【0001】 本発明は、消化障害と共に、消化障害によって起こる疾患及び障害を治療及び防止するための医薬組成物及びその製法に関する。 【0002】 先進工業国では、最も一般的な疾患として、消化障害が挙げられるが、このような消化障害は、消化器系の機能的疾患(胃炎又は非潰瘍性消化不良、大腸炎又は過敏性腸疾患、胆道障害又はディスケンシス(dyskensis)等)である。 消化管の機能的疾患が、しばしば、器質性疾患(例えば、胃十二指腸潰瘍、憩室症及びガン)の先に起こり又はこれら器質性疾患の原因となるとの証拠は多数存在する。 さらに、消化障害は、しばしば、例えば、精神障害(不安症、うつ病、パニック障害又いわゆる心身症)、神経変性疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病、加齢によって起こる網膜疾患)、心循環器疾患(例えば、アテローム性動脈硬化症及び同様の疾患)又は骨及び筋肉系の変性疾患(例えば、変形性関節症)と共に、免疫及び内分泌疾患の如き他の疾患に関連する。 消化障害の原因及び消化障害と神経−免疫−内分泌疾患との相関は、充分には解明されていない。 その結果、上記の疾患の治療には、症候学的方法が使用されており、食事療法自体又は抗うつ−鎮静治療及び究極的には鎮痙−鎮痛又は抗炎症治療と組み合わされた食事療法が最も適切である。 これらの方法の欠点は、消化障害に罹った患者が、これらの経口投与される薬物の多くに耐えられないことである(Drossman, D.A.(編集主任), 機能的胃腸疾患, 第2版, Degnon Ass., McLean, (2000))。 【0003】 ある種の状態又は胆石の治療では、胆汁代用物として、動物性胆汁エキス及び胆汁酸又はその塩が使用されている。 しかし、これらは、予期しない副作用(例えば、下痢、トランスアミナーゼ値の変更、さらに肝臓の損傷)を生じうる。 異なるバイオフラボノイド含有植物エキスの従来のいくつかの混合物が、消化障害を改善するために使用されることは知られている。 しかし、このような植物エキスは、臨床面での上記疾患の治療に適用される際には、症候学的な、弱くかつ一時的な効果を示すのみである。 【0004】 本発明の目標は、公知の胆汁又はバイオフラボノイド含有医薬組成物の効果を改善することにある。 この目標は、本発明による医薬組成物によって達成される。 【0005】 本発明の目的は、有効成分として、胆汁酸成分及びバイオフラボノイド成分を含有する、薬学上有効なキャリヤー及び/又は添加剤を伴う医薬組成物にある。 【0006】 胆汁酸成分として、本発明の医薬組成物は、胆汁酸又はその共役体(例えば、タウリン又はグリシンとの共役体)、胆汁酸塩又は半合成又は合成の類似体、好ましくは、ウルソデオキシコール酸、デオキシコール酸ナトリウム、タウロ−デオキシコール酸塩、グリコ−デオキシコール酸塩、ウルソデオキシコール酸ナトリウム、グリコ−ウルソデオキシコール酸塩又はタウロ−ウルソデオキシコール酸塩等、さらに、動物性胆汁の全量、動物性胆汁の溶媒中のエキス又は動物性胆汁の乾燥エキス又は胆汁酸を含有する各種フラクションを含有できる。 動物性胆汁の全量又は乾燥胆汁エキスは、一般に、胆汁酸0.5〜10質量%、好ましくは3.0〜8.0質量%、特に好ましくは4.0〜6.0質量%を含有する。 天然の胆汁エキスは、ビリルビン、ピグメント、コレステロール、ムチン及び無機物も含有しうる。 【0007】 本発明による医薬組成物は、バイオフラボノイド成分として、植物又は動物起源の、天然、半合成又は合成バイオフラボノイド又はその配糖体;バイオフラボノイド又はその配糖体を含有する植物又は植物部分(例えば、花、果実、葉、根又は他の植物部分)から調製された溶媒中のエキス又は乾燥エキス、又は乾燥物状態の上記植物又は植物部分;バイオフラボノイド又はその配糖体を含有する動物性生成物から調製されたの溶媒中のエキス又は乾燥エキスを含有できる。 植物性又は動物性生成物は、一般に、バイオフラボノイド0.001〜10質量%、好ましくは1〜8質量%、特に好ましくは5〜6質量%(乾燥物質に関する)を含有する。 【0008】 本発明は、上記胆汁酸成分及びバイオフラボノイド成分が、相乗的な相互作用を有し、お互いの効果を高め、その同時投与によって、これら成分が単独で投与される際の活性処理よりも改善された活性が観察されるとの知見に基づく。 【0009】 本発明の医薬組成物は、好ましくは、 −消化器系及び肝臓−胆管の機能を改善するため、その結果、胃腸疾患及び肝臓及び胆管(肝胆汁性区域)の疾患の治療及び/又は防止のため、 −胃腸疾患に関連するいくつかの疾患及び肝臓−胆管の疾患の治療のため、 −脂溶性の食物成分、食品添加物及び医薬品の消化及び吸収の改善のため、及び上記脂溶性物質の消化及び吸収の障害に関連する各種の障害及び疾患の治療ために適用される。 【0010】 胆汁酸は、肝臓で使用され、合成されるコレステロールの最終生成物である。 胆汁酸の化学構造は、コレステロール及びステロイドホルモンのものと非常に類似している。 胆汁酸のカルボキシル基は、アミド結合によってグリシン(グリココール酸)又はタウリン(タウロコール酸)と共役し、一般に、塩(例えば、ナトリウム塩)を形成する(Northfield, T., Jazrawi, R., Zentler−Munro, P.: 健康及び疾患における胆汁酸:コレステロール、胆石及び胆汁酸下痢に関する最新情報, Kluwer Academic Publisher, アムステルダム, (1988))。 【0011】 経口投与後、胆汁酸は腸−胆嚢サイクルに入って、その浄化効果によって脂質の消化を促進し、腸管から再吸収され、ついで、胆汁酸は門脈によって肝臓に達し、さらに胆汁の分泌を促す。 さらに、胆汁酸は、細菌性エンテロトキシン(リポ多糖体)の浄化剤である。 これらのリポ多糖体は、腸管感染症、敗血性ショック及び急性放射能障害の腸管症状の原因である(Bertok L., インビトロ及びインビボにおける内毒素に対する胆汁酸の影響(物理的−化学的防御): 胆汁の欠乏及び内毒素の転座, Ann. NY Acad. Sci. 30; 851 : 408−410 (1998))。 さらに、リポ多糖体は、窒素オキシダーゼ(NOS)を活性化し、窒素酸化物(NO)の生成は、いくつかの全身性疾患(例えば、精神障害、神経変性疾患、心循環器疾患、加齢によって起こる網膜疾患及び骨−筋肉系の変性疾患)の場合に起こる細胞の損傷の原因となる。 【0012】 バイオフラボノイドは、葉、花及び果実の色を与える植物の極めて一般的な構成成分である。 バイオフラボノイドの化学的構成は、共通のC6−C3−C6骨格(ジフェニルプロパン又はフェニル−ベンゾピラン)によって特徴付けられる。 高度に変化可能な側鎖に応じて、バイオフラボノイドは、次のグループに分けられる:カルコン、フラボノイド、アントシアニジン、イソフラボノイド、ネオフラボノイド及びフラボノイグナン(J.B. Harbone(編者), Herbert Baxter; 天然フラボノイドのハンドブック, John Wiley & Sons, New York (1999))。 【0013】 消化器系疾患の場合、バイオフラボノイドは抗炎症作用を有する。 バイオフラボノイドの主な薬理的作用は、多形核細胞及び肥満細胞から放出されるヒスタミンに対する阻害作用と共に、抗酸化特性から生ずる(DiCarlo G., Autore G., Izzo A.A., Maiolino P., Mascolo N., Viola P., Diurno M.V., マウス及びラットにおける腸運動及び分泌のフラボノイドによるCapasso F−阻害:構造−活性の関係, J. Pharm. Pharmacol., 45 : 1054−9 (1993); Medina S.F., Galvez J., Romero J.A., Zaezuelo, A.: ラットにおける急性及び慢性実験大腸炎に対するクエルシトリンの影響, J. Pharmacol. Exp. Ther., 278 : 771−9 (1996))。 最近発表された研究によれば、ある種のバイオフラボノイドの抗炎症作用は、プロ炎症性サイトカイン(第1に、窒素オキシダーゼ、ホスホジエステラーゼ及びタンパクキナーゼ)の発生に対するその阻害作用に由来する(Middleton E. Jr., Kandaswami C., Theoharides T.C.: 哺乳動物細胞に対する植物フラボノイドの影響:炎症、心臓疾患及びガンに関する密接な関係, Pharmacol. Rev., 52 : 673−751 (2000); Manthery J.A., Grohmann K., Guthrie N.: ガン及び炎症に関係する柑橘類フラボノイドの生物学的特性, Curr. Med. Chem., 8 : 135−153 (2001))。 【0014】 天然産のバイオフラボノイドは、非常に敏感なバイオフラボノイドを酸化的及び酵素的損傷から保護するグリコシド及び他のポリフェノールと結合する。 このため、天然のバイオフラボノイドは、精製した又は合成のバイオフラボノイドよりも好適に使用される。 【0015】 天然起源のバイオフラボノイドは、さらに、他の薬理学的に適合性の物質、例えば、タンニン酸、揮発性オイル、ビタミン、ホルモン、脂質及びワックス、無機塩及び微量元素、色素物質(クロロフィル、キサントフィル、カロチン)、アミノ酸、テルペン(例えば、ジテルペン、トリテルペン、セスキテルペン)、ナフトールジアントラセン−ヒペリシン、ポリフェノール(サポニン)、殺菌剤物質(アリシン)を含有する。 【0016】 本発明による医薬組成物は、バイオフラボノイド成分として、好ましくは、下記の植物のエキスを含有できる:ベチューラ ペンデュラ(Betula pendula)(アメリカシラカバ);センタウレア シアヌス(Centaurea cyanus)(ヤグルマソウ);サイナラ スコリムス(Cynara scolymus)(アーティチョークの葉);ユーフラリア ロスコビナ(Euphralia roskovina) (コゴメグサ);ギンクゴ ビロバ(Ginkgo biloba)(葉);ハイペリクム ペルホラタム(Hypericum perforatum)(オトギリ草属の植物);マトリカリア カモミラエ(Matricaria chamomillae)(カモミールの花);メリッサ オフィシナリス(Melissa officinalis)(バルムの葉);メンサ ピペリタエ(Mentha piperitae)(ミントの葉);パッシフローラ インカルナータ(Passiflora incarnata)(トケイソウ);リブス ニグルム(Ribes nigrum)(スグリ又はクロフサスグリの葉及び果実);ローズマリナス オフィシナリス(Rosmarinus officinalis)(ローズマリーの葉及び花);サルビア オフィシナリス(Salvia officinalis)(セージの葉);シリバム マリアヌム(Sylibum marianum)(オオアザミの葉及び果実);バクシニウム ミルティルス(Vaccinium myrthillus)(ハックルベリーの果実);ビオラ トリカラー(Viola tricolor)(ツノスミレ)。 【0017】 本発明の医薬組成物は、胆汁酸又はその塩を、一般に、1.0〜300mg/一服、すなわち、1.0〜1000mg/日;好ましくは、1.0〜100mg/一服、すなわち、1.0〜500mg/日;特に好ましくは、1.0〜50mg/一服、すなわち、1.0〜200mg/日の用量で含有する。 【0018】 本発明の医薬組成物は、バイオフラボノイドを、一般に、1.0〜200mg/一服、すなわち、1.0〜1000mg/日;好ましくは、10〜200mg/一服、すなわち、10〜400mg/日;特に好ましくは、50〜200mg/一服、すなわち、50〜400mg/日の用量で含有する。 【0019】 本発明の医薬組成物において、胆汁酸成分とバイオフラボノイド成分との質量比は、1:10〜10:1、好ましくは1:3〜3:1、特に好ましくは1:1の値である。 【0020】 本発明の医薬組成物は、さらに、脂溶性ビタミン、揮発性オイル、多不飽和脂肪酸、脂溶性ホルモン、薬学上活性な物質及び食品添加剤を含有できる。 さらなる成分としては、好ましくは、脂溶性ビタミン、特に好ましくはビタミンAを使用できる。 【0021】 本発明における実用的な目的について、胆汁酸成分の量は、ウルソデオキシコール酸に関するものである(任意に選定した質量単位は1.0である)。 ウルソデオキシコール酸に関するいくつかの胆汁酸成分の質量比は次のとおりである:コール酸1.2;デヒドロコール酸1.1;デオキシコール酸1.0;ケノデオキシコール酸1.0。 【0022】 本発明において、バイオフラボノイド成分の量は、実用的には、クエルセチンに関するものである(任意に選定した質量単位は1.0である)。 クエルセチンに関するいくつかのバイオフラボノイド成分の質量比は次のとおりである:カルコン0.94;フラボン0.94;フラボノン0.94;アントシアニン0.94;イソフラボノイド0.94;ネオフラボノイド0.76。 【0023】 本発明の医薬組成物は、医薬品工業の通常の方法によって調製される。 胆汁酸成分及びバイオフラボノイド成分を、薬学上許容されるキャリヤー及び/又は添加剤と混合し、ついで、混合物を製剤する。 本発明の医薬組成物は、好ましくは、腸溶性錠剤又はカプセルの形で調製される。 【0024】 腸溶性製剤を調製する際には、初めに、胆汁酸及びバイオフラボノイドと共に、薬学上のキャリヤー及び添加剤を含有するコアを調製する。 キャリヤー及び/又は添加剤として、次のものが使用される:炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、セルロース誘導体(例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、セルロース、デンプン様物質(例えば、ジャガイモデンプン)、ショ糖、ラクトース。 ついで、コアを、胃では溶解せず、腸においてのみ溶解する腸溶性コーティングによって被覆する。 この目的のためには、各種のアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル(例えば、Eudragit)又はセルロースアセチルフタレート(CAP)が使用される。 【0025】 本発明の医薬組成物は、さらに、医薬品工業の通常の方法によって、硬質又は軟質ゼラチンカプセルの形でも調製される。 【0026】 本発明の医薬組成物は、さらに、静脈内又は筋肉内注射剤又は点眼剤の形でも使用される。 【0027】 本発明による医薬組成物の相乗的作用は、下記の実験によって証明される。 【0028】 1. 消化障害の治療又は防止 開放臨床研究において、胆汁酸及びバイオフラボノイドを一緒に投与することによって(実施例2による組成物)、消化障害の症候(満腹、鼓腸、痛み、吐き気)が改善することが認められた。 食事中又は食事終了時に本発明の組成物にて処置した患者は、重い及びスパイシーなものを含む各種の食物を消化することができた。 患者の心身状態が顕著に改善された。 実施例2の組成物にて処置した患者の症候の改善は、胆汁酸又はバイオフラボノイド単独での処置よりも大きいものであった。 【0029】 これらの研究では、非潰瘍性消化不良、胆管ジスキネジア又は過敏性腸症候群に罹った患者48人が含まれる。 自由な脂っこい食事をしている患者24人にはウルソデオキシコール酸150mgのみ(グループA)、患者24人にはバイオフラボノイド(クエルセチン300mg)のみ(グループB)を3ヶ月間投与した。 1ヶ月経過後、両グループに、ウルソデオキシコール酸+クエルセチン(実施例2)をさらに3ヶ月間投与した(グループC)。 【0030】 全体の(心身)状態及び対象の症候を、年齢及び性別の点で合致するコントロール群の結果と対比した。 【0031】 心身状態の評価:改善、変化なし、悪化。 胃腸の症候(食後の早期満腹、腹部膨満又は鼓腸、吐き気、嘔吐、下痢、便秘)を、下記の評点システムを使用することによって評価した。 0=症候なし1=軽い2=中程度3=重い得られた結果を下記の表1に示す。 【0032】
【0033】 胆汁酸にて処置したグループAでは、67%で全体状態が改善され、33%で変化がないか又は悪化していた。
バイオフラボノイドにて処置したグループBでは、45%で全体状態が改善され、55%で変化がないか又は悪化していた。
実施例2の組成物にて処置したグループCでは、89%で全身状態が改善され、11%で変化がないか又は悪化していた。
上記の表に示すデータは、各成分の単独投与と比べて、本発明の組成物が症候を顕著に改善し、この結果、この組成物が相乗効果を有することを証明している。
【0034】
2. 対象症候の評価 上記1. に示した処置A、B及びCを使用した。 結果を表2に示す。 表2において、患者1人に関する平均コンプライアンス比(平均コンプライアンス比=総点数/患者数)が示してある。 コントロールグループの値をかっこ内に示している。
【0035】
【0036】
本発明の組成物にて処置したグループの場合、成分を単独で投与する場合よりも、すべての症候について顕著に緩和されていた。
【0037】
3. 脂溶性物質の活性度の改善 消化障害、「ドライアイ」症候群及び月経前症候群に罹った女性患者72人を処置した。 筋肉注射によって投与したビタミンAは、「ドライアイ」の症候及び月経前症候群を改善するが、経口投与では無効であった。 ビタミンAと共に本発明の組成物を経口投与することは、ビタミンAを筋肉注射する場合とほぼ同様に改善することが認められた。
【0038】
対象の症候を、次の評点システムを使用することによって評価した。
0=症状なし1=軽い2=中程度3=重い【0039】
「ドライアイ」症候群は、次の症候:乾燥感、異物感、疲れ目、苦痛、熱っぽさ、流涙の減少、目覚め時における瞼を開けることの困難性、過剰な流涙、特に風、空調、煙、局所用薬剤に対する鋭敏性を有する。 他感覚徴候:目の表面上の粒状物質、内方眼角又は下方円蓋における粘液スレッド(mucusthread)、マイボーム腺の口における沈着物、糸状角膜炎、眼球結膜の充血、瞼板結膜の乳頭状肥大、薄い涙メニスカス、眼球結膜の明るさの減少、頻繁な瞬き、フルオレセイン染色を伴う涙液膜の異常。
【0040】
患者を次のように処置した。
処置A:1月当たり1回の油性筋肉注射によるビタミンA 300,000 IUの投与処置B:1日おきに1回のビタミンA 50,000 IUアセテート製剤の経口投与処置C:1日おきに1回のビタミンA 50,000 IUアセテート製剤の経口投与+本発明の組成物(実施例4)
結果を表3に示す。
【0041】
【0042】
上記データは、「ドライアイ」の症候が、ビタミンAの経口投与によってわずかに改善されるが、ビタミンA及び本発明の組成物を一緒に経口投与することによって、ドライアイの症候は顕著に改善されたことを示している。 この改善は、ほぼビタミンAの筋肉注射によって示される程度に達する。
【0043】
4. 月経前症候の改善 月経前症候群の症候:食品(菓子又はチョコレート)に対する渇望、消耗、神経過敏、恐怖、不安又はうつ、敵意、コントロール不能の感覚、混乱、睡眠障害、ざ瘡、体液うっ滞、体重増加、乳房腫脹、うずき及び痛み、鼓腸、便秘及び下痢。
患者数、処置方法及び評価システムは、実験3に示すもものと同じである。
結果を表4に示す。
【0044】
【0045】
表4は、本発明の組成物がビタミンAでの処置の効果を顕著に改善することを示している。 症候は、ビタミンAの経口投与では改善されがたいが、本発明による組成物をビタミンAと一緒に経口投与することによって、症候の顕著な改善が生じ、これは、ビタミンAの筋肉注射の効果を上回る。 このように、相乗効果が証明された。
【0046】
5.
「ドライアイ」の局所的治療 16匹のWistarラットにおいて、文献(Camras PCB, Bito LZ: ウサギの目に関するナイトロジェンマスタードの病理生理学的影響:II. カプサイシンによる初期過敏相の阻止及び物質Pの明白な役割, Invest. Ophthaimol. Vis. Sci.,
19 , 423−8(1980))に開示されているようにカプサイシンの球後注入によって、片眼において、ドライアイモデルを創造し、他の眼については全く処理を行わなかった(コントロール)。 【0047】
下記の処置を施した。
処置A:1日3回1滴ずつ、ラット4匹について局所人工点眼剤で処置した。
処置B:1日3回1滴ずつ、ラット4匹について実施例10の組成物で処置した。
処置C:ラット4匹について、1日3回1滴ずつの実施例10の組成物+1日3回1滴ずつのビタミンA(油滴:30,000IU/ml)で処置した。
処置C:1日3回1滴ずつ、ラット4匹についてビタミンA(油滴:30,000IU/ml)で処置した。
【0048】
眼の状態を上記文献に記載の如く記録し、処置後4週間で、下記のスケールで評価した。
0=変化なし1=角膜上皮の点状損失2=軽度の角膜浮腫を伴う角膜上皮の大きい損失3=重度の角膜浮腫を伴う角膜上皮の大きい損失結果を表5に示す。
【0049】
【0050】
本発明の組成物の局所的適用では、グループAに対する眼の変性の改善率は50%である。 ビタミンAのみによる局所処置Dの場合では、改善は顕著ではない。 グループCの場合、本発明の組成物及びビタミンAを併用することによって処置を行ったところ、改善率は67%であり、すなわち、ビタミンA単独で処置したグループによって達成された値を上回っていた。
【0051】
6. 月経前の皮膚(ざ瘡)の局所的治療 3連続月経サイクルにおいて、月経の予測される日の5日前から初めて、下記の組成の軟膏を、ボランティア女性患者8人の顔の皮膚の薄い層に、夜1回10日間塗布した。
処置A:ビタミンA30,000IU(=1ml オイル)+単軟膏25g
処置B:実施例11による組成物テスト結果を表6に示す。
【0052】
【0053】
本発明の組成物の結果として、患者のコンプライアンスは、ビタミンAのみを含有する組成物で処置した場合と比較して60%減少した。
【0054】
実施例に記載の胆汁酸成分は、市販品から入手できる。
本発明の他の詳細は、下記の実施例に記載されているが、これらの実施例は本発明を限定するものではない。
【0055】
【実施例1】
下記組成を有する腸溶性製剤を、医薬品工業における常法を使用して調製した。
【0056】
【実施例2】
下記組成を有する硬質ゼラチンカプセルを、医薬品工業における常法を使用して調製した。
【0057】
【実施例3】
下記組成を有する腸溶性製剤を、医薬品工業における常法を使用して調製した。
キャリヤー及び添加剤は、実施例1に示したものと同じである。
【0058】
【実施例4】
下記組成を有する硬質ゼラチンカプセルを、医薬品工業における常法を使用して調製した。
キャリヤー及び添加剤は、実施例2に示したものと同じである。
【0059】
【実施例5】
下記組成を有する腸溶性カプセルを、医薬品工業における常法を使用して調製した。
キャリヤー及び添加剤は、実施例2に示したものと同じである。
【0060】
【実施例6】
下記組成を有する腸溶性カプセルを、医薬品工業における常法を使用して調製した。
キャリヤー及び添加剤は、実施例2に示したものと同じである。
【0061】
【実施例7】
下記組成を有する腸溶性カプセルを、医薬品工業における常法を使用して調製した。
キャリヤー及び添加剤は、実施例2に示したものと同じである。
【0062】
【実施例8】
下記組成を有する軟質ゼラチンカプセルを、医薬品工業における常法を使用して調製した。
【0063】
【実施例9】
下記組成を有する水溶液を、医薬品工業における常法を使用して調製した。
【0064】
【実施例10】
下記組成を有する点眼剤を、医薬品工業における常法を使用して調製した。
【0065】
【実施例11】
下記組成を有する軟膏を、医薬品工業における常法を使用して調製した。
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