专利汇可以提供Manufacture of polymer electrolyte battery electrode sheet, polymer electrolyte battery separator sheet and polymer electrolyte battery专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且PROBLEM TO BE SOLVED: To provide the manufacturing method of a polymer electrolyte battery which can suppress volatilization of plasticizer in long-term storage, eliminate the plasticizer easily, and increase the impregnation amount of a nonaqueous electrolyte.
SOLUTION: By disposing a separator sheet 2 with no electrolyte charged between a positive electrode 3 involving a positive electrode sheet 7 with no electrolyte charged and a negative electrode 1 involving a negative electrode sheet 5 with no electrolyte charged, they are subjected to thermocompression bonding for removal of plasticizer in a layered object. The layered object is impregnated with a nonaqueous electrolyte. The plasticizer of at least one sheet of the positive electrode sheet 7, the negative electrode sheet 5, and the separator sheet 2 includes plasticizer whose survival rate is less than 80% in the case of 10-day storage at a 60°C, and plasticizer with the survival rate of 80% or higher.
COPYRIGHT: (C)1998,JPO,下面是Manufacture of polymer electrolyte battery electrode sheet, polymer electrolyte battery separator sheet and polymer electrolyte battery专利的具体信息内容。
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可塑剤を改良した高分子電解質電池用電極シート、高分子電解質電池用セパレータシートおよび高分子電解質電池の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器の発達にともない、小型で軽量、かつエネルギー密度が高く、更に繰り返し充放電が可能な二次電池の開発が要望されている。 このような二次電池としては、リチウムまたはリチウム合金を活物質とする負極と、モリブデン、バナジウム、チタンあるいはニオブなどの酸化物、硫化物もしくはセレン化物を活物質として含む懸濁液が塗布された集電体からなる正極と非水電解液を具備した非水電解質二次電池が知られている。
【0003】また、負極に、例えばコークス、黒鉛、炭素繊維、樹脂焼成体、熱分解気相炭素のようなリチウムイオンを吸蔵放出する炭素質材料を含む懸濁液が塗布された集電体を用いた非水電解質二次電池が提案されている。 前記二次電池は、デンドライト析出による負極特性の劣化を改善することができるため、電池寿命と安全性を向上することができる。
【0004】一方、正極、負極および電解質層にポリマーを添加することにより柔軟性が付与されたハイブリッドポリマー電解質を有する再充電可能なリチウムインターカレーション電池、つまり高分子電解質二次電池が知られている。 このような電池は、例えば、以下に説明する方法で製造される。 まず、DBP(フタル酸ジブチル)のような後から除去することができる可塑剤と、ビニリデンフロライド[VdF]とヘキサフルオロプロピレン[HFP]の共重合体を溶媒の存在下で混合し、これをシート状に成形してセパレータシートを作製する。
一方、活物質と、前記可塑剤と、VdF−HFP共重合体とを溶媒の存在下で混合し、これをシート状に成形し、得られたシートを集電体に積層することにより正極を作製する。 また、前記可塑剤と、VdF−HFP共重合体と、リチウムイオンを吸蔵放出し得る炭素質材料とを溶媒の存在下で混合し、これをシート状に成形し、得られたシートを集電体に積層することにより負極を作製する。 このようにして得られた正極、セパレータシート、負極をこの順番に積層した後、これらを例えば熱圧着により一体化させる。 ひきつづき、積層物中の可塑剤を溶媒を用いて抽出し、除去した後、非水電解液を含浸させることにより前記電池を製造する。
【0005】前述した製造方法において、前記積層物から前記可塑剤を除去すると、前記積層物中に可塑剤除去分に相当する空間が形成される。 従って、可塑剤除去後、前記積層物に非水電解液を含浸させると、非水電解液が前記VdF−HFP共重合体及び前記空間によって保持されるため、可塑剤を使用しない場合に比べて非水電解液含浸量を増加させることが可能である。 前述した方法では、可塑剤としてDBPを使用しているため、可塑剤の除去を容易に行うことができ、非水電解液含浸量が大幅に向上される。 また、前記可塑剤は、前記VdF
−HFP共重合体間の分子間力を弱め、熱圧着の際に各シートを溶融させる働きがある。 このため、前記可塑剤が存在することによって、正極、セパレータシート及び負極を熱圧着で一体化させることが可能である。
【0006】しかしながら、可塑剤としてDBPを含む正極シートや、負極シート、あるいはセパレータシートを長期間に亘り保管すると、前記シートからDBPが揮発し、シートの柔軟性が低下するという問題点がある。
柔軟性が低下したシートを用いて電池を製造すると、製造の際に前記シートにクラックが生じ、サイクル寿命等の電池特性の劣化を招く。 また、DBPがシートから揮発すると、熱圧着の際に各シートを溶融させることが困難になるため、正極、セパレータシート及び負極を熱圧着によって接着できなくなり、電池が製造できないという問題点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、長期間に亘る保管における可塑剤の揮発が抑制され、かつ可塑剤の除去が容易で、非水電解液の含浸量を増大させることが可能な高分子電解質電池用電極シート及び高分子電解質電池用セパレータシートを提供しようとするものである。
【0008】また、本発明は、長期間に亘る保管における可塑剤の揮発が抑制され、かつ可塑剤の除去が容易で、非水電解液の含浸量を増大させることが可能な高分子電解質電池の製造方法を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る高分子電解質電池用電極シートは、一方電極と他方電極の間にセパレータシートを配置し、可塑剤を除去し、非水電解液を含浸させることにより形成される高分子電解質電池に用いられる電極シートであって、活物質と、非水電解液を保持するポリマーと、60℃で10日間貯蔵した際の残存率が80%未満である可塑剤と、60℃で10日間貯蔵した際の残存率が80%以上の可塑剤とを含むことを特徴とするものである。
【0010】本発明に係る高分子電解質電池用セパレータシートは、一方電極と他方電極の間にセパレータシートを配置し、可塑剤を除去し、非水電解液を含浸させることにより形成される高分子電解質電池に用いられるセパレータシートであって、非水電解液を保持するポリマーと、60℃で10日間貯蔵した際の残存率が80%未満である可塑剤と、60℃で10日間貯蔵した際の残存率が80%以上の可塑剤を含むことを特徴とするものである。
【0011】本発明に係る高分子電解質電池の製造方法は、非水電解液を保持するポリマー、活物質及び可塑剤を含む電解液未含浸の正極シートを備える正極と、非水電解液を保持するポリマー、活物質及び可塑剤を含む電解液未含浸の負極シートを備える負極との間に、非水電解液を保持するポリマー及び可塑剤を含む電解液未含浸のセパレータシートを配置し、これらを熱圧着することにより積層物を作製する工程と、前記積層物中の前記可塑剤を除去する工程と、前記積層物中に非水電解液を含浸させる工程とを具備し、前記正極シート、前記負極シート及び前記セパレータシートのうちの少なくとも一つのシートの可塑剤は、60℃で10日間貯蔵した際の残存率が80%未満である可塑剤と、60℃で10日間貯蔵した際の残存率が80%以上の可塑剤を含むことを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る高分子電解質電池用電極シート及び高分子電解質電池用セパレータシートについて説明する。 (1)高分子電解質電池用正極シート この正極シートは、非水電解液を保持するポリマー、活物質、60℃で10日間貯蔵した際の残存率が80%未満の可塑剤及び60℃で10日間貯蔵した際の残存率が80%以上の可塑剤を含む。
【0013】前記活物質としては、種々の酸化物(例えばLiMn 2 O 4などのリチウムマンガン複合酸化物、
二酸化マンガン、例えばLiNiO 2などのリチウム含有ニッケル酸化物、例えばLiCoO 2などのリチウム含有コバルト酸化物、リチウム含有ニッケルコバルト酸化物、リチウムを含む非晶質五酸化バナジウムなど)
や、カルコゲン化合物(例えば、二硫化チタン、二硫化モリブテンなど)等を挙げることができる。 中でも、リチウムマンガン複合酸化物、リチウム含有コバルト酸化物、リチウム含有ニッケル酸化物を用いるのが好ましい。
【0014】前記非水電解液を保持するポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキサイド誘導体、ポリプロピレンオキサイド誘導体、前記誘導体を含むポリマー、
ビニリデンフロライド(VdF)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)との共重合体等を用いることができる。 前記共重合体において、VdFは共重合体の骨格部で機械的強度の向上に寄与し、HFPは前記共重合体に非晶質の状態で取り込まれ、非水電解液の保持と電解液中のリチウムイオンの透過部として機能する。 前記HF
Pの共重合割合は、前記共重合体の合成方法にも依存するが、通常、最大で20重量%前後である。
【0015】可塑剤における60℃で10日間貯蔵後の残存率は、以下に説明する方法で測定される。 すなわち、可塑剤(例えばDBP)を10cc試験管に採り、
それを60℃の恒温槽に10日間貯蔵した後、試験管中に残存した可塑剤量を測定する。 得られた残存体積をV
ccとし、下記(1)式より60℃で10日間貯蔵後の残存率を算出する。
【0016】 残存率(%)=V/10×100 (1) 前記正極シートに含まれる可塑剤は、前記非水電解液を保持するポリマーとの相溶性に優れ、前記正極シートに柔軟性を付与することができ、熱圧着の際には前記シートを溶融させることができ、かつ除去が容易であるという4つの性質を有しているものが良い。 前記性質を有する可塑剤のうち、少なくとも1種は60℃で10日間貯蔵後の残存率が80%未満のものである。 このような可塑剤は、揮発性が高いため、除去しやすい。 特に、溶媒抽出による可塑剤の除去を容易に、かつ速やかに行うことができる。 また、前記可塑剤は、60℃で10日間貯蔵後の残存率が80%以上のものも備えている。 このような可塑剤は、長期間に亘る保管の際に揮発し難い。 このため、前記可塑剤を含むシートは長期間に亘り柔軟性を維持することができ、長期保管後も熱圧着によって他のシートや集電体に接着させることが可能である。 分子量が350以上で、かつ直鎖アルキル基の炭素数が7以上の可塑剤はおおむね、前述した低揮発性を有する。 6
0℃で10日間貯蔵後の残存率が80%未満の可塑剤としては、例えば、フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ジメチル(DMP)、エチルフタリルエチルグリコレート(EPEG)等を挙げることができる。 また、前記残存率が80%以上の可塑剤としては、例えばアジピン酸ジオクチル(DOA)、セバシン酸ジオクチル(DO
S)、フタル酸ジイソデシル(DIDP)等を挙げることができる。
【0017】前記残存率が80%未満の可塑剤と前記残存率が80%以上の可塑剤との配合比は、体積比で1:
4〜4:1の範囲にすることが好ましい。 前記配合比が前記範囲を逸脱すると、長期間に亘って柔軟性と接着性を保持することと、溶媒抽出による高い除去率を確保することを同時に満足することが困難になる恐れがある。
より好ましい配合比は、体積比で1:2〜2:1の範囲である。
【0018】前記正極シートは、導電性を向上する観点から導電性材料を含んでいてもよい。 前記導電性材料としては、例えば、人造黒鉛、カーボンブラック(例えばアセチレンブラックなど)、ニッケル粉末等を挙げることができる。
【0019】前記正極シートは、例えば、前記非水電解液を保持するポリマー、前記残存率が80%未満の可塑剤、前記残存率が80%以上の可塑剤、前記活物質及び前記導電材料を溶媒の存在下で混合した後、成膜することにより作製することができる。
【0020】(2)高分子電解質電池用負極シート この負極シートは、非水電解液を保持するポリマー、活物質、60℃で10日間貯蔵した際の残存率が80%未満の可塑剤及び60℃で10日間貯蔵した際の残存率が80%以上の可塑剤を含む。
【0021】前記活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出する炭素質材料を挙げることができる。 かかる炭素質材料としては、例えば、有機高分子化合物(例えば、フェノール樹脂、ポリアクリロニトリル、セルロース等)を焼成することにより得られるもの、コークスや、ピッチを焼成することにより得られるもの、人造グラファイト、天然グラファイト等に代表される炭素質材料を挙げることができる。 中でも、アルゴンガス、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気中において、500℃〜30
00℃の温度で、常圧または減圧下にて前記有機高分子化合物を焼成して得られる炭素質材料を用いるのが好ましい。
【0022】前記非水電解液を保持するポリマーは、前述した正極シートで説明したものと同様なものが用いられる。 可塑剤における60℃で10日間貯蔵後の残存率は、前述した正極シートで説明したのと同様な方法で測定される。
【0023】前記負極シートに含まれる可塑剤は、前記非水電解液を保持するポリマーとの相溶性に優れ、前記負極シートに柔軟性を付与することができ、熱圧着の際には前記シートを溶融させることができ、かつ除去が容易であるという4つの性質を有しているものが良い。 前記性質を有する可塑剤のうち、少なくとも1種は60℃
で10日間貯蔵後の残存率が80%未満のものである。
このような可塑剤は、揮発性が高いため、除去しやすい。 特に、溶媒抽出による可塑剤の除去を容易に、かつ速やかに行うことができる。 また、前記可塑剤は、60
℃で10日間貯蔵後の残存率が80%以上のものも備えている。 このような可塑剤は、長期間に亘る保管の際に揮発し難い。 このため、前記可塑剤を含むシートは長期間に亘り柔軟性を維持することができ、長期保管後も熱圧着によって他のシート(電極)や集電体に接着させることが可能である。 分子量が350以上で、かつ直鎖アルキル基の炭素数が7以上の可塑剤はおおむね、前述した低揮発性を有する。 60℃で10日間貯蔵後の残存率が80%未満の可塑剤及び前記残存率が80%以上の可塑剤としては、前述した正極シートで説明したものと同様なものが用いられる。
【0024】前記残存率が80%未満の可塑剤と前記残存率が80%以上の可塑剤との配合比は、体積比で1:
4〜4:1の範囲にすることが好ましい。 前記配合比が前記範囲を逸脱すると、長期間に亘って柔軟性と接着性を保持することと、溶媒抽出による高い除去率を確保することを同時に満足することが困難になる恐れがある。
より好ましい配合比は、体積比で1:2〜2:1の範囲である。
【0025】なお、前記負極シートは、人造グラファイト、天然グラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ニッケル粉末、ポリフェニレン誘導体等の導電性材料、オレフィン系ポリマーや炭素繊維等のフィラーを含むことを許容する。
【0026】前記負極シートは、例えば、前記非水電解液を保持するポリマー、前記残存率が80%未満の可塑剤、前記残存率が80%以上の可塑剤および前記活物質を溶媒の存在下で混合し、成膜することにより作製することができる。
【0027】(3)高分子電解質電池用セパレータシート このセパレータシートは、非水電解液を保持するポリマー、60℃で10日間貯蔵した際の残存率が80%未満の可塑剤及び60℃で10日間貯蔵した際の残存率が8
0%以上の可塑剤を含む。
【0028】前記非水電解液を保持するポリマーは、前述した正極シートで説明したものと同様なものが用いられる。 可塑剤における60℃で10日間貯蔵後の残存率は、前述した正極シートで説明したのと同様な方法で測定される。
【0029】前記セパレータシートに含まれる可塑剤は、前記非水電解液を保持するポリマーとの相溶性に優れ、前記セパレータシートに柔軟性を付与することができ、熱圧着の際には前記シートを溶融させることができ、かつ除去が容易であるという4つの性質を有しているものが良い。 前記性質を有する可塑剤のうち、少なくとも1種は60℃で10日間貯蔵後の残存率が80%未満のものである。 このような可塑剤は、揮発性が高いため、除去しやすい。 特に、溶媒抽出による可塑剤の除去を容易に、かつ速やかに行うことができる。 また、前記可塑剤は、60℃で10日間貯蔵後の残存率が80%以上のものも備えている。 このような可塑剤は、長期間に亘る保管の際に揮発し難い。 このため、前記可塑剤を含むシートは長期間に亘り柔軟性を維持することができ、
長期保管後も熱圧着によって他のシートに接着することが可能である。 分子量が350以上で、かつ直鎖アルキル基の炭素数が7以上の可塑剤はおおむね、前述した低揮発性を有する。 60℃で10日間貯蔵後の残存率が8
0%未満の可塑剤及び前記残存率が80%以上の可塑剤としては、前述した正極シートで説明したものと同様なものが用いられる。
【0030】前記残存率が80%未満の可塑剤と前記残存率が80%以上の可塑剤との配合比は、体積比で1:
4〜4:1の範囲にすることが好ましい。 前記配合比が前記範囲を逸脱すると、長期間に亘って柔軟性と接着性を保持することと、溶媒抽出による高い除去率を確保することを同時に満足することが困難になる恐れがある。
より好ましい配合比は、体積比で1:2〜2:1の範囲である。
【0031】前記セパレータシートは、強度を更に向上させる観点から、酸化硅素粉末のような無機フィラーを添加しても良い。 前記セパレータシートは、例えば、前記非水電解液を保持するポリマー、前記残存率が80%
未満の可塑剤、前記残存率が80%以上の可塑剤及び前記無機フィラーをアセトンなどの有機溶媒中で混合し、
ペーストを調製し、成膜することにより作製することができる。
【0032】以下、本発明に係る高分子電解質電池の製造方法について説明する。 前記正極シートを例えば熱圧着等によって集電体に接着し、正極を作製する。 また、
前記負極シートを例えば熱圧着等によって集電体に接着し、負極を作製する。 得られた正極と負極の間に前記セパレータシートを配置し、積層物を得る。 前記積層物を熱圧着により一体化させた後、前記積層物中の前記可塑剤を例えばメタノールなどの有機溶媒で抽出することにより除去し、乾燥させる。 ひきつづき、前記積層物に非水電解液を含浸させることにより高分子電解質電池を製造する。
【0033】前記正極の集電体としては、例えばアルミニウム箔、アルミニウム製メッシュ、アルミニウム製エキスパンドメタル、アルミニウム製パンチドメタル等を用いることができる。
【0034】前記負極の集電体としては、例えば銅箔、
銅製メッシュ、銅製エキスパンドメタル、銅製パンチドメタル等をを用いることができる。 前記非水電解液は、
非水溶媒に電解質を溶解することにより調製される。
【0035】前記非水溶媒としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート(D
MC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、γ−ブチロラクトン(γ−
BL)、スルホラン、アセトニトリル、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジメトキシプロパン、ジメチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン等を挙げることができる。 前記非水溶媒は、単独で使用しても、2種以上混合して使用しても良い。
【0036】前記電解質としては、例えば、過塩素酸リチウム(LiClO 4 )、六フッ化リン酸リチウム(L
iPF 6 )、ホウ四フッ化リチウム(LiBF 4 )、六フッ化砒素リチウム(LiAsF 6 )、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF 3 SO 3 )、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム[LiN
(CF 3 SO 3 ) 2 ]等のリチウム塩を挙げることができる。
【0037】前記電解質の前記非水溶媒に対する溶解量は、0.2mol/l〜2mol/lとすることが望ましい。 なお、本発明に係る製造方法においては、正極シート、負極シート及びセパレータシートのうち少なくともいずれか一つのシートが60℃で10日間貯蔵した際の残存率が80%未満の可塑剤及び前記残存率が80%
以上の可塑剤の両者を含んでいる場合、その他のシートが可塑剤として前記残存率が80%未満のもののみを含むか、あるいは前記残存率が80%以上のもののみを含む構成であることを許容する。
【0038】以上説明した本発明に係わる高分子電解質電池用電極シートは、一方電極と他方電極の間にセパレータシートを配置し、可塑剤を除去し、非水電解液を含浸させることにより形成される高分子電解質電池に用いられる電極シートであって、活物質、非水電解液を保持するポリマー、60℃で10日間貯蔵した際の残存率が80%未満の可塑剤及び前記残存率が80%以上の可塑剤を含む。
【0039】このような電極シートは、長期間に亘り保管された際に可塑剤が揮発するのを抑制することができるため、長期保管後も優れた柔軟性と適度な熱融着性を維持することができる。 その結果、前記電極シートは、
長期保管後も電池製造の際にクラックが生じるのを防止することができ、取扱性が優れ、長期保管後も熱圧着により集電体や他のシートに接着することができる。 また、前記電極シートは、前記可塑剤を例えば溶媒抽出などにより速やかに、かつ容易に除去することができるため、多量の非水電解液を保持することができる。
【0040】従って、前記電極シートを用いることによって、非水電解液の含浸量が増大され、放電容量及びサイクル時の容量維持率が高い高分子電解質電池を提供することが可能になる。 また、電極シートの長期保管が可能になることによって、電池製造における量産性を改善することができる。
【0041】また、本発明に係わる高分子電解質電池用セパレータシートは、一方電極と他方電極の間にセパレータシートを配置し、可塑剤を除去し、非水電解液を含浸させることにより形成される高分子電解質電池に用いられるセパレータシートであって、非水電解液を保持するポリマー、60℃で10日間貯蔵した際の残存率が8
0%未満の可塑剤及び前記残存率が80%以上の可塑剤を含む。
【0042】このようなセパレータシートは、長期保管後も優れた柔軟性と適度な熱融着性を保持することができるため、長期保管により電池製造の際にクラックが生じるのを防止することができ、製造時に取扱い易く、かつ長期保管後も熱圧着によって電極に接着することができる。 また、前記セパレータシートは、前記可塑剤を例えば溶媒抽出などにより速やかに、かつ容易に除去することができるため、多量の非水電解液を保持することができる。
【0043】従って、前記セパレータシートを用いることによって、非水電解液の含浸量が増大され、放電容量及びサイクル時の容量維持率が高い高分子電解質電池を提供することが可能になる。 また、セパレータシートの長期保管が可能になることによって、量産性を改善することができる。
【0044】本発明に係る高分子電解質電池の製造方法は、非水電解液を保持するポリマー、活物質及び可塑剤を含む正極シートを備える正極と、非水電解液を保持するポリマー、活物質及び可塑剤を含む電解液未含浸の負極シートを備える負極との間に、非水電解液を保持するポリマー及び可塑剤を含む電解液未含浸のセパレータシートを配置し、これらを熱圧着することにより積層物を作製する工程と、前記積層物中の前記可塑剤を溶媒抽出により除去する工程と、前記積層物に非水電解液を含浸させる工程とを具備し、前記正極シート、前記負極シート及び前記セパレータシートのうちの少なくとも一つのシートは、60℃で10日間貯蔵した際の残存率が80
%未満である可塑剤と、60℃で10日間貯蔵した際の残存率が80%以上の可塑剤を含む。
【0045】このような方法によれば、長期間保管された正極シートや、負極シート、あるいはセパレータシートを用いても、非水電解液の含浸量が増大され、放電容量及びサイクル時の容量維持率が高い高分子電解質電池を製造することが可能になる。 また、電極シートや、セパレータシートの長期保管が可能になるため、量産性を改善することができる。
【0046】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。 (実施例1) <正極の作製>まず、前述した方法で測定された60℃
で10日間貯蔵後の残存率が65%の可塑剤であるフタル酸ジブチル(DBP)と前記残存率が90%の可塑剤であるアジピン酸ジオクチル(DOA)を体積比4:1
で混合し、混合液を調製した。
【0047】活物質として組成式がLiMn 2 O 4で表されるリチウムマンガン複合酸化物と、カーボンブラックと、ビニリデンフロライド−ヘキサフルオロプロピレン(VdF−HFP)の共重合体粉末と、前記可塑剤の混合液をアセトン中で混合し、ペーストを調製した。 なお、LiMn 2 O 4 、VdF−HFPの共重合体、カーボンブラック及び可塑剤混合液の配合比(LiMn 2 O
4 :VdF−HFPの共重合体:カーボンブラック:可塑剤)は、56重量%:17重量%:5重量%:22重量%にした。 得られたペーストをポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)上に、厚さが100
μm、幅が200mmとなるように塗布し、シート化し、300mmの長さに切り出し、正極シートを15枚作製した。
【0048】5枚の正極シートを25℃雰囲気において180日間貯蔵した。 そのうちの4枚からは、アルミニウム製エキスパンドメタルからなる集電体の両面に正極シートを熱ロールで加熱圧着することにより2枚の正極を作製した。 残りの1枚を幅10mm、長さ50mmの短冊状に切り出し、この短冊シート10枚について18
0度方向の引っ張り試験をそれぞれ行い、平均値を下記表1に示す。
【0049】また、5枚の正極シートを60℃雰囲気において180日間貯蔵した。 そのうちの4枚から前述したのと同様にして2枚の正極を作製した。 残りの1枚については、前述したのと同様にして180度方向の引っ張り試験を行い、その平均値を下記表1に示す。
【0050】一方、残りの5枚の正極シートについては、貯蔵を行わなかった。 そのうちの4枚から前述したのと同様にして2枚の正極を作製した。 残りの1枚については、前述したのと同様にして180度方向の引っ張り試験を行い、その平均値を下記表1に示す。
【0051】得られた3種類の正極から以下に説明する方法により電解液未含浸の高分子電解質電池をそれぞれ製造した。 <負極の作製>活物質としてメソフェーズピッチ炭素繊維と、ビニリデンフロライド−ヘキサフルオロプロピレン(VdF−HFP)の共重合体粉末と、可塑剤{フタル酸ジブチル(DBP)}とをアセトン中で混合し、ペーストを調製した。 なお、炭素繊維、VdF−HFPの共重合体及び可塑剤の配合比(炭素繊維:VdF−HF
Pの共重合体:可塑剤)は、58重量%:17重量%:
25重量%にした。 得られたペーストをポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)上に、厚さが100μm、幅が200mmとなるように塗布し、シート化し、300mmの長さに切り出し、負極シートを作製した。
【0052】得られた負極シートを銅製エキスパンドメタルからなる集電体の両面に熱ロールで加熱圧着することにより負極を作製した。 <セパレータシートの作製>酸化硅素粉末を33.3重量部と、ビニリデンフロライド−ヘキサフルオロプロピレン(VdF−HFP)の共重合体粉末を22.2重量部と、可塑剤{フタル酸ジブチル(DBP)}44.5
重量部とをアセトン中で混合し、ペースト状にした。 得られたペーストをポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)上に、厚さが100μm、幅が20
0mmとなるように塗布し、シート化し、300mmの長さに切り出し、セパレータシートを作製した。
【0053】前記2枚の正極と前記負極とをその間に前記セパレータシートを介在させながら積層し、これらを130℃に加熱した剛性ロールにて加熱圧着することにより理論容量が110mAhで、図1に示すように積層した非水電解液未含浸の高分子電解質電池を製造した。
【0054】すなわち、電解液未含浸の負極1の両面には、電解液未含浸のセパレータシート2が配置されている。 各セパレータシート2の外側の面には、電解液未含浸の正極3が積層されている。 なお、前記負極1は、集電体としての銅製パンチドメタル4の両面に電解液未含浸の負極シート5が担持された構造を有する。 前記正極3は、集電体としてのアルミニウム製パンチドメタル6
の両面に電解液未含浸の正極シート7が担持された構造を有する。
【0055】(実施例2)正極の可塑剤としてDBPとDOAが体積比で2:1に混合された混合液を22重量部用いること以外、実施例1と同様にして15枚の正極を作製した。 それを3つに分け、一組を25℃で180
日間貯蔵し、もう一組については60℃で180日間貯蔵し、残りの一組については貯蔵を行わなかった。 各組について、1枚は前述したのと同様な引っ張り強度試験を施し、もう4枚からは実施例1と同様にして非水電解液未含浸の高分子電解質電池を製造した。 引っ張り強度試験の結果を表1に示す。
【0056】(実施例3)正極の可塑剤としてDBPとDOAが体積比で1:1に混合された混合液を22重量部用いること以外、実施例1と同様にして15枚の正極を作製した。 それを3つに分け、一組を25℃で180
日間貯蔵し、もう一組については60℃で180日間貯蔵し、残りの一組については貯蔵を行わなかった。 各組について、1枚は前述したのと同様な引っ張り強度試験を施し、もう4枚からは実施例1と同様にして非水電解液未含浸の高分子電解質電池を製造した。 引っ張り強度試験の結果を表1に示す。
【0057】(実施例4)正極の可塑剤としてDBPとDOAが体積比で1:2に混合された混合液を22重量部用いること以外、実施例1と同様にして15枚の正極を作製した。 それを3つに分け、一組を25℃で180
日間貯蔵し、もう一組については60℃で180日間貯蔵し、残りの一組については貯蔵を行わなかった。 各組について、1枚は前述したのと同様な引っ張り強度試験を施し、もう4枚からは実施例1と同様にして非水電解液未含浸の高分子電解質電池を製造した。 引っ張り強度試験の結果を表1に示す。
【0058】(実施例5)正極の可塑剤としてDBPとDOAが体積比で1:4に混合された混合液を22重量部用いること以外、実施例1と同様にして15枚の正極を作製した。 それを3つに分け、一組を25℃で180
日間貯蔵し、もう一組については60℃で180日間貯蔵し、残りの一組については貯蔵を行わなかった。 各組について、1枚は前述したのと同様な引っ張り強度試験を施し、もう4枚からは実施例1と同様にして非水電解液未含浸の高分子電解質電池を製造した。 引っ張り強度試験の結果を表1に示す。
【0059】(比較例1)正極の可塑剤としてDBPを22重量部用いること以外、実施例1と同様にして正極シートを15枚作製した。 それを3つに分け、一組を2
5℃で180日間貯蔵し、もう一組については60℃で180日間貯蔵し、残りの一組については貯蔵を行わなかった。 各組について、1枚は前述したのと同様な引っ張り強度試験を施した。 もう4枚からは実施例1と同様にして非水電解液未含浸の高分子電解質電池を製造したところ、60℃貯蔵後の正極シートを用いるものについては、正極、セパレータシート及び負極を熱圧着によって一体化できなかったため、電池を製造できなかった。
なお、引っ張り強度試験の結果を表1に示す。
【0060】(比較例2)正極の可塑剤としてDOAを22重量部用いること以外、実施例1と同様にして正極シートを15枚作製した。 それを3つに分け、一組を2
5℃で180日間貯蔵し、もう一組については60℃で180日間貯蔵し、残りの一組については貯蔵を行わなかった。 各組について、1枚は前述したのと同様な引っ張り強度試験を施した。 もう4枚からは実施例1と同様にして非水電解液未含浸の高分子電解質電池を製造した。 なお、引っ張り強度試験の結果を表1に示す。
【0061】得られた実施例1〜5及び比較例1、2の電解液未含浸の電池それぞれについて、200mlのメタノール中に浸漬した。 単位時間ごとに前記メタノールの可塑剤の濃度を測定し、その結果を貯蔵しない正極を用いたものを表2及び図2に、25℃で貯蔵した正極を用いたものを表3及び図3に、60℃で貯蔵した正極を用いたものを表4及び図4に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】
【0065】
【表4】
【0066】表1から明らかなように、60℃で10日間貯蔵後の残存率が80%未満である可塑剤と前記残存率が80%以上の可塑剤を含む本実施例1〜5の正極シートは、可塑剤としてDBPのみを含む比較例1の正極シートに比べて長期間に亘る貯蔵や、高温環境下での貯蔵の後に引っ張り強度が低下するのを抑制でき、このような貯蔵後も柔軟性を保持できることがわかる。 また、
比較例1のセパレータシートを60℃で貯蔵すると、引っ張り強度が1.6kgf/cm 2に低下した。 このようなセパレータシートからは、電池を組み立てることができなかった。
【0067】表2および図2から明らかなように、本実施例1〜5の電池は、可塑剤としてDOAのみを含む正極シートを備えた比較例2の電池に比べて可塑剤の抽出速度が速いことがわかる。 また、表3〜4および図3〜
4から明らかなように、本実施例1〜5の電池は、貯蔵した正極シートを使用しても比較例2の電池に比べて可塑剤の抽出速度が速いことがわかる。
【0068】(実施例6) <負極の作製>まず、前述した方法で測定された60℃
で10日間貯蔵後の残存率が65%の可塑剤であるフタル酸ジブチル(DBP)と前記残存率が90%の可塑剤であるアジピン酸ジオクチル(DOA)を体積比4:1
で混合し、混合液を調製した。
【0069】活物質としてメソフェーズピッチ炭素繊維と、カーボンブラックと、ビニリデンフロライド−ヘキサフルオロプロピレン(VdF−HFP)の共重合体粉末と、前述した可塑剤混合液とをアセトン中で混合し、
ペーストを調製した。 なお、炭素繊維、VdF−HFP
の共重合体及び可塑剤混合液の配合比(炭素繊維:Vd
F−HFPの共重合体:可塑剤)は、58重量%:17
重量%:25重量%にした。 得られたペーストをポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)上に、厚さが100μm、幅が200mmとなるように塗布し、シート化し、300mmの長さに切り出し、負極シートを9枚作製した。
【0070】3枚の負極シートを25℃雰囲気において180日間貯蔵した。 そのうちの2枚からを銅製エキスパンドメタルからなる集電体の両面に熱ロールで加熱圧着することにより負極を作製した。 残りの1枚を幅10
mm、長さ50mmの短冊状に切り出し、この短冊シート10枚について180度方向の引っ張り試験をそれぞれ行い、平均値を下記表3に示す。
【0071】また、3枚の負極シートを60℃雰囲気において180日間貯蔵した。 そのうちの2枚から前述したのと同様にして負極を作製した。 残りの1枚については、前述したのと同様にして180度方向の引っ張り試験を行い、その平均値を下記表3に示す。
【0072】一方、残りの3枚の負極シートについては、貯蔵を行わなかった。 そのうちの2枚から前述したのと同様にして負極を作製した。 残りの1枚については、前述したのと同様にして180度方向の引っ張り試験を行い、その平均値を下記表3に示す。
【0073】得られた3種類の負極から以下に説明する方法により電解液未含浸の高分子電解質電池をそれぞれ製造した。 <正極の作製>活物質として実施例1と同様な組成のリチウムマンガン複合酸化物と、カーボンブラックと、ビニリデンフロライド−ヘキサフルオロプロピレン(Vd
F−HFP)の共重合体粉末と、可塑剤{フタル酸ジブチル(DBP)}とをアセトン中で混合し、ペーストを調製した。 なお、LiMn 2 O 4 、VdF−HFPの共重合体、カーボンブラック及び可塑剤混合液の配合比(LiMn 2 O 4 :VdF−HFPの共重合体:カーボンブラック:可塑剤)は、56重量%:17重量%:5
重量%:22重量%にした。 得られたペーストをポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)上に、厚さが100μm、幅が200mmとなるように塗布し、シート化し、300mmの長さに切り出し、正極シートを作製した。 これをアルミニウム製箔からなる集電体に熱ロールで加熱圧着することにより正極を作製した。
【0074】前記正極、前記負極及び実施例1と同様なセパレータシートを用い、実施例1で説明したのと同様にして理論容量が110mAhの非水電解液未含浸の高分子電解質電池を製造した。
【0075】(実施例7)負極の可塑剤としてDBPとDOAが体積比で2:1に混合された混合液を25重量部用いること以外、実施例6と同様にして9枚の負極を作製した。 それを3つに分け、一組を25℃で180日間貯蔵し、もう一組については60℃で180日間貯蔵し、残りの一組については貯蔵を行わなかった。 各組について、1枚は前述したのと同様な引っ張り強度試験を施し、もう2枚からは実施例6と同様にして非水電解液未含浸の高分子電解質電池を製造した。 引っ張り強度試験の結果を表5に示す。
【0076】(実施例8)負極の可塑剤としてDBPとDOAが体積比で1:1に混合された混合液を25重量部用いること以外、実施例6と同様にして9枚の負極を作製した。 それを3つに分け、一組を25℃で180日間貯蔵し、もう一組については60℃で180日間貯蔵し、残りの一組については貯蔵を行わなかった。 各組について、1枚は前述したのと同様な引っ張り強度試験を施し、もう2枚からは実施例6と同様にして非水電解液未含浸の高分子電解質電池を製造した。 引っ張り強度試験の結果を表5に示す。
【0077】(実施例9)負極の可塑剤としてDBPとDOAが体積比で1:2に混合された混合液を25重量部用いること以外、実施例6と同様にして9枚の負極を作製した。 それを3つに分け、一組を25℃で180日間貯蔵し、もう一組については60℃で180日間貯蔵し、残りの一組については貯蔵を行わなかった。 各組について、1枚は前述したのと同様な引っ張り強度試験を施し、もう2枚からは実施例6と同様にして非水電解液未含浸の高分子電解質電池を製造した。 引っ張り強度試験の結果を表5に示す。
【0078】(実施例10)負極の可塑剤としてDBP
とDOAが体積比で1:4に混合された混合液を25重量部用いること以外、実施例6と同様にして9枚の負極を作製した。 それを3つに分け、一組を25℃で180
日間貯蔵し、もう一組については60℃で180日間貯蔵し、残りの一組については貯蔵を行わなかった。 各組について、1枚は前述したのと同様な引っ張り強度試験を施し、もう2枚からは実施例6と同様にして非水電解液未含浸の高分子電解質電池を製造した。 引っ張り強度試験の結果を表5に示す。
【0079】(比較例3)負極の可塑剤としてDBPを25重量部用いること以外、実施例6と同様にして負極シートを9枚作製した。 それを3つに分け、一組を25
℃で180日間貯蔵し、もう一組については60℃で1
80日間貯蔵し、残りの一組については貯蔵を行わなかった。 各組について、1枚は前述したのと同様な引っ張り強度試験を施した。 もう2枚からは実施例6と同様にして非水電解液未含浸の高分子電解質電池を製造したところ、60℃貯蔵後の負極シートを用いるものについては、正極、セパレータシート及び負極を熱圧着によって一体化できなかったため、電池を製造できなかった。 なお、引っ張り強度試験の結果を表5に示す。
【0080】(比較例4)負極の可塑剤としてDOAを25重量部用いること以外、実施例6と同様にして負極シートを9枚作製した。 それを3つに分け、一組を25
℃で180日間貯蔵し、もう一組については60℃で1
80日間貯蔵し、残りの一組については貯蔵を行わなかった。 各組について、1枚は前述したのと同様な引っ張り強度試験を施した。 もう2枚からは実施例6と同様にして非水電解液未含浸の高分子電解質電池を製造した。
なお、引っ張り強度試験の結果を表5に示す。
【0081】得られた実施例6〜10及び比較例3、4
の電解液未含浸の電池それぞれについて、200mlのメタノール中に浸漬した。 単位時間ごとに前記メタノールの可塑剤の濃度を測定し、その結果を貯蔵しない負極を用いたものを表6及び図5に、25℃で貯蔵した負極を用いたものを表7及び図6に、60℃で貯蔵した負極を用いたものを表8及び図7に示す。
【0082】
【表5】
【0083】
【表6】
【0084】
【表7】
【0085】
【表8】
【0086】表5から明らかなように、60℃で10日間貯蔵後の残存率が80%未満である可塑剤と前記残存率が80%以上の可塑剤を含む本実施例6〜10の負極シートは、可塑剤としてDBPのみを含む比較例3の負極シートに比べて長期間に亘る貯蔵や、高温環境下での貯蔵の後に引っ張り強度が低下するのを抑制でき、このような貯蔵後も柔軟性を保持できることがわかる。 また、比較例3のセパレータシートを60℃で貯蔵すると、引っ張り強度が2.8kgf/cm 2に低下した。
このようなセパレータシートからは、電池を組み立てることができなかった。
【0087】表6および図5から明らかなように、本実施例6〜10の電池は、可塑剤としてDOAのみを含む正極シートを備えた比較例4の電池に比べて可塑剤の抽出速度が速いことがわかる。 また、表7〜8および図6
〜7から明らかなように、本実施例6〜10の電池は、
貯蔵した負極シートを使用しても比較例4の電池に比べて可塑剤の抽出速度が速いことがわかる。
【0088】(実施例11) <セパレータシート>まず、前述した方法で測定された60℃で10日間貯蔵後の残存率が65%の可塑剤であるフタル酸ジブチル(DBP)と前記残存率が90%の可塑剤であるアジピン酸ジオクチル(DOA)を体積比4:1で混合し、混合液を調製した。
【0089】酸化硅素粉末を33.3重量部と、ビニリデンフロライド−ヘキサフルオロプロピレン(VdF−
HFP)の共重合体粉末を22.2重量部と、前述した混合液を44.5重量部とをアセトン中で混合し、ペースト状にした。 得られたペーストをポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)上に、厚さが10
0μm、幅が200mmとなるように塗布し、シート化し、300mmの長さに切り出し、セパレータシートを9枚作製した。
【0090】3枚のセパレータシートを25℃雰囲気において180日間貯蔵した。 そのうちの2枚からは後述する方法で高分子電解質電池を製造した。 残りの1枚を幅10mm、長さ50mmの短冊状に切り出し、この短冊シート10枚について180度方向の引っ張り試験をそれぞれ行い、平均値を下記表9に示す。
【0091】また、3枚のセパレータシートを60℃雰囲気において180日間貯蔵した。 そのうちの2枚からは後述する方法で高分子電解質電池を製造した。 残りの1枚については、前述したのと同様にして180度方向の引っ張り試験を行い、その平均値を下記表9に示す。
【0092】一方、残りの3枚のセパレータシートについては、貯蔵を行わなかった。 そのうちの2枚からは後述する方法で高分子電解質電池を製造した。 残りの1枚については、前述したのと同様にして180度方向の引っ張り試験を行い、その平均値を下記表9に示す。 した。 <高分子電解質電池の製造>得られた各セパレータシート、実施例6と同様な正極及び実施例1と同様な負極を用い、実施例1で説明したのと同様にして理論容量が1
10mAhの非水電解液未含浸の高分子電解質電池を製造した。
【0093】(実施例12)セパレータシートの可塑剤としてDBPとDOAが体積比で2:1に混合された混合液を44.5重量部用いること以外、実施例11と同様にして9枚のセパレータシートを作製した。 それを3
つに分け、一組を25℃で180日間貯蔵し、もう一組については60℃で180日間貯蔵し、残りの一組については貯蔵を行わなかった。 各組について、1枚は前述したのと同様な引っ張り強度試験を施し、もう2枚からは実施例11と同様にして非水電解液未含浸の高分子電解質電池を製造した。 引っ張り強度試験の結果を表9に示す。
【0094】(実施例13)セパレータシートの可塑剤としてDBPとDOAが体積比で1:1に混合された混合液を44.5重量部用いること以外、実施例11と同様にして9枚のセパレータシートを作製した。 それを3
つに分け、一組を25℃で180日間貯蔵し、もう一組については60℃で180日間貯蔵し、残りの一組については貯蔵を行わなかった。 各組について、1枚は前述したのと同様な引っ張り強度試験を施し、もう2枚からは実施例11と同様にして非水電解液未含浸の高分子電解質電池を製造した。 引っ張り強度試験の結果を表9に示す。
【0095】(実施例14)セパレータシートの可塑剤としてDBPとDOAが体積比で1:2に混合された混合液を44.5重量部用いること以外、実施例11と同様にして9枚のセパレータシートを作製した。 それを3
つに分け、一組を25℃で180日間貯蔵し、もう一組については60℃で180日間貯蔵し、残りの一組については貯蔵を行わなかった。 各組について、1枚は前述したのと同様な引っ張り強度試験を施し、もう2枚からは実施例11と同様にして非水電解液未含浸の高分子電解質電池を製造した。 引っ張り強度試験の結果を表9に示す。
【0096】(実施例15)セパレータシートの可塑剤としてDBPとDOAが体積比で1:4に混合された混合液を44.5重量部用いること以外、実施例11と同様にして9枚のセパレータシートを作製した。 それを3
つに分け、一組を25℃で180日間貯蔵し、もう一組については60℃で180日間貯蔵し、残りの一組については貯蔵を行わなかった。 各組について、1枚は前述したのと同様な引っ張り強度試験を施し、もう2枚からは実施例11と同様にして非水電解液未含浸の高分子電解質電池を製造した。 引っ張り強度試験の結果を表9に示す。
【0097】(比較例5)セパレータシートの可塑剤としてDBPを44.5重量部用いること以外、実施例1
1と同様にしてセパレータシートを9枚作製した。 それを3つに分け、一組を25℃で180日間貯蔵し、もう一組については60℃で180日間貯蔵し、残りの一組については貯蔵を行わなかった。 各組について、1枚は前述したのと同様な引っ張り強度試験を施した。 もう2
枚からは実施例11と同様にして非水電解液未含浸の高分子電解質電池を製造したところ、60℃貯蔵後のセパレータシートを用いるものについては、正極、セパレータシート及び負極を熱圧着によって一体化できなかったため、電池を製造できなかった。 なお、引っ張り強度試験の結果を表9に示す。
【0098】(比較例6)セパレータシートの可塑剤としてDOAを44.5重量部用いること以外、実施例1
1と同様にしてセパレータシートを9枚作製した。 それを3つに分け、一組を25℃で180日間貯蔵し、もう一組については60℃で180日間貯蔵し、残りの一組については貯蔵を行わなかった。 各組について、1枚は前述したのと同様な引っ張り強度試験を施した。 もう2
枚からは実施例11と同様にして非水電解液未含浸の高分子電解質電池を製造した。 なお、引っ張り強度試験の結果を表9に示す。
【0099】得られた実施例11〜15及び比較例5、
6の電解液未含浸の電池それぞれについて、200ml
のメタノール中に浸漬した。 単位時間ごとに前記メタノールの可塑剤の濃度を測定し、その結果を貯蔵しないセパレータシートを用いたものを表10及び図8に、25
℃で貯蔵したセパレータシートを用いたものを表11及び図9に、60℃で貯蔵したセパレータシートを用いたものを表12及び図10に示す。
【0100】
【表9】
【0101】
【表10】
【0102】
【表11】
【0103】
【表12】
【0104】表9から明らかなように、60℃で10日間貯蔵後の残存率が80%未満である可塑剤と前記残存率が80%以上の可塑剤を含む本実施例11〜15のセパレータシートは、可塑剤としてDBPのみを含む比較例5のセパレータシートに比べて長期間に亘る貯蔵や、
高温環境下での貯蔵の後に引っ張り強度が低下するのを抑制でき、このような貯蔵後も柔軟性を保持できることがわかる。 また、比較例5のセパレータシートを60℃
で貯蔵すると、引っ張り強度が22.6kgf/cm 2
に低下した。 このようなセパレータシートからは、電池を組み立てることができなかった。
【0105】表10および図8から明らかなように、本実施例11〜15の電池は、可塑剤としてDOAのみを含むセパレータシートを備えた比較例6の電池に比べて可塑剤の抽出速度が速いことがわかる。 また、表11〜
12および図9〜10から明らかなように、本実施例1
1〜15の電池は、貯蔵したセパレータシートを使用しても比較例6の電池に比べて可塑剤の抽出速度が速いことがわかる。 なお、本実施例1〜15の電池は、可塑剤除去後、非水電解液を含浸させることによって、優れた放電容量とサイクル寿命を実現できた。
【0106】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、長期間に亘る保管や、高温環境下における保管によりシートの接着性及び柔軟性が低下するのを抑制することができ、可塑剤の除去を容易に行うことができ、非水電解液の含浸量を増大させることが可能な高分子電解質電池用電極シート、高分子電解質電池用セパレータシート及び高分子電解質電池の製造方法を提供することができる。
【図1】本発明に係る方法で製造される非水電解液未含浸の高分子電解質電池を示す断面図。
【図2】本発明に係る実施例1〜5および比較例1〜2
における未貯蔵の正極シートを使用した際の抽出時間と溶媒の可塑剤濃度との関係を示す特性図。
【図3】本発明に係る実施例1〜5および比較例1〜2
における25℃貯蔵の正極シートを使用した際の抽出時間と溶媒の可塑剤濃度との関係を示す特性図。
【図4】本発明に係る実施例1〜5および比較例1〜2
における60℃貯蔵の正極シートを使用した際の抽出時間と溶媒の可塑剤濃度との関係を示す特性図。
【図5】本発明に係る実施例6〜10および比較例3〜
4における未貯蔵の負極シートを使用した際の抽出時間と溶媒の可塑剤濃度との関係を示す特性図。
【図6】本発明に係る実施例6〜10および比較例3〜
4における25℃貯蔵の負極シートを使用した際の抽出時間と溶媒の可塑剤濃度との関係を示す特性図。
【図7】本発明に係る実施例6〜10および比較例3〜
4における60℃貯蔵の負極シートを使用した際の抽出時間と溶媒の可塑剤濃度との関係を示す特性図。
【図8】本発明に係る実施例11〜15および比較例5
〜6における未貯蔵のセパレータシートを使用した際の抽出時間と溶媒の可塑剤濃度との関係を示す特性図。
【図9】本発明に係る実施例11〜15および比較例5
〜6における25℃貯蔵のセパレータシートを使用した際の抽出時間と溶媒の可塑剤濃度との関係を示す特性図。
【図10】本発明に係る実施例11〜15および比較例5〜6における60℃貯蔵のセパレータシートを使用した際の抽出時間と溶媒の可塑剤濃度との関係を示す特性図。
1…非水電解液未含浸の負極、2…非水電解液未含浸のセパレータシート、3…非水電解液未含浸の正極、4…
集電体、5…非水電解液未含浸の負極シート、6…集電体、7…非水電解液未含浸の正極シート。
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