3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベン、それを含む植物抽出物、及びその採取方法とその応用

申请号 JP2010285715 申请日 2010-12-22 公开(公告)号 JP5716385B2 公开(公告)日 2015-05-13
申请人 ライオン株式会社; 日本タブレット株式会社; 发明人 森嶋 清二; 数野 恵子; 平山 知子; 五十嵐 章紀; 久永 晃資; 大石 真嘉; 東野 正行;
摘要
权利要求

下記構造式(1)で示される3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベン。下記構造式(1)で示される3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベンの含有量が固形分の1質量%以上である、クロモジ属植物のクロモジ(LINDERA UMBELLATA)又はその亜種からの抽出物。下記構造式(1)で示される3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベンを有効成分とする抗生物剤。下記構造式(1)で示される3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベンを固形分の1質量%以上含有するクロモジ属植物のクロモジ(LINDERA UMBELLATA)又はその亜種からの抽出物からなる抗微生物剤。下記構造式(1)で示される3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベンを含有する口腔用組成物。下記構造式(1)で示される3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベンを固形分の1質量%以上含有するクロモジ属植物のクロモジ(LINDERA UMBELLATA)又はその亜種からの抽出物を含有する口腔用組成物。下記構造式(1)で示される3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベンを含有する皮膚又は毛髪用化粧料。下記構造式(1)で示される3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベンを固形分の1質量%以上含有するクロモジ属植物のクロモジ(LINDERA UMBELLATA)又はその亜種からの抽出物を含有する皮膚又は毛髪用化粧料。下記構造式(1)で示される3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベンを含有する洗浄用組成物。下記構造式(1)で示される3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベンを固形分の1質量%以上含有するクロモジ属植物のクロモジ(LINDERA UMBELLATA)又はその亜種からの抽出物を含有する洗浄用組成物。下記構造式(1)で示される3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベンを含有する飲食品。下記構造式(1)で示される3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベンを固形分の1質量%以上含有するクロモジ属植物のクロモジ(LINDERA UMBELLATA)又はその亜種からの抽出物を含有する飲食品。下記構造式(1)で示される3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベンと、下記構造式(2)で示される3,5−ジヒドロキシスチルベンとからなる混合物。下記構造式(1)で示される3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベンを固形分の1質量%以上含有すると共に、下記構造式(2)で示される3,5−ジヒドロキシスチルベンを固形分の1質量%以上含有するクロモジ属植物のクロモジ(LINDERA UMBELLATA)又はその亜種からの抽出物。請求項13記載の混合物を有効成分とする悪臭産生抑制剤。請求項14記載の抽出物からなる悪臭産生抑制剤。請求項13記載の混合物を含有する口腔用組成物。請求項14記載の抽出物を含有する口腔用組成物。請求項13記載の混合物を含有する皮膚又は毛髪用化粧料。請求項14記載の抽出物を含有する皮膚又は毛髪用化粧料。請求項13記載の混合物を含有する洗浄用組成物。請求項14記載の抽出物を含有する洗浄用組成物。請求項13記載の混合物を含有する飲食品。請求項14記載の抽出物を含有する飲食品。クロモジ属植物を40〜100質量%エタノール溶液で抽出し、その抽出液を50℃以下で減圧濃縮し、アルコール濃度を10〜30%(V/V)に調整した溶液を、多孔質構造を有する球状の架橋高分子に吸着し、40質量%未満のエタノール水溶液で溶出した画分を除去し、次いで、 (i)40〜70質量%エタノール水溶液での溶出処理、及び、70超〜100質量%エタノール水溶液での溶出処理を行って、 又は (ii)70超〜100質量%エタノール水溶液での溶出処理を行って、 70超〜100質量%エタノール水溶液による溶出物から3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベンを採取することを特徴とするクロモジ属植物の有効成分の採取方法。70超〜100質量%エタノール水溶液による溶出物をシリカゲルクロマトグラフィーで展開し、n−ヘキサンとアセトンとの混合比(V/V)18:1による溶出画分から最終8:1容量比とする溶出画分の間の溶出画分を採取して、3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベンを得る請求項25記載の採取方法。クロモジ属植物を40〜100質量%エタノール水溶液で抽出し、その抽出液を更に20〜40質量%エタノール水溶液で抽出し、その不溶部分を採取し、次いで40超〜100質量%エタノール水溶液で抽出してその可溶部分を採取することを特徴とする3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベンと3,5−ジヒドロキシスチルベンとの混合物の製造方法。上記可溶部分を50℃以下で減圧濃縮し、アルコール濃度を10〜30%(V/V)に調整した溶液を、多孔質構造を有する球状の架橋高分子で吸着処理し、次いで70質量%以上のエタノール水溶液又はエタノールにて溶離処理を行い、その溶離液を採取することを特徴とする請求項27記載の製造方法。クロモジ属植物を超臨界状態にある二酸化炭素と2〜10質量%エタノール水溶液との混合物を用いて抽出し、その可溶部を採取して、3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベンを得ることを特徴とするクロモジ属植物の有効成分の採取方法。クロモジ属植物を40〜100質量%エタノール水溶液で抽出し、その抽出液を超臨界状態にある二酸化炭素と2〜10質量%エタノール水溶液との混合物を用いて抽出し、その抽出液を採取して、3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベンを得ることを特徴とするクロモジ属植物の有効成分の採取方法。

说明书全文

本発明は、新規な3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベン、それを含む植物抽出物、抗生物剤等の応用、並びにクロモジ属植物の有効成分の採取方法を提供する。更に本発明は、3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベン及び3,5−ジヒドロキシスチルベンからなる混合物、それを含む悪臭産生抑制剤等の応用に関する。

細菌などの微生物の増殖は、疾患の誘発、汚染の拡大等、生体、環境に好ましくない状況を引き起こし、従来から様々な分野で抗菌剤や殺菌剤がこれらを改善する目的で使用されている。近年、環境への負荷等の問題から天然物由来の物質が注目されているが、効の点から合成殺菌剤に勝るものはほとんどないのが現状である。このようなことから、天然物由来で効果の高い抗微生物剤の開発が望まれている。

クロモジ属が属するクスノキ科植物は、精油成分に富み、桂皮、月桂樹などは抗菌性を有する精油が含有されていることが知られている。クロモジ属に関しても芳香に富み精油成分を多く含むことから、その精油をクロモジ油として化粧品や石鹸に、枝を爪楊枝などに使用されている。また、口腔用組成物に配合する技術として、クロモジを含む植物の有機溶媒抽出物を含有する口腔用組成物(特許文献1)、クロモジから抽出した精油を含むことを特徴とする口腔湿潤剤(特許文献2)が提案されている。

即ち、特許文献1では、クロモジエキスがストレプトコッカスミュータンスのグルコシルトランスフェラーゼを阻害することにより、歯垢の形成を抑制することが記載されており、特許文献2では、クロモジから抽出した精油により、義歯性カンジダ症が改善されたことが記載されている。このようにクロモジの抗菌、抗真菌作用は、従来から知られている。その他、クロモジの抗微生物作用を記載した技術として、抗ヘリコバクターピロリ剤(特許文献3)、抗インフルエンザウィルス剤(特許文献4)が挙げられる。

また、抗微生物活性以外にも、ニキビ、肌荒れやフケ防止のための化粧料(特許文献5)、メラニン産生抑制のための皮膚外用剤(特許文献6)、紫外線吸収剤(特許文献7)、プロテアーゼ阻害剤(特許文献8)など、クロモジの多様な機能が開示されている。

これらクロモジ成分の抽出法は、有機溶媒抽出後に減圧濃縮した技術(特許文献1、3〜8)、蒸気蒸留などにより得られる精油成分を用いる技術(特許文献2)に一般的に分けることができる。

しかしながら、有機溶媒抽出物は通常、茶褐色を呈し、製剤等に配合した場合、着色するだけでなく、経時的に変色を生じる問題があった。更に、クロマトグラフィー等により成分を分画し、着色変色に優れた画分を分取することも考えられるが、未だ詳細な分画方法は提案されていない。

また、クロモジ中の成分として、フラボノイド、カルコン、アルカロイドの報告(非特許文献1〜3)があるが、それらの機能については十分に解明されていないのが現状である。

特公昭64−7964号公報

特開2008−036343号公報

特開平11−1429号公報

特開2004−59463号公報

特開昭62−238207号公報

特開平7−277941号公報

特開平7−285841号公報

特開2001−122728号公報

Chem.Pharm.Bull 37(4)944−947(1989)

Phytochemistry 27(12)3937−3939(1988)

薬学雑誌 89(5)737−740(1969)

本発明は、上記事情に鑑み、クロモジ属植物に含有されている抗微生物活性及び悪臭産生抑制活性を有する成分を特定することにより、抗微生物剤、悪臭産生抑制剤として有効な新規物質、それを含む植物抽出物、及びその採取方法とその応用を提供することを目的とする。

本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、クロモジ属クロモジ(LINDERA UMBELLATA)の樹皮より親水性溶媒で抽出した抽出物を分画、精製することにより、高い抗微生物活性及び悪臭産生抑制活性が得られることを見出し、更に分画、精製を行うことにより、その活性本体が、下記構造式(1)で示される3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベン及び下記構造式(2)で示される3,5−ジヒドロキシスチルベンであることを特定した。更に、これら活性本体の含有量を高めること、即ち不純物を取り除くことにより、保存安定性にも優れたクロモジ属植物の抽出物を提供できることを見出した。

本発明にかかわる3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベンは、幅広い細菌種に対して高い抗菌、殺菌活性を有する、これまで報告されていない新規化合物であることが、本発明者らによって明らかとなった。また、3,5−ジヒドロキシスチルベンは、細菌の代謝酵素である分岐アミノ酸アミノトランスフェラーゼやメチオニンγリアーゼを阻害することにより、揮発性脂肪酸やメチルメルカプタン、硫化水素等の悪臭物質の産生を抑制することが本発明者らによって見出され、3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベンと併用することでその効果が飛躍的に向上することが明らかとなった。よって、これら活性成分が、抗微生物剤及び悪臭産生抑制剤の有効成分として有効であることが見出された。

これら化合物は、従来から知られていた上記植物の水蒸気蒸留等により得られる精油成分にはほとんど含まれない成分であり、有機溶媒又は含水有機溶媒、特に後述する適切な濃度のエタノール等の親水性有機溶媒により抽出されることが明らかとなった。更に、単に親水性溶媒により抽出したクロモジエキスには、これら化合物の活性を発現するに十分な含有量がないこと、及び活性を発現させるのに十分量のクロモジエキスを製剤へ配合した場合には製剤の着色のみならず、変色等の製剤安定性の問題が生じることがあることも明らかとなった。本発明者らは、これらの問題をも解決する目的で更に検討を行った結果、クロモジエキスを溶媒による分配抽出や各種クロマトグラフィーを組み合わせるなどして更に分画、精製することにより、活性成分である3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベン、3,5−ジヒドロキシスチルベンの含有量を高め、十分な効果を発現させると共に、製剤安定性に優れたクロモジ属植物の抽出物を得ることが可能となった。

従って、本発明は、下記の事項を提供する。 請求項1: 下記構造式(1)で示される3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベン。

請求項2: 下記構造式(1)で示される3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベンの含有量が固形分の1質量%以上である、クロモジ属植物のクロモジ(LINDERA UMBELLATA)又はその亜種からの抽出物。

請求項3: 下記構造式(1)で示される3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベンを有効成分とする抗微生物剤。

請求項4: 下記構造式(1)で示される3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベンを固形分の1質量%以上含有するクロモジ属植物のクロモジ(LINDERA UMBELLATA)又はその亜種からの抽出物からなる抗微生物剤。

請求項5: 下記構造式(1)で示される3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベンを含有する口腔用組成物。

請求項6: 下記構造式(1)で示される3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベンを固形分の1質量%以上含有するクロモジ属植物のクロモジ(LINDERA UMBELLATA)又はその亜種からの抽出物を含有する口腔用組成物。

請求項7: 下記構造式(1)で示される3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベンを含有する皮膚又は毛髪用化粧料。

請求項8: 下記構造式(1)で示される3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベンを固形分の1質量%以上含有するクロモジ属植物のクロモジ(LINDERA UMBELLATA)又はその亜種からの抽出物を含有する皮膚又は毛髪用化粧料。

請求項9: 下記構造式(1)で示される3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベンを含有する洗浄用組成物。

請求項10: 下記構造式(1)で示される3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベンを固形分の1質量%以上含有するクロモジ属植物のクロモジ(LINDERA UMBELLATA)又はその亜種からの抽出物を含有する洗浄用組成物。

請求項11: 下記構造式(1)で示される3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベンを含有する飲食品。

請求項12: 下記構造式(1)で示される3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベンを固形分の1質量%以上含有するクロモジ属植物のクロモジ(LINDERA UMBELLATA)又はその亜種からの抽出物を含有する飲食品。

請求項13: 下記構造式(1)で示される3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベンと、下記構造式(2)で示される3,5−ジヒドロキシスチルベンとからなる混合物。

請求項14: 下記構造式(1)で示される3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベンを固形分の1質量%以上含有すると共に、下記構造式(2)で示される3,5−ジヒドロキシスチルベンを固形分の1質量%以上含有するクロモジ属植物のクロモジ(LINDERA UMBELLATA)又はその亜種からの抽出物。

請求項15: 請求項13記載の混合物を有効成分とする悪臭産生抑制剤。 請求項16: 請求項14載の抽出物からなる悪臭産生抑制剤。 請求項17: 請求項13記載の混合物を含有する口腔用組成物。 請求項18: 請求項14載の抽出物を含有する口腔用組成物。 請求項19: 請求項13記載の混合物を含有する皮膚又は毛髪用化粧料。 請求項20: 請求項14載の抽出物を含有する皮膚又は毛髪用化粧料。 請求項21: 請求項13記載の混合物を含有する洗浄用組成物。 請求項22: 請求項14載の抽出物を含有する洗浄用組成物。 請求項23: 請求項13記載の混合物を含有する飲食品。 請求項24: 請求項14載の抽出物を含有する飲食品。 請求項25: クロモジ属植物を40〜100質量%エタノール水溶液で抽出し、その抽出液を50℃以下で減圧濃縮し、アルコール濃度を10〜30%(V/V)に調整した溶液を、多孔質構造を有する球状の架橋高分子に吸着し、40質量%未満のエタノール水溶液で溶出した画分を除去し、次いで (i)40〜70質量%エタノール水溶液での溶出処理、及び、70超〜100質量%エタノール水溶液での溶出処理を行って、 又は (ii)70超〜100質量%エタノール水溶液での溶出処理を行って、 70超〜100質量%エタノール水溶液による溶出物から3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベンを採取することを特徴とするクロモジ属植物の有効成分の採取方法。 請求項26: 70超〜100質量%エタノール水溶液による溶出物をシリカゲルクロマトグラフィーで展開し、n−ヘキサンとアセトンとの混合比(V/V)18:1による溶出画分から最終8:1容量比とする溶出画分の間の溶出画分を採取して、3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベンを得る請求項25記載の採取方法。 請求項27: クロモジ属植物を40〜100質量%エタノール水溶液で抽出し、その抽出液を更に20〜40質量%エタノール水溶液で抽出し、その不溶部分を採取し、次いで40超〜100質量%エタノール水溶液で抽出してその可溶部分を採取することを特徴とする3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベンと3,5−ジヒドロキシスチルベンとの混合物の製造方法。 請求項28: 上記可溶部分を50℃以下で減圧濃縮し、アルコール濃度を10〜30%(V/V)に調整した溶液を、多孔質構造を有する球状の架橋高分子で吸着処理し、次いで70質量%以上のエタノール水溶液又はエタノールにて溶離処理を行い、その溶離液を採取することを特徴とする請求項27記載の製造方法。 請求項29: クロモジ属植物を超臨界状態にある二酸化炭素と2〜10質量%エタノール水溶液との混合物を用いて抽出し、その可溶部を採取して、3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベン得ることを特徴とするクロモジ属植物の有効成分の採取方法。 請求項30: クロモジ属植物を40〜100質量%エタノール水溶液で抽出し、その抽出液を超臨界状態にある二酸化炭素と2〜10質量%エタノール水溶液との混合物を用いて抽出し、その抽出液を採取して、3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベン得ることを特徴とするクロモジ属植物の有効成分の採取方法。

本発明の抗微生物剤及び悪臭産生抑制剤によれば、微生物による種々の感染症予防並びに微生物由来の悪臭産生を抑制する効果が期待できる。即ち、口腔内領域においては、う蝕、歯周病の予防・治療手段として、皮膚領域においては化膿性疾患等の予防・治療手段として、更に口腔、皮膚分野以外においても細菌感染症の有効な予防・治療手段を提供するだけでなく、様々な製品に配合することにより防腐効果も期待できる。また、微生物が原因となる口臭、腋臭、足臭等、体臭の抑制や洗濯物、衣類のムレ臭の抑制、生ゴミの腐敗臭抑制など、悪臭産生に対しても有効な手段を提供することが可能である。 本発明の抗微生物剤並びに悪臭産生抑制剤は、天然に存在するクロモジ属植物由来であり、人体、動物、環境に負荷をかけないため、様々な食品、飲料、医薬品、医薬部外品、化粧品、雑貨に応用することが可能であり、国民の健康の増進だけでなく、快適な生活を送ることに寄与できることが期待できる。 本発明の製造又は採取方法によれば、上記製剤及び組成物に配合できるクロモジ属植物抽出物を工業的に有利に得ることができる。

クロモジエキスの分画・精製方法のフローチャートである。

調製例7の

1H−NMR(500MHz、重メタノール)スペクトルを示す。

調製例7の

13C−NMR(125MHz、重メタノール)スペクトルを示す。

調製例7のESIMS(neg)スペクトルを示す。

調製例7のEIMS(pos、TMS誘導体)スペクトルを示す。

調製例7のUVスペクトルを示す。

調製例7のIRスペクトルを示す。

調製例6の

1H−NMR(500MHz、重メタノール)スペクトルを示す。

調製例6の

13C−NMR(125MHz、重メタノール)スペクトルを示す。

調製例6のESIMS(neg)スペクトルを示す。

調製例6のEIMS(pos、TMS誘導体)スペクトルを示す。

調製例6のUVスペクトルを示す。

調製例6のIRスペクトルを示す。

クロモジからクロモジエキスを抽出するフローチャートである。

クロモジからクロモジエキスを超臨界抽出するフローチャートである。

以下、本発明につき更に詳細に説明する。 本発明の3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベンは、新規物質であり、下記構造式(1)で示される。本発明の抗微生物剤は、下記構造式(1)で示される3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベンを有効成分とする。また、本発明の悪臭産生抑制剤は、下記構造式(1)で示される3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベンと、下記構造式(2)で示される3,5−ジヒドロキシスチルベンとを有効成分とする。これら有効成分は、クロモジ属植物、特にクロモジ(LINDERA UMBELLATA)又はその亜種からの溶媒抽出により得ることができる活性成分である。これら活性成分としては、活性成分をそのまま用いてもよいが、活性成分を高濃度で含むクロモジ属植物の抽出物を用いることもできる。活性成分を高濃度で含むクロモジ属植物の抽出物としては、特に活性成分である式(1)の3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベン、又は式(1)の3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベン及び式(2)の3,5−ジヒドロキシスチルベンの含有量が固形分の1質量%以上、特に3質量%以上であるクロモジ属植物抽出物が好ましく、各種製剤に有効に配合することができる。

本発明では、クロモジ属植物を40〜100質量%、好ましくは60〜90質量%エタノール水溶液で抽出し、その抽出液を50℃以下で減圧濃縮し、アルコール濃度を10〜30%(V/V)に調整した溶液を、多孔質構造を有する球状の架橋高分子、例えばスチレンジビニルベンゼン系合成樹脂、具体的には三菱化学(株)製のダイアイオンHP−20等に吸着し、40質量%未満、好ましくは30質量%未満のエタノール水溶液で溶出した画分を除去し、次いで40〜70質量%、好ましくは50〜70質量%エタノール水溶液での溶出処理、及び/又は、70超〜100質量%、好ましくは70超〜90質量%エタノール水溶液での溶出処理を行って、40〜70質量%、好ましくは50〜70質量%エタノール水溶液による溶出物から3,5−ジヒドロキシスチルベンを採取し、及び/又は、70超〜100質量%、好ましくは70超〜90質量%エタノール水溶液による溶出物から3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベンを採取することにより、クロモジ属植物の有効成分を採取することができる。 この場合、40〜70質量%、好ましくは50〜70質量%エタノール水溶液による溶出物を50℃以下で減圧濃縮し、その濃縮エキスを全多孔性球状又は破砕状シリカゲルにオクタデシル基を化学結合した担体、例えばナカライテスク(株)製 コスモシール 75C18−OPN等に吸着し、50〜80質量%メタノール水溶液で溶離して3画分に展開し、その中央の画分を採取して、3,5−ジヒドロキシスチルベンを得ることが好ましい。 またこの場合、70超〜100質量%、好ましくは70超〜90質量%エタノール水溶液による溶出物をシリカゲルクロマトグラフィーで展開し、n−ヘキサンとアセトンとの混合比(V/V)18:1による溶出画分から最終8:1容量比とする溶出画分の間の溶出画分を採取して、3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベンを得ることが好ましい。

また本発明では、クロモジ属植物を40〜100質量%、好ましくは60〜90質量%エタノール水溶液で抽出し、その抽出液を更に20〜40質量%エタノール水溶液で抽出し、その不溶部分を採取し、次いで40超〜100質量%、好ましくは40超〜60質量%エタノール水溶液で抽出してその可溶部分を採取することにより、3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベンと3,5−ジヒドロキシスチルベンとの混合物を製造することができる。 この場合、上記可溶部分を50℃以下で減圧濃縮し、アルコール濃度を10〜30%(V/V)に調整した溶液を、多孔質構造を有する球状の架橋高分子で吸着処理し、次いで70質量%以上、好ましくは90質量%以上のエタノール水溶液又はエタノールにて溶離処理を行い、その溶離液を採取することが好ましい。なお、多孔質構造を有する球状の架橋高分子としては、上記と同様のものを使用できる。

ここで、クロモジ属植物は、植物全体を原料とすることができるが、その一部(枝、幹、根、芽、葉、花、果実等)を用いることもできる。特に枝、幹、根を用いることが目的化合物の収率の観点から好ましい。また、起原植物もクロモジ属に属する植物であればよい。具体的には、オキナワコウバシ(Lindera communis var.okinawensis)、カナクギノキ(Lindera erythrocarpa)、ヤマコウバシ(Lindera glauca)、ダンコウバイ(Lindera obtusiloba)、ウラゲダンコウバイ(Lindera obtusiloba f.villosa)、ケクロモジ(Lindera sericea)、ウスゲクロモジ(Lindera sericea var.glabrata)、テンダイウヤク(Lindera strychnifolia)、クロモジ(Lindera umbellata)、キミノオオバクロモジ(Lindera umbellata var.aurantiaca)、ヒメクロモジ(Lindera umbellata var.lancea)、オオバクロモジ(Lindera umbellata var.membranacea)、アオモジ(Lindera citriodora)、アブラチャン(Lindera praecox)、ホソバアブラチャン(Parabenzoin praecox f.angustifolium)、ケアブラチャン(Lindera praecox var.pubescens)、シロモジ(Lindera triloba)、マルバシロモジ(Parabenzoin trilobum f.integrum)、ケシロモジ(Parabenzoin trilobum f.pilosum)などを好適に使用することが可能であるが、特にクロモジ種である、クロモジ(Lindera umbellata)及びその亜種であるキミノオオバクロモジ(Lindera umbellata var.aurantiaca)、ヒメクロモジ(Lindera umbellata var.lancea)、オオバクロモジ(Lindera umbellata var.membranacea)がより好適に使用できる。 これら原料となるクロモジ種植物は、乾燥状態が好ましいが、湿潤状態であっても用いることができる。

クロモジ属植物からの抽出は、低級アルコールや、グリセリン、プロピレングリコール等の多価アルコール、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の飽和炭化水素、酢酸エチル、アセトン、石油エーテル、酸性溶液、アルカリ性溶液などの1種を単独で又は2種以上を混合したものを用いて行うことができる。これらの中でも有機溶媒により効率よく抽出することができ、特に親水性有機溶媒が抽出効率の観点から優れている。とりわけ炭素数1〜4の低級アルコール、即ちメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、又はこれらの混液がより好ましく使用できる。更に、これら水溶性有機溶媒は、含水有機溶媒であることがさらに好ましく、特に30〜95質量%濃度の含水アルコールで抽出すると目的成分をより効率良く抽出できることから、最も好ましい。 これら抽出溶媒は、抽出原料に対して質量比で1〜50倍程度が好ましく、通常2〜20倍用いることが特に好ましい。

抽出液は、濾過、遠心分離等により固形物を取り除き、濃縮後、粗抽出画分を得ることができる。この粗抽出画分にも活性物質である3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベン及び3,5−ジヒドロキシスチルベンが含有されているため、かかる粗抽出画分をそのまま組成物に添加しても良いが、組成物の安定性確保の観点から更に分画、精製したものを用いることが好ましい。

この場合、分画、精製は、溶媒による分配抽出や各種クロマトグラフィーを組み合わせて行うことができる。目的物質の分子量や物理化学的性質を考慮して、担体、溶出溶媒の条件は各種クロマトグラフィーに対応した方法を適宜選択することができる。

更に、使用目的に応じて抽出物中の抗微生物剤と悪臭産生抑制剤の量比を変えるため、これら2種の活性成分である3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベン及び3,5−ジヒドロキシスチルベンを分画する方法は、例えば以下の方法に準じて行うことができる。

即ち、第一の方法として、吸着剤による吸着工程と溶離工程を含む方法、即ち、粉砕したクロモジの樹皮を含水エタノール等の親水性有機溶媒で抽出し、ガラスフィルターで固形物を除き、減圧濃縮した粗抽出物を、活性炭やダイアイオンHP−20(三菱化学(株))等の多孔質構造を有する球状の架橋高分子を担体に用いた吸着カラムクロマトグラフィーに供し、目的成分を吸着させた後、水、含水エタノール、エタノール等の溶離溶媒により順次溶離させることにより分画することができる。この場合、3,5−ジヒドロキシスチルベンは極性の高い溶媒、例えば約30〜60質量%エタノールにより多く溶出され(以下、溶出部Aと記す。)、3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベンはより極性の低い溶媒、例えば約60〜90質量%エタノールにより多く溶出(以下、溶出部Bと記す。)されることから、これら2種の活性物質を分離することができる。分離後は、酸性白土、珪藻土などで脱色処理することができる。

このような工程を行うことによって、3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベン、3,5−ジヒドロキシスチルベンが、それぞれ抽出物固形分の1質量%以上、特に5質量%以上、とりわけ7質量%以上20質量%以下含有するものを調製することができ、これを、式(1)及び/又は式(2)の活性成分を高濃度で含むクロモジ属植物の抽出物として用いることができる。

溶出部A及び溶出部Bは、更にODS担体(オクタデシルシリル基が化学結合した担体)を用いた逆相クロマトグラフィー、シリカゲル担体を用いた順相クロマトグラフィーに供することにより目的成分を精製することができる。

また、第一の方法として記載した前記吸着剤による吸着工程と溶離工程を含む製造法に加え、第二の方法として、超臨界状態にある二酸化炭素と接触させることによる超臨界抽出方法も、有効性及び安定性の観点から、好ましいクロモジ属植物の抽出物を得る方法として好適に採用することができる。この場合、クロモジ属植物の粉砕物を、例えば、エタノールなどの有機溶媒と共に超臨界抽出することにより目的の成分を抽出することができるが、前記吸着工程と溶離工程により製造した抽出物を更に超臨界抽出することも可能であり、この際、抽出物を超臨界抽出する前に脱色を目的としてセルロースパウダー等に分散、吸着させることもできる。

即ち、本発明では、クロモジ属植物を超臨界状態にある二酸化炭素と2〜10質量%エタノール水溶液との混合物を用いて抽出し、その可溶部を採取して、クロモジ属植物の有効成分を採取することにより、3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベン及び/又は3,5−ジヒドロキシスチルベンを得ることもできる。 また更に、クロモジ属植物を40〜100質量%、好ましくは60〜90質量%エタノール水溶液で抽出し、その抽出液を超臨界状態にある二酸化炭素と2〜10質量%エタノール水溶液との混合物を用いて抽出し、その抽出液を採取して、クロモジ属植物の有効成分を採取することにより、3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベン及び/又は3,5−ジヒドロキシスチルベンを得ることもできる。

なお、超臨界抽出の条件は特に限定されないが、温度40〜80℃、圧力15〜45M pa、抽出時間1〜6時間の条件で抽出することが好ましい。 このような超臨界抽出の工程を行うことによって、通常は3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベンと3,5−ジヒドロキシスチルベンとの混合物が得られるが、抽出条件を適宜調整することで、3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベン又は3,5−ジヒドロキシスチルベンを単独で得ることもできる。また、必要により、得られた混合物から3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベン又は3,5−ジヒドロキシスチルベンを単離することもできる。この場合、3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベン、3,5−ジヒドロキシスチルベンを、これらの混合物として又は単独で、それぞれ抽出物固形分の1質量%以上、特に3質量%以上20質量%以下含有するものを調製することができ、これを、式(1)及び/又は式(2)の活性成分を高濃度で含むクロモジ属植物抽出物として用いることができる。

このようにして得られた上記式(1)で示される3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベン、又はそれを高濃度で含むクロモジ属植物の抽出物は、極めて高い抗微生物活性を有していることが明らかとなり、抗微生物剤として有効に使用できる。また、上記式(2)で示される3,5−ジヒドロキシスチルベン、又はそれを高濃度含むクロモジ属植物の抽出物は、悪臭産生抑制活性が認められ、更に、これら両者を組み合わせて使用することにより飛躍的に悪臭産生抑制活性が高まることも明らかとなり、悪臭産生抑制剤として有効に使用できる。

本発明の抗微生物活性剤及び悪臭産生抑制剤は、口腔用組成物、皮膚、毛髪用化粧料、洗浄用組成物、飲食品などに上述の目的で配合することができる。

本発明にかかわる抗微生物剤及び悪臭産生抑制剤を前記組成物に配合する場合、その配合量は3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベン量及び3,5−ジヒドロキシスチルベン量に換算(純分換算)して決定される。 抗微生物効果を期待する場合には、組成物全体に対して、3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベン量に換算して0.00001〜3質量%、特に0.0005〜1質量%を配合することが、効果発現及び組成物の使用感、使用性確保の観点から好ましい。配合量が0.00001質量%未満であると、十分な抗微生物活性が発現せず、また、3質量%を超えて配合した場合は、組成物の使用感、使用性に問題が生じ、味、におい等の違和感、溶解不良等を生ずる場合がある。

また、悪臭産生抑制効果を期待する場合には、組成物全体に対して、3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベン量及び3,5−ジヒドロキシスチルベン量に換算して総和で0.0001〜3質量%、特に0.0005〜1質量%、とりわけ0.001〜0.8質量%を配合することが、効果発現及び組成物の使用感、使用製確保の観点から好ましい。3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベン量及び3,5−ジヒドロキシスチルベン量の総和が0.0001質量%未満であると、十分な悪臭産生抑制活性が発現せず、また、3質量%を超えて配合した場合は、組成物の使用感、使用性に問題が生じ、味、におい等の違和感、溶解不良等を生ずる場合がある。 なお、3,5−ジヒドロキシスチルベン量は、組成物全体の0.0001〜2質量%、特に0.001〜1質量%であることが好適である。

更に、上記式(1)及び(2)の活性成分として、分画精製を施したクロモジエキスを用いる場合、高濃度で組成物に配合する場合は、エキス中の不純物により組成物の着色、変色等の問題が生じることがある。この場合、エキスの配合量は、組成物全体の10質量%未満が変色を防止するという観点から好ましく、下限は0.001質量%以上、とりわけ0.01質量%以上が好ましい。

また、上記組成物の調製にあたっては、上記抗微生物剤及び悪臭産生抑制剤に加えて、その他の成分として、本発明の効果を損なわない範囲で通常、口腔用組成物、皮膚又は毛髪用化粧料、洗浄用組成物、飲食品などに用いられる公知成分を配合することができる。

本発明の抗微生物剤、悪臭産生抑制剤は、各種製剤に配合して利用することができ、例えば皮膚外用剤、皮膚又は毛髪化粧料、口腔用組成物等の人体や動物に適用される製品に利用することができる。具体的に、皮膚外用剤あるいは皮膚化粧料としては、クリーム、ハンドクリーム、乳液、化粧水、ローション、石鹸、ハンドソープ、ボディーソープ、制汗剤、水虫薬、ニキビ治療剤、消毒剤、美白剤、貼付剤、パック剤、目薬などに配合することができる。毛髪化粧料としては、シャンプー、リンス、トリートメント、トニック、育毛剤、ヘアジェル、ヘアワックス、ヘアクリーム、ヘアフォーム、ヘアスプレー、ヘアウォーターなどに配合することができる。口腔用組成物としては、歯磨剤、洗口剤、歯肉マッサージクリームなどに配合することができる。

また、本発明の抗微生物剤、悪臭産生抑制剤は、衣料用組成物、台所用組成物、住居用組成物などの洗浄用組成物にも利用することができる。例えば、衣料用の洗浄用組成物としては、衣類用洗剤、衣類用洗剤前処理剤、運動靴用洗剤、柔軟剤、漂白剤、リンス剤、撥水剤、耐電防止剤などに配合することができる。台所用の洗浄用組成物としては、食器用洗剤、野菜用洗剤、レンジ用洗剤、自動食器洗浄機用洗剤等に配合することができる。住居用の洗浄用組成物としては、トイレ用洗剤、浴室浴槽用洗剤、窓用洗剤、家具・床・畳用洗剤、室内芳香消臭剤、エアコン用洗浄消臭剤などに配合することができる。

更に、本発明の抗微生物剤、悪臭産生抑制剤は、各種の食品組成物、例えば特定保健用食品、栄養機能食品などを含む、あらゆる機能性食品に利用することができる。

これら本発明にかかわる組成物は、組成物の使用目的、種類、剤型などに応じた公知の配合成分を適宜選択して配合し、常法により調製できる。例えば、界面活性剤、油分、アルコール類、保湿剤、増粘剤、キレート剤、pH調整剤、香料、色素、紫外線吸収・散乱剤、ビタミン類、水等を必要に応じて適宜配合することができる。なお、任意成分はこれらに限定されるものではなく、本発明の効果を妨げない範囲で配合することができる。

本発明の口腔用組成物は、固体、固形物、液体、液状、ゲル体、ペースト状、ガム状などの形態にすることができ、練歯磨、液体歯磨、液状歯磨、潤製歯磨等の歯磨剤、洗口剤、歯肉マッサージクリーム、口腔用パスタ、マウスウォッシュ、トローチ剤、チューイングガム等の様々な剤型にすることが可能である。その製造方法も剤型に応じた常法を採用することができる。

口腔用組成物では、その目的、組成物の剤型等に応じて上述した必須成分以外にも適宜、その他の任意成分を配合でき、例えば練歯磨の場合は、公知の研磨剤、粘稠剤、粘結剤、界面活性剤、更に必要により甘味剤、防腐剤、有効成分、色素、香料等を配合でき、これら成分と水とを混合し製造できる。

具体的に歯磨類の場合には、研磨剤として、第2リン酸水素カルシウム・無水和物及び2水和物、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、無水ケイ酸、その他合成樹脂等の1種又は2種以上を配合できる(配合量は通常5〜60質量%、練歯磨の場合には10〜55質量%)。

また、練歯磨等のペースト状組成物の場合には、粘結剤としてカラギーナン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース等のアルギン酸誘導体、キサンタンガム等のガム類、ポリビニルアルコール等の合成粘結剤、シリカゲル等の無機粘結剤等の1種又は2種以上を配合することができる(配合量は通常0.3〜10質量%)。

粘稠剤としては、グリセリン、プロピレングリコール等の多価アルコール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、エリスリトール等の糖アルコールなどの1種又は2種以上を配合することができる(配合量は通常5〜70質量%)。

界面活性剤としては、通常配合される公知のノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤を配合できる。

界面活性剤の配合量は、組成物の形態、使用目的等に応じて適宜選択される。例えば、練歯磨には0〜10質量%、特に0.1〜5質量%、液体歯磨及び洗口剤には0〜5質量%配合することができる。

甘味剤としては、サッカリンナトリウム等を配合することができる。

香料は、ペパーミント油、スペアミント油等の天然香料、及び、これら天然香料の加工処理(前溜部カット、後溜部カット、分留、液液抽出、エッセンス化、粉末香料化等)した香料、及び、メントール、カルボン、アネトール等の単品香料、更に、ストロベリーフレーバー、アップルフレーバー、バナナフレーバー、パイナップルフレーバー、グレープフレーバー、マンゴーフレーバー、バターフレーバー、ミルクフレーバー、フルーツミックスフレーバー、トロピカルフルーツフレーバー等の調合香料等、口腔用組成物に用いられる公知の香料素材を使用することができ、実施例の香料に限定されない。 また、配合量も特に限定されないが、上記の香料素材は、製剤組成中に0.000001〜1質量%使用するのが好ましい。また、上記香料素材を使用した賦香用香料としては、製剤組成中に0.001〜2.0質量%使用するのが好ましい。

本発明の口腔用組成物には、上記式(1)及び(2)の化合物に加えて、その他の有効成分として、例えば酵素、フッ化物、ビタミン類及びそれらの誘導体などの公知の有効成分の1種又は2種以上を配合できる。なお、配合量は本発明の効果を妨げない範囲で有効量とすることができる(配合量は通常0.0001〜5.0質量%)。

本発明の口腔用組成物は、アルミニウムチューブ、アルミニウム箔の両面をプラスチック等でラミネートしたラミネートチューブ、プラスチックチューブ、あるいは、ボトル状容器、エアゾール容器等の所定の容器に入れて使用することができる。

また、本発明の皮膚又は毛髪化粧料は、水溶液系、可溶化系、乳化系、油液系、ゲル系、ペースト系、軟膏系、エアゾール系、水−油2層系、水−油−粉末3層系等の剤型にすることができる。即ち、化粧料などの皮膚又は毛髪外用剤であれば、ボディーソープ、洗顔料、化粧水、シャンプー、リンス、ヘアコンディショナー、ヘアトニック、乳液、クリーム、ジェル、パック、マスク、ミスト、スプレー、含浸シート、マスカラ、ファンデーション、貼付剤、分散剤、エアゾールスプレー、スティックタイプ等の様々な剤型にすることが可能であり、その製造方法も剤型に応じた常法を採用することができる。

この場合、皮膚又は毛髪化粧料は、その目的、組成物の剤型等に応じて上述した成分以外にも適宜、その他の公知の任意成分を必要に応じて配合することができる。例えば、消臭又は防臭効果を高めるため消臭機能を有する無機粒子、制汗剤、キレート剤などを適宜配合することができる。

ここで、消臭機能を有する無機粒子としては、例えば、ケイ酸、無水ケイ酸、酸化亜鉛、酸化アルミニウム等やこれらの複合物;タルク等の天然物などが挙げられ、これらは1種単独又は2種以上の混合物として用いることができる(配合量は通常0.01〜60質量%)。

前記無機粒子の形状は、球状、板状、粒状、針状等、特に限定するものではないが、肌に塗布したときの使用感から、球状のものが好ましい。また、粒子の粒径は使用感の点より0.1〜50μmが好ましく、より好ましくは0.3〜20μmである。

制汗成分としては、例えば、塩化アルミニウム等の収斂作用を有する単体塩類、又はこれらの単体塩類を含有するグリコール複合体やアミノ酸複合体などが挙げられ、これらは1種単独又は2種以上の混合物として用いることができる(配合量は通常1.0〜50.0質量%)。

キレート剤としては、クエン酸、酒石酸又はこれらのナトリウム塩、カリウム塩などが挙げられ、これらは1種単独又は2種以上の混合物として用いることができる(配合量は通常0.01〜5質量%)。

皮膚又は毛髪化粧料には、更に、液体油脂、固体油脂等の油脂類、ロウ類、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、合成エステル油、シリコーン類、各種の界面活性剤、水、高分子化合物、増粘剤、ビタミン剤、ホルモン剤等の薬効成分、香料、色素、乳化安定剤、pH調整剤、収斂剤、清涼剤などを配合し、目的に応じた組成物を製造することができる。 なお、これらの任意成分は、限定されるものではなく、配合量も本発明の効果を妨げない範囲で通常量とすることができる。

界面活性剤としては、通常これら製剤に用いられる公知のノニオン性界面活性剤などを配合でき、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。 界面活性剤の配合量は、通常0〜20質量%の範囲内で用いることが好ましい。

更に、これら組成物はエアゾール組成物として製造することもでき、この場合、前記組成物と、噴射剤とを含み、エアゾール容器に充填することができ、例えば制汗デオドラント剤含有エアゾール組成物などとすることができる。

噴射剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エタン、プロパン、エチレン、イソブタン、ノルマルブタン、プロピレン、イソペンタン、ネオペンタン、ノルマルペンタン、シクロペンタン、2,3−ジメチルブタン、ジメチルエーテル、圧縮ガス(二酸化炭素、窒素、空気又はこれらの混合ガス等)が挙げられ、これらの中の1種又は2種以上を使用できる(配合量は通常80〜99質量%)。

また、前記エアゾール容器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、容器本体、該容器本体の開口部に固着するバルブ、及び噴射用ボタンからなるものが挙げられる。

この場合、容器本体の材質としては、例えば、アルミニウム、ステンレススチールなどの金属、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂、及び耐圧ガラスなどが挙げられる。

更に、前記制汗デオドラント剤含有エアゾール組成物は、公知の方法で前記エアゾール容器に充填され、充填方法としては、例えば、冷却充填法、加圧充填法、アンダーカップ充填法などが挙げられる。

また、本発明にかかわる洗浄用組成物の場合には、通常添加される公知の添加剤等を使用することができる。具体的には、界面活性剤、溶剤、更に必要により香料、pH調整剤や、その他公知の水溶性高分子、安定化剤、天然抽出物、色素などを任意に配合することができる。

洗浄あるいは起泡等の目的により、界面活性剤を適宜配合することができる。 界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等、通常使用されるものを用いることができる(配合量は通常5〜70質量%)。

また、成分の溶解等の目的により、溶剤を適宜配合することができる。溶剤の具体例としては、水の他、メタノール、エタノール等の低級一価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコールなどが挙げられる。溶剤の含有量としては、5〜60質量%が好ましく、更に、10〜30質量%が好ましい。溶剤は、単独又は2種以上を用いてもよい。

更に、賦香等の目的により、香料を適宜配合することができる。香料成分は、特に限定するものではなく、公知の香料を配合できる。具体例としては、脂肪族炭化水素等の炭化水素類、脂肪族アルコール等のエーテル類、オキサイド類、アルデヒド類、ケトン類、酸類、ラクトン類、エステル類、含窒素化合物等々の合成香料及び植物からの天然香料を挙げることができる。香料成分は、単独又は2種以上を用いてもよく、通常複数が用いられる。

pH調整等の目的により、適宜添加することができるpH調整剤は、特に限定するものではないが、具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、クエン酸及びその塩、安息香酸及びその塩、リンゴ酸及びその塩、塩酸、硫酸及びその塩、リン酸及びその塩などが挙げられる。

また、本発明にかかわる飲食品としては、例えば、飴、キャンディ、ガム、グミゼリー、錠菓等が挙げられる。これら飲食品には、通常添加される公知成分を添加することができる。具体的には、糖類、有機酸、タンパク質類、油脂類、更に必要により、香料、アミノ酸類、ビタミン類などを任意に配合することができる。

以下、調製例、実験例、実施例及び比較例、処方例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、以下の例において示される%はいずれも質量%である。また、Meはメチル基、Etはエチル基である。

〔調製例〕 〈抗微生物画分の調製〉 クロモジエキス中に存在する活性成分を特定する目的で、クロモジの乾燥枝より下記に示す方法により成分を分画し、図1のフローチャートに従って実施し、得られた化合物を同定した。 クロモジの乾燥枝、500gを50℃に加熱した70%エタノール2.5Lで抽出を行い、冷後、濾過により固形物を取り除き、濾液を50℃以下の条件で減圧濃縮し、クロモジエキス約26gを得た(比較調製例1)。このものをダイアイオンHP−20に吸着させ、30%エタノール100mLで溶出、次いで60%エタノール100mLで溶出、最後に80%エタノール100mLで溶出した。各々の溶出画分は減圧濃縮によりエキスとしてそれぞれ、10g(比較調製例2)、6g(調製例1)、8g(調製例2)を得た。後述に記載の方法により抗微生物活性及び酵素阻害活性を測定したところ、抗微生物活性は調製例2の画分に、酵素阻害活性は調製例1の画分に存在することが認められたため、これら2画分を更に精製し、その成分を特定した。

即ち、調製例1のエキス2gを液体カラムクロマトグラフィー(Cosmosil 75C18−OPN(ナカライテスク(株)))にアプライし、50%メタノールにより3画分に分画した(比較調製例3、調製例3、比較調製例4)。これらの中で最も酵素阻害活性が高い画分(調製例3)のメインピークをHPLCにより分取、純度100%の精製品を600mg得た(調製例6)。

一方、調製例2の画分はシリカゲルクロマトグラフィーにアプライし、n−ヘキサン:アセトン混液の容量比20:1、15:1、10:1、7:1、5:1で順次溶出し、5つの画分に分画した(比較調製例5、調製例4、調製例5、比較調製例6、比較調製例7)。最も活性の高いn−ヘキサン:アセトンが10:1で溶出した画分と15:1で溶出した画分を合わせ、Cosmosil 75C18−OPNを用いて、50%アセトニトリルにより、メインピーク画分を分取し、純度98%の精製品を650mg得た(調製例7)。

調製例6、7で示される、クロモジエキス中の活性成分について、1H−NMR(500MHz、重メタノール)、13C−NMR(125MHz、重メタノール)、ESIMS(neg)、EIMS(pos、TMS誘導体)、UV、IRの各スペクトルを測定した。結果は下記の通りである。調製例7の各スペクトルと化学構造解析結果を図2〜7に示す。その結果から、調製例7は3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベンであると同定された。また、調製例6の各スペクトルと化学構造解析結果を図8〜13に示す。その結果から、調製例6はピノシルビン(3,5−ジヒドロキシスチルベン)であると同定された。

調製例6: 1H−NMR(500MHz、重メタノール):δ=6.15−6.25(1H、t)、6.45−6.55(2H、d)、6.9−7.1(2H、dd)、7.15−7.25(1H、t)、7.3−7.4(2H、t)、7.45−7.55(2H、d) 13C−NMR(125MHz、重メタノール):δ=103.0−103.5、105.8−106.4、127.3−127.6、128.4−128.6、129.4−129.6、129.5−129.8、129.8−130.1、138.7−138.9、140.6−140.9、159.6−159.9 ESIMS(neg):m/z=211.0820[M−H]−(Calcd.for C14H11O2 211.0759)、m/z=225.0439[M−H+CH2]-、 EIMS(pos、TMS誘導体):m/z=356.1616[M+2(C3H8Si)]+(Calcd.for C20H28O2Si2 356.1628)、 m/z=341.1391[M+2(C3H8Si)−CH3]+、 UV:λMax(MeOH)306nm(logε 4.44) IR:(KBr) νMax 3350cm-1(OH),1650cm-1,1450cm-1,830cm-1(C=C)

調製例7: 1H−NMR(500MHz、重メタノール):δ=0.6−0.75(3H、d)、0.75−0.8(3H、d)、1.35−1.65(2H)、1.7−1.85(5H)、2.0−2.3(3H)、5.3−5.4(1H、s)、6.2−6.3(1H、s)、6.5−6.6(1H、s)、6.7−6.8(1H、d)、7.1−7.25(1H)、7.25−7.35(2H、d)、7.35−7.45(2H、d)、7.65−7.85(1H) 13C−NMR(125MHz、重メタノール):δ=16.7−17.3、21.7−22.3、23.6−24.0、24.0−24.5、28.8−30.3、32.2−32.6、37.6−38.3、102.6−103.1、105.4−105.9、122.1−122.6、127.0−127.5、128.0−128.4、128.4−128.7、129.2−129.5、129.5−129.8、129.9−130.2、133.2−133.8、139.3−139.8、139.8−140.3、156.6−157.0、157.8−158.2 ESIMS(neg):m/z=347.2000[M−H]-(Calcd.for C24H27O2 347.2011)、m/z=333.1841[M−CH3]-、 m/z=361.1790[M−H+CH2]-、 EIMS(pos、TMS誘導体):m/z=492.2836[M+2(C3H8Si)]+(Calcd.for C30H44O2Si2 492.2880)、 m/z=422.2025[M+2(C3H8Si)−C5H10]+、 UV:λMax(MeOH)306nm(logε 4.31) IR:(KBr) νMax 3350cm-1(OH),1650cm-1,1450cm-1,830cm-1(C=C)

〈クロモジエキスの調製〉 クロモジの乾燥枝を用いて、図14に示すフローチャートに従って、下記に示す抽出方法で成分を抽出、分画した。

中国産クロモジの乾燥枝5kgを、50℃に加熱した80%エタノール25Lで2時間、加熱抽出を2回行い、冷後、濾過により固形物を取り除き、濾液を50℃以下の条件で減圧濃縮し、クロモジエキス約300g(水分含量25%:比較調製例8)を得た。 得られたクロモジエキス300gに30%エタノール1,000mLを加え、50℃に加温しながら1時間撹拌後、一昼夜静置することにより30%エタノール可溶部(比較調製例9)を捨て、3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベンを8.0%、3,5−ジヒドロキシスチルベンを7.3%含有する餅状エキス300gを得た(調製例8)。 ここで得られた餅状エキス300gに50%エタノール1,500mLを加え、1時間撹拌抽出を2回繰り返し、不溶部(比較調製例10)を捨て、可溶部を予め50%エタノールでエージングしたダイアイオンHP−20に3回循環させることにより吸着させ、99.5%エタノール1,500mLで溶離させた。更に吸着剤を99.5%エタノール1,000mLで洗浄し、前述の溶離部と合わせて50℃以下で減圧濃縮を行い、3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベンを9.56%、3,5−ジヒドロキシスチルベンを15.19%含有する軟エキス180gを得た(調製例9)。更に、この軟エキスを酸性白土、珪藻土により処理することにより、3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベンを14.1%、3,5−ジヒドロキシスチルベンを16.6%含有する軟エキス150gを得た(調製例10)。

〈超臨界抽出によるクロモジエキスの調製−1〉 クロモジの乾燥枝を用いて、図15に示すフローチャートに従って、下記に示す超臨界抽出方法で成分を抽出、分画した。

中国産クロモジ枝の燥物(チップ状)1kgを抽出器に入れ、100倍量の二酸化炭素に5%質量のエタノールを添加し、40℃、45MPaの条件下で超臨界抽出を2時間行った。得られたクロモジエキスよりエタノールを減圧留去すると、3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベン7.5%、3,5−ヒドロキシスチルベン5.3%を含有する褐色の軟エキス37.2gを得た。 更に、本軟エキスに70%エタノール(EtOH)1,000mLを加え、加熱環流を1時間行い、一昼夜放置し不溶化した。 オイル状物質を濾過除去することにより、3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベン9.6%、3,5−ヒドロキシスチルベン6.7%を含有する褐色のエキス30.1gを得た(調製例11)。

〈超臨界抽出によるクロモジエキスの調製−2〉 上記と同様に中国産クロモジ枝乾燥物1kgを40℃に加温した70%エタノール10Lで抽出、減圧濃縮してクロモジエキス70gを得た。脱色の目的で700gのセルロースパウダーに均一に分散、吸着させたものについて、100倍量の二酸化炭素に5%のエタノールを添加し、40℃、45MPaの条件下で超臨界抽出を2時間行った。得られたクロモジエキスよりエタノールを減圧留去すると、3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベン10.6%、3,5−ヒドロキシスチルベン3.0%を含有する褐色の軟エキス42gを得た(調製例12)。

〔実験例〕 図1、図14及び図15に示した分画方法により得られた画分(調製例1〜12、比較調製例1〜10)は、下記の抗菌力評価、低級脂肪酸産生抑制評価、揮発性硫黄化合物産生抑制評価、製剤安定性評価に用い、その活性を評価した。また、これら画分の一部を歯磨剤組成物に配合して製剤安定性を評価した。結果を表1,2に示した。

〈抗菌力評価〉 試験に用いた微生物はアメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)より購入したものを用い、以下の方法によりプレカルチャーを行った。

アクチノマイセス ヴィスコサス(Actinomyces viscosus)ATCC43146、フゾバクテリウム ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)ATCC10953、ポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)ATCC33277、プレボテラ インターメディア(Prevotella intermedia)ATCC25611及びストレプトコッカス ムタンス(Streptococcus mutans)ATCC25175は、それぞれ5mg/L ヘミン(Sigma社製)及び1mg/L ビタミンK(和光純薬工業社製)を含むトッドへヴィットブロス(Becton and Dickinson社製)培養液〔THBHM〕により培養した。なお、培養は、37℃で嫌気的条件下(80vol%窒素、10vol%二酸化炭素、10vol%水素)において24時間行った。

エシェリヒア コリ(Escherichia coli)ATCC8739、シュードモナス エルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa)ATCC9027、スタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)ATCC6538、バチルス ズブチリス(Bacillus subtilis)ATCC6633、カンジダ アルビカンス(Candida albicans)ATCC10231、アスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)ATCC16404は、それぞれミューラーヒントンII液体培地(Becton and Dickinson社製)を用いて、37℃で24時間好気的条件下において培養を行った。

被験試料のエタノール溶液を調製し、表1,2に示した濃度になるように上述の液体培地4mLに1/100量添加し、良く撹拌した。このものに上述の対象微生物を105〜106cfu(Colony Forming Unit)になるように接種し、プレカルチャーと同条件で24〜48時間培養し、550nmにおける吸光度、光学顕微鏡観察により微生物の生育の有無を判断し、最小生育阻止濃度(MIC)を求めた。

〈低級脂肪酸産生抑制評価〉 菌体粗酵素液の調製: ポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)ATCC33277、及びプレボテラ インターメディア(Prevotella intermedia)ATCC25611は、同様にTHBHM液体培地で定常状態まで培養した。8,000rpmで10分の遠心集菌後、550nmにおける濁度が2.0になるように菌液をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に懸濁し、プロテアーゼインヒビターカクテルセット2(カルビオケム)を標準濃度で添加し、氷冷しながら3分間、超音波により菌体を破砕した。菌体破砕液は、14,000rpmで20分、4℃で冷却遠心することにより、上清を採取し粗酵素液とした。

細菌酵素阻害によるイソ吉草酸産生抑制試験: 上記粗酵素液1mLにイソ吉草酸の基質となるL−ロイシン(和光純薬工業(株))及びα−ケトグルタル酸(和光純薬工業(株))のPBS溶液を終濃度各々2.5mMになるように添加したものに、被験サンプルを終濃度500μg/mLになるように添加し、2mLの反応系において37℃で6時間反応させた。 反応液1mLを硫酸酸性下、酢酸エチル2mLで抽出した後、酢酸エチル層1μLを下記条件のガスクロマトグラフにより分析し、コントロールに対するイソ吉草酸産生抑制率(%)を算出した。なお、表中にはVFA産生抑制率と記す。コントロールは、被験サンプル無添加でのイソ吉草酸産生量である。

ガスクロマトグラフ条件: カラム:FFAP+H3PO4カラム(信和化工(株)) カラム温度:130℃から210℃まで昇温 検出器:FID、230℃((株)島津製作所) キャリアーガス:窒素(50mL/分)

〈揮発性硫黄化合物産生抑制評価〉 ポルフィロモナス ジンジバリスの粗酵素液1mLにL−システイン、L−メチオニンを各々終濃度で1mM添加、被験サンプルを所定の濃度添加し、PBSで全量3mLにした。このものを33mLの滅菌試験管に入れ、シリコン栓で密栓した後、37℃で1時間反応させた。反応後、試験管内の気相5mLを、下記条件のガスクロマトグラフにより分析し、コントロールに対するメチルメルカプタン及び硫化水素産生抑制率(%)を算出した。なお、表中にはVSC産生抑制率と記す。コントロールは、被験サンプル無添加でのそれぞれのVSC産生量である。

ガスクロマトグラフ条件: 充填剤:DNP 20% Chromosorb WAW DMCS (GLサイエンス) カラム温度:70℃ 検出器:FPD、130℃((株)島津製作所) キャリアーガス:窒素(50mL/分)

〈製剤安定性評価〉 下記に示したモデル歯磨組成でクロモジエキスを0.1%配合した歯磨剤組成物を常法により調製し、−5℃及び60℃で1ヶ月間保存後、紙に押し出して目視し、−5℃恒温槽で1ヶ月間保存した歯磨組成物を対照品として、60℃で1ヶ月間保存した歯磨組成物の変色を下記基準により評価した。 変色の判定基準: ◎:対照品と比較して色の変化が認められない。 ○:対照品と比較して色の変化がほとんど認められない。 △:対照品と比較して色の変化がやや認められる。 ×:対照品と比較して色の変化が認められる。

モデル歯磨組成物の組成: カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.4 プロピレングリコール 3.0 ラウリル硫酸ナトリウム 1.8 サッカリンナトリウム 0.15 メチルパラベン 0.1 ブチルパラベン 0.01 無水ケイ酸 25.0 70%ソルビット液 35.0 香料 1.0 表1,2中に示すクロモジエキス 0.1 精製水 バランス 合計 100.0%

*:製剤安定性については、調製例1,2,8〜12について測定。

*:製剤安定性については、比較調製例1,2,8〜10について測定。

表1,2に示したように、分画、精製を施さないクロモジエキス(比較調製例1及び8)においては、ある程度の抗菌活性、悪臭産生抑制活性が認められるものの、配合した製剤の変色が著しいため実用は困難であった。一方、本発明の分画方法によりクロモジエキスを分画、精製することにより(調製例1〜12)、これら活性が高まるだけでなく、製剤中の安定性も著しく改善されることが認められた。

〔実施例、比較例〕 (i)クロモジエキス配合洗口剤組成物の評価 図14に記載した分画法により得られたクロモジエキスを、表3〜5に記載の組成の洗口剤組成物に配合して常法により調製した。下記に示した口腔細菌の悪臭産生抑制評価及び増殖抑制評価を下記方法で行った。同時に、洗口剤組成物の使用感並びに製剤安定性を評価した。結果を表3〜5に記載した。

〈口腔細菌の悪臭抑制効果及び増殖抑制効果の評価〉 ポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)ATCC33277株、プレボテラ インターメディア(Prevotella intermedia)ATCC25611株は、上述の抗菌力評価に用いたTHBHM培地で定常状態まで嫌気的に培養した後、9,000g、10分間遠心することにより集菌し、550nmにおける吸光度が0.5になるように2×THBHM培地に再懸濁した。この菌液を等量混合したもの(混合菌液)を実験に用いた。 33mLのガラス製滅菌試験管に混合菌液1.5mL及び表3〜5に示した組成の洗口液(洗口剤組成物)1.5mLを添加し、嫌気チャンバー((株)ヒラサワ ANX−3型)内でシリコン栓により密封した後、37℃で18時間培養した。培養後の試験管内の臭気をシリンジに採取し、専門パネラー3名により以下の評価基準で官能評価した。なお、洗口液の代わりに滅菌蒸留水を添加したものをコントロールとした。表中には臭気抑制効果と記す。 一方、これら2種の口腔細菌に対する増殖抑制効果は、以下に示す方法により評価した。即ち、18時間培養後の試験管内の菌液をトリプチケースソイブロス(Becton and Dickinson社製)で10倍段階希釈を行い、スパイラルプレーター(グンゼ産業(株))を用いて、下記に示す組成の血液寒天平板に塗沫、嫌気的条件下(アネロパックケンキ:三菱ガス化学)で2週間培養し、生育したコロニー数を計測し菌液中の生菌数を算出した。同様に実験開始時の添加細菌数を算出し、実験開始時の生菌数に対する培養後の菌液中の細菌数を下記評価基準に基づき増殖抑制効果を判定した。表中には増殖抑制効果と記す。 血液寒天平板の組成:1リットル中の質量で表す。 トッドへヴィットブロス(Becton and Dickinson社製):30g 寒天(Becton and Dickinson社製):15g ヘミン(Sigma社製):5mg ビタミンK(和光純薬工業社製):1mg ウサギ脱繊維血(日本バイオテスト研究所製):100g 蒸留水:残 (全量が1Lになるようにメスアップした。)

悪臭抑制効果の官能評価の評価基準: 4点:コントロールの試験管と比較して、非常に弱い臭いである。 3点:コントロールの試験管と比較して、弱い臭いである。 2点:コントロールの試験管と比較して、やや弱い臭いである。 1点:コントロールの試験管と同等の臭いである。 専門パネラー3名の平均値を算出し、下記評価基準で臭いの生成抑制効果を評価した。 評価基準: ◎:3.5点以上 ○:3.0点以上3.5点未満 △:2.0点以上3.0点未満 ×:1.0点以上2.0点未満 口腔細菌の増殖抑制効果の評価基準: ◎:菌液の生菌数がコントロールと比較して1/10以下 ○:菌液の生菌数がコントロールと比較して1/10を超えて1倍以下 △:菌液の生菌数が実験開始時に比較して1倍を超えて10倍以下 ×:菌液の生菌数が実験開始時に比較して10倍を超える

〈製剤安定性評価〉 製剤の安定性試験 表3〜5に示した洗口剤組成物を、−5℃及び60℃で1ヶ月間保存後、−5℃保存品を対照品として、60℃保存品の変色状態を目視により下記基準により評価した。なお、表中には変色と記して結果を示した。 変色の評価基準: ◎:対照品と比較して色の変化が認められない。 ○:対照品と比較して色の変化がほとんど認められない。 △:対照品と比較して色の変化がやや認められる。 ×:対照品と比較して色の変化が認められる。

〈使用感評価〉 表3〜5に示した洗口剤組成物10mLを口に含み、30秒間すすいだ後の刺激について対照品(比較例1)との比較で4段階評価を行い、判定者5名の平均値を取り、下記評価基準により判定した。 使用感の評価基準: 4:対照品の刺激と比較して刺激が弱い。 3:対照品の刺激と比較して同等の刺激しか認められない。 2:対照品の刺激と比較してやや刺激が認められる。 1:対照品の刺激と比較して明らかな刺激が認められる。 評価基準: ◎:平均点が3.5点以上 ○:平均点が3.0点以上3.5点未満 △:平均点が2.0点以上3.0点未満 ×:平均点が1.0点以上2.0点未満

(ii)クロモジエキス配合キャンディの評価 図14、図15に記載した分画法により得られたクロモジエキスを配合して表6に記載の組成のキャンディを常法により調製した。唾液中黒色色素産生細菌数に及ぼす影響、製剤安定性を下記方法で評価した。結果を表6に記載した。

〈唾液中黒色色素産生細菌数に及ぼすクロモジエキス配合キャンディの影響〉 被験者3名に表6に示した組成のキャンディ1個(約2.5g)を1日3回、噛まずに3日間適用し、口腔内の細菌数を計測した。 試験キャンディ適用前及び3日間適用後(最終適用3時間後)に、滅菌生理食塩水3mLで10秒間含嗽した液を採取し、トリプチケースソイブロス(Becton and Dickinson社製)で10倍段階希釈を行い、スパイラルプレーター(グンゼ産業(株))を用いて、下記に示す組成のカナマイシン含有血液寒天平板に塗沫、嫌気的条件下(アネロパックケンキ:三菱ガス化学)で2週間培養し、生育した黒色コロニー数を計測することにより、含嗽した生理食塩水中の生菌数を算出した。試験開始前値に比較した試験キャンディ適用後の生育コロニー数の減少は、下記評価基準に基づき判定した。結果を表6に黒色色素産生細菌数の減少と記して示した。なお、各試験の最低2週間のクーリングオフの期間を設けて実施した。 評価基準: ○:試験後の生育コロニー数が試験前と比較して1/100以下 △:試験後の生育コロニー数が試験前と比較して1/100を超えて1/10以下 ×:試験後の生育コロニー数が試験前と比較して1/10を超える

カナマイシン含有血液寒天平板の組成:1リットル中の質量で表す。 トッドへヴィットブロス(Becton and Dickinson社製):30g 寒天(Becton and Dickinson社製):15g ヘミン(Sigma社製):5mg ビタミンK(和光純薬工業社製):1mg ウサギ脱繊維血(日本バイオテスト研究所製):100g 硫酸カナマイシン(200mg/mL):1mL 蒸留水:残 (全量が1Lになるようにメスアップした。)

〈製剤安定性評価〉 試験キャンディを−5℃及び60℃で1ヶ月間保存後、−5℃保存品を対照品として、60℃保存品について目視で変色の程度を判定し、評価した。なお、判定は前述した製剤安定性評価の判定基準に準じた。なお、表中には変色と記して結果を示した。

上記表6の結果より、本発明のクロモジエキスを配合したキャンディは、揮発性硫黄化合物や揮発性脂肪酸を産生することで知られている口腔内のポルフィロモナス属細菌やプレボテラ属細菌など黒色色素産生細菌を生育抑制、又は殺菌により、その数を減少させることが確認でき、口臭や歯周病あるいはう蝕を予防できることが期待できる。また、製剤の変色等の安定性に関しても、精製を施したクロモジエキス(調製例品)が優れていることも確認できた。

(iii)クロモジエキス配合タブレットの評価 図14に記載した分画法により得られたクロモジエキスを配合して表7に記載の組成のタブレットを常法により調製した。口臭抑制効果を下記方法で評価した。結果を表7に記載した。

〈クロモジエキス配合タブレットの口臭抑制効果〉 試験は全身的に疾患を有さない健常人4名を被験者に用い、試験24時間前より口腔清掃を停止した。試験当日、起床後の口腔清掃及び食事を停止し、1分間口閉じ後の口腔内の気体(口気)をProton Transfer Reaction Mass Spectrometry(PTR−MS:Ionicon Analytik社製)を用いて直接分析し、メチルメルカプタン相当の質量ピーク及び酪酸相当の質量ピーク及びイソ吉草酸質量相当のピークを測定した。その後、表7に記載した組成の被験タブレット2個(1g/個)を噛まずに口腔内で溶解し、直後、1時間後、及び2時間後に同様に口気中の成分を分析した。データは試験前の測定値(ppb)に対する抑制率の4名の平均を表し表中に記載した。

PTR−MS 測定条件: 測定分子量 M49(メチルメルカプタン相当) 積算時間 0.1秒 速度定数 2×10-9 測定は6サイクル繰り返し、最初と最後を除いた4サイクルの平均値を算出し、初期値を100とした時の相対濃度を算出し、4名の平均を表7に記載した。

口臭は1日の中で起床時が最も高く、口腔清掃や食事により減少することが知られている。また、その原因の多くは、口腔内の微生物であるため、口腔清掃を制限することにより口臭が発生する。今回、24時間の口腔清掃中止及び起床時から試験終了まで飲食制限により健常人の生理的口臭を測定した。プラセボタブレット(比較例3)では摂取直後の口臭は唾液の分泌等により約2割まで減少するが、その後、1〜2時間でほぼ試験前のレベルに戻った。一方のクロモジエキス配合タブレット(実施例27〜29)は、配合濃度依存的に口気中のメチルメルカプタン量を摂取直後より抑制することが認められ、口臭予防に有用であることが認められた。

(iv)クロモジエキス配合化粧料の評価 図14、図15に記載した分画法により得られたクロモジエキスを配合して表8に記載の組成の化粧料を常法により調製した。体臭抑制効果を下記方法で評価した。結果を表8に記載した。

〈体臭抑制効果〉 表8に記載した組成の化粧料を被験者10名の片方の脇下に塗布し、あらかじめ洗浄したガーゼを両腋部に縫いつけたシャツを着用した。8時間着用後のガーゼに付着した体臭を専門パネラーにより以下の評価基準で官能評価した。なお、被験者は試験3日前から他のデオドラント剤の使用を禁止し、試験前日には無香料のボディーソープを使用した。

官能評価の評価基準: 4点:未塗布部より、全く臭わない。 3点:未塗布部より、臭わない。 2点:未塗布部より、やや臭わない。 1点:未塗布部と同等の臭いである。 被験者10名の結果について以下の評価基準で臭いの生成抑制効果を評価した。 評価基準: ◎:3点以上の人数が8〜10名であった。 ○:3点以上の人数が6〜7名であった。 △:3点以上の人数が3〜5名であった。 ×:3点以上の人数が0〜2名であった。

なお、化粧料は下記容器を使用し、表中の原液/液化石油ガス(0.15MPa/20℃)の割合により収容した。 使用容器:東洋製罐(株)製アルミニウム缶+日本プリシジョンバルブ(株)製ストレートシャンクションバルブ

(v)クロモジエキス配合防臭組成物の評価 図14、図15に記載した分画法により得られたクロモジエキスを配合して表9に記載の組成の防臭組成物を常法により調製した。生ゴミ臭抑制効果及び製剤安定性を下記方法で評価した。結果を表9に記載した。

〈生ゴミ臭抑制効果試験〉 約2cmに切断したキャベツ20gを生ゴミとして450mLのガラスビン内に入れ、開放系で1晩放置したものに対し、スプレー容器を用いて表9に示す組成の防臭組成物1gをガラスビン内全体が濡れるように噴霧した。密閉して30℃で2日間放置し、ビン内の臭気強度を6段階臭気強度表示法によりパネラー3名で評価し、その平均により生ゴミ臭抑制効果を下記の評価基準に従って評価した。

生ゴミ臭抑制効果の評価基準: ○:効果がある(6段階臭気強度平均値:2以下) △:効果がややある(6段階臭気強度平均値:2を超えて4未満) ×:効果がほとんどない(6段階臭気強度平均値:4以上) 6段階臭気強度表示法: 0:無臭 1:やっと感知できる臭い 2:何の臭いかわかる弱い臭い 3:らくに感知できる臭い 4:強い臭い 5:強烈な臭い

〈製剤安定性評価〉 また、防臭組成物を−5℃及び60℃で1ヶ月間保存後、−5℃保存品を対照品として、60℃保存品について目視で変色の程度を判定し、評価した。なお、判定は前述した製剤安定性評価の判定基準に準じた。なお、表中には変色と記して結果を示した。

(iv)クロモジエキス配合液体洗浄剤組成物の評価 図14、図15に記載した分画法により得られたクロモジエキスを配合して表10に記載の組成の液体洗浄剤組成物を常法により調製した。除菌効果及び製剤安定性を下記方法で評価した。結果を表10に記載した。

〈台所用洗剤の抗菌活性評価〉 表10に示した各種組成の液体洗浄剤組成物を調製し、水で5倍に希釈した液の除菌活性を以下の方法により評価した。即ち、試験液体洗浄剤組成物0.6mLを滅菌試験管に採り、滅菌蒸留水2.1mLを加え混合した。このものに、1×109cfu/mLになるように生理食塩水に懸濁したスタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)ATCC6538株を0.3mL添加し、混合後、20℃で20分間静置した。その後、滅菌生理食塩水で10倍段階希釈を施し、スパイラルプレーター(グンゼ産業(株)製)を用いて、SCDLP寒天培地(日水製薬)に塗沫し、37℃で24時間培養を行い、成育したコロニー数をカウントすることにより残存生菌数を求め、以下の基準により除菌性能を評価した。表中には除菌効果と記して結果を示した。 評価基準: ○:生育コロニー数が水で処理した場合と比較して1/1,000以下 △:生育コロニー数が水で処理した場合と比較して1/1,000を超えて1/10以 下 ×:生育コロニー数が水で処理した場合と比較して1/10を超える

〈製剤安定性評価〉 また、上記液体洗浄剤組成物を−5℃及び60℃で1ヶ月間保存後、−5℃保存品を対照品として、60℃保存品について目視で変色の程度を判定し、評価した。なお、判定は前述した製剤安定性評価の判定基準に準じた。なお、表中には変色と記して結果を示した。

以下、処方例を示す。なお、処方例中、香料A〜Gと記載の香料の組成は以下の通りである。

*フルーツミックスフレーバーFM3000(調合香料) ストロベリーフレーバー 40% アップルフレーバー 15 メロンフレーバー 17 バナナフレーバー 10 ピーチフレーバー 5 オレンジ油 2.5 ラズベリーフレーバー 2.0 パイナップルフレーバー 1.5 グレープフレーバー 1.0 トロピカルフルーツフレーバー 1.5 ミルクフレーバー 1.0 グレープフルーツ油 0.5 レモン油 0.5 ローズ油 0.2 溶剤 残 合計 100.0%

以下に処方例を示す。 〔処方例1〕練歯磨 炭酸カルシウム 40.0% プロピレングリコール 4.0 グリセリン 20.0 カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.5 酸化チタン 0.5 ラウリル硫酸ナトリウム 0.8 サッカリンナトリウム 0.1 パラオキシ安息香酸エチル 0.1 調製例9のクロモジエキス 0.05 (純分換算値: (1)3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベン 0.0048 (2)3,5−ジヒドロキシスチルベン 0.0076) 香料A 1.0 精製水 残 計 100.0%

〔処方例2〕液状歯磨 グリセリン 25.0% ソルビット液(70%水溶液) 25.0 プロピレングリコール 5.0 無水ケイ酸 0.3 ラウリル硫酸ナトリウム 1.0 ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 1.0 サッカリンナトリウム 0.2 安息香酸ナトリウム 0.3 調製例11のクロモジエキス 0.05 (純分換算値: (1)3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベン 0.0048 (2)3,5−ジヒドロキシスチルベン 0.0034) 香料B 1.0 精製水 残 計 100.0%

〔処方例3〕洗口剤 プロピレングリコール 4.0% グリセリン 2.0 ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.3 サッカリンナトリウム 0.1 ラウリル硫酸ナトリウム 0.1 香料E 1.0 調製例12のクロモジエキス 0.02 (純分換算値: (1)3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベン 0.00212 (2)3,5−ジヒドロキシスチルベン 0.0006) 精製水 残 計 100.0%

〔処方例4〕口腔用パスタ セタノール 10.0% スクワラン 20.0 沈降性シリカ 5.0 ポリオキシエチレン(40モル)硬化ヒマシ油 0.1 ソルビタンモノオレイン酸エステル 1.0 ラウリル硫酸ナトリウム 0.2 サッカリンナトリウム 0.6 調製例10のクロモジエキス 0.2 (純分換算値: (1)3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベン 0.0282 (2)3,5−ジヒドロキシスチルベン 0.0332) 香料C 0.6 精製水 残 計 100.0%

〔処方例5〕口腔用トローチ アラビアガム 6.0% ブドウ糖 36.0 パラチノース 36.0 エリスリトールで10倍散にした調製例10のクロモジエキス 3.0 (純分換算値: (1)3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベン 0.0423 (2)3,5−ジヒドロキシスチルベン 0.0498) 香料D 1.3 精製水 残 計 100.0%

〔処方例6〕チューイングガム ガムベース 20.0% 砂糖 15.0 イソマルトース 20.0 パラチノース 10.0 キシリトール 10.0 コーンシロップ 12.0 調製例8のクロモジエキス 0.3 (純分換算値: (1)3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベン 0.024 (2)3,5−ジヒドロキシスチルベン 0.0219) 香料F 0.6 水飴 残 計 100.0%

〔処方例7〕キャンディ 砂糖 50.0% 水飴 33.0 有機酸 2.0 香料G 0.2 調製例11のクロモジエキス 0.3 (純分換算値: (1)3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベン 0.0288 (2)3,5−ジヒドロキシスチルベン 0.0201) 精製水 残 計 100.0%

〔処方例8〕消臭スプレー 発酵エタノール 40.0% クエン酸 0.03 調製例10のクロモジエキス 0.2 (純分換算値: (1)3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベン 0.0282 (2)3,5−ジヒドロキシスチルベン 0.0332) 精製水 残 計 100.0%

〔処方例9〕制汗剤 イシリン 1.0% クロルヒドロキシアルミニウム 20.0 エタノール 35.0 ヒドロキシエチルセルロース 0.6 PPG5−CETETH−20 2.0 調製例9のクロモジエキス 0.3 (純分換算値: (1)3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベン 0.0287 (2)3,5−ジヒドロキシスチルベン 0.0456) 香料 0.5 精製水 残 計 100.0%

〔処方例10〕ニキビ治療剤 流動パラフィン 3.0% スクワラン 10.0 セトステアリルアルコール 4.0 ミツロウ 2.0 モノステアリン酸グリセリン 2.0 ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート 2.0 グリコール酸 0.2 サリチル酸 0.1 局方イオウ 5.0 ジグリセリン 5.0 (1)3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベン 0.05 (2)3,5−ジヒドロキシスチルベン 0.05 精製水 残 計 100.0%

〔処方例11〕石鹸 脂肪酸ナトリウム 80.0% パルミチン酸 4.0 調製例10のクロモジエキス 0.5 (純分換算値: (1)3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベン 0.0705 (2)3,5−ジヒドロキシスチルベン 0.083) 酸化チタン 0.2 香料 0.8 精製水 残 計 100.0%

〔処方例12〕ハンドクリーム 流動パラフィン 10.0% 植物性スクワラン 5.0 ホホバ油 3.0 ジメチルシリコーン 2.0 イソプロピルミリステート 1.5 デカグリセリンモノイソステアレート 1.0 デカグリセリントリイソステアレート 0.5 グリセリンモノステアレート 1.0 ステアリン酸 1.5 ポリオキシエチレン(20)グリセリルモノステアレート 0.8 グリセリン 3.0 1,3−ブチレングリコール 5.0 トリイソプロパノールアミン 0.1 エタノール 2.0 カルボキシビニルポリマー 0.1 クエン酸 0.1 調製例11のクロモジエキス 0.5 (純分換算値: (1)3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベン 0.048 (2)3,5−ジヒドロキシスチルベン 0.0335) 香料 0.05 精製水 残 計 100.0%

〔処方例13〕台所用洗剤 n−ヘキシルグリコシド(グルコース平均縮合度1.3モル) 5.0% パーム核油脂肪酸ジエタノールアミド 10.0 リンゴ酸ナトリウム 0.5 (1)3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベン 0.02 (2)3,5−ジヒドロキシスチルベン 0.01 精製水 残 計 100.0%

〔処方例14〕ハンドソープ ラウリン酸カリウム 8.0% ミリスチン酸カリウム 4.0 モノ−N−ラウリルリンゴ酸アミン 1.0 プロピレングリコール 10.0 ヤシ脂肪酸ジエタノールアミン 5.0 エチレンジアミン四酢酸ナトリウム・二水和物 0.1 炭酸カリウム 3.0 香料 0.1 調製例12のクロモジエキス 0.1 (純分換算値: (1)3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベン 0.0106 (2)3,5−ジヒドロキシスチルベン 0.003) 精製水 残 計 100.0%

〔処方例15〕顆粒状義歯洗浄剤 モノ過硫酸水素カリウム 10.0% 過酸ナトリウム 50.0 トリポリリン酸ナトリウム 20.0 ラウリル硫酸ナトリウム 1.0 アルカラーゼ 0.5 カルボキシメチルセルロースナトリウム 4.0 乳糖 2.0 香料 1.0 調製例8のクロモジエキス 0.1 (純分換算値: (1)3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベン 0.008 (2)3,5−ジヒドロキシスチルベン 0.0073) 硫酸ナトリウム 残 計 100.0%

〔処方例16〕お茶飲料 昆布茶 89.5% 調製例8のクロモジエキス 0.3 (純分換算値: (1)3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベン 0.024 (2)3,5−ジヒドロキシスチルベン 0.022) L−システイン 0.2 梅エキス 10.0 計 100.0%

〔処方例17〕うがい用錠剤 炭酸水素ナトリウム 53.0% クエン酸 18.0 無水硫酸ナトリウム 12.0 第2リン酸ナトリウム 10.0 ポリエチレングリコール 3.0 香料 2.0 調製例10のクロモジエキス 2.0 (純分換算値: (1)3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベン 0.282 (2)3,5−ジヒドロキシスチルベン 0.332) 計 100.0%

〔処方例18〕口中清涼剤 エタノール 30.0% キシリトール 10.0 香料 2.0 ポリオキシエチレン(EO60)硬化ヒマシ油 1.5 調製例9のクロモジエキス 0.3 (純分換算値: (1)3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベン 0.0287 (2)3,5−ジヒドロキシスチルベン 0.0456) 精製水 残 計 100.0%

〔処方例19〕ドリンク剤 ブドウ糖 1.35% 果糖 1.35 乳成分 0.1 調製例11のクロモジエキス 0.3 (純分換算値: (1)3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベン 0.0288 (2)3,5−ジヒドロキシスチルベン 0.0201) 塩化ナトリウム 0.029 ビタミンC 0.03 ビタミンB1 0.00022 クエン酸 0.01 リンゴ酸 0.01 香料 0.01 水 残 計 100.0%

〔処方例20〕グミ 砂糖 40.3% 水飴 47.2 ゼラチン 8.0 果汁 2.0 クエン酸 0.5 リンゴ酸 0.5 香料 0.5 調製例10のクロモジエキス 1.0 (純分換算値: (1)3,5−ジヒドロキシ−2−メンテニルスチルベン 0.141 (2)3,5−ジヒドロキシスチルベン 0.166) 計 100.0%

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