【0001】 【発明の属する技術分野】 この出願発明は新しい健康食品に関する。 【0002】 【従来の技術】 中国伝統医学は身体を常に正常な状態に保つことを一つの基本としているが、その目的を達成するための気血水という概念があり、また、その概念に基づいた具体的な手段手法もあることは昔から知られていた。 しかし、その概念の説明は中国特有の哲学的表現でなされ、その手段方法としては天然の素材を乾燥したものだけを用いるという科学的文明の世界では理解され難い概念と受け入れがたい手段手法であったので、貴重な中国伝統医学も中国以外では殆ど用いられていない医学であった。 1999年4月中国の医学機関誌である中国薬信息雑誌(英文名、Chinese Journal of Information on Traditional Chinese Medicine)のVol. 6 No. 4に、「世人期待的中医薬−論医薬科研的思維与方法学」という一文が発表された。 この論文は、「気血水」の概念に含まれていた科学に関連する部分について世界の共通語である科学の言葉を用いて説明されたものである。 気血水なる概念に含まれていた科学について簡単に説明すると、「気」という言葉に含まれている科学とは、人体が持つ総ての機能をしっかりと作動させることであり、「血」という言葉に含まれている科学とは、それらの機能を発揮するために必要な物質を血管を通じて体中に供給することであり、又、「水」という言葉に含まれている科学とは、血管で運ばれたそれらの必要物質をさらに血管のない部分にも十分供給することであるが、この時の必要物質の搬路は体の内から外に向かって形成されている水分の流れである。 中国伝統医学に含まれていた医学理論としては全く新しい科学概念が表明されたことは多くの既存の科学理論がその発現と同時に無限の発展を示したように、この新医学理論も西洋医学の世界に新しい医学手法を提供し、従来、西洋医学にも言葉としては存在した、疾病の予防、自然治癒力の増強、病後回復の促進などを具体的に実現しうる可能性を初めて呈示している。 さらに、この新しい医学理論は従来、中国伝統医学で素材として用いられた各生薬に含まれているその医学的理論部分を達成するための有効成分を決定することを極めて容易とし、その結果としてこの新しい医学理論の実現に使用される総の素材を純度の高い活性有効成分とすることを可能にした。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 総ての人が利用できる健康食品として最も重要な条件は、製品の価格が少なくとも現在市販されている総合ビタミン剤より廉価であることである。 この出願発明者は、コール酸(Cholic acid)が血管を通じて人体機能発揮に必要な物質の体内配送を保証するために有効成分であることを見い出した。 また、この出願発明者は、イソフラボンおよびイソフラボン配糖体、とくに、大豆イソフラボンおよび大豆イソフラボン配糖体が、血管で運ばれた機能発揮のための必要物質を更に血管のない体内各部へ供給するための手段である体内の水流を促進する作用を持つものであることを見い出した。 さらに、この出願発明者は、コール酸とイソフラボンおよび/またはイソフラボン配糖体、とくに、大豆イソフラボンおよび/または大豆イソフラボン配糖体とを併用することにより相乗効果のある優れた健康食品であることを見い出した。 この出願発明は、この新しい医学理論を基に古来、中国伝統医学が達成していた効果に近い極めて有効な健康食品を提供することを目的とする。 【0004】 【課題を解決するための手段】 この出願発明は、コール酸と、 大豆イソフラボンおよび/または大豆イソフラボン配糖体とを含んでおり、一日の摂取量が、コール酸は10〜100mg、大豆イソフラボンおよび/または大豆イソフラボン配糖体は10〜100mgである病気の予防、自然治癒能力の増強、病後の回復促進を同時に達成するための健康食品に関する。 【0005】 【発明の実施の形態】 この出願発明の健康食品は、どのようにして摂取してもよいが、病気の予防は総ての健康人が望むところであり、自然治癒力はあらゆる病気に対して患者の体自身が発揮する力であって、総ての病人が従来の西洋医学的治療と共に自然治癒能力を発揮することを望むところであり、又、病後の回復は、西洋医学的病状を脱却した病後の人総てが望むところであるから、この出願発明の健康食品は、日常的に摂取することが望ましい。 【0006】 イソフラボンおよびイソフラボン配糖体は、大豆に含まれる大豆イソフラボンおよび大豆イソフラボン配糖体がとくに好ましい。 【0007】 コール酸の一日の摂取量は、1〜1000mgが好ましく、2〜300mgがより好ましく、10〜100mgがとくに好ましい。 【0008】 イソフラボンおよびイソフラボン配糖体の一日の摂取量は、1〜500mgが好ましく、5〜200mgがよりこのましく、10〜100mgがとくに好ましい。 【0009】 この出願発明は、コール酸、とくに、コール酸とイソフラボンおよび/またはイソフラボン配糖体が含まれていればよいが、その他の成分として、ビタミン類、ヘム鉄、プルーンエキス、生薬としては、自律神経に支配される器官、腺、血管の機能を賦活するもの、消化を助けるもの、その他を混合してもよい。 【0010】 自律神経に支配される器官、腺、血管の機能を賦活する生薬は十種以上が知られており、例えば、ニンジンがあるが、ニンジンをはじめこれらの生薬の幾つかの有効成分は既に明らかにされている。 したがって、これらの有効成分を加えることが好ましい。 これらの有効成分をさらに加えることにより、人体機能賦活作用を発揮することができる。 このような生薬としては、人参(ニンジン)、党参(トウジン)、太子参(タイシジン)、西洋参(セイヨウジン)、黄耆(オウギ)、白朮(ビャクジュツ)、山薬(サンヤク)、甘草(カンゾウ)、大棗(タイソウ)、膠飴(コウイ)、黄精(オウセイ)、四葉参(シヨウジン)などがとくに好ましい。 【0011】 また、消化を助けるものとしては、サンザシ、神麹(シンキク)、ライフクシ、麦芽(バクガ)、穀芽(コクガ)、鶏内金(ケイナイキン)、阿魏(アギ)などがとくに好ましい。 【0012】 この出願発明の健康食品は、通常の粉末状、固形状、液状で摂取することができ、混合する材料としては、乳糖、デンプン、植物油等が使用される。 【0013】 牛、豚などの家畜の胆汁はタウロコール酸(Taurocholic acid)を含んでいるが、そのタウロコール酸を加水分解してタウリン(Taurine)を製造する。 タウリンは食品原料として需要が多くその生産量は多い。 その製造の過程で、この出願発明のコール酸も多量できるが、このコール酸は試薬原料として使われるくらいで大部分は産業廃棄物として処理されていて極めて廉価である。 【0014】 また、この出願発明において用いられるもうひとつの素材は、イソフラボンおよびイソフラボン配糖体である。 大豆に含まれる有効成分はダイズイン(Daidzin)、グリシチン(Glycitin)、ゲニスチン(Genistin)などの数種のイソフラボン配糖体であり、また、そのアグリコンであるダイゼイン(Daidzein)、グリシテイン(Glycitein)、ゲニステイン(Genistein)などの数種のイソフラボンである。 大豆は大豆油の製造原料であるが、大豆油の需要量は大きく、その副産物である大豆粕と同時に大量に生産される。 大豆粕の一部は食品原料となる大豆蛋白などの製造原料となるが主として肥料、飼料として使われ、その価格は極めて低い。 産業廃棄物に近い大豆粕を原料として大豆イソフラボンおよび大豆イソフラボン配糖体を高い純度で廉価に製造することができる。 【0015】 【実施例】 以下に、この出願発明を具体的に説明する。 使用するコール酸の純度は90%、大豆イソフラボンおよび大豆イソフラボン配糖体の純度は40%とした。 実施例1(散剤) コール酸60mg、大豆イソフラボン配糖体125mg、乳糖2700mg、トウモロコシデンプン1100mg、軽質無水ケイ酸5mg、ステアリン酸マグネシウム10mg、合計4000mg(1包2g1日2回) 同様に、大豆イソフラボン配糖体の代わりに大豆イソフラボンを使用して散剤を製造した。 【0016】 実施例2(顆粒状) コール酸60mg、大豆イソフラボン配糖体125mg、乳糖2700mg、トウモロコシデンプン800mg、結晶セルロース300mg、軽質無水ケイ酸5mg、ステアリン酸マグネシウム10mg、合計4000mg 同様に、大豆イソフラボン配糖体の代わりに大豆イソフラボンを使用して顆粒剤を製造した。 【0017】 実施例3(球形顆粒) コール酸60mg、大豆イソフラボン配糖体125mg、乳糖515mg、トウモロコシデンプン400mg、寒梅粉500mg、結晶セルロース400mg、合計2000mg 同様に、大豆イソフラボン配糖体の代わりに大豆イソフラボンを使用して球形顆粒剤を製造した。 【0018】 実施例4(錠剤) コール酸140mg、大豆イソフラボン配糖体280mg、乳糖4000mg、カルボキシメチルセルロースカルシウム320mg、ヒドロキシプロピルセルロース74mg、結晶セルロース700mg、カープレックス30mg、ステアリン酸マグネシウム10mg、合計5484mg(1錠280mg1回5錠1日2回) 同様に、大豆イソフラボン配糖体の代わりに大豆イソフラボンを使用して錠剤を製造した。 【0019】 実施例5(ハードカプセル剤) コール酸60mg、大豆イソフラボン配糖体125mg、トウモロコシデンプン959mg、ステアリン酸マグネシウム9mg、合計1153mg(1号カプセル1日4カプセル) 同様に、大豆イソフラボン配糖体の代わりに大豆イソフラボンを使用してハードカプセル剤を製造した。 【0020】 実施例6(ソフトカプセル剤) コール酸60mg、大豆イソフラボン配糖体125mg、ミツロウ55mg、食用油960mg、合計1200mg(1日分4カプセル) 同様に、大豆イソフラボン配糖体の代わりに大豆イソフラボンを使用してソフトカプセル剤を製造した。 【0021】 実施例7(ドリンク剤) コール酸60mg、大豆イソフラボン配糖体125mg、朝鮮人参エキス1500mg、リュウガンエキス100mg、ゴミシ流エキス300mg、ローヤルゼリー150mg、リン酸リボフラビンナトリウム10mg、エタノール1.2ml、パラオキシ安香酸4mg、精製水適量、合計50ml 同様に、大豆イソフラボン配糖体の代わりに大豆イソフラボンを使用してドリンク剤を製造した。 【0022】 実施例8(顆粒剤) コール酸60mg、大豆イソフラボン配糖体125mg、塩酸チアミン10mg、塩酸ピリドキシン100mg、塩酸ヒドロキソコバラミン1.027mg、酢酸トコフェロール100mg、乳糖2700mg、結晶セルロース300mg、軽質無水ケイ酸5mg、ステアリン酸マグネシウム10mg、トウモロコシデンプン適量、合計4000mg(1包2g、1日2回) 同様に、大豆イソフラボン配糖体の代わりに大豆イソフラボンを使用して顆粒剤を製造した。 【0023】 実施例9(カプセル剤) コール酸60mg、大豆イソフラボン配糖体125mg、ビタミンA油4mg、コレカルシフェロール0.005mg、酢酸トコフェロール10mg、ビタミンC600mg、結晶セルロース250mg、ステアリン酸マグネシウム6mg、トウモロコシデンプン適量、合計1150mg(1号カプセル、1日4カプセル) 同様に、大豆イソフラボン配糖体の代わりに大豆イソフラボンを使用してカプセル剤を製造した。 【0024】 この出願発明の目的は、身体を常に正常な状態に保つことによって病気を予防し、病気に対する自然治癒力を増し、病後の回復を促進することであるが、その医学的データを得るためには数万人の被験者と一人の人間の一生に近い長時間が必要でその実現は極めて難しい。 両成分の予備的な使用実験でコール酸単独摂取者の数人に血の科学に関連すると思われる飲酒によるトラブルの改善が見られ、大豆イソフラボンおよび大豆イソフラボン配糖体群の単独摂取者の数人に水に含まれる科学に関連すると思われる便通改善が特徴的に見られた。 また、さらに、この出願発明両者併用の効果を立証するためにコール酸単独、大豆イソフラボン配糖体の単独、コール酸と大豆イソフラボン配糖体との複合の三種のサンプルをそれぞれ30人の被験者に2か月間服用させた結果を調査し、その結果をつぎの表に示した。 【0025】 【表】
【0026】 この表から明らかなように、大豆イソフラボン配糖体群とコール酸とを混合した場合には、大部分が顕著な疲労回復を示しており、この結果は、大豆イソフラボン配糖体群とコール酸とを混合した場合には、大豆イソフラボン配糖体群とコール酸とを単独で使用した場合に比べて、各々の単独成分では見られなかった新しい効果があることを示している。
また、大豆イソフラボンについても大豆イソフラボン配糖体と同様の結果が得られた。
表に現れたこれらの結果は、二つの成分の組み合わせによって、二つの成分のそれぞれのもつ効果が相乗的に現れたことを示している。
中国伝統医学の効果は科学の力を越える場合があり上表の結果の完全解釈はできないが、科学の観点からのみ見てもうなづける結果である。
即ち、コール酸には、人体各部での機能発揮に必要な物質を血管を通して搬送する作用があり、大豆イソフラボンおよび大豆イソフラボン配糖体群には血管から先の血管の通っていない部分、例えば組織、体液などの血管の占める体積をはるかに越える人体の大部分へ配送する作用があることは既に説明したが、二つのどちらかが阻害されても、又、どちらかの作用のみ賦活されても機能発揮に必要な物質の人体隅々までの配送は達成できない。
【0027】
各種の病気に対する急速な改善効果は各病気に対して直接的な治療効果を発揮したのではなく、人体が正常状態に近づいたために病気が自然消滅したか、体が総合的な自然治癒力を発揮して病気を根本的に治そうとしたかの何れかであって西洋医学のようにその病気の一面に対してだけの限定的な効果を発揮した結果ではない。
【0028】
中国伝統医学の気血水に含まれていた新しい医学理論に基づけば、血の作用をもつ生薬の有効成分又はその作用を有する化合物と、水の作用をもつ生薬の有効成分又はその作用を有する化合物とを同時に用いれば、この出願発明におけるコール酸とイソフラボンおよび/またはイソフラボン配糖体群とくに大豆イソフラボンおよび/または大豆イソフラボン配糖体との併用の場合と同じく、それぞれの成分又は化合物の併用はそれぞれの成分又は化合物が独立して示す効力を相乗的に強化することができることが期待される。
【0029】
【発明の効果】
この出願発明により、食品を通して病気の予防、自然治癒能力の増強、病後の回復促進を同時に達成することができる。
また、この出願発明の成分の一つであるコール酸は、タウロコール酸を加水分解してタウリン(Taurine)を製造する過程で多量のコール酸もできるが、このコール酸は試薬原料として使われるくらいで大部分は産業廃棄物として処理されているので極めて廉価である。
また、同様に、この出願発明の成分の一つである大豆イソフラボンおよび大豆イソフラボン配糖体は、大豆油の製造過程の副産物である大豆粕の中に含まれているが、大豆粕は、大豆油と同時に大量に生産される。 大豆粕の一部は食品原料となる大豆蛋白などの製造原料となるが主として肥料、飼料として使われその価格は極めて低い。 産業廃棄物に近い大豆粕を原料として大豆イソフラボンおよび大豆イソフラボン配糖体を高い純度で廉価に製造することができる。
したがって、この出願発明は、きわめて安価に健康食品を提供することができるという優れた効果がある。
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