【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、爪等の立体面に印刷を行なう印刷装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】近年、マニキュアに代わって、爪に先づ下地としてマニキュアを塗布し、その上に各種模様,図柄等の彩色を行なう、所謂ネイルアートが一般に広く利用されるようになってきている。 このようなネイルアートは、現在のところ、個人が自分で行なう場合にも、あるいは専門業者が行なう場合にも、手作業により行なわれている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このようなネイルアートは、手作業によるものであることから、手間や時間がかかると共に、コストが高くなってしまうという問題があった。 これに対して、パソコン等の周辺機器として使用されるプリンタは、印刷内容にかなりの自由度があり、ネイルアートのための模様,図柄等の彩色のためには、最適であるが、印刷媒体としては、 普通紙,はがき,シールや布地等の平面に限定されており、爪等の立体面に印刷することは不可能であった。 【0004】本発明は、以上の点に鑑み、爪等の立体面に印刷できるようにした印刷装置を提供することを目的としている。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記目的は、本発明によれば、固定配置される印刷すべき立体面の印刷領域の形状を測定するスキャナと、スキャナで測定された印刷領域の形状に基づいて、印刷すべき模様,図柄等のコンテンツを選定する制御手段と、上記制御手段により選定されたコンテンツを印刷領域に対して印刷するインクジェット式プリンタと、を含んでいることを特徴とする、立体面のための印刷装置により、達成される。 【0006】本発明による印刷装置は、好ましくは、上記印刷領域の形状及び上記制御手段により選定されたコンテンツを重ねて表示する表示手段を備えている。 【0007】本発明による印刷装置は、好ましくは、上記制御手段が、表示手段の画面に表示された印刷領域の形状に対応して、選定されたコンテンツを拡大または縮小し、あるいは縦または横方向に移動させる。 【0008】本発明による印刷装置は、好ましくは、上記スキャナ及びプリンタが、印刷すべき立体面の印刷領域に対して、交互に対向配置されまたは退避される。 【0009】本発明による印刷装置は、好ましくは、上記印刷すべき立体面が、爪または付け爪である。 【0010】上記構成によれば、先づスキャナにより爪または付け爪等の印刷すべき立体面の印刷領域の形状を測定して、制御手段が、この印刷領域の形状に基づいて、コンテンツを選定することにより、プリンタが上記印刷領域に対してコンテンツを印刷する。 この場合、プリンタは、インクジェット式プリンタであることから、 プリンタヘッドから印刷面まで間隙があっても、印刷が可能であることから、爪または付け爪等の湾曲した表面に対しても、確実に印刷が行なわれ得ることになる。 従って、複雑な模様,図柄等の場合にも、容易に且つ短時間で爪または付け爪等の立体面に対して、印刷が可能となり、所謂ネイルアートが手軽に行なわれ得ることになる。 【0011】上記印刷領域の形状及び上記制御手段により選定されたコンテンツを重ねて表示する表示手段を備えている場合には、使用者は、表示手段の画面に表示された爪または付け爪等の形状と、その上に印刷されるコンテンツを視認しながら、自分の気に入ったコンテンツを選択することができる。 【0012】上記制御手段が、表示手段の画面に表示された印刷領域の形状に対応して、選定されたコンテンツを拡大または縮小し、あるいは縦または横方向に移動させる場合には、使用者は、自分の気に入ったコンテンツを、爪または付け爪等の形状に合わせて、拡大または縮小し、あるいは縦または横方向に移動させることにより、コンテンツを自由にトリミングして任意の配置を行なうことができる。 【0013】上記スキャナ及びプリンタが、印刷すべき立体面の印刷領域に対して、交互に対向配置されまたは退避される場合には、印刷すべき立体面が固定されたままの状態で、この立体面の印刷領域に対して、スキャナによる形状の測定及びプリンタによる印刷が行なわれ得ることになる。 【0014】 【発明の実施の形態】以下、図面に示した実施形態に基づいて、本発明を詳細に説明する。 図1は、本発明を適用した立体面のための印刷装置の一実施形態を示している。 図1において、印刷装置10は、爪に対してコンテンツを印刷するための印刷装置であって、本体ケース1 1内に収容されたスキャナ12,プリンタ13,制御回路14,表示装置15,メモリ16及び固定具17を含んでいる。 【0015】上記スキャナ12は、接触式または非接触式の公知の構成のスキャナであって、後述する固定具1 7の挿入位置にて、固定具17の載置台17a上に固定された使用者の爪(印刷領域)の形状を読み取って、その大きさを測定するようになっている。 尚、上記スキャナ12は、固定具17の挿入位置にて使用者の爪に対向する使用位置と、一側に移動した退避位置との間を移動可能に支持されている。 【0016】上記プリンタ13は、インクジェットプリンタであって、固定具17の挿入位置にて、固定具17 の載置台17a上に固定された使用者の爪(印刷領域) に対して、印刷を行なうようになっている。 尚、上記プリンタ12は、固定具17の挿入位置にて使用者の爪に対向する使用位置と、他側(スキャナの退避位置とは反対側)に移動した退避位置との間を移動可能に支持されている。 【0017】上記制御回路14は、スキャナ12により測定された爪の形状に基づいて、例えばメモリ16に記憶された印刷すべきコンテンツ(各種模様,図柄等)を適宜に読み出して、後述するように表示装置15に表示させると共に、選定されたコンテンツをプリンタ13に送出する。 【0018】上記表示装置15は、図示の場合、CRT (陰極線管)であって、スキャナ12により測定された爪の形状と、制御回路14により選定されたコンテンツを重ねて表示するようになっている。 【0019】上記メモリ16は、複数種類のコンテンツを記憶しており、制御回路14からの読出指令に応じて、指定されたコンテンツを制御回路14に対して送出するようになっている。 尚、メモリ16としては、例えばフロッピーディスク,ハードディスクやCD−RO M、あるいはスマートメディアやコンパクトフラッシュ等の任意の記憶手段が使用され得る。 【0020】上記固定具17は、本体ケース11に対して図示の引出し位置から本体ケース11内に挿入された挿入位置まで、引出し可能に配設されており、使用者が手を載置するための載置台17aを備えている。 【0021】本発明実施形態による印刷装置10は、以上のように構成されており、爪に対して所望のコンテンツの印刷を行なう場合には、以下のようにして動作する。 先づ、使用者は、本体ケース11から引き出された固定具17の載置台17a上に手を載せて、固定具17 を矢印A方向に押し込むことにより、本体ケース11内に挿入する。 これにより、制御回路14は、スキャナ1 2を固定具17の載置台17a上の爪に対向するように移動させて、スキャナ12により当該爪の形状を測定する。 測定終了後、制御回路14は、スキャナ12を退避位置に移動させると共に、測定した爪の形状を表示装置15の画面に表示する。 【0022】ここで、使用者は、制御回路14により所望のコンテンツを選択する。 これにより、制御回路14 は、メモリ16から当該コンテンツのデータを読み出して、同様に表示装置15の画面に表示する。 この際、爪の形状とコンテンツは重ねて表示されるようになっている。 この際、使用者は、表示装置15の画面を見ながら、制御回路14を操作することにより、爪の形状に合わせて、コンテンツを拡大・縮小し、さらに縦方向または横方向に移動させることにより、爪の形状に最適なコンテンツを決定することが可能となる。 尚、制御回路1 4により、コンテンツの配色を変更できるようにしてもよい。 これにより、より多彩なコンテンツが得られることになる。 【0023】その後、制御回路14は、このようにして決定されたコンテンツをプリンタ13に送出すると共に、プリンタ13を退避位置から固定具17上の使用位置に移動させる。 これにより、プリンタ13は、固定具17の載置台17a上に固定された爪に対して、上記コンテンツの印刷を行なう。 この場合、プリンタ13は、 スキャナ12により測定された爪の形状の範囲内に印刷を行なうことにより、印刷が爪からはみだすようなことはない。 また、プリンタ13がインクジェット式プリンタであることから、間隔をあけた状態でも印刷可能であるので、湾曲した爪の表面に対しても確実にコンテンツの印刷が行なわれ得ることになる。 かくして、使用者は、表示装置15の画面にて、コンテンツを見ながら、 自分が気に入ったコンテンツを選択し、当該コンテンツを爪の形状に合わせて、拡大縮小または縦横の移動を行なうことにより、オリジナルのコンテンツを決定することが可能になると共に、容易に且つ短時間でコンテンツの印刷を行なうことが可能となる。 【0024】上記実施形態においては、表示装置15として、CRTが使用されているが、これに限らず、液晶表示装置等の任意の表示装置が使用され得ると共に、表示装置が省略されてもよい。 また、上記実施形態においては、固定具17の載置台17a上に手の指を載せて、 手の指に印刷を行なうようになっているが、これに限らず、足の指の場合にも、同様に印刷を行なうことが可能であると共に、付け爪の場合にも、固定具17の載置台17a上に付け爪を固定することによって、付け爪に印刷を行なうことも可能である。 【0025】さらに、上記実施形態においては、制御回路14は、本体ケース11内に内蔵されているが、これに限らず、パソコン等のコンピュータを使用することも可能である。 この場合、表示装置15及びメモリ16として、コンピュータに接続されたディスプレイ装置や補助記憶装置を利用することが可能となると共に、コンピュータ上で動作する各種アプリケーションによって、スキャナ12及びプリンタ13を動作させることが可能である。 【0026】 【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、先づスキャナにより爪または付け爪等の印刷すべき立体面の印刷領域の形状を測定して、制御手段が、この印刷領域の形状に基づいて、コンテンツを選定することにより、プリンタが上記印刷領域に対してコンテンツを印刷する。 この場合、プリンタは、インクジェット式プリンタであることから、プリンタヘッドから印刷面まで間隙があっても、印刷が可能であることから、爪または付け爪等の湾曲した表面に対しても、確実に印刷が行なわれ得ることになる。 従って、複雑な模様,図柄等の場合にも、容易に且つ短時間で爪または付け爪等の立体面に対して、印刷が可能となり、所謂ネイルアートが手軽に行なわれ得ることになる。 かくして、本発明によれば、爪等の立体面に印刷できるようにした、極めて優れた印刷装置が提供され得ることになる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明による立体面に印刷できる印刷装置の一実施形態の構成を示す概略斜視図である。 【符号の説明】 10 印刷装置 11 本体ケース 12 スキャナ 13 インクジェット式プリンタ 14 制御回路 15 表示装置 16 メモリ 17 固定具 17a 載置台 |