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白金族金属ナノ粒子を含むディーゼル酸化触媒

阅读:625发布:2021-12-02

专利汇可以提供白金族金属ナノ粒子を含むディーゼル酸化触媒专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且本発明は、ディーゼル 酸化 触媒組成物および触媒物品に関し、該組成物および物品は、実質的に完全に還元されている形態の複数の白金族ナノ粒子を含み、ナノ粒子は、約1〜約10nmの平均粒子サイズを有し、ナノ粒子の少なくとも約90%は、平均粒子サイズの+/−約2nmとなる粒子サイズを有する。このような組成物は、耐熱性金属酸化物材料をさらに含むことができ、ナノ粒子および耐熱性金属酸化物材料は、基材上に同一のコーティング内で一緒にされ得るか、または基材上に逐次、施用され得る。ナノ粒子は、有利には、ハロゲン化物、アルカリ金属、アルカリ土類金属、硫黄化合物およびホウ素化合物を実質的に含まないことができる。このような組成物および触媒物品(例えば、ディーゼル排気ガス流の処理用)を製造する方法および使用する方法も、本明細書において提供される。,下面是白金族金属ナノ粒子を含むディーゼル酸化触媒专利的具体信息内容。

Pt、Pd、Au、Ag、Ru、Rh、Ir、Os、それらの合金およびそれらの混合物からなる群から選択される、複数の白金族金属ナノ粒子であって、該白金族金属の約90%以上が、完全還元形態にあり、該ナノ粒子は、約1〜約10nmの平均粒子サイズを有しており、該ナノ粒子の少なくとも約90%が、平均粒子サイズの+/−約2nmとなる粒子サイズを有する、白金族金属ナノ粒子と、任意に 耐熱性金属酸化物材料と を含む、ディーゼル酸化触媒組成物。ナノ粒子の少なくとも約90%が、平均粒子サイズの+/−約1nmとなる粒子サイズを有する、請求項1に記載のディーゼル酸化触媒組成物。ナノ粒子の少なくとも約95%が、平均粒子サイズの+/−2nmとなる粒子サイズを有する、請求項1に記載のディーゼル酸化触媒組成物。ナノ粒子の少なくとも約95%が、平均粒子サイズの+/−約1nmとなる粒子サイズを有する、請求項1に記載のディーゼル酸化触媒組成物。ナノ粒子の平均粒子サイズが、約2〜約3nmである、請求項1に記載のディーゼル酸化触媒。ナノ粒子の平均粒子サイズが、約3〜約5nmである、請求項1に記載のディーゼル酸化触媒。ナノ粒子の平均粒子サイズが、約5〜約7nmである、請求項1に記載のディーゼル酸化触媒。ナノ粒子の平均粒子サイズが、約7〜約9nmである、請求項1に記載のディーゼル酸化触媒。組成物が、ハロゲン化物、アルカリ金属、アルカリ土類金属、硫黄化合物およびホウ素化合物を実質的に含まない、請求項1に記載のディーゼル酸化触媒。組成物が、ホウ素およびナトリウムを実質的に含まない、請求項1に記載のディーゼル酸化触媒。白金族金属ナノ粒子が白金を含む、請求項1に記載のディーゼル酸化触媒組成物。耐熱性金属酸化物が、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、セリア、およびそれらの物理的混合物または化学的組合せからなる群から選択される、請求項1に記載のディーゼル酸化触媒組成物。耐熱性金属酸化物が、シリカをドープしたアルミナ、シリカをドープしたチタニアまたはシリカをドープしたジルコニアである、請求項1に記載のディーゼル酸化触媒組成物。耐熱性金属酸化物が、1〜10%のSiO2をドープしたAl2O3、1〜20%のSiO2をドープしたTiO2または1〜30%のSiO2をドープしたZrO2を含む、請求項13に記載のディーゼル酸化触媒組成物。耐熱性金属酸化物が、1%のSiO2をドープしたAl2O3または8〜14%のSiO2をドープしたTiO2を含む、請求項13に記載のディーゼル酸化触媒組成物。請求項1〜15のいずれか一項に記載のディーゼル酸化触媒組成物を含むコーティングがその上に配置されている基材を含む、ディーゼル酸化触媒物品。耐熱性金属酸化物材料が、基材を覆う層として存在し、かつ基材とコーティングとの間に配置されている、請求項16に記載のディーゼル酸化触媒物品。ディーゼルエンジンからの排気流を処理する方法であって、請求項16に記載のディーゼル酸化触媒物品に排気流を通過させて、NOが該触媒物品内部で酸化されるようする工程を含む、方法。請求項1〜15のいずれか一項に記載のディーゼル酸化触媒組成物を含むコーティングがその上に配置されている基材を含む、触媒添加フィルター物品。白金族金属ナノ粒子を含む触媒物品を作製する方法であって、耐熱性金属酸化物スラリー、および白金族金属ナノ粒子を含むコロイド状分散液を基材に施用する工程を含む、方法。触媒物品が、ディーゼル酸化触媒物品または触媒添加煤フィルター物品である、請求項20に記載の方法。施用工程後に、コーティングされた基材を焼成する工程をさらに含む、請求項20に記載の方法。中の耐熱性金属酸化物スラリーおよびコロイド状分散液を含むウォッシュコートスラリーを形成する工程と、耐熱性金属酸化物スラリーおよびコロイド状分散液を、ウォッシュコートの形態にある基材に施用する工程とをさらに含む、請求項20に記載の方法。基材に耐熱性金属酸化物スラリーを施用する工程と、 基材上の耐熱性金属酸化物コーティングを焼成する工程と、 その後に、焼成済み耐熱性金属酸化物コーティングの上にコロイド状分散液を施用する工程と を含む、請求項20に記載の方法。白金族金属ナノ粒子が白金を含む、請求項20に記載の方法。耐熱性金属酸化物が、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、セリア、およびそれらの物理的混合物または化学的組合せからなる群から選択される、請求項20に記載の方法。耐熱性金属酸化物が、シリカをドープしたアルミナ、シリカをドープしたチタニアまたはシリカをドープしたジルコニアである、請求項20に記載の方法。耐熱性金属酸化物が、1〜10%のSiO2をドープしたAl2O3、1〜20%のSiO2をドープしたTiO2または1〜30%のSiO2をドープしたZrO2を含む、請求項20に記載の方法。耐熱性金属酸化物が、1%のSiO2をドープしたAl2O3または8〜14%のSiO2をドープしたTiO2を含む、請求項20に記載の方法。ナノ粒子の少なくとも約90%が、平均粒子サイズの+/−約1nmとなる粒子サイズを有する、請求項20に記載の方法。ナノ粒子の少なくとも約95%が、平均粒子サイズの+/−2nmとなる粒子サイズを有する、請求項20に記載の方法。ナノ粒子の少なくとも約95%が、平均粒子サイズの+/−約1nmとなる粒子サイズを有する、請求項20に記載の方法。ナノ粒子の平均粒子サイズが、約2〜約3nmである、請求項20に記載の方法。ナノ粒子の平均粒子サイズが、約3〜約5nmである、請求項20に記載の方法。ナノ粒子の平均粒子サイズが、約5〜約7nmである、請求項20に記載の方法。ナノ粒子の平均粒子サイズが、約7〜約9nmである、請求項20に記載の方法。コーティングが、ハロゲン化物、アルカリ金属、アルカリ土類金属、硫黄化合物およびホウ素化合物を実質的に含まない、請求項20に記載の方法。触媒物品に550〜600℃で加熱処理を施すことにより該物品をエージングする工程であって、エージング後のPGM粒子の少なくとも約50%が、約1〜50nmの直径を有する、エージングする工程をさらに含む、請求項20に記載の方法。触媒物品に550〜600℃で加熱処理を施すことにより該物品をエージングする工程であって、エージング後のPGM粒子の少なくとも約75%が、約1〜50nmの直径を有する、エージングする工程をさらに含む、請求項20に記載の方法。触媒物品に550〜600℃で加熱処理を施すことにより該物品をエージングする工程であって、エージング後のPGM粒子の少なくとも約50%が、約1〜25nmの直径を有する、エージングする工程をさらに含む、請求項20に記載の方法。a)分散媒体および水溶性ポリマー懸濁安定化剤の存在下、Pt、Pd、Au、Ag、Ru、Rh、Ir、Osおよびそれらの合金の塩から選択される白金族金属前駆体の溶液であって、白金族金属前駆体が、ハロゲン化物、アルカリ金属、アルカリ土類金属、硫黄化合物およびホウ素化合物を実質的に含まない、溶液を製造する工程と、 b)この溶液を還元剤と一緒にして、白金族金属ナノ粒子のコロイド状分散液を得る工程であって、ナノ粒子濃度が、コロイド状分散液の総質量の少なくとも約2質量%であり、コロイド状分散液中の白金族金属の少なくとも約90%が完全還元形態にある工程と を含む方法により、白金族金属ナノ粒子を製造することをさらに含む、請求項20に記載の方法。排気ガス流を処理するための排出物処理システムであって、 排気ガス流を生成するディーゼルエンジンと、 排気ガス流と流体連通して配置されており、かつ排気流中の一酸化炭素および炭化水素ガスを酸化して処理済み排気ガス流を形成するようになされている、請求項16に記載の第1の触媒物品と、 第1の触媒物品の下流にあり、かつ処理済み排気ガス流と流体連通している少なくとも1つの追加の触媒物品であり、アンモニア酸化、微粒子ろ過、NOx貯蔵、NOx捕捉、NOxの選択的触媒還元またはそれらの組合せを行うようになされている、少なくとも1つの追加の触媒物品と を含む、排出物処理システム。

说明书全文

本発明は、ディーゼル酸化触媒組成物のための、白金金属濃度が高いコロイド状白金金属ナノ粒子を使用する方法、このような触媒組成物を製造および使用する方法、ならびにこのような触媒組成物を使用する触媒物品およびシステムに関する。

ディーゼルエンジンの排出物には、粒子状物質(PM)、窒素酸化物(NOx)、未燃焼炭化素(HC)および一酸化炭素(CO)が含まれる。NOxは、とりわけ、一酸化窒素(NO)および二酸化窒素(NO2)を含めた、窒素酸化物からなる様々な化学種を説明するために使用される用語である。排気粒子状物質の2種の主な構成成分は、可溶性有機フラクション(SOF)および乾燥炭素またはフラクションである。SOFは、層中の煤上に凝縮し、未燃焼ディーゼル燃料および潤滑油に一般に由来する。SOFは、排気ガスの温度に応じて、蒸気またはエアゾール(すなわち、液体凝縮物の微細液滴)のどちらかとして、ディーゼル排気中に存在し得る。煤は、主に、炭素粒子からなる。

白金族金属(PGM)、特に、白金(Pt)系および白金/パラジウム(Pt/Pd)系触媒は、炭化水素(HC)および一酸化炭素(CO)という汚染物質の二酸化炭素(CO2)および水(H2O)への酸化を触媒することによってこれらを除去するため、ディーゼルエンジンの排気物の処理に有用である。さらに、白金を含有している酸化触媒は、NOのNO2への酸化を促進する。触媒は、そのライトオフ温度、またはT50とも呼ばれる、50%の転化率が達成される温度によって、通常、定義される。このような触媒は、ディーゼル酸化触媒(DOC)システム、触媒煤フィルター(CSF)システム、または併用型DOC−CSFシステム内に含まれ得る。これらの触媒システムは、排気物が大気に排出される前に生じた排気物を処理するため、ディーゼル電システムからの排気流路に置かれる。通常、ディーゼル酸化触媒は、セラミック製または金属製基材の上に堆積される。

ディーゼルの煤除去は、能動的再生または受動的再生のどちらかにより達成される。能動的煤再生は、DOC入り口において、追加のディーゼル燃料を注入することにより行われ、燃料の燃焼により放出される発熱により、下流のCSFにおける温度を向上させ、O2により煤の燃焼が開始される(C+O2→CO/CO2)。この反応は、通常、600℃を超える温度が必要である。受動的煤再生は、煤を酸化するために、O2ではなく、NO2を利用する(C+NO2→CO/CO2+NO)。この反応は、T>300℃において、かなり効率的になり、多くの場合、燃費の悪化をもたらす燃料注入を必要とすることなく、通常運転の間に行われ得る。現在の重負荷ディーゼル車両および軽負荷ディーゼル車両では、一部の製造業者は、主に、そのシステム設計に対する受動的再生戦略、すなわち、低煤排出と組み合わせた、エンジンからの多量のNOxを利用している。しかし、NO2は、通常、エンジンからの全NOxの<10%を構成する。最大の受動的煤除去のためには、NOの酸化により、さらなるNO2が形成されなければならない。

白金(Pt)は、依然として、NOをNO2に酸化する最も有効な白金族金属であり、受動的重負荷ディーゼルシステムの温和なエージング条件(約550°)は、白金を特に好適なものにしている。DOC排気温度が800℃に到達し得る、軽負荷ディーゼルシステムの場合でさえも、Ptに富む領域を備えた触媒設計は、熱的耐性になり得る。NO酸化は、Ptに対する構造的に影響を受けやすいことが幅広く報告されている。すなわち、ターンオーバー頻度(TOF)は、Ptの粒子サイズにかなり依存する(B.M.Weiss、E.Iglesia、J.Phys.Chem.C、2009年、30巻、13331〜13340頁)。さらに、完全に還元された金属Pt表面は、NO酸化に最も活性である。次第に高まっている厳格な規則を満足する、新規DOC触媒配合物が、依然として当分野において必要とされている。高い金属含有率(例えば、高い白金含有率)を有するコロイド状白金族金属ナノ粒子(PGMNP)は、このようなDOC組成物の製造に有用と思われる。

B.M.Weiss、E.Iglesia、J.Phys.Chem.C、2009年、30巻、13331〜13340頁

本発明は、ディーゼル酸化触媒(DOC)組成物、すなわち還元されているナノ粒子形態にある、少なくとも1種の白金族金属(PGM)材料を含む組成物を提供する。還元ナノ粒子形態中のPGM材料を含む触媒組成物は、標準的なPGM前記体(例えば、可溶性PGM錯体)を使用して製造された比較触媒組成物よりも、NOからNO2への高い転化率を実現することができる。

一態様では、本開示は、Pt、Pd、Au、Ag、Ru、Rh、Ir、Os、それらの合金およびそれらの混合物からなる群から選択される、複数の白金族金属ナノ粒子(PGMNP)であって、該白金族金属の約90%以上が、完全還元形態にあり、該ナノ粒子が、約1〜約10nmの平均粒子サイズを有しており、該ナノ粒子の少なくとも90%が、平均粒子サイズの+/−約2nmとなる粒子サイズを有している、白金族金属ナノ粒子(PGMNP)、および耐熱性金属酸化物材料を含む、ディーゼル酸化触媒組成物を提供する。このような組成物では、PGMNPは、有利なことに、耐熱性金属酸化物材料上に担持される。ある特定の実施形態では、本組成物は、ハロゲン化物、アルカリ金属、アルカリ土類金属および硫黄化合物を実質的に含まない。ある特定の実施形態では、本組成物は、ホウ素およびナトリウム含有構成成分を実質的に含まない(例えば、本組成物はホウ素およびナトリウムを実質的に含まない)。一部の実施形態では、ディーゼル酸化触媒組成物がこれから製造される、コロイド状PGMNP懸濁液は、ハロゲン化物、アルカリ金属、アルカリ土類金属および硫黄化合物(これらは、触媒毒として作用する恐れがある)を実質的に含まず、一部の実施形態では、この懸濁液は、ホウ素およびナトリウム含有構成成分を実質的に含まない(例えば、この懸濁液は、ホウ素およびナトリウムを実質的に含まない)。

別の態様では、本開示は、少なくとも1種のコーティングがその上に配置されている基材を含む、ディーゼル酸化触媒物品であって、該コーティングが、Pt、Pd、Au、Ag、Ru、Rh、Ir、Os、それらの合金およびそれらの混合物からなる群から選択される、複数の白金族金属ナノ粒子を含み、該白金族金属の約90%以上が、完全還元形態にあり、該ナノ粒子は、約1〜約10nmの平均粒子サイズを有しており、該ナノ粒子の少なくとも90%が、平均粒子サイズの+/−約2nmとなる粒子サイズを有している、ディーゼル酸化触媒物品を提供する。一部の実施形態では、基材上のコーティングは、耐熱性金属酸化物材料をさらに含む。ある特定の他の実施形態では、基材は、基材を覆っており、かつ基材とコーティングとの間に配置されている、耐熱性金属酸化物層をさらに含むことができる。

本発明の別の態様は、ディーゼルエンジンからの排気流を処理する方法であって、本明細書において開示されているディーゼル酸化触媒物品内に排気流を通過させて、NOが該触媒物品内部で酸化されるようする工程を含む、方法を提供する。本発明は、ディーゼルエンジンからの排気流を処理する方法であって、本明細書において開示されているディーゼル酸化触媒物品に排気流を通過させて、CO、HCおよびNOが該触媒物品内部で酸化されるようにする工程を含む、方法をさらに提供する。

さらに、別の態様では、本発明は、本明細書において開示されているディーゼル酸化触媒物品(例えば、白金族金属ナノ粒子を含む)を作製する方法であって、耐熱性金属酸化物スラリー、および白金族金属ナノ粒子を含むコロイド状分散液を基材に施用する工程を含む、方法を提供する。本方法は、施用工程後に、コーティングされている基材を焼成する工程をさらに含むことができる。

触媒物品を作製する具体的な工程は、様々となり得る。例えば、一実施形態では、本方法は、水中の耐熱性金属酸化物スラリーおよびコロイド状ナノ粒子分散液を含むウォッシュコートスラリーを形成する工程と、耐熱性金属酸化物スラリーおよびコロイド状分散液を、ウォッシュコートの形態にある基材に施用する工程とを含む。他の実施形態では、これらの構成成分は、基材に個別に施用されてもよい。例えば、一実施形態では、本方法は、耐熱性金属酸化物スラリーを基材に施用する工程と、基材上の耐熱性金属酸化物コーティングを焼成する工程と、その後に、焼成済み耐熱性金属酸化物コーティングの上にコロイド状分散液を施用する工程とを含む。

一部の実施形態では、開示された方法は、空気中の10%流で、550℃、50時間、または1L/分のガス流で600℃、約20時間、物品に加熱処理を施すことによる、ディーゼル酸化触媒物品をエージングする行程であって、エージング後のPGM粒子の少なくとも約50%が約1〜50nmの直径を有する、エージングする工程をさらに含む。この加熱処理工程は、一部の実施形態では、有利には、ディーゼル排気に似ている。本方法は、このような条件下で、ディーゼル酸化触媒物品をエージングする工程であって、エージング後のPGM粒子の少なくとも約75%が、約1〜50nmの直径を有する、エージングする工程をさらに含むことができる。他の実施形態では、本方法は、このような条件下で、触媒をエージングする工程であって、エージング後のPGM粒子の少なくとも約50%が、約1〜25nmの直径を有する、エージングする工程をさらに含むことができる。したがって、このような粒子サイズを示す、エージング済み触媒物品もまた、本明細書に包含されている。

このような方法は、一部の実施形態では、a)分散媒体および水溶性ポリマー懸濁安定化剤の存在下、Pt、Pd、Au、Ag、Ru、Rh、Ir、Osおよびそれらの合金の塩から選択される白金族金属前駆体の溶液であって、白金族金属前駆体が、ハロゲン化物、アルカリ金属、アルカリ土類金属および硫黄化合物を実質的に含まない、溶液を製造する工程と、b)この溶液を還元剤と一緒にして、白金族金属ナノ粒子のコロイド状分散液を得る工程であって、ナノ粒子濃度が、コロイド状分散液の総質量の少なくとも約2質量%であり、コロイド状分散液中の白金族金属の少なくとも約90%が、完全還元形態にある、工程とを含む方法により、白金族ナノ粒子を製造することをさらに含むことができる。白金族金属前駆体は、一部の実施形態では、アミン錯体塩、ヒドロキシル塩、硝酸塩、カルボン酸塩、アンモニウム塩および酸化物(例えば、Pt(NH3)4(OH)2、Pd(NH3)4(OH)2、Pd(OH)2、Ir(OH)4、硝酸Rh、硝酸Pt、クエン酸Pt、硝酸Pd(II)およびクエン酸Pd(II)から選択される)からなる群から選択され得る。このような方法において使用するための例示的なポリマー懸濁液の安定化剤の1つは、ポリビニルピロリドンであり、例示的な還元剤の1つはアスコルビン酸であり、例示的な極性溶媒の1つは水である。

本開示は、排気ガス流を処理するための排出処理システムであって、排気ガス流を生成するディーゼルエンジンと、排気ガス流と流体連通して配置されており、かつ排気流中の一酸化炭素および炭化水素ガスを酸化して処理済み排気ガス流を形成するようになされている、本明細書において開示されている第1の触媒物品と、第1の触媒物品の下流にあり、かつ処理済み排気ガス流と流体連通している少なくとも1つの追加の触媒物品であり、アンモニア酸化、微粒子ろ過、NOx貯蔵、NOx捕捉、NOxの選択的触媒還元またはそれらの組合せを行うようになされている、少なくとも1つの追加の触媒物品とを含む、排出処理システムをさらに提供する。

開示されているディーゼル酸化組成物、触媒物品、システム、および方法のある特定の実施形態では、白金族金属ナノ粒子は白金を含む。耐熱性金属酸化物は、一部の実施形態では、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、セリア、およびそれらの物理的混合物または化学的組合せからなる群から選択される。一部の実施形態では、耐熱性金属酸化物は、シリカをドープしたアルミナ、チタニア、またはジルコニア、例えば、1〜10%のSiO2をドープしたAl2O3、1〜10%もしくは1〜20%のSiO2をドープしたTiO2、または1〜30%もしくは5〜30%のSiO2をドープしたZrO2である。特定の実施形態では、耐熱性金属酸化物は、1%または5%のSiO2をドープしたAl2O3または8〜14%のSiO2をドープしたTiO2を含む。

ナノ粒子サイズが、実質的に単分散であることが望ましいものとなり得る。一部の実施形態では、ナノ粒子の少なくとも約90%は、平均粒子サイズの+/−約1nmとなる粒子サイズを有する。一部の実施形態では、ナノ粒子の少なくとも約95%は、平均粒子サイズの+/−2nmとなる粒子サイズを有し、一部の実施形態では、ナノ粒子の少なくとも約95%は、平均粒子サイズの+/−約1nmとなる粒子サイズを有する。したがって、ナノ粒子の平均粒子サイズは、狭い範囲内、例えば、少なくとも90%または少なくとも95%が、この範囲内の粒子サイズを有するナノ粒子を有する狭い範囲内に制御され得る。ナノ粒子の平均粒子サイズは、様々となり得る。例えば、様々な実施形態では、ナノ粒子の平均サイズは、約1〜約3nm、約2〜約3nm、約3〜約5nm、約5〜約7nmまたは約7〜約9nmとすることができる。一部の実施形態では、ナノ粒子は、約1〜約3nmの平均粒子サイズを有しており、ナノ粒子の少なくとも95%は、この範囲内の粒子サイズを有する。一部の実施形態では、ナノ粒子は、約1〜約5nmの平均粒子サイズを有しており、ナノ粒子の少なくとも95%は、この範囲内の粒子サイズを有する。本明細書において開示されている組成物および物品の一部におけるナノ粒子の少なくとも95%は、一部の実施形態では、平均粒子サイズの50パーセント以内の粒子サイズを有することができる。

本発明は、非限定的に、以下の実施形態を含む。

実施形態1:Pt、Pd、Au、Ag、Ru、Rh、Ir、Os、それらの合金およびそれらの混合物からなる群から選択される、複数の白金族金属ナノ粒子であって、該白金族金属の約90%以上が、完全還元形態にあり、該ナノ粒子が、約1〜約10nmの平均粒子サイズを有しており、該ナノ粒子の少なくとも約90%が、平均粒子サイズの+/−約2nmとなる粒子サイズを有している、白金族金属ナノ粒子と、任意に耐熱性金属酸化物材料とを含む、ディーゼル酸化触媒組成物。

実施形態2:ナノ粒子の少なくとも約90%が、平均粒子サイズの+/−約1nmとなる粒子サイズを有する、上述または後述のいずれかの実施形態のディーゼル酸化触媒組成物。

実施形態3:ナノ粒子の少なくとも約95%が、平均粒子サイズの+/−2nmとなる粒子サイズを有する、上述または後述のいずれかの実施形態のディーゼル酸化触媒組成物。

実施形態4:ナノ粒子の少なくとも約95%が、平均粒子サイズの+/−約1nmとなる粒子サイズを有する、上述または後述のいずれかの実施形態のディーゼル酸化触媒組成物。

実施形態5:ナノ粒子の平均粒子サイズが、約2〜約3nmである、上述または後述のいずれかの実施形態のディーゼル酸化触媒組成物。

実施形態6:ナノ粒子の平均粒子サイズが、約3〜約5nmである、上述または後述のいずれかの実施形態のディーゼル酸化触媒組成物。

実施形態7:ナノ粒子の平均粒子サイズが、約5〜約7nmである、上述または後述のいずれかの実施形態のディーゼル酸化触媒組成物。

実施形態8:ナノ粒子の平均粒子サイズが、約7〜約9nmである、上述または後述のいずれかの実施形態のディーゼル酸化触媒組成物。

実施形態9:組成物が、ハロゲン化物、アルカリ金属、アルカリ土類金属、硫黄化合物およびホウ素化合物を実質的に含まない、上述または後述のいずれかの実施形態のディーゼル酸化触媒組成物。

実施形態10:組成物が、ホウ素およびナトリウムを実質的に含まない、上述または後述のいずれかの実施形態のディーゼル酸化触媒組成物。

実施形態11:白金族金属ナノ粒子が白金を含む、上述または後述のいずれかの実施形態のディーゼル酸化触媒組成物。

実施形態12:耐熱性金属酸化物が、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、セリア、およびそれらの物理的混合物または化学的組合せからなる群から選択される、上述または後述のいずれかの実施形態のディーゼル酸化触媒組成物。

実施形態13:耐熱性金属酸化物が、シリカをドープしたアルミナ、シリカをドープしたチタニアまたはシリカをドープしたジルコニアである、上述または後述のいずれかの実施形態のディーゼル酸化触媒組成物。

実施形態14:耐熱性金属酸化物が、1〜10%のSiO2をドープしたAl2O3、1〜20%のSiO2をドープしたTiO2または1〜30%のSiO2をドープしたZrO2を含む、上述または後述のいずれかの実施形態のディーゼル酸化触媒組成物。

実施形態15:耐熱性金属酸化物が、1%のSiO2をドープしたAl2O3または8〜14%のSiO2をドープしたTiO2を含む、上述または後述のいずれかの実施形態のディーゼル酸化触媒組成物。

実施形態16:上述または後述のいずれかの実施形態のディーゼル酸化触媒組成物を含むコーティングがその上に配置されている基材を含む、ディーゼル酸化触媒物品。

実施形態17:耐熱性金属酸化物材料が、基材を覆う層として存在し、かつ基材とコーティングとの間に配置されている、前述または後述の実施形態のいずれかのディーゼル酸化触媒物品。

実施形態18:ディーゼルエンジンからの排気流を処理する方法であって、前述または後述の実施形態のいずれかのディーゼル酸化触媒物品に排気流を通過させて、NOが該触媒物品内部で酸化されるようにする工程を含む、方法。

実施形態19:上述または後述のいずれかの実施形態のディーゼル酸化触媒組成物を含むコーティングがその上に配置されている基材を含む、触媒添加煤フィルター物品。

実施形態20:白金族金属ナノ粒子を含む触媒物品を作製する方法であって、耐熱性金属酸化物スラリー、および白金族金属ナノ粒子を含むコロイド状分散液を基材に施用する工程を含む、方法。

実施形態21:触媒物品が、ディーゼル酸化触媒物品または触媒添加煤フィルター物品である、上述または後述のいずれかの実施形態の方法。

実施形態22:施用工程後に、コーティングされている基材を焼成する工程をさらに含む、上述または後述のいずれかの実施形態の方法。

実施形態23:水中の耐熱性金属酸化物スラリーおよびコロイド状分散液を含むウォッシュコートスラリーを形成する工程と、耐熱性金属酸化物スラリーおよびコロイド状分散液を、ウォッシュコートの形態にある基材に施用する工程とをさらに含む、上述または後述のいずれかの実施形態の方法。

実施形態24:耐熱性金属酸化物スラリーを基材に施用する工程と、基材上の耐熱性金属酸化物コーティングを焼成する工程と、その後に、焼成済み耐熱性金属酸化物コーティングの上にコロイド状分散液を施用する工程とを含む、上述または後述のいずれかの実施形態の方法。

実施形態25:白金族金属ナノ粒子が白金を含む、上述または後述のいずれかの実施形態の方法。

実施形態26:耐熱性金属酸化物が、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、セリア、およびそれらの物理的混合物または化学的組合せからなる群から選択される、上述または後述のいずれかの実施形態の方法。

実施形態27:耐熱性金属酸化物が、シリカをドープしたアルミナ、シリカをドープしたチタニアまたはシリカをドープしたジルコニアである、上述または後述のいずれかの実施形態の方法。

実施形態28:耐熱性金属酸化物が、1〜10%のSiO2をドープしたAl2O3、1〜20%のSiO2をドープしたTiO2または1〜30%のSiO2をドープしたZrO2を含む、上述または後述のいずれかの実施形態の方法。

実施形態29:耐熱性金属酸化物が、1%のSiO2をドープしたAl2O3または8〜14%のSiO2をドープしたTiO2を含む、上述または後述のいずれかの実施形態の方法。

実施形態30:ナノ粒子の少なくとも約90%が、平均粒子サイズの+/−約1nmとなる粒子サイズを有する、上述または後述のいずれかの実施形態の方法。

実施形態31:ナノ粒子の少なくとも約95%が、平均粒子サイズの+/−2nmとなる粒子サイズを有する、上述または後述のいずれかの実施形態の方法。

実施形態32:ナノ粒子の少なくとも約95%が、平均粒子サイズの+/−約1nmとなる粒子サイズを有する、上述または後述のいずれかの実施形態の方法。

実施形態33:ナノ粒子の平均粒子サイズが、約2〜約3nmである、上述または後述のいずれかの実施形態の方法。

実施形態34:ナノ粒子の平均粒子サイズが、約3〜約5nmである、上述または後述のいずれかの実施形態の方法。

実施形態35:ナノ粒子の平均粒子サイズが、約5〜約7nmである、上述または後述のいずれかの実施形態の方法。

実施形態36:ナノ粒子の平均粒子サイズが、約7〜約9nmである、上述または後述のいずれかの実施形態の方法。

実施形態37:コーティングが、ハロゲン化物、アルカリ金属、アルカリ土類金属、硫黄化合物およびホウ素化合物を実質的に含まない、上述または後述のいずれかの実施形態の方法。

実施形態38:触媒物品に550〜600℃において加熱処理を施すことにより該物品をエージングする工程であって、エージング後のPGM粒子の少なくとも約50%が、約1〜50nmの直径を有する、エージングする工程をさらに含む、上述または後述のいずれかの実施形態の方法。

実施形態39:触媒物品に550〜600℃において加熱処理を施すことにより該物品をエージングする工程であって、エージング後のPGM粒子の少なくとも約75%が、約1〜50nmの直径を有する、エージングする工程をさらに含む、上述または後述のいずれかの実施形態の方法。

実施形態40:触媒物品に550〜600℃において加熱処理を施すことにより該物品をエージングする工程であって、エージング後のPGM粒子の少なくとも約50%が、約1〜25nmの直径を有する、エージングする工程をさらに含む、上述または後述のいずれかの実施形態の方法。

実施形態41:a)分散媒体および水溶性ポリマー懸濁安定化剤の存在下、Pt、Pd、Au、Ag、Ru、Rh、Ir、Osおよびそれらの合金の塩から選択される白金族金属前駆体の溶液であって、白金族金属前駆体が、ハロゲン化物、アルカリ金属、アルカリ土類金属、硫黄化合物およびホウ素化合物を実質的に含まない、溶液を製造する工程と、b)この溶液を還元剤と一緒にして、白金族金属ナノ粒子のコロイド状分散液を得る工程であって、ナノ粒子濃度が、コロイド状分散液の総質量の少なくとも約2質量%であり、コロイド状分散液中の白金族金属の少なくとも約90%が、完全還元形態にある、工程とを含む方法により、白金族金属ナノ粒子を製造することをさらに含む、上述または後述のいずれかの実施形態の方法。

実施形態42:排気ガス流を処理するための排出物処理システムであって、排気ガス流を生成するディーゼルエンジンと、排気ガス流と流体連通して配置されており、かつ排気流中の一酸化炭素および炭化水素ガスを酸化して処理済み排気ガス流を形成するようになされている、請求項16に記載の第1の触媒物品と、第1の触媒物品の下流にあり、かつ処理済み排気ガス流と流体連通している少なくとも1つの追加の触媒物品であり、アンモニア酸化、微粒子ろ過、NOx貯蔵、NOx捕捉、NOxの選択的触媒還元またはそれらの組合せを行うようになされている、少なくとも1つの追加の触媒物品とを含む、排出物処理システム。

本開示のこれらおよび他の特徴、態様ならびに利点が、添付の図面と共に以下の詳細説明を一読すると明らかになり、添付の図面は、以下に手短に説明されている。本発明は、2つ、3つ、4つまたはそれより多い上記の実施形態のいずれかの組合せ、および本開示に説明されている2つ、3つ、4つもしくはそれより多い特徴または要素のいずれかの組合せが、本明細書において具体的な実施形態の説明において、明示的に組み合わされているかどうかにかかわらず、このような特徴または要素を含む。本開示は、本開示の任意の分離可能な特徴または要素は、その態様および実施例の実施のいずれにおいても、本開示の文脈が特に明確に示さない限り、組合せ可能なものとして見なされるべきであるよう、総合的に一読されることが意図されている。本発明の他の態様および利点は、以下から明白になろう。

本発明の実施形態の理解をもたらすために、添付の図面が参照され、これらの図面は、必ずしも実寸大通りに図示されておらず、これらの図面において、参照番号は、本発明の例示的な実施形態の構成要素を指す。図面は、例示的なものに過ぎず、本発明の限定として解釈されるべきではない。

本発明によるディーゼル酸化触媒(DOC)ウォッシュコート組成物を含むことができる、ハニカムタイプの基材の斜視図である。

図1Aに関して拡大した、図1Aの担体の端面に平行な面に沿って得られた部分断面図である。図1Aに示されている複数のガス流通路の拡大図を示している。

本発明のDOCが利用される、排出物処理システムの実施形態の模式図を示す図である。

安定化剤としてPVP、および還元剤としてアスコルビン酸を使用して製造した、Ptナノ粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)画像である。

安定化剤としてPVP、および還元剤としてグルコースを使用して製造した、Ptナノ粒子のTEM画像である。

還元剤としてエチレングリコールを使用して製造された単分散Ptナノ粒子のTEM画像である。

従来の可溶性Pt前駆体(Pt(NH

3)

4(OH)

2)を使用して製造された焼成済みウォッシュコートの一連のTEM画像である。

コロイド状Ptナノ粒子分散液を使用して製造された焼成済みウォッシュコートのTEM画像である。

Pt錯体溶液を使用して製造された触媒物品、およびコロイド状Pt溶液を使用して製造された触媒物品を使用して達成された、様々な温度における、NOのNO

2への転化率の比較を示すグラフである。

従来のPt前駆体(Pt(NH

3)

4(OH)

2)を使用して製造された、エージング後の焼成済みウォッシュコートの一連のTEM画像である。

コロイド状Ptナノ粒子分散液を使用して製造された、エージング後の焼成済みウォッシュコートの一連のTEM画像である。

Pt錯体溶液を使用して製造されたエージング済み触媒物品、およびコロイド状Pt溶液を使用して製造されたエージング済み触媒物品を使用して達成された、様々な温度における、NOのNO

2への転化率の比較を示すグラフである。

Pt錯体溶液を使用して製造された触媒物品、およびコロイド状Pt溶液を使用して製造された触媒物品を使用して達成された、NOの転化率の比較を示すグラフである。

Pt錯体溶液を使用して製造された触媒物品、およびコロイド状Pt溶液を使用して製造された触媒物品を使用して達成された、様々な温度における、NOのNO

2への転化率の比較を示すグラフである。

Pt錯体溶液を使用して製造された触媒物品、およびコロイド状Pt溶液を使用して製造された触媒物品を使用して達成された、NOの転化率の比較を示すグラフである。

本発明を以下により詳しく説明する。本発明はここで、特定の実施形態を参照して説明するが、これらの実施形態は、本発明の原理および用途を単に例示しているに過ぎないことを理解されたい。本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明の方法および装置に様々な修正および変形を行うことができることは、当業者に明白であろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内の、修正および変形を含むことが意図される。本発明は、以下の説明において示される構成またはプロセス工程の詳細に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施または実行することが可能である。

本明細書全体を通して、「一実施形態」、「ある特定の実施形態」、「1つまたは複数の実施形態」または「実施形態」を言う場合、この実施形態に関連して記載されている、特定の特徴、構造、材料または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な場所における、「1つまたは複数の実施形態では」、「ある特定の実施形態では」、「一実施形態では」または「ある実施形態では」などの言い回しの出現は、本発明の同一の実施形態を必ずしも言及しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、材料または特性は、1つまたは複数の実施形態において、任意の好適な方法で組み合わされてもよい。冠詞「a」および「an」は、本明細書において、該冠詞の文法上の目的語が1個または1個超(すなわち、少なくとも1個)であることを指すために使用される。例として、「還元剤」は、1種の還元剤または1種超の還元剤を意味する。本明細書において引用されているいずれの範囲も、包括的である。本明細書全体を通して使用される用語「約」は、小さな変動を記載するため、およびこれらを構成するよう使用される。例えば、用語「約」とは、±2%以下、±1%以下、±0.5%以下、±0.2%以下、±0.1%または±0.05%以下などの、±5%以下を指すことができる。本明細書における数値はすべて、明示的に示されているか否かにかかわらず、用語「約」により修飾されている。当然ながら、用語「約」によって修飾される値は、具体的な値を含む。例えば、「約5.0」は、5.0を含まなければならない。同様に、用語「実質的に」は、小さな変動を記載するため、およびこれらを構成するよう使用される。したがって、本組成物が、所与の構成成分を「実質的に含まない」と言及される場合、別段の指定がない限り、このことは、例えば、該組成物は、該組成物の質量基準で、その構成成分の約2%未満、約1%未満、約0.5%未満、約0.1%未満または約0.05%未満などの約5%未満を含むことを意味することができる。本明細書における測定値はすべて、特に示さない限り、周囲条件、すなわち25℃および1atmの圧力で行われる。

本出願の特許請求の範囲における範囲が、本明細書において明白な支持を見出さない場合、このような特許請求の範囲は、本出願の後の修正における、特許請求の範囲または教示を支持するものとして、それら自体の開示を提供していることが意図される。低い方の端におけるゼロにより境界が設けられている(例えば、0〜10体積%のPVP)成分の数値範囲は、「最大で[上限値]」、例えば「最大10体積%のPVP」、その逆、ならびに問題としている成分が、上限値を超えない量で存在している正の列挙という概念に対する支持を提示していることが意図されている。後者の一例は、「PVPを含むが、ただし、10体積%を超えない量であることを条件とする」である。「8〜25体積%(PGM+安定化剤+還元剤)」などの列挙は、PGM、安定化剤および/もしくは還元剤のいずれかまたはすべてが、組成物の8〜25体積%の量で存在し得ることを意味する。

本発明は、一般に、NOのNO2への少なくとも部分酸化に好適な、ディーゼル酸化触媒(DOC)組成物を提供し、この組成物は、ディーゼル排気物中に存在している粒子状物質の可溶性有機フラクションを処理するためのCSF構成成分を任意でさらに含んでもよい。本明細書において開示されているDOC組成物は、PGMナノ粒子および多孔質の耐熱性酸化物支持体を含み、このような組成物は、多孔質の耐熱性酸化支持体に含浸させたPGM錯体を含む比較組成物と比較すると、NO酸化の増強を実現する。本明細書で使用する場合、「含浸した」または「含浸」とは、支持材料の多孔質構造内への触媒材料の浸透を指す。DOC組成物が製造されて、一般に、当業者に公知であり、かつ以下に一層、十分に示されている、ウォッシュコート技法を使用して、触媒基材上にコーティングされ得る。

触媒組成物 DOC組成物は、還元ナノ粒子形態のPGM構成成分(例えば、PGMの少なくとも約90%は、還元形態にある)を含み、1種または複数の多孔質の耐熱性酸化物支持体を一般にさらに含む。本明細書で使用する場合、「白金族金属」または「PGM」とは、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)およびそれらの混合物を含めた、白金族金属またはその酸化物を指す。ある特定の実施形態では、白金族金属は、約1:10〜約10:1の質量比、さらに一般には、約1.5:1以上、約2:1以上、または約5:1以上の白金対パラジウム比などの、白金とパラジウムの組合せを含む。PGM構成成分(例えば、Pt、Pdまたはそれらの組合せ)の濃度は、様々となり得るが、所与の組成物中、多孔質の耐熱性酸化物支持材料(例えば、耐熱性酸化物支持体に対して、約1質量%〜約6質量%)の質量に対して、通常、約0.1質量%〜約10質量%になろう。

「耐熱性金属酸化物」または「多孔質耐熱性酸化物」とは、ディーゼルエンジン排気に関連する温度などの、高温における化学的および物理的安定性を示す、多孔質金属含有酸化物材料を指す。例示的な耐熱性酸化物には、原子的にドープした組合せ物および高い表面積を含む、または活性化アルミナなどの活性化化合物を含めた、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、セリア、およびそれらの物理的混合物または化学的組合せを含む。金属酸化物の例示的な組合せは、アルミナ−ジルコニア、アルミナ−セリア−ジルコニア、ランタナ−アルミナ、ランタナ(lanthana)−ジルコニア−アルミナ、バリア(baria)−アルミナ、バリアランタナ−アルミナ、バリアランタナ−ネオジミア(neodymia)アルミナ、およびアルミナ−セリアを含む。例示的なアルミナは、大細孔ベーマイト、ガンマ−アルミナおよびデルタ/シータアルミナを含む。例示的な方法において出発原料として使用される、有用な市販のアルミナは、高嵩密度ガンマ−アルミナ、低または中嵩密度の大細孔ガンマ−アルミナ、および低嵩密度の大細孔ベーマイトおよびガンマ−アルミナなどの、活性化アルミナを含む。

「ガンマアルミナ」または「活性化アルミナ」とも称される、アルミナ支持材料などの高い表面積の耐熱性酸化物支持体は、60m2/g超、多くの場合、最大約200m2/gまたはそれより大きなBET表面積を通常、示す。このような活性化アルミナは、通常、アルミナのガンマ相およびデルタ相の混合物であるが、かなりの量のイータ、カッパおよびシータアルミナ相をやはり含有していることがある。「BET表面積」は、N2吸着による表面積を決定するための、Brunauer、Emmett、Teller法を指す、その通常の意味を有する。望ましくは、活性アルミナは、60〜350m2/g、および通常、90〜250m2/gの比表面積を有する。

ある特定の好ましい実施形態では、本明細書において開示されているDOC組成物において有用な耐熱性酸化物支持体は、Si−ドープしたアルミナ材料などのドープしたアルミナ材料(以下に限定されないが、1〜10%のSiO2−Al2O3を含む)、Si−ドープしたチタニア材料などのドープしたチタニア材料(以下に限定されないが、1〜10%または1〜20%のSiO2−TiO2を含む)、またはSi−ドープしたZrO2などのドープしたジルコニア材料(以下に限定されないが、1〜30%または5〜30%のSiO2−ZrO2)である。

基材 1つまたは複数の実施形態によれば、DOC組成物を支持するために使用される基材は、車両用触媒を製造するために、通常、使用される任意の材料から構成され得、金属製またはセラミック製のハニカム構造を、通常、含むであろう。基材は、通常、DOCウォッシュコート組成物が施用されて付着し、これにより、触媒組成物の担体として作用する、複数の壁表面をもたらす。

例示的な金属製基材は、チタンおよびステンレス鋼などの耐熱性金属および金属合金、ならびに鉄がかなりのまたは主要な構成成分となる、他の合金を含む。このような合金は、ニッケル、クロムおよび/またはアルミニウムのうちの1種または複数を含有してもよく、これらの金属の総量は、合金の少なくとも15質量%、例えば、クロムを10〜25質量%、アルミニウムを3〜8質量%およびニッケルを最大20質量%、有利なことに含むことができる。合金はまた、マンガン、銅、バナジウム、チタンなどの1種もしくは複数の他の金属を少量または微量含有してもよい。表面または金属担体は、高温、例えば、1000℃以上で酸化されて、基材の表面に酸化物層を形成して、合金の耐腐食性を改善する、および金属表面へのウォッシュコート層の付着を促進することができる。

基材を構築するために使用されるセラミック製材料は、任意の好適な耐熱性材料、例えば、コーディエライト、ムライト、コーディエライト−αアルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ジルコンムライト、スポジュメン、アルミナ−シリカマグネシア、チタン酸アルミニウム、ケイ酸ジルコン、シリマナイト、ケイ酸マグネシウム、ジルコン、ペタライト、αアルミナ、アルミノシリケートなどを含んでもよい。

複数の微細な平行ガス流通路であって、流体の流れに対して開口しているよう、基材の入り口から出口面に延在している平行ガス流通路を有するモノリシックなフロースルー基材などの任意の好適な基材が使用され得る。入り口から出口まで本質的に直線の経路である、上記の通路は、触媒材料がウォッシュコートとしてその上にコーティングされている壁によって画定され、その結果、この通路に沿って流れるガスは触媒材料に接触する。モノリシック基材の流通路は、台形、長方形、正方形、シヌソイド、六形、楕円形、円形などの、任意の好適な断面形状とすることができる、薄壁チャネルである。このような構造体は、1平方インチの断面あたり約60〜約1200個、またはそれより多い(cpsi)、より一般には、約300〜600cpsiのガスの入り口開口部(すなわち、「セル」)を含有し得る。フロースルー基材の壁の厚さは、様々となり得、典型的な範囲は、0.002〜0.1インチの間である。代表的な市販のフロースルー基材は、400cpsiおよび6ミルの壁の厚さ、または600cpsiおよび4ミルの壁の厚さを有する、コーディエライト基材である。しかし、本発明は、特定の基材のタイプ、材料または形状に限定されないことが理解されよう。

代替実施形態では、基材は、ウォールフロー基材であってもよく、各通路は、非多孔質プラグを有する基材本体の一方の端が閉鎖されており、通路は、交互に、反対側の端面で閉鎖されている。これは、ガスが、ウォールフロー基材の多孔質壁に沿って流れ、出口に到着するために必要である。このようなモノリシック基材は、約100〜400cpsiなどの最大約700cpsiまたはそれより大きいcpsi、および、より典型的には、約200〜約300cpsiを含むことができる。セルの断面形状は、上記の通り、様々とすることができる。ウォールフロー基材は、通常、0.002〜0.1インチの間の壁の厚さを有する。代表的な市販のウォールフロー基材は、多孔質コーディエライトから構成され、この一例は、200cpsiおよび10ミルの壁の厚さ、または8ミルの壁の厚さを有する、300cpsi、および45〜65%の間の壁多孔度を有する。チタン酸アルミニウム、炭化ケイ素および窒化ケイ素などの他のセラミック材料も、ウォールフローフィルター基材として使用される。しかし、本発明は、特定の基材のタイプ、材料または形状に限定されないことが理解されよう。基材が、ウォールフロー基材である場合、それに会合する触媒組成物(例えば、CFS組成物)は、壁の表面に配置されていることに加え、多孔質壁の細孔構造体に浸透することができる(すなわち、細孔の開口部を一部、塞いでいる)ことに留意されたい。

図1Aおよび1Bは、本明細書に記載されているウォッシュコート組成物によりコーティングされている、フロースルー基材の形態の例示的な基材2を例示している。図1Aを参照すると、例示的な基材2は、筒状形状および円筒形状の外側表面4、上流の端面6、および端面6と同一である対応する下流端面8を有している。基材2は、そこに形成されている、複数の微細な平行ガス流通路10を有する。図1B中で見られる通り、通路10は、壁12によって形成され、上流の端面6から下流の端面8まで、担体2に沿って延在しており、通路10は、流体、例えばガス流の流れが、そのガス流通路10を介して担体2の長手方向に沿って流れるのを可能にするよう、塞がれていない。図1Bにおいて一層、容易に観察される通り、壁12は、ガス流通路10が、実質的に規則的な多角形を有するような寸法にされて構成されている。示されている通り、ウォッシュコート組成物は、所望の場合、複数の個別の層で施用され得る。例示された実施形態では、ウォッシュコートは、担体部材の壁12に付着している個別の底部ウォッシュコート層14とこの底部ウォッシュコート層14の上にコーティングされている第2の個別の上部ウォッシュコート層16の両方からなる。特定の一実施形態では、第1の層(例えば、層14)は、耐熱性酸化物支持材料を含み、第2の層(例えば、層16)は、本明細書において開示されているPGMナノ粒子を含む。本発明は、1層または複数(例えば、2層、3層または4層)のウォッシュコート層を用いて実施され、図1Bに例示されている2層の実施形態に限定されない。

ウォッシュコートまたは触媒金属構成成分または組成物の他の構成成分の量を説明する際には、触媒基材の単位体積あたりの、構成成分の質量の単位を使用するのが好都合である。したがって、単位である、1立方インチあたりのグラム数(「g/in3」)および1立方フィートあたりのグラム数(「g/ft3」)は、基材の空隙空間の体積を含めた、基材の体積あたりの構成成分の質量を意味するよう、本明細書において使用される。g/Lなどの体積あたりの質量の他の単位も、時として使用される。モノリシックフロースルー基材などの、触媒基材上のDOC組成物(PGMナノ粒子および支持材料を含む)の総使用量は、通常、約0.5〜約6g/in3、およびより典型的には、約1〜約5g/in3である。支持材料(例えば、Ptナノ粒子)を含まないPGM構成成分の総使用量は、通常、約5〜約200g/ft3(例えば、約5〜約50g/ft3、および、ある特定の実施形態では、約10〜約50g/ft3または約10〜約100g/ft3)の範囲にある。単位体積あたりのこれらの質量は、通常、触媒ウォッシュコート組成物により処理する前および処理した後の触媒基材を秤量することにより算出され、この処理過程は、高温度での触媒基材の乾燥および焼成を含むので、これらの質量は、ウォッシュコートスラリーの水分の実質的にすべてが除去されるので、実質的に溶媒を含まない触媒コーティング量に相当することに留意されたい。

DOC組成物の作製方法 本開示によれば、DOC触媒組成物は、PGMナノ粒子(PGMNP)のコロイド状分散液を耐熱性酸化物支持材料と会合させることにより、一般に製造される。このようなコロイド状分散液は、一部の実施形態では、a)1種または複数の白金族金属ナノ粒子(PGMNP)の複数、b)分散媒体、c)安定化剤、およびd)還元剤を含むことができ、これは、本明細書の以下により詳細に開示される。

有利なことに、本開示により有用なコロイド状分散液中のPGMは、実質的に完全還元形態にあり、このことは、白金族金属含有率の少なくとも約90%(すなわち、ナノ粒子の嵩)が、金属形態(PGM(0))に還元されていることを意味する。一部の実施形態では、完全還元形態のPGMの量は、一層高く、例えば、PGMの少なくとも約92%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%が、完全還元形態にある。PGM(0)の量は、限外ろ過、次いで、誘導結合プラズマ/発光分光分析(ICP−OES)を使用して決定することができる。この方法では、コロイド状分散液中の還元されていないPGM種は、PGM(0)ナノ粒子から分離され得、次に、PGMNPを、ICP−OESにより定量することができる。

本明細書に開示されているコロイド状分散液中のPGMNP濃度は、既知のコロイド状分散液中のそれよりも高くなり得る。一部の実施形態では、PGMNP濃度は、コロイド状分散液の約2質量%以上である。例えば、PGMNP濃度は、コロイド状分散液の約2質量%〜約80質量%、コロイド状分散液の約2質量%〜約20質量%、コロイド状分散液の約2質量%〜約10質量%、またはコロイド状分散液の2質量%〜約5質量%とすることができる。PGMNP濃度は、ICP−OESを使用して測定することができる。

コロイド状分散液中の製造されたままのPGMNPの平均サイズは、様々となり得る。一部の実施形態では、所与のコロイド状分散液中のPGMNPは、約1nm、約2nm、約3nm、約4nmまたは約5nmの平均粒子サイズなどの約1nm〜約10nm、例えば、約1nm〜約6nmの平均粒子サイズを有することができる。ある特定の実施形態は、は、約1〜2nm、約1〜3nm、約1〜4nm、約1〜5nm、約1〜6nm、約2〜3nm、約2〜4nm、約2〜5nm、約2〜6nm、約3〜4、約3〜5nm、約3〜6nm、約4〜5nm、約4〜6nmまたは約5〜6nmの平均粒子サイズを有することができる。

有利には、本明細書に開示されているコロイド状分散液中のPGMNPは、実質的に単分散である。ある特定の実施形態では、粒子は、単分散と見なすことができ、このことは、PGMNP集団は、粒子サイズが非常に均質であることを意味する。本発明において有用なある特定の単分散粒子集団は、粒子の少なくとも95%が、粒子集団の平均粒子サイズの50パーセント以内、または20パーセント以内、または15パーセント以内、または10パーセント以内にある粒子サイズを有している、粒子からなるものと特徴付けることができる(すなわち、集団中のすべての粒子の少なくとも95%が、平均粒子サイズ周辺の所与の百分率範囲内の粒子サイズを有する)。他の実施形態では、すべての粒子の少なくとも96%、97%、98%または99%が、これらの範囲以内に収まる。例示的な一実施形態では、平均粒子サイズは約2nmであり、集団中のすべての粒子の少なくとも95%(または、すべての粒子の少なくとも96%、97%、98%、99%または100%)は、約1nm〜約3nm(すなわち、平均粒子サイズの約50パーセント内)の範囲の粒子サイズを有する。特定のPGMNP分散液は、約2nm、約3nm、約4nmおよび約5nmの平均PGMNP粒子サイズを有する、実質的に単分散の分散液を含むことができる。

PGMNPの粒子サイズおよびサイズ分布は、透過型電子顕微鏡(TEM)を使用して決定することができる。このような値は、TEM画像を目視で検査する、画像中の粒子の直径を測定する、およびTEM画像の倍率に基づいて、測定した粒子の平均粒子サイズを算出することにより分かることができる。粒子の粒子サイズとは、粒子を完全に取り囲む最小直径の球状を指し、この測定値は、2個以上の粒子の凝集とは反対に、個々の粒子に関する。上記のサイズ範囲は、サイズ分布を有する粒子に関する平均値である。

分散媒体は、以下に限定されないが、水、アルコール(ポリオールを含む)、ジメチルホルムアミド(DMF)およびそれらの組合せからなる群から選択される、少なくとも1種の極性溶媒とすることができる。アルコールは、一部の実施形態では、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソ−ブタノール、ヘキサノール、オクタノールおよびそれらの組合せからなる群から選択され得る。ポリオールは、一部の実施形態では、グリセロール、グリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブタンジオール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−ペンタジオール、1,2−ヘキサジオールおよびそれらの組合せからなる群から選択され得る。一実施形態では、分散媒体は水を含む。したがって、本明細書において開示されているある特定の分散液は、水性コロイド状分散液として記載され得る。

安定化剤は、通常、PGMナノ粒子の分散を改善するために使用される、分散媒体中での、可溶性のポリマー懸濁液の安定化剤である(例えば、分散媒体が水を含む場合、安定化剤は、通常、水溶性ポリマー懸濁液安定化剤である)。ポリマーの組成およびサイズ(例えば、質量平均分子量、Mw)は、様々となり得る。一部の実施形態では、ポリマーは、2,000〜2,000,000DaのMwを有しており、好ましくは、10,000〜60,000DaのMwを有する(ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用して測定される)。好適なポリマーには、以下に限定されないが、ポリビニルピロリドン(PVP)、第1の重合単位としてビニルピロリドンを含むコポリマー、および脂肪酸置換または無置換のポリオキシエチレンが含まれる。ポリビニルピロリドンは、ポリマー懸濁液安定化剤として、特に有用である。

第1の重合単位としてビニルピロリドンを含むコポリマーが、安定化剤として使用される場合、このコポリマーは、例えば、第2の重合単位として、アクリル酸、スチレン、酢酸ビニルまたはビニルアルコールをさらに含むことができる。このようなコポリマーは、1:99〜99:1、好ましくは20:80〜80:20の質量比の第1および第2の重合単位を含むことができる。ある特定の例示的なコポリマーは、(1−ビニルピロリドン)−アクリル酸コポリマーおよび(1−ビニルピロリドン)−ビニル酢酸コポリマーを含む。ある特定の実施形態では、(1−ビニルピロリドン)−アクリル酸コポリマーが使用される場合、1−ビニルピロリドン繰り返し単位およびアクリル酸繰り返し単位は、約99:1〜約50:50または約60:40〜約80:20(例えば、75:25)の質量比である。ある特定の実施形態では、(1−ビニルピロリドン)−ビニル酢酸コポリマーが使用される場合、1−ビニルピロリドン繰り返し単位およびビニル酢酸繰り返し単位は、約99:1〜50:50または約50:50〜約70:30(例えば、57:43)の質量比である。脂肪酸置換ポリオキシエチレンが、安定化剤として使用される場合、脂肪酸は、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸またはステアリン酸から選択することができ、ステアリン酸がより好ましい。

ポリマー懸濁液安定化剤は、一般に、分散媒体100質量部に対して、約0.1〜20質量部、好ましくは約5〜10質量部となる量で存在する。水溶性ポリマー懸濁液の安定化剤が、0.1質量部未満の量で使用される場合、安定化剤の作用を実現することは困難である。

還元剤は、PGMを金属(PGM(0))形態に還元するのに有効な任意の試薬とすることができ、有利には、分散媒体に可溶である(例えば、水溶性)。それらに限定的ではないが、ある特定の実施形態では、還元剤は、有機還元剤とすることができる。好適な還元剤は、例えば、水素、ヒドラジン、ウレア、ホルムアルデヒド、ギ酸、アスコルビン酸、クエン酸、グルコース、スクロース、キシリトール、メソ−エリスリトール、ソルビトール、グリセロール、マルチトールまたはシュウ酸である。さらに、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソ−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−プロパン−1−オール、アリルアルコールおよびジアセトンアルコールの群からの一価のアルコールなどの液体還元剤を使用することができる。ある特定の好ましい還元剤は、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソ−プロパノールおよび1−ブタノールからなる群から選択される、一級アルコールおよび二級アルコール、ならびにそれらの混合物および組合せである。さらに、好適な液体還元剤は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコールまたはジプロピレングリコールなどの二価アルコールである。他の好ましい還元剤は、ギ酸ヒドラジンおよびヒドロキシエチルヒドラジンなどのヒドラジン系の還元剤である。他の還元剤は、タンニン酸および没食子酸などの天然の植物系のポリフェノール酸である。一実施形態では、還元剤はアスコルビン酸である。還元剤は、通常、分散液中に、約1〜10質量%の量で存在する。

ある特定の実施形態では、本明細書において開示されているコロイド状PGMNP分散液は、ハロゲン化物、アルカリ金属、アルカリ土類金属および硫黄化合物を実質的に含まない。例えば、分散液は、コロイド状分散液の総質量に対して、このような構成成分のそれぞれを約10ppm未満しか含み得ない(すなわち、約10ppm未満のハロゲン化物、アルカリ金属、アルカリ土類金属および/または硫黄化合物)。特に、コロイド状分散液の総質量に対して、ハロゲン化物(例えば、塩化物、臭化物およびヨウ素)の含有率は、約10ppm未満、およびナトリウムの含有率は、約10ppm未満であることが望ましい。コロイド状分散液の総質量に対して、このような構成成分の一層低い濃度、例えば、約5ppm未満、約2ppm未満、または約1ppm未満であるのが、さらに一層望ましい。好ましい実施形態では、本明細書に開示されているコロイド状分散液の生成において使用される構成成分は、ハロゲン化物、アルカリ金属、アルカリ土類金属および/または硫黄化合物を含有せず(すなわち、これらの構成成分のいずれも、コロイド状分散液の製造中に、意図的に加えられない)、好ましくは、本明細書に開示されているコロイド状分散液の生成に使用される試薬は、有意な量のこのような構成成分を含まない(これらの構成成分は、存在している場合でも、上で言及された通り、使用される試薬中の不純物として、非常に少量でしか存在していないことがあり、例えば、コロイド状分散液の総質量に対して、そのような不純物を約10ppm未満しか含まない、コロイド状分散液をもたらす)。ハロゲン化物は、触媒組成物の毒となることが示されているので、最少量のハロゲン化物含有率であるのが有利である。

さらに、ある特定の実施形態では、本明細書において開示されているコロイド状のPGMNP分散液は、ナトリウムおよびホウ素を実質的に含まない(これらはまた、触媒の毒としてやはり機能し得る)。水素化ホウ素ナトリウムは、白金含有材料に対する一般的な還元試薬であり、有利には、本明細書において開示されているPGMNP分散液が、このような試薬(すなわち、水素化ホウ素ナトリウムおよび他の類似の還元試薬)を使用することなく、実質的に完全に還元されている形態で供給され得る。有利には、PGMNPは、温和な条件下で還元することができ、このような試薬の使用を必要としない。やはり、「実質的に含まない」とは、分散液は、一部の実施形態では、コロイド状分散液の総質量に対して、約10ppm未満のナトリウムおよび/または約10ppm未満のホウ素しか含み得ない。

本明細書において開示されているコロイド状PGMNP分散液は、好ましくは安定している。「安定な」とは、本明細書で使用する場合、コロイド状分散液が、ある期間、良好に分散状態を保っていることを意味する。ある特定の実施形態では、このような分散液は、約3カ月以上、約6カ月以上、約9カ月以上、または約12カ月以上の期間、保存安定性であると考えることができる。保存安定性は、例えば、試料を遠心分離して(例えば、Beckman Coulter Allegra(商標)X−22 Centrifuge)、得られた分散液を観察して、なんらかの沈殿が明白であるかどうかを評価することにより、模擬することができる。例えば、試料が、10分間の4000rpmの後にいかなる沈殿もなしに、良好な分散状態を保っている場合、この試料は、少なくとも6カ月の保存安定性(例えば、室温で)を有すると一般に見なされる。この高い安定性により、例えば、コロイド状分散液は貯蔵が可能となる、または製造場所から、必要な場合、施用のための異なる場所に、該材料に対してなんら負の影響を及ぼすことなく、輸送することが可能となる。本開示により提供されるコロイド状PGM前駆体は、一部の実施形態では、安定化剤および有機還元剤しか含んでおらず、したがって、好ましい実施形態では、触媒物品の製造前に前駆体に、さらなる処理を必要としない。

有用となり得る例示的なコロイド状分散液の1つは、本明細書において開示されている特定の実施形態では、a)複数のナノ粒子(例えば、Pt、Pd、それらの合金およびそれらの混合物からなる群から選択される)であって、Ptおよび/またはPdの約90%以上が完全還元形態にあり、Ptおよび/またはPd濃度が、コロイド状分散液の約2質量%〜約5質量%であり、ナノ粒子が、約1nmから最大約3nmの平均粒子サイズを有する、ナノ粒子、b)安定化剤(例えば、ポリビニルピロリドン)、およびc)還元剤(例えば、アスコルビン酸)であって、コロイド状分散液が、ハロゲン化物、アルカリ金属、アルカリ土類金属、硫黄化合物およびホウ素化合物を実質的に含まず、4,000rpmで10分間、遠心分離にかけると、白金金属ナノ粒子が、コロイド状分散液から分離されない、還元剤を含む。

一部の実施形態では、ナノ粒子は、上で開示されている分散液の形態で供給されるが、ある特定の実施形態では、ナノ粒子集団はさらに濃縮されて、水を除去することができ、濃縮分散液、および一部の実施形態では、安定化剤により分離されている、単離された金属ナノ粒子を形成する。分散液を濃縮するため、および/または固体金属ナノ粒子を得るための様々な方法が知られている(例えば、分散液から溶媒を除去することにより、および/または分散液に第2の溶媒を加えることにより)。

本開示は、本明細書の以下において、本明細書において提供される触媒を製造するのに有用となり得るPGMNP分散液を製造する方法の1つを提供するが、本開示は、それらに限定されることを意図するものではなく、一部の実施形態では、PGMNPを生成する代替手段が使用されて、触媒組成物および物品がそれから製造される。したがって、本開示により使用され得るある特定のPGMNP分散液は、a)例えば、PGMNP前駆体、少なくとも1種の水溶性ポリマー懸濁液安定化剤および溶媒を含む溶液を製造する工程と、b)この溶液をPGMの少なくとも約90%が完全に還元された金属に転化されるよう、少なくとも1種の還元剤と一緒にする工程とによって製造することができる。このような製造に有用な白金金属前駆体は、本明細書において明記されている白金族金属のいずれかの塩(すなわち、Pt、Pd、Au、Ag、Ru、Rh、Ir、Osおよびそれらの合金の塩)を含み、ハロゲン化物、アルカリ金属、アルカリ土類金属、硫黄化合物およびホウ素化合物を実質的に含まない。このような塩には、例えば、ヒドロキシル塩、硝酸塩、カルボン酸塩、アンモニウム塩および酸化物が含まれる。白金金属前駆体の具体的な例は、Pt(NH3)4(OH)2、Pd(NH3)4(OH)2、Pd(OH)2、Ir(OH)4、硝酸Rh、硝酸Pt、クエン酸Pt、硝酸Pd(II)およびクエン酸Pd(II)を含む。

PGMNP分散液の製造は、様々な条件下で行うことができる。例えば、一部の実施形態では、本方法(製造、および/または上記工程を組み合わせることを含む)は、室温/周囲温度(例えば、15〜25℃)で行われ得る。一部の実施形態では、本方法の1つまたは複数の工程は、高温で行われ得る。例えば、組合せ工程は、一緒にした溶液が、例えば、PGMの還元を促進する高温で加熱するよう、加熱工程を含むことができる。他の実施形態では、完全還元ナノ粒子を含むコロイド状分散液が製造されて、続いて加熱される。様々な実施形態では、このような高温(還元の促進、および/または還元後の加熱のため)は、周囲温度〜約200℃、周囲温度〜約125℃または周囲温度〜約100℃(例えば、約25℃〜約100℃、125℃、または200℃)などの、周囲温度よりも高くなり得る。一部の実施形態では、このような温度は、約55℃〜約125℃、または約55℃〜約200℃とすることができる。ある特定の実施形態では、100℃を超える温度、例えば、少なくとも約100℃、例えば、約100℃〜約200℃が有利となり得る。様々な実施形態において有用なある特定の好適な温度は、約90℃〜130℃(例えば、約100℃、約120℃または約125℃)である。

組合せ工程の間に溶液が反応する(および、任意に加熱される)時間は、様々となり得、PGMのかなりの部分(例えば、少なくとも約90%)を完全に還元された金属(PGM(0))に転化するのに十分な任意の時間とすることができる。例えば、一部の実施形態では、PGMは、少なくとも約30分間、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約6時間または少なくとも約12時間の期間にわたり完全に還元される。ある特定の実施形態では、溶液は、約30分間〜約24時間、例えば、約1時間〜約18時間の期間にわたり反応される。試薬(白金金属前駆体および還元剤を含む)の反応性が、反応速度に影響を及ぼし得ることに留意されたい。時間および温度は、所与の反応に間接的に関係することがある、すなわち、高温で反応を行うことは、所望の還元を得るために必要な時間量を短縮することができることにやはり留意されたい。したがって、所与の反応の場合、温度の向上は、開示されている方法に必要な時間量を低減することがあり、温度の低下は、開示されている方法に必要な時間量を増加させることがあることを理解すべきである。

ある特定の実施形態では、PGMNP分散液の製造のために開示されている方法は、水熱加工工程をさらに含むことができる。例えば、ある特定の実施形態では、反応混合物(PGMは、様々な酸化状態、例えば、前駆体形態、実質的に還元されている形態、または間の任意の段階)に、オートクレーブ中で、加熱(水熱加工を含む)を施すことができる。特定の一実施形態では、このような混合物は、オートクレーブ中、約5時間を含めた、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約3時間、例えば、約1〜約10時間などの特定の時間、約125℃を含めた、少なくとも約100℃、例えば、約100℃〜約200℃などの周囲温度超の高温に加熱され得る。

得られたコロイド状のPGMNP分散液は、一部の実施形態では、比較的高い収率で白金族金属ナノ粒子を含むことを特徴とすることができる。例えば、様々な実施形態では、本方法は、白金族金属ナノ粒子を含む分散液にすることができ、該白金族金属の90%以上が、完全還元形態にあり、ナノ粒子の総合的な収率%は、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%または少なくとも約98%である。一部の実施形態では、本方法は、定量的収率またはほぼ定量的収率で、所望の生成物を与える。

製造される通り、コロイド状分散液は、様々な濃度、例えば、約1質量%〜約10質量%、例えば、約2質量%〜約6質量%、約2質量%〜約5質量%または約4質量%〜約6質量%のナノ粒子を有することができ、さらなる加工(例えば、濃縮工程)を伴わない。コロイド状分散液は、そのまま使用することができるか、または適切な溶媒により希釈し、より低いPGM濃度(例えば、約0.05質量%、0.5質量%、1.5質量%などの、約0.05質量%〜約2質量%の濃度まで)にすることができる。他の実施形態では、コロイド状分散液は、濃縮することができる(例えば、そこから溶媒を除去することによる)。分散液を濃縮する方法は、一般に、公知であり、一部の実施形態では、元々得られたものよりもかなり高い濃度(例えば、約2質量%超、約3質量%超、約4質量%超、約5質量%超または約6質量%超)を、この方法で得ることができる。例えば、濃縮は、約5質量%〜約80質量%、例えば約5質量%〜約50質量%の濃度を有する分散液を得ることができる。したがって、濃度の様々な範囲、例えば、約2質量%〜約80質量%、約2質量%〜約25質量%および約2質量%〜約10質量%を含めて、約0.05質量%〜約50質量%、約0.05質量%〜約25質量%または約0.05〜約15質量%を達成することができる。

ある特定の実施形態では、コロイド状分散液は、そこから単離されたPGMNPを得るよう処理することができる。単離されたナノ粒子を得るために、本明細書において開示されている方法は、一部の実施形態では、分散液を加熱すること、または他には、そこから溶媒の少なくともかなりの部分を除去するのを確実とするために分散液を処理することをさらに含むことができる。

本開示によるDOC組成物の製造は、本明細書の上に開示されているものなどのPGMNPコロイド分散液を耐熱性酸化物支持材料と会合させることを通常、含む。この会合は、様々な方法で達成することができる。一部の実施形態では、これらの材料を一緒にして、次に、基材に施用してDOC組成物を形成し、他の実施形態では、これらの材料は、基材に個別に施用して、DOC組成物を形成する。

DOC組成物が独立して製造される(基材にコーティングする前)実施形態では、構成成分は、様々な方法で一緒にされ得る。例えば、ある特定のこのような実施形態では、耐熱性金属酸化物スラリー懸濁液を製造し(例えば、水中)、所望の粒子サイズに任意にミル粉砕して、PGMNPコロイド分散液をスラリー懸濁液と一緒にして、DOC組成物を形成する。代替として、耐熱性金属酸化物材料を直接、PGMNPコロイド分散液に加えることができ、得られた混合物を所望の粒子サイズに任意にミル粉砕して、DOC組成物を形成することができる。

従来のPGM前駆体が、触媒組成物の製造に使用される場合、最初のPGM粒子サイズが、一般に、それと会合している耐熱性金属酸化物材料の量によって影響を受けることに留意されたい。ある量のPGM使用量では、耐熱性金属酸化物材料の量がより多いと、一般に、より小さな平均PGM粒子サイズがもたらされる。反対に、耐熱性金属酸化物材料の量がより少ないと、一般に、より大きな平均PGM粒子サイズがもたらされ、バイモーダルPGM粒子サイズ分布をもたらすことができる。理論によって限定されることを意図するものではないが、PGMは、より多量の支持材料上に、より微細に分散する傾向があると考えられている。このような従来のPGM前駆体を使用すると、PGMと耐熱性金属酸化物材料との比を変えると、最初のPGM酸化状態(および、したがって、PGMの活性)に、やはり影響を及ぼし得る。対照的に、本明細書に記載されているコロイド状のPGM前駆体が使用される場合、最初のPGM粒子サイズおよびPGM酸化状態は、金属酸化物材料の使用量に依存しない。このような材料中のPGM粒子は、本明細書において開示されている方法により、耐熱性金属酸化物と一緒にする前に、一般に、予め形成されて予め還元され、したがってPGM粒子サイズまたはPGM活性にほとんどまたはまったく影響を及ぼすことなく、様々な量の耐熱性金属酸化物と容易に一緒にすることができる。

基材のコーティング法 上で言及される通り、DOC組成物は、一部の実施形態では、独立して製造されて、基材上にコーティングされる。DOC組成物は、水と混合して(乾燥形態にある場合)、触媒基材をコーティングするためのスラリーを形成することができる。スラリーは、触媒粒子に加え、結合剤、炭化水素(HC)貯蔵構成成分(例えば、ゼオライト)、会合性増粘剤、および/または界面活性剤(陰イオン性、陽イオン性、非イオン性または両性界面活性剤を含む)を任意に含有することができる。一部の実施形態では、スラリーのpHは、例えば、約3〜約5の酸性pHに調節することができる。

任意に、上記の通り、スラリーは、炭化水素(HC)を吸着するための、1種または複数の炭化水素(HC)貯蔵構成成分を含有してもよい。任意の公知の炭化水素貯蔵材料、例えば、ゼオライトまたはゼオライト様材料などの、マイクロ多孔質材料を使用することができる。ゼオライトまたは他のHC貯蔵構成成分は、存在する場合、通常、約0.05g/in3〜約1g/in3の量で使用される。結合剤は、存在する場合、約0.02g/in3〜約0.5g/in3の量で使用される。アルミナ結合剤は、アルミナ材料、例えば、ベーマイト、ガンマ−アルミナ、またはデルタ/シータアルミナ、またはジルコニアもしくはシリカゾルなどの非アルミナ材料とすることができる。

スラリーは、均質のスラリーの粒子の混合および形成を増強するために、ミル粉砕することができる。このミル粉砕は、ボールミル、連続ミル、または他の類似の機器で行うことができ、スラリーの固体含有率は、例えば、約20〜60質量%、より詳細には約30〜40質量%とすることができる。一実施形態では、ミル粉砕後のスラリーは、約10〜約50ミクロン(例えば、約10〜約20ミクロン)のD90粒子サイズであることを特徴とする。D90は、粒子の約90%が、より微細な粒子サイズを有する粒子サイズとして定義される。

次に、スラリーは、当分野において公知のウォッシュコート技法を使用して、触媒基材上にコーティングされる。本明細書で使用する場合、用語「ウォッシュコート」は、処理されるガス流がそれを通過するのを可能にする程、十分に多孔質である、ハニカムフロースルーモノリス基材またはフィルター基材などの基材に施用される、材料の薄い接着性コーティングという、当分野においてその通常の意味を有する。本明細書で使用する場合、ならびにHeck、RonaldおよびRobert Farrauto、「Catalytic Air Pollution Control」、New York:Wiley−Interscience、2002年、18〜19頁に記載されている通り、ウォッシュコート層は、モノリシック基材の表面上またはウォッシュコート層上に、組成的に異なる材料の層を含む。基材は、1層または複数のウォッシュコート層を含有することができ、ウォッシュコート層はそれぞれ、固有の化学触媒機能を有することができる。

一実施形態では、基材は、スラリー中で1回または複数回、浸漬されるか、そうでない場合、スラリーによりコーティングされる。その後、コーティングされた基材は、ある時間(例えば、1〜3時間)、高温(例えば、100〜150℃)で乾燥され、次に、通常、約10分間〜約3時間、例えば、400〜600℃で加熱することにより焼成される。乾燥および焼成後、最終ウォッシュコートのコーティング層は、実質的に溶媒不含として見なすことができる。

焼成後、触媒使用量は、基材のコーティング質量および非コーティング質量の差異を算出することにより決定することができる。当業者に明白である通り、触媒使用量は、スラリーまたはPGMNP分散液のレオロジーを改変することにより変更することができる。さらに、コーティング/乾燥/焼成過程は、所望の使用量レベルまたは厚さまでコーティングを構築するために、必要に応じて繰り返すことができる。

他の実施形態では、DOC組成物の構成成分は、基材上に個別にコーティングされる(および、したがって、このような実施形態では、「DOC組成物」は、基材が、2種の構成成分、すなわちPGMNPコロイド分散液および耐熱性金属酸化物支持体によりコーティングされるまで、製造されない)。例えば、一部の実施形態では、ポストディップ(post−dip)法が使用され、この場合、基材は、微粒子形態にある耐熱性酸化物材料に水を加え、得られたスラリーをウォッシュコートとして基材に施用することにより、耐熱性酸化物材料によって、まずコーティングされる。DOC組成物スラリーに関する上の議論は、この実施形態における耐熱性酸化物材料スラリーの文脈に関連する。したがって、追加の構成成分のタイプ、ミル粉砕、および耐熱性酸化物材料スラリーを施用する方法は、DOC組成物スラリーに関して上で言及されたものと同じである。

基材上に耐熱性金属酸化物スラリーをコーティングした後、コーティングされた基材は、一部の実施形態では、乾燥して焼成され得る。焼成後、PGMNPコロイド分散液は、焼成済み耐熱性金属酸化物層の上にコーティングすることができる。PGMNPコロイド分散液が、一般に、直接使用されるが(すなわち、例えば、a)複数のPGMナノ粒子であって、PGM(例えば、Ptおよび/またはPd)の約90%以上が完全還元形態にあり、PGM濃度が、コロイド状分散液の約2質量%〜約5質量%であり、ナノ粒子が、約1nmから最大約3nmの平均粒子サイズを有する、ナノ粒子、b)安定化剤(例えば、ポリビニルピロリドン)およびc)還元剤(例えば、アスコルビン酸)であって、コロイド状分散液が、ハロゲン化物、アルカリ金属、アルカリ土類金属、硫黄化合物およびホウ素化合物を実質的に含まない、還元剤を含む、本明細書において提供されている形態で)、一部の実施形態では、コーティング済み支持体上に分散液をコーティングする前に、一般に本明細書に記載されている他の構成成分をそれに加えることができる。

PGMNP分散液は、耐熱性金属酸化物およびPGMNPを含むスラリーに関して、上で記載したものと同様の方法で、コーティング済み支持体にコーティングすることができる。例えば、PGMNP分散液は、例えば、コーティングされている基材を1回または複数回、分散液中に浸漬することにより、またはそうでない場合、分散液を用いて基材をコーティングすることによる、ウォッシュコート技法を使用して触媒基材上にコーティングすることができる。上で開示されている通り、コーティングされた基材(耐熱性金属酸化物およびPGMNPを含む)は、ある時間(例えば、1〜3時間)、高温(例えば、100〜150℃)で乾燥され、次に、通常、約10分間〜約3時間(例えば、400〜600℃で)、加熱することにより焼成される。乾燥および焼成後、最終ウォッシュコートのコーティング層は、実質的に溶媒不含として見なすことができる。

有利には、基材と会合しているPGMNPの少なくとも一部は、焼成後、同一の形態のままである(例えば、実質的に同じ平均粒子サイズを有する)。このような粒子サイズは、一部の実施形態では、エージングによりかなり影響を受けることがあることに留意されたい。本明細書において開示されているDOC組成物を含む触媒物品がエージングされる場合(例えば、550℃で50時間)、粒子(ナノ粒子)は、依然として観察され得る。しかし、エージングされていない試料の場合ほど、分離した粒子はほとんどないことが留意され得(例えば、粒子の凝集のため)、一部の実施形態では、より大きな粒子サイズ(例えば、約5〜約20nmの平均粒子サイズ)を有する粒子が観察される。

特に、本明細書において開示されているPGMナノ粒子含有触媒組成物は、ナノ粒子形態で提供されない他の比較材料よりも、温和なエージング条件(例えば、550℃で50時間、または600℃で20時間、1L/分のガス流で、空気中の10%流中)下で、それほど焼結されない。したがって、ある特定の実施形態では、PGMナノ粒子含有触媒組成物から製造されるエージングされた材料は、約1〜10nmの直径を有する粒子を少なくとも約25%、または約1〜10nmの直径を有する粒子を少なくとも約50%、依然として含むことができる。有利には、ある特定の実施形態では、PGM粒子の少なくとも約50%は、温和なエージング後に、約1〜20nmの直径を有しており、例えば、PGM粒子の少なくとも約75%は、温和なエージング後に、約1〜20nmの直径を有する。一部の実施形態では、PGM粒子の少なくとも約50%は、温和なエージング後に、約1〜50nmの直径を有しており、例えば、PGM粒子の少なくとも約75%は、温和なエージング後に、約1〜50nmの直径を有する。ある特定の実施形態では、温和なエージング後に、PGM粒子の約50%未満が、約50nm超の直径を有しており、PGM粒子の約25%未満が、約50nm超の直径を有しているか、またはPGM粒子の約10%未満が、約50nm超の直径を有している。本明細書において開示されているPGMNP触媒コーティング基材は、様々な数の層を含むことができる。PGMNPが、基材上に施用される前に、耐熱性金属酸化物と一緒にされる実施形態では、触媒コーティングされた基材は、例えば、1層、2層、3層もしくは4層、またはそれ超の層を含むことができる。PGMNPおよび耐熱性金属酸化物が個別の層中に存在する実施形態では、PGMNP触媒コーティングされている基材は、少なくとも2層を含んでいなければならず、2層超で供給される場合、これらの層は、PGMNP含有層と耐熱性金属酸化物含有層との間で交互にすることができる。一部の実施形態では、異なる組成を有する1層または複数の層は、本明細書において開示されている、1層または複数の層(例えば、PGMNPを含む層)と共に含まれる。

上記の通り、本発明のDOC組成物を含む触媒物品は、NO転化活性が増強されていることを示す。したがって、本発明の1つまたは複数の実施形態は、同一の白金族金属(例えば、Pt(NH3)4(OH)2)を含む従来の白金族金属溶液を使用して製造される焼成済みDOC組成物を含む比較触媒物品により示されるものよりも、NOのNO2への転化が少なくとも約2%、少なくとも約3%、または少なくとも約5%高いことにより特徴付けられる、本明細書において開示されている焼成済みDOC組成物(この場合、耐熱性金属酸化物およびPGMNPは、混合されるか、層形成される)を含む、触媒物品を提供する。一部の実施形態では、開示されているナノ粒子含有DOC組成物を含む触媒物品は、ある温度範囲内で、特に良好なNO酸化、例えば、約200〜250℃の温度範囲内で、同一の白金族金属(例えば、Pt(NH3)4(OH)2)を含む従来の白金族金属溶液を使用して製造される焼成済みDOC組成物を含む比較触媒物品により示されるものよりも、例えば、NOのNO2への転化が少なくとも約5%または少なくとも約10%高いことを示すことができる。本開示による例示的なディーゼル酸化触媒物品は、実施例7B、8B、9Bおよび10Bとして本明細書において示されており、比較ディーゼル酸化触媒は、それぞれ、実施例7A、8A、9Aおよび10Aとして本明細書に示されている。

排出物処理システム 本発明はまた、本明細書に記載されているDOC組成物または物品を組み込んだ排出物処理システムを提供する。本発明のDOC組成物は、ディーゼル排気ガス排出物の処理のための1種または複数の追加の構成成分を含む、一体型排出物処理システムで、通常、使用される。したがって、用語「排気流」、「エンジン排気流」、「排気ガス流」などは、エンジン放出、および本明細書に記載されている1種または複数の他の触媒システム構成成分の下流での放出を指す。

例えば、本排出物処理システムは、触媒添加煤フィルター(CSF)構成成分および/または選択的触媒還元(SCR)触媒物品をさらに含んでもよい。このような任意の追加の構成成分は、本発明のディーゼル酸化触媒の下流に、通常、配置されているが、排出物処理システムの様々な構成成分の相対的な配置を変えることができる。「下流」とは、先にある構成成分よりもエンジンからさらに離れた経路における、排気ガス流中の構成成分の位置を指す。例えば、ディーゼル微粒子捕集フィルターが、ディーゼル酸化触媒の下流にあると称される場合、エンジンから放出される排出管中の排気ガスは、ディーゼル酸化触媒を通過して流れた後に、ディーゼル微粒子捕集フィルターを通過して流れる。したがって、「上流」は、別の構成成分に比べて、エンジンにより近くに配置されている構成成分を指す。処理システムは、アンモニア酸化材料、追加の微粒子ろ過構成成分、NOx貯蔵体および/または捕捉構成成分、ならびに還元剤注入器などのさらなる構成成分を含むことができる。上述の構成成分の列挙したものは、単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定するものとしてとらえられるべきではない。

CSFは、捕捉した煤を燃焼させるため、および/または排気ガス流の排出物を酸化するための、1種または複数の触媒を含有する、ウォッシュコート層によりコーティングされている基材を含んでもよい。一般に、煤燃焼用触媒は、煤を燃焼することが知られている任意の触媒とすることができる。受動的煤再生の場合、煤燃焼用触媒は、NOのNO2への酸化を促進する、1つまたは複数の白金金属触媒(例えば、白金、パラジウムおよび/またはロジウム)を含む酸化触媒とすることができる。別の実施形態では、CSFは、本発明のDOCの製造について記載されている方法のいずれかによって組み合わされた、耐熱性金属酸化物およびPGMNPを含み、当分野において公知の任意のコーティング法を使用して、フィルター基材に施用することができる。

例示的な排出物処理システムの1つが、図2に例示されており、排出物処理システム32の模式図を図示している。示されている通り、ガス状汚染物質および粒子状物質を含有する排気ガス流は、エンジン34から、排気パイプ36を介して本発明のウォッシュコート組成物によりコーティングされている、ディーゼル酸化触媒(DOC)38まで運ばれる。DOC38では、未燃焼ガス状炭化水素および非揮発性炭化水素(すなわち、SOF)および一酸化炭素は、ほとんどが燃焼されて、二酸化炭素および水が形成する。さらに、NOx構成成分のうちのNOの一部は、DOC中でNO2に酸化され得る。排気流は、次に、排気パイプ40を介して、触媒添加煤フィルター(CSF)42に運搬され、このフィルターは、排気ガス流内に存在する粒子状物質を捕捉する。CSF42は、本発明のPGMNP含有ウォッシュコートにより、受動的または能動的煤再生に対して、任意に触媒される。CSF42を介して粒子状物質を除去した後、排気ガス流は、さらなる処理および/またはNOxの転化のために、排気パイプ44を介して、下流の選択的触媒還元(SCR)構成成分16に運搬される。最後に、排気物は、過剰のアンモニアを除去するため、選択的なアンモニア酸化触媒(これは、本発明のPGMNP含有ウォッシュコート組成物により任意に触媒される)に運搬され得る。この選択的アンモニア酸化触媒は、SCRモノリスの後部、または代替として、個別のモノリスに組み込まれ得る。

本発明の態様は、以下の実施例によってより完全に例示され、これらの実施例は、本発明のある特定の態様を例示するために示されており、それを限定するものと解釈されるべきではない。

2〜5質量%のPGM含有率を有する塩化物イオンおよびナトリウムを含まないコロイド状PGMナノ粒子の合成。

以下の分散液をそれぞれ、下記の通り製造し、TEMによって分析した。分析に関すると、TEM試料は、コロイド状PtをDI水により最初に希釈して、薄茶色溶液にすることにより製造した。この溶液の液滴を、ホーリーカーボン(holey−carbon)によりコーティングされているCuグリットに施用し、60℃で乾燥した。LaB6フィラメントを装備したJEOL200kV TEMを使用して、2K×2K CCDカメラによりデジタル画像を収集した。

安定化剤としてポリビニルピロリドン(PVP)および還元剤としてアスコルビン酸を使用する、塩化物イオンおよびナトリウム不含コロイド状Ptナノ粒子の合成

2%Ptコロイド状溶液100gを合成する方法では、PVP溶液(0.02M)40g、ならびにPtのアミン含有配位錯体(12.61質量%のPt)およびH2O13.39gを含む溶液15.86gを約30分間、混合し、次に、この混合物に、アスコルビン酸溶液(1M)30.75gを撹拌しながら加え、約25分間、混合する。得られた混合物を、テフロン内張りオートクレーブに移送し、重力対流式オーブン中、100℃で12時間、撹拌することなく加熱する。この時間の後、反応器を室温まで冷却し、生成物を反応器から取り出す。得られたPtナノ粒子分散液は、完全に還元されたPtが82%の収率で、狭いPtサイズ分布(1〜3nm)を示した。得られたコロイド状ナノ粒子分散液を10分間、4000rpmで遠心分離にかけ、この後、沈殿は観察されず、したがって、このコロイド状Ptナノ粒子分散液は、6カ月を超えて、沈殿なく、保存安定性である(貯蔵することができる)ことを示している。この実施例1に従って製造した、安定化剤としてPVPおよび反応剤としてアスコルビン酸を使用して製造したPtナノ粒子のTEM画像に関して、図3を参照されたい。

安定化剤としてポリビニルピロリドン(PVP)および還元剤としてアスコルビン酸を使用する、塩化物イオンおよびナトリウム不含コロイド状Ptナノ粒子の合成

PVP溶液(0.02M溶液を5g)、Ptアミン溶液(12.61質量%のPt)3.97gおよびH2O69.95gを約30分間、混合し、次に、この混合物に、アスコルビン酸溶液(1M)7.69gを撹拌しながら加え、約25分間、混合する。得られた混合物を、テフロン内張りオートクレーブに移送し、重力対流式オーブン中、85℃で12時間、撹拌することなく加熱する。この時間の後、反応器を室温まで冷却し、次に、生成物を反応器から取り出す。安定なコロイド状の0.5%Ptナノ粒子分散液が、1〜3nmの狭い粒子サイズ分布で得られる。

安定化剤としてPVPおよび還元剤としグルコースを使用する、塩化物イオンおよびナトリウム不含コロイド状Ptナノ粒子の合成(PVP/Pt(w/w)=4/1およびグルコース/Pt(モル/モル)=3/1)。

PVP溶液(0.02M PVP溶液を40g)、Ptアミン溶液(12.61質量%のPt)15.86gおよびH2O13.39gを約30分間、混合し、次に、上記の混合物に、グルコース溶液30.75gを撹拌しながら加え、約25分間、混合する。得られた混合物を、テフロン内張りオートクレーブに移送し、重力対流式オーブン中、125℃で12時間、撹拌することなく加熱する。この時間の後、反応器を室温まで冷却し、次に、生成物を反応器から取り出す。安定なコロイド状Ptナノ粒子が、1〜3nmの狭い粒子サイズ分布で得られる。この実施例3に従って製造した、安定化剤としてPVPおよび還元剤としてグルコースを使用して製造したPtナノ粒子のTEM画像を提示している図4を参照されたい。

安定化剤としてPVPおよび還元剤としてエチレングリコールを使用する、約5nm単分散Ptナノ粒子の合成

2%Ptのコロイド状Ptナノ粒子分散液100gを合成する方法では、PVP溶液(0.02M PVP溶液20g)20.00g、およびPtアミン溶液(12.61質量%のPt)12.03gおよびH2O42.97gを約30分間、混合し、次に、上記の混合物に、エチレングリコール25.00gを撹拌しながら加え、約25分間、混合する。続いて、得られた混合物を、テフロン内張りされているスタティックオートクレーブ(static autoclave)に移送し、重力対流式オーブン中、125℃で約5時間、加熱する。この時間の後、オートクレーブを室温まで冷却し、生成物をオートクレーブから取り出す。約5nmの単分散Ptナノ粒子が得られる。Ptナノ粒子の収率は、99%と高くなり得る。この実施例4に従って製造した、安定化剤としてPVPおよび還元剤としてエチレングリコールを使用して製造した単分散Ptナノ粒子のTEM画像を提示している図5を参照されたい。

実施例5A:比較例 400個のセル密度を有するコーディエライト基材を、酸性(p=4.5)の1.5%のSiO2−Al2O3支持材料のスラリーによりコーティングして、1.0g/in3のウォッシュコート使用量を実現した。110℃/2時間で乾燥し、450℃/1時間で焼成した後、コーティングされている基材を必要なPt量およびコーティングされている基材が吸収する水の量に基づいて算出した所定の濃度を有するPt(NH3)4(OH)2溶液に浸漬した。過剰の液体をコーティングされている基材から吹いて除去し、湿潤試料をホットエアガンを用いて迅速に乾燥し、次に、空気中、450℃で1時間、焼成した。最終的なPt使用量は、20g/ft3であった。得られた材料は、図6Aに示されている通り、0〜1nmのPt粒子が大多数であること、および粒子サイズのバイモーダル分布であることを示している。

実施例5B:本発明 実施例5Aと同様に、1.0g/in3のSi−Al2O3材料でコーティングした基材を製造した。コーティング済み試料を、実施例1のコロイド状Ptナノ粒子分散液に浸漬した。過剰の液体をコーティングされている基材から吹いて除去し、湿潤試料をホットガンを用いて迅速に乾燥し、次に、空気中、450℃で1時間、焼成した。最終的なPt使用量は、20g/ft3であった。図6B中に示されている通り、得られた材料は、1〜3nmのPt粒子を含む。

試験: 実施例5Aおよび5Bの比較材料および本発明の材料を、100℃〜500℃までのNOライトオフ試験前に、NOライトオフガス混合物中(NO500ppm;CO100ppm;C3H610ppm;10%O2、7%H2O;5%CO2;SV 50K/時)、500℃で1時間、処理した。図7に示される通り、実施例5Bのコーティング済み基材は、実施例5Aのコーティング済み基材よりも、NOのNO2への転化率がかなり高いことを示した。次に、どちらのコーティング済み基材にも、空気中、10%流で、550℃/50時間、水熱エージングを施し、上のように試験した。図8に示されている通り、水熱エージング後、実施例5Aのコーティング済み基材(非コロイド状のPt錯体溶液を使用して製造)は、非常に大きなPt粒子(例えば、粒子サイズは最大約100nm、図8A)であることを示している一方、実施例5Bのコーティング済み基材(コロイド状Ptナノ粒子分散液を使用して製造)は、大きな粒子はより少ないことを示した。しかし、図8Bの、最大約80nmまでの粒子サイズを有する粒子が依然として観察された。実施例5Aおよび5Bの比較材料および本発明の材料のどちらも、エージング時にかなり焼結する。実施例5Bの本発明の材料は、全体的に、それほど焼結していないことを示している。

図9に示されている通り、このコーティング済み基材を用いて達成されたNOのNO2への転化率は、実施例5Aの比較コーティング済み基材により達成された転化率よりも高いので、水熱エージングの後でさえも、実施例5Bのコーティング済み基材により示された利点は残っている。

実施例6A:比較例 ドープした1.5%のSiO2−Al2O3材料を希釈Ptアミン錯体溶液にインシピエントウエットネス(incipient wetness)含浸し、得られた材料を脱イオン(DI)水に加えて、スラリー懸濁液を形成した。スラリー懸濁液のpHを希HNO3によって4〜5に調節した。このスラリーをD90=12〜15μmまでミル粉砕し、1.5%のSiO2−Al2O3材料の2.5質量%の使用量で、アルミナ結合剤材料を加えた。次に、このスラリーを400/4ハニカム基材に、30〜45%の固体含有率でコーティングした。乾燥後、触媒コーティング基材を、空気中、450℃で1時間、焼成した。得られたウォッシュコート使用量は、1.037g/in3であり、Pt使用量は、20g/ft3であった。

実施例6B:本発明 ドープした1.5%のSiO2−Al2O3材料をDI水に加えて、スラリー懸濁液を形成させて、スラリー懸濁液のpHを希HNO3により4〜5に調節した。このスラリーをD90=12〜15μmまでミル粉砕し、実施例6Aと同じPt使用量、次いで、1.5%SiO2−Al2O3材料が2.5質量%となる使用量のアルミナ結合剤材料を生じるよう、ミル粉砕したスラリーに実施例1のコロイド状Pt溶液の量を加えた。次に、このスラリーを400/4ハニカム基材上にコーティングし、実施例8Aに記載されている通り、焼成した。代替として、任意のミル粉砕前に、ドープした1.5%SiO2−Al2O3支持材料をコロイド状Ptの希釈溶液に直接、加えることができた。この改変は、高いPt使用量において、およびコロイド状前駆体中のPt濃度が低い場合、特に有用である。

試験: 実施例6Aおよび6Bのコーティング済みハニカム基材は、550℃で100時間、連続的にディーゼルエンジンでエージングし、Euro6のキャリブレーションを行ったエンジンのエンジンアウト条件(模倣世界統一試験サイクル(WHTC)の平均温度、225℃)を模倣した、過渡ディーゼルラボリアクター(transient diesel lab reactor)で評価した。実施例6Aおよび6Bのコーティング済み基材を用いて達成されたNOのNO2転化率、図10に比較している。実施例6Bのコーティング済み基材(コロイド状Pt分散液を使用して製造)は、実施例6Aのコーティング済み基材(非コロイド状Pt錯体溶液を使用して製造)よりも7%高いNO転化率を示す。

実施例7A:比較例 ドープした14%のSiO2−TiO2材料を希釈Ptアミン錯体溶液にインシピエントウエットネス含浸し、次に、DI水に加えて、スラリー懸濁液を形成した。スラリー懸濁液のpHを、希HNO3によって4〜5に調節した。このスラリーをD90=12〜15μmになるまでミル粉砕し、14%のSiO2TiO2材料が2.5質量%の使用量となるシリカ結合剤材料を加えた。次に、このスラリーを400/4ハニカム基材に、25〜30%の固体含有率でコーティングした。乾燥後、触媒コーティング基材を、空気中、450℃で1時間、焼成した。得られたウォッシュコート使用量は、0.774g/in3であり、Pt使用量は、10g/ft3であった。

実施例7B:本発明 実施例1の希釈コロイド状Pt溶液(所望のPt使用量を達成するよう希釈した)に、ドープした14%のSiO2−TiO2材料を加えて、スラリー懸濁液を形成させて、このスラリー懸濁液のpHを希HNO3により4〜5に調節した。このスラリーをD90=12〜15μmまでミル粉砕し、14%のSiO2−TiO2材料が2.5質量%となる使用量で、シリカ結合剤材料を加えた。次に、このスラリーを400/4ハニカム基材上に25〜29%の固体含有率でコーティングし、実施例7Aに記載されている通り、焼成した。得られたウォッシュコート使用量は、0.774g/in3であり、Pt使用量は、10g/ft3であった。

試験: 実施例7Aおよび7Bのコーティング済み基材を、550℃で100時間、連続的にディーゼルエンジンでエージングし、実施例5Aおよび5Bと同じ試験条件下で、NOライトオフについて評価した。図11に示されている通り、実施例7Bのコーティング済み基材(コロイド状Pt分散液を使用して製造)は、実施例7A(非コロイド状Pt錯体溶液を使用して製造)よりもかなり多量にNO2を生成することを示した。

実施例8A:比較例 ドープした1.5%のSiO2−Al2O3材料を希釈Ptアミン錯体溶液にインシピエントウエットネス含浸し、得られた材料をDI水に加えて、スラリー懸濁液を形成した。スラリー懸濁液のpHは、希HNO3によって4〜5に調節した。スラリーをミル粉砕して、D90=4〜5μmにし、次に、200/12コーディエライトフィルター基材上に15〜20%の固体含有率でコーティングした。暖かい空気を用いて迅速に乾燥した後、触媒コーティング基材を、空気中、450℃で1時間、焼成した。得られたウォッシュコート使用量は、0.15g/in3であり、Pt使用量は、5g/ft3であった。

実施例8B:本発明 ドープした1.5%のSiO2−Al2O3材料をDI水に加えて、スラリー懸濁液を形成し、スラリー懸濁液のpHを希HNO3により4〜5に調節した。このスラリーをミル粉砕して、D90=4〜5μmにし、実施例1のコロイド状Pt分散液を加え(所望のPt使用量に基づいて決定した量で)、次に、このスラリーを200/12コーディエライトフィルター基材上にコーティングし、このコーティング済み基材を実施例8Aに記載されている通り焼成した。得られたウォッシュコート使用量は、0.15g/in3であり、Pt使用量は、5g/ft3であった。

試験: 実施例8Aおよび8Bのコーティング済み基材は、10%流を含有する空気中、550℃で50時間、連続的にエージングし、実施例6Aおよび6Bについて記載されている世界統一試験サイクル(WHTC)により、ディーゼル車両シミュレータで評価した。実施例8Aおよび8Bの触媒コーティング基材のNOのNO2への転化率が、図12に比較されており、この図は、実施例8Bの触媒コーティング基材(コロイド状Pt分散液を使用して製造)を使用して達成されたNO転化率は、実施例8Aの触媒コーティング基材(非コロイド状Pt錯体溶液を使用して製造)を使用して達成されたものよりも3%高いことを示している。

開示された本明細書における本発明は、具体的な実施形態およびその用途により記載されているが、それらに対して、様々な修正および改変が、特許請求の範囲において示されている本発明の範囲から逸脱することなく、当業者により行われ得る。さらに、本発明の様々な態様は、本明細書に具体的に記載されているもの以外の用途に使用することができる。

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