【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、検眼ユニットを収納するためのキャリングケース及びキャリングケースを備える検眼装置に関する。 【0002】 【従来技術】眼科医院や眼鏡店で使用される据え置きタイプの検眼装置は、検眼光学系を有する検眼ユニットを移動するための移動機構を一体的に内部に持ち、比較的大型である。 このため、集団検診や眼鏡の外販を行う場合等、そのままキャリングケースに装置を収納して持ち運ぶのには適さない。 【0003】近年では簡単に運搬できる手持ちタイプ等の小型の装置も実用化されているが、手持ちでの検査又は測定は不安定となりやすく、据え置きタイプのように検眼ユニットを水平面上で移動させる架台が必要とされる。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかし、架台を別にすると運搬時にかさばるし、これらを一緒にキャリングケースに収める場合もケース全体が大型になり、重量も増えて一人での運搬が容易でないという欠点がある。 【0005】また、手持ちタイプの検眼装置ではプリンタ部やAC電源部を別ユニットにしているが、これらをキャリングケースに収めて搬送する場合には、収納スペースの問題の他、出し入れの手間、セットアップの手間がる。 【0006】本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、 使い勝手が良く、運搬時の小型軽量化を図ることができる検眼装置及びキャリングケースを提供することを技術課題とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。 【0008】(1) 被検眼を検査又は測定する検眼ユニット本体を持つ検眼装置において、前記検眼ユニット本体を収納するキャリングケースと、前記検眼ユニットを据え置きタイプとするための架台部と、該架台部の水平面上で前記検眼ユニット本体を移動させる水平移動機構及び上下移動させる上下移動ユニットとを備え、前記キャリングケースの一部又は全部を前記架台部として使用する構成としたことを特徴とする。 【0009】(2) (1)の検眼装置において、前記架台部は前記水平移動機構を備えることを特徴とする。 【0010】(3) (1)の検眼装置において、さらに被検眼の位置を安定させる支持ユニットを備え、前記架台部として使用するキャリングケースの一部又は全部には前記支持ユニットを取り付けるための取付け部材を設けたことを特徴とする。 【0011】(4) (1)の検眼装置において、前記検眼ユニット本体は検者が手で保持するための把持部を持つ手持ちタイプであり、さらに装置は前記上下移動ユニットに対して前記検眼ユニット本体を着脱自在に取り付ける取付け手段を備えることを特徴とする。 【0012】(5) (1)の検眼装置において、さらに前記架台部として使用する前記キャリングケースの一部又は全部には、前記検眼ユニット本体で得られた測定データを印字出力するプリンタ部又は測定データを外部装置に転送する通信部の少なくとも一方を一体的に設けたことを特徴とする。 【0013】(6) 被検眼を検査又は測定する検眼ユニット本体と被検眼の位置を安定させる支持ユニットを有する検眼装置において、装置を複数の構成要素に分解して収納するためのキャリングケースと、前記検眼ユニット本体を着脱自在に支持する本体支持部と該本体支持部を水平面上で移動させる移動機構を持ち,前記キャリングケースに配置されている架台部と、前記支持ユニットを該架台部に対して所定の関係に配置する支持ユニット取付け手段と、を備えることを特徴とする。 【0014】(7) (6)の検眼ユニット本体は、測定光学系を持つ測定手段と、被検眼を観察するための観察光学系と、測定結果を演算する演算手段と、測定結果を演算する演算手段と、バッテリ電源と、を備えることを特徴とする。 【0015】(8) 被検眼を検査又は測定する検眼ユニット本体を収納するキャリングケースにおいて、キャリングケースの一部又は全部を、前記検眼ユニット本体を水平面上で移動させるための架台部として使用する構成としたことを特徴とする。 【0016】 【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形態を図面に基づいて説明する。 図1は検眼ユニット本体及びその周辺ユニットを収納して運搬するキャリングケースを示す図であり、図2はその収納状態を示す図である。 【0017】キャリングケース1は収納ケース部1aとケース蓋部1bとに大別され、収納ケース部1a側のフック金具2aとケース蓋部1b側のメス金具2bによって、収納ケース部1aに対してケース蓋部1bを固定及び分離可能となれている。 フック金具2aとメス金具2 bはそれぞれ対となり、複数個所に設けられている。 また、収納ケース部1a側には持ち運びのための取っ手3 が取り付けられている。 【0018】収納ケース部1aには、検眼ユニット本体となる手持ち式の測定ユニット10を収納するスペース4a、顔支持ユニット11及び上下移動ユニット12を収納するスペース4b、プリンタ,AC電源部及び充電器が一体となったステーションユニット13等の付属品を収納するスペース4cが、仕切りパッドによって形成されている。 また、図1に示すように、収納ケース部1 aとケース蓋部1bの間に入れられる中パッド5には、 額当て151を収納するスペースが設けられている。 【0019】図3、図4は測定ユニット10を据え置きタイプとして使用するときの組み付け状態を示した図であり、図3は検者側から見たときの正面図、図4は側面図である。 ケース蓋部1bは収納ケース部1aから取外すことにより、測定ユニット10を据え置きタイプとして使用するための架台として使用する。 このときケース蓋部1bの内側を架台の上部とし、表側を底部として設置する。 架台の底部となるケース蓋部1bの表側には、 4つのゴム足250が取り付けられている。 【0020】図3、図4において、ケース蓋部1bの被検者側上部には顔支持ユニット11が着脱自在に取り付けられる。 顔支持ユニット11は湾曲した額当て151 と上下に移動可能な顎載せ台153を備え、被検眼の位置を安定させるために使用される。 顎載せ台153は上下軸155の上部に固定されており、上下軸155は顎載せ支基157に上下動可能に保持されている。 上下軸155はノブ159を回転操作することにより上下動される。 額当て151は顎載せ支基157の上部に形成された図示なき挿入穴に挿入することにより、顎載せ支基157に対して着脱自在である。 【0021】測定ユニット10を着脱自在に支持する上下移動ユニット12は、図5に示すように、支持シャフト301に対して回転可能に保持される回転ノブ303 と、この回転ノブ303と支持シャフト301との間で上下移動可能に保持される上下動軸305を備え、上下動軸305に形成された雄ネジ部306が回転ノブ30 3の内部に固定された雌ネジ部304と噛み合うように構成されており、回転ノブ303を回転することにより上下動軸305は支持シャフト301に沿って上下移動される。 なお、上下動軸305はその側面に形成された縦溝305aが支持シャフト301に固定されたピン3 07に係合することにより、上下移動可能で且つ回転不能とされている。 【0022】上下動軸305の上部には取付け台310 が固定されており、測定ユニット10はスライド支基3 13を介して取付け台310に着脱自在とされる。 スライド支基313は測定ユニット10が持つ把持部105 の下面に形成された三脚用ネジ穴に、ビス315によって取り付け可能とされている。 【0023】測定ユニット10は手持ちに適する筐体を持ち、その内部には眼屈折力測定と前眼部観察のための検眼光学系100が収納されている。 観察光学系110 はアライメント指標を投影する光学系と前眼部照明光源に照明された前眼部像を撮像する撮像素子を持ち、撮像素子に撮像された前眼部像及びアライメント指標像は、 LCDモニタ101に表示される。 また、眼屈折力測定光学系111は、被検眼眼底に測定指標を投影する測定指標投影光学系と眼底からの指標の反射光を受光素子によって受光する受光光学系から構成される。 受光素子の出力は演算制御部120に接続され、眼屈折力が演算される。 なお、この検眼光学系100は、例えば、本出願人による特開平11−70077に記載したものが使用できるので、詳細はこれを参照されたい。 【0024】測定ユニット10の下方は手で持つための把持部105となっており、把持部105の検者側には測定時に使用する各種のスイッチを持つ操作部106が設けられている。 また、把持部105にはバッテリ電源107が内蔵されており、測定ユニット10を単体で手持ち型として使用できる。 【0025】ケース蓋部1bは測定ユニット10を支持する上下移動ユニット12を水平面上で移動させる水平移動機構部200を備える。 水平移動機構部200の構成と、顔支持ユニット11及び上下移動ユニット12の着脱機構を、図6、図7を基に説明する。 水平移動機構部200はケース蓋部1bの内側に取り付けられた底板201上に設けられ、底板201に取り付けられた2つのスライドレール203を介して前後方向(図7上の矢印A方向)へ移動可能に保持される下スライド板205 と、この下スライド板205に取り付けられた2つのスライドレール207を介して左右方向(図7上の矢印B 方向)に移動可能に保持される上スライド板209と、 上スライド板209に固定されたシャフト支基211とから構成される。 シャフト支基211は上下移動ユニット12の支持シャフト301を挿入する穴213が形成されており、この穴213にはピン215が固定されている。 一方、穴213に挿入する支持シャフト301にはキー溝301aが形成されいる。 上下移動ユニット1 2は、支持シャフト301のキー溝301aがピン21 5に係合するように、支持シャフト301をシャフト支基211に挿入することにより、ワンタッチでケース蓋部1b側に装着できると共に、支持シャフト301は回転不能となる。 【0026】また、水平移動機構部200はストッパ機構を備える。 221は取付け板223を介して底板20 1に取り付けられたボールキャッチであり、このボールキャッチ221に嵌合する凸部材225が上スライド板209に固着されている。 ボールキャッチ221を構成する2つの剛球の間に凸部材225を嵌め込むことにより、上スライド板209の移動が固定される。 固定を解除するときは、上下移動ユニット12の回転ノブ303 を持って被検者側に押すことにより、ボールキャッチ2 21から凸部材225が外れ、上下移動ユニット12に搭載される測定ユニット10の水平移動が可能になる。 【0027】なお、ケース蓋部1bの上部側には、内蔵された水平移動機構が見えないようにするための上蓋2 31が、取り付け部材232等を介して底板201に固定されている。 この上蓋231には上下移動ユニット1 2が水平移動する領域に開口233が形成されている(図2参照)。 そして、上スライド板209には取付け板235を介してスライド蓋237が固定されており、 スライド蓋237は開口233の目隠しとされる。 【0028】また、ケース蓋部1bの被検者側には、顎載せ支基157の下部を取り付けるための方形状の挿入穴を持つブロック241が固定されている。 ブロック2 41の挿入穴の中央には取付け軸243が固着されている。 一方、顎載せ支基157の下部には取付け軸243 に挿入する軸穴158が形成されている。 顔支持ユニット11は、その顎載せ支基157の下部をブロック24 1の挿入穴に挿入するとともに、取付け軸243と軸穴158を合せることにより、ケース蓋部1b側にワンタッチで装着できる。 【0029】以上のような構成において、搬送時にはキャリングケース1の各収納部に測定ユニット10及びその他の分割されたユニットを収納する。 集団検診や眼鏡の外販用等で安定した状態で検査を行うときは、測定ユニット10を据え置きタイプとするための架台としてケース蓋部1bを使用し、ケース蓋部1bをテーブル等に設置し、図3、図4に示したように、顔支持ユニット1 1及び上下移動ユニット12を組み付ける。 各ユニットの組み付けは、前述したように、工具を使わずにワンタッチで可能である。 【0030】測定時には被検者の顔を顔支持ユニット1 1に当接させて被検眼を安定させ、検者は測定ユニット10を被検眼にアライメントする。 アライメント調整は、モニタ101に表示される前眼部像、アライメント指標及び照準マークを観察し、アライメント指標と照準マークが所定の関係になるように、回転ノブ303を操作する。 回転ノブ303の前後左右の操作により、上下移動ユニット12に搭載された測定ユニット10は水平移動機構部200によって前後左右に安定して移動される。 また、回転ノブ303の回転操作により測定ユニット10は上下に移動する。 【0031】こうしてアライメントが完了したら、操作部106の測定開始スイッチを押して測定を実行する(又は測定ユニット10がアライメント状態を判断して自動的に測定を開始する)。 測定データは接続自在な接続ケーブル20(図3参照)を介してステーションユニット13に送られ、プリンタ13aから測定結果がプリントアウトされる。 測定ユニット10への電力も接続ケーブル20を介してステーションユニット13のAC電源部から供給される。 また、ステーションユニット13 に送られた測定データは、さらに図示なき外部コンピュータや自覚検眼装置へケーブル通信又は光通信によって送信される。 なお、測定ユニット10側から測定データの送信はステーションユニット13へ光通信で行うことも可能であり、この場合は測定ユニット10をバッテリ駆動とすることで、接続ケーブル20を不要とすることができる。 【0032】測定終了後は各ユニットをケース蓋部1b から取外し、収納ケース部1a及び中パッド5の収納スペースに収納し、ケース蓋部1bを閉じることで持ち運び可能となる。 なお、搬送時には水平移動機構200の凸部材225をボールキャッチ221側に嵌合させておくことで、シャフト支基211の移動をロックする。 【0033】図8は他の実施形態を示す図である。 この実施形態ではプリンタ部、AC電源部及び外部装置へ測定データを転送する通信部を含むユニット30をケース蓋部1bの内部に一体的に設けており、使用時の準備及び搬送時の収納の手間が少なくなる。 また、キャリングケース1のコンパクト化、軽量化がより可能となると共に、製造コストを下げることができる。 【0034】以上説明した実施形態ではキャリングケース1の一部を検眼装置の架台として使用したが、キャリングケース1全体を使用しても良い。 さらには、前述の顔支持ユニット11及び上下移動ユニット12を折りたたみ式とすることで、組み付け及び取外しの手間が簡略化できる。 【0035】 【発明の効果】以上、説明したように、本発明によれば、据え置きタイプとして安定した検眼ができ、検眼装置としての使い勝手が良くなる。 また、検眼ユニット本体や他の構成ユニット、キャリングケースを含む検眼装置全体を軽量小型化できるので、運搬が容易になる。 【図面の簡単な説明】 【図1】実施形態のキャリングケースを示す図である。 【図2】キャリングケースの収納状態を示す図である。 【図3】測定ユニットを据え置きタイプとして使用するときの組み付け状態を示す図であり、検者側から見たときの正面図である。 【図4】測定ユニットを据え置きタイプとして使用するときの組み付け状態を示す側面図である。 【図5】上下移動ユニットの上下移動機構を説明する図である。 【図6】水平移動機構部、顔支持ユニット及び上下移動ユニットの着脱機構を説明する図である。 【図7】水平移動機構部、顔支持ユニット及び上下移動ユニットの着脱機構を説明する図である。 【図8】他の実施形態を示す図である。 【符号の説明】 1 キャリングケース 1a 収納ケース部 1b ケース蓋部 10 測定ユニット 11 顔支持ユニット 12 上下移動ユニット 100 検査光学系 200 水平移動機構部 310 取付け台 241 ブロック |