Behavior-improving perfume intended for elderly people suffering from dementia

申请号 JP2003391964 申请日 2003-11-21 公开(公告)号 JP2005154490A 公开(公告)日 2005-06-16
申请人 Kanazawa Inst Of Technology; Takasago Internatl Corp; 学校法人金沢工業大学; 高砂香料工業株式会社; 发明人 KUNIEDA SATOMI; JINGU HIDEO;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a means for easily and safely improving emotion, consciousness, motivation and behavior of elderly people suffering from dementia.
SOLUTION: The problem is solved by using a behavior-improving perfume intended for the elderly people suffering from dementia. The perfume contains at least one essential oil derived from a plant chosen from the group consisting of Cinnamomum zeylanicum, Citrus Paradisi, Jasminum officinale var. grandiflorum and Mentha piperita var. vulgaris.
COPYRIGHT: (C)2005,JPO&NCIPI
权利要求
  • 植物由来の精油を含む痴呆高齢者向け行動改善用香料。
  • 前記植物が、シナモン〔 Cinnamomum zeylanicum 〕、グレープフルーツ〔 Citrus Paradisi 〕、ジャスミン〔 Jasminum officinale var. grandiflorum 〕及びペパーミント〔 Mentha piperita var. vulgaris 〕からなる群より選ばれる1種以上の植物である、請求項1記載の痴呆高齢者向け行動改善用香料。
  • 植物由来の精油を含む痴呆高齢者向け行動活性化用香料。
  • 前記植物が、グレープフルーツ〔 Citrus Paradisi 〕、ペパーミント〔 Mentha piperita var. vulgaris 〕及びジャスミン〔 Jasminum officinale var. grandiflorum 〕からなる群より選ばれる1種以上の植物である、請求項3記載の痴呆高齢者向け行動活性化用香料。
  • 植物由来の精油を含む痴呆高齢者向け行動抑制用香料。
  • 前記植物がシナモンである、請求項5記載の痴呆高齢者向け行動抑制用香料。
  • 痴呆高齢者向け行動改善のための、植物由来の精油を含む香料の使用方法。

  • 说明书全文

    本発明は痴呆高齢者向け行動改善用香料に関する。 さらに詳しくは、痴呆高齢者向け行動活性化用及び痴呆高齢者向け行動抑制用香料に関する。

    従来から、高齢者、痴呆者、知的障害者などに対して、意識の向上、意欲の増大化などが図られていた。 これは、高齢者、痴呆者、知的障害者などがより好ましい状態になれば結構なことであるし、少なくとも現状を維持することにより、本人あるいは周囲の者への負担が増大することを妨げるものである。
    最近、とくに人口の高齢化に伴い、軽度あるいは重度の痴呆性高年齢者が増大化する傾向にあり、高齢者対策の一環として高齢者の意識の現状維持あるいはさらなる向上、高年齢者の意欲回復などが盛んに行われてきた。

    ここで、痴呆性高年齢者(以下「痴呆高齢者」という)とは、高齢化に伴う生理的精神老化とは別に、何らかの病気で精神機能が低下する「痴呆」の状態がある高齢者のことをいう。 「痴呆」とは、一旦発達した知能が、何らかの原因により脳が破壊され、再び持続的に低下した状態であり、器質変化を伴う後天性の症状が固定的或いは不可逆的な慢性状態にあることをいう。 脳に何らかの破壊が生じる器質性脳疾患の場合と、仮性痴呆と呼ばれる単なる機能の変化により生じる機能性疾患がある。 また、痴呆としては、例えば、脳卒中後の痴呆や多発梗塞性痴呆、慢性硬膜下出血による痴呆症状など脳血管性痴呆、脳の神経細胞が変性・死滅し、脳が萎縮して痴呆が生じてくる、初老期アルツハイマー病、アルツハイマー型老年痴呆、ピック病、クロイツフェルド・ヤコブ病など脳萎縮性、変性による痴呆、脳脊髄液循環障害による痴呆、また、進行麻痺、アルコール痴呆、身体疾患に伴う痴呆、感染症や外傷に伴う痴呆などが知られている。

    一方、ある種の香料は、正常な精神機能あるいは正常な知能を持つ健常者に対して、薬理的、心理的、生理的効果があることが知られている。 例えば、「特許庁公報 周知・慣用技術集(香料)第I部香料一般(特許庁、1999年)」222〜225頁には上記のような効果があるとされる香料が列記されている。 しかしながら、精神機能が低下した痴呆の状態にある高齢者、すなわち、脳が破壊され、あるいはその機能が変化した痴呆高齢者の情意(感情、意思)にも影響を及ぼすことができる香料については未だ知られていない。 そこで、痴呆高齢者の情意に影響を及ぼすのみならず、その情意にかかわる行動を後押し、その行動を改善できる香料を提供することができれば、本人あるいは周囲の者への負担を減らすことができると考えられ、その産業上の利用可能性は甚大である。

    そこで、本発明の課題は、より簡便かつ安全に痴呆高齢者の感情や意識、意欲を向上させ、その行動を改善させる手法として、香りを利用した手法を提供することにある。 また、痴呆高齢者の意識を高めると共に意識を高めるよう促進すること、あるいはそれらを持続させること、また周囲の物事に興味や関心を持たせ、それらを長く持続させる方法を提供することにある。 さらには、徘徊をする等のケアが必要な行動が見られる痴呆高齢者には、その行動を抑制させる方法を提供することにある。

    本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねる中で、様々な香料を賦課させた製品を高齢者の動作(イベント)に供することによって痴呆高齢者の行動に変化が見られることを見出し、さらに賦課する香料の種類によって、その行動が活性化される場合と抑制される場合があることを見出し、本発明を完成させた。 さらに、製品に賦課する香料の種類や強さを痴呆高齢者が判別できない程度であっても、その効果が顕著になることを見出した。

    即ち、本発明では、植物由来の精油を含む痴呆高齢者向け行動改善用香料が提供される。

    本発明にかかる行動改善用香料において、前記植物が、シナモン〔 Cinnamomum zeylanicum 〕、グレープフルーツ〔 Citrus Paradisi 〕、ジャスミン〔 Jasminum officinale var. grandiflorum 〕及びペパーミント〔 Mentha piperita var. vulgaris 〕からなる群より選ばれる1種以上の植物であることが好ましい。

    また、本発明では、植物由来の精油を含む痴呆高齢者向け行動活性化用香料が提供され、この場合、前記植物が、グレープフルーツ〔 Citrus Paradisi 〕、ペパーミント〔 Mentha piperita var. vulgaris 〕及びジャスミン〔 Jasminum officinale var. grandiflorum 〕からなる群より選ばれる1種以上の植物であることが好ましい。

    また、本発明では、植物由来の精油を含む痴呆高齢者向け行動抑制用香料が提供され、この場合、前記植物がシナモン〔 Cinnamomum zeylanicum 〕であることが好ましい。

    また、本発明では、痴呆高齢者向け行動改善のための、植物由来の精油を含む香料の使用方法が提供される。
    また、本発明では、植物由来の精油を含む香料を使用することを特徴とする痴呆高齢者の行動改善方法が提供される。

    本発明により、簡便かつ安全に痴呆高齢者の意識や意欲を向上させ、その行動を改善させることができる。 しかも、痴呆高齢者の症状に合わせて、その行動を活性化させ、あるいは抑制させることができる。

    以下に本発明を詳しく説明する。
    本発明にかかる痴呆高齢者向け行動改善用香料は植物由来の精油を含む。

    本明細書において、「痴呆高齢者」とは、高齢化に伴う生理的精神老化とは別に、何らかの病気で精神機能が低下する「痴呆」の状態がある高齢者のことである。 痴呆の原因については既に説明したものが挙げられるが、本明細書において「痴呆高齢者」とは、これらの要因を限定せずに包括的に捕らえ、広く痴呆症状を呈する高齢者のことを指す。
    痴呆高齢者の症状には記憶が悪くなり新しいことが覚えられない(記銘力障害)、以前の経験が思い出せない(健忘)、計算ができなくなる(計算障害)、判断を間違う(判断障害)等の障害があり、これらの障害は日常生活で様々な失敗を引き起こす。 また、身体的、環境的、心理的要因の二次的作用が、徘徊、不穏、多動、不眠、昼夜逆転、弄便、不潔行為等の辺縁症状を加速的なものにし、これらの症状は痴呆高齢者の行動を無理に押さえ付けることになり、さらに症状は悪化傾向を辿ることになる。

    本明細書において、「痴呆高齢者向け行動改善用香料」とは、痴呆高齢者の行動を改善させる用途に用いられる香料のことをいい、たとえば、意欲の減退した痴呆高齢者の行動を活性化させる香料、あるいは行動にケアが必要な痴呆高齢者の行動を抑制する香料を挙げることができる。
    痴呆高齢者の行動を活性化させる例としては、たとえば、リハビリなどのイベントにより積極的に参加させる、日常生活に適応する積極的な行動をさせる、消極的な人の行動を意欲的にする、自らの意思で行動させる等を挙げることができる。
    また、痴呆高齢者の行動を抑制させる例としては、たとえば、徘徊する人、多動(睡眠障害、不安、感情の起伏が激しい等)の人、あるいは極度の興奮状態に陥っている人を落ち着かせて行動を抑制する等を挙げることができる。
    さらにこれらの香料をイベント事に変えることによって、不眠、昼夜逆転に対する改善を図ることもできる。

    まず、本発明において、植物原料としては、たとえば、シナモン〔 Cinnamomum zeylanicum 〕、グレープフルーツ〔 Citrus Paradisi 〕、ジャスミン〔 Jasminum officinale var. grandiflorum 〕及びペパーミント〔 Mentha piperita var. vulgaris 〕からなる群より選ばれる1種以上の植物を用いることができる。

    本発明で用いられる植物由来の精油は、公知の方法、たとえば、「特許庁公報 周知・慣用技術集(香料)第II部食品用香料(特許庁、2000年)」7〜8頁に記載されている方法や、「精油(エッセンシャルオイル)の化学(フレグランスジャーナル社、第1版、2000年)」76〜86頁に記載されている方法を参照して得ることができる。 具体的には、各種植物原料を乾燥し、適宜の大きさに裁断したものを圧搾、溶媒抽出、蒸気蒸留等の公知の操作を経ることによって得ることができる。

    たとえば、原料がシナモン〔 Cinnamomum zeylanicum (くすのき科)〕の場合は、シナモンの樹皮を砕き、水蒸気蒸留するによって精油を得ることができる。 シナモンの主産地はスリランカおよびインドネシアであり、 Cinnamomum zeylanicumのものが最も上品で優れているとされている。 この精油は、シナモンセイロンバークオイル(セイロン桂皮油)と称し、 Cinnamomum cassiaより採ったカッシャオイルとは香味を若干異にし、区別して使用される。 前者はアルデヒド含量が55〜78%、後者は80%以上含む。 このようして得られたシナモン精油は甘味な芳香とやや収れん性のある刺激味があり、この成分として、主にシンナミックアルデヒド、オイゲノール、ピネンなどが知られている。

    また、原料がグレープフルーツ〔 Citrus Paradisi (みかん科)〕の場合には、その精油のほとんどが、果汁製造と同時に得ることができる。 平均650g程度のオイルが1tの生果より取ることができる。 また、グレープフルーツの果皮を圧搾したり、果皮のみを蒸留してオイルを取ることもできる。 その他果汁を濃縮する際、副次的に得られる回収香(油層:グレープフルーツエッセンシャルオイル、水層:グレープフルーツアロマ)もある。
    グレープフルーツ精油の成分としては、主にd−リモネン、ヌートカトン、オクチルアルデヒド、デシルアルデヒド、シトラール、ゲラニオールとその酢酸エステルなどが知られている。

    また、原料がジャスミン〔 Jasminum officinale var. grandiflorum (もくせい科)〕の場合には、ジャスミンの花を石油エーテル、主にヘキサン等の溶媒で抽出し、得られたコンクリート(収率0.28-0.33%)をエタノール等のアルコールで脱ワックスし、アブソリュート(収率50-54%)の形でジャスミン油(そけい油、ジャスミン・アブソリュート)を得ることができる。
    このようにして得られた精油の成分として、主に酢酸ベンジル、d−リナロール、酢酸リナリル、ベンジルアルコール、ジャスモン、インドール、アンスラニル酸メチル、ファルネソール、ジャスモン酸メチル、ジャスミンラクトン、安息香酸ベンジル、フィトール類、シスジャスモン、ジャスモノイドなどが知られている。

    また、原料がペパーミント〔 Mentha piperita var. vulgaris (しそ科)〕の場合には、葉または全草を水蒸気蒸留することによってペパーミント油を得ることができる。 開花すると収油率の低下、オイル成分の変化を伴うために、8〜9月のつぼみを付ける程度のところで晴天の日を選んで刈り取り、2〜3日地干しをした後に半乾燥状態で蒸留する。 最大の生産地アメリカでは、葉を収納した車両を野外工場(Field distillery)に運び込み、それに直接水蒸気を吹き込んで車両まるごと蒸留釜としている。
    ペパーミント精油の成分としては、主にl−メントール、メンチルエステル、メントン、メントフラン、ジャスモン、ジャスモン酸メチルなどが知られている。

    本明細書において、溶媒抽出をする際には、溶媒として水、低級アルコール、含水低級アルコール、ヘキサン等を用いることができる。
    本明細書において、「低級アルコール」とは、炭素数が1ないし4のアルコール、すなわち、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールをいい、とくにエタノール等が好ましい。 また、「含水低級アルコール」としては、水含量が10〜75重量%のものを使用可能である。

    抽出操作はとくに限定されるものではなく、上記植物や用いる溶媒により異なるが、通常、上記溶媒に植物原料の破砕物を4℃〜100℃の温度で浸漬または穏やかに撹拌して抽出する事により行う。 さらに本出願前周知のソックスレー抽出器などの装置を用いると効率よく抽出操作を行うことができる。 抽出に要する時間は、通常30分〜12時間程度である。 なお、本出願前から知られている多段抽出法を採用してもよい。

    本発明において、植物原料としてグレープフルーツ〔 Citrus Paradisi 〕、ペパーミント〔 Mentha piperita var. vulgaris 〕、ジャスミン〔 Jasminum officinale var. grandiflorum 〕からなる群より選ばれる1種以上の植物を用いる場合、当該精油を含む行動改善用香料は、行動活性化用香料として用いることができる。

    また、本発明において、植物原料としてシナモン〔 Cinnamomum zeylanicum 〕を用いる場合、当該精油を含む行動改善用香料は、行動抑制用香料として用いることができる。

    本発明にかかる痴呆高齢者向け行動改善用香料は、植物由来の精油に含まれる各種成分を物理、化学的に処理して分離した成分、あるいは化学合成などによって得られた成分を1種以上含むものであってもよい。 また、当該各種成分と植物由来の精油とを併用してもよい。
    このような成分としては、たとえば、シンナミックアルデヒド、オイゲノール、ピネン、d−リモネン、ヌートカトン、オクチルアルデヒド、デシルアルデヒド、シトラール、ゲラニオールとその酢酸エステル、酢酸ベンジル、d−リナロール、酢酸リナリル、ベンジルアルコール、ジャスモン、インドール、アンスラニル酸メチル、ファルネソール、ジャスモン酸メチル、ジャスミンラクトン、安息香酸ベンジル、フィトール類、シスジャスモン、ジャスモノイド、l−メントール、メンチルエステル、メントン、メントフラン及びジャスモンからなる群より選ばれる1種以上の成分を挙げることができる。

    本発明において、d−リモネン、ヌートカトン、オクチルアルデヒド、デシルアルデヒド、シトラール、ゲラニオールとその酢酸エステル、l−メントール、メンチルエステル、メントン、メントフラン、ジャスモン、酢酸ベンジル、d−リナロール、酢酸リナリル、ベンジルアルコール、ジャスモン、インドール、アンスラニル酸メチル、ファルネソール、ジャスモン酸メチル、ジャスミンラクトン、安息香酸ベンジル、フィトール類、シスジャスモン及びジャスモノイドからなる群より選ばれる1種以上の成分を含む場合、当該成分を含む行動改善用香料は、行動活性化用香料として用いることができる。

    本発明において、シンナミックアルデヒド、オイゲノール及びピネンからなる群より選ばれる1種以上の成分を含む場合、当該成分を含む行動改善用香料は、行動抑制用香料として用いることができる。

    本発明にかかる行動改善用香料は、それ自体単独で使用しても良く、あるいは、痴呆高齢者が何かの動作(イベント)をする度に芳香するように、製品に賦香させて使用してもよい。

    本発明にかかる行動改善用香料を賦香させる製品としては、賦香させることで痴呆高齢者が何らかのイベントをする際に芳香するものであれば、その種類、形態に制限はない。 たとえば、
    楽器(マラカス、フルーツシェイカー、トライアングル、シンバル、銅鑼、鉄琴、木琴、マリンバ、カスタネット、鈴、太鼓、タンバリン、ティンパニー、ドラムなどの打楽器;バイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバス、ギター、マンドリン、ウクレレ、ハープ、琴などの弦楽器;オーボエ、クラリネット、サキソフォン、トランペット、ホルン、チューバ、オカリナ、フルート、ピッコロ、ハーモニカ、各種笛などの管楽器、オルガン、ピアノ、アコーディオンなどの鍵盤楽器;各種電子楽器など)、
    トイレタリー製品(化粧石鹸、浴用石鹸、透明石鹸など)、
    身体洗浄剤(ボディシャンプーなど)、
    ハウスホールド(一般洗剤、液体洗剤、固体洗剤など)、
    衛生用品(タオル、トイレットペーパー、ティッシュ、ウェットティッシュ、ハンカチ、おしぼりなど)、
    筆記用具(ペン、クレヨン、絵の具、鉛筆、紙、折り紙、シールなど)、
    遊具(ボール、お手玉、カード、こま、人形、積み木など)、
    雑貨類、
    化粧品(スキンクリーム、クレンジングクリーム、ナイトクリーム、ハンドクリーム、乳液、化粧水、アフターシェイブローション、ボデイーローション、ファンデーション、口紅、リップクリーム、マニキュア、除光液、タルカムパウダー、シワ防止化粧品、老化防止化粧品、サンケア製品、マッサージオイルなど)、
    頭髪化粧品(シャンプー、リンス、コンディショナー、リンスインシャンプー、トリートメントなどの洗髪剤;ポマード、ヘアトニック、ヘアリキッド、ヘアジェル、ヘアクリーム、ヘアムースなどの整髪剤;育毛剤;染毛剤;コールドウエーブ剤など)、
    浴用剤(粉末入浴剤、固形入浴剤、固形発泡入浴剤、バスオイル、バブルバス芳香器、バスソルトなど)、
    医薬品(膏薬、軟膏、座薬、錠剤、液状の薬、カプセルタイプの薬、顆粒状の薬など)、
    飲食品(ガム、キャンディ、ポテトチップスなどのスナック、クッキー、ビスケットなどの焼き菓子からなる製菓類;フレーバードティやハーブティなどの他、果汁飲料・炭酸飲料・粉末飲料などの清涼飲料、コーヒー、茶類などの嗜好飲料、乳飲料などの飲料類;アイスクリーム、シャーベッド、氷菓、ムース、フローズンヨーグルトなどの冷菓類;プリン、ゼリー、ババロア、ヨーグルト、クリームなどのデザート類;スープ、カレー、シチューなどの調理食品類;めんつゆ、ドレッシング、マヨネーズ等の調味料類;パン、ドーナツ等のベーカリー製品類;バタークリーム、マーガリンなどデイリー製品類;水産練り製品など)、
    オーラルケア製品(歯磨き、洗口剤など)、
    たばこ等を挙げることができる。

    それらの中でも楽器が好ましく、中でもオルガンやピアノなどの鍵盤楽器、木琴、タンバリン、カスタネット、鈴、マラカス、フルーツシェイカーなどの打楽器が好ましい。 楽器を利用する者が手を動かすことなどにより音が生まれること、すなわち意識と行動とが影響しあうと共に音を出すために複雑な技術を必要としないことが1つの理由である。
    特に鈴、マラカス、フルーツシェイカーなどのリズム打楽器(本発明ではリズム楽器ということがある)が好ましい。 片手で持つことができ、痴呆高齢者なども簡単に持つことができることが一つの理由である。

    これら製品に本発明にかかる行動改善用香料を用いて賦香、すなわち香り付けする。 賦香する方法は特に限定されないが、例えば、本発明にかかる行動改善用香料を紙、不織布、綿、シリカゲル、木、軽石、貝殻、焼結金属、ケイ酸カルシウムなどの多孔質体などに染み込ませ製品内部に収納する方法、本発明にかかる行動改善用香料をマイクロカプセル化したり、溶媒に溶かしたりしたのち、インク状あるいは溶液状にして製品表面あるいは製品内部に塗布する方法、本発明にかかる行動改善用香料をエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂やポリ塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂に混入させてフィルム状あるいはシート状に成形し、このフィルムあるいはシートを製品表面あるいは内部に配置する方法、本発明にかかる行動改善用香料を製品内あるいは製品周辺部の一定の部位あるいは付置した容器に保持しておき、外部からの刺激に応じて初めて一定部位あるいは容器に保持された本発明にかかる行動改善用香料を放出させる方法、本発明にかかる行動改善用香料を直接楽器表面に吹きつける方法などを例示することができる。

    特に楽器について、具体的な賦香方法について例示すると、例えばオルガンやピアノの鍵盤楽器では、鍵盤下あるいは楽器前面に設置した容器内に本発明にかかる行動改善用香料を保持させておき、鍵盤が指で叩かれることから生じる空気圧や振動や電気信号により芳香させる方法が挙げられる。

    太鼓などの打楽器には、マイクロカプセル化した本発明にかかる行動改善用香料を含む溶液、分散液、インクなどで楽器の叩かれる表面やバチなどの叩く部分の表面をコーティングしたり、本発明にかかる行動改善用香料を含むフィルムあるいはシートを楽器の叩かれる表面やバチなどの叩く部分の表面に配置させ、バチなどを叩くことにより芳香させる方法が挙げられる。

    弦楽器では、弦に本発明にかかる行動改善用香料含有液を染み込ませ、摩擦や振動により芳香させる方法が挙げられる。

    電子楽器では、電子制御するマイクロチップ部位に埋め込んだ本発明にかかる行動改善用香料を電子信号によって本発明にかかる行動改善用香料含有部位を刺激し、芳香させる方法が挙げられる。

    マラカスの場合では、マラカス内部に収容させる粒子の表面に本発明にかかる行動改善用香料あるいは本発明にかかる行動改善用香料のマイクロカプセルを含む液を吹きつけ、その後に該賦香された粒子をマラカス内部に収める方法が挙げられる。 また他の方法として、本発明にかかる行動改善用香料を比較的硬い多孔質体粒子に染み込ませ、その後に該賦香された粒子をマラカス内部に収める方法が挙げられる。 このときマラカスに粒子径よりも短い細長い窓あるいは細かな孔を多数空けておくと、粒子はマラカスの外部にこぼれることなく、粒子表面あるいは粒子内部の本発明にかかる行動改善用香料が揮散されやすくなるので、より好都合である。

    ここで、本発明にかかる行動改善用香料を製品に賦課するに際して、その賦香率は、一般的な製品賦香率がよく、特定の香りであることがわからない強さ、即ち香りの種類は判別できない程度の賦香率であることが好ましい。
    具体的には、楽器、筆記用具、遊具、雑貨類の場合には、賦香率が0.01重量%〜50重量%であることが好ましく、0.1重量%〜50重量%であることがより好ましい。
    化粧品、頭髪化粧品、トイレタリー製品、身体洗浄剤、浴用剤、衛生用品、ハウスホールドなどの場合には、0.0001重量%〜50重量%であることが好ましく、0.1重量%〜30重量%であることがより好ましい。
    医薬品の場合には、0.00001重量%〜0.1重量%であることが好ましく、0.001重量%〜0.1重量%がより好ましい。
    オーラルケア製品の場合には、0.00001重量%〜10重量%であることが好ましく、0.001重量%〜5重量%であることがより好ましい。
    飲食品の場合には、0.00001重量%〜1重量%であることが好ましく、0.0001重量%〜0.1重量%であることがより好ましい。
    たばこの場合には、0.0001重量%〜0.1重量%であることが好ましく、0.0001重量%〜0.01重量%であることがより好ましい。

    かくして、得られた賦香された製品は広い使い道があるが、具体的に例示すると日用品、教習具、とくに高齢者の意識や意欲向上と持続など精神的な面での改善のための用具として使用でき、痴呆化予防のための用具としても使用できる。 また、痴呆高齢者の意識・意欲向上のための用具などとして使用することができる。

    すなわち、本発明は、
    本発明にかかる各種行動改善用香料で賦香することを特徴とする賦香された製品を用いた痴呆高齢者の精神的な面での改善用用具や痴呆予防具、
    などを包含する。
    さらに、本発明は、
    上記賦香された製品を用いることを特徴とする痴呆高齢者の意欲・意識の改善方法、
    上記賦香された製品を用いることを特徴とする痴呆高齢者の行動改善方法、
    上記賦香された製品を用いることを特徴とする痴呆高齢者の行動活性化方法、
    上記賦香された製品を用いることを特徴とする痴呆高齢者の行動抑制化方法、
    などを包含する。

    以下に実施例および応用例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。

    [実施例1]
    (1) シナモン精油の調製 シナモン〔 Cinnamomum zeylanicum 〕の樹皮を水蒸気蒸留することで、セイロン桂皮油としてシナモン精油を得た。

    (2) グレープフルーツ精油の調製 グレープフルーツ〔 Citrus Paradisi 〕の果皮を圧搾し、採油することによってグレープフルーツコールドプレスオイルを得た。

    (3) ジャスミン精油の調製 ジャスミン〔 Jasminum officinale var. grandiflorum 〕の花をヘキサンで抽出して採油し、得られたコンクリートをエタノール処理し、アブソリュートとしてジャスミン油(ジャスミン・アブソリュート)を得た。

    (4) ペパーミント精油の調製 ペパーミント〔 Mentha piperita var. vulgaris 〕の全草を水蒸気蒸留して採油することによって、ペパーミントオイルを得た。

    (5) 賦香された楽器の調製 木製のマラカスを購入し、内部の小さな粒子を取り出した。 次に、(1)で得られたシナモン精油を中鎖トリグリセライド(middle chain triglyceride:MCT)にて20重量%に調整し、直径約2mmのフローライト(ケイ酸カルシウム)粒子に1:1の重量比になるよう染み込ませた。 このフローライト1gをマラカス内に収納させて、シナモン精油が賦香された楽器を調製した。 フローライト粒子の量は取り出した小さな粒子と同体積となるように調整した。 また、キリでマラカス表面に多数の孔を開けた。
    同様の手法で、(2)で得られたグレープフルーツ精油50重量%MCT溶液がフローライト粒子に1:1の重量比になるよう染み込ませ賦香されたマラカス、(3)で得られたジャスミン精油5重量%MCT溶液がフローライト粒子に1:1の重量比になるよう染み込ませ賦香されたマラカス、及び、(4)で得られたペパーミント精油10重量%MCT溶液がフローライト粒子に1:1の重量比になるよう染み込ませ賦香されたマラカスを調製した。

    (6) 賦香されていない楽器の調製
    (5)と同じ木製のマラカスを購入し、内部の小さな粒子を取り出した。 次に、(5)で用いたフローライトであって、上記香料を染み込ませていないフローライト粒子をマラカス内に収納させた。 フローライト粒子の量は(5)と同量である。

    [応用例1:回数評価]
    軽度の痴呆高齢者10人にマラカスの使い方を説明した後、参加者全員に実施例1で調製したシナモンが賦香されたマラカスを与え、『あんたがたどこさ』(9分間)の曲に合わせて遊んでもらった。 次いで、比較例1で調製したマラカスを与え、同じ曲に合わせて遊んでもらった。 痴呆高齢者の中から任意の二人の痴呆高齢者(A・B)に着目し、両者について、無香のマラカスを振っている様子及び賦香したマラカスを振っている様子をビデオ撮影した。

    マラカスを振っている様子を撮影したビデオを再生して、痴呆高齢者(A・B)が手にした賦香されたマラカスを振った回数、および賦香されていないマラカスを振った回数を、30秒ごとに数えた。 得られた結果を図1A、図1Bに示した。
    また、賦香されたマラカスを用いた場合の効果を見やすくするため、賦香されていないマラカスを振った回数(30秒ごと)の平均値と、賦香されたマラカスを振った回数を30秒ごとに数えたものとを比較したグラフを図1A、図1Bにそれぞれ示した。

    以上の実験を、日を置いて、実施例1で調製したグレープフルーツ精油を賦香したマラカス(但し、曲は『ラジオ体操』1分間(ただし振った回数を10秒ごとに数えた))、実施例1で調製したジャスミン精油を賦香したマラカス(但し、曲は『施設の歌』3分間)、実施例1で調製したペパーミント精油を賦香したマラカス(但し、曲は『糸巻き』3.5分間)についても行い、得られた結果を図2〜4に示した。

    回数評価の結果、ペパーミント、グレープフルーツ及びジャスミンについては、賦香された楽器を用いた場合のほうが振る回数が増えており、行動活性化効果のある香料であることがわかった。 一方、シナモンについては、賦香された楽器を用いた場合のほうが振る回数が減っており、行動抑制効果のある香料であることがわかった。

    [応用例2:印象評定]
    応用例1で撮影された各ビデオについて、無香の場合と賦香の場合とをそれぞれほぼ1分に編集した。 無香の場合、次いで賦香の場合の編集済みビデオを再生し、痴呆高齢者の中から任意の二人(A・B)に着目してその表情を痴呆高齢者の全体から評価した。 評価は下記評価項目に従って10名が行った。 なお、このとき評価をした10名には賦香されたマラカスか賦香されていないマラカスかについては伝えていない。

    表情の評価項目は下記の通りである。
    1. 楽しい、2. 面白い、3. うきうきしている、4. 興味がある、5. 喜んでいる、6. 意欲的である、7. 活動的である、8. 集中している これら8項目を7段階で評価した。 すなわち、無香(+)と賦香(−)のどちらをより強く感じるかで評価を行い、無香の楽器を使用しているときの方が非常に当てはまると評価された場合を「+3」、賦香した楽器を使用しているときの方が非常に当てはまると評価された場合を「−3」として分析を行った。 各香料についての印象評定結果を表1〜4に示し、これをグラフ化したものを図5に示した。

    図5から、シナモンには感情面においても抑制効果があることがわかった。 他方、ジャスミン、ペパーミント、グレープフルーツには感情面においても活性化効果があることがわかった。

    シナモンが賦香されたマラカスを振った回数と、賦香されていないマラカスを振った回数とを比較したグラフ(痴呆高齢者Aの場合)

    シナモンが賦香されたマラカスを振った回数と、賦香されていないマラカスを振った回数とを比較したグラフ(痴呆高齢者Bの場合)

    グレープフルーツが賦香されたマラカスを振った回数と、賦香されていないマラカスを振った回数とを比較したグラフ(痴呆高齢者Aの場合)

    グレープフルーツが賦香されたマラカスを振った回数と、賦香されていないマラカスを振った回数とを比較したグラフ(痴呆高齢者Bの場合)

    ジャスミンが賦香されたマラカスを振った回数と、賦香されていないマラカスを振った回数とを比較したグラフ(痴呆高齢者Aの場合)

    ジャスミンが賦香されたマラカスを振った回数と、賦香されていないマラカスを振った回数とを比較したグラフ(痴呆高齢者Bの場合)

    ペパーミントが賦香されたマラカスを振った回数と、賦香されていないマラカスを振った回数とを比較したグラフ(痴呆高齢者Aの場合)

    ペパーミントが賦香されたマラカスを振った回数と、賦香されていないマラカスを振った回数とを比較したグラフ(痴呆高齢者Bの場合)

    賦香されたマラカスを用いた場合と賦香されていないマラカスを用いた場合とにおける印象評定を示した

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