【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の分野】 本発明が関連する技術分野は、一般に約40,000psiを越える高範囲感度に適した圧力ゲージの分野である。 【0002】 【発明の背景】 圧力ゲージは、流体圧力値の表示を与える必要のある商業上及び産業上の応用のために無数の異なる環境内で幅広く使用されている。 機器に応じて、圧力の値はデジタル又はアナログの形で表示できる。 ゲージの主要な感知素子は典型的には、これが晒される圧力の変化に応答して予測できる変位を生じる自由端を有するブルドン管である。 典型的には、管の変位は、運動又は増幅器を介して、較正された圧力値のダイアルとは反対側に位置する回転可能な指針に伝達される。 ブルドン管か、ダイアフラム組立体か、等に応じて、感知素子は、ゲージが意図する最高圧力に耐えるように選定される。 ほぼ40,000psi以上の遭遇する圧力値は適当な容量の高圧感知素子に要求される高圧と見做される。 【0003】 【従来技術の説明】 種々の産業上の応用のための大半の圧力ゲージは約10,000psiまで程度の圧力範囲内で作動できる。 約40,000psi以上で作動できる高圧ゲージは典型的には1.5ないし10巻の感知チューブを特徴とするブルドン管を配置する。 代わりに、弾性変形により加えられる圧力に比例して張力を与えられる細いワイヤを配置したワイヤ周波数ゲージが使用される。 機構は、ワイヤを引っ張り、ワイヤを強制的にその共振周波数にして、そこから電気信号を発生させるように作動する。 高圧力範囲のゲージについての消費者の要求は市場全体に比べて比較的希であり、その生産量は最適量よりも少なく、これが、そのためのコスト及び価格を比較的高くする。 【0004】 時として「アクチュエータ」と呼ばれる円筒状チューブの形をした感知素子は既知であり、例えば、米国特許13,468号、同第1,421,501号、同第2,409,161号、同第3,561,330号、同第3,924,519 号及び同第5,083,498号各明細書に開示されている。 その意図した最終目的にとって良好に作動するように見えるが、これらは、その特殊な細部構造のために、5000psi又はそれ以下の低圧力応用に最も適し、それ故、高圧力感度を与える圧力ゲージにおけるセンサからなる目的には適さないことを実質上特徴とする。 【0005】 問題の認識にも拘わらず、高圧範囲で作動できる圧力ゲージのための比較的低コストのセンサを製造する方法は今まで知られていない。 【0006】 【発明の目的】 それ故、本発明の目的は、約40,000psiを越える高圧応用における流体圧力の値を感知するための新規なセンサ装置を提供することである。 【0007】 本発明の別の目的は、晒されている圧力の変化を圧力ゲージ又は他の利用装置の可視のインジケータへ伝達するために可変圧力環境内で作動できるセンサ素子により上記目的を達成することである。 【0008】 本発明の更なる目的は、従来の同様の目的のセンサ素子に比べてセンサ素子の製造コストを比較的低くする先の目的のようなセンサを与えることである。 【0009】 【発明の概要】 本発明は実質上40,000psiを越える流体圧力の圧力値を感知するためのセンサに関する。 特に、本発明は、晒されている高圧に耐えることができ、その高圧の値を、圧力ゲージ、圧力スイッチ等の利用装置の種々の形に信頼をもって変換できる高圧センサ素子の新規な構成に関する。 【0010】 上述のことは、圧力が加えられていないときは直線形状である所定の長さの閉端チューブにより達成される。 チューブは、チューブ内で偏心的に位置する丸いボアを含む。 チューブは、流体圧力を受け取る一端で固定され、開いており、一方、自由端では、支持されず、閉じていて、支持された端部に入った流体圧力に応答して横方向に変位する。 偏心ボアは典型的には引き抜き加工、ロッドから銃でドリル加工又は旋盤等による偏心旋盤加工される。 ボアの偏心関係は、加えられた圧力に比例する圧力負荷の下で内部曲げ運動をチューブ内に生じさせる。 内部圧力負荷の下で、曲げ運動はチューブの自由端を、チューブのOD(外径)中心線に関してボアが予め位置していた方向とは反対の方向に偏向させる。 好ましい実施の形態においては、チューブの支持されない自由長さはチューブ外径の少なくとも約20倍であり、予期される高圧で作動するために、比較的小さなヤング弾性係数と好ましくは組み合わされた比較的大きな引張り降伏強さを特徴とする金属組成物により構成される。 同様に、500−5000psiの低圧応用に対してはエンジニアリングプラスチックで形成することができる。 典型的には、 典型的な歯車運動よりも小さな運動に頼るため、電子機器の如き応用にとって適する。 【0011】 上述の利点は多く、そのうち、少なくとも、(イ)同様の目的の普通のブルドン管に比べて、典型的に必要な配管が約50%少なくなり、(ロ)同様の目的の普通のブルドン管の通常の製造に比べて、少なくとも3つの高価な製造工程が排除され、(ハ)最終的な信頼性のために一体の先端区分となる自由端を介することなく終端するチューブボアを与え、(ニ)このような応用にとって典型的に必要とされる真に丸い横断面を有するのブルドン管の形成の困難性を排除し、(ホ)完全に硬化したチューブ又はロッドで製造を開始する機会を与える。 【0012】 上述のことは、従来技術で現在利用されている同様の構成に比べて、センサ素子の製造において実質的なコスト節約を与えることができることを認識できよう。 【0013】 本発明の上述の特徴及び利点は、その他の優れた態様と共に、図面に関連しての以下の詳細な説明を読むことにより、当業者によって更に認識できよう。 【0014】 【好ましい実施の形態の説明】 以下の説明において、明細書及び図面全体にわたって、同様の部品はそれぞれ同じ符号で示す。 図面は必ずしも寸法を示すものではなく、ある図面においては、明瞭のために部品を誇張して示す。 【0015】 ここで、図面を参照すると、図1、2には、例えば本出願人に係る米国特許第4,545,256号明細書に示したようなケース即ちハウジング14を有する圧力ゲージ10を示す。 ハウジング14内に含まれたダイアル面16及び指針1 8はクリスタル20で覆われ、指針はダイアル面16の前面で変位できる。 また、ケース10内には、本発明に係るセンサ素子12が含まれ、このセンサ素子は閉じた変位可能な端部40を有する。 センサは好ましくは、比較的小さなヤング弾性係数と組合わさって比較的大きな引張り降伏強さを示すものから選択された金属により形成される。 このような金属を例示すれば、インコネル(Inconel) 7 18、インコネルX−750、K−500モネル(Monel) 、インコネル706等である。 同様に、500−5000psiで作動できるようにガラス補強体、グラファイト又はミネラルを含むエンジニアリングプラスチックを利用することができる。 【0016】 作動の目的のため、図1−5に明示するように、センサ素子12はチューブの中心線32から距離「e」(図5)だけ片寄った中心線34を有する長手方向のボア36を含むように構成される。 ボア36は、チューブの内側で、自由端40 の下方の下表面38において終端し、そこに一体の閉鎖体を画定する。 この構成は比較的厚い壁64(図5)に対向する比較的薄い壁62を生じさせる。 ゲージ10内に設置されるときに、センサ素子12はゲージのソケット28に24において溶着される固定の即ち静止の端部を有し、流体入口26への剛直な漏洩防止接続を提供する。 ソケット28はゲージを利用すべき装置内に設置されるようになっている。 センサ素子の自由端40はブラケット42に固定され、このブラケットは横アーム44に固定される。 アームは複数の開口74を備え、増幅器のセクターアーム50の細長い溝穴48へ延びるリンク46を支持するために、開口の1つが選択される。 アーム50は支持板54のピン52のまわりで枢動するように支持され、かつ、その末端に、指標シャフト60上の歯車58と係合する歯56を具備する。 理解できるように、シャフト60の回転がダイアル板16の反対側で指針18の変位を生じさせる。 【0017】 特に図3を参照すると、センサ12は回転瞬間中心66を決めるための自由端40の運動を示す特定のデータセットのCADプロットとして示される。 運動設計及び変位を選択するために必要な瞬間回転中心を特定するために、チューブの自由端40に取り付けられ、これに横断方向で装着された円形ディスク68を含むようにANSYS(登録商標名)ソフトウエアモデルを利用した。 【0018】 ディスク上の2つの対向する点(点「A」に対しては、x=−.1178、y =. 0714、点「B」に対しては、x=−. 1178、y=−. 0816)のために運動の大きさ及び方向を提供することにより、及び、各々の中間点から垂直に突出する直線ベクトルとしてこれらを延ばすことにより、回転瞬間中心66 がこれら2つの突出線の交点にあることを観察できよう。 これから、チューブ1 2が溶接部24のまわりで屈曲する傾向を有するが、先端40の有効運動はチューブの長手方向の長さに沿ったほぼ半分であることを確認できる。 【0019】 図6a、b、c、d、eは、データの中間セットがベースライン状態を表すような5つの感度プロットをグラフ的に示す。 すべてのグラフは50,000ps iの圧力負荷のためのインコネル718チューブ(E=29,800,000p si)を使用して作った。 【0020】 このデータに基づき、次のことが観察できる。 (1)両方の長さは自由端運動において最大効果を与える、(2)半径r1、r2の変化及び偏心度は感度において同様の効果を与える、(3)アーム44の長さの変化は自由端運動に一層少ない影響を与える、(4)応力の見地からは、チューブ円周上の最も薄い地点での壁厚は、一層大なるボア寸法とは反対に、一層大なる偏心量を与えるのに良好である。 【0021】 目的を達成するためのセンサ12の構成における基本的な寸法上のパラメータは次の通りである。 (1)チューブ12の外径(OD)に対するチューブ12の長さの比率は好ましくは約30/1から60/1までである。 【0022】 (2)外径(OD)に対するチューブの内径(ID)の比率は好ましくは約35%/1から65%/1までとすべきである。 (3)チューブのボア36の内径(ID)に対するボアの中心線34の片寄りは好ましくは約15%/1から40%/1の範囲とすべきである。 【0023】 上述のように、センサ素子12のための構成材料は好ましくは比較的小さなヤング弾性係数と組合わさって比較的大きな引張り降伏強さを有する選択された組成物を必要とする。 40,000psiを越える圧力について目標となる商業的な応用に対しては、潜在的な降伏強さは少なくとも約150,000psiとすべきであり、弾性係数は理想的には約26,000,000psiとすべきである。 これらの目的に適するものは、注意すべき条件付で以下に列挙する材料及び特性である。 【0024】 材料 引張り降伏強さ 弾性係数 (psi*) (psi) インコネル718 181,000 29,800,000 インコネルX−750 163,000 31,000,000 K−500モネル 150,000 26,000,000 インコネル706 143,000 30,400,000 ベリリウム銅 182,000 18,500,000 316ステンレス鋼 42,000 28,000,000 7075−T6アルミニウム 73,000 10,400,000 *は適用可能な場合の時効硬化 316ステンレス鋼及びアルミニウムの如き低強度金属は、仕上がったチューブの最大圧力範囲がチューブの強度に関連して減少するような場合にのみこのような応用に対して利用できる。 316ステンレス鋼及び7075−T6アルミニウムチューブのための最大圧力範囲はそれぞれ、約10,000psi及び17 ,000psiだと思われる。 ベリリウム銅は、硬い状態での伸びの不足及び完全硬化状態での突然の破壊の危険性のため、一層適当ではない。 アルミニウムも、既知のプロセス及び大気腐食危険性のため、一層適当ではない。 前に述べたようなエンジニアリングプラスチックはまた、約500psiから5000psi までの間の圧力に対して利用できる。 【0025】 ここで、図7を参照すると、チューブの実質的な長さを延びるチューブ外部のまわりの対向した平行の側平坦部70、72を備えたチューブ12の別の横断面を示す。 平坦部はボアの偏心方向に平行に機械加工され、センサ12において、 図5に示すその他の点で同じ構成に比べて、運動感度を約6%増大させ、作動応力を15%減少させる。 【0026】 図8には、深さL3に銃でドリル加工され、ベース28において一時的にシールされたセンサチューブ12のための較正装置を示す。 ブラケット42は43でチューブの自由端40に溶着され、横方向のアーム44は45(ブラケット44 のための通常の位置)でブラケット42に一時的に保持される。 所望の作動範囲の約10%ないし20%である所定の圧力が加えられ、選択された開口74の運動が監視され、測定される。 応答が直線的で予測可能であるため、チューブ端部26をソケット28の内方へ伸ばす入れ子式の伸長(先端の運動はL1の平方に比例する)を、入口ベース28に関するL1を確立するために、正確に計算できる。 その時点で、チューブの入口端部26を普通に適当にトリミングして、余剰の長さを除去することができる。 次いで、チューブ12を適所に溶接又はろう付けし、その後は、アーム44を典型的には±0.5インチ(約12.7mm)上方又は下方へ滑らせて、リンク46への入力運動を更に改良できる。 その結果、 溶接後に寸法L1を確立する際のいかなる誤差をも補償できる。 リンクへの出力運動はL1のみならず、ボアの内側終端部からアーム44の最終取り付け点までの距離+L1の合成寸法によっても影響を受ける。 ライターの「デッドスペース」は増幅器として作用し、同じ増分距離だけボアを延ばすのとほぼ同じ程度の効果がある。 最後に、リンク46のために複数の離間した取り付け開口を設けたことにより、直線及び空動きへの影響として第3及び最終の運動調整を提供する。 感度についてのチューブのテストが終わった後、チューブ12の底部を適当にトリミングして、余剰の長さを除去することができる。 【0027】 代わりに、チューブ12をソケット28と一体的に機械加工することが可能であり、チューブ及びソケットが一体的に形成されていると否とに拘わらず、所定のレベルへのその出力の微調整のために、それをケース10に取り付ける前にゲージ運動に関してチューブを選択的に回転させることができる。 【0028】 図9、10に明示するように、圧力ゲージ内で光学的に使用するためのインジケータ76の別の端面図を示す。 インジケータ76は弓状の透明窓80の背後の弓状のダイアル板78と、変位可能な指針83とを有する。 指針はブラケット8 6を介してセンサチューブ12の変位可能な自由端40に接続されたヒンジ84 のまわりで枢動するアーム82を有する。 センサチューブ12により受け取られた圧力変化に応答して、自由端40が変位し、指針アーム82をヒンジ84のまわりで枢動させ、ダイアル板78の前面で指針の端部83を垂直に変位させる。 【0029】 上述の説明により、晒されている流体圧力に予測可能に応答でき、圧力ゲージ、スイッチ機構等の圧力作動器具を含む種々の利用装置に便利に使用できる新規なセンサ素子が開示される。 センサ素子は40,000psiを越える高圧において特に有利であるが、約500psiからそれ以上の低圧でも経済的に利用できる。 センサそれ自体は、高圧範囲で作動できるセンサ素子及び圧力ゲージの製造についての長年の問題を解決しながら、公称生産コストを招くように比較的単純な構成を有する。 当業者なら、一層単純な目的のために利用される従来の構成に比べて、この単純さは容易に明白となろう。 【0030】 多くの変更が上述の構成内で可能であり、本発明の多くの明白に幅広く異なる実施の形態が本発明の要旨を逸脱することなく可能であるので、図面及び明細書に含まれるすべての事項は例示であって、限定を意図しないものと解釈すべきである。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明のセンサ素子を組み込んだ圧力ゲージの部分断面垂直立面図である。 【図2】 図1の実質上2−2線に沿って見た圧力ゲージの前立面図である。 【図3】 一定の寸法のチューブのための回転瞬間中心の端位置を確かめるためにチューブの自由端に剛直に取り付けられた丸いディスクに加えられた圧力の下での運動を示すCADプロットである。 【図4】 図3のセンサの閉じた自由端の部分破断拡大断面図である。 【図5】 図2の実質上5−5線における拡大断面図である。 【図6】 図6(a)、図6(b)、図6(c)、図6(d)及び図6(e)は、種々の寸法的なチューブパラメータのための先端運動及び応力特性を示すグラフである。 【図7】 随意の断面変形例における図5と同様の断面図である。 【図8】 受け取られている流体圧力の値に関連するセンサ変位を較正する方法を示す図である。 【図9】 別のゲージインジケータの概略断面立面図である。 【図10】 図9のインジケータの前立面図である。 【手続補正書】特許協力条約第19条補正の翻訳文提出書 【提出日】平成12年4月19日(2000.4.19) 【手続補正1】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】特許請求の範囲 【補正方法】変更 【補正内容】 【特許請求の範囲】 【請求項17】 上記センサ素子が約40,000psiを越える圧力で作動できることを特徴とする請求項16に記載の器具。 【手続補正書】 【提出日】平成13年5月7日(2001.5.7) 【手続補正1】 【補正対象書類名】図面 【補正対象項目名】図3 【補正方法】変更 【補正内容】 【図3】 【手続補正2】 【補正対象書類名】図面 【補正対象項目名】図6 【補正方法】変更 【補正内容】 【図6】 |