(45)=0.7071、すなわちほぼ7割の力が爪Tの傾斜面を垂直方向に押す力成分P2となる。 そして、爪Tの傾斜角度θ=60°のときには Sin(60)=0.8660が爪Tの傾斜面を垂直方向に押す力成分P2となり、ペン41からの力Pnの8割以上の力が爪Tに掛かってしまう。 このように、爪Tの傾斜角度θが大きくなるにしたがって爪Tの傾斜面を垂直方向に押す力成分P2が大きくなり、この垂直方向の力成分P2による爪Tを水平方向に押す力が増加する。 これが、印刷指U1が動いてしまう原因となる。
    これに対して、ペン41が爪Tの傾斜面を下るように移動して描画する場合には、図6(e)に示すようになる。 すなわち、ペン41に水平方向の力Pn'がかかってペン41が図面左方向に移動するとき、この力Pn'による爪Tの傾斜面を垂直方向に押す力成分は、爪Tの傾斜角度θの値によらず、生じない。 このとき爪Tを垂直方向に押す力はペン41の自重のみであり、ペン41は自重のみによって爪Tの傾斜面を滑り降りていくようにされる。 このため、ペン41が爪Tの傾斜面を下るように移動して描画する場合には、爪Tの傾斜角度θの値によらず、印刷指U1が動いてしまうことはない。

    このため、本実施形態では、描画制御部815は、傾斜角度検出部812aにより検出された爪Tの表面の幅方向の傾斜角度θの絶対値が45°以上の領域、すなわち、図7〜図9に示す、爪Tの図面左側の縁Eaと傾斜角度θが45°の境界線Laとで囲まれた領域(これを以下「急傾斜領域PA」という。)と、爪Tの図面右側の縁Ebと傾斜角度θが−45°の境界線Lbとで囲まれた領域(これを以下「急傾斜領域PB」という。)については、ペン41が爪Tの傾斜面を登るように移動することがないように、図6(e)に示すようにペン41を爪Tの高さの高い方から低い方に向かって移動させ、爪Tの高さの低い方から高い方に向かって移動させないように描画方向規制処理を行うようになっている。 これにより、爪Tがペン41で水平方向に押されることを回避して、描画中に印刷指U1が動いてしまうのを防止することができる。

    ここで、図7から図9を参照しつつ、描画制御部815による具体的な描画制御について説明する。
    なお、爪Tは、一般に幅方向の中央部が比較的高さが高く、幅方向の端部にいくにしたがって高さが低くなり、幅方向の傾斜角度が大きくなる形状を有している。 このため、以下の実施形態では、爪Tの幅方向に沿ってペン41を移動させながら線を描く場合に描画方向規制処理を行う例を示す。 なお、爪Tの形状は様々であるため、例えば、爪Tの長さ方向の中央部が比較的高く、長さ方向の先端部にいくほど高さが低くなり、長さ方向の傾斜角度が大きくなるものも想定される。 したがって、爪Tの幅方向に沿ってペン41を移動させながら線を描く場合のみならず、長さ方向に沿ってペン41を移動させながら線を描く場合にも上記の描画方向規制処理を行うようにしてもよい。

    図7及び図8は、爪Tの先端部分に色を付すフレンチネイルを形成する場合を例示したものである。 フレンチネイルは、爪Tの先端部分を所定の塗潰領域(図7及び図8において網掛けで示す領域)とし、この塗潰領域を塗り潰すことにより形成される。
    フレンチネイルを形成する場合には、描画制御部815は、まず図7に示すように、爪Tの幅方向に沿ってペン41を移動させ、塗潰領域の輪郭を描画させる輪郭描画処理を行う。 このとき、爪Tの表面の傾斜角度の絶対値が45°未満である領域(図7等において爪Tの幅方向の中央部分)においては、特に描画方向は規制されず、どちらの方向にペン41を移動させてもよいため、描画制御部815は、できるだけ無駄なく描画できるようにペン41を移動させる。 これに対して、爪Tの表面の傾斜角度の絶対値が45°以上である領域(急傾斜領域)においては、描画制御部815は、爪TのXY平面(すなわち、指載置部116a)からの高さが高い方から低い方に向かってペン41を移動させ、ペン41を爪Tの高さが低い方から高い方に向かって移動させない描画方向規制処理を適用する。
    すなわち、まず、爪Tの表面の傾斜角度θの絶対値が45°未満である爪Tの中央部及び爪Tの一方の側部(図7では左側部)の急傾斜領域PAについて、爪Tの中央部から一方の側端部(図7では左側端部)に向かって塗潰領域の上側を画する輪郭(図7において線l1)を描く。
    次に、爪Tの表面の傾斜角度θの絶対値が45°未満である爪Tの中央部及び爪Tの他方の側部(図7では右側部)の急傾斜領域PBについて、爪Tの中央部から他方の側端部(図7では右側端部)に向かって塗潰領域の下側を画する輪郭(図7において線l2)を描く。
    さらに、急傾斜領域PBについて、線l1の起点から反対側の側端部(図7において右側端部)に向かって塗潰領域の上側を画する残りの輪郭(図7において線l3)を描き、最後に急傾斜領域PAについて、線l2の起点から反対側の側端部(図7において左側端部)に向かって塗潰領域の下側を画する残りの輪郭(図7において線l4)を描く。 これらにより、塗潰領域を画する輪郭が描かれる。 なお、線l1〜l4を描く順序はここに例示したものに限定されない。
    その後、描画制御部815は、この輪郭の内側領域を、爪Tの幅方向(図7及び図8において横方向)と直交する爪Tの長さ方向(図7及び図8において縦方向)にペン41を移動させながら描画する塗潰描画処理を行うようにXY駆動部(すなわち、X方向移動モータ46、Y方向移動モータ48)を制御する。
    具体的には、描画制御部815は、まず、図8に示すように、爪Tの表面の傾斜角度θの絶対値が45°以上である急傾斜領域PAについて、ペン41を爪Tの長さ方向に往復させながら爪Tの高さの高い方から低い方に向かって、すなわち、爪Tの中央部から一方側の側端部領域に向かって塗潰処理を行わせる(図8において線l5〜l7)。 次に、残りの領域について、既に塗潰処理が終わった急傾斜領域PAに隣接する部分から他方側の側端部領域に向かって、同様にペン41を爪Tの長さ方向に往復させながら塗潰処理を行わせる(図8において線l8〜ln)。

    なお、本実施形態では、描画制御部815は、一繋がりの絵柄として描画すべき部分については描画方向規制処理を行わず、絵柄の全部又は一部が急傾斜領域にかかり、一繋がりに描画すると急傾斜領域を登る箇所が生じる場合でも、比較的小さい絵柄である場合には、一繋がりに描画するようにXY駆動部(すなわち、ヘッド駆動部49を構成するX方向移動モータ46及びY方向移動モータ48)を制御する。
    このため、描画制御部815は、傾斜角度検出部812aにより検出された爪Tの表面の傾斜角度が所定の閾値以上である領域(本実施形態では、傾斜角度θが|θ|≧45°である急傾斜領域PA,PB)において、ペン41を爪Tの幅方向に沿って移動させながら線を描く場合であっても、それが一繋がりで描かれる絵柄部分であって0.8〜1.2mm程度の極短い線で構成されているような場合には、爪TのXY平面からの高さが低い方から高い方に向かってペン41を移動させることができる。
    細かい絵柄を描く場合であってペン41の移動距離が短い場合にも、常に描画方向規制処理を適用して、ペン41を爪Tの高い方から低い方に移動させようとすると、絵柄をいくつかに分割して描かなければならず、分割した箇所が上手くつながらずに絵柄がずれてしまう等、綺麗な描画ができない場合がある。
    例えば、図9に示すように、爪Tに描かれるネイルデザインがレース模様のように細かい絵柄を含む場合に、小さなリング状の絵柄等の細かい絵柄部分の一部に、爪TのXY平面からの高さが低い方から高い方に登る箇所がある場合(例えば、図9中、Pt1〜Pt6参照)、これに描画方向規制処理を適用すると、図10の左側に示す(Pt1)から(Pt3)に示すように、各絵柄を2つ以上に分割して描画しなければならない(なお、図10では、図9中のPt1〜Pt3について図10(Pt1)〜(Pt3)として例示しているが、図9中のPt4〜Pt6についても同様である。)。 この場合、分割された部分で線が正確に繋がらず、絵柄がずれてしまうことがある。
    これに対して、部分的にペン41が爪Tの低い方から高い方に移動することになっても、描画方向規制処理を適用せずに、図10の右側に示す(Pt1)から(Pt3)において破線矢印で示すように、一繋がりの絵柄として描画した場合には、絵柄がずれず、美しい仕上がりとすることができる。 また、細かい絵柄の一部分等、ペン41の移動距離が短い場合には、ペン41が爪Tの低い方から高い方に登ってもユーザはそれほど強く爪が押されていると感じない。 このため、一繋がりに絵柄を描いても指が押されて動いてしまうことはない。
    なお、この場合、描画制御部815は、ペン41が爪Tの低い方から高い方に登る際に、ペン41の移動速度を遅くするようにヘッド駆動部49を制御してもよい。 ペン41の移動速度を遅くした場合には、このような移動速度の調整を行わない場合と比較してペン41から爪Tへの単位時間当たりの仕事量が減る。 また、ペン41の移動速度が遅くなることによりペン41が傾斜面を登り易くなる。 すなわち、図6(a)から(d)に示す、ペン41にかかる水平方向の力Pnが小さくなる。 このため、ペン41が爪Tの低いところから高いところに描画する(すなわち傾斜を登るとき)ときでも、爪Tがペン41で押される感じを低減することができ、ユーザに対する負担がより一層軽減されるとともに、ペン41で押されることにより描画中に印刷指U1が動いてしまうのをより確実に防止することができる。
    なお、本実施形態では、前述のように、ネイルデザイン記憶領域823に記憶されているネイルデザインの画像データに、ネイルデザイン中、どの部分が塗潰処理を行うべき部分であり、どの部分が一繋がりの絵柄として描画すべき部分であるか等、描画を行う際の処理内容を規定する情報が付帯情報として付されている。 描画制御部815は、このネイルデザインの画像データの付帯情報を参照しつつ、描画方向規制処理を適用するか否かや、塗潰処理を行うか否かを判断する。

    次に、本実施形態におけるネイルプリント装置1の動作及び使用方法について説明する。

    このネイルプリント装置1により描画を行う場合、ユーザはまず、電源スイッチを入れて制御装置80を起動させる。
    表示制御部814は、表示部26にデザイン選択画面を表示させる。 ユーザは操作部25の操作釦251等を操作して、デザイン選択画面に表示された複数のネイルデザインの中から所望のネイルデザインを選択し、これにより、操作部25から選択指示信号が出力されて爪Tに描画すべきネイルデザインが選択される。
    ネイルデザインが選択されると、制御部81は、当該選択されたネイルデザインを描画するのに必要なペン41を描画ヘッド42の所定のペンキャリッジ43にセットするよう促す指示画面を表示部26に表示させる。 例えば、赤インク、ラメ入り金インクが必要であるときは、どのペンキャリッジ43にどのインクのペン41を装着すべきかを表示部26において指示する。 ユーザは表示画面に表示された指示にしたがって、所定のペンキャリッジ43に所定の種類のペン41をセットする。 なお、ユーザがあえて指示と異なるペン41をセットして、好みの色や質感のネイルデザインを実現するようにしてもよい。
    なお、ペンキャリッジ43にどの種類のペン41がセットされているかをバーコード等により制御部81が読み取ることができるように構成してもよく、この場合には、ペンキャリッジ43にセットされているペン41によって描画できるネイルデザインを表示部26のデザイン選択画面を表示させ、ユーザにその中からネイルデザインを選択させるようにしてもよい。
    次に、ユーザは、印刷指U1を指受入部31に挿入し、非印刷指U2を指退避部32に挿入して、印刷指U1を固定した上で、描画スイッチを操作する。
    例えば、図3では、左手の薬指が印刷指U1として指受入部31に挿入され、その他の指が非印刷指U2として指退避部32に挿入されている例を示している。

    描画スイッチから指示が入力されると、描画動作を開始する前に、まず撮影制御部811が撮影部50を制御して、照明灯52により印刷指U1を照明しながら2つのカメラ51により印刷指U1を撮影させる。 これにより、撮影制御部811は、指受入部31に挿入された印刷指U1の爪Tの画像(爪画像)を少なくとも2つ取得する。
    次に、爪情報検出部812は、爪画像に基づいて爪Tの輪郭(爪形状)を検出する。 また、傾斜角度検出部812aは、爪画像に基づいて爪Tの傾斜角度(爪曲率)を検出する。

    爪情報検出部812、傾斜角度検出部812aにより爪Tの輪郭(爪形状)及び爪Tの傾斜角度(爪曲率)が検出されると、これらの爪情報に基づいて、描画データ生成部813が、ネイルデザインの画像データの爪Tへの合せ込み処理を行う。 また、描画データ生成部813は、これら爪情報に基づいて、ネイルデザインの画像データにつき曲面補正を行う。 これにより描画データが生成される。
    また、描画制御部815は、爪Tへの描画開始前に、描画部40をペン慣書部61に移動させて、ペン41を保持するペンキャリッジ43のソレノイド435を駆動させ、ペン41を描画可能状態とする。 そして、被描画媒体に「○」や「∞」等の所定の画像を描く慣らし書きを行う。 なお、慣らし書きは、選択されたネイルデザインを描画するのに必要なペン41についてのみ行ってもよいし、全てのペン41について行ってもよい。
    描画データが生成され、慣らし書きも完了すると、描画制御部815は、描画データを描画部40に出力し、描画に必要なペン41を保持するペンキャリッジ43のソレノイド435を駆動させてペン41を描画可能状態とするとともに、描画データに基づいて描画ヘッド42をXY方向に適宜移動させて爪Tに描画を行わせる。 このとき、ペン41は自重により爪Tの表面に押し当てられ、爪Tの表面形状に追従して上下動しながら描画を行う。

    ペン41による描画を行う間、描画制御部815は、爪Tの幅方向に所定の距離以上ペン41を移動させて描画する場合に、傾斜角度検出部812aにより検出された爪Tの表面の傾斜角度が一定以上である領域(本実施形態では、傾斜角度θが|θ|≧45°である急傾斜領域PA,PB(図7(a)等参照))においては、爪TのXY平面からの高さが高い方から低い方に向かってペン41を移動させ、ペン41を爪Tの高さが低い方から高い方に向かって移動させない、描画方向規制処理を行うようにXY駆動部(ヘッド駆動部49を構成するX方向移動モータ46及びY方向移動モータ48)を制御する。
    また、描画制御部815は、ネイルデザインの画像データの付帯情報を参照し、塗潰処理が必要な塗潰領域があるか否か、描画方向規制処理を行うか否かを判断する。
    そして、塗潰領域がある場合には、描画制御部815は、描画部40を制御して、まず描画方向規制処理を適用して、塗潰領域を画する輪郭を描画させる。 次に、この輪郭の内側を爪Tの長さ方向にペン41を移動させながら、輪郭の内側の領域を塗潰す塗潰処理を行う。
    また、一繋がりの絵柄部分であって爪Tの幅方向へのペン41の移動距離が所定以下の部分がある場合には、描画制御部815は、当該部分については描画方向規制処理を行わないと判断し、急傾斜領域PA,PBにおいてペン41が爪Tの低い方から高い方に登る部分がある場合でも一繋がりで描画するように描画部40を制御する。 これにより、線が絵柄等の途中でずれたり途切れたりするのを防止する。

    なお、複数の指の爪Tに描画を施す場合には、1つの指の爪Tについて描画処理が終了した後、当該描画済みの爪Tの指を指受入部31から抜いて次に描画すべき爪Tの指を印刷指U1として指受入部31に挿入し、当該爪Tの爪画像を取得して、上記の処理を繰り返す。
    なお、ペン41を交換する場合には、描画制御部815は、描画ヘッド42をペン交換用蓋部23に対応する位置まで移動させる。 この状態でユーザがペン交換用蓋部23を開けることにより、ペン41の取り出し、交換が可能となる。

    以上のように、本実施形態のネイルプリント装置1によれば、印刷指U1の爪Tの表面のXY平面に対する傾斜角度を検出し、検出された爪Tの表面の傾斜角度が比較的大きい領域では、爪TのXY平面からの高さが高い方から低い方に向かってペン41を移動させる描画方向規制処理を行うように、ヘッド駆動部49を構成するX方向移動モータ46及びY方向移動モータ48を制御するようになっている。
    このため、傾斜角度の大きい爪Tの端部において、ペン41が爪Tの低いところから高いところに向かって移動しないように(すなわち、ペン41が傾斜面を登らないように)することができる。 これにより、ペン41によって爪Tが押されるのを防止することができ、ユーザに対する負担が軽減されるとともに、ペン41で押されることにより描画中に印刷指U1が動いてしまうのを防止することができる。
    また、所定の塗潰領域を塗り潰す場合には、描画制御部815は、爪Tの幅方向に沿って塗潰領域の輪郭について描画した後、この輪郭の内側領域を、爪Tの幅方向と直交する爪Tの長さ方向にペン41を移動させながら描画する塗潰処理を行うようにXY駆動部(ヘッド駆動部49を構成するX方向移動モータ46及びY方向移動モータ48)を制御する。 これにより、所定の塗潰領域を塗り潰す場合でも、ペン41が爪Tの高さの低い方から高い方に向かって移動しないようにすることができ、ペン41によって爪Tが押されるのを防止することができる。
    さらに、本実施形態では、描画方向規制処理は、一繋がりの絵柄として描画すべき部分には適用されないこととされている。 このように一繋がりの絵柄部分であってペン41が爪Tの幅方向に沿って移動しながら描画を施す際の移動距離が所定以下である部分については、爪Tの表面の傾斜角度が一定以上である領域であっても描画方向規制処理を適用しないことにより、絵柄等の途中で線がずれたり途切れたりするのを防止することができる。 また、ペン41の移動距離が短い場合には、ペン41が爪Tの傾斜面を登ってもそれほどペン41によって押される感じを受けないため、指が動いてしまうこともなく、綺麗なネイルプリントを印刷することができる。
    また、ペン41を用いて描画を行うため、従来のインクジェット方式の印刷ヘッドを用いる場合と比較して、粘度の高いインクや金銀のラメ入りのインクや白色のインク等のような各種の色材を含むインクを広く用いることができる。 これにより、白色等の下地を塗らなくてもインクの色を綺麗に発色させることができ、下地を塗る手間を省くことができるとともに、爪Tの地の色等を生かしたデザインも描画することができるため、描画できるネイルデザインの幅が広がる。
    また、アンダーコートやトップコート等を塗る場合や、爪Tの全体に色を塗りたい場合にも、ペン先412の太いペン41や筆ペンタイプのペン41等を用いれば、迅速かつむらなく塗ることができるため、ユーザが自分で下地等を塗る手間を省くことができるとともに、塗り残しや塗りむら等の発生による画質の低下が生じず、ネイルアートを美しく仕上げることができる。
    また、使用できるインクが限定されないため、ラメ入りのインクを用いた豪華なデザインや、厚み感や光沢感があり、仕上がりに高級感があるデザイン等、ネイルサロンで施されるのと同様のバリエーション豊富で美しい仕上がりのネイルプリントをネイルプリント装置1によって簡易に爪Tに施すことができる。
    また、例えばUV硬化型のジェルネイル等の粘度の高いインクもが使用できるため、ネイルサロンで施されるような、持ちがよく仕上がりの美しいネイルアートを実現することができる。
    また、爪情報検出部812により、爪画像に基づいて、爪情報として爪の形状等を検出するため、ユーザの爪Tに合わせて描画を施すことができ、塗り残しやはみ出しのないきれいなネイルアートを実現することができる。

    なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。

    例えば、本実施形態では、爪情報検出部812が爪Tの傾斜角度を検出し、急傾斜領域PAを爪Tの縁Eaと傾斜角度θが45°の境界線Laとで囲まれた領域とし、急傾斜領域PBを爪Tの縁Ebと傾斜角度θが−45°の境界線Lbとで囲まれた領域としたが、急傾斜領域の設定のし方はこれに限定されない。
    例えば、爪情報検出部812が爪Tの湾曲形状を、「平型」「並平型」「並型」「並丸型」「丸型」等の複数のパターンに分類し、各パターンに対して幅方向の両端から幅寸法の何%の位置を境界線とするかを予め決めておき、検出した爪Tの輪郭に基づいて急傾斜領域を設定するようにしてもよい。
    例えば、本実施形態では、爪Tの先端部分にフレンチネイルを形成する場合等、所定の塗潰領域を塗潰す場合に、まず塗潰領域の輪郭を描画してから、この輪郭の内側を爪Tの長さ方向にペン41を移動させながら描画する手法をとる場合(図7及び図8参照)を例示したが、所定の塗潰領域を塗り潰す場合の処理の仕方はここに例示したものに限定されない。
    例えば、図11に示すように、爪Tの一方側の急傾斜領域(図11では右側の急傾斜領域PB)に爪Tの中央部に隣接する部分から爪Tの側端部に向かって塗潰領域の上側を画する線(図11において線l1)を描き、次に、爪Tの表面の傾斜角度θが|θ|<45°である爪Tの中央部及び爪Tの他方側の急傾斜領域(図11では左側の急傾斜領域PA)について、線l1の起点から反対側の側端部に向かって線l2を描く。 これにより、塗潰領域の上側を画する輪郭が描かれる。 さらに、ペン41の位置を1段ずつ爪Tの長さ方向にずらしながら、同様に、線l3,l4、線l5,l6・・・を描き、最後に、塗潰領域の下側を画する輪郭として、線ln−1,lnが描かれる。 このように、描画方向規制処理を適用しつつ、ペン41を爪Tの幅方向に沿って移動させながら線を描く描画を繰り返すことによって塗潰領域を塗潰してもよい。
    なお、このようにペン41を爪Tの幅方向に沿って移動させながら描画する場合において、爪Tの幅方向の中央の最もXY平面からの高さが高い部分から爪Tの幅方向の両端部(高さの低い部分)に向かってのみペン41を動かしてもよい。
    また、塗潰領域の輪郭を描画する行程を省いて、塗潰領域全体を爪Tの長さ方向にペン41を移動させながら塗潰していってもよい。

    また、本実施形態では、ネイルデザイン記憶領域823に記憶されているネイルデザインの画像データに、ネイルデザイン中、どの部分が塗潰処理を行うべき部分であり、どの部分が一繋がりの絵柄として描画すべき部分であるか等、描画を行う際の処理内容が付帯情報として付され、描画制御部815は、このネイルデザインの画像データの付帯情報を参照しつつ、描画方向規制処理を適用するか否かや、塗潰処理を行うか否かを判断する場合を例としたが、どのような描画処理を行うかの判断の仕方はこれに限定されない。
    例えば、ネイルデザインの画像データには付帯情報を持たせず、描画方向規制処理を行わない絵柄を抽出するための閾値(例えば、当該絵柄を構成する線の長さの閾値)や塗潰処理を行う部分を抽出するための閾値等を記憶部82等に記憶させておき、描画制御部815が、各描画部分について閾値を超えるか否かを判断し、どのような描画処理を行うかを決定してもよい。

    また、描画部40の構成は、本実施形態に示したものに限定されない。
    例えば、ネイルプリント装置は、複数(例えば8つ)のペンを保持可能な回転式のペンキャリッジと、ペンキャリッジを回転させるキャリッジ回転機構と、ペンキャリッジに保持されたペンを上下移動させるためのペン上下機構とを備える描画部を備えていてもよい。
    このように、描画部が複数のペンを保持可能な回転式のペンキャリッジを備える場合には、複数種類のペンを同時に保持させて描画を行うことができる。 このため、例えば、7色のインクを必要とするレインボー柄や、段階的に濃さの異なる複数のインクを必要とするグラデーション柄、各種の色を用いたアーガイル柄等、多色を必要とする複雑かつ繊細なデザインでも簡易に描画することができる。

    また、本実施形態では、ペン41を上下移動させるペン上下機構としてソレノイドを用いた構成を例示しているが、ペン上下機構の構成はこれに限定されない。 例えば、ステップモータ、DCモータ、モータ及びボールネジ等により構成してもよい。

    また、本実施形態では、描画ヘッド42を移動させるためのX方向移動ステージ45及びY方向移動ステージ47を、ステップモータであるX方向移動モータ46、Y方向移動モータ48と、図示しないボールネジ及びガイドとの組み合わせにより構成する例を示したが、描画ヘッド42を移動させるための構成はこれに限定されない。
    X方向移動モータ46、Y方向移動モータ48は、描画ヘッド42を前後左右に随意に動かせるものであればよく、例えば、従来の安価なプリンタ等に用いられているようなシャフトやガイドとワイヤーで構成された機構を用いた構成でもよいし、サーボモータ等を用いた構成でもよい。

    また、本実施形態では、ペンとしてインクにより描画するものを例示したが、描画ヘッドに装着されるペンは、インクを描画するものに限定されない。
    例えば、無色や有色透明の液状糊を収容したペンを描画ヘッドに装着し、これを用いて描画した後、糊が乾く前に粉状のラメ等をふりかけたり、ラインストーン等を貼着したりすることにより、より豪華なネイルデザインを実現することもできる。
    また、香料を含んだ液体等を収容したペンを描画ヘッドに装着し、これを用いて描画を行い、香り付きのネイルプリントを楽しむことができるようにしてもよい。

    また、本実施形態では、4本等、複数のペンを描画ヘッドに同時に装着できるものを例示したが、例えば、描画ヘッドに装着可能なペンを1本のみとし、必要に応じて適宜ユーザが手動でペンを交換する方式としてもよい。 このようにすればペンを備えるネイルプリント装置1を安価に実現することができる。
    また、描画ヘッドに装着するペンを自動で交換する機構を実装してもよい。 この場合には、例えば複数のペンを待機スペースに保持しておき、ここから自動でペンを選択して描画ヘッドに装着する。 このような構成とすれば、更に装置に保持できるペンの本数を増やすことも可能となる。

    また、本実施形態では、ペンの慣書用に紙片である被描画媒体を用いる場合を例示したが、被描画媒体は紙に限定されない。 また、被描画媒体はロール状のものを用いてもよい。 この場合には、自動又は手動により被描画媒体を送り出すとともに巻き取る媒体送り機構を設ける。 また、被描画媒体はロール状のものである場合には、媒体挿出口24に代えてロール状の被描画媒体を着脱するための媒体着脱口を設ける。

    また、本実施形態では、描画データ生成部813が、ネイルデザインの画像データについて曲面補正を行い、描画データを生成する場合を例としたが、描画データ生成部813が描画データを生成することは本発明の必須の構成要素ではない。 例えば、描画データを別途生成せずに、描画制御部815において、ネイルデザインの画像データをLUT(Lookup Table)等により適宜変換しつつ描画ヘッドに出力して爪形状に合った描画を行うように描画制御を行ってもよい。

    また、本実施形態では、爪情報として爪Tの形状を検出し、これに基づいて描画データを生成する場合を例としたが、爪形状を検出することは本発明の必須の構成要素ではない。 例えば、爪Tの中程にワンポイント柄を描画する場合のように、描画を行う上で爪Tの輪郭を抽出することが必須でない場合であれば、正確に爪Tの形状を認識する必要はなく、爪形状の検出を行うことなく描画を行うことができる。

    また、撮像装置は、静止画を撮影するカメラ51に限定されず、動画を撮影可能なものであってもよい。 この場合、カメラによって動画を撮影し、撮影された動画から、爪Tの上面の画像を適宜切り出して、爪情報の検出に用いる。

    また、本実施形態では、爪画像記憶領域821、爪情報記憶領域822、ネイルデザイン記憶領域823が制御装置80の記憶部82内に設けられている場合を例としたが、爪画像記憶領域821、爪情報記憶領域822、ネイルデザイン記憶領域823は制御装置80の記憶部82に設けられている場合に限定されず、別途記憶部が設けられていてもよい。

    また、本実施形態では、指を1本ずつ装置に挿入して順次印刷を行うネイルプリント装置1を例としたが、複数本の指に対して同時に印刷を行うことのできる装置に本発明を適用することも可能である。
    例えば、ペンの稼動範囲を広げて描画可能範囲を大きくすることにより、複数の印刷指U1に同時に描画を施すことも可能となる。

    以上本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
    以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。 付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
    〔付記〕
    <請求項1>
    描画を施す爪の指が載置される平面状の載置面を有する指載置部と、
    前記載置面に載置された前記指の爪に接触して、前記爪に絵柄の描画を施す描画用具と、
    前記描画を施す際に、前記描画用具を前記絵柄に応じて移動させる駆動部と、
    前記駆動部を制御する制御部と、
    を備え、
    前記爪の表面は、前記爪の幅方向の一端側の第1領域と、前記爪の幅方向の他端側の第2領域と、前記第1領域と前記第2領域に挟まれた第3領域と、に分けられ、
    前記第1領域は、前記爪の前記一端側の縁を含んで、前記爪の湾曲形状に応じて前記爪の幅方向の中心を通る中心線より前記一端側に設けられた領域であり、
    前記第2領域は、前記爪の前記他端側の縁を含んで、前記爪の湾曲形状に応じて前記中心線より前記他端側に設けられた領域であり、
    前記制御部は、前記爪の表面の前記第1領域と前記第2領域とにおいて、前記描画用具を前記爪の前記載置面からの高さが低い方から高い方に向かって移動させない描画方向規制処理を行いながら描画を施すように前記駆動部を制御することを特徴とするネイルプリント装置。
    <請求項2>
    前記制御部は、
    前記絵柄が前記第1領域と前記第3領域とに跨って描画される形状を有しているとき、前記第3領域での前記描画用具の移動のさせ方を、前記描画方向規制処理を行う前記第1領域での前記描画用具の移動のさせ方と同じにして、前記第1領域と前記第3領域とで連続して前記絵柄の描画を施すように制御し、
    前記絵柄が前記第2領域と前記第3領域とに跨って描画される形状を有しているとき、前記第3領域での前記描画用具の移動のさせ方を、前記描画方向規制処理を行う前記第2領域での前記描画用具の移動のさせ方と同じにして、前記第2領域と前記第3領域とで連続して前記絵柄の描画を施すように制御することを特徴とする請求項1に記載のネイルプリント装置。
    <請求項3>
    前記制御部は、前記絵柄が塗潰領域を有するとき、前記描画用具を前記塗潰領域の輪郭に沿って移動させて前記輪郭を描画する輪郭描画処理を行った後、前記輪郭の内側領域を、前記爪の幅方向と前記爪の長さ方向とに前記描画用具を移動させながら描画する塗潰描画処理を行うように前記駆動部を制御し、
    前記輪郭描画処理及び前記塗潰描画処理において、描画する領域が前記第1領域又は前記第2領域に含まれるとき、前記第1領域又は前記第2領域において前記描画方向規制処理を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のネイルプリント装置。
    <請求項4>
    前記制御部は、
    前記塗潰領域が前記第1領域と前記第3領域とに跨って描画される形状を含んでいるとき、前記第3領域での前記描画用具の移動のさせ方を、前記描画方向規制処理を行う前記第1領域での前記描画用具の移動のさせ方と同じにして、前記第1領域と前記第3領域とで連続して前記塗潰領域の描画を施すように制御し、
    前記塗潰領域が前記第2領域と前記第3領域とに跨って描画される形状を含んでいるとき、前記第3領域での前記描画用具の移動のさせ方を、前記描画方向規制処理を行う前記第2領域での前記描画用具の移動のさせ方と同じにして、前記第2領域と前記第3領域とで連続して前記塗潰領域の描画を施すように制御することを特徴とする請求項3に記載のネイルプリント装置。
    <請求項5>
    前記第1領域は、前記爪の前記一端側の縁と、前記中心線より前記一端側に前記爪の長さ方向に沿って前記爪の表面に設けられた第1境界線と、で囲まれた領域であり、
    前記第2領域は、前記爪の前記他端側の縁と、前記中心線より前記他端側に前記爪の長さ方向に沿って前記爪の表面に設けられた第2境界線と、で囲まれた領域であることを特徴とする請求項1に記載のネイルプリント装置。
    <請求項6>
    更に、前記爪の表面の、前記載置面に対する傾斜角度を検出する傾斜角度検出部を有し、
    前記第1境界線及び前記第2境界線は、前記傾斜角度の前記爪の幅方向の値が所定の閾値である箇所に設けられることを特徴とする請求項5に記載のネイルプリント装置。
    <請求項7>
    前記制御部は、前記爪の表面の、前記傾斜角度の前記爪の長さ方向の値が前記閾値以上である領域においても、前記描画方向規制処理を行うように前記駆動部を制御することを特徴とする請求項6に記載のネイルプリント装置。
    <請求項8>
    平面状の載置面上に載置された指の爪に描画用具を接触させ、前記描画用具を絵柄に応じて移動させて、前記爪に前記絵柄の描画を施すネイルプリント装置の印刷方法において、
    前記指の爪の表面を、前記爪の幅方向の一端側の縁を含んで、前記爪の湾曲形状に応じて前記爪の幅方向の中心を通る中心線より前記一端側に設けられた第1領域と、前記爪の幅方向の他端側の縁を含んで、前記爪の湾曲形状に応じて前記中心線より前記他端側に設けられた第2領域と、前記第1領域と前記第2領域に挟まれた第3領域と、に分け、
    前記爪の表面の前記第1領域と前記第2領域では、前記爪の前記載置面からの高さが低い方から高い方に向かって前記描画用具を移動させない描画方向規制処理を行いながら描画を施すことを特徴とするネイルプリント装置の印刷方法。
    <請求項9>
    前記絵柄が前記第1領域と前記第3領域とに跨って描画される形状を有しているとき、前記第3領域での前記描画用具の移動のさせ方を、前記描画方向規制処理を行う前記第1領域での前記描画用具の移動のさせ方と同じにして、前記第1領域と前記第3領域とで連続して前記絵柄の描画を施し、
    前記絵柄が前記第2領域と前記第3領域とに跨って描画される形状を有しているとき、前記第3領域での前記描画用具の移動のさせ方を、前記描画方向規制処理を行う前記第2領域での前記描画用具の移動のさせ方と同じにして、前記第2領域と前記第3領域とで連続して前記絵柄の描画を施すことを特徴とする請求項8に記載のネイルプリント装置の印刷方法。
    <請求項10>
    前記絵柄が塗潰領域を有するとき、前記描画用具を前記塗潰領域の輪郭に沿って移動させて前記輪郭を描画する輪郭描画処理を行った後、前記輪郭の内側領域を、前記爪の幅方向と前記爪の長さ方向とに前記描画用具を移動させながら描画する塗潰描画処理を行い、
    前記輪郭描画処理及び前記塗潰描画処理において、描画する領域が前記第1領域又は前記第2領域に含まれるとき、前記第1領域又は前記第2領域において前記描画方向規制処理を行うことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載のネイルプリント装置の印刷方法。
    <請求項11>
    前記塗潰領域が前記第1領域と前記第3領域とに跨って描画される形状を含んでいるとき、前記第3領域での前記描画用具の移動のさせ方を、前記描画方向規制処理を行う前記第1領域での前記描画用具の移動のさせ方と同じにして、前記第1領域と前記第3領域とで連続して前記塗潰領域の描画を施すように制御し、
    前記塗潰領域が前記第2領域と前記第3領域とに跨って描画される形状を含んでいるとき、前記第3領域での前記描画用具の移動のさせ方を、前記描画方向規制処理を行う前記第2領域での前記描画用具の移動のさせ方と同じにして、前記第2領域と前記第3領域とで連続して前記塗潰領域の描画を施すことを特徴とする請求項10に記載のネイルプリント装置の印刷方法。
    <請求項12>
    前記第1領域を、前記爪の前記一端側の縁と、前記中心線より前記一端側に前記爪の長さ方向に沿って前記爪の表面に設けられた第1境界線と、で囲まれた領域とし、
    前記第2領域は、前記爪の前記他端側の縁と、前記中心線より前記他端側に前記爪の長さ方向に沿って前記爪の表面に設けられた第2境界線と、で囲まれた領域とすることを特徴とする請求項8に記載のネイルプリント装置の印刷方法。
    <請求項13>
    更に、前記爪の表面の、前記載置面に対する傾斜角度を検出し、
    前記第1境界線及び前記第2境界線を、前記傾斜角度の前記爪の幅方向の値が所定の閾値である箇所に設けることを特徴とする請求項12に記載のネイルプリント装置の印刷方法。
    <請求項14>
    更に、前記爪の表面の、前記傾斜角度の前記爪の長さ方向の値が前記閾値以上である領域においても、前記描画方向規制処理を行うことを特徴とする請求項13に記載のネイルプリント装置の印刷方法。
    <請求項15>
    描画を施す爪の指が載置される平面状の載置面を有する指載置部と、
    前記載置面に載置された前記指の爪に接触して、前記爪に絵柄の描画を施す描画用具と、
    前記描画を施す際に、前記描画用具を前記絵柄に応じて移動させる駆動部と、
    前記駆動部を制御する制御部と、
    を備え、
    前記爪の表面は、前記爪の幅方向の一端側の第1領域と、前記爪の幅方向の他端側の第2領域と、前記第1領域と前記第2領域に挟まれた第3領域と、に分けられ、
    前記第1領域は、前記爪の前記一端側の縁を含んで、前記爪の湾曲形状に応じて前記爪の幅方向の中心を通る中心線より前記一端側に設けられた領域から第1特定領域を除いた領域であり、
    前記第2領域は、前記爪の前記他端側の縁を含んで、前記爪の湾曲形状に応じて前記中心線より前記他端側に設けられた領域から第2特定領域を除いた領域であり、
    前記第1特定領域及び前記第2特定領域は、前記絵柄における一繋がりの絵柄であって、前記描画用具の前記爪の幅方向の移動距離が所定の限度値以下である、特定の絵柄が描画される領域であり、
    前記制御部は、前記爪の表面の前記第1領域と前記第2領域とにおいて、前記描画用具を前記爪の前記載置面からの高さが低い方から高い方に向かって移動させない描画方向規制処理を行いながら描画を施し、前記第1特定領域及び前記第2特定領域における前記特定の絵柄の描画においては前記描画方向規制処理を行わずに、一繋がりに描画するように前記駆動部を制御することを特徴とするネイルプリント装置。
    <請求項16>
    平面状の載置面上に載置された指の爪に描画用具を接触させ、前記描画用具を絵柄に応じて移動させて、前記爪に前記絵柄の描画を施すネイルプリント装置の印刷方法において、
    前記指の爪の表面を、前記爪の幅方向の一端側の縁を含んで、前記爪の湾曲形状に応じて前記爪の幅方向の中心を通る中心線より前記一端側に設けられた領域から第1特定領域を除いた第1領域と、前記爪の幅方向の他端側の縁を含んで、前記爪の湾曲形状に応じて前記中心線より前記他端側に設けられた領域から第2特定領域を除いた2領域と、前記第1領域と前記第2領域に挟まれた第3領域と、に分け、
    前記第1特定領域及び前記第2特定領域を、前記絵柄における一繋がりの絵柄であって、前記描画用具の前記爪の幅方向の移動距離が所定の限度値以下である、特定の絵柄が描画される領域とし、
    前記爪の表面の前記第1領域と前記第2領域では、前記爪の前記載置面からの高さが低い方から高い方に向かって前記描画用具を移動させない描画方向規制処理を行いながら描画を施し、前記第1特定領域及び前記第2特定領域では、前記描画方向規制処理を行わずに前記特定の絵柄一繋がりに描画することを特徴とするネイルプリント装置の印刷方法。

    1 ネイルプリント装置40 描画部41 ペン42 描画ヘッド43 ペンキャリッジ46 X方向移動モータ48 Y方向移動モータ49 ヘッド駆動部50 撮影部80 制御装置81 制御部82 記憶部811 撮影制御部812 爪情報検出部812a 傾斜角度検出部815 描画制御部821 爪画像記憶領域822 爪情報記憶領域823 デザイン画像記憶領域T 爪U1 印刷指

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