【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、離漿しにくく、保存安定性に優れ、特に漢方薬に広く使用可能で、漢方薬の有する苦味などの味を気にすることなく服用できる漢方ゼリー医薬組成物に関する。 【0002】 【従来の技術】 古典での漢方薬は、生薬を煎じた液、生薬を散剤にしたもの、生薬末を蜂蜜などで丸剤としたもので、生薬を煎じる手間や用時調整しなければならないなどの利便性の面で大きな問題があった。 また、煎剤や生薬末を服用したときの漢方特有の苦味や臭いにより、服用が苦痛、服用困難といった漢方薬そのものの問題もあった。 現在では、これらの問題を解決するために、漢方薬からの抽出エキス、生薬末を原薬として用いた散剤、顆粒剤、錠剤、液剤などの漢方製剤がある。 これらの漢方製剤は、生薬を煎じる手間や用時調整しなければならないなどの不便さが改善されたことに加え、保存安定性においても優れている。 しかしながら、散剤、顆粒剤、錠剤は数グラムの服用量があり、服用する人にとってはかなり負担となっている。 この服用量の問題に加え、散剤、顆粒剤は服用時にむせる、口の中がザラつく、入れ歯の間に入るなどの問題があり、錠剤は大きくて飲みづらい、服用数が多いといった問題がある。 また、錠剤では漢方特有の味や臭いは改善されてはいるものの、服用時に口の中で製剤が溶けたり、崩壊した場合は漢方薬の味を強く感じ、服用が不快であったり、服用困難といった問題も若干残っている。 一方、液剤は散剤、顆粒剤、錠剤と比べ服用しやすい剤型であるが、液剤が口内に広がるため漢方特有の苦味や臭いを強く感じ、服用が苦痛、服用困難といった問題が存在する。 また、ガラス瓶入りであることから携帯性にも不便な点がある。 このような漢方製剤の問題を解決する製剤技術として、漢方薬のゼリー化が考えられる。 【0003】 漢方薬のゼリー製剤としては、ゼラチンを用いて漢方薬をゼリー化したものが知られているが(特公平7−116049)、ゼラチンは物理化学的に安定性が悪いゲル化剤であるために保存安定性が悪く、冷所での保存が必要であり、医薬レベルでの試験(25℃、60%RHで3年間の長期保存試験、または40℃、75%RHで6ヵ月間の加速試験など)において耐え得る組成物ではない。 また、ゼラチンは、口内で容易に溶けることから、苦味のきつい漢方薬を用いた場合、苦味を感じやすく服用性がよくない。 この他に、漢方薬のゼリー製剤としては、アルギン酸ナトリウム及びカンテンを用いて漢方薬をゼリー化することが考えられる。 アルギン酸ナトリウムを使用し、漢方薬をゼリー化したものについては、小柴胡湯を用いたゼリー(特許 第2508547号)が知られている。 アルギン酸を添加することにより、漢方特有の苦味をマスキングすることができるが、アルギン酸を使用したゼリーは、離漿が多いことから、薬物の不均一及び服用時に包装への薬物残が生じ、外観も悪く、医薬品としては好ましいとはいえない。 また、カンテンを用いたゼリーは、アルギン酸を用いたゼリーと同様に離漿が多く、更に口内で容易に崩れることから、苦味を感じやすく服用性もよくない。 その他のゼリー製剤として、ゼリー組成物(特開平09―187233号、特開平09−194346号)、漢方ゼリー医薬組成物(特開2001−114696)が知られているが、特に漢方薬を含有させ、かつ医薬品レベルの保存安定性を保証するゼリー剤は非常に難しい。 漢方薬のゼリー化を難しくしている原因としては、天然物を原薬としているため、原薬自体が多成分からなること、原薬中に含まれる成分で明らかになっていないものが多いこと、原薬としての形態には生薬、抽出液、濃縮液、粉末エキス、軟エキス、流エキスなどさまざまなものがあること、その使用される量についても多岐にわたっていることなどが挙げられる。 このような漢方薬特有の背景により、漢方薬のゼリー化には、含有する漢方薬の種類やその量によっては、離漿などの外観や有効成分の安定性が維持できないものもあり、広く使用可能な漢方ゼリー組成物が求められている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】 本発明は上記観点からなされたものであり、離漿しにくく、保存安定性に優れ、特に漢方薬に広く使用可能で、漢方薬の有する苦味などの味を気にすることなく服用できる漢方ゼリー医薬組成物の提供を課題とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】 本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、漢方薬を配合するゼリー剤の基剤(リン酸塩の緩衝剤不含)としてカラギーナン、カロブビーンガム、キサンタンガムを少なくとも1種用いることで、離漿しにくく、保存安定性に優れ、特に漢方薬に広く使用可能で、漢方薬の有する苦味などの味を気にすることなく服用可能な漢方ゼリー医薬組成物が得られることを見出し本発明を完成させた。 【0006】 【発明の実施の形態】 本発明の漢方ゼリー医薬組成物に用いるカラギーナンは、通常、ゼリー組成物として用いられるカラギーナンであれば特に限定されずに用いることが可能である。 例えばカラギーナンにはκ(カッパ)、ι(イオタ)、λ(ラムダ)タイプがあり、本発明にはこれら何れのタイプのカラギーナンを用いることが可能であるが、本発明に用いるカラギーナンとしては、より好ましくはιカラギーナンとκカラギーナンもしくはλカラギーナンの一方もしくは両方の組み合わせ、または、ιカラギーナン単独での使用である。 本発明において、ιカラギーナンとκカラギーナンもしくはλカラギーナンの一方もしくは両方の組み合わせで使用する場合には、具体的には、ιカラギーナンがカラギーナン全量に対して50重量%以上、より好ましくは、70重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上である。 また、本発明の漢方ゼリー医薬組成物におけるカラギーナンの含有量は、カラギーナンが組成物全量に対して、0.01〜10.0重量%であることが好ましく、より好ましくは、0.05〜5.0重量%、さらに好ましくは0.1〜2.0重量%である。 カラギーナンの使用量を上記の範囲より増加させた場合は、高粘度となり、製造が困難となり、上記よりも低減した場合は、ゼリー化が困難となり組成物が得られない。 【0007】 本発明の漢方ゼリー医薬組成物に用いるカロブビーンガムは、通常、ゼリー組成物として用いられるカロブビーンガムを、特に制限せずに本発明に用いることができる。 本発明の漢方ゼリー医薬組成物におけるカロブビーンガムの含量は、組成物全量に対して0.01〜10.0重量%であることが好ましく、より好ましくは、0.05〜5.0重量%、さらに好ましくは0.08〜2.0重量%である。 カロブビーンガムの使用量を上記の範囲より増加させた場合は、高粘度となり、製造が困難となり、上記よりも低減した場合は、ゼリー化が困難となり組成物が得られない。 【0008】 本発明の漢方ゼリー医薬組成物に用いるキサンタンガムは、通常、ゼリー組成物として用いられるキサンタンガムを、特に制限せずに用いることができる。 また、本発明の漢方ゼリー医薬組成物におけるキサンタンガムの含量は、組成物全量に対して0.01〜10.0重量%であることが好ましく、より好ましくは、0.05〜5.0重量%、さらに好ましくは0.08〜2.0重量%である。 キサンタンガムの使用量を上記の範囲より増加させた場合は、高粘度となり、製造が困難となり、上記よりも低減した場合は、ゼリー化が困難となり組成物が得られないことがある。 【0009】 本発明の漢方ゼリー医薬組成物における漢方薬の含有量は、組成物全量に対して60重量%以下であることが好ましく、より好ましくは50重量%以下、さらに好ましく30重量%以下である。 含有量を上記の範囲より増加させた場合は、組成物が高粘度となり製造が困難となったり、餅状又はジャム状となりゼリー化しないことがある。 【0010】 本発明の漢方ゼリー医薬組成物において用いる基剤を分散させる分散媒としては、通常のゼリー組成物に分散媒として用いられる液体、例えば、水又は水と多価アルコールの混液などを挙げることができる。 多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、プロピレングリコールなどが挙げられる。 また、本発明の漢方ゼリー医薬組成物における分散媒の含量は、組成物全量に対して30〜90重量%であることが好ましく、より好ましくは、30〜85重量%、さらに好ましくは40〜80重量%である。 【0011】 本発明の漢方ゼリー医薬組成物は、さらにその他の成分として、医薬品の添加物として許容されかつ経口投与可能な各種任意の公知の成分、例えば、安定剤、矯味剤、甘味剤、乳化剤、分散剤、防腐剤、芳香剤、着色剤などが目的に応じ添加される。 本発明の漢方ゼリー医薬組成物に任意に配合される安定剤としては、例えば、アスコルビン酸、エデト酸ナトリウム、トコフェロールなどを挙げることができる。 矯味剤としては、例えばクエン酸、リンゴ酸、乳酸、コハク酸、酒石酸、アスコルビン酸、クエン酸塩、リンゴ酸塩、乳酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩などを挙げることができる。 甘味剤としては、例えば、ぶどう糖、果糖、サッカリンナトリウム、精製白糖、D−ソルビトール、D−マンニトール、還元麦芽糖水アメなどを挙げることができる。 乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ラウリル硫酸ナトリウムなどを挙げることができ、分散剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどの水溶性高分子類を挙げることができ、防腐剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸メチル(メチルパラベン)、パラオキシ安息香酸エチル(エチルパラベン)などを挙げることができ、そして芳香剤としては、例えば、メントール類、果汁などのフレーバー又は精油などを挙げることができる。 着色剤としては、例えばカラメルなどを挙げることができる。 【0012】 本発明の漢方ゼリー医薬組成物に配合される原薬としては、通常の漢方薬であれば特に制限されずに使用することができる。 具体的には、葛根湯、小青竜湯、小柴胡湯、八味地黄丸、補中益気湯、小建中湯、消風散、清上防風湯、防風通聖散、五苓散、防已黄耆湯、乙字湯、当帰芍薬散、桂枝茯苓丸、安中散、平胃散などが例示されるが、これらのみに限らず、種々の漢方薬も使用可能である。 また、漢方薬のみに限らず、天然植物を原薬としたものも本発明の漢方ゼリー医薬組成物とすることができる。 更に、これら漢方薬や天然植物を原薬としたものと他の薬効成分とを組み合わせたものも本発明の漢方ゼリー医薬組成物とすることができる。 例えば西洋薬と組み合わせたかぜ薬、鎮咳薬、去たん薬、胃腸薬などが挙げられる。 【0013】 配合できる原薬としての形態は、通常の漢方薬または天然植物を原薬として使用するものであれば特に制限されずに配合することができる。 例えば、生薬、抽出液、濃縮液、粉末エキス、軟エキス、流エキスなどを挙げることができる。 原薬の含量であるが、漢方ゼリー医薬組成物の所定量を服用したとき、適した服用量となるような含有量とすればよい。 【0014】 次に、本発明の漢方ゼリー医薬組成物を調製する方法であるが、従来公知のゼリー組成物の調製法と同様の方法に従って調製すればよい。 具体的には、まず、基剤と原薬及び任意成分に、分散媒として適量の温水を加えて攪拌して分散、溶解、懸濁などさせるか、または、基剤と原薬及び任意成分に室温で分散媒として適量の水もしくは冷水を加え、攪拌しながらこれを加熱して、分散、溶解、懸濁などさせた後、冷却により漢方ゼリー医薬組成物が得られる。 また、添加する原薬及び任意成分のうち、高温に曝すのが好ましくない成分については、上記で得られた分散、溶解、または、懸濁液を、適当な温度にしてからこの成分を添加し、漢方ゼリー医薬組成物を得てもよく、もしくは、高温に曝すのが好ましくない成分を冷却直前に添加し漢方ゼリー医薬組成物を得てもよい。 本発明の漢方ゼリー医薬組成物の容器としては、特に制限は無いが、スティック形状の袋状容器が携帯性や服用性の面から好ましい。 【0015】 【実施例】 以下に本発明につき、実施例を挙げて説明する。 実施例1〜4及び比較例 1 〜6 実施例1〜4及び比較例1、5、6は、表1−1、表1−2の成分を量りとり80℃で加温溶解し、これを3方シールしたスティック包装容器に注入し、冷却して漢方ゼリー医薬組成物を得た。 比較例2〜4については、予めアルギン酸ナトリウムを水に均一に溶解した後50〜60℃で加温し、葛根湯水製乾燥エキスを加えて約5分間均一に溶解した後、残りの成分を加え均一に攪拌し、これを3方シールしたスティック包装容器に注入し、冷却して漢方ゼリー医薬組成物を得た。 【0016】 実施例1は良好な漢方ゼリー医薬組成物を得ることができたが、比較例1は餅状となりゼリー化できなかった。 また、実施例2〜4及び比較例5は漢方ゼリー医薬組成物を得ることができたが、アルギン酸ナトリウムを用いた比較例2〜4はゼリー化せず、ゼラチンを用いた比較例6は冷蔵庫保存で漢方ゼリー医薬組成物を得ることができるものの、室温では半固形であった。 【0017】 実施例5〜7 表2の成分を量りとり80℃で加温溶解し、これを3方シールしたスティック包装容器に注入し、冷却して漢方ゼリー医薬組成物を得た。 【0018】 実施例8〜10及び比較例7〜9 実施例8〜10及び比較例8、9は、表3の成分を量りとり80℃で加温溶解し、これを3方シールしたスティック包装容器に注入し、冷却して漢方ゼリー医薬組成物を得た。 比較例7については、予めアルギン酸ナトリウムを水に均一に溶解した後50〜60℃で加温し、清上防風湯水製乾燥エキスを加えて約5分間均一に溶解した後、残りの成分を加え均一に攪拌し、これを3方シールしたスティック包装容器に注入し、冷却して漢方ゼリー医薬組成物を得た。 【0019】 実施例8〜10は良好な漢方ゼリー医薬組成物を得ることができた。 アルギン酸ナトリムを用いた比較例7及びカンテンを用いた比較例8は漢方ゼリー医薬組成物を得ることができたが、ゼラチンを用いた比較例9は冷蔵庫保存で漢方ゼリー医薬組成物を得ることができるものの、室温では半固形であった。 比較例9は服用時に口内で溶け苦味を感じることから、服用性も悪く(表7)、医薬品として耐えられるものではなかった。 【0020】 離漿量とゼリー強度の測定 下記の方法により、得られた漢方ゼリー医薬組成物について、40℃75%RH及び25℃60%RHの保存条件下で保存した試料について離漿量とゼリー強度を測定し、外観の観察を行った。 【0021】 離漿量の測定方法 離漿の測定は、3方シールしたスティック包装容器(図1)に充填包装した漢方ゼリー医薬組成物を倒立させ、空気部分に溜まった離漿重量を内容量に対する重量%で求めた。 【0022】 ゼリー破断強度の測定方法 ゼリー破断強度の測定は、検体を25℃で24時間保存後、3方シールしたスティック包装容器(図1)から漢方ゼリー医薬組成物を取り出し、25℃の環境下で測定を実施した。 測定機器:レオメーターCR−200D(株式会社サン科学製) 測定条件:圧縮速度 30mm/min 感圧軸:断面5×40mm×高さ15mm、ステンレス製【0023】 結果 ゼリー化した実施例2〜4及び比較例5の離漿を測定した結果を表4−1に示す。 実施例2〜4は、40℃75%RH及び25℃60%RHのどちらの保存条件下においても離漿が少なく、外観も良好であった。 しかしながら、カンテンを用いた比較例5は、40℃75%RH及び25℃60%RHのどちらの保存条件下においても離漿が多く、外観も悪く、医薬品として耐えられるものではなかった。 【0024】 また、ゼリー化した実施例2〜4、比較例5のゼリー強度について測定した結果を表4−2に示す。 実施例2〜4は、40℃75%RH及び25℃60%RHの保存条件下において、ゼリー強度の変化は見られなかった。 しかしながら、カンテンを用いた比較例5は、40℃75%RH及び25℃60%RHのどちらの保存条件下においても、1ヵ月でゼリー強度の急激な上昇が見られた。 【0025】 実施例5〜7は良好な漢方ゼリー医薬組成物を得ることができ、40℃75%RH及び25℃60%RHのどちらの保存条件下においても、離漿が少なく(表5−1)、外観も良好で、ゼリー強度の変化も見られなかった(表5−2)。 実施例8〜10は40℃75%RH及び25℃60%RHのどちらの保存条件下においても、離漿が少なく(表6−1)、外観も良好で、ゼリー強度の変化も見られなかった(表6−2)。 また、ゼリー化した比較例7、8は、40℃75%RH及び25℃60%RHのどちらの保存条件下においても離漿が多く(表6−1)、外観も悪く、ゼリー強度も1ヵ月で大きく変化しており(表6−2)、医薬品として耐えられるものではなかった。 【0026】 以上のことから、本発明の漢方ゼリー医薬組成物は、従来のゼラチンやアルギン酸ナトリウムを基剤とするゼリー製剤に比べて長期間離漿しにくく、保存安定性に優れていることが判明した。 また、アルギン酸ナトリウムを用いた場合、原薬により漢方ゼリー医薬組成物が得られたり、得られなかったりして原薬に依存するが、本発明においては、原薬によらず、良好な漢方ゼリー医薬組成物を得ることが可能であった。 【0027】 苦味のマスキング効果 表3で得た漢方ゼリー医薬組成物及びゼラチンから成る半固形組成物(比較例9)を用いて官能テストを実施した。 官能テストはパネル人数10人(男5人、女5人)で行い、評価は++(苦くて服用できない)、+(苦い)、±(わずか苦い)、−(ごくわずか苦い)、−−(苦味を感じない)で表した。 なお、清上防風湯水製乾燥エキス7gを水100gに溶解し、これを官能テストの対照例とした。 【0028】 表7の結果より、対照例及び比較例8、9はほとんどが苦くて服用できないと回答した(対照例、比較例9:10/10、比較例8:8/10)のに対し、実施例10では苦くて服用できないとの回答が3/10、苦いが7/10であり、対照例や比較例8、9と比べよい結果を得た。 比較例7は実施例10とほぼ同じ結果で、苦くて服用できないとの回答が1/10、苦いが9/10であった。 実施例10と同様に水溶液(対照例)、カンテン及びゼラチンを用いたゼリー(比較例8、9)よりはよい結果が得られた。 アルギン酸ナトリウムは苦味のある物質に添加することで苦味をマスキングすることが知られているが、エキス量が多いため、あまりマスキング効果が得られなかったものと思われる。 実施例9は7/10がわずか苦いと回答しており、苦くて服用できないという回答は見られなかった。 また、実施例8では8/10がごくわずか苦味を感じる程度のゼリー組成物と回答しており、苦いもしくは苦くて服用できないという回答は見られなかった。 【0029】 以上のことより、本発明により、漢方薬の苦味を良好にマスキングできる漢方ゼリー医薬組成物を得られることが判明した。 特にιカラギーナンを単独で使用することにより、高濃度に含有された漢方薬の苦味に対しても、優れたマスキング効果があることが認められ、更に、本発明により得た漢方ゼリー医薬組成物に甘味剤を用いることにより、漢方薬の有する苦味などの味をほとんど気にすることなく服用するとことが可能であった。 【0030】
【0031】 【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【発明の効果】
本発明においては、漢方薬のゼリー剤の基剤(リン酸塩の緩衝剤不含)にカラギーナン、カロブビーンガム、キサンタンガムなどの多糖類を少なくとも1種配合することにより、離漿しにくく、保存安定性に優れ、特に漢方薬に広く使用可能で、漢方薬の有する苦味などの味を気にすることなく服用できる漢方ゼリー医薬組成物を得ることができる。 また、本発明の漢方ゼリー医薬組成物は、例えば、25℃、60%RHで3年間の長期保存試験、または40℃、75%RHで6ヵ月間の加速試験などの医薬レベルでの試験においても、保存安定性を保証できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 3方シールしたステック包装容器を示す。
【符号の説明】
1 漢方ゼリー医薬組成物2 シール部分
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