Plant extracts with solvent |
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申请号 | JP2007516843 | 申请日 | 2005-06-21 | 公开(公告)号 | JP2008503617A | 公开(公告)日 | 2008-02-07 |
申请人 | アヴェダ コーポレーション; | 发明人 | カプスナー,ティモシー; エー シャース,ナディム; ハシェム,アラー; マトレイヴァーズ,ピーター; 紘一 塩沢; | ||||
摘要 | 本発明は、石油化学製品を含まない香気成分の製造方法であって、酢酸エチルのような揮発性エステルで、 植物 材料から香気成分を抽出することを含む、上記方法に関する。 本方法は、独特の固形物、ワックスおよび精製物を製造し、これらは、あらゆる種類の香料含有組成物に有用であり、このような組成物は、石油化学製品を含まないため、オーガニック認定可能である。 | ||||||
权利要求 | 植物材料から香気成分を抽出する方法であって、以下の工程: 香気成分を含む植物材料と揮発性エステルとを、前記香気成分を植物材料から前記エステルに移動させるのに十分な時間接触させ、植物材料から香気成分を含むエステルを分離し、エステルを蒸発させてワックスと香気成分を含む固形物画分を製造し;場合により、前記固形物を少なくとも1回アルコール洗浄し、この洗浄液を冷却してワックス画分から香気成分を含むアルコール溶解性画分を分離し、前記アルコール溶解性画分からワックス画分を単離して、前記アルコール溶解性画分からアルコールを蒸発させることにより精製物画分を製造する; ことを含む前記方法。 前記植物材料と揮発性溶剤の接触時間が30分以下である請求項1に記載の方法。 前記植物材料を揮発性溶剤ともう一度接触させ、香気成分を含むエステルを植物材料から分離する請求項1に記載の方法。 前記固形物をアルコールで洗浄し、ワックス画分およびアルコール溶解性画分を製造する請求項1に記載の方法。 前記アルコールがエタノールである請求項4に記載の方法。 前記アルコール溶解性画分からワックス画分を分離する請求項4に記載の方法。 前記アルコール溶解性画分からアルコールを蒸発させることにより精製物画分を製造する請求項6に記載の方法。 前記エステルが、式:CH 3 COOR(式中、Rは、CH 3 、C 2 H 5 、C 3 H 7 、C 4 H 9もしくはC 5 H 11である)を有する請求項1に記載の方法。 前記エステルが酢酸エチルである請求項1に記載の方法。 請求項1に記載の方法により製造される固形物。 請求項6に記載の方法により製造されるワックス。 請求項7に記載の方法により製造される精製物。 前記植物材料が、果物、小果実、花、葉、茎、小枝、樹皮、樹木、芽、種子、根および莢からなる群の少なくとも1つから選択される請求項1に記載の方法。 前記植物材料が花である請求項1に記載の方法。 前記花が、バラ、ジャスミン、オレンジ花、カーネーション、ゼラニウム、ネムリグサ、チュベローズ、スミレ、ラベンダー、ライラック、スイカズラ、ブルーカモミール、ランおよびスズランから選択される請求項14に記載の方法。 請求項10に記載の固形物を含む香料含有組成物。 請求項11に記載のワックスを含む香料含有組成物。 請求項12に記載の精製物を含む香料含有組成物。 局所に許容される担体と一緒に、請求項1に記載の方法に従い製造した精製物、ワックスもしくは固形物の少なくとも1つを含む、局所適用組成物。 オーガニック認定可能な香料含有組成物。 |
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说明书全文 | 本発明は、天然香気成分の製造方法、ならびにこれらの方法により製造される香気成分に関する。 異性に対する誘引物質として人間が香料を用いるのは、何百年にもわたって知られており、現代では、市場で入手可能な様々な香料が何年も前から急速に成長している。 今や香料は個人だけではなく、個人の住居または会社の環境においても、なくてはならないものとなっている。 個人の気分を特定の香料にさらすことで変えたり、あるいは改善したりすることができるという概念はかなり前からあり、近年では、このような香料の心理学的力を確認する科学的な試験まで行なわれている。 一般に、香料工業では、天然の香気の方が合成のものより好ましいことが認識されている。 多くの場合、本来の供給源の香気を再現する目的で、化学的分析により、香気、例えば、イチゴまたはバラをその構成成分に分解し、次に、これらの成分の1つ以上を合成により調製することが可能である。 しかし、こうして得られた合成製品は、本来の天然製品の「エッセンス」が欠如していることが多く、通常、天然供給源と比べて品質が劣ると考えられている。 残念なことに、天然供給源からの香気化合物の調製は簡単ではなく、非常に費用がかかり、それ自体では最適な品質の製品が常に得られるとは限らない。 天然の香気は、典型的には、植物抽出物から得られる。 植物材料の香気成分の大部分は、油または油溶性である。 これらは、様々な方法で単離することができる。 第1の方法は、水蒸気蒸留であり、これは、植物を熱水または蒸気に暴露し、精油と呼ばれる液体を残すという旧式の方法である。 この方法は、石油化学製品を使用しない点では、好ましいものであるが、あらゆる種類の植物材料から精油を抽出するのに有用であるわけではないため、ある程度制約がある。 特に、花の香気成分は加工により変化する傾向があるため、香気成分として極めて需要が高いと考えられる花の精油はこの方法ではほとんど調製することができない。 植物材料から香気成分を取得する第2の方法は、溶剤抽出である。 この方法は、典型的に、ベンゼン、トルエンもしくはヘキサンのような無極性の石油化学(炭化水素)系溶剤を用いて、植物からワックス様で、かつ香気を有する物質を溶解させる。 次に、溶剤を蒸発により除去することにより、「固形物(concrete)」として知られる固体または半固体の物質を残す。 続いて、この固形物をエタノールで洗浄することにより、エタノール溶性成分を溶解させ、冷却した後、ワックスを濾過により除去することができる。 次に、エタノールを減圧下で蒸発させると、「精製物(absolute)」として知られる材料が残る。 これら3つの成分、すなわち、ワックス、固形物および精製物はすべて、香料工業で広く用いられている。 この方法の制限は、石油化学系溶剤の使用にある。 というのは、多くのパーヒューマー、特にアロマセラピー業者は、石油化学系溶剤残留物があるために、これらの製品を使用したがらない。 また、このような残留物は、オーガニック認定が望ましい状況においてそのような認定の妨げとなりうる。 天然香気成分を取得する別の方法は、圧搾として知られ、この方法では、香気成分を植物源から圧搾する、または絞り出す。 この方法は、レモン、ライムもしくはオレンジのようなカンキツ属果物の皮から天然油を取得するのによく用いられる。 しかし、極めて多種の望ましい香気成分の供給源である繊細な花部分への適用には実用的ではない。 香気成分を抽出する新しい方法は、超臨界二酸化炭素法である。 これは、超臨界段階に達するまでCO 2を加熱および加圧し、これを溶剤として用いるものである。 この方法は、抽出物から容易に取り出せる(簡単に蒸発する)という利点があるが、葉や花などの新鮮な植物材料に含まれる水は、その溶解力に干渉し、加工を非効率的にするため、低品質の抽出物しか得られない。 従って、香料工業における現状は、オーガニック認定できる様々な花の香気精製物を製造することができる、現在利用可能な方法がないことであると言える。 しかし、本発明は、独特の香気と化学的組成物を有する香気成分と共に、極めて有用な方法を提供する。 本発明は、植物材料から香気成分を抽出する方法であって、以下の工程を含む、上記方法に関する:香気成分を含む植物材料を、揮発性エステル、好ましくは、一般式:CH 3 COOR(式中、Rは、CH 3 、C 2 H 5 、C 3 H 7 、C 4 H 9もしくはC 5 H 11である)のエステルと、該香気成分を該エステルに移動させるのに十分な時間、接触させ;植物材料とエステルを分離し;エステルを蒸発させることにより、香気成分を含む固形物を製造し;場合により、該固形物を少なくとも1回アルコール洗浄剤と接触させ、この洗浄液を冷却することにより、ワックス画分からアルコール溶解性画分を分離し、アルコール溶解性画分からワックス画分を単離し、アルコール溶解性画分からアルコールを蒸発させることにより、精製物画分を製造する。 本発明はまた、この方法により製造される新規の香気固形物、ワックスおよび精製物成分も提供する。 本発明は、香気成分を製造する新規の溶剤抽出手段を提供する。 現在用いられている溶剤抽出とは違って、本発明は、その溶剤として、有機エステル、特に揮発性有機エステルを使用する。 本明細書において、揮発物とは、約130℃以下の沸点を有するエステルを意味する。 本発明の目的に有用なエステルは、式:CH 3 COOR(式中、Rは、CH 3 、C 2 H 5 、C 3 H 7 、C 4 H 9もしくはC 5 H 11である)で表される。 この目的のために特に好ましいエステルは、その揮発性が高いことから、酢酸エチル(この方法に用いられる従来の溶剤と同様に、沸点が約77℃)である。 しかし、これより沸点が高い前記式の他のエステル、例えば、酢酸イソブチルでも同じ結果が得られるが、溶剤を除去するのにいく分大きな努力を要し、加工中に一部のトップノートを消失してしまう危険性がある。 酢酸エチルは、言うまでもなく、生物学的に活性の材料(タンパク質、多糖など)を単離するために、植物の抽出物を調製するのによく用いられている周知の溶剤であるが、本発明者らの知る限り、これまで香気成分の単離に用いられたことはなかった。 実際に、塊状の香気成分が一般に油性または無極性の特徴をしているため、これらの材料を植物から抽出するのに酢酸エチルのような極性溶剤を用いるのは何か違和感がある。 しかし、これによって無極性溶剤抽出と同じ典型的な香気材料の画分が効率的に得られるだけではなく、意外にも、従来のヘキサン抽出で達成されるものより実質的に高い(2〜3倍)収率ももたらされる。 さらに重要なことには、こうして得られる画分は、ヘキサン、トルエンもしくはベンゼン抽出で得られたものとは非常に異なる特徴をしており、異なる物性を有し、全体的に香気が強く、石油化学系溶剤抽出で得られた同じ画分とは異なる臭気プロフィールを有する。 特に有利なのは、この方法により製造した抽出物がオーガニック認定できる(organically certifiable)ことである。 酢酸エチルは、2種の天然物質、すなわち、エチルアルコールと酢の反応により取得可能な有機酸エステルである。 従って、この方法で単離した香気成分は、不要な石油化学系残留物を含まない。 これらの残留物は、特定の香料工業部門には不要な固形物、ワックスもしくは精製物など、市販されている他の物質を生成し、さらにオーガニック認定も不可能にする。 植物材料抽出の本方法は比較的簡単である。 まず、目的の香気成分を含むことがわかっている植物材料を収集する。 これらは、植物のどの部分(例えば、花、茎、葉、もしくは根)でもよい。 葉や花のような多孔性植物材料は、そのままか、または粉砕して用いることができるが、堅果または種子のような非多孔性植物材料は抽出の前に粉砕しなければならない。 次に、植物材料をエステル溶剤に浸漬し、短時間(15秒ほどの短い時間であるが、典型的には5〜10分以下)一緒に滞留させる。 30〜60分のように滞留時間が長くなると(ヘキサンを用いる方法では典型的である)、特定の精油のような他の香気成分とは不適合となりうる材料の抽出が起こる。 上記洗浄では、溶剤と植物材料との比は重要ではなく、植物材料を浸すのに十分であればよい。 しかし、一例として、花のような比較的軽い材料を用いる場合、植物材料1キログラム当たり約3キログラムの溶剤を用いれば、良好な結果が得られる。 この比は、供給源材料の密度に応じて変動しうるため、非常に密度の高い材料では、使用する溶剤を減らし、軽い材料であれば、使用する溶剤を増やすことができる。 一般に、溶剤の使用量が多いほど、多くの材料を高速で抽出することができる。 しかし、工程の終了時に溶剤を除去することができさえすればいいので、これらの量に重要性はない。 浸漬後、混合物の溶剤画分および植物画分を分離する。 驚くことに、ヘキサン抽出とは違い、前述したように、非常に短い一回の暴露で多量の香気材料を抽出することができ、許容可能な収率を達成するためにそれ以上の洗浄は必要ない。 しかし、所望であれば、植物画分を第2の溶剤洗浄剤(今回は約2:1の溶剤:植物比で)にやはり5分以下の時間、暴露し、2つの画分を分離することも可能である。 場合により、植物材料の3回目の洗浄をやや長い時間(例えば、少なくとも約10分)約1:1の溶剤:植物比で実施する。 複数回の洗浄を実施する場合には、続く工程のためにこれらを組み合わせてもよい。 しかし、最初の洗浄で極めて多量の香気材料が抽出されるため、通常、複数回洗浄しても収率にそれほど有意な増加があるわけではないことを留意すべきである。 洗浄後、植物材料を廃棄し、洗浄液から溶剤を蒸発させて、固形物を残す。 固形物は、ワックスと香気材料の混合物であり、これはそのまま(ただし、ワックスはすべて、固形物または残った抽出物からさらに精製することができる)、化粧品、例えば、口紅または化粧水として使用することができるが、その際、物性(例えば、粘性または構造)を改変するのに他のワックスを用いるのと同じ様式で使用でき、しかも同時に香気をもたらす利点が加わる。 別の実施形態では、得られた固形物の全部または一部を、アルコールで少なくとも1回洗浄し、冷却および濾過によりさらに処理して、精製物とワックス画分に分離することもできる。 1回の洗浄で香気材料の有意な部分を抽出することができるが、通常、複数回(好ましくは2回以上)の洗浄で、分離の効率を高めることができる。 エタノールはこの段階に好ましいアルコールであるが、アルコールは、完成品の化粧品および/または香料最終用途と適合すれば、どんな一価または多価アルコール、例えば、イソプロパノール、もしくはプロピレングリコールでもよい。 用いるアルコールは、比較的揮発性が高いのが好ましいが、意図する最終用途のために溶剤の蒸発が不可欠でない場合には、不揮発性溶剤(例えば、グリセリンなど)を用いてもよく、その際、不揮発性材料が最終精製物を有意に希釈することを理解した上で用いる。 洗浄後の冷却工程により、ワックス画分からの分離が起こり、次に、例えば、濾過によりこれをアルコール洗浄液から分離することができる。 こうして得られたアルコール画分を蒸発させることにより、精製物を製造した後、これを場合により濾過して、残ったわずかな固形分をすべて除去することもできる。 この洗浄工程の手順の一例として、固形物1部に対し10部の度数200(200 proof)のアルコールを添加するものがある。 この混合物をプロペラ混合物と一緒に室温で約1時間混合した後、これを低速で混合しながら−30℃に冷却する。 透明になるまで混合物を濾過する。 固体抽出物を混合容器に戻し、さらにアルコール(典型的には、固体抽出物1部に対し約8部のアルコール)を添加する。 混合、冷却および濾過工程を繰り返した後、3回目の洗浄(固体抽出物1部に対し約6部のアルコール)を実施する。 当業者であれば、前記手順の条件は必ずしも重要ではなく、例えば、溶剤中の滞留時間、溶剤と材料の比、洗浄回数などについては変更が可能であり、変更により、最終収率に差が生じうるが、それでも手順の終了時に得られる製品が品質的に類似していることは容易に認識されよう。 得られる画分、すなわち、固形物、ワックスおよび精製物は、既述したように、意外にも、同じ材料の対応する石油化学系溶剤抽出物とは化学的に異なるものである。 パーヒューマーによる精製物の香気品質に関する最初の試験により、ヘキサンから得た抽出物と酢酸エチルから得た抽出物との間には品質に極めて大きな相違があることが明らかにされた。 これは、恐らく、抽出物の組成にも化学的相違があることを示唆している。 この仮定を確かめるために、2種類の抽出物をGC/MS分析に付した。 数種の花抽出物で繰り返して得られた結果は、実際に、ヘキサン抽出物の化学的成分が、酢酸エチル抽出物とは有意に異なることを証明していた。 これらの相違は、両者に共通して存在する成分の比率、ならびに各々における成分の全体的同一性の両方で認められる。 例えば、ジャスミン抽出物では、2つの抽出物において合計60の成分が認められ、そのうち7つだけが両抽出物に認められるが、共通に認められる成分の場合でさえ、はるかに違う量で存在する。 これらの実験のさらに詳細な分析を以下の実施例3に記載する。 もう一つの試験は、本発明の方法で調製した精製物は、対応する石油化学製品により単離した精製物と比較して、典型的にインドール含量が低いことを証明するものである。 これは、香料のインドール部分は「獣的含有物(animalic content)」とも呼ばれ、高品質なフローラルには特に望ましくない特徴を香料にもたらすものである。 さらに、同様の試験から、ヘキサン抽出物の方が高い酢酸ベンジルを含むことがわかった。 上記以外の相違点は、本抽出方法で得られたワックスの濃度が、ヘキサン抽出物に認められるものより有意に高いことである。 ワックス自体が、精製物とは別の化粧品用途(すなわち、ワックスが通常用いられる化粧品または医薬用途)を有するため、これは、工程の効率をさらに高めることになる。 さらに、得られるワックスの特徴も異なる。 すなわち、酢酸エチル方法により製造したワックスは、典型的ヘキサン方法によるワックスよりも一般に色が濃く、しかも香気が強い。 従って、試験した結果から、本方法から得られる画分の各々が独特の生成物であり、従来の石油化学製品による抽出方法で得られる対応画分とは化学的に異なることが確認された。 抽出のための植物供給源は、香気成分の供給源として有用であればどんな種類の植物でもよい。 このようなものとして、例えば、以下のものが挙げられる:果物(イチゴ、リンゴ、メロン、レモン、ライム、オレンジ、およびグレープフルーツ)、薬草または葉(例えば、トマト、バジル、パチョリ、カンキツ属、セージ、スミレ、ローズマリーもしくは乾草)、種子(例えば、コリアンダー、ヒメウイキョウ、ココア、トンカマメ、ナツメグ、メース、カーダモンおよびアニス)、香辛料(シキミ、コショウ、オールスパイス)、樹木(例えば、シラカバ、ヒマラヤスギ、ビャクダン、ビャクシン、カラマツおよびマツ)、樹皮(例えば、シナモン)、根(例えば、ショウガ、ベチベルソウもしくはイリス)ならびに花。 しかし、花から良質の精油を得るのは一般に困難であることと、フローラル成分に対する需要が非常に高いこと、ならびにそれには高い費用がかかることから、花に用いれば特に有利である。 精油は、通常、植物材料の水蒸気蒸留により得られる油として定義される。 ペパーミント、ビャクダン、バジル、およびバラ油はすべて、水蒸気蒸留により得られる精油であり;場合によっては、すべてではないが、バラは顕著な例外である。 精油は特定の植物の最も濃厚で複雑な、従って、最も重要な香気成分である。 しかし、多くの花は、水蒸気蒸留により精油が得られない。 このような花のうち、恐らくジャスミンが最もよく知られている花であろう。 ジャスミン花を水蒸気蒸留しようとする試みでは、およそ花とは呼べない匂いのする凝縮水が得られるだけで、そこに精油は全く含まれていない。 ジャスミン花から香気を得る唯一の方法は、溶剤を用いて抽出することであるが、溶剤はこれまで常に石油化学系であったため、一部の顧客に許容されなかった。 有利なことに、本発明は、石油化学系溶剤を用いることなく、特定の植物供給源から精油を得ることができる手段を初めて提供する。 さらなる利点として、本発明は、特定の画分の収率を高める。 同等の抽出で、固形物の収率は、ヘキサン固形物に比べて酢酸エチル固形物の方が有意に高い(以下の実施例2を参照のこと)。 香気精製物の収率については、酢酸エチル方法はヘキサン方法とほぼ同じであるため、固形物の量の増加は、酢酸エチルにより抽出されるワックスの量の増加を意味している。 これは、ワックスは一般に無極性であるため、極めて予想外のことであり、また、本方法は、石油化学系溶剤よりも極性の高い溶剤を用いて、しかもより短い溶剤滞留時間で、より多くのワックスを抽出することができる。 加えて、この結果を達成するための加工コストは、ヘキサンを用いた場合にかかるコストと実質的に同じであるため、結果的に、最終製品のコストを低減している。 しかし、恐らくより重要なことは、本発明が、オーガニック認定可能なフローラル香気を取得する手段をも提供することであり、これは、水蒸気蒸留が花香油に損傷作用を及ぼすために、これまで多量の花材料を用いても達成不可能なことであった。 このような香気成分の天然に近い性質は、パーヒューマーおよびアロマセラピー業者の両者にとって重要な特徴になりうると同時に、製品の最終顧客による香気の享受を高めるものであろう。 人気の高い香気成分の供給源であり、本抽出方法で有用な花の例として、限定するものではないが、バラ、ジャスミン、オレンジ花、カーネーション、ゼラニウム、ネムリグサ、チュベローズ、スミレ、ラベンダー、ライラック、スイカズラ、ブルーカモミール、ランおよびスズランが挙げられる。 本方法は、花または花部分から香気成分を単離するのに特に重要であるが、揮発性エステルに可溶性の香気またはワックス成分を含むあらゆる植物材料と一緒に使用できることも理解されよう。 他の有用な植物供給源の例として、木、低木、薬草および野菜が挙げられ、また、抽出に用いる植物部分はどの植物部分でもよく、限定するものではないが、果物、小果実、葉、茎、小枝、樹皮、樹木、芽、種子、根および莢などが挙げられる。 香気成分の天然の供給源は、例えば、Perfumery, Practice and Principles, CalkinおよびJellinek (1994)、またはPerfumery and Flavoring Materials, Bedoukian(1995)に記載されており、これら各文献の内容は参照として本明細書に組み込むものとする。 本方法により製造した固形物、精製物およびワックスは、多くの方法で香料含有製品に用いることができる。 これらは各々単独でも、互いに組み合わせて用いても、あるいは、意図する最終用途に適した1以上の成分と(例えば、化粧品および医薬用途では、局所に許容される担体と)組み合わせて用いてもよい。 上記成分を用いることができる製品の例を以下に挙げる:香水、コロン、香料含有ボディースプレーおよびスプラッシュのような身だしなみ製品;シャンプー、コンディショナー、整髪ジェル、ヘアスプレーなど、髪に用いる製品;化粧クリーム、化粧水、乳液、スティック、グロス、ジェルおよびパウダーなど、皮膚に用いる製品;あるいは、口紅、リップクロス、ファンデーション、頬紅、アイシャドー、アイライナーもしくはマスカラのような彩色化粧品;キャンドル、ルームスプレー、芳香拡散剤、ワックスタルト、香などの家庭用芳香剤;ならびに、香料含有マッサージオイルのようなアロマセラピー製品。 このような製品の製造は当業者には周知であり、例えば、化粧品および医薬組成物の調製は、Harry's Cosmeticology、第8版、M. Reiger編(2000)、およびRemington: The Science and Practice of Pharmacy、第20版、A. Gennaro編(2003)に記載されており、これら各文献の内容は参照として本明細書に組み込むものとする。 本発明により製造した成分は、従来の方法で製造した成分に代わり、上記タイプのあらゆる製剤に容易に用いることができる。 当業者は、本発明により製造した香気成分の上記以外の用途を容易に認識すると共に、従来の香気成分を使用可能なあらゆる状況で、本発明の香気成分を使用できることも認識するであろう。 以下の非制限的実施例により、本発明をさらに詳しく説明する。 実施例1:本実施例はジャスミン花の香気成分の調製について説明する 次に、抽出物をステンレス鋼ジャケット付きタンクに移し、抽出物1部当たり10部の度数200のアルコールを添加することにより、ワックスから香気成分を分離することができる。 上記成分をプロペラミキサーで室温にて1時間混合した後、低速で混合しながら−30℃まで冷却する。 抽出物を濾過して透明にする。 フィルターから回収した固体抽出物をタンクに戻し、固体抽出物1部当たり8部のアルコールを添加する。 混合、冷却および濾過を繰り返す。 次に、抽出物1部当たり6部のアルコールで3回目の洗浄を実施する。 アルコール洗浄液を真空蒸留ユニット内に配置し、40〜55℃に温める。 中程度の真空(20〜100 mmHg)を加えることにより、アルコールを除去する。 最終香気性酢酸エチル精製物は、アルコールの除去後に残った、濃い茶色のペースト状物質であり、残りの固体抽出物は、ワックス画分の形態をしている。 実施例2: 1キロのジャスミン花を実施例1の方法により酢酸エチルで抽出することにより、約6グラムの固形物を製造するが、この方法で抽出すると、ヘキサン方法と比較して、多量の固形物が高レベルのワックスを呈している。 次に、実施例1と同様に固形物をエタノールでさらに抽出すると、約1.2グラムの精製物が得られ、残りはワックスであった。 実施例3:本実施例は、ヘキサン抽出および酢酸エチル抽出精製物の量および品質の違いについて説明する これらの品質に関する試験の後、各抽出により製造した精製物の量の差に関する評価を実施する。 ガスクロマトグラフィー/質量分析法により比較を実施する。 設備は、J&W製のHP1WS(ノニオン)カラムを備えるAgilent 6890N GCと、Agilent 5973質量分析計からなる。 50℃から250℃まで毎分4℃の温度傾斜でランを実施する。 同じ畑から摘み、同時に収穫したジャスミン花をヘキサンおよびエタノールまたは酢酸エチルとエタノールで抽出した。 GC/MS分析により、同定および定量できる60種の化合物をみいだした。 これらのうち、両精製物に存在したのは7種しかなく、他の54種は一方の精製物には存在するが他方には存在しなかった。 両抽出物に共通する7種の化合物(酢酸ベンジル、安息香酸ベンジル、ベンジンダン-1,2,2-トリオン2-オキシム、イソフィトール、パルミチン酸、フィトールおよびフタル酸ジオクチル)はすべて、2つの材料において有意に異なる濃度で存在する。 例えば、酢酸ベンジルはヘキサン精製物では16.99%だが、酢酸エチルには0.98%しか認められない。 安息香酸塩(多くの花精油に共通するもう一つの化合物)は、ヘキサン精製物には12.6%認められるが、酢酸エチルには0.46%しかない。 34種の化合物がヘキサン精製物だけに認められ、20種の化合物が酢酸エチルだけに認められた。 オレンジ花精製物の比較も同様の結果を示す。 58種の化合物を同定した。 18種は両精製物に存在し、34種がヘキサン精製物だけに、また5種が酢酸エチル精製物だけに認められた。 スミレの葉抽出物はさらに顕著な相違を示した。 抽出物に認められる15種の化合物のうち、1種だけ(オクタデカジエン酸)が両者に存在した。 8種の化合物はヘキサン精製物にだけ、また6種が酢酸エチル精製物にだけ存在した。 これらの結果は、品質に関する香気プロフィールに認められる著しい相違を説明するものであると共に、2つの異なる抽出方法による生成物が化学的に異なる実体であることを明白に示している。 |