【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、早発射精予防用または治療用医薬組成物に関し、詳細には、男性の射精調節能力喪失症や勃起不全症等にも有用な医薬組成物に関するものである。 【0002】 【従来の技術】神経系は、中枢神経系と末梢神経系に大別される。 通常の神経系の過敏症は、中枢神経系の異常による精神神経系統の問題としてとらえられるが、男性の射精調節能力等をつかさどる性神経(射精反射神経等)の過敏症の場合は、末梢神経系と中枢神経系のバランスの異常によるものが大部分である。 すなわち、現代文明の発展と共に科学技術が高度化するに従って、衣食住や性的欲求等の様に人間の本能を主に満足追及させる末梢神経系の発展よりは、むしろ新しい科学技術に対する順応性、円滑な人間関係の維持および社会的生存競争に生き残るための努力等、高度の精神活動に対処し得る中枢神経系の発展が優先的に要求される様になるが、複雑な現代社会の中で揉まれる男性のなかには、中枢神経系と末梢神経系の間の円滑な協調体制(バランス)を維持することができず、両者の均衡が破れ、人間本来の欲求を充足させるに必要な性的調節能力等が喪失される結果、早発射精症状等に至る者が多い。 【0003】統計によれば、程度の差こそあれ韓国の成人男性の約30〜50%が早発射精等に代表される性神経過敏症のために満足な性生活を持続することができないという人知れぬ悩みを持っていると言われている。 この様な問題は、単に家庭間の問題にとどまらず、本人の自信感喪失による無力症等、社会的問題にまで発展しているのが現状である。 【0004】この早発射精の原因としては、神経伝達系の疲労による中枢機能の抑制低下、性器の疾病による特定部位の過敏反応、内分泌系または神経系の異常等が挙げられ、このような種々の要因が相互に競合的に作用したり、あるいは関連性のある神経中枢間のバランスが崩壊することによって射精反射が早期に行われるものと推測される。 【0005】上記早発射精の治療方法としては、精神療法と薬物療法がある。 このうち精神療法は、医者、患者および婦人の三者間の対話と協調によって性的鍛錬を長期間施すことによって解決する方法であるが、解決時間に長期間を要する反面、生活様式の変化や外的要因によるストレス等、環境の影響によってその協調体制を維持することが難しく、失敗や再発の恐れが多いという問題がある。 従って、精神療法ではなく薬物療法が繁用されている。 【0006】上記薬物療法に用いられる薬物としては、 中枢神経系の興奮を抑制させる向精神性薬物や、末梢神経を鈍化させる局所麻酔薬等が挙げられる。 このうち向精神性薬物の使用は、性的意欲の喪失により性行為自体が不可能になる恐れがあり、一方、局所麻酔剤(リドカイン軟膏やリドカインスプレー等)の場合には、血管収縮作用による勃起不全症を誘発するため、持続時間が短く、また、性行為直前に使用しなければならない等の使用上の問題もあり、早発射精による問題を根本的に解決するには至っていない。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、早発射精を予防または治療することができ、勃起不全症等にも有用な医薬組成物を提供することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決することができた本発明の早発射精予防用または治療用医薬組成物は、人参、当帰、肉従蓉(broomrape )、桂皮、細辛および蟾酥中の活性成分を含有するか、あるいは、上記活性成分、並びに医薬として許容される担体を含有することに要旨を有するものである。 【0009】上記医薬組成物において、更に、山椒、蛇床子(cnidium fructus )、丁香または麝香中の活性成分を少なくとも1種含有するものは本発明の好ましい実施態様である。 【0010】本発明の医薬組成物に含有される活性成分の含有量は、人参:60〜140部、当帰:60〜14 0部、肉従蓉:60〜140部、桂皮:10〜30部、 細辛:10〜30部および蟾酥:15〜25部であることが好ましく、更に、山椒:40〜70部、蛇床子:6 0〜140部、丁香:10〜30部または麝香:50〜 15部を少なくとも1種含有することが好ましい。 【0011】本発明の医薬組成物の剤型は、軟膏剤、懸濁剤、ゲル剤、噴霧剤または液剤であることが好ましい。 詳細には、人参、当帰、肉従蓉、桂皮、細辛および蟾酥、またはそれらの水もしくはアルコール抽出物、並びに医薬として許容される軟膏基剤を含有するものが好ましく、更に、山椒、蛇床子、麝香、またはそれらの水もしくはアルコール抽出物、または丁香の水抽出物を少なくとも1種含有してもよい。 上記軟膏基剤は、水溶性基剤であることが好ましい。 【0012】 【作用】本発明者らは早発射精による問題点を解決すべく鋭意検討したところ、特定の生薬を配合することによって上記従来の問題を解決することができることを見出し、本発明を完成したのである。 【0013】本発明の早発射精予防用または治療用医薬組成物は、必須成分として、人参、当帰、肉従蓉、桂皮、細辛及び蟾酥の活性成分を含有し、これら必須成分以外に山椒、麝香、蛇床子または丁香の活性成分を少なくとも1種含有することが好ましい。 【0014】本発明に用いられる必須成分のうち、人参は、強壮剤、強精剤、鎮静剤、疲労回復剤として通常使用されるものであり、人体の新陳代謝を円滑にする作用を有するものである。 また、当帰は補血や痛みの緩和を目的として産婦人科領域で貧血や血行障害に有効であることが知られており、肉従蓉は強壮剤として性欲減退に効果があり、桂皮は末梢血管拡張作用を有すると共に、 中枢神経に対して少量では覚醒作用を、大量では抑制作用を有する精油成分を多量含有しており、通常、鎮痛鎮痙薬、保健強壮薬として用いられるものである。 細辛は抗ヒスタミン作用を有する精油成分を含有しており、臨床領域では解熱剤、鎮痛剤、鎮咳去痰剤等として使用され、蟾酥はヒキガエルの耳腺および皮腺分泌物を集めたものであり、強心作用、利尿作用、鎮痛作用、解毒作用等を有し、局所麻酔効果、血管拡張効果等に優れた薬剤である。 【0015】本発明に用いられる選択的添加許容成分である山椒は、局所知覚麻痺作用および末梢血管拡張作用を有するものであり、臨床領域では鎮痛剤、鎮痙剤等として使用される。 また、麝香は麝香鹿の麝香腺分泌物を乾燥したものであり、強心作用、強精作用、抗炎症作用及びβ−アドレナリン受容体を興奮させる作用があり、 臨床領域では興奮剤、強心剤、強精剤、鎮静剤、鎮痙剤、排膿剤、解毒剤等として広く使用される。 その他、 蛇床子や丁香はすべて強精作用、末梢血管拡張作用を有する薬剤として知られている。 【0016】本発明の医薬組成物は、上記必須成分、および患者の症状等に応じて適宜添加される選択的添加許容成分を含有するものであり、これらの薬理作用が複雑に絡み合って相乗的に作用する結果、単独ではもたらし得なかった早発射精の予防または治療という顕著な効果を発揮することができるのである。 【0017】上記成分を使用するに当たっては、それらの中に含まれる活性成分を最大限に得ることができる様、粉末乾燥物、もしくは水またはアルコール(メタノールやエタノール等を含む、以下同様)の抽出物とすることが推奨される。 上記成分のうち、人参、当帰、肉従蓉、山椒および蛇床子は、アルコールまたは水で抽出することが好ましく、桂皮、細辛および丁香は水で抽出した濃縮物を用いることが好ましく、また蟾酥は水またはアルコールで活性成分を抽出して使用するか、もしくは人乳または畜乳に溶解後の濃縮物を乾燥し、粉末状態で使用することが推奨される。 さらに麝香は乾燥粉末を用いるか、水またはアルコールで抽出して使用することが好ましい。 これらの活性成分を抽出する方法は特に限定されず、該活性成分を阻害することなく、且つそれらの成分を最大限に抽出することができる様、各成分の特性に応じて常温もしくは加温下で水またはアルコールで所定時間抽出する方法を適宜選択し得る。 【0018】上記成分の含有量は、好ましくは、重量部で人参,当帰,肉従蓉:各60〜140部、桂皮,細辛:各10〜30部、蟾酥:15〜25部であり、必要に応じて、山椒:40〜70部、蛇床子:60〜140 部、丁香:10〜30部、麝香:5〜15部を少なくとも1種含有することが好ましい。 このような成分比率は多くの動物実験結果および臨床試験結果に基づいて決定されたものであり、各成分の下限値が上記設定範囲より低い場合には該成分の薬理作用が極端に減少し、一方、 各成分の上限値が上記設定範囲より高い場合には他の成分の薬効が減少し、該成分とその他の成分との相加作用および相乗作用による効果が顕著に低下するという問題がある。 【0019】本発明の医薬組成物は、上記成分のみからなるものであってもよいし、あるいは有効成分として上記成分の溶媒抽出物あるいは粉末乾燥物を好ましくは上記特定の比率で含有し、これに医薬として許容される無機担体もしくは有機担体を加えて固体、半固体、または液体の形で、経口投与剤または非経口投与剤の剤型に製剤化したものであってもよい。 【0020】上記経口投与に適した剤型としては、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、軟・硬カプセル剤、各種液剤等が例示され、一方、非経口に適した剤型としては、軟膏剤、分散剤、噴霧剤、懸濁剤、油剤、乳剤、ゲル剤等が挙げられる。 【0021】本発明の薬剤は、この様に経口剤及び非経口剤のいずれの形態でも提供可能であるが、その用途上好ましいのは軟膏剤、ゲル剤、懸濁剤、液剤、分散剤、 噴霧剤、丸剤、錠剤等であり、このうち最も好ましいのは軟膏剤である。 これらの剤型は、必要に応じて使用時に他の剤型に変えて使用することも可能である。 【0022】本発明の有効成分を用いて製剤化するには常法に従えばよく、界面活性剤、賦形剤、着色料、着香料、保存料、安定剤、緩衝剤、懸濁剤、等張化剤、基剤、その他常用の医薬として許容される常用の担体を適宜使用する。 例えば、軟膏剤を調製するに当たっては、 上記有効成分と水溶性基剤(例えば、ポリエチレングリコール、デンプン、トラガント、アルギン酸塩、ベントナイト等)を混合して製剤化することが推奨される。 【0023】本発明の薬剤の投与量は、剤型の種類、投与方法、患者の年齢や体重、患者の症状等を考慮して適宜決定されるものであるが、通常、性行為を開始する1 0分〜10時間前に本発明の薬剤:0.1〜0.5gを性神経過敏部位(亀頭収容体)に1回〜数回に分けて塗布することが好ましい。 不快感が生じる場合には塗布後約20〜30分後に塗布部位を水で洗浄することが推奨される。 この様に本発明の薬剤を20〜30分塗布するだけで性神経を鈍化し血行を促進するのに十分な効果が得られ、その効果は塗布後約8〜12時間持続される。 【0024】本発明の医薬組成物の薬理機構は詳細には不明であるが、本発明の組成物による鎮痛作用、鎮静作用、麻酔作用等によって、射精反射神経の主要部である亀頭収容体の感覚機能を低下もしくは麻痺させることによって中枢神経系の伝達経路を遮断し、射精中枢部を鎮静させると共に、血行促進作用によって勃起が誘導され、さらに射精反射神経を性器接触表面部位から離すことによって性神経による過敏な刺激を受けにくくし、その結果射精に至らなくなることが推測される。 【0025】以下実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て本発明の技術的範囲に包含される。 【0026】 【実施例】 製剤例1:軟膏剤の調製イ)人参、当帰、肉従蓉、蛇床子:各々100g、山椒:50gを十分洗浄し、乾燥・粉砕した後、90%エタノール(2500ml)に24時間浸漬してから濾過し、濾液と残渣を得た。 このうち残査については、更に90%エタノール(2000ml)に24時間浸漬した後、濾過した。 この様にして得られた濾液と上述の濾液を合わせ、エタノールを留去して抽出物を得た。 得られた残渣を更に水(2500ml)中に加えて80℃以下の温度で4時間温浸し、濾過して残査を除去した後、濾液を95%エタノール(2500ml)中に加えて24 時間冷浸してから濾過した。 この沈殿物を除去した後、 エタノールを留去し、上述のエタノール抽出物と合わせた。 このうち1000mlを、溶媒を減圧留去して濃縮した後、活性炭(10g)を加えて80℃で30分間加温した。 これを濾過して得られた濾液を80℃以下で更に減圧濃縮し、冷凍乾燥(凍結乾燥)することにより粉末約100gを得た。 【0027】ロ)桂皮、丁香、細辛:各20gを十分洗浄した後、蒸留水(300ml)に4時間浸漬した後、 二重蒸留することにより、精油成分の抽出物(約5g) を得た。 【0028】ハ)蟾酥:20gを約70%エタノール(1000ml)中に加え、50℃で4時間温浸した後濾過し、濾液中のエタノールを留去した。 得られた残査に蒸留水(500ml)を加え、更に50℃で4時間温浸・濾過した後、上記の濾液と合わせた。 これに活性炭(5g)を加えて80℃で30分加温した後濾過し、濾液を50℃以下で減圧濃縮し、冷凍乾燥することにより粉末(5g)を得た。 【0029】ニ)麝香:10gを70%エタノール(5 00ml)中に加え、50℃で4時間温浸した後濾過し、濾液からエタノールを留去した。 濾過して得られた残査に蒸留水(300ml)を加えて更に50℃で4時間温浸した後濾過し、この濾液を上記の濾液と合わせた。 これに活性炭(3g)を加えて80℃で30分加温した後濾過し、濾液を50℃以下で減圧濃縮させ、冷凍乾燥することにより粉末(2g)を得た。 【0030】上記イ)、ハ)、ニ)で得られた各粉末と、ロ)で得られた精油とを均一に混合した。 この混合物と水溶性基剤(ポリエチレングリコール)とを1:9 の重量比で均一に混合することにより、本発明の黄色軟膏剤を製造した。 以下の実験例および実施例は全て、この軟膏剤を用いて実験を行ったものである。 【0031】 実験例1:毒性及び副作用確認試験イ)成長した雄性兎(5匹)の各性器陰茎亀頭部に、上記の方法で得られた軟膏剤を約2.0gずつ10分毎に合計5回塗布し、塗布後12時間の間、1時間毎に性器の状態を観察すると共に、軟膏剤を洗浄してから10時間の間、30分毎に観察した。 その結果、本発明の軟膏剤を塗布してから1時間後には性器周囲の血管が拡張して充血が続き、軟膏剤を洗浄した後もこの充血は約10 時間の間持続したが、その後、次第に充血は消滅していった。 本発明の軟膏剤を塗布することによる性器表皮の変質や、組織学的な変化等は何等観察されず、機能上の障害は全く認められなかった。 【0032】ロ)本発明者等は、上記軟膏剤を数回に分けて自分自身の性器(亀頭部)に直接塗布し、本発明薬剤の至適投与量と好適な塗布方法を検討した。 その結果、1回当たりの塗布量は0.1〜0.2gが好ましく、例えば1回につき0.2gを30分間隔で合計3回塗布し、塗布後10時間の間観察すると、血管拡張による局所灼熱感があったこと以外は、他の局所的な副作用および全身的な副作用は全く観察されなかった。 また、 上記の様な局所灼熱感も一過性のものであり、塗布後3 0分経過して亀頭部の感覚が鈍化されるにつれ、消滅していった。 【0033】 実施例1:臨床効果試験イ)本臨床試験は、性神経過敏症により性生活に深刻な障害を訴える患者のうち、この臨床試験の実施に同意した患者(30名)を対象にして、ソウル特別市江南区所在の永東セブランス病院泌尿器科にて、本発明者等の指導監督の下、上記製剤例で得られた本発明の軟膏剤を用いて行った。 対象患者の年齢は32〜57才であり、性機能障害期間は3か月から30年であった。 これらの患者は、単純性神経過敏症患者(15名)と、性神経過敏症状および勃起不全症を伴った患者(15名)に分類された。 また、これらの患者はいずれも理学的検査および内分泌系検査による異常は全くなく、放射性同位元素(Technetium 99M −RBC )を用いた視聴覚刺激検査で正常な陰茎血流逆動学的変化を示す群(Type l,14名) と非正常変化を示す群(Type ll ,16名)に分類された。 上記患者らの発病原因は主に精神的要因によるものと判断され、その中には勃起障害によって陰茎保形物挿入による手術後も性神経過敏症状が好転しない患者(2 名)と、市販の局所麻酔剤スプレーによる治療では全く効果が見られなかった患者(20名)が含まれていた。 【0034】本発明の軟膏剤を1回に0.2gずつ陰茎亀頭部に均一に塗布してから20〜30分後に洗浄し、 その後2〜8時間以内に性行為を行い、射精調節能力を毎週報告するように指示した。 本発明の軟膏剤による射精調節能力の評価は、1週間隔で4回の調査を行い、性行為開始後射精に至るまでの時間変化と夫婦間の満足度を調査することにより行った。 その結果、単純性神経過敏患者の場合、本発明の軟膏剤を使用する前は射精時間が2分以内であったのに対し、本発明の軟膏剤を使用すると射精時間が15〜20分に延長した。 また、勃起不全と早発射精症状を訴えていた群では、射精時間の遅延はもちろんのこと勃起現象も一部好転したという報告を得た。 詳細には、本発明の軟膏剤を使用する前には、その内訳は、性行為の開始直前または直後に射精する重症患者(13名)、性行為の開始直後1分以内に射精する患者(12名)、2分以内に射精する患者(5名)であったのに対し、本発明の軟膏剤を使用した後は、慢性の前立腺炎患者(1名)を含む2名の患者のみ射精時間が2分〜5分以内に増加する程度にとどまって、明らかな効果が認められなかったものの、1週間後の1次調査時点では、患者のうち2名は10分、13名は15分、1 3名は20分まで射精時間が延長し、3週間後の3次調査時点では、明白な効果が見られなかった2名を除けば2名が15分、26名が20分にまで延長されたという良好な結果を得た。 また、このうち11名の患者からは、本発明の軟膏剤を使用しなくなった後も満足な性行為が可能になったという報告が得られた。 【0035】ロ)延世大学校永東セブランス病院を訪問し、性神経過敏症による早漏症患者のうち実験に参加した患者(平均年齢41.4才,合計50名)を対象にして、本発明の軟膏剤と市販のリドカインクリームの比較実験を以下の様にして実施した。 【0036】すなわち、本発明の軟膏剤をSS,1.2 5%リドカインクリームをLL,5%リドカインクリームをML,10%リドカインクリームをHL、および偽薬をPBで表示し、患者には使用する薬物が何であるか全く分からないようにして、5種類の薬剤を性器に塗布した後、性行為を行うように指示した。 詳細には、リドカインクリームおよび偽薬の場合は性行為の30分〜1 時間前に0.2gずつ塗布するように指示し、本発明の軟膏剤は性行為の1〜8時間前に0.2gずつ塗布し塗布後30分後に性器を洗浄する様に指示し、各薬剤を塗布した場合における性行為持続時間(分)および満足度を1か月後に報告するようにした。 実験に参加した患者(50名)のうち43名が実験開始後1〜3か月の間に報告書を提出した。 得られた結果の平均値を算出し、その結果を表1に記載する。 【0037】 【表1】 【0038】表1から明らかな様に、本発明の軟膏剤を塗布した場合は、他の薬剤を塗布した場合に比べて性行為持続時間が大幅に延長すると共に、性行為満足度も非常に良好なものであった。 【0039】 実施例2:血液循環促進効果試験正常の志願者(10名)の陰茎陰嚢温度をコンピュータによる赤外線体熱検査計で測定した。 次に、本発明の軟膏剤を陰茎に0.2gずつ塗布し、塗布後8時間の間、 2時間毎に陰茎陰嚢温度を同様にして測定した。 【0040】その結果、本発明の軟膏剤を塗布すれば、 陰茎陰嚢等の局部温度は、塗布前には平均温度:27. 5℃であったのに対して塗布後には平均温度:28.5 ℃となり、約0.8〜1.1℃程度、持続的に上昇していることが確認された。 このことは、この部位の血液循環が促進されていることを実証するものである。 【0041】 実施例3:局所麻酔効果試験本実施例は、延世大学校永東セブランス病院泌尿器科に通院する性神経過敏による早漏症患者(20名)を対象にして実施した。 患者の平均年齢は39.5才であり、 結婚期間は平均13.8年であり、発病期間は平均1 5.7年であった。 このうち、単純早漏患者は15名であり、勃起不全を伴った早漏症患者は5名であった。 理学的検査と神経系検査ではいずれも正常所見を示したものばかりであった。 【0042】患者には両臥位を取って目を覆ってもらい、検査者は、普通綿糸の端で患者の陰茎亀頭部、陰嚢両側および会陰部を無作為に刺激し、刺激部位および該綿糸の刺激による触感を正確に確認することができた者を試験対象として選択した。 この様にして選択された患者について、本発明の軟膏剤(0.2g)を陰茎亀頭に塗布し、その1時間後に、バイオテシオメトリ(Bio-th esiometry )を用いて該患者の親指背部、陰茎亀頭、陰嚢、会陰部に電極を付着し、電流を徐々に増加させながら患者が振動を感じ得る時点のメーターの数値を記録した。 この検査を3回繰り返して行い、その最低数値をとって平均値を算出した。 得られた試験結果を表2に示す。 【0043】 【表2】 【0044】本発明の軟膏剤を塗布して1時間後には、 全患者のほとんどが陰茎亀頭部位における綿糸による触感が消失したが、その他の陰嚢、会陰部部位では全く変化がなかった。 詳細には、本発明の軟膏剤を塗布する前にバイオテシオメトリによる振動感は親指背部:0.0 4Micron,陰茎亀頭部位:0.05Microns ,陰嚢: 0.08Microns ,会陰部:0.56Microns であったのに対し、本発明の軟膏剤を塗布した1時間後では、陰茎亀頭部位の振動感のみ0.10Microns と2倍に増加したが、その他の部位では顕著な変化は観察されなかった。 【0045】この様に本実施例によって、本発明の軟膏剤による局所触覚鈍化作用と局所振動感鈍化作用を確認することができた。 この作用は、本発明の医薬組成物の主要な作用メカニズムを示唆するものと推測される。 【0046】 【発明の効果】本発明の医薬組成物は上記の様に構成されており、無害な生薬を原料にしているので副作用がなく、薬効が長時間持続すると共に、使用時期も患者の状況等に合わせて適宜選択することができるので、早発射精の予防または治療に有効である。 また、本発明の医薬組成物は、血液循環促進作用を示し、勃起不全症にも有効であることが確認されており、性生活の営みを充足させるうえで非常に有用であることが分かった。 ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl. 6識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 //(A61K 35/78 (A61K 35/78 35:55) 35:55) (A61K 35/78 (A61K 35/78 35:56) 35:56) (72)発明者 シン ヂョング チョング 中国 ジリンス、チュアンイングチュ イ、ベイサンチエ、グイピングフトン 5 |