たばこ付着臭気改善用の香料組成物およびシガレット

申请号 JP2014503367 申请日 2012-03-07 公开(公告)号 JP5775962B2 公开(公告)日 2015-09-09
申请人 日本たばこ産業株式会社; 发明人 永江 英樹; 藤澤 仁紀; 秋山 慎太郎; 香川 慎二郎; 平地 圭;
摘要
权利要求

α−イオノン、β−イオノンおよびメチルイオノンからなる群より選択されるイオノンと、 他の香料成分と を含有する、たばこ付着臭気改善用の香料組成物であって、 前記他の香料成分がγ−デカラクトンのみからなり、前記γ−デカラクトンの含有率が70ないし80重量%であり、前記イオノンの含有率が20ないし30重量%である、香料組成物。請求項1に記載の香料組成物を担持したシガレット。たばこ刻みを巻紙で巻いたシガレットであって、前記巻紙は前記香料組成物が包接されたシクロデキストリンが塗工または噴霧されている、請求項2に記載のシガレット。シクロデキストリンに包接された前記香料組成物の巻紙への塗工量が100ppm以上200ppm以下である、請求項3に記載のシガレット。

说明书全文

本発明はたばこ付着臭気改善用の香料組成物およびそれを用いたシガレットに関する。

近年の悪臭や異臭に対する人々の関心の高まりにより、様々な消臭剤に関する技術が開発されている。衣類、布製品、髪の毛などに吸着して発生する「付着臭気」を消すことを目的とした消臭剤も種々開発されており、それら消臭剤の中には喫煙中の副流煙等により周囲に放出されるたばこ臭気が衣類、布製品、髪の毛などに吸着して発生する「たばこ付着臭気」を対象としたものも存在する(特開2007−77545号公報、特表平9−505500号公報、および特開2006−340785号公報参照)。しかし、これら消臭剤成分はシガレットに添加することを企図しておらず、これら成分をシガレットにそのまま添加して使用しようとすると、シガレットの燃焼の過程により成分が変質してしまうという問題が生ずる。また、これら成分をシガレットにそのまま添加して使用しようとすると、多量に添加することが必要となり、たばこ本来の香喫味を著しく損なうことになる。つまり、シガレットに添加して使用するたばこ付着臭気改善香料にあっては、ごく少量でたばこ付着臭気を改善する効果を示すことが求められる。

一方、従来から、たばこ副流煙臭気を低減する消臭剤が開発されている(特開2002−143285号公報、特開2002−143284号公報、特開2002−146386号公報、および特開2009−179711号公報参照)。さらには、たばこ副流煙臭気消臭用香料組成物であって、シガレットに添加して用いられるものも開発されている(特開2009−179708号公報および特開平11−124800号公報参照)。これら香料組成物は、たばこ臭気と混合しても、全体の臭いの強さを有意に増加させることなく(すなわち、たばこ本来の香喫味を損なうことなく)、たばこ副流煙臭気を効果的に消臭するものである。しかし、これら組成物はいずれもたばこ副流煙臭気を低減するための消臭剤であり、本発明のようなたばこ付着臭気の低減を想定したものではない。たばこ付着臭気は、上述のとおり衣類、布製品、髪の毛などに吸着した後に発生する臭気であるから、たばこ付着臭気改善香料にあっては、それらが衣類や髪の毛に吸着した後、脱着して発現する過程を考慮する必要があり、たばこ副流煙臭気を低減する香料組成物がたばこ付着臭気を低減する効果も同等に発揮するとは極めて考え難い。また、たばこ付着臭気に対して十分な改善効果を得るためには、衣類や髪の毛の単位面積当たりの消臭剤量を増やす必要がある。つまり、衣類や髪の毛に付着したたばこ臭気に対する隠蔽効果を得るためには、たばこ副流煙臭気を消臭するより遥かに大量の添加が必要となる。一方で、大量の香料の添加は上述したように、たばこ香喫味の阻害が懸念されるので、やはり、たばこ付着臭気改善香料にあっては、ごく少量で強いたばこ付着臭気改善効果を示すことが求められる。

ところで、香料組成物をシガレットに添加する場合にあっては、その添加方法も検討する必要がある。1つの代表的な方法として、シガレット巻紙に塗布することが提案される。巻紙に塗布することにより、香料組成物が副流煙を介して衣類や髪の毛に付着し、さらにその後脱着して機能を発現させることができる。しかし、臭気改善効果を示す香料組成物は、そのほとんどが常温で揮発性が高く、長期間にわたり十分な量の香料を巻紙上に保持しておくことが難しい。さらに、巻紙に添加された香料は、経時的にたばこ刻みや製品包装材料へ移行することが知られており、このことはたばこ香喫味に影響を与え得る。

こうした問題を解決するために、たばこ製品の製造および貯蔵条件下では安定で不揮発性であり、喫煙条件下では熱分解または脱着により芳香剤を放散するように修飾された香料が提案されている。例えば、特表平2−501075号公報または米国特許第4,804,002号明細書は、糖と芳香剤のアセタールとを含むグリコシドからなる香料を開示している。しかし、この技術では、喫煙時にグリコシドの熱分解生成物が煙中に混入し、たばこ香喫味を阻害するという問題点がある。また、この技術はグリコシドを調製することができない芳香剤には適用できないため、適用可能な芳香剤が限定される。また、特開平5−146285号公報または米国特許第5,144,964号明細書および特表平7−504080号公報または米国特許第5,479,949号明細書は、シクロデキストリンで香料を包接する技術を開示している。しかし、この技術においても、喫煙時にシクロデキストリンの熱分解生成物が煙中に混入し、たばこ香喫味を阻害するという問題点がある。また、シクロデキストリンによって包接可能な香料の量に限界があり、シクロデキストリンを巻紙に塗工できる量にもシガレット巻上時の機械適性という観点から限界があるので、結局、巻紙に香料を直接塗工する場合と比較して、少量の香料しか使用できないという問題点もある。従って、この技術を適用できる香料は、少量で十分なたばこ付着臭気低減効果を有するものに限られ、香料の種類が制限される。

以上述べたとおり、これまで、シガレットに添加された消臭剤により、衣類や髪の毛に付着したたばこ臭気を改善する方法や、課題そのものに触れた例もほとんど知られておらず、たばこ本来の香喫味を担保しながら、たばこ付着臭気に効果を持つ消臭剤は存在しなかった。

従って本発明の目的は、比較的少量の使用でたばこ付着臭気を改善することができ、たばこ本来の香喫味を損なわない香料組成物、およびそれを用いたシガレットを提供することにある。

本発明者らは、α−イオノン、β−イオノンおよびメチルイオノンからなる群より選択されるイオノンと、他の香料成分を混合すると、イオノンが他の香料成分の香気強度をエンハンスすることを見出した。また、これら香料組成物は、たばこ本来の香喫味を損なわず、シガレット巻上時の機械適性を下げない添加量で衣類や髪の毛に付着したたばこ付着臭気を十分に改善できることを見出した。さらに、他の香料成分としてγ−デカラクトンを用いると、特にエンハンス効果が大きくなることも見出した。

本発明の一態様によれば、α−イオノン、β−イオノンおよびメチルイオノンからなる群より選択されるイオノンと、他の香料成分とを含有する、たばこ付着臭気改善用の香料組成物が提供される。

本発明の香料組成物において、前記イオノンの含有率は10ないし50重量%であることが好ましく、20ないし30重量%であることがより好ましい。

本発明の香料組成物において、前記他の香料成分は、特に制限はなく、例えば、テルペン系アルデヒド類としてヒドロキシシトロネラール、テルペン系ケトン類としてピペリトン、テルペン系アルコール類としてシトロネロール、ゲラニオール、リナロール、ロジノール、α−テルピネオール、テルペン系エステル類として酢酸タービニル、脂肪族鎖状アルコール類としてジヒドロミルセノール、脂肪族鎖上アルデヒド類としてトランス−2−デセナール、脂肪族環状ケトン類としてジヒドロジャスモン酸メチル、エチマルトール、シス−ジャスモン、脂肪族エステル類として酢酸アニシル、酪酸ベンジル、ラウリン酸エチル、シクロヒキサンプロピオン酸アリル、脂肪族ラクトン類としてγ−ウンデカラクトン、γ−デカラクトン、γ−ノナラクトン、γ−オクタラクトン、スクラレオリド、ω−ペンタデカラクトン(15−ペンタデカノリド)、δ−ドデカラクトン、γ−ヘプタラクトン、脂肪族カルボン酸類としてミリスチン酸、芳香族アルデヒド類としてアニスアルデヒド、エチルバニリン、4−イソプロピルベンズアルデヒド、4−エチルベンズアルデヒド、シンナミックアルデヒド、4−エトキシベンズアルデヒド、リリーアルデヒド、芳香族ケトン類としてメチルアニサルアセトン、ラズベリーケトン、メチルβ−ナフチルケトン、芳香族アルコール類としてプロペニルグアエトール、芳香族エステル類としてギ酸アニシル、酪酸フェニルエチル、酢酸シンナミル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸4−メトキシベンジル、プロピオン酸シンナミル、アントラニル酸メチル、イソ酪酸フェニルエチル、サリチル酸メチル、桂皮酸メチル、桂皮酸エチル、芳香族エーテル類として4−プロピルアニソール、アネトール、芳香族ラクトン類として3−プロピリデンフタリド、芳香族カルボン酸類として3−フェニルプロピオン酸等が挙げられる。これら成分は、単独で使用することもできるし、所望により混合物の形態(調合香料)で使用することもできる。これら成分の中でも、ヒドロキシシトロネラール、シトロネロール、ゲラニオール、リナロール、ロジノール、ジヒドロミルセノール、トランス−2−デセナール、ジヒドロジャスモン酸メチル、酢酸アニシル、酪酸ベンジル、シクロヘキサンプロピオン酸アリル、γ−デカラクトン、γ−ノナラクトン、γ−オクタラクトン、ω−ペンタデカラクトン(15−ペンタデカノリド)、アニスアルデヒド、エチルバニリン、リリーアルデヒド、ラズベリーケトン、プロペニルグアエトール、ギ酸アニシル、酪酸フェニルエチル、酢酸シンナミル、プロピオン酸シンナミル、桂皮酸メチルおよび桂皮酸エチルからなる群より選択される1種以上であることが好ましい。特に、シトロネロール、ゲラニオール、ロジノール、酢酸アニシル、γ−デカラクトンおよびγ−ノナラクトン、プロペニルグアエトールおよびギ酸アニシルからなる群より選択される1種以上であることがより好ましい。

上記香料成分に代えて、あるいは上記香料成分と共に、これら成分を含有する天然香料を使用することもできる。このような天然香料としては例えば、シトロネラ油、ローズ油、ゼラニウム油、ローズゼラニウム油、ユーカリ油、ゼラニウムリーフ油、カシー油、パルマローザ油、レモングラス油、タイム油、キンモクセイ油、バジル油、ベルガモット油、ベルガモットローズ油、ボアドローズ油、カナンガ油、キャロットウィード油、チャンパカ油、クラリー・セージ油、コリアンダーシード油、芳油、ホウショウ、ジャスミン油、ラパンジン油、ラベンダー油、ラベンダーステム油、スパイクラベンダー油、マージョラム油、ナルシサス・アブソリュート、ネロリ油、オレンジ油、オレンジフラワー、ペチグレン油、スネークルート油、イラン・イラン油、カナンガ油、アルテミジア油、コリアンダー、コリアンダーシード、ダヴァナ、キャロットリーフ油、チャンパカ油、シスタス油、アセロラ油、スターフルーツ油、アニス油、フェンネル油、タジェット油、コリアンダー、ホウショウ、ナルシサス油等が挙げられる。

本発明の香料組成物において、前記他の香料成分がγ−デカラクトンのみから構成されるとき、前記γ−デカラクトンの含有率は70ないし80重量%であって、前記イオノンの含有率は20ないし30重量%であることが好ましい。

本発明の他の態様によれば、上記のたばこ付着臭気改善香料組成物を担持したシガレットが提供される。本発明のたばこ付着臭気改善香料組成物は、通常シガレットに香料を添加するいずれの工程においても添加することができる。たばこ材としては、葉たばこ(黄色種、バーレー種、オリエント種等)、シートたばこ等いずれのたばこ材も用いることができ、通常、これらたばこ材は、刻みの形態でシガレットに使用される。刻みは、膨化された形態にあってもよい。また、本発明のたばこ付着臭気改善香料組成物は、たばこ材、材料品(たばこフィルター等)のいずれの位置に添加されていてもよい。

本発明者らはさらに、イオノンを含む香料組成物をシクロデキストリンで包接すれば、シクロデキストリンの熱分解生成物による好ましくない香喫味を改善できることを見出した。したがって、本発明のシガレットは、たばこ刻みを巻紙で巻いたシガレットであって、前記巻紙は前記香料組成物が包接されたシクロデキストリンが塗工または噴霧されていることが好ましい。

本発明のシガレットにおいて、シクロデキストリンに包接された前記香料組成物の巻紙への塗工量は100ppm以上200ppm以下であることが好ましい。

前述したようにイオノンを含む香料組成物では、他の香料成分の香気をエンハンスする効果が得られる。したがって、シクロデキストリンに包接できる量では十分なマスキング効果を有さない香料組成物であっても、イオノンと併用することによって十分なマスキング効果を示すまでに香気がエンハンスされる。その結果、従来よりも使用できる香料の種類が増え、香質のバリエーションを増やすことが可能となる。

以下、本発明の実施形態を説明する。

試験1 イオノンによるシクロデキストリンの熱分解生成物の好ましくない香喫味の改善効果を検証した。

[シガレットの用意] 実施例1A:シクロデキストリン(CD)75重量部とβ−イオノン包接シクロデキストリン(BI包接CD)25重量部とを粉体で混合した。この混合粉体を、カルボキシメチルセルロースの6.0wt%溶液に対して16wt%になるように分散させ、分散液を調製した。廉井精機株式会社製のグラビアコーターを用いて、27mm幅の巻紙(P35)の中心部に7mm幅で分散液をグラビア塗工した。β−イオノンのシクロデキストリン包接率はGC−MSDにて分析した結果9.2%であり、巻紙へのβ−イオノンの塗工量は23.2ppm/本であった。調製した巻紙を用いて、実施例1Aのシガレット試料を作製した。シガレットには通常の市販シガレットを用いた。

実施例1Aのシガレット試料に対する対照として、比較例1A、1Bおよび1Cのシガレット試料を用意した。比較例1A、1Bおよび1Cのシガレット試料には、それぞれ、下記の巻紙を用いた。比較例1Bおよび1Cのシガレット試料に用いた巻紙は、上記と同様の方法で所定の分散液をグラビア塗工することによって調製した。調製した各々の巻紙を用いて、比較例1A、1Bおよび1Cのシガレット試料を作製した。シガレットには、実施例1Aと同一の市販シガレットを用いた。

比較例1A:無塗工 比較例1B:シクロデキストリン(CD)塗工 比較例1C:シクロデキストリン(CD)+γ−デカラクトン包接シクロデキストリン(DL包接CD)塗工 [香喫味評価] 作製したシガレット試料について社内の専門評価者3名による評点法で香喫味を評価した。評点は以下のとおりである。

1点=香喫味が非常に悪い、2点=香喫味が悪い、3点=香喫味がやや悪い、4点=香喫味がやや良い、5点=香喫味が良い、6点=香喫味が非常に良い。

各試料の評点は、3名の専門評価者の評点の算術平均値とした。評点は小数点一位まで算出した。表1に結果を示す。

表1から以下のことがわかる。無塗工の巻紙を用いた比較例1Aのシガレットと比較して、CDのみを塗工した巻紙を用いた比較例1Bのシガレットは、香喫味が阻害されている。CDおよびBI包接CDを塗工した巻紙を用いた実施例1Aのシガレットは、比較例1Bのシガレットに対して香喫味の改善効果があり、評点は比較例1Aのシガレットに近づいている。CDおよびDL包接CDを塗工した巻紙を用いた比較例1Cのシガレットは、比較例1Bのシガレットと比較して香喫味の改善効果を示さない。

β−イオノンの代わりに、α−イオノンまたはメチルイオノンを用いた場合にも、実施例1Aのシガレットと同様に、香喫味改善効果が認められた。

試験2 イオノンによる他の香料成分のエンハンス効果を検証した。この試験で用いた他の香料成分はγ−デカラクトンである。

[香料溶液の用意] 香料溶液として、γ−デカラクトン単独(DLのみ)、γ−デカラクトンおよびイオノンの混合組成物(I+DL)、またはイオノン単独(Iのみ)溶液を用意した。イオノンとして、α−イオノン、β−イオノン、またはメチルイオノンを用意した。各溶液におけるγ−デカラクトンおよびイオノンの配合割合は表2に示すとおりである。溶媒としてプロピレングリコール(PG)を用意した。γ−デカラクトン単独と、γ−デカラクトンおよびイオノンの混合組成物溶液については、スクリュー瓶に香料20μLとPG1000μLとを入れて香料のPG溶液を調製した。イオノン単独溶液の香料含有量は、γ−デカラクトンおよびイオノンの混合組成物のPG溶液における、イオノンの含有量に合わせた。

[官能評価] 社内の専門評価者3名が、調製した各香料溶液をにおい紙の先端につけて、香気強度を6段階評点法により評価した。γ−デカラクトン単独溶液と、γ−デカラクトンおよびイオノンの混合組成物溶液については、溶液中のγ−デカラクトンの香気強度を評価した。イオノン単独溶液については、イオノンの香気強度を評価した。評点は以下のとおりである。

1点=香気強度が非常に弱い、2点=香気強度が弱い、3点=香気強度がやや弱い、4点=香気強度がやや強い、5点=香気強度が強い、6点=香気強度が非常に強い。

各試料の評点は、3名の専門評価者の評点の算術平均値とした。評点は小数点一位まで算出した。表2に結果を示す。

表2から以下のことがわかる。γ−デカラクトン単独溶液の香気強度(3.2)と比較して、γ−デカラクトンおよびイオノンの混合組成物溶液ではいずれもγ−デカラクトンの香気強度がエンハンスされている。イオノンの配合量を増加させることによってγ−デカラクトンの配合量を減少させているにもかかわらず、感覚的にはγ−デカラクトンの香気強度が増加していることがわかる。γ−デカラクトン単独溶液(イオノン無添加)のγ−デカラクトンの香気強度に対して、評点差が大きいほどエンハンス効果が大きいと評価すると、γ−デカラクトンおよびイオノンの混合組成物溶液中のイオノンの含有率は10〜50wt%が好ましく、20〜30wt%がより好ましい。このような傾向は、α−イオノン、β−イオノンおよびメチルイオノンのいずれのイオノンを用いた場合についてもいえる。

一方、イオノン単独溶液の香気強度はいずれも評点で2.4以下であり、かなり弱かった。このことは、全体の香質を変化させることなく、すなわちγ−デカラクトンの香質を保ったまま、全体の香気強度を増加できることを示している。

試験3 たばこ付着臭気の改善効果を検証した。

[シガレットの用意] 表3および表4に示した配合割合の香料組成物(合計で100wt%)を用意した。シガレットは全て、実施例1Aと同一のものを用いた。

1.実施例3A−3Hおよび比較例3A−3D 各香料組成物をエタノールに溶解させた後、シリンジを用いてシガレットの巻紙の全面に塗工した。各香料組成物のエタノール溶液の塗工量は10μL/本とした。表3中の添加量(ppm)は、シガレット1本当り(たばこ刻み重量650mg)に対する香料の添加量を示している。例えば、添加量が150ppmである場合、香料組成物のエタノール溶液10μL中に、650mg×150ppm=97.5μgの香料組成物が溶解している。調製した巻紙を用いてシガレットを作製し、官能評価を行った。

2.実施例3I−3M 各香料組成物をシクロデキストリンに包接させた。試験1と同様に、香料包接シクロデキストリンを、カルボキシメチルセルロースの6.0wt%水溶液に分散させ、分散液を調製した。グラビアコーターを用いて、27mm幅のシガレット巻紙の中心部に7mm幅で分散液をグラビア塗工した。表2中の添加量(ppm)は香料組成物の添加量を表し、香料包接シクロデキストリンの添加量および各香料組成物の包接率から決定した。調製した巻紙を用いてシガレットを作製し、官能評価を行った。

[官能評価] 1)たばこ付着臭気の評価 シガレットを燃やしたときの煙を、ポリエステル、綿および髪の毛の各素材にそれぞれ付着させ、社内の専門評価者48名による一対比較法(ブラインド評価)により、たばこ付着臭気の評価を行った。詳細は以下のとおりである。

同じ容積を持つ一対の容器内にそれぞれ、ポリエステル(JIS規格のポリエステル、5×5cm片)、綿(JIS規格の綿かなきん3号、5×5cm片)、髪の毛(大阪ブラシ株式会社製、人毛黒毛100%)を吊るした。香料無塗工品と香料塗工品のシガレットをそれぞれの容器内で同体積燃焼したときの副流煙を、同容器内の素材にそれぞれ付着させた。シガレットを消火した後、香料無塗工品と香料塗工品を燃焼した各容器から素材を取り出し、それぞれの素材を3桁の数字を付したスクリュー瓶に入れた。専門評価者は、香料無塗工品/香料塗工品の一対の素材についてたばこ付着臭気を嗅ぎ比べ、たばこ付着臭気強度が弱い方を選択した。

試験した香料組成物がたばこ付着臭気を改善する機能性を有するか否かについて、香料無塗工品との間で2項検定(両側検定)を実施し、以下の基準で評価した。

良=信頼度95%以上の水準で有意差あり、可=信頼度90%以上の水準で有意差あり、不可=有意差なし。

2)全体の香気強度評価 社内の専門評価者3名による評点法で、たばこの煙が付着した各素材についてそれぞれ全体の香気強度の評価を行った。評点は以下のとおりである。

0点=香りがない、1点=香気強度が非常に弱い、2点=香気強度が弱い、3点=香気強度がやや弱い、4点=香気強度がやや強い、5点=香気強度が強い、6点=香気強度が非常に強い。

各素材の評点は3名の専門評価者の評点の算術平均値とした。評点は小数点一位まで算出した。

3)香喫味評価 作製したシガレット試料について社内の専門評価者3名による評点法で香喫味を評価した。評点は以下のとおりである。

1点=香喫味が非常に悪い、2点=香喫味が悪い、3点=香喫味がやや悪い、4点=香喫味がやや良い、5点=香喫味が良い、6点=香喫味が非常に良い。

各試料の評点は、3名の専門評価者の評点の算術平均値とした。評点は小数点一位まで算出した。

表3および表4に試験結果を示す。

表3に示した結果から以下のことがわかる。

実施例3Aと比較例3Aとの対比、実施例3Cと比較例3Bとの対比、実施例3Gと比較例3Cとの対比および実施例3Hと比較例3Dとの対比から、α−イオノン、β−イオノンおよびメチルイオノンのいずれかのイオノンを含む香料組成物はイオノンを含まない香料組成物と比較して、各素材におけるたばこ付着臭気を低減させる機能が著しく向上するとともに、全体の香気強度および香喫味の点でも良好であることがわかる。

さらに、イオノンと他の香料成分としてγ−デカラクトンとを含む香料組成物は、イオノンと他の香料成分としてγ−デカラクトン以外の香料成分とを含む香料組成物と比較して、各素材におけるたばこ付着臭気を低減させる機能が向上し、香気増強効果が大きくなることもわかる。たとえば、γ−デカラクトンを含まない実施例3Aの香料組成物は、ポリエステルへのたばこ付着臭気を低減させる機能は良好であるが、綿および髪の毛へのたばこ付着臭気を低減させる機能はやや低い。これに対して、γ−デカラクトンを含む実施例3B−3Gの香料組成物は、ポリエステル、綿および髪の毛のいずれの素材へのたばこ付着臭気も良好に低減させる。

また、γ−デカラクトンをいずれも含まない実施例3Aと比較例3Aとを対比すると、香気強度の増強割合は3.7÷2.4≒1.5倍である。これに対して、γ−デカラクトンをいずれも含む実施例3Eと比較例3Cとを対比すると、香気強度の増強割合は5.3÷2.7≒2.0倍である。このように、イオノンと他の香料成分としてγ−デカラクトンとを含む香料組成物は、イオノンと他の香料成分としてγ−デカラクトン以外の香料成分とを含む香料組成物と比較して香気増強効果が大きい。

また、香料組成物がイオノンとγ−デカラクトンのみから構成されるとき、γ−デカラクトンの含有率が70ないし80重量%であって、イオノンの含有率が20ないし30重量%であるとき、特に良好なたばこ付着臭気低減機能性、全体香気強度および香喫味を示す(実施例3E、実施例3G)。

なお、比較例3Cからわかるように、γ−デカラクトン単独ではたばこ付着臭気を低減する機能性は添加量が150ppmにおいては発現しない。

表4に示した結果から以下のことがわかる。

実施例3I−3Mのように、香料組成物をシクロデキストリンに包接して巻紙に塗工してシガレットを作製した場合にも、イオノンによる他の香料成分のエンハンス効果が得られるうえに、良好なたばこ付着臭気の低減機能、香喫味も得られる。

試験4 イオノンを含む香料組成物の好ましいシガレットへの塗工量について検証した。

[シガレットの用意] γ−デカラクトンとβ−イオノンをそれぞれシクロデキストリンに包接して巻紙に塗工したシガレット(DL−CD+BI−CD=75wt%+25wt%)を作製した。シガレットは全て、実施例1Aと同一のものを用いた。

γ−デカラクトン包接シクロデキストリン75重量部とβ−イオノン包接シクロデキストリン25重量部とを粉体で混合した。この混合粉体を、カルボキシメチルセルロースの6.0wt%水溶液に分散させた後、グラビアコーターを用いて27mm幅のシガレット巻紙の中心部に7mm幅でグラビア塗工した。塗工量の水準は表5に示したとおりである。目標とする塗工量になるように香料包接シクロデキストリンの濃度を調製した。調製した巻紙を用いてシガレットを作製し、シガレットへの巻上適性、たばこ付着臭気、および香喫味を評価した。

対照として、γ−デカラクトン包接シクロデキストリンのみを用いた以外は上記と同様にして、巻紙を調製し、調製した巻紙を用いてシガレット(DL−CDのみ)を作製し、シガレットへの巻上適性、たばこ付着臭気、および香喫味を評価した。

[シガレットへの巻上適性] シガレット製造担当者による評価を行った。調製した巻紙を使用して巻上機によりシガレットを作製した。シガレット40000本を連続的に作製した際の不良巻の発生頻度、巻上時のシクロデキストリンの飛散状況、巻紙通紙ローラーおよび巻紙接触部分へのシクロデキストリンの付着状況を観察し、総合的に適性を以下のように評価した。

良好:巻上良好、可:巻上可能、不可:巻上不可。

[官能評価] 1)たばこ付着臭気の評価 シガレットを燃やしたときの煙を、所定の素材にそれぞれ付着させ、社内の専門評価者12名による評点法により、たばこ付着臭気の評価を行った。評価する試料の作製法は上記試験3に同じとした。素材として、ポリエステル、綿、および髪の毛に加えて、ウール(JIS規格 ウール、5×5cm片)を用いた。専門評価者が各素材のたばこ付着臭気を嗅ぎ、どの程度のたばこ付着臭気の低減機能を示すかを評価した。専門評価者は、各素材についてそれぞれ評価を行った。評点は以下のとおりである。

1点=(たばこ付着臭気低減の)機能性を示さない、2点=やや機能性を示す、3点=機能性を示す、4点=強い機能性を示す。

各素材の評点は12名の専門評価者の評点の算術平均値とした。評点は小数点一位まで算出した。

2)香喫味評価 作製したシガレット試料について社内の専門評価者4名による評点法で香喫味を評価した。評点は以下のとおりである。

1点=(香喫味が)悪い、2点=受容できる、3点=やや良い、4点=良い。

各試料の評点は、3名の専門評価者の評点の算術平均値とした。評点は小数点一位まで算出した。

表5に試験結果を示す。

表5から、シガレットへの巻上適性、たばこ付着臭気低減機能性、および香喫味を満足する香料組成物の好ましい塗工量は100ppm以上200ppm以下であることがわかる。

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