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細胞を樹状細胞または抗原提示細胞にリプログラムするための組成物、その方法および使用

阅读:924发布:2020-05-11

专利汇可以提供細胞を樹状細胞または抗原提示細胞にリプログラムするための組成物、その方法および使用专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且本開示は、樹状細胞または 抗原 提示細胞への、分化または未分化細胞の誘導またはリプログラミングを可能にする転写因子の新規な使用および組み合わせの、本明細書に記載された驚くべき効果に一部基づく、樹状細胞状態または抗原提示細胞状態への細胞誘導または細胞をリプログラミングするための組成物、核酸構築物、方法およびそれらのキットに関する。そのような組成物、核酸構築物、方法およびキットは、インビトロ、エクスビボ、またはインビボで樹状細胞を誘導するために用いることができ、これらの誘導樹状細胞または抗原提示細胞は、免疫療法の適用に用いることができる。 【選択図】なし,下面是細胞を樹状細胞または抗原提示細胞にリプログラムするための組成物、その方法および使用专利的具体信息内容。

樹状細胞または抗原提示細胞への、幹細胞もしくは分化細胞、またはそれらの混合物からなるリストから選択される細胞のリプログラミングまたは誘導因子として、 BATF3(配列番号配列番号1、配列番号配列番号2)、IRF8(配列番号配列番号5、配列番号配列番号6)、PU.1(配列番号配列番号7、配列番号配列番号8)、TCF4(配列番号配列番号13、配列番号配列番号14)、およびそれらの混合物からなるリストから選択される配列と少なくとも90%同一の配列によりコードされた、 少なくとも2種の単離された転写因子の組み合わせを含む組成物。BATF3(配列番号1または配列番号2)、IRF8(配列番号5、配列番号6)、PU.1(配列番号7、配列番号8)、TCF4(配列番号13、配列番号14)、およびそれらの混合物からなるリストから選択される配列と少なくとも95%同一である配列によりコードされた、 少なくとも2種の単離された転写因子の組み合わせを含む、先行請求項に記載の組成物。前記単離された転写因子の組み合わせが、 BATF3(配列番号1、配列番号2)、IRF8(配列番号5、配列番号6)およびPU.1(配列番号7、配列番号8); またはTCF4(配列番号13、配列番号14)、BATF3(配列番号1、配列番号2)およびIRF8(配列番号5、配列番号6); またはTCF4(配列番号13、配列番号14)、IRF8(配列番号5、配列番号6)およびPU.1(配列番号7、配列番号8); またはTCF4(配列番号13、配列番号14)、BATF3(配列番号1、配列番号2)、IRF8(配列番号5、配列番号6)およびPU.1(配列番号7、配列番号8) のコードされた組み合わせから選択される、先行請求項のいずれかに記載の組成物。前記単離された転写因子の組み合わせが、BATF3(配列番号1、配列番号2)、IRF8(配列番号5、配列番号6)およびPU.1(配列番号7、配列番号8)のコードされた組み合わせである、先行請求項のいずれかに記載の組成物。前記単離された転写因子のコードされた組み合わせが、BATF3(配列番号1、配列番号2)、IRF8(配列番号5、配列番号6)、PU.1(配列番号7、配列番号8)、およびTCF4(配列番号13、配列番号14)の組み合わせである、先行請求項のいずれかに記載の組成物。前記細胞が、多能性幹細胞、複能性幹細胞、分化細胞、腫瘍細胞、癌細胞、およびそれらの混合物からなるリストから選択される、先行請求項のいずれかに記載の組成物。樹状細胞への、多能性幹細胞、複能性幹細胞、分化細胞、およびそれらの混合物からなるリストから選択される細胞のリプログラミングまたは誘導因子としての、先行請求項のいずれかに記載の組成物。抗原提示細胞への、腫瘍細胞、癌細胞、およびそれらの混合物からなるリストから選択される細胞のリプログラミングまたは誘導因子としての、先行請求項のいずれかに記載の組成物。前記抗原が、癌抗原、自己抗原、アレルゲン、病原性および/または感染性生物体からの抗原である、抗原提示細胞のリプログラミングまたは誘導因子としての、先行請求項のいずれかに記載の組成物。獣医学またはヒト医療、特に免疫療法、または神経変性疾患もしくは加齢疾患、または癌もしくは感染性疾患における使用、あるいは薬物スクリーニングとしての使用のための、先行請求項のいずれかに記載の組成物。前記多能性幹細胞、複能性幹細胞または分化細胞が、ホ乳動物の多能性幹細胞、複能性幹細胞または分化細胞、特にマウスまたはヒト細胞である、先行請求項のいずれかに記載の組成物。請求項1〜11のいずれか1項に記載の2種の単離された転写因子の少なくとも組み合わせ、好ましくは3種の転写因子のコードされた組み合わせ、より好ましくは4種の転写因子のコードされた組み合わせをコードした構築物またはベクター。前記3種の単離された転写因子の組み合わせが、5’から3’に向かって以下の順: PU.1(配列番号7、配列番号8)、IRF8(配列番号5、配列番号6)、BATF3(配列番号1、配列番号2);または IRF8(配列番号5、配列番号6)、PU.1(配列番号7、配列番号8)、BATF3(配列番号1、配列番号2) である、先行請求項に記載の構築物またはベクター。前記ベクターが、ウイルスベクター、特にレトロウイルス、アデノウイルス、レンチウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、またはアデノ随伴ウイルスベクターである、請求項12〜13のいずれかに記載のベクター。樹状細胞または抗原提示細胞に幹細胞または分化細胞をリプログラミングまたは誘導するための方法であって、 幹細胞または分化細胞、およびそれらの混合物からなるリストから選択される細胞に、配列番号1、配列番号2、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号13、配列番号14、およびそれらの混合物からなるリストの配列と少なくとも90%同一である、好ましくは少なくとも約95%同一である配列をコードする少なくとも2つの核酸配列を含む1つまたは複数のベクターを形質導入するステップと、 前記形質導入された細胞を、樹状細胞または抗原提示細胞の生育を支援する細胞培地中で培養するステップと を含む、方法。前記配列が、 BATF3(配列番号1、配列番号2)およびIRF8(配列番号5、配列番号6); またはBATF3(配列番号1、配列番号2)およびPU.1(配列番号7、配列番号8); またはIRF8(配列番号5、配列番号6)およびPU.1(配列番号7、配列番号8); またはTCF4(配列番号13、配列番号14)およびBATF3(配列番号1、配列番号2); またはTCF4(配列番号13、配列番号14)およびIRF8(配列番号5、配列番号6); またはTCF4(配列番号13、配列番号14)およびPU.1(配列番号7、配列番号8); またはBATF3(配列番号1、配列番号2)、IRF8(配列番号5、配列番号6)およびPU.1(配列番号7、配列番号8); またはTCF4(配列番号13、配列番号14)、BATF3(配列番号1、配列番号2)およびIRF8(配列番号5、配列番号6); またはTCF4(配列番号13、配列番号14)、IRF8(配列番号5、配列番号6)およびPU.1(配列番号7、配列番号8); またはTCF4(配列番号13、配列番号14)、BATF3(配列番号1、配列番号2)、IRF8(配列番号5、配列番号6)およびPU.1(配列番号7、配列番号8) からなる群から選択される、先行請求項に記載の方法。前記配列が、以下の組み合わせ: BATF3(配列番号1、配列番号2)、IRF8(配列番号5、配列番号6)およびPU.1(配列番号7、配列番号8); またはTCF4(配列番号13、配列番号14)、BATF3(配列番号1、配列番号2)およびIRF8(配列番号5、配列番号6); またはTCF4(配列番号13、配列番号14)、IRF8(配列番号5、配列番号6)およびPU.1(配列番号7、配列番号8); またはTCF4(配列番号13、配列番号14)、BATF3(配列番号1、配列番号2)、IRF8(配列番号5、配列番号6)およびPU.1(配列番号7、配列番号8) からなる群から選択される、先行請求項に記載の方法。前記配列が、BATF3(配列番号1、配列番号2)、IRF8(配列番号5、配列番号6)およびPU.1(配列番号7、配列番号8)、好ましくはTCF4(配列番号13、配列番号14)、BATF3(配列番号1、配列番号2)、IRF8(配列番号5、配列番号6)およびPU.1(配列番号7、配列番号8)の組み合わせである群から選択される、先行請求項に記載の方法。前記3種の単離された転写因子の組み合わせが、5’から3’に向かって以下の順: PU.1(配列番号7、配列番号8)、IRF8(配列番号5、配列番号6)、BATF3(配列番号1、配列番号2)、または IRF8(配列番号5、配列番号6)、PU.1(配列番号7、配列番号8)、BATF3(配列番号1、配列番号2) である、先行請求項に記載の方法。複数の単離された転写因子を形質導入された前記細胞を、少なくとも2日間、好ましくは少なくとも5日間、より好ましくは少なくとも8日間、さらにより好ましくは9日間培養する、先行請求項15〜19に記載の方法。形質導入ステップが、IL−12をコードする核酸配列をコードする核酸配列;GM−CSFをコードする核酸配列;IL−7をコードする核酸配列;IL−10RNAを標的とするsiRNAをコードする核酸配列、およびそれらの混合物からなるリストから選択される少なくとも1種のベクターをさらに含む、先行請求項15〜20に記載の方法。形質導入ステップが、免疫刺激性サイトカインをコードする核酸を含む少なくとも1種のベクターをさらに含む、先行請求項15〜21に記載の方法。前記細胞が、多能性幹細胞、または複能性幹細胞、分化細胞、およびそれらの混合物からなるリストから選択される、先行請求項15〜22に記載の方法。前記細胞が、ホ乳動物細胞である、先行請求項15〜23に記載の方法。前記多能性幹細胞、複能性幹細胞、または分化細胞が、内胚葉由来細胞、中胚葉由来細胞、または外胚葉由来細胞、間葉系幹細胞、造血系幹細胞、腸幹細胞などの複能性幹細胞、多能性幹細胞および細胞株からなる群から選択される、先行請求項15〜24に記載の方法。前記細胞が、非ヒト細胞である、先行請求項15〜25のいずれかに記載の方法。前記細胞が、マウス細胞である、先行請求項15〜26のいずれかに記載の方法。前記細胞が、ヒト細胞である、先行請求項15〜27のいずれかに記載の方法。前記細胞が、ヒトもしくはマウス線維芽細胞、またはホ乳動物臍帯血幹細胞である、先行請求項15〜28のいずれかに記載の方法。請求項15〜29のいずれかに記載の方法により得られる誘導樹状細胞。前記細胞が、脾臓DC(天然のDC)よりも生来成熟しており、および/または抗原提示のための外因性活性化刺激にあまり依存しない、先行請求項に記載の誘導樹状細胞。請求項15〜29のいずれかに記載の方法により得られる誘導抗原提示細胞。前記抗原が、癌抗原、自己抗原、アレルゲン、病原性および/または感染性生物体からの抗原である、先行請求項に記載の誘導抗原提示細胞。治療有効量の、請求項30〜31に記載の誘導樹状細胞、または請求項32〜33に記載の誘導抗原提示細胞、またはそれらの混合物と、医薬的に許容できる賦形剤と、を含む組成物。獣医学またはヒト医療における使用のための、先行請求項1〜11、34のいずれかに記載の組成物。免疫療法、または神経変性疾患の処置もしくは治療、または癌の処置もしくは治療、または感染性疾患の処置もしくは治療における使用のための、請求項34〜35のいずれかに記載の組成物。抗ウイルス薬、鎮痛薬、抗炎症薬、化学療法薬、放射線療法薬、抗生物質、利尿剤、またはそれらの混合物をさらに含む、請求項34〜36のいずれかに記載の組成物。充填剤、結合剤、崩壊剤もしくは滑沢剤、またはそれらの混合物をさらに含む、先行請求項34〜37のいずれかに記載の組成物。皮内および経皮治療における使用のための、先行請求項34〜38のいずれかに記載の組成物。注射製剤、特にインサイチュでの注射である、先行請求項34〜39のいずれかに記載の組成物。獣医学またはヒト医療、特に免疫療法、または神経変性もしくは加齢疾患、または癌もしくは感染性疾患における使用、薬物スクリーニングとしての使用のための、先行請求項34〜40のいずれかに記載の組成物。中枢および末梢神経系障害の処置、治療または診断における使用のための、先行請求項34〜41のいずれかに記載の組成物。新生物、特に癌、即ち固形または血液腫瘍の処置、治療または診断における使用のための、先行請求項34〜42のいずれかに記載の組成物。良性腫瘍、悪性腫瘍、早期癌、基底細胞癌、子宮頸部異形成、軟組織肉腫、生殖細胞腫瘍、網膜芽細胞腫、加齢黄斑変性、ホジキンリンパ腫、血液癌、前立腺癌、卵巣癌、子宮頸癌、子宮癌、膣癌、乳癌、上咽頭癌、気管癌、喉頭癌、気管支癌、細気管支癌、癌、中空臓器癌、食道癌、胃癌、胆管癌、腸癌、結腸癌、大腸癌、直腸癌、膀胱癌、尿管癌、腎臓癌、肝臓癌、胆嚢癌、脾臓癌、脳癌、リンパ系癌、骨癌、膵臓癌、白血病、皮膚癌、または骨髄腫の処置、診断または治療における使用のための、先行請求項34〜43のいずれかに記載の組成物。真菌、ウイルス、クラミジア、細菌、ナノバクテリア、または寄生虫感染性疾患の処置、治療または診断における使用のための、先行請求項34〜44のいずれかに記載の組成物。HIV、SARSコロナウイルス、アジア風邪ウイルス、単純ヘルペス、帯状疱疹、肝炎、またはウイルス性肝炎の感染の処置、治療または診断における使用のための、先行請求項34〜45のいずれかに記載の組成物。アミロイド疾患、特にアミロイドAアミロイドーシス、アルツハイマー病、軽鎖(AL)アミロイドーシス、2型糖尿病、甲状腺の髄質癌、パーキンソン病、多発ニューロパシー、または海綿状脳症(クロイツフェルト・ヤコブ病)の処置、治療または診断における使用のための、先行請求項34〜46のいずれかに記載の組成物。請求項1〜11、34〜47のいずれか1項に記載の組成物、または請求項30〜31に記載の誘導樹状細胞、または請求項32〜33に記載の誘導抗原提示細胞、またはそれらの混合物を含む、癌のためのワクチン。請求項30〜31に記載の誘導樹状細胞、 請求項32〜33に記載の誘導抗原提示細胞、 先行請求項1〜11、34〜47のいずれかに記載の組成物、 請求項12〜14に記載のベクターもしくは構築物、またはそれらの混合物 の構成要素のうちの少なくとも1つを含むキット。

说明书全文

技術分野 本開示は、単離された転写因子を導入および発現することにより、分化細胞、複能性または多能性幹細胞から、抗原提示能を有する樹状細胞または抗原提示細胞を作製する方法の開発に関する。より詳細には本開示は、転写因子の組み合わせの驚くべき使用による直接的な細胞リプログラミングにより、分化細胞、複能性または多能性幹細胞を樹状細胞または抗原提示細胞の状態にリダイレクトするための方法を提供する。

背景 細胞リプログラミングは、1つの細胞状態のエピジェネティックかつ転写性のネットワークを異なる細胞型のネットワークに再接続することに依存する。転写因子(TF)形質導入実験により、成体体細胞または分化細胞の可塑化が強調され、任意の望ましい細胞型を生成する新規な技術が提供された。TFの強制的発現により、体細胞または分化細胞を、胚性幹細胞と著しく類似した誘導多能性幹細胞(iPSC)にリプログラミングすることが可能である(1、2)。あるいは体細胞は、別の特別な細胞型に変換することも可能である(3)。TFを用いて標的細胞の同一性を特定することで、直接的な系譜変換が、マウスおよびヒト線維芽細胞を神経細胞、心筋細胞および肝細胞などの複数の細胞型にリプログラミングするのに有効であることが立証された(4)。系譜変換は、造血系でも実証されており、TFの強制的発現はB細胞および線維芽細胞におけるマクロファージの運命を誘導し(5)、クローン原性造血前駆体へのマウス線維芽細胞の直接的リプログラミングはGata2、Gfi1b、cFosおよびEtv6で実現される(6)。これらの4種のTFは、内皮様の中間体を通して進む動的多段階血液生成工程を誘導し、インビトロで発達的な造血を再現する(7)。

リプログラミングされた細胞は、再生医療にとって非常に有望な治療ツールであり、iPSCの分化により得られた細胞は、既に臨床試験でテストされている。しかし造血系の再生の場合、iPSCから成熟血液細胞を生成するアプローチが、依然として欠けている。それゆえ、血液製剤として使用され得る患者特有の最終的な造血細胞を生成するために、代替的な方策が求められている。TFに媒介される直接的細胞リプログラミングの機会を条件に、樹状細胞(DC)などの免疫系の抗原提示細胞(APC)の生成を見通すことができる。

DCは、必要となる可溶性および膜結合性の共刺激分子の全てと共に、表面上の主要組織適合遺伝子複合体(MHC)と複合化したペプチド抗原を表示することにより、T細胞応答を活性化することが可能なプロフェッショナルAPCである。DCは、一次免疫応答を誘導して、予めプライミングされたTリンパ球のエフェクター機能を強化して、自然免疫と適応免疫とのコミュニケーションを組織化する。DCは、ほとんどの組織に見出されるが、そこでそれらは、抗原環境を連続的に試し、複数の型の受容体を使用して侵入した病原体についてモニタリングする。安定した状態、および病原体検出速度の上昇時に、非リンパ組織中のセンチネルDC(sentinel DC)が、リンパ器官に遊走し、そこでそれらが回収および処理した抗原をT細胞に提示する。T細胞により獲得された表現型は、DCがその抗原を提示する状況に依存する。抗原が、病原体に由来する場合、または抗原そのものが損傷されている場合、DCは、危険なシグナルを受け取って活性化し、その後、T細胞は、刺激されて、防御免疫を提供するのに必要なエフェクターになる。

適応免疫を誘導するDCの能が、細菌、ウイルスおよび寄生虫病原体、ならびに癌免疫療法のためのDCワクチン方策についての研究を拡大した。事実、固形および血液腫瘍をはじめとする複数の腫瘍型にDC介在性免疫療法を使用した臨床試験が、続行中である(8)。しかし、その臨床転帰は、おそらくインビトロでDCを生成することにおける可変的な効率に関連して一定せず、自家性の単球は、低効率なDCの原因となり、造血前駆体は、非常に少数で単離される。加えてこれらの前駆細胞は一般に、癌を担持する患者では損傷されていて、機能不全のDCを生成する(8、9)。癌回避の機構も、DCを基にした免疫療法に一定した治療的利点が欠如することの背景にあるかもしれない。腫瘍進行の間に、癌細胞は、複数の免疫工程を開拓して、免疫サーベランスを回避する。これらの適応性が、癌の抗原多様性と一緒になって、免疫系による腫瘍抗原認識を防止し、結果的に腫瘍細胞の免疫原性および現行の免疫療法の低減を担っている。

直接的リプログラミングによるAPCの生成は、DCの詳細および細胞同一性をよりよく理解する新たな機会を切り開き、自家性の遺伝子操作細胞を利用した免疫応答のより効率的な制御に寄与する。

本開示が取り組んだ技術的問題を例示するために、これらの事実を開示している。

本発明の主題は、驚くべきことに、分化細胞、複能性または多能性幹細胞をインビトロ、エクスビボまたはインビボで樹状細胞にリプログラミングまたは誘導する複数の単離された転写因子を同定する。

驚くべきことに、本開示に記載されたリプログラミングにより生成された誘導樹状細胞は、脾臓DC(天然のDC)よりも生来成熟しており、抗原提示のための外因性活性化刺激にあまり依存しない。

DCは、自然免疫系および適応免疫系の境界で機能する、体全体に存在するプロフェッショナルAPCである。DCは、抗原を捕捉して処理し、T細胞に提示して、そのT細胞に異なる型の免疫応答または寛容を標的とさせる能力を通して、外部環境と適応免疫系の間の重大なつながりを提供することができる。最初にDCは、抗原を捕捉し、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスIおよびMHCクラスIIを通してそれらを処理しなければならない。それらの活性化の後、DCは、適応免疫の重要な特色である複数のB細胞およびT細胞応答をプライミングする局所流入リンパ節に向かって遊走することができる。早期の防御有効性が、主としてBリンパ球により産生された抗原特異性抗体の誘導により付与される。特異的抗原に対する長期防御には、続く抗原暴露後に急速かつ効率的応答を提供し得る特異的抗体の持続および免疫記憶の生成が必要となる。プロフェッショナルAPCとしてのDCは、抗原を交差提示する能力を有し、つまり、MHCクラスIIで外来抗原を、そしてMHCクラスIで内因性抗原を提示する古典的能力に加えて、MHCクラスIでも外来抗原を提示することができ、それが細胞傷害性Tリンパ球応答(CTL)の生成のための重大なステップとなる。

DCが存在する個体発生プロセスおよび/または微細環境が、DCによる表面受容体の異なる組み合わせの発現をもたらす場合がある。例えば表現型基準のみで、マウスDCを異なる部分集団に分類することができる。これらのうち、リンパ組織中の従来型DCは、伝統的にcDC1およびcDC2の部分集団に細分される。異なるDCサブセットが、特定の病原体の特異的認識に関与し、かつ/または異なる免疫応答、例えば、Th1もしくはTh2(免疫)または制御性T細胞(寛容)を調節し得ることが主張されてきた。しかし、DCの表現型および機能的挙動は、外部活性化刺激によっても著しく条件づけられ、著しい可塑性を表す。cDC1およびcDC2サブセットは、インビボでTh1およびTh2を差次的にプライミングする。癌の免疫療法は、DCを用いてTh1または細胞傷害性Tリンパ球応答をプライミングし、腫瘍クリアランスを促進することに依存する。

現在のところ、DCを基にした免疫療法は、自家性DC前駆体、つまり低効率のDCの産生に関連する単球または非常に少数で単離される造血前駆体に依存する。加えて、これらの前駆細胞は一般に、癌を担持する患者では損傷されていて、機能不全のDCを生成する。対照的に、線維芽細胞などの非造血細胞型は通常、影響を受けない。ヒト皮膚線維芽細胞(HDF)もまた、他の競合する利点を示し、即ち、小さな皮膚パンチバイオプシーから容易に得られ、インビトロでは数回の継代で容易に増大し(4週間後に1500〜2000万細胞)、凍結保存して要求に応じて使用することができる。自然免疫系と適応免疫系の境界で機能するAPCとしてのDCの基本的役割を想定すれば、機能的DCを作製して抗原特異性免疫応答をプライミングする代替的方策を見出す臨床的必要性が、依然として存在する。

本開示の一態様は、 インビトロ、エクスビボまたはインビボでの樹状細胞または抗原提示細胞への、幹細胞もしくは分化細胞、またはそれらの混合物からなるリストから選択される細胞のリプログラミングまたは誘導因子として、 BATF3(配列番号1または配列番号2)、IRF8(配列番号5、配列番号6)、PU.1(配列番号7、配列番号8)、TCF4(配列番号13、配列番号14)、 からなるリストの配列と90%同一の配列によりコードされた少なくとも2種の単離された転写因子の組み合わせを含む組成物に関する。

幾つかの実施形態において、配列表に提供された配列によりコードされた参照ポリペプチドと同一または類似の活性を有するポリペプチド変異体またはファミリーメンバーを、本明細書に記載された組成物、方法およびキットにおいて用いることができる。一般に、本明細書に記載された組成物、方法およびキットにおける使用のためのDC誘導因子をコードする特定のポリペプチドの変異体は、本明細書に記載されていて当業者に公知の配列アライメントプログラムおよびパラメータによる計測で、特定の参照ポリヌクレオチドまたはポリペプチドと少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%以上の配列同一性を有する。

比較のための配列アライメントの方法は、当該技術分野で周知であり、そのような方法としては、GAP、BESTFIT、BLAST、FASTAおよびTFASTAが挙げられる。GAPでは、NeedlemanおよびWunsch((1970)J Mol Biol 48:443−453)のアルゴリズムを利用して、マッチの数を最大にしてギャップの数を最小にする2つの配列のグローバル(配列全体にわたる)アライメントを見出す。BLASTアルゴリズム(Altschul et al.(1990)J Mol Biol 215:403−10)では、2つの配列の間の配列同一性%を算出して、類似性の統計解析を実施する。BLAST解析を実施するためのソフトウエアは、National Centre for Biotechnology Information(米国立生物工学情報センター)(NCBI)を通して公的に入手することができる。類似性および同一性の全体的パーセンテージは、MatGATソフトウエアパッケージにおいて入手される方法の1つを利用して決定されてもよい(Campanella et al.,BMC Bioinformatics.2003 Jul10;4:29.MatGAT:タンパク質またはDNA配列を用いて類似性/同一性マトリクスを作成するアプリケーション)。当業者に明白な通り、わずかなマニュアル編集を実施して、保存されたモチーフの間のアライメントを最適化してもよい。本発明の主題においてパーセンテージとして示される配列同一性は、デフォルトパラメータを含むBLASTを用いてアミノ酸配列全体で決定されている。

より良好な結果のための一実施形態において、単離された転写因子の組み合わせは、 BATF3(配列番号1または配列番号2)およびIRF8(配列番号5、配列番号6);またはBATF3(配列番号1、配列番号2)およびPU.1(配列番号7、配列番号8);またはIRF8(配列番号5、配列番号6)およびPU.1(配列番号7、配列番号8);またはTCF4(配列番号13、配列番号14)およびBATF3(配列番号1、配列番号2);またはTCF4(配列番号13、配列番号14)およびIRF8(配列番号5、配列番号6);またはTCF4(配列番号13、配列番号14)およびPU.1(配列番号7、配列番号8);またはBATF3(配列番号1、配列番号2)、IRF8(配列番号5、配列番号6)およびPU.1(配列番号7、配列番号8);またはTCF4(配列番号13、配列番号14)、BATF3(配列番号1、配列番号2)およびIRF8(配列番号5、配列番号6);またはTCF4(配列番号13、配列番号14)、IRF8(配列番号5、配列番号6)およびPU.1(配列番号7、配列番号8);またはTCF4(配列番号13、配列番号14)、BATF3(配列番号1、配列番号2)、IRF8(配列番号5、配列番号6)およびPU.1(配列番号7、配列番号8) であってもよい。

一実施形態において、本開示の単離された転写因子は、獣医学またはヒト医療において、特に免疫療法において、または神経変性疾患もしくは癌もしくは感染性疾患において、用いられてもよい。

より良好な結果のための一実施形態において、該細胞は、多能性幹細胞、複能性幹細胞、分化細胞、腫瘍細胞、癌細胞、およびそれらの混合物からなるリストから選択されてもよい。特定のホ乳動物細胞において、より特別にはマウスまたはヒト細胞において。

より良好な結果のための一実施形態において、本開示の単離された転写因子は、樹状細胞への、多能性幹細胞、複能性幹細胞または分化細胞、およびそれらの混合物からなるリストから選択される細胞のリプログラミングまたは誘導因子として使用されてもよい。

より良好な結果のための一実施形態において、本開示の単離された転写因子は、抗原提示細胞への、腫瘍細胞、癌細胞、およびそれらの混合物からなるリストから選択される細胞のリプログラミングまたは誘導因子として使用されてもよい。

本開示の別の態様は、 インビトロ、エクスビボまたはインビボでの樹状細胞または抗原提示細胞への、幹細胞もしくは分化細胞、またはそれらの混合物からなるリストから選択される細胞のリプログラミングまたは誘導因子として、 BATF3(配列番号1または配列番号2)、IRF8(配列番号5、配列番号6)、PU.1(配列番号7、配列番号8)、TCF4(配列番号13、配列番号14)、およびそれらの混合物からなるリストの配列と少なくとも90%同一、好ましくは少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または同一である少なくとも2種の配列の組み合わせの使用である。

好ましくは、該組み合わせは、BATF3(配列番号1または配列番号2)、IRF8(配列番号5、配列番号6)、PU.1(配列番号7、配列番号8)、TCF4(配列番号13、配列番号14)、およびそれらの混合物からなるリストから選択されてもよい。より好ましくは、該単離された転写は、以下の組み合わせを含むことができる:BATF3(配列番号1または配列番号2)およびIRF8(配列番号5、配列番号6);またはBATF3(配列番号1、配列番号2)およびPU.1(配列番号7、配列番号8);またはIRF8(配列番号5、配列番号6)およびPU.1(配列番号7、配列番号8);またはTCF4(配列番号13、配列番号14)およびBATF3(配列番号1、配列番号2);またはTCF4(配列番号13、配列番号14)およびIRF8(配列番号5、配列番号6);またはTCF4(配列番号13、配列番号14)およびPU.1(配列番号7、配列番号8);またはBATF3(配列番号1、配列番号2)、IRF8(配列番号5、配列番号6)およびPU.1(配列番号7、配列番号8);またはTCF4(配列番号13、配列番号14)、BATF3(配列番号1、配列番号2)およびIRF8(配列番号5、配列番号6);またはTCF4(配列番号13、配列番号14)、IRF8(配列番号5、配列番号6)およびPU.1(配列番号7、配列番号8);またはTCF4(配列番号13、配列番号14)、BATF3(配列番号1、配列番号2)、IRF8(配列番号5、配列番号6)およびPU.1(配列番号7、配列番号8)。

本開示の別の態様は、本発明の主題に記載される少なくとも1種の単離された転写因子をコードする構築物またはベクターに関する。

より良好な結果のための一実施形態において、該構築物またはベクターは、5’から3’に向かって以下の配列順:PU.1(配列番号7、配列番号8)、IRF8(配列番号5、配列番号6)、BATF3(配列番号1、配列番号2);またはIRF8(配列番号5、配列番号6)、PU.1(配列番号7、配列番号8)、BATF3(配列番号1、配列番号2)、の3種の単離された転写因子の組み合わせであってもよい。

一実施形態において、該ベクターは、ウイルスベクター、特にレトロウイルス、アデノウイルス、レンチウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、またはアデノ随伴ウイルスベクターである。

より良好な結果のための一実施形態において、該形質導入ステップは、IL−12をコードする核酸配列;GM−CSFをコードする核酸配列;IL−7をコードする核酸配列;IL−10RNAを標的とするsiRNAをコードする核酸配列、およびそれらの混合物からなるリストから選択される少なくとも1種のベクターをさらに含む。

より良好な結果のための一実施形態において、ステップの該形質導入は、免疫刺激性サイトカインをコードする核酸を含む少なくとも1種のベクターをさらに含む。

本開示の別の態様は、 幹細胞または分化細胞、およびそれらの混合物からなるリストから選択される細胞に、BATF3(配列番号1または配列番号2)、IRF8(配列番号5、配列番号6)、PU.1(配列番号7、配列番号8)、TCF4(配列番号13、配列番号14)、およびそれらの混合物からなるリストの配列と少なくとも90%同一である、好ましくは少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または同一である配列をコードする少なくとも2つの核酸配列を含む1つまたは複数のベクターを形質導入するステップと、 該形質導入された体細胞を、樹状細胞または抗原提示細胞の生育を支援する細胞培地中で培養するステップと、 を含む樹状細胞または抗原提示細胞に幹細胞または分化細胞をリプログラミングまたは誘導するための方法に関する。

好ましくはより良好な結果のために、単離された転写因子の組み合わせは、以下のコードされた組み合わせから選択される:BATF3(配列番号1または配列番号2)およびIRF8(配列番号5、配列番号6);またはBATF3(配列番号1、配列番号2)およびPU.1(配列番号7、配列番号8);またはIRF8(配列番号5、配列番号6)およびPU.1(配列番号7、配列番号8);またはTCF4(配列番号13、配列番号14)およびBATF3(配列番号1、配列番号2);またはTCF4(配列番号13、配列番号14)およびIRF8(配列番号5、配列番号6);またはTCF4(配列番号13、配列番号14)およびPU.1(配列番号7、配列番号8);またはBATF3(配列番号1、配列番号2)、IRF8(配列番号5、配列番号6)およびPU.1(配列番号7、配列番号8);またはTCF4(配列番号13、配列番号14)、BATF3(配列番号1、配列番号2)およびIRF8(配列番号5、配列番号6);またはTCF4(配列番号13、配列番号14)、IRF8(配列番号5、配列番号6)およびPU.1(配列番号7、配列番号8);またはTCF4(配列番号13、配列番号14)、BATF3(配列番号1、配列番号2)、IRF8(配列番号5、配列番号6)およびPU.1(配列番号7、配列番号8)。

より良好な結果のための一実施形態において、該構築物またはベクターは、5’から3’に向かって以下の配列順:PU.1(配列番号7、配列番号8)、IRF8(配列番号5、配列番号6)、BATF3(配列番号1、配列番号2);またはIRF8(配列番号5、配列番号6)、PU.1(配列番号7、配列番号8)、BATF3(配列番号1、配列番号2)、の少なくとも3種の単離された転写因子の組み合わせであってもよい。

より良好な結果のための一実施形態において、細胞が、単離された転写因子の複数を形質導入されて、少なくとも2日間、好ましくは少なくとも5日間、より好ましくは少なくとも8日間、より好ましくは9日間培養されてもよい。

より良好な結果のための一実施形態において、該形質導入ステップは、IL−12をコードする核酸配列;GM−CSFをコードする核酸配列;IL−7をコードする核酸配列;IL−10RNAを標的とするsiRNAをコードする核酸配列、およびそれらの混合物からなるリストから選択される少なくとも1種のベクターをさらに含んでいてもよい。

より良好な結果のための一実施形態において、該細胞は、多能性幹細胞、または複能性幹細胞、分化細胞、およびそれらの混合物からなる群から選択されてもよい。特に、内胚葉由来細胞、中胚葉由来細胞、または外胚葉由来細胞、間葉系幹細胞、造血系幹細胞、腸幹細胞などの複能性幹細胞、多能性幹細胞、腫瘍または癌細胞および細胞株からなる群から選択されてもよい。

より良好な結果のための一実施形態において、該細胞は、非ヒト細胞、好ましくはマウスまたはヒト細胞であってもよく、より好ましくは細胞は、ヒトもしくはマウス線維芽細胞、またはホ乳動物臍帯血幹細胞である。

本開示の別の態様は、本開示に記載された方法により得られる誘導樹状細胞または抗原提示細胞に関する。

本開示の別の態様は、本開示に記載された方法により得られる誘導抗原提示細胞に関する。特に誘導抗原提示細胞は、癌抗原、自己抗原、アレルゲン、病原性および/または感染性生物体からの抗原を提示することが可能である。

本開示の別の態様は、治療有効量の、本開示に記載された少なくとも1種の単離された転写因子、または本開示に記載された誘導樹状細胞、または本開示に記載された誘導抗原提示細胞、またはそれらの混合物と、医薬的に許容できる賦形剤と、を含む組成物に関する。

好ましい実施形態において、該組成物は、獣医学またはヒト医療、特に免疫療法、または神経変性疾患、または癌もしくは感染性疾患における使用であってもよい。

好ましい実施形態において、該組成物は、抗ウイルス薬、鎮痛薬、抗炎症薬、化学療法薬、放射線療法薬、抗生物質、利尿剤またはそれらの混合物をさらに含んでいてもよい。

好ましい実施形態において、該組成物は、充填剤、結合剤、崩壊剤もしくは滑沢剤、またはそれらの混合物をさらに含んでいてもよい。

好ましい実施形態において、該組成物は、皮内および経皮治療における使用であってもよい。

好ましい実施形態において、該組成物は、注射製剤、特にインサイチュでの注射としての使用であってもよい。

好ましい実施形態において、該組成物は、獣医学またはヒト医療、特に免疫療法、または神経変性疾患の処置もしくは治療、または癌の処置もしくは治療、または感染性疾患の処置もしくは治療における使用であってもよい。

好ましい実施形態において、該組成物は、中枢および末梢神経系障害の処置、治療または診断における使用であってもよい。

好ましい実施形態において、該組成物は、新生物、特に癌、即ち固形または血液腫瘍の処置、治療、診断における使用であってもよい。

好ましい実施形態において、該組成物は、良性腫瘍、悪性腫瘍、早期癌、基底細胞癌、子宮頸部異形成、軟組織肉腫、生殖細胞腫瘍、網膜芽細胞腫、加齢黄斑変性、ホジキンリンパ腫、血液癌、前立腺癌、卵巣癌、子宮頸癌、子宮癌、膣癌、乳癌、上咽頭癌、気管癌、喉頭癌、気管支癌、細気管支癌、癌、中空臓器癌、食道癌、胃癌、胆管癌、腸癌、結腸癌、大腸癌、直腸癌、膀胱癌、尿管癌、腎臓癌、肝臓癌、胆嚢癌、脾臓癌、脳癌、リンパ系癌、骨癌、膵臓癌、白血病、皮膚癌、または骨髄腫の処置、診断または治療における使用であってもよい。

好ましい実施形態において、該組成物は、真菌、ウイルス、クラミジア、細菌、ナノバクテリア、または寄生虫感染性疾患の処置、治療または診断における使用であってもよい。

好ましい実施形態において、該組成物は、HIV、SARSコロナウイルス、アジア風邪ウイルス、単純ヘルペス、帯状疱疹、肝炎、またはウイルス性肝炎の感染の治療または診断における使用であってもよい。

好ましい実施形態において、該組成物は、アミロイド疾患、特にアミロイドA(AA)アミロイドーシス、アルツハイマー病、軽鎖(AL)アミロイドーシス、2型糖尿病、甲状腺の髄質癌、パーキンソン病、多発ニューロパシー、または海綿状脳症(クロイツフェルト・ヤコブ病)の処置、治療または診断における使用であってもよい。

本開示の別の態様は、本開示に記載された少なくとも1種の単離された転写因子、または本開示に記載された誘導樹状細胞、または本開示に記載された誘導抗原提示細胞、またはそれらの混合物を含む組成物を含む癌のためのワクチンに関する。

以下の成分:本開示に記載された少なくとも1種の単離された転写因子、または本開示に記載された誘導樹状細胞、または本開示に記載された誘導抗原提示細胞、本開示に記載された組成物、または本開示に記載されたベクター、または本開示に記載された構築物、またはそれらの混合物を含む組成物、のうちの少なくとも1つを含むキット。

本開示の一態様は、樹状細胞誘導ための、または細胞を抗原提示樹状細胞(DC)にリプログラミングするための、組成物、方法およびキットに関する。幾つかの実施形態において、該組成物は、少なくとも1種のDC誘導因子を含む。そのような組成物、方法およびキットは、本明細書に記載された通りインビトロ、エクスビボ、またはインビボで樹状細胞を誘導するために用いることができ、これらの誘導樹状細胞(iDC)は、免疫療法に用いることができる。

樹状細胞誘導ための、または細胞を本開示の樹状細胞にリプログラミングするための、組成物、方法およびキットは、樹状細胞状態への分化細胞の直接的リプログラミングを可能にする転写因子の新規組み合わせの利用に一部基づく。そのような組成物、核酸構築物、方法およびキットは、本明細書に記載された通りインビトロ、エクスビボ、またはインビボで樹状細胞を誘導するために用いることができ、これらの誘導樹状細胞は、免疫療法に用いることができる。

一実施形態において、本開示は、免疫系の調節に関し、特に標的抗原への免疫応答をプライミングするためにリプログラミングされた樹状細胞の使用に関する。

一実施形態において、得られた樹状細胞は、MHCクラスI抗原標的に対してT細胞を活性化させる抗原提示細胞である。癌、ウイルス、細菌および寄生虫感染は全て、リプログラミングされた樹状細胞により改善される。リプログラミングされた樹状細胞は、MHCクラスI経路を介して細胞外抗原を交差提示することができるため、それらは、細胞傷害性Tリンパ球応答の生成に特に適する。

一実施形態において、線維芽細胞における強制的発現により、BATF3(配列番号1または配列番号2)、IRF8(配列番号5、配列番号6)、PU.1(配列番号7、配列番号8)、TCF4(配列番号13、配列番号14)、およびそれらの混合物からなるリストから選択される単離された転写因子(または外来転写因子)は、Clec9a DC特異性レポーター、DC形態、および従来型DC1型(cDC1)転写プログラムの活性化を誘導する。誘導樹状細胞(iDC)は、細胞表面のcDC1マーカーである主要組織適合遺伝子複合体(MHC)−IおよびII、ならびに共刺激分子CD80、CD86およびCD40を発現する。iDCは、粒子を貪食し、LPSまたはpoly I:Cでのチャレンジの際に、炎症性サイトカインを分泌することができる。iDCはCD4+T細胞に抗原を提示し、CD8+T細胞に抗原を交差提示する。

一実施形態において、線維芽細胞における強制的発現により、BATF3(配列番号1または配列番号2)、IRF8(配列番号5、配列番号6)、PU.1(配列番号7、配列番号8)からなるリストから選択される単離された転写因子(または外来転写因子)は、典型的なDCマーカーであるCLEC9AおよびHLA−DRの発現、ならびにDC形態を誘導する。誘導樹状細胞(iDC)は、粒子および可溶性タンパク質を貪食することができる。この開示は、癌および細胞感染のための強力な新規処置、ならびに種々の診断アッセイおよび細胞スクリーニングアッセイを提供する。

一実施形態において、癌細胞株における強制的発現により、BATF3(配列番号1または配列番号2)、IRF8(配列番号5、配列番号6)、PU.1(配列番号7、配列番号8)からなるリストから選択される単離された転写因子(または外来転写因子)は、細胞表面でのClEC9AおよびMHC−IIの発現を誘導する。

一実施形態において、CLEC9Aは、樹状細胞のサブセットcDC1で優先的に発現される。これは、細胞の外部から得られる抗原を処理すること、およびMHCクラスI分子を介して該抗原をT細胞に提示することができるため、重要な細胞型である。これは、MHCクラスII分子を介して細胞外由来抗原を提示するほとんどの抗原提示細胞と対照的である。その結果、抗原提示のこのメカニズムは、「交差提示」と称されることがある。それゆえこれらの細胞は、細胞内病原体、例えばウイルスおよび癌に対する免疫応答の本質的部分であるCTLの応答の生成および刺激において重要な役割を担う。

一実施形態において、iDCを介して刺激された免疫応答は、CTLまたはヘルパーT細胞であり得るT細胞の増殖を含む。抗原提示細胞(そして特にiDC)は、CD8+T細胞およびCD4+T細胞の両方の増殖を誘導することができ、任意の所与の免疫応答において両方の型のT細胞の増殖を刺激することができる。

一実施形態において、iDCは、少なくともTh1、Th2、およびTh17型免疫応答に関係し得る。したがって本発明の方法は、任意の抗原に対する様々な型の免疫応答の刺激に適用されてもよい。しかしこれらの細胞は、CTL応答の生成において特に重要であると考えられ、そのため刺激される免疫応答は、好ましくはCTL応答である。該方法は、典型的にはCD8を発現するT細胞であり、MHCクラスI分子に関連して同族抗原を示す細胞に対する細胞傷害活性が可能である、CTLの生成および/または増殖を決定することを含んでいてもよい。

それゆえ、iDCは、癌、またはウイルス感染などの細胞内寄生虫もしくは病原体による感染などのCTL応答を誘導することが望ましい任意の病状の予防および/または処理のために用いられてもよい。

それにもかかわらず、修飾されている場合のiDCは、CTLに加えて、またはその代わりに、ヘルパーT細胞の増殖をもたらすことができる。したがって該方法は、追加または代わりとして、ヘルパーT細胞の生成および/または増殖を計測することを含んでいてもよい。該ヘルパーT細胞は、CD4+T細胞であってもよく、Th1、Th2、Th17またはTreg型であってもよい。

特定の状況下では、iDCは、制御性T細胞(Treg)増殖を刺激することができると考えられる。Treg細胞は、Foxp3(フォークヘッドボックスp3)転写因子の発現を特徴とする。ほとんどのTreg細胞は、CD4+およびCD25+であり、ヘルパーT細胞のサブセットと見なすことができるが、小数集団は、CD8+かもしれない。したがって本開示の方法により刺激される免疫応答は、抗原に応答してTreg細胞の増殖を誘導することを含んでいてもよい。Treg細胞が抗原に対する免疫系の他の細胞の応答を他の方法で、例えばそれらの活性を阻害または抑制することによりモジュレートすることが可能であることを条件として、全体としての免疫系に及ぼす効果は、抗原に対する応答をモジュレート(例えば、抑制または阻害)することであり得る。したがって本発明のこの態様の方法は、それと同時に、抗原に対する免疫応答をモジュレートする方法と呼ぶことができる。これは、(例えば)自己免疫疾患の処置において特に有用であり得る。

iDCは、抗原特異性応答を促進するであろう。該抗原は、免疫応答、特にCTL応答を上昇させながらTh17応答またはTreg応答も上昇させることが望ましい任意のタンパク質またはその断片であってもよい。これらは、癌細胞、および細胞内病原体または寄生虫を含有する細胞など、CTL応答を刺激することが望ましい細胞に関連する抗原、該細胞に発現、提示または分泌される抗原を挙げることができる。例えば該抗原は、細胞内病原体もしくは寄生虫(ウイルスタンパク質など)により発現されるタンパク質からの、または癌もしくは腫瘍細胞により発現されるタンパク質からの、エピトープペプチドであっても、またはそれを含んでいてもよい。したがって該抗原は、腫瘍特異性抗原であってもよい。用語「腫瘍特異性」抗原は、固形腫瘍からの抗原に制限されると解釈すべきでなく、任意の癌性細胞、形質転換細胞または悪性細胞により特異的に発現される抗原を包含すると解釈すべきである。

それゆえ本発明は、プライミングされた抗原提示細胞またはその集団を提供する。「プライミングされた」は、細胞が抗原と接触しており、MHC分子、好ましくはMHC I分子に関連して抗原またはそのエピトープを提示し、T細胞を活性化または刺激してそれに応答してエフェクター細胞を増殖および分化させることができる、という意味である。

用語「抗原」は、当該技術分野で十分に理解されており、免疫原性物質および抗原エピトープを包含する。任意の抗原の使用が、本発明における使用に想定されること、したがって非限定的に自己抗原(正常であるか、疾患関連かにかかわらず)、感染性抗原(例えば、微生物抗原、ウイルス抗原など)、または一部の他の外来抗原(例えば、食品成分、花粉など)を包含することは、察知されるであろう。抗原提示細胞への抗原の負荷は、標準的方法、例えばパルシング、形質導入、トランスフェクション、および/または電気細胞融合を利用して遂行することができる。抗原が核酸(DNAまたはRNA)、タンパク質、タンパク質溶解物、全細胞溶解物、または他のタンパク質、即ちヒートショックタンパク質に連結された抗原タンパク質であり得ることが、想定される。該抗原は、HIV、インフルエンザ、単純ヘルペス、ヒトパピローマウイルス、B型肝炎、C型肝炎、EBV、サイトメガロウイルス(CMV)などをはじめとするウイルスなどの病原性微生物に由来し得る、またはそれから単離され得る。該抗原は、クラミジア、マイコバクテリア、レジオネラ、髄膜炎菌、ストレプトコッカスA群、サルモネラ、リステリア、インフルエンザ菌などの病原菌に由来しても、またはそれから単離されてもよい。さらに、該抗原は、アスペルギルス、侵襲性カンジダ、ノカルジア、ヒストプラスモシス、クリプトスポリジアなどをはじめとする病原性酵母に由来しても、またはそれから単離されてもよい。該抗原は、非限定的にニューモシスチス・カリニ、トリパノソーマ、リーシュマニア、プラスモジウム、およびトキソプラズマ・ゴンディをはじめとする病原性原生動物および病原性寄生虫に由来しても、またはそれから単離されてもよい。特定の実施形態において、該抗原は、新生物発生前または過形成状態に関連する抗原を包含する。抗原は、癌に関連しても、または癌に因果関係があってもよい。そのような抗原は、腫瘍特異性抗原、腫瘍関連抗原(TAA)または組織特異性抗原、そのエピトープ、およびそのエピトープアゴニストである。そのような抗原としては、癌胎児性抗原(CEA)およびそのエピトープ、例えばCAP−1、CAP−1−6D、MART−1、MAGE−1、MAGE−3、GAGE、GP−100、MUC−1、MUC−2、点突然変異性ras発癌遺伝子、正常および点突然変異性p53発癌遺伝子、PSMA、チロシナーゼ、TRP−1(gp75)、NY−ESO−1、TRP−2、TAG72、KSA、CA−125、PSA、HER−2/neu/c−erb/B2、BRC−I、BRC−II、bcr−abl、pax3−fkhr、ews−fli−1、TAAおよび組織特異性抗原の修飾物、TAAのスプライスバリアント、エピトープアゴニストなどが挙げられるが、これらに限定されない。

本明細書で用いられる用語「薬剤」は、非限定的に、小分子、核酸、ポリペプチド、ペプチド、薬物、イオンなどの任意の化合物または物質を意味する。「薬剤」は、非限定的に合成および天然由来タンパク質性および非タンパク質性の物体をはじめとする任意の化学的物体または部分であり得る。幾つかの実施形態において、薬剤は、核酸、核酸類似体、タンパク質、抗体、ペプチド、アプタマー、核酸のオリゴマー、アミノ酸、または炭化物、例えば非限定的にタンパク質、オリゴヌクレオチド、リボザイム、DNAzyme、糖タンパク質、siRNA、リポタンパク質、アプタマー、ならびにそれらの修飾物および組み合わせである。幾つかの実施形態において、該核酸は、DNAまたはRNAであり、例えば核酸類似体は、PNA、pcPNAおよびLNAであり得る。核酸は、一本鎖または二本鎖であってもよく、該当するタンパク質コードする核酸、オリゴヌクレオチド、PNAなどを含む群から選択され得る。そのような核酸配列としては、例えば転写レプレッサー、アンチセンス分子、リボザイム、小分子阻害性核酸配列、例えば非限定的にRNAi、shRNAi、siRNA、マイクロRNAi(mRNAi)、アンチセンスオリゴヌクレオチドなどとして働くタンパク質をコードする核酸配列が挙げられるが、これらに限定されない。タンパク質および/またはそのペプチド剤もしくは断片は、該当する任意のタンパク質、非限定的に突然変異タンパク質;治療性タンパク質;通常は細胞内に存在しない、またはより低レベルで発現されるトランケート化タンパク質であり得る。該当するタンパク質は、突然変異タンパク質、遺伝子操作されたタンパク質、ペプチド、合成ペプチド、組換えタンパク質、キメラタンパク質、抗体、ヒト化タンパク質、ヒト化抗体、キメラ抗体、修飾タンパク質およびその断片を含む群から選択され得る。

本明細書で用いられる用語「転写因子」または「TF」は、DNA結合ドメインを用いてDNAの特異的部分に結合して、DNAからRNAへの遺伝子情報の転写を制御する径の一部となるタンパク質を指す。

本明細書で用いられる用語「DC誘導因子」は、その用語が本明細書で定義される通り、発現がDC状態への細胞、例えば体細胞のリプログラミングに寄与する、タンパク質、RNAまたは小分子などの発達能力を改変する因子を指す。DC誘導因子は、例えばインビトロでiDCを作製する方法においてこれらの因子の1つまたは複数に置き換えることができる任意の遺伝子、タンパク質、RNAまたは小分子をはじめとする、PU.1、IRF8、BATF3およびTCF4など、細胞をDC状態にリプログラミングし得る転写因子であり得る。幾つかの実施形態において、DC誘導因子の外来発現は、1種または複数のDC誘導因子の内部発現を誘導するため、該1種または複数のDC誘導因子の外来発現は、iDC状態の細胞の安定した維持にもはや必要でない。

本明細書で用いられる用語「抗原提示細胞」(APC)は、表面で主要組織適合遺伝子複合体(MHC)と複合化された抗原を提示する細胞を指し、この工程は、抗原提示として公知である。T細胞は、T細胞受容体(TCR)を用いてこれらの複合体を認識することができる。これらの細胞は、抗原を処理して、それらをT細胞に提示する。

本明細書で用いられる用語「体細胞」は、生物体の身体を形成する任意の生体細胞、即ち多細胞生物体における、配偶子、生殖細胞、生殖母細胞、または未分化幹細胞以外の任意の細胞を指す。

内因性DC誘導因子の発現は、クロマチン修飾剤を使用して、または使用せずに、細胞内のホ乳動物遺伝子発現をモジュレートすることが可能なDNA標的化システムの使用により誘導され得る。幾つかの実施形態において、該DNA標的化システムは、任意の修飾タンパク質、細胞と接触された単離ポリヌクレオチドまたはベクター、ならびにPU.1、IRF8、BATF3およびTCF4からなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子のプロモーター領域を標的化する少なくとも1種のガイドRNAを含み得るClustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats(CRISPR)/CRISPR関連(Cas)9に基づくシステム(WO2014197748 A2に記載)を含んでいてもよい。該DNA標的化システムは、dCas9−VP64を含んでいてもよい。幾つかの実施形態において、該DNA標的化システムは、PU.1、IRF8、BATF3およびTCF4からなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子の異なる標的領域に結合する2種以上の転写活性化因子様エフェクター転写因子(US20140309177 A1に記載)を含んでいてもよい。

一実施形態において、iDCは、とりわけ黒色腫、前立腺癌、膠芽腫、急性骨髄性白血病などの癌の患者において特異的な免疫応答を誘導する免疫療法として用いることができる。

一実施形態において、iDCは、ウイルス、細菌および寄生虫病原体により誘起される感染を処置するのに用いることもできる。

一実施形態において、iDCは、ワクチン免疫原性検査のためのインビトロツールとして用いることもできる。

本開示において用いられる多能性幹細胞は、ヒトの胚の破壊を必然的に含む方法を繰り返す必要がなく、即ち誘導多能性幹細胞を使用して得られる。誘導多能性幹細胞(iPS細胞またはiPSCとしても公知)は、細胞内リプログラミングにより成体細胞から直接生成され得る多能性幹細胞の型である。

この方法により得ることができる誘導樹状細胞(iDC)は、細胞表面のMHC−IおよびII、ならびに共刺激分子CD80、CD86およびCD40を発現する。

幾つかの実施形態において、該組成物は、免疫療法を対象において少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも95.7%、少なくとも98%、または少なくとも99%改善するのに効果的な量で、本発明の主題で開示される単離された転写因子の開示を含んでいてもよい。

幾つかの実施形態において、該組成物は、免疫療法を対象において少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも95.7%、少なくとも98%、または少なくとも99%改善するのに有効な量で、本発明の主題における誘導樹状細胞の開示を含んでいてもよい。

本開示のDC誘導因子は、インビトロ、エクスビボまたはインビボでリプログラミングを誘導するように送達され得る。

本開示の分化細胞は、必要な対象から単離することができ、DC誘導因子は、iDCへのリプログラミングを誘導するように導入することができる。生成されたiDCは、輸液で患者に戻すことができる。

あるいはDC誘導因子は、例えば癌抗原を提示する能力を有するiDCへの癌細胞のインビボでのリプログラミングを誘導するために送達することができる。

好ましい投与経路としては、経口、非経口、筋肉内、静脈内、インサイチュでの注射、鼻内、舌下、髄腔内、および吸入が挙げられるが、これらに限定されない。

幾つかの実施形態において、用量または投与剤形は、対象に、1日1回、1日2回、または1日3回投与される。他の実施形態において、該用量は、対象に、週1回、月1回、2ヶ月に1回、年4回、年3回、年2回、または年1回投与される。

本発明の実施形態は、免疫障害についての小分子スクリーニングを実行するのに有用な細胞の研究使用のためのキットおよび該細胞の生成のための方法をはじめとし、複数の適用例を提供する。加えて本発明は、自家樹状細胞を生成して必要とする患者へ戻すための商業的および医療的に有用な方法を提供する。

例えば、本明細書に記載された方法を用いて樹状細胞を生成し、さらに癌として定義することもできる過剰増殖疾患をはじめとする疾患を処置することができる。さらなる実施形態において、該癌は、黒色腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、肺癌、肝細胞癌、白血病、網膜芽細胞腫、星状細胞腫、膠芽腫、歯肉癌、舌癌、神経芽細胞腫、頭部癌、頸部癌、乳癌、膵臓癌、前立腺癌、大腸癌、食道癌、非ホジキンリンパ腫、子宮癌、肝臓癌、甲状腺癌、腎臓癌、皮膚癌、骨癌、精巣癌、卵巣癌、中皮腫、子宮頸癌、胃腸癌、リンパ腫、脳癌、結腸癌、肉腫または膀胱癌である。該癌は、腫瘍細胞で構成された腫瘍を含む場合もある。例えば腫瘍細胞は、黒色腫細胞、膀胱癌細胞、乳癌細胞、肺癌細胞、結腸癌細胞、前立腺癌細胞、肝臓癌細胞、膵臓癌細胞、胃癌細胞、精巣癌細胞、脳癌細胞、卵巣癌細胞、リンパ癌細胞腫、皮膚癌細胞、脳癌細胞、骨癌細胞、または軟組織癌細胞を挙げることができるが、これらに限定されない。他の実施形態において、該過剰増殖疾患は、関節リウマチ、炎症性腸疾患、骨関節炎、平滑筋腫、腺腫、脂肪腫、血管腫、線維腫、血管閉塞、再狭窄、アテローム性硬化症、新生物発生前の病変(腺腫性過形成および前立腺上皮内新生物など)、インサイチュの癌、口内毛様白板症、または乾癬である。

したがって一実施形態において、本明細書で提供されるのは、BATF3(配列番号1、配列番号2)、IRF8(配列番号5、配列番号6)、PU.1(配列番号7、配列番号8)、TCF4(配列番号13、配列番号14)、またはそれらの混合物から選択される少なくとも2種、3種、4種以上のDC誘導因子をコードする1種または複数の発現ベクターを含む樹状細胞(DC)誘導組成物である。特定の実施形態において、その添加は、その効率を少なくとも8%上昇させる。

本明細書に記載されたこれらの態様およびそのような全ての態様の幾つかの実施形態において、該1種または複数の発現ベクターは、レトロウイルスベクターである。

本明細書に記載されたこれらの態様およびそのような全ての態様の幾つかの実施形態において、該1種または複数の発現ベクターは、レンチウイルスベクターである。幾つかの実施形態において、該レンチウイルスベクターは、誘導性レンチウイルスベクターである。

同じく、幾つかの態様において本明細書で提供されるのは、BATF3(配列番号1、配列番号2)、IRF8(配列番号5、配列番号6)、PU.1(配列番号7、配列番号8)、TCF4(配列番号13、配列番号14)、またはそれらの混合物から選択される少なくとも2種、3種、4種のDC誘導因子をコードする修飾mRNA配列を含み、上記修飾mRNA配列それぞれの各サイトカインが修飾シトシンであり、上記修飾mNRA配列それぞれの各ウラシルが修飾ウラシルである、樹状細胞(DC)誘導組成物、またはそれらの組み合わせである。

幾つかの態様において、本明細書で提供されるのは、TCF4(配列番号13、配列番号14)、BATF3(配列番号1または配列番号2)、IRF8(配列番号5、配列番号6)、PU.1(配列番号7、配列番号8)、またはそれらの混合物から選択される少なくとも2種の配列を含み、上記修飾mRNA配列それぞれの各サイトカインが修飾シトシンであり、上記修飾mNRA配列それぞれの各ウラシルが修飾ウラシルである、樹状細胞(DC)誘導組成物、またはそれらの組み合わせである。

本明細書に記載されたこれらの態様およびそのような全ての態様の幾つかの実施形態において、該修飾シトシンは、5−メチルシトシンであり、該修飾ウラシルは、シュードウラシルである。

同じく幾つかの実施形態において、本明細書で提供されるのは、体細胞から誘導樹状細胞(iDC)を調製するための方法であって、 該体細胞を、PU.1(配列番号7、配列番号8)をコードする核酸配列、IRF8(配列番号5、配列番号6)をコードする核酸配列、BATF3(配列番号1、配列番号2)をコードする核酸配列を含む1種または複数のベクターで形質導入し、各上記核酸配列が、プロモーターに動作可能に連結されていること;および 該形質導入された体細胞を、樹状細胞の生育を支援する細胞培地で培養し、それによりiDCを調製すること、 を含む、方法である。

本明細書に記載されたこれらの態様およびそのような全ての態様の幾つかの実施形態において、該形質導入ステップは、TCF4(配列番号13、配列番号14)をコードする核酸配列;IL12をコードする核酸配列;GM−CSFをコードする核酸配列;IL−7をコードする核酸配列;IL−10RNAを標的とするsiRNAをコードする核酸配列のうちの1つまたは複数を含む1種または複数のベクターをさらに含む。

本明細書に記載されたこれらの態様およびそのような全ての態様の幾つかの実施形態において、該形質導入ステップは、免疫刺激性サイトカインをコードする核酸を含む1種または複数のベクターをさらに含む。好ましくは該サイトカインは、インターロイキン(例えば、IL−1α、IL−1β、IL−2、IL−3、IL−4、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−12、IL−18、IL−19、IL−20)、インターフェロン(例えば、IFN−α、IFN−β、IFN−γ)、腫瘍壊死因子(TNF)、トランスフォーミング成長因子β(TGF−β)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、Flt−3リガンドまたはkitリガンドのうちの1つである。これらのサイトカインのアミノ酸配列は、当該技術分野で周知である。ヘテロダイマー免疫刺激性サイトカイン(例えば、IL−12)の場合、誘導樹状細胞(iDC)は、サイトカイン分子の両方のサブユニットを発現するように遺伝子修飾されることになる。

さらなるベクターは、これらのサイトカインの変異体をコードする核酸を含んでいてもよい。例えば前形態および成熟形態の両方を有するそれらのサイトカインの場合(例えば、シグナルペプチドの開裂前および後、または活性断片を得る限定されたタンパク質分解の前および後)、本発明のAPCは、前形態または成熟形態のいずれかを発現させるように遺伝子修飾されてもよい。サイトカインの活性断片と異種配列(例えば、異種シグナルペプチド)との融合タンパク質など他の変異体を用いてもよい。種の変異体を、ヒト対象における活性を維持する程度に用いてもよい。したがって例えば、ヒトサイトカインのネズミ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ネコ、イヌ、非ヒト霊長類、または他のホ乳動物変異体が、それらのヒト相同体と実質的に類似の活性を維持するならば、これらの種の変異体を発現するように、ヒトAPCを遺伝子修飾してもよい。

最大CTL刺激および増殖、ならびに/または他のT細胞型の刺激および増殖を実現するために、さらなる免疫刺激剤を投与することが望ましい場合もある。これらとしては、樹状細胞を活性化すること、およびT細胞活性化を促進する能力を刺激することが可能な薬剤を挙げることができる。そのような薬剤は、アジュバントと称することができる。該アジュバントは、CD40のアゴニスト(可溶性CD40リガンド、またはCD40に特異的なアゴニスト抗体など)、CD28、CD27もしくはOX40のアゴニスト(例えば、それらの分子の1種に特異的なアゴニスト抗体)、CTLA−4アンタゴニスト(例えば、CTLA−4に特異的なブロッキング抗体)、および/またはToll様受容体(TLR)アゴニスト、および/または樹状細胞活性化を誘導することが可能な任意の他の薬剤を含んでいてもよい。TLRアゴニストは、Toll様受容体を活性化する物質である。好ましくは該TLRアゴニストは、TLR3、TLR4、TLR5、TLR7またはTLR9の活性化因子である。適切なTLRアゴニストは、TLR4に結合するMPL(モノホスホリルリピドA)である。用いられ得る他のTLRアゴニストは、TLR2に結合するLTA(リポタイコ酸);TLR3に結合するpoly I:C(ポリイノシン酸−ポリシチジル酸);TLR5に結合するフラジェリン;TLR7に結合するイミキモドもしくはpolyU RNA(1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ(4,5−c)キノリン−4−アミン)、ならびにTLR9に結合するCpG(DNA CpGモチーフ);またはTLRに結合してそれを活性化する任意の他の成分である。より詳細については、Reis e Sousa, Toll−like receptors and dendritic cells. Seminars in Immunology 16:27, 2004を参照されたい。TLRを介して働き得ないアジュバントとしては、5’三リン酸RNA、poly I:C、およびカードラン(β−1,3−グルカン)などのβ−グルカンが挙げられる。

本明細書に記載されたこれらの態様およびそのような全ての態様の幾つかの実施形態において、該培養ステップは、インターロイキン(例えば、IL−1α、IL−1β、IL−2、IL−3、IL−4、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−12、IL−18、IL−19、IL−20)、インターフェロン(例えば、IFN−α、IFN−β、IFN−γ)、腫瘍壊死因子(TNF)、トランスフォーミング成長因子β(TGF−β)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、Flt−3リガンドまたはkitリガンドからなる群から選択される少なくとも1種の免疫刺激性組換えサイトカインを補充された、樹状細胞または抗原提示細胞の生育を支援する細胞培地の使用をさらに含む。ヘテロダイマー免疫刺激性サイトカイン(例えば、IL−12)の場合、誘導樹状細胞(iDC)は、サイトカイン分子の両方の細部ユニットと共に培養されることになる。他の炎症促進性サイトカインを、アジュバントとして用いてもよい。

本明細書に記載されたこれらの態様およびそのような全ての態様の幾つかの実施形態において、該体細胞は、線維芽細胞である。

本明細書に記載されたこれらの態様およびそのような全ての態様の幾つかの実施形態において、該体細胞は、造血系譜の細胞である。

本明細書に記載されたこれらの態様およびそのような全ての態様の幾つかの実施形態において、該造血系譜の細胞は、前骨髄細胞、好中球、好酸球、好塩基球、網状赤血球、赤血球、肥満細胞、破骨細胞、巨核球、血小板を生成する巨核球、血小板、単球、マクロファージ、リンパ球、NK細胞、NKT細胞、自然リンパ球、複能性造血幹細胞および始原細胞、寡能性造血前駆細胞、系譜限定の造血前駆体から選択される。

本明細書に記載されたこれらの態様およびそのような全ての態様の幾つかの実施形態において、該造血系譜細胞は、複能性始原細胞(MPP)、共通骨髄始原細胞(CMP)、顆粒球−単球始原細胞(GMP)、共通リンパ始原細胞(CLP)、およびpre巨核球−赤血球始原細胞から選択される。

本明細書に記載されたこれらの態様およびそのような全ての態様の幾つかの実施形態において、該造血系譜細胞は、巨核球−赤血球始原細胞(MEP)、ProB細胞、PreB細胞、PreProB細胞、ProT細胞、二重陰性T細胞、pro−NK細胞、pre−樹状細胞(pre−DC)、pre顆粒球/マクロファージ細胞、顆粒球/マクロファージ始原(GMP)細胞、およびpro肥満細胞(ProMC)から選択される。

同じく幾つかの態様において、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載された1種または複数の発現ベクター成分を含むDC誘導組成物のいずれかを含む、誘導樹状細胞(iDC)を作製するためのキットである。

幾つかの態様において、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載された修飾mRNA配列成分を含むDC誘導組成物のいずれかを含む、誘導樹状細胞(iDC)を作製するためのキットである。

本明細書に記載されたこれらの態様およびそのような全ての態様の幾つかの実施形態において、該1種または複数の発現ベクターは、レンチウイルスベクターである。幾つかの実施形態において、該レンチウイルスベクターは、誘導性レンチウイルスベクターである。幾つかの実施形態において、該レンチウイルスベクターは、ポリシストロニック誘導性レンチウイルスベクターである。幾つかの実施形態において、該ポリシストロニック誘導性レンチウイルスベクターは、3つ以上の核酸配列を発現する。幾つかの実施形態において、該ポリシストロニック誘導性レンチウイルスベクターの核酸配列のそれぞれは、2Aペプチド配列により分離されている。

ポリシストロニックウイルス発現システムの使用は、iDCへの体細胞のインビボリプログラミング効率を上昇させ得る。したがって本明細書に記載された態様の幾つかの実施形態において、ポリシストロニックレンチウイルスベクターが、用いられる。そのような実施形態において、本明細書に記載されたDC誘導因子の2種以上をコードする配列が、ポリシストロニック転写産物として単一プロモーターから発現される。2Aペプチド方策を利用して、ポリシストロニックベクターを作製することができる(例えば、Expert Opin Biol Ther.2005 May;5(5):627−38参照)。ポリシストロニック発現ベクターシステムはまた、内部リボソーム進入部位(IRES)エレメントを利用して、多重遺伝子、またはポリシストロニックなメッセージを作出することができる。IRESエレメントは、5’−メチル化キャップ依存性翻訳のリボソームスキャニングモデルを迂回して、内部部位で翻訳を開始することができる(Pelletier and Sonenberg, 1988)。IRESエレメントは、異種オープンリーディングフレームに連結することができる。それぞれがIRESによって分離された複数のオープンリーディングフレームを一緒に転写し、それによりポリシストロニックなメッセージを作出することができる。IRESエレメントのおかげで、各オープンリーディングフレームは、効率的翻訳のためにリボソームに接近可能である。複数の遺伝子を、単一プロモーター/エンハンサーを用いて効率的に発現させて、単一メッセージを転写することができる。例えば米国特許第4,980,285号;同第5,925,565号;同第5,631,150号;同第5,707,828号;同第5,759,828号;同第5,888,783号;同第5,919,670号;および同第5,935,819号;ならびにSambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Ed., Cold Spring Harbor Press(1989)を参照されたい。

以下の図は、本明細書を例示するための好ましい実施形態を提供しており、本発明の範囲を限定するものと理解してはならない。

造血系分化の略図。造血系の分化は通常、漸次的により制限された始原体を通して、造血幹細胞(HSC)から樹状細胞(DC)(破線のボックスで強調されている)などの分化した血液エフェクター細胞に進行するが、本明細書に記載された結果は、DCで濃縮された転写因子を利用して、分化した体細胞を他の系譜から抗原提示能力を有する樹状細胞の運命にリプログラミングすることを目指している。複能性始原細胞(MPP)、共通骨髄始原細胞(CMP)、共通リンパ始原細胞(CLP)、顆粒球−単球始原細胞(GMP)、pre巨核球−赤血球(pre−MEG/E)始原細胞、巨核球−赤血球始原細胞(MEP)、コロニー形成単位−赤血球(CFU−E)、巨核球始原体MkP、pro肥満細胞(ProMC)、単球DC始原体(MDP)、共通樹状細胞前駆体(CDP)、pre樹状細胞(pre−DC)、二重陰性T系譜前駆体(DN1、DN2)。

直接的細胞リプログラミングによる抗原提示細胞の生成。マウスおよびヒト線維芽細胞からの樹状細胞(iDC)の誘導のための、本発明の主題におけるTF組の開示の影響の観察。誘導DCは、細胞抽出物または定義された抗原(プライミングされたiDC)を負荷した後に個人に合わせた免疫療法を生成するために適用することができる。DCは、マクロファージ(Mφ)、T、BおよびNK細胞への抗原提示に特化される。誘導DCは、癌、ウイルス、寄生虫または細菌感染に対する抗原特異性芽根期応答を刺激する。

抗原特異性免疫応答を刺激する癌細胞のインサイチュまたはエクスビボ直接的リプログラミング。TF組(PIB)のカクテルをインビボ、またはインサイチュ、またはエクスビボ、またはインビトロで癌細胞に直接導入した場合の、DCの運命および抗原提示能力の誘導についてのTF組(PIB)の影響。この方策により腫瘍細胞は、特異的抗原(腫瘍APC)をCD4+およびCD8+T細胞へ提示して、腫瘍に対する標的化免疫応答を惹起することができる。

DCの直接的リプログラミングのための18のTF候補。(A)複数のマウス組織にまたがる18の候補因子の遺伝子発現を示したヒートマップ(GeneAtlas MOE430)。18の因子の大部分は、DC内で特異的に濃縮されるが(黒いボックス)、他の組織では濃縮されない(右)。(B)骨髄培養物から得られたマクロファージ(Mφ)と比較した場合の、マウスDCにおける18の因子の遺伝子発現増加を示したヒートマップ(左パネル、GSE62361)。共通樹状細胞前駆体(CDP)、pre従来型DC(Pre−cDC1およびPre−CD2)および従来型DC(cDC1およびcDC2)における18のTFの遺伝子発現を示したヒートマップ(右パネル、GSE66565)。遺伝子発現データを、Cluster3.0で解析して、Treeviewにより表示した。赤色は、平均を超える発現増加を示し、青色は、発現減少を示す。(C)遺伝子オントロジーによる生物学的工程(左)およびマウス機能喪失型突然変異体表現型(右)エンリッチメント解析を、Enrichr(http://amp.pharm.mssm.edu/Enrichr/)を用いて候補の18のTFについて実施した。リストは、最も濃縮された項目(上位19種)を示し、左の列は、各p値を示す。最も濃縮された生物学的工程は、白血球分化(p=2.51E−12)、白血球活性化(p=1.02E−11)、DC分化(p=9.58E−12)、およびDC活性化(p=6.31E−11)であり、突然変異体表現型には、異常な適応免疫(p=1.19E−04)および異常な抗原提示(p=1.25E−03)がある。

Clec9aの発現は、従来型DC系譜に特異的に限定される。(A)Clec9a−Cre X R26−stop−Tomato二重トランスジェニックマウスは、従来型DCとそれにコミットされた前駆体(CDP、共通樹状細胞前駆体)の同定を可能にするが、他の白血球ではtdTomatoの発現が限定されるため、可能でない。(B)DC、およびImmunological Genome Project(www.immgen.org)で入手できるデータから得られた複数の造血細胞系譜におけるClec9aの発現プロファイル。(C)シングルセルレベルでの単球DC始原体(MDP)およびDCにコミットされた前駆体(CDPおよびpre−DC)におけるClec9a遺伝子の遺伝子発現(GSE60783)。

Clec9aは、成熟cDC1において高度に発現される。(A)DC前駆体(CDP、pre−DC1およびpre−CD2)および成熟細胞(cDC1およびcDC2)におけるClec9aの遺伝子発現(GSE60782)。(B)二重トランスジェニックC9a−tdT動物から単離された脾臓cDC1(MHC−II+CD11c+CD8+細胞)におけるClec9a−tdTomatoの確証。Clec9aを発現しないCD8+T細胞が、対照として含まれた。

候補TFをスクリーニングするためのClec9aレポーターMEFの単離および精製。(A)二重トランスジェニック(Clec9a−Cre X R26−stop−Tomato)の妊娠した雌を用いて、胎生E13.5日目のMEFを単離した。頭部、胎児肝臓および内部臓器を摘出した後、MEFをコンフルエンスになるまで培養した。MEFを、造血能力を有する細胞を表し得る残留するCD45+およびtdTomato+細胞を除去するために選別した。(B)残留するCD45+およびtdTomato+細胞を除去するゲーティング方策。集団のおよそ97%である二重陰性MEFを選別した。(C)選別された集団の純度確証。

Clec9aレポーターMEFを活性化する候補TFの能力をスクリーニングするための実験計画。精製されたMEFに、DC特異性TFをコードする誘導性レンチウイルスベクターの異なるプールを形質導入した。MEFをDoxの存在下で培養してTFの発現を誘導し、tdTomato発現のために1〜15日目にモニタリングした。Clec9aプロモーターの活性は、Creリコンビナーゼの発現を誘導して、終止コドンの切除、および結果としてのtdTomatoの発現を媒介する。

候補DC誘導TFの組み合わせはClec9a−tdTomatoレポーターの活性化を誘導する。(A)MEFに、M2rtTA(対照として)、18のTF全て、および3〜4TFのプールを形質導入して、Dox添加後5日目に蛍光顕微鏡測定およびフローサイトメトリーにより分析した。(B)8日目のM2rtTA、18のTF全て、またはより小規模なプールを形質導入した後のtdT+細胞の定量。平均±SD、n=2。(C)8日目の4TFのプールから個々のTFを除去した後、またはそれらの個々の発現のtdT+細胞の定量。平均±SD、n=2。

極微量の転写因子ネットワークが、マウス線維芽細胞においてClec9aレポーターを活性化し、DC形態を誘導する。(A)MEFにM2rtTA(対照として)またはPU.1、IRF8およびBATF3(PIB−3TFの混合物)を形質導入して、Dox添加後5日目に蛍光顕微鏡測定およびフローサイトメトリーにより分析した。(B)フローサイトメトリーにより分析されたClec9a−tdTomatoレポーター活性化の速度論。(C)Dox添加後5日目のPIBのプールから個々のTFを除去した後、またはそれらの個々の発現のtdT+細胞の定量。(D)PIB形質導入細胞(tdTomato+または全集団においてゲーティング)およびM2rtTA形質導入細胞においてサイズ(FSC)および複雑さ(SSC)を示したフローサイトメトリーヒストグラム。(E)Dox添加後5日目のtdTomato+細胞の形態。(F)Dox添加後8日目のF−アクチンについての免疫蛍光性。

0〜7日目にタイムラプス顕微鏡測定により分析されたClec9aレポーター活性化の速度論。スケールバーは、200μmを表す。

極微量の転写因子ネットワークが、総造血系マーカーCD45の発現を誘導する。PIB形質導入MEFにおけるCD45およびtdTomatoの発現についての8日目のフローサイトメトリー分析。

TCF4はClec9aレポーター活性化の効率を上昇させる。(A)MEFに、PU.1、IRF8およびBATF3、PIB(黒色のバー)または18の候補のうち個々のTFを組み合わせたPIB(灰色のバー)を形質導入した。tdTomato+細胞を8日目に定量した。M2rtTA形質導入が、対照として含まれた。平均±SD、n=2〜6。(B)MEFに、PIB(黒色のバー)または個々の造血系TFを組み合わせたPIB(灰色のバー)を形質導入した。8日目に、tdTomato+細胞を定量した。平均±SD、n=2〜6。

Clec9aレポーター活性化を誘導するための最適な培養条件。(A)PIB(PU.1、IRF8およびBATF3)を形質導入されて、Dox添加後10日目に異なる条件で培養されたMEFにおけるtdTomato+細胞の定量。(B)PIB(黒色のバー)を形質導入されて、Dox添加後10日目にOP9およびOP9−DL1細胞と共培養されたMEFにおけるtdTomato+細胞の絶対数。OP9およびOP9−DL1培養物が、対照として含まれた。

シングルセルレベルでのPU.1、IRF8、BATF3およびTCF4の発現プロファイル。単一の単球−樹状細胞前駆体(MDP)および限定されたDC前駆細胞(CDPおよびpre−DC)におけるPU.1、IRF8、BATF3およびTCF4の遺伝子発現(GSE60783)。遺伝子発現レベルを、百万マッピングリードでのエキソンモデルのキロベースあたりのリード(RPKM)値で示す。

マウス細胞/組織におけるPU.1、IRF8、BATF3因子発現の分析。(A)96の組織および細胞型にまたがるPu.1+Ir8+Batf3を組み合わせた遺伝子発現レベル。異なるマウス組織および細胞型からの遺伝子発現データを、GeneAtlas MOE430データベースから得た。「GPSforGenes」プログラムを記載して、TFの組み合わせが最も濃縮された組織を分類するために用いた(最良適合=1)。(B)DC前駆体(CDP、pre−DC1およびpre−DC2)および成熟細胞(cDC1およびcDC2)におけるPu.1、Irf8およびBatf3の遺伝子発現(GSE60782)。遺伝子発現レベルを、相対的遺伝子発現で示す。(C)他のDCサブセットと比較した場合のcDC1サブセットに属するCD103+DC(赤色で強調)、ならびにImmunological Genome Project(www.immgen.org)で入手できる複数の造血系細胞系譜におけるClec9a、PU.1、IRF8およびBATF3の発現増加を示すヒートマップ。遺伝子発現データを、Cluster3.0で解析して、Treeviewにより表示した。赤色は、平均を超える発現増加を示し、青色は、発現減少を示す。

誘導DCは、細胞表面でcDC1マーカーを発現する。(A)Dox添加後8日目のPIB形質導入MEFの表面表現型のフローサイトメトリー分析。tdT+およびtdT−集団におけるCD103、CD8a、CD4、C11BおよびB220発現の定量。(B)代表的なフローサイトメトリープロット。

誘導DCは、細胞表面で抗原提示機構を発現する。(A)Dox添加後7日目のM2rtTA(対照として)およびPIB(PU.1、IRF8およびBATF3)形質導入MEFにおけるMHC−II発現のフローサイトメトリー分析。tdT+およびtdT−集団を示す。(B)M2rtTAおよびPIB形質導入細胞におけるMHC−II表面発現の速度論。MEFを、Dox添加後1〜15日目にフローサイトメトリーにより分析した。(C)Dox添加後5日目の、PIBのプールから個々のTFを除去した後のバルク培養における高および低レベルでMHC−IIを発現した細胞のパーセンテージの定量。(D)4TFを形質導入した後、または個々を除去した際のtdTomato+集団内の5日目MHC−II+細胞の定量。

誘導DCは細胞表面でMHC−Iを発現する。Dox添加後7日目のM2rtTAおよびPIB形質導入MEFにおけるMHC−I発現のフローサイトメトリー分析。

誘導DCは細胞表面で共刺激分子を発現する。Dox添加後5日目のPIB(PU.1、IRF8およびBATF3)形質導入MEFにおけるtdTomato+集団の細胞表面での共刺激分子(CD80およびCD86)のフローサイトメトリー分析。MHC−II+およびMHC−II−集団を示す。

誘導DCは、LPS刺激の際にCD40発現を上方制御する。(A)8日目のPIB形質導入MEFにおけるtdTomato−およびtdTomato+集団におけるCD40発現のフローサイトメトリー分析。(B)ヒストグラムは、13日目の一夜LPS刺激を行った、または行っていないCD40の発現を示す。

PIB因子は、線維芽細胞における全体的な樹状細胞遺伝子発現プログラムを誘導する。(A)Clec9aレポーターMEFに、Pu.1(P)、Irf8(I)およびBatf3(B)を形質導入して、iDCを生成した。形質導入細胞を、FACSにより選別し、3日目(d3、20のClec9a−tdTomato+細胞)、7日目(d7、40のClec9a−tdTomato+細胞)および9日目(d9、36のClec9a−tdTomato+MHC−II+細胞)にFludigm C1システムを利用したフルトランスクリプトシングルセルRNA−seqを利用して採取した。C57Bl/6動物から単離された0日目の非形質導入MEF(30細胞)および脾臓DC(sDC、66のCD11c+MHC−II+CD8a+細胞)を、対照として用いた。(B)163のシングルセルのクラスタリングを示したゲノムワイドトランスクリプトームのt分布型確率的近傍埋め込み(tSNE)分析。各ドットは、個々の細胞を表す。各試料群の細胞数を、括弧内に示す。(C)SC3クラスタリングアルゴリズムにより得られたコンセンサスマトリックスの完全連結法階層的クラスタリング。(D)5つの異なる生体試料群(列、MEF、d3、d7、d9およびsDC)での6525の最も可変性のある遺伝子の発現を示したヒートマップ。4つの遺伝子クラスタリング:Cluster I(3014の遺伝子)、II(530の遺伝子)、III(347の遺伝子)およびIV(2634の遺伝子)を示す。カラースキームは、−2(青色)〜2(赤色)のZスコア分布に基づく。各クラスターの遺伝子の例を示す(右パネル)。(E)線維芽細胞遺伝子の発現レベルを、センサスカウント(census count)の中央値±95%信頼区間として示す。(F)バイオリンプロット(高さ:遺伝子発現、幅:遺伝子を発現する細胞の存在率)として表された、クラスターII(Eea1、Aldh1a2、Ifit3)、クラスターIII(H2−PB、Ctsc、Cd74)およびクラスターIV(Clec9a、Cd45、Cd11c、Tlr3、Ccr2、Nlrc5)における遺伝子発現レベル。センサスカウントの対数値を示し、水平線は中央値に対応する。

PIB因子は、内因性Pu.1、Irf8およびBatf3を含むDC転写制御因子の発現を誘導する。(A)DC転写制御因子:Zbtb46、Bcl11a、Stat2、Irf7、Stat6およびStat1の発現レベルを示したバイオリンプロット。(B)Pu.1、Irf8およびBatf3遺伝子の発現レベルを、±1.5×四分位間範囲まで拡大した箱ひげ図として表された対数カウントとして示す。合計(左パネル)および内因性転写産物(右パネル)レベルを表示している。

iDCリプログラミングの間の段階的移行についてのパスウェイエンリッチメント。(A)段階的iDCリプログラミングのための遺伝子セットエンリッチメント解析(GSEA)を、NetPathの注釈を付けたシグナル伝達経路からの注釈付き遺伝子セットを利用して実施した。3日目は、MEFに対比して3日目に上方制御された経路を参照し、7日目は、3日目に対比して7日目に上方制御された経路を参照し、9日目は、7日目に対比して9日目に上方制御された経路を参照する。データベースは、正規化エンリッチメントスコア(NES)に従って整列させ、偽発見率(FDR)のq値を示している。下のパネルは、IL−4(3日目)およびオンコスタチンM(9日目)遺伝子セットについてのエンリッチメントプロットを示す。

iDCリプログラミングの間の段階的移行についての転写ネットワーク。(A)各段階的移行のためのiDCリプログラミングの間の転写因子共分散ネットワーク。図示されるのは、5より多くのエッジを有する転写制御因子であり、各エッジは、連結する転写制御因子の間にある0.35より大きな相関関係を表す。転写因子PU.1、IRF8およびBATF3を、赤色で強調している。(B)骨髄からDC前駆体(CDPおよびpre−DC1)および成熟細胞(cDC1)においてパネルAに示された転写制御因子の発現を示したヒートマップ(GSE60782)。遺伝子発現データを、Cluster3.0で解析して、Treeviewにより表示した。赤色は、平均を超える発現増加を示し、青色は、発現減少を示す。(C)Doxの添加後3、5、7、10および25日目のPIB形質導入MEFを、造血系コロニー形成についてアッセイした(平均±SD、n=2)。選別されたsDC1および未選別の脾臓細胞および骨髄細胞が、対照として含まれた。

PIB因子は、cDC1発現プログラムに向かう転写リプログラミングを誘導する。cDC1およびcDC2遺伝子発現シグネチャーを、Schlitzerら(11)からのデータベースを解析することにより作成した(GSE60783)。リプログラミングの間のcDC1およびcDC2遺伝子シグネチャーの累積発現レベル中央値。

シングルセルリプログラミングトラジェクトリーの再構成。(A)シングルセルのゲノムワイドなトランスクリプトームを、TSCANソフトウエア(擬似時間)で整列させた。非形質導入MEF、3日目(d3)、7日目(d7)の誘導DC(iDC)Clec9a−tdTomato+、9日目(d9)のClec9a−tdTomato+MHC−II+、および脾臓DC(sDC、CD11c+MHC−II+CD8a+)の系列を示す。各ドットは、個々の細胞を表す。(B)予測されたトラジェクトリーに従う二次元独立性コンポーネント空間での細胞発現プロファイル。黒色の実線は、Monocle2により構築された擬似時系列を示す。各ドットは、生体試料群(左パネル)または細胞状態(右パネル)に従って着色された個々の細胞を表す。各細胞状態に割り付けられた各試料群からの細胞数を、カッコ内に表す。

シングルセルリプログラミングトラジェクトリーの再構成は、iDCの異なる成熟状態を強調する。(A)BEAMにより同定された分岐依存性遺伝子(branch−dependent genes)の5つの速度(kinetic)クラスター。(B)細胞状態2と細胞状態3の間の遺伝子セットエンリッチメント解析(GSEA)を、免疫シグネチャーコレクション(4,872の遺伝子セット、FDR<0.02または遺伝子セットあたり最大200遺伝子)に存在する遺伝子セットを用いて実施した。遺伝子セットを正規化エンリッチメントスコア(NES)に従って整列させて、偽発見率(FDR)q値を示している。黒色線は、DC遺伝子セットを表す。右パネルは、成熟した刺激性DC、IFNγ刺激されたDCおよびIFNα刺激されたDC遺伝子セットのエンリッチメントプロットを示す(全てが状態3で濃縮されている)。

PIB因子は、DC成熟に関連する遺伝子の高レベルの発現を誘導する。(A)2つのMSigDB遺伝子セットのエンリッチメントを示した9日目のiDCおよびsDC1のGSEA(左)。バイオリンプロット(右)は、9日目に濃縮されている遺伝子の発現分布を示す。

PIB因子は、DC成熟に関連する遺伝子の高レベルの発現を誘導する。(A)Monocle2(擬似時間)で整列された状態1、2および3からのシングルセルにおけるCiita、H2−Aa、H2−Ab1およびH2−Eb1遺伝子の発現レベル。各ドットは、個々の細胞の相対的発現値を表す。線は、状態2(実線)および状態3(破線)についての枝の速度曲線を表す。(B)Ciita、Acp5、Tnfrsf1a、Tapbp、Inpp5d、Traf6およびItga4遺伝子の発現レベルを示したバイオリンプロット。センサスカウントの対数値を示し、水平線は中央値に対応する。

誘導DCはTLR刺激により炎症性サイトカインを分泌する。(A)一夜のTLR4(LPS)またはTLR3(Poly I:C)刺激を利用して、または利用せずにPIB(PU.1、IRF8およびBATF3)またはPIBT(PU.1、IRF8、BATF3およびTCF4)を形質導入されたMEFによるサイトカインの分泌。PIBまたはPIBT因子を形質導入されたMEFの上清を、Dox添加後10日目に回収して、BD Cytometric Bead Array Mouse Inflammation Kitを用いてサイトカイン濃度について分析した。未処置、または一夜の100ng/mL LPS処置もしくは25μg/mL Poly I:C処置の細胞についてのサイトカインレベルを示し、黒色または灰色のバーは、それぞれPIBまたはPIBT形質導入MEFを表す。

誘導DCは小粒子を貪食することができる。PIB(PU.1、IRF8およびBATF3)を形質導入されたMEFを、FITC標識ラテックスビーズ(1μm)と共に一夜インキュベートし、Doxの添加後7日目に蛍光顕微鏡測定により分析した。

誘導DCはタンパク質および死亡細胞を貪食することができる。(A)PIB形質導入MEFをFACS選別して、11日目にtdTomato−およびtdTomato+(iDC)集団をAlexaFluor647標識オボアルブミン(OVA−Alexa647)と共に37℃でインキュベートして、フローサイトメトリーにより分析した。対照を氷(4℃)上に保持した。(B)11日目の選別されたtdTomato−およびtdTomato+(iDC)集団を、CellVue Claret Far Red膜染色剤で標識された死亡細胞と共に一夜インキュベートして、フローサイトメトリーにより分析した。(C、D)11日目のiDCを、DAPIを標識された死亡細胞と共に一夜インキュベートして、蛍光により、または(D)タイムラプス顕微鏡測定により分析した。

誘導DCはTLRシグナル伝達およびエンドサイトーシス経路に関与する遺伝子を発現する。(A)TLRシグナル伝達および(B)抗原取込み、を調節する遺伝子のバイオリンプロット。

誘導DCは、抗原を捕捉して、それをCD4+T細胞に提示する。(A)抗原提示アッセイの略図。Dox添加後8日目のiDCを、OT−II Rag2KOマウスから単離されてオボアルブミン(OVA)またはPVAペプチド323−339の存在下にCFSEで標識されたOT−II CD4+T細胞と共培養した。7日後に、CD4+T細胞の活性化をCFSE希釈、およびT細胞活性化マーカーCD44の発現により評価した。(B)OVAの存在下でPIBまたはPIB+TCF4を形質導入されて、LPSで刺激された、または刺激されていないMEFと共培養されたCFSE標識CD4+T細胞のフローサイトメトリープロット。脾臓MHC−II+CD11c+DCと共培養されたCD4+T細胞が、対照として含まれた。灰色の線は、非接触CD4+T細胞に対応する。(C)LPSおよびOVAまたはOVAペプチドの存在下でPIBを形質導入されたMEFと共培養されたCFSE標識CD4+T細胞のCD44発現を示すフローサイトメトリープロット。

誘導DCは抗原を捕捉してCD4+T細胞に提示する。LPSおよびOVAまたはOVAペプチドの存在下でPIBを形質導入されたMEFと共培養されたCFSElow CD4+T細胞のパーセンテージの定量。脾臓DCが、対照として含まれた。

誘導DCはエンドサイトーシスカーゴを細胞質に効率的に輸送して、交差提示遺伝子を発現する。(A)16日目のiDCに、β−ラクタマーゼのFRET感受性サイトゾル基質を負荷して、β−ラクタマーゼと共にインキュベートした。サイトゾルへのβ−ラクタマーゼ輸送の速度を、フローサイトメトリーによりCCF4切断として測定した。(B)遺伝子調節交差提示のためのバイオリンプロット。

誘導DCは外部抗原を捕捉してCD8+T細胞に交差提示する。(A)16日目のiDCを、B3Z T細胞ハイブリドーマと共に16時間コインキュベートし、LPSまたはPoly I:C(PIC)刺激の非存在下(左パネル)または存在下(右パネル)で、可溶性OVAタンパク質の濃度を上昇させた。T細胞活性化を、B3Z(IL−2プロモーターにより誘発)におけるβ−ガラクトシダーゼ発現の上方制御として測定し、比色基質:CPRGを用いて定量した。(B)交差提示アッセイの略図(左パネル)。Dox添加後8日目のiDCを、OT−I Rag2KOマウスから単離されたOT−I CD8+T細胞と共培養して、オボアルブミン(OVA)またはOVA 257−264ペプチドの存在下にCFSEで標識した。4日後に、CD4+T細胞の活性化を、CFSE希釈およびT細胞活性化マーカーCD44の発現により評価した。OVAの存在下でPIBまたはPIB+TCF4を形質導入されたMEFと共培養されたCFSE標識CD8+T細胞のCD44発現を示したフローサイトメトリープロット。脾臓MHC−II+CD11c+DCと共培養されたCD8+T細胞が、対照(中央パネル)および各定量(右パネル)として含まれた。

PU.1、IRF8およびBATF3は、ヒト線維芽細胞におけるDC様形態を誘導する。(A)ヒト皮膚線維芽細胞(HDF)に、PIB(PU.1、IRF8、BATF3)を形質導入して、Doxの存在下で培養した。(B)Dox添加後3日目にPIBを形質導入されたMDFの明視野像。白色矢尻は、典型的なDC様形態の細胞を表示している。M2rtTA形質導入HDFを対照として示す。(C)DC様形態であるPIB形質導入HDFの高倍率の明視野像。

PU.1、IRF8およびBATF3はヒト線維芽細胞におけるHLA−DRおよびCLEC9Aの発現を誘導する。Dox添加後9日目のPIB形質導入ヒト線維芽細胞におけるHLA−DRおよびCLEC9A発現のフローサイトメトリー分析。

PU.1、IRF8およびBATF3はヒト線維芽細胞においてビーズおよびタンパク質を捕捉する能力を誘導する。(A)PIBを形質導入されたHDFを、FITC標識ラテックスビーズ(1μm)と共に一夜インキュベートして、Dox添加後7日目に蛍光顕微鏡測定により分析した。CellVue Claret Far RedおよびDAPIを用いて、それぞれ細胞膜および核を染色した。(B)Dox添加後7日目にオボアルブミン−AlexaFluor647と共に37℃で20分間インキュベートした後のPIB形質導入HDFのフローサイトメトリー分析。対照は、氷(4℃)上に保持した。

PIB因子は、肺癌細胞におけるClec9aおよびMHC−II発現を誘導する。Dox添加後8日目のPIB形質導入3LL細胞におけるClec9aおよびMHC−II発現のフローサイトメトリー分析。M2rtTA形質導入細胞が、対照として含まれる。

PIB因子は黒色腫細胞におけるClec9aおよびMHC−II発現を誘導する。Dox添加後8日目のPIB形質導入B16細胞におけるClec9aおよびMHC−II発現のフローサイトメトリー分析。M2rtTA形質導入細胞が、対照として含まれる。

ポリシストロニックベクターにおけるPIB因子の送達はリプログラミング効率を上昇させる。(A)2A様配列により分離されたPu.1、Irf8およびBatf3(PIB)またはIrf8、Pu.1およびBatf3(IPB)のいずれかをコードしたポリシストロニック領域の略図。(B)Dox添加後7日目の個々のベクター(右上パネル)またはポリシストロニックベクター(PIBおよびIPB)においてPu.1、Irf8およびBatf3を形質導入されたMEFにおけるClec9aレポーター活性化のフローサイトメトリー分析。M2rtTA形質導入細胞が、対照として含まれる。(C)7日目の個々のベクターまたはポリシストロニックベクターにおけるPIB因子での形質導入後のtdTomato+細胞の定量。

詳細な記載 本開示は、樹状細胞または抗原提示細胞への分化または未分化細胞の誘導またはリプログラミングを可能にする転写因子の新規な使用および組み合わせの本明細書に記載された驚くべき効果に一部基づく、樹状細胞状態または抗原提示細胞状態への細胞誘導または細胞リプログラミングのための組成物、核酸構築物、方法およびそれらのキットに関する。そのような組成物、核酸構築物、方法およびキットは、樹状細胞をインビトロ、エクスビボ、またはインビボで誘導するために用いることができ、これらの誘導樹状細胞または抗原提示細胞は、免疫療法の適用に用いることができる。

天然のDCは、全ての組織内で播種される骨髄由来細胞である。DCは、環境をサンプリングして、集めた情報を適応免疫系の細胞(T細胞およびB細胞)に移送するように保たれている。抗原貪食により、DCは、ペプチド−主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子複合体の形態である処理された抗原を、リンパ組織内のナイーブ(即ち、抗原未経験の)T細胞に提示することにより免疫応答を開始する。活性化の後、DCは、典型的には共刺激分子およびMHC分子を過剰発現し、加えて多くのTおよびBリンパ球応答を開始および/または増強することを担う様々なサイトカイン、即ちI型インターフェロン、腫瘍壊死因子(TNF)−アルファ、IFN−γ、IL−12およびIL−6を分泌する。したがってDCは一般に、主要組織適合遺伝子複合体クラスII分子(MHC−II)、CD80/86およびCD40などの共刺激分子、ならびにインテグリンCD11cの高度の発現と、炎症性サイトカインを分泌し、非リンパからリンパ器官へ遊走してナイーブT細胞を刺激する優れた能力により同定される。マウスおよびヒトにおいて、DCの異なるサブセットは、表現型、個体発生プロセスおよび機能により可変的に定義され得る。それらには、マウスリンパ器官で見出される従来型DCサブセット1(cDC1、CD8α+DCサブセットとしても公知)および非リンパ組織内の関連のCD103+DCサブセットがある。類似の表現型を担持する細胞が、近年になり、ヒト、ヒト化マウスおよびヒツジにおいて記載されており、cDC1ファミリーの異種間保存が示された。この広範囲のファミリーは、異なる機能的特性を有し、最も注目すべきは死亡細胞または瀕死の細胞からの材料を捕捉する際、およびMHCクラスIでの交差提示のために外来抗原を処理する際の顕著な効率を有する。これらの2つの特色により、cDC1 DCは細胞関連抗原を交差提示し、感染性物質または腫瘍に対するCTL応答を惹起することができる。cDC1+DCは、CD8+T細胞をプライミングすることに加えて、組織特異性細胞関連抗原への交差寛容の確立に関連づけられた。細胞関連抗原に対してCD8+T細胞をクロスプライミングする、または交差寛容化するcDC1 DCの能力により、それらが死亡細胞に遭遇する状況を解読し得ることが示唆される。CLEC9Aとしても知られるDNGR−1は、マウスにおける死亡細胞関連抗原へのCTLのクロスプライミングに好適な壊死細胞の受容体である。DNGR−1は、マウスcDC1 DC、CD103+DCにより、およびそれらのヒト同等物により高レベルで選択的に発現され、細胞死の後に暴露された細胞内リガンドの認識を担う。近年になり、Clec9aの発現が、リンパ組織内の従来型DC系譜およびその始原体にコミットされたDC前駆体の同定を可能にすることが示された(10)。

本明細書に記載された通り分化された細胞を誘導DCにリプログラミングすることが可能なDC誘導因子の同定に成功すれば、DC生物学的性質の基本的理解を複数の方法で進めることができる。この業績により、DCの極わずかな転写ネットワークに徹底した洞察が与えられるであろう。加えて、DC誘導因子の同定により、DC状態がどのようにして確立されるか、そして重要な調節機構がどのようにして配置されるかを理解するための前例にない好機が提供される。

転写因子は、発達の間に全ての細胞型の運命決定における重大な役割を担う。転写因子介在性リプログラミングを利用した直接的リプログラミング方策の成功により、そのような因子を利用して特定の運命への多能性ES/iPS細胞または複能性幹細胞の分化を指揮することが、等しく妥当であることが示される。したがって、本明細書で同定されたDC誘導因子を利用すれば、DCで濃縮された転写因子の発現により決定的なDC運命へのES/iPS細胞の分化の方向づけが実現され得る。加えて、本明細書で同定されたDC誘導因子を利用すれば、DCで濃縮された転写因子の発現により決定的なDC運命への複能性造血幹細胞および始原細胞の分化の方向づけが実現され得る(図1に示された造血系譜樹に沿った分化の強制)。

典型的にはDC誘導因子をコードする核酸、例えばDNAもしくはRNA、またはそれらの構築物が、ウイルスベクターを用いて、またはウイルスベクターを用いずに、1回または反復でのトランスフェクションを介して細胞に導入され、遺伝子産物の発現および/またはRNA分子の翻訳が、本明細書に記載された通り、DCと形態学的、生化学的および機能的に類似した細胞をもたらす。十分な抗原でプライミングされた後のこれらの誘導DC(iDC)は、抗原を捕捉、処理して、免疫系のエフェクター細胞(マクロファージ、T細胞、B細胞、NK細胞)に提示して、癌、ウイルスおよび寄生虫/細菌感染に対する抗原特異性免疫応答を誘発する能力を有する(図2)。

本開示の一態様は、癌細胞自身の抗原を免役細胞に強制的に提示させるための癌細胞におけるTFの使用またはTFの組み合わせの使用(インサイチュまたはエクスビボ)である(図3)。この方法は、癌の回避メカニズムを迂回して腫瘍免疫原性を増強するため、抗癌性免疫療法の臨床転帰を向上させる実行可能な方策となる。

一実施形態において、18の候補TFを、DC内で特異的に濃縮した遺伝子発現により選択し(図4A)、低効率のAPC(図4B、左パネル)(20)であり、かつDC個体発生プロセス中(図4B、右パネル)にある、マクロファージと比較して、DC内で濃縮した。18のTFについての遺伝子オントロジー(GO)エンリッチメント解析で、白血球およびDCの分化(それぞれp=2.51E−12およびp=9.58E−12)ならびに活性化(p=1.02E−11およびp=6.31E−11)における基本的役割が強調され、マウス突然変異体表現型のエンリッチメント解析では、それらの遺伝子における遺伝的撹乱が大部分の造血系表現型、特に異常な適応免疫(p=1.19E−04)および異常な抗原提示(p=1.25E−03)を誘発することが確証された(図4C)。18の候補TFは、リプログラミングが立証されたドキシサイクリン(Dox)誘導性レンチウイルスベクターにおいて個別にクローニングされた(6)。

一実施形態において、細胞リプログラミングにより新規な樹状細胞誘導TFとDC誘導TFの組み合わせの効果をスクリーニングするために、DC特異性レポーター(Clec9a−Cre X R26−stop−tdTomato)を宿すマウス胚性線維芽細胞(MEF)で開始し、示されたDC誘導TFへのレポーターの活性化を利用した。Clec9a−tomatoレポーターマウスにおいて、該tdTomato蛍光タンパク質はもっぱら、CDP、pre−DC、およびcDCにおいて発現される(10)。培養されたマクロファージ、他の免疫系譜または単球由来DCは、Clec9aを、つまりtdTomatoタンパク質を発現しない(図5A)。免疫系では、Clec9a遺伝子発現は、CDPおよびそれらの始原体(pre−DCおよびcDC)に選択的に限定される(図5B)。cDCおよび前駆体の遺伝子発現解析の結果から、Clec9a発現がCDPおよびpre−DCにおけるcDC系譜へのコミットメント後に獲得され、単球DC始原体(MDP)におけるコミットメント前には獲得されていないことが、強調される(図5C)(11)。Clec9aは、CDP、pre−DCおよびcDCサブセットの両方で発現され、高レベルのcDC1サブセットに達する(図6A)(21)。Clec9aレポーターマウスから単離された脾臓細胞を分析して、cDC1細胞(MHC−II+CD11c+CD8a+におけるゲーティング)の98.8%がtdTomato蛍光タンパク質を発現することが確証された(図6B)。

二重トランスジェニックClec9a−tdTomatoレポーターMEFを、E13.5胚から単離して、蛍光活性化セルソーティング(FACS)により造血系譜に既にコミットされ得る任意の混入したtdTomato+またはCD45+細胞を排除した(図7Aおよび7B)。スクリーニングおよびその後の実験に用いられたMEFは、純度99.8%のtdTomato−CD45−であった(図7C)。

一実施形態において、PU.1、IRF8およびBATF3は、Clec9a活性化に充分であり、樹状細胞の形態を課す。

一実施形態において、Clec9aレポーターMEFに、候補TFの組み合わせを形質導入して、tdTomato発現について評価した(図8)。18の候補TFまたは4TFのプールの1つを形質導入した後に、本発明者らは、Dox添加後5日目のtdTomato+細胞の出現を観察した(図9A、図9B)。Pu.1、Irf4、Irf8およびBatf3で構成されたプールが、18のTFよりも多くのtdTomato+細胞を生成し(それぞれ、2.36%対0.59%)、誘導されたレポーター活性化に必要となる因子の最小限の組み合わせがこのプールに含有されることが示唆された。tdTomato+細胞は、対照M2rtTAベクターでの形質導入後に検出されなかった。その後、本発明者らは、因子それぞれを個別に除去した(図9C)。Pu.1、Irf8およびBatf3(PIB)の除去により、レポーター活性化が減少したが、Irf4の除去は、影響を有さなかった。これらの結果から、PIBがDCリプログラミングに必須であることが示唆される。

一実施形態において、PU.1、IRF8またはBATF3(PIB)の組み合わせが、MEFにおいて発現されると、Clec9aレポーターが、高い効率(およそ3.96%)で活性化される(図10A)。一実施形態において、その後、レポーター活性化の速度を評価した(図10B)。tdTomato+細胞は、1日目〜2日目の間に検出され始め、5日目〜7日目の間にピークとなる(図10B)。一実施形態において、PU.1、IRF8またはBATF3の除去は、レポーター活性化を完全に排除したが、それらの個別の発現は、tdTomato+細胞を生成するのに十分でなかった(図10C)。これらのデータから、この実施形態において、PIBがClec9a活性化および誘導樹状細胞(iDC)生成のための最小限のTFの組み合わせを構成することが示唆される。重要なこととして、tdTomato+細胞は、サイズおよび複雑さの上昇を示し(図10D)、DCに特徴的な星状形態および樹状突起の確立の観察と一致する(図10E、図10F)。レポーター活性化がタイムラプス顕微鏡測定により30時間前後に生じることが確証され、tdTomato+細胞が形態変化を示し、遊走能力および樹状突起が6日以内に徐々に確立されることが観察された(図11)。総造血系マーカーCD45は、PIB形質導入MEFのおよそ20%で発現され、tdT+細胞のおよそ6.6%がこの集団に含まれる(図12)。

一実施形態において、さらなる因子を発現することのPIBへの影響を評価した。18のTFの候補プール(図13A)および他の造血系TF(図13B)からのTFそれぞれの個別の影響を評定した。テストされた31のTFから、STAT3、IKZF1、IRF2、NFIL3、BCL6、L−MYC、RUNX1およびKLF4が、生成されたtdTomato+細胞の数に負に影響することが観察された。TCF4およびGfi1bの添加から、レポーター活性化において、それぞれ2.2倍および1.9倍の増加が示された。

iDC生成のための培養条件を最適化する試みにおいて、サイトカインの顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、IL4およびFMS様チロシンキナーゼ3リガンド(Flt3l)がDC運命決定の際に重要な役割を担うため(12)、誘導の間のそれらの添加をテストした(図14A)。同じく、リポ多糖(LPS)の添加、異なる培地組成(RPMI、2−メルカプトエタノール(2−ME)および4mM L−グルタミン(2×Glut))ならびに間質細胞OP−9およびOP9−DL1との共培養をテストした(図14B)(13)。これらの培養の改良は、誘導されたtdTomato+細胞の数を増加させなかった。

一実施形態において、PIBおよびTCF4のインビボ発現パターンを解析した。PU.1、IRF8、BATF3およびTCF4転写産物は、単一DC前駆細胞において発現される(図15)。Pu.1は、MDP、CDPおよびpreDCで等しく発現されるが、IRF8の発現は、CDPで顕著に増加し、preDCにおいて維持される。BATF3およびTCF4は、preDCにおいては後期段階のみで上方制御される。さらに、PU.1+IRF8+BATF3の組み合わせでの発現は、96種の細胞および組織のうちでCD8a+DC細胞が最も濃縮される(図16A)。重要なこととしてPu.1レベルは、両方のpreDC段階ではより高く、Irf8およびBatf3は、pre−cDC1およびcDC1サブセットにおいて特異的に濃縮される(図16B)。他のDCサブセットおよび複数の造血細胞系譜に比較してClec9a、Pu.1、Irf8およびBatf3は、cDC1サブセットに属するCD103+DCの発現増加を示す(図16C)。

一実施形態において、C9a−tdTomatoレポーターの活性化が従来型cDCとpDCサブセットとを識別するのに用いられる典型的な表面マーカーなどのDCマーカーの発現に反映されるか否かを評価した(図17A、図17B)。興味深いこととして、cDC1およびCD103は、tdTomato−細胞では検出不能レベルであったのと対照的に、tdTomato+細胞では25±13.65%発現されており、非リンパ遊走性cDC1プログラムの運命決定が示唆される。さらに、本発明者らは、cDC2およびpDCマーカーの残留する発現のみを検出することができた(それぞれCD4+細胞が0.41±0.58%、CD11b+細胞が2.56±0.18%、B220+細胞が0.77±1.09%)。

一実施形態において、Clec9a−tdTomatoレポーターの活性化が細胞表面の抗原提示機構の重要成分の発現に反映されるか否かを評価した。注目すべきこととして、7日目のtdTomato+細胞の71.4%がAPC機能性の確立にとっての重要な分子であるMHC−IIを表面で発現することが観察された(図18A)。MHC−IIの発現は、1日目〜2日目の間に徐々に獲得され始め、7日目〜11日目の間にピークとなる(図18B)。MHC−II活性化の速度は、Clec9aレポーターの活性化と類似している(図10B)。7日目にはtdTomato−同等物は、MHC−II+細胞をより低いパーセンテージ(14.2%)で含有した(図18A)。その後、MHC−IIの発現がPIB因子により直接制御されるか否かに取り組んだ。因子のそれぞれを個別に排除することにより、IRF8またはBATF3発現ではなくPU.1発現が、MHC−II活性化に重要であることが観察され(図18C)、プロモーターI(CIITApI)を通してクラスIIトランスアクティベータ(CIITA)を調節する上での記載されたPu.1の役割と一致した(14、15)。CIITAは、MHCクラスII遺伝子の発現の主要制御因子として知られ、CIITAプロモーターの差次的な使用を通してMHC−II発現の細胞型特異性、サイトカイン誘導性、および発達由来のモジュレーションを決定する(16)。従来型DCにおいて、CIITApIは、MHC−II遺伝子の調節に関連づけられている。

一実施形態において、CIITAとの相互作用を通してMHC−IIの発現を誘導する際の記載されたIRF4関与により(17)、IRF4がtdTomato+集団内のMHC−II+細胞の生成においてPu.1を補填し得るか否かを評価した。それゆえ、4TF(IRF4を含む)により、またはそれらの個別の排除により生成されたtdTomato+細胞におけるMHC−IIの発現を評定した(図18D)。プールにおけるIRF4の組み入れは、tdTomato+細胞上でのMHC−II発現を増加させず、IRF4は、Pu.1の損失の代用になり得なかった。したがってIRF4およびPU.1は、DCではなくB細胞におけるCIITAプロモーターIIIを通してMHC−II発現を相乗的に促進することが見出された(17)。iDCへのリプログラミングの間に、tdTomato+細胞におけるMHC−II発現に厳密に必要とされるPU.1との相乗効果が観察されなかった。

一実施形態において、APC機能性の確立にとって重要な分子であるMHCクラスI分子の発現を評価した。7日目のtdTomato+細胞の56.7%が、表面でMHC−Iを発現した(図19)。7日目には、tdT−区画は、より低いパーセンテージ(11.2%)のMHC−I+細胞を含有した(図19)。

一実施形態において、効率的な抗原提示に必要とされる共刺激分子CD80およびCD86の発現を評価した(図20)。CD80およびCD86は、tdTomato+MHC−II−細胞のわずか12.9%と対照的に、35.2%のtdTomato+MHC−II+細胞で発現された。iDCの細胞表面でのMHC−II、CD80およびCD86の発現のこの特徴づけから、tdTomato+MHC−II+細胞のコホートが抗原提示において拮抗的であることが示唆される。さらなる共刺激分子のCD40は、tdTomato−細胞のわずか2.8%に比較して、tdTomato+細胞では16.1%発現された(図21A)。残りのcDC、特にcDC1サブセットは、微生物刺激に応答して共刺激分子の発現を上方制御し、より効果的なAPCになることが記載されている(25)。したがってtdTomato+細胞は、Toll様受容体TLR4刺激(LPS)の後に細胞表面でのCD40の発現を上方制御する(4倍増加)(図21B)。

一実施形態において、iDCリプログラミングの間の転写変動の程度を定義するために、PIBの形質導入の後に全長シングルセルトランスクリプトームを測定した(図22A)。192個の細胞を最初、非形質導入MEFから情報採取し、3日目のClec9a−tdTomato+細胞、7日目のClec9a−tdTomato+細胞、9日目のClec9a−tdTomato+MHC−II+細胞、および新たに単離されたCD11c+MHC−II+CD8a+脾臓DC(sDC)を選別した。これらから、163の個別の細胞が、品質管理フィルターを通過し、分析に用いられた。個々の遺伝子座での読み取りのアライメントの後、センサスアルゴリズムを用いて、実験スパイクイン対照を要さずに差次的発現解析の正確度を改善して、相対的なRNAseq発現レベル(転写産物/ミリオン、TPM)を相対的転写産物数(センサスカウント)に変換した。最初に、t分布型確率的線形埋め込み(tSNE)アルゴリズムを用いて、ゲノムワイドトランスクリプトームのクラスター解析を実施し(図22B)、細胞の2つの主なクラスターを観察した。3日目のIDCおよび7日目細胞の大部分を、MEFに接近してマッピングし、残りの7日目および全ての9日目iDCを、sDCと共にクラスタリングする。それは、シングルセルコンセンサスクラスタリング(SC3)を用いた教師なしクラスタリングで実施され、9日目および一部の7日目iDCの群でsDCの全体的類似性が確証された(図22C)。さらに、全体的なトランスクリプトームリプログラミングのタイミングは、7日目〜15日目の間のClec9a−tdTomato+MHC−II+細胞のピーク生成と十分に相関する(図18B)。tdTomato+細胞は、3日目という早期に時間依存性の転写変動を示し、9日目までのiDCは、真に良質なDCと著しく類似する。この解析から、PIB因子がDC運命に向かう全体的転写リプログラミングを誘導することが示唆される。データベースにまたがる6525というほとんどの可変性遺伝子を抽出して、クラスタリングの後に4群に組織化することができた(図22D)。クラスターIは、MEF内で高度に発現される遺伝子を含み、それはDCリプログラミングの間に発現停止される。これらには、Col5a2、Grem1、Lox、Acta2およびThy1などの典型的な線維芽細胞マーカーが挙げられる(図22E)。クラスターIIには、3日目および7日目に濃縮された転写産物が含まれ、リプログラミングの初期段階での活性化が示唆される。このクラスターは、細胞内輸送および代謝に関連するEea1およびAldh1a2、ならびにI型インターフェロン(IFN)シグナル伝達物質(Ifit3)などの遺伝子を含む(図22F)。対照的にクラスターIIIは、9日目に濃縮される遺伝子を包含する(図22D)。興味深いこととして、MHC−II関連遺伝子(H2−Pbなど)およびDCにおける交差提示を調節する遺伝子(カテプシンCtscおよびCd74など)は、このクラスター内で濃縮される(図22F)。最後にクラスターIVは、総造血マーカーCd45および共通DCマーカーCd11c(図22F)などのsDC1およびリプログラミングされたiDC(図22D)内で濃縮された遺伝子を含む(図22D)。重要なこととして、Clec9a遺伝子およびTlr3などのcDC1に限定される遺伝子もまた上方制御され、MHCクラスI依存性免疫応答の重要な制御因子(Nlrc5)が、cDC1の重要な特色である抗原交差提示に必要となる(23)。実際に本発明者らは、リプログラミング過程で、cDC2シグネチャー遺伝子に比較してcDC1シグネチャー遺伝子のロバストな増加を検出した(図26)(11)。総括すると、これらのデータから、完全なDCリプログラミングにcDC1サブセットが好適であることが示唆される。したがってGO解析では、抗原処理および提示に関連するカテゴリー(p値=3.34E−08、1.80E−06、3.53E−06、4.03E−06)が、生物学的工程および経路で最も濃縮されていることが示された(表1)。最も高い細胞成分GOカテゴリーには、リソゾーム(p値=1.31E−07)および分解型液胞(p値=1.44E−07)があり、DCの抗原処理と遊走を協調させる際のリソゾームシグナル伝達の記載された役割と合致した(24)。マイクロRNA(miRNA)のターゲット予測では、miR−155(p値=1.41E−11)およびmiR−124(p値=1.00E−10)ターゲットの最高のエンリッチメントを示し(表2)、それぞれDCの機能および運命決定に関連づけられた(25、26)。

この解析から、本発明者らの候補TFリストに本来含まれるZbtb46およびBcl11aをはじめとするDC転写制御因子の活性化も明らかとなった(図23A)。インターフェロン制御因子IFNおよびシグナル伝達物質および転写活性化因子(STAT)タンパク質ファミリーの複数のメンバーも、同定された。例えば、それぞれTLR誘導DC活性化およびI型IFN応答の重要な媒介物質であるStat2およびIrf7は、3日目および7日目に高レベルで検出される。Stat6もまた、3日目および7日目に高度の発現中央値を示すが、Stat1の発現は、9日目に脾臓DCよりも128倍高いレベルまで増加する。DCの成熟が、STAT6からSTAT1への活用の変化を伴うことが報告されており、Pu.1、Irf8およびBatf3の過剰発現がDC成熟を誘導し得ることが示唆される。3つのTFのレンチウイルス介在性発現と一致して、3日目、7日目および9日目にsDCに比較して、Pu.1、Irf8およびBatf3の高レベルの発現が観察された(図23B、上パネル)。本発明者らのレンチウイスルベクターは、UTRを含まないコード配列をコードするため、3’−および5’−UTRでの読み取りを利用して内因性転写産物の発現レベルを定量した。重要なこととして、3日目に始まる内因性Pu.1、Irf8およびBatf3の発現が、観察された(図23B、下パネル)。リプログラミングの9日目に、内因性発現レベルは、脾臓DCと同等である。

転写リプログラミングの動力学的性質をさらに特徴づけるために、遺伝子セットエンリッチメント解析(GSEA)を、NetPath遺伝子セットを用いて実施して、0日目、3日目、7日目、および9日目の間の移行を比較した(図24、上パネル)。複数の免疫関連遺伝子セットが、MEFに比較して3日目に高度に濃縮されることが観察された。興味深いこととして、DCのインビトロ分化に用いられるIL−4は、最上位にランクされた(NES:1.97、FDR q値:0.02)(図24、左下パネル)。幾つかの遺伝子セットは、7日目も濃縮されているが、より小さなNES値となり、より微妙な移行がこの相の間に起こる可能性が示唆される。対照的に、過去にDC成熟に関連づけられたインターロイキン経路およびオンコスタチンMをはじめとする複数の遺伝子セットは、7日目に比較して9日目に高度に濃縮された(図24、右下パネル)。

一実施形態において、iDCリプログラミングの間の段階的移行のための転写ネットワークを評価した(図25A)。3日目までのMEFの移行が、PIBリプログラミング因子に高度に連結された高密なTFネットワークの発現に関連し、3日目〜7日目の移行がより滑らかで低密なTFネットワークを特徴とし、PIB因子を含まず、7日目〜9日目の移行が高密なTFネットワークを特徴とし、2つのTFクラスターに分割することができ、一方はcDCマーカーZbtb46を含んでより高密であり、一方はPIB因子を含みより少ないTFで構成されることを特徴とすることが観察された。これは、より微妙な移行が3日目〜7日目の間に起こり得るという見解を裏づけており、9日目iDCが安定した細胞運命を獲得した可能性が示唆される。重要なこととして、これらの転写制御因子の全てが、活性化された日と無関係に、成熟DCで濃縮され、DC始原体では濃縮されず、リプログラミングプロセスが中間的な始原体状態を通過しないことが示唆される(図25B)。さらに、iDCリプログラミングプロセスにおける中間的始原細胞が存在しないことが、選別されたsDC1と、対照としての未選別の脾臓細胞および骨髄細胞を含むDox添加後3、5、7、10および25日目のPIB形質導入MEFでの造血系コロニー形成アッセイを実施することにより、さらに検証された(図25C)。iDCまたはsDC1培養物にはコロニーは観察されなかったが、予測では、培養された未選別の脾臓細胞および骨髄細胞は、コロニーの起源となった。これにより、リプログラミングプロセスが直接的であり、中間的な始原細胞を通して移行しないという見解が支持される。

一実施形態において、細胞トランスクリプトームの緩徐な移行に基づき擬似時系列を確立することにより、DCリプログラミング経路の再構築を開始した(図27A)。シングルセルRNA−seq解析(TSCAN)ソフトウエアにおける擬似時間再構築を利用して、その系列が時間的リプログラミング事象と一致し、MEFはその後3日目iDCに、次に大部分が7日目iDCに続くことが観察された。興味深いこととして、4つの個別の7日目および幾つかの9日目iDCは、擬似系列におけるsDCと一致する位置にあり、トランスクリプトームリプログラミングが完了したことが示唆される。しかし残りの9日目iDCは、脾臓DCよりも初期タイムポイントからさらに離れると思われる。これらの結果のロバストネスを確証するために、分化経路を描写するための別のアルゴリズムであるMonocle2を用いて擬似時系列を実施した。この再構築で、擬似時系列の3つの枝に沿った生物学的試料群を設置した(図27B、左パネル)。MEF、3日目iDCおよび26の7日目iDCを、最初の枝に沿って配置させて、細胞状態1を考慮し(図27B、右パネル)、その後、分岐点に至って、状態2および状態3に分割する。状態2は、82%のsDCおよび3つの7日目および13の9日目iDCを含む。しかし、9日目iDCの55%および11のsDCは、状態3に配置され、TSCANの結果と一致する。これらの2つの状態の間の転写差異を理解するために、GOエンリッチメント解析を、差次的発現遺伝子を用いて実施し(表3)、状態3における最上の生物学的プロセスおよび経路が、DC活性化および成熟の公知の炎症性介在物質であるI型およびII型(IFN−y)IFNシグナル伝達を含むことが示された(38、39)。状態3で濃縮された遺伝子の遺伝的撹乱により、異常なAPCおよび異常な免疫系などの対応する免疫表現型が強調された。それと一致して、BEAM解析から、分岐依存性遺伝子の2つの速度論的クラスターが、抗原提示および他の免疫関連プロセスで機能的に濃縮された状態3(スラスター2および4)において上方制御されることが明らかとなった(図28Aおよび表4)。

一実施形態において、GSEAで、成熟した刺激性DC、IFNγおよびIFNαで刺激されたDC遺伝子セットなどの免疫シグネチャーのための4705対167の遺伝子セットが、状態2に比較して状態3で上方制御されたことも示された(図28B)。状態3は、9日目iDCの大部分を含むため、sDC1(ナイーブ)を9日目iDCと比較すると、類似の成熟特性が観察されることを確証しようとした。GSEAで、抗原処理および提示、ならびにDC成熟遺伝子セットが、9日目iDcで濃縮されることが示された(図29A)。興味深いこととして、未熟なDCに関連する状態6は、sDC1において上方制御されたが、成熟を増加させると記載された状態1は、9日目iDCで上方制御された(図23A)。

一実施形態において、iDCが、DCの成熟に関連すると報告されたMHC−II分子を高レベルで発現することが過去に観察されたことを前提として(図18)、観察された擬似時間トラジェクトリーが異なる成熟状態の指標であるか否かを検討しようと努めた。分岐速度曲線(Branch kinetic curves)が、MHC−II遺伝子発現の公知の主要制御因子であるCiita、および状態2に比較して状態3に向かう複数のMHC−II遺伝子(H2−Aa、H2−Ab1およびH2−Eb1)の連続した上方制御を反映することが観察された(図30A)。これと一致して、Ciita、ならびにマウス(Tnfrs1a、Tapbp、Inpp5dおよびTraf6)およびヒト(Acp5およびItag4)DC成熟に関連する遺伝子の発現が、9日目iDCで濃縮された(図30B)。これらのデータから、iDCがsDCよりも本質的に成熟しており、抗原提示の外来活性化刺激にあまり依存しない可能性が示唆される。

一実施形態において、本開示の実施形態全ての幾つかの態様における誘導樹状細胞は、天然由来の内因性樹状細胞と機能的特徴が類似するものの、遺伝子発現が異なる(表5)。

一実施形態において、成熟DCは、膜関連の共刺激分子に加えて、T細胞応答の発生に重要となる炎症促進機能を備えたサイトカインを発現する。これらの応答は、少なくとも11の異なるToll様受容体(TLR)の惹起により開始することができ、異なる保存的微生物またはウイルス構造の特異的認識を可能にする。TLR3(ポリイノシン酸−ポリシチジル酸(poly−I:C)を用いる)またはTLR4(リポ多糖(LPS))刺激でチャレンジすると、iDCがサイトカインを培地に分泌するか否かを求めた(図31)。iDCのLPSまたはpoly I:Cチャレンジの際に、IL−6の分泌増加が観察された(それぞれ、14倍または10倍)。腫瘍壊死因子TNF(7倍)およびインターフェロンIFN−γ(2倍)の分泌増加も、それぞれLPS刺激またはpoly I:Cの後に観察された。PIB+TCF4(PIBT)を形質導入された細胞は、刺激に対して等しく応答し、IL−6、TNFおよびIFN−γの分泌増加を示す。重要なこととして、iDCの刺激の際、抗炎症性サイトカインIL−10の分泌増加は観察されなかった。これらの結果から、iDCが炎症促進性プロファイルに向かう成熟を実行したことが示唆される。

一実施形態において、抗原特異性免疫応答を開始するiDCの能力を評価した。最初に、iDCがFITC標識ラテックスビーズ1μmとのインキュベーションにより粒子を貪食し得るか否かを評価した。インキュベーション後、tdTomato+細胞は、細胞質中に数多くの蛍光ビーズを含有しており(図32)、iDCがファゴサイトーシスへの拮抗性を確立したことが示唆される。

その後、本発明者らは、可溶性タンパク質を捕捉するiDCの能力を評価した。注目すべきこととして、tdTomato+細胞の13.8%は、37℃で20分間インキュベートした後に可溶性タンパク質を活発に取り込むことができたが、対照的に4℃でインキュベートした場合にはわずか5.6%であり(図33A)、iDCがファゴサイトーシス/エンドサイトーシスへの拮抗性を確立したことがさらに示唆される。対照的に、tdTomato−細胞では、わずか4.6%が類似の能力を示した。次に本発明者らは、iDCがインビトロで死亡細胞材料を内在化し得るか否かを評価した(図33B〜D)。この特有の能力は、MHC−I上で細胞関連抗原を交差提示するcDC1 DCサブタイプに関連することが示されている(27)。標識された死亡細胞との一夜インキュベーションの後、精製されたtdTomato+細胞の65.7%が、死亡細胞材料を取り込んだが、対照的にtdTomato−細胞ではわずか10.5%であった(図33B)。死亡細胞の取り込みを、ライブ画像によりさらに分析し、tdTomato+細胞が死亡細胞を細胞質中に貪欲に蓄積することが観察された(図33C)。tdTomato+細胞は、活発に運動し、死亡細胞に遭遇すると、細胞の突起を伸ばして、それを取込み貪食する(図33D)。

さらに本発明者らは、iDCがTLRをコードする遺伝子(Tlr3およびTlr4)、ならびにMyD88依存性(TRAM(Ticam2によりコードされる)およびTraf6)および非依存性(IKKε)経路をはじめとするTLRシグナル伝達の他のメディエータを発現することを確証した(図34A)。同じく本発明者らは、iDCが受容体介在性エンドサイトーシス(Fcgr2B、Tfr2およびMrc1)および死亡細胞のマクロピノサイトーシス(Axl、Lrp1およびScarf1)の重要なメディエータを発現することを確証しており、iDCが抗原を感知して取り込む能力を獲得したことが示唆される(図34B)。

一実施形態において、CD4 T細胞の抗原特異性増殖を促進するためのiDCの機能的能力を評価した(図35A)。このために、MHCクラスIIに限定されたオボアルブミン特異性T細胞(OT−II細胞)を、OT−II Rag2 KOマウスのリンパ節および脾臓から単離して用いた(18)。このモデルにおいて、T細胞は、DCのMHC−IIの環境下で示されると、処理された抗原ペプチド(OVA323−339)に応答する。それゆえ、OT−II CD4 T細胞を、オボアルブミンタンパク質(OVA)または前処理された抗原性ペプチド(OVA323−339)を与えた場合のiDCと共培養した。機能性DCは、MHC−IIの環境下ではタンパク質を捕捉して処理し、処理された抗原性ペプチドを提示することができる。誘導されたCD4+T細胞増殖を、共培養の7日後のCFSE希釈およびT細胞活性化マーカーCD44の活性化により測定した。注目すべきこととして、OVAタンパク質の存在下でPIB生成iDCと共培養された場合に、56%のCD4+T細胞が、CFSFを希釈した(図35B)。PIB+TCF4を形質導入されたMEFと共培養された場合に、38.2%のCD4+T細胞が、CFSE量を希釈しており、リプログラミングプール中のTCF4の含有が、iDCの刺激能を上昇させないことが示唆される。脾臓MHC−II+CD11c+DCを対照として用い、24.1%の増殖性T細胞を生成した。重要なこととして、DC「成熟」を誘導するために一般に用いられるLPS刺激の添加が、PIB(1.5倍)またはPIB+TCF4(2倍)を形質導入されたMEF、および脾臓DC(3倍)の抗原特異性の刺激能上昇させた(図35Bおよび図36)。予測通り、共培養されなかったT細胞は、LPS刺激の有無にかかわらず増殖しなかった。iDCの刺激能をさらに評定するために、それらがCD44などのT細胞活性化マーカーの発現を誘導し得るか否かを評価した。PIB生成iDCおよび脾臓MHC−II+CD11c+DCの両方と共培養された場合には、前処理された抗原を与えられると、OT−II CD4 T細胞がCFSEを希釈し、CD44の発現を上方制御した(図35C)。重要なこととして、OVAタンパク質を与えられると、iDCは、脾臓DCに比較して、OT−II T細胞中でCD44発現を誘導するための同等の能力を示す(52.2%対63.8%)。このデータにより、OVAタンパク質を取り込んで処理した後、処理されたオボアルブミンペプチドを細胞表面のMHC−II複合体中で提示する、iDCの機能的能力が裏づけられる。総括すると、これらの結果から、iDCの機能的能力が強調され、直接リプログラミングされた線維芽細胞を用いて抗原を提示すること、および抗原特異性適応免疫応答を誘導することの実行可能性が裏づけられる。

一実施形態において、iDCが抗原をサイトゾルに輸送する能力を獲得して、交差提示能力に必須である重要な遺伝子を発現するか否かを評価した。サイトゾル経路を介した交差提示は、細胞内区画からサイトゾルまでの抗原輸送を必要とする。したがって抗原輸送を実施するiDCの能力を、細胞蛍光分析に基づくアッセイを利用して評価した(図37A)。注目すべきこととして、b−ラクタマーゼとの90分間インキュベーション後には、およそ80%のCCF4負荷iDCが、切断されたCCF4を発現した。したがってiDCは、b−ラクタマーゼを取り込んで、それを細胞質に効率的に輸送し、切断されたCCF4の生成を導くことができた。同じく、iDCが、Cybb、Atg7、Tap1およびTap2などの交差提示経路に関与する遺伝子を発現することも、確証された(図37B)。

一実施形態において、iDCが抗原をCD8+T細胞に交差提示し得るか否かを評価した。このために、MHC−I分子でのOVAの交差提示を、IL−2プロモーターの制御下でβ−ガラクトシダーゼを発現するB3Z T細胞ハイブリドーマ細胞とiDCを共発現することにより評価した(図38A、左パネル)。iDCが抗原特異性T細胞活性化を濃度依存的に誘導し得ることが観察された。さらに、poly I:CでのTLR3刺激の後にB3Z T細胞の活性化が増加し、LPSでの刺激では増加しないことが観察された(図38A、右パネル)。poly I:CによるcDC1の成熟が、MHC−I交差提示プロセスを増進することが、記載されている(28)。さらに、OT−I Rag2 KOマウスのリンパ節および脾臓から単離された、MHCクラスIに限定されたオボアルブミン特異性T細胞(OT−I細胞)を用いて、交差提示も評価した(19)。このモデルにおいて、T細胞は、DCのMHC−Iの環境下で示されると、処理された抗原ペプチド(OVA257−264)に応答する。それゆえ、OT−I CD8 T細胞を、オボアルブミンタンパク質(OVA)およびpoly I:C刺激の存在下でiDCと共培養した(図38B)。機能性DCは、MHC−Iの環境下では外来性タンパク質を捕捉して処理し、処理された抗原性ペプチドの交差提示を実施し、CD8+T細胞の活性化を誘導することができる。誘導されたCD8+T細胞増殖を、共培養の4日後のCFSE希釈およびT細胞活性化マーカーCD44の活性化により測定した。注目すべきこととして、OVAタンパク質の存在下では、iDCと共培養された場合に、11.3±1.13%のCD8+T細胞が、それぞれCFSFを希釈し、CD44発現を上方制御した(図38B)。脾臓MHC−II+CD11c+DCを対照として用い、18.05±0.78%の増殖性のCD44+T細胞を生成した。

一実施形態において、ヒト皮膚線維芽細胞(HDF)にPIBを形質導入した(図39A)。重要なこととして、PIB TFがHDFに導入されると、形態学的変化が観察された。形質導入の3日後に、HDFが特徴的な双極性の細長い形状を喪失し、星形のDC様形態を獲得することが観察された(図39Bおよび39C)。さらに、典型的なDC表面マーカーの発現を評価した。PIBを形質導入されたヒト包皮線維芽細胞BJは、HLA−DR分子と、公知の特異的ヒトDCマーカーであるCLEC9Aと、を発現しており(図40)、DC誘導因子とPIBの組み合わせがマウスとヒトの間で保存され、ヒトiDCを生成するのに十分であることが示唆される。

一実施形態において、ヒトiDCがFITC標識ラテックスビーズ1μmとのインキュベーションにより粒子を貪食し得るか否かを評価した。インキュベーション後に、PIB形質導入HDFは、細胞質中に数多くの蛍光ビーズを含有しており(図41A)、iDCがファゴサイトーシスへの拮抗性を確立したことが示唆される。加えてタンパク質を取り込む能力を、iDCをAlexaFluor647標識オボアルブミンとインキュベートすることにより評価した(図41B)。37℃でのインキュベーションの後、1.2%のPIB形質導入HDFが、標識タンパク質を含有しており、iDCがタンパク質を活発に貪食し得ることが示唆される。

一実施形態において、癌細胞がPU.1、IRF8およびBATF3での形質導入後にDC表現型特性を獲得するか否かを評価した。注目すべきこととして、Dox添加後8日目に細胞表面で、2.13%のPIB形質導入肺癌細胞(3LL細胞株)が、MHC−I分子を発現し、2.33%が、MHC−IIおよびCLEC9Aを共発現した(図42)。同様に、26%のPIB形質導入B16黒色腫癌細胞が、CLEC9Aを発現し、1.04%の細胞が、それをMHC−II分子と共発現した(図43)。これらの結果から、PIB因子を用いて癌細胞においてDC表現型を誘導し得ることが示唆される。

一実施形態において、各配列が2Aペプチド配列で分離されている3つの核酸配列を発現したポリシストロニック誘導性レンチウイルスベクターに、PU.1、IRF8およびBATF3のコード領域をクローニングした(図44A)。3つのTFが、異なる順序:PU.1、IRF8およびBATF3(PIB)またはIRF8、PU.1およびBATF3(IPB)で含まれた。印象的なこととして、Clec9aレポーター活性化が、ポリシストロニックベクターを形質導入されたMEFの10.8%および6.6%(それぞれPIBおよびIPB)で観察された。対照的に、わずか1.9%のtdTomato+細胞が、個々の因子をコードしたレンチウイルスベクターを形質導入されたMEFで観察された(図44Bおよび44C)。予測通り、ポリシストロニックベクターにおけるPIB因子の送達が、リプログラミング効率を最大6倍増加させた。

一実施形態において、各候補TFのコード領域を、TFの発現がテトラサイクリンオペレーターおよび最小CMVプロモーターの制御下にある誘導性レンチウイルスpFUW−Tet0ベクターに個別にクローニングした(6)。構成的に活性なヒトユビキチンCプロモーター(FUW−M2rtTA)の制御下でリバーステトラサイクリントランスアクチベータM2rtTAを含有する過去に記載されたレンチウイルスベクターを、組み合わせて用いた。ヒト胚性腎(HEK)293T細胞に、TFをコードするプラスミドと、パッケージング構築物と、VSV−Gエンベロープタンパク質と、の混合物をトランスフェクトした。ウイルス上清を36、48および60時間後に回収し、濾過して(0.45μm、Corning)、その状態で使用するか、またはAmicon超遠心分離フィルター(Millipore)で40倍に濃縮した。

幾つかの実施形態において、配列表に提供された配列によりコードされた参照ポリペプチドと同一または類似の活性を有するポリペプチド変異体またはファミリーメンバーを、本明細書に記載された組成物、方法およびキットで用いることができる。一般に、本明細書に記載された組成物、方法およびキットにおける使用のためのDC誘導因子をコードする特定のポリペプチドの変異体は、本明細書に記載されていて当業者に公知の配列アライメントプログラムおよびパラメータによる計測で、特定の参照ポリヌクレオチドまたはポリペプチドと少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%以上の配列同一性を有する。

ホモサピエンス塩基性ロイシンジッパー型ATF様転写因子(BATF3)、mRNA(配列番号1)および同じアミノ酸をコードするコドン最適化された、または異なるコドンは自然に、本明細書に示された核酸に関連して含まれることが企図される。

ホモサピエンスSpi−1癌原遺伝子(PU.1)、mRNA(配列番号7)および同じアミノ酸をコードするコドン最適化された、または異なるコドンは自然に、本明細書に示された核酸に関連して含まれることが企図される。

ホモサピエンスインターフェロン制御因子8(IRF8)、mRNA(配列番号5)および同じアミノ酸をコードするコドン最適化された、または異なるコドンは自然に、本明細書に示された核酸に関連して含まれることが企図される。

ホモサピエンス転写因子4(TCF4)、mRNA(配列番号13)および同じアミノ酸をコードするコドン最適化された、または異なるコドンは自然に、本明細書に示された核酸に関連して含まれることが企図される。

本明細書で提供された組成物、方法およびキットの幾つかの実施形態において、線維芽細胞、または造血系譜細胞、複能性幹細胞、誘導多能性幹細胞、癌または腫瘍細胞など、出発体細胞からiDCを生成するのに使用または選択されるDC誘導因子の数は、少なくとも3である。幾つかの実施形態において、使用または選択されるDC誘導因子の数は、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも33、少なくとも35、少なくとも40以上である。

同じく該組成物、方法およびキットの様々な態様において、本明細書でも提供されるのは、iDCを作製する際の使用のための、1種または複数のDC誘導因子をコードする単離されたアミノ酸配列、および単離されたDNAまたはRNA核酸配列である。

本明細書に記載された組成物、方法およびキットの幾つかの実施形態において、PU.1、IRF8、BATF3およびTCF4などのDC誘導因子(複数可)をコードする核酸配列または構築物が、標準の分子生物学的技術を利用して、細胞のトランスフェクションに適した発現ベクターに挿入される、または動作可能に連結される。本明細書で用いられる「ベクター」は、本明細書に記載された核酸構築物または交換カセットなど、有用な生物学的または生化学的特性を挿入されたヌクレオチド配列に提供するdsDNA分子などの核酸分子を指す。例としては、プラスミド、ファージ、自律複製配列(ARS)、セントロメア、およびインビトロもしくは宿主細胞において複製することができる、もしくは複製される、または宿主細胞内の所望の位置に所望の核酸セグメントを運搬することができる、他の配列が挙げられる。ベクターは、1つまたは複数の制限エンドヌクレアーゼ認識部位(I、IIまたはIIs型のいずれに関わらず)を有することができ、その配列は、ベクターの本質的な生物学的機能を損失させずに計測可能な方式で切断することができ、その核酸断片は、複製およびクローニングを起こすために、スプライシングまたは挿入することができる。ベクターは、2つの核酸分子の間で核酸配列の交換を可能にする1つまたは複数の組換え部位を含むこともできる。ベクターは、例えばPCR、転写および/または翻訳開始および/または調節部位、組換えシグナル、レプリコン、さらなる選択マーカーなどのための、プライマー部位をさらに提供することができる。ベクターは、ベクターを形質転換された細胞の同定における使用に適した1種または複数の選択マーカーをさらに含むことができる。

本明細書に記載された組成物、方法およびキットの幾つかの実施形態において、該発現ベクターは、ウイルスベクターである。幾つかのウイルス介在性発現方法は、レトロウイルス、アデノウイルス、レンチウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、およびアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを用い、そのような発現方法は、遺伝子送達において用いられており、当該技術分野で周知である。

本明細書に記載された組成物、方法およびキットの幾つかの実施形態において、該ウイルスベクターは、レトロウイルスである。レトロウイルスは、遺伝子送達のための簡便なプラットフォームを提供する。選択された遺伝子を、当該技術分野で公知の技術を利用して、ベクターに挿入し、レトロウイルス粒子にパッケージングすることができる。該組換えウイルスはその後、単離され、インビボまたはエクスビボのいずれかで対象の標的細胞に送達することができる。複数のレトロウイスル系が、記載されている。例えば米国特許第5,219,740号;Miller and Rosman(1989)BioTechniques 7:980−90;Miller,A. D.(1990)Human Gene Therapy 1:5−14;Scarpa et al.(1991)Virology 180:849−52; Burns et al.(1993)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:8033−37;Boris−Lawrie and Temin(1993)Curr. Opin. Genet. Develop.3:102−09を参照されたい。本明細書に記載された組成物、方法およびキットの幾つかの実施形態において、該レトロウイスルは、複製欠損である。ウイルス構造タンパク質がパッケージング細胞株にトランスに供給されることを条件に、レトロウイスルベクター系は、5’および3’LTRならびにパッケージングシグナルを含有する最小ベクターによりベクターをパッケージングさせて標的細胞に感染および組み込みを行わせるのに十分である、という事実を活用している。遺伝子移入のためのレトロウイルスベクターの基本的利点としては、ほとんどの細胞株における効率的感染および遺伝子発現、標的細胞の染色体DNAへの精密なシングルコピーベクター組み込み、ならびにレトロウイルスゲノムの操作の容易さが挙げられる。

本明細書に記載された組成物、方法およびキットの幾つかの実施形態において、該ウイルスベクターは、アデノウイルスに基づく発現ベクターである。アデノウイルスは、宿主ゲノムに組み込むレトロウイルスとは異なり、染色体外に存在し続け、つまり挿入された突然変異原性に関連するリスクが最小限に抑えられる(Haj−Ahmad and Graham(1986)J. Virol. 57:267−74;Bett et al.(1993)J. Virol. 67:5911−21;Mittereder et al.(1994)Human Gene Therapy 5:717−29;Seth et al.(1994)J. Virol. 68:933−40;Barr et al.(1994)Gene Therapy 1:51−58;Berkner,K. L.(1988)BioTechniques 6:616−29;ならびにRich et al.(1993)Human Gene Therapy 4:461−76)。アデノウイルスベクターは、広範囲の細胞に感染し、広い宿主範囲を有し、高効率の感染性を示し、異種遺伝子の発現を高レベルで指揮し、インビボでそれらの遺伝子の長期発現を実現する。該ウイルスは、無細胞ビリオンとして完全に感染性であるため、産生細胞株の注射が必要でない。安全性に関して、アデノウイルスは、重度のヒト病態に関連せず、ウイルス由来の組換えベクターを、ウイルスゲノムの早期領域1(「E1」)における欠失により複製欠損にさせることができる。アデノウイルスはまた、相対的に容易に、多量に生成することができる。本明細書に記載された組成物、方法およびキットにおける使用のためのアデノウイルスベクターは、非限定的に、血清型2、5、12、40、および41などの40を超える血清型のアデノウイルス株のいずれかなど、様々なアデノウイルス血清型のいずれかに由来し得る。本明細書で用いられるアデノウイルスベクターは、好ましくは複製欠損であり、適切なプロモーターに動作可能に連結された該当するDC誘導因子を含有する。

本明細書に記載された組成物、方法およびキットの幾つかの実施形態において、PU.1、IRF8、BATF3およびTCF4などのDC誘導因子(複数可)をコードする核酸配列は、1種または複数の誘導性レンチウイルスベクターを用いて導入または送達される。1種または複数の誘導性レンチウイルスベクターを用いて送達されたDC誘導因子の発現の制御は、幾つかの実施形態において、動作可能に連結された誘導性プロモーターの制御下で、発現ベクターにおいて少なくとも1種のDC誘導因子を有する細胞を、調節剤(例えば、ドキシサイクリン)または他の誘導剤と接触することにより、実現することができる。誘導性レンチウイルスベクターの幾つかの型を用いる場合、そのような細胞を誘導剤と接触させると、DC誘導因子の発現が誘導され、調節剤を取り出すと、発現が阻害される。誘導性レンチウイルスベクターの他の型を用いる場合、調節剤の存在が発現を阻害し、調節剤の除去が発現を可能にする。本明細書で用いられる用語「発現の誘導」は、例えば誘導剤の存在下での、または細胞における遺伝子の内因性発現を起こす1種もしくは複数の薬剤または因子の存在下での、誘導性ウイルスベクターによりコードされたDC誘導因子などの遺伝子の発現を指す。

本明細書に記載された態様の幾つかの実施形態において、ドキシサイクリン(Dox)誘導性レンチウイルス系が用いられる。レンチウイルスは、レトロウイルスと異なり、静止細胞を形質導入して、より多様な造血細胞型を形質導入させ易くする。例えばpFUW−tetOレンチウイルス系は、初代造血前駆細胞を高い効率で形質導入することが示されている。

本明細書で用いられる方法の幾つかの実施形態において、PU.1(配列番号7、配列番号8)、IRF8(配列番号5、配列番号6)、BATF3(配列番号1、配列番号 2)および/またはTCF4(配列番号13、配列番号14)などのDC誘導因子(複数可)をコードする核酸配列が、非組み込みベクター(例えば、アデノウイルス)を用いて導入または送達される。レトロウイルスベクターなどの組み込みベクターは、宿主細胞ゲノムに取り込まれ、正常な遺伝子機能を潜在的に破壊することができるが、非組み込みベクターは、染色体外転写により遺伝子産物の発現を制御する。非組み込みベクターは、宿主ゲノムの一部にならないため、非組み込みベクターは、細胞集団中で核酸を一過性に発現する傾向がある。これは、一部として、非組み込みベクターが複製欠損にされることが多い、という事実によるものである。したがって、非組み込みベクターは、非限定的に、(1)宿主ゲノムの破壊がないこと、および(2)一過性発現、および(3)残余のウイルス組み込み生成物がないことなど、レトロウイルスベクターを超える複数の利点を有する。本明細書に記載された方法での使用のための非組み込みベクターの幾つかの非限定的実施例としては、アデノウイルス、バキュロウイルス、アルファウイルス、ピコルナウイルス、およびワクチンウイルスが挙げられる。本明細書に記載された方法の幾つかの実施形態において、該非組み込みベクターは、アデノウイルスである。非組み込みベクターの他の利点としては、高い力価でそれらを生成する能力、インビボでの安定性、および宿主細胞の効率的感染が挙げられる。

本明細書に記載された組成物、方法、およびキットにおいてiDCを生成する際の使用のための核酸構築物およびベクターは、幾つかの実施形態において、細胞の正および負の選択のための選択マーカーをコードする1つまたは複数の配列をさらに含み得る。そのような選択マーカーの配列は、典型的には核酸構築物の導入の非存在下では通常、細胞内で見出されない抗生物質への耐性または感受性の特性を提供することができる。選択マーカーは、抗生物質などの選択剤と共に用いて、挿入された核酸構築物を発現する細胞に合わせて培養時に選択することができる。正の選択マーカーをコードする配列は、典型的には抗生物質耐性を提供し、即ち、正の選択マーカーの配列が、細胞のゲノム中に存在する場合、該細胞は、抗生物質または薬剤に感受性がある。負の選択マーカーをコードする配列は、典型的には抗生物質または薬剤への感受性を提供し、即ち、負の選択マーカーが、細胞のゲノム中に存在する場合、該細胞は、抗生物質または薬剤に感受性がある。

本明細書に記載された組成物、方法、およびそれらのキットにおいてiDCを作製する際の使用のための核酸構築物およびベクターは、幾つかの実施形態において、該構築物の調節、発現、安定性のための他の核酸エレメント、または他のベクター遺伝子エレメント、例えば当業者に公知のプロモーター、エンハンサー、TATA−ボックス、リボソーム結合部位、IRESをさらに含むことができる。

本明細書に記載された組成物、方法、およびキットの幾つかの実施形態において、PU.1(配列番号7、配列番号8)、IRF8(配列番号5、配列番号6)、BATF3(配列番号1、配列番号2)および/またはTCF4(配列番号13、配列番号14)などのDC誘導因子(複数可)は、内容が全体として参照により本明細書に組み入れられる、米国特許出願公開第2012−0046346−A1号に記載される通り、合成された修飾RNAとして提供される、または合成された修飾RNAとして細胞内に導入もしくは送達される。合成された修飾RNAを用いて本明細書に記載された方法に従ってiDCに細胞をリプログラミングするそれらの実施形態において、該方法は、例えば少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、少なくとも10回、少なくとも11回、少なくとも12回、少なくとも13回、少なくとも14回、少なくとも15回、少なくとも16回、少なくとも17回、少なくとも18回、少なくとも19回、少なくとも20回、少なくとも25回、少なくとも30回以上のトランスフェクションなど、細胞の反復接触を含み得る、またはDC誘導因子をコードする合成された修飾RNAの反復トランスフェクションを含み得る。

1種または複数の修飾ヌクレオチドに加えて、本明細書に記載された組成物、方法、およびキットにおける使用のための修飾mRNAは、当業者に公知で米国特許出願公開第2012−0046346−A1号および同第20120251618A1号、ならびにPCT公告WO2012/019168号に記載された任意のさらなる修飾を含むことができる。そのような他の成分としては、例えば5’キャップ(例えば、一方のグアニンがN7メチル基および3’−O−メチル基を含む、5’−5’−三リン酸グアニン−グアニン結合を含むアンチリバースキャップアナログ(ARCA)キャップ;グアニンがN7メチル化を含み、最後の5’−ヌクレオチドがキャップ1を生成する2’−O−メチルを含むような、mRNAの最も5’側のヌクレオチドとグアニンヌクレオチドとの間でカノニカル5’−5’−三リン酸結合を作製し得る、組換えワクチンウイルスキャッピング酵素および組換え2’−O−メチルトランスフェラーゼ酵素を用いて作製されたキャップ);ポリ(A)テール(例えば、30ヌクレオチド長より大きな、35ヌクレオチド長より大きな、少なくとも40ヌクレオチド、少なくとも45ヌクレオチド、少なくとも55ヌクレオチド、少なくとも60ヌクレオチド、少なくとも70ヌクレオチド、少なくとも80ヌクレオチド、少なくとも90ヌクレオチド、少なくとも100ヌクレオチド、少なくとも200ヌクレオチド、少なくとも300ヌクレオチド、少なくとも400ヌクレオチド、少なくとも500ヌクレオチド、少なくとも600ヌクレオチド、少なくとも700ヌクレオチド、少なくとも800ヌクレオチド、少なくとも900ヌクレオチド、少なくとも1000ヌクレオチドまたはより大きなポリ−A−テール);コザック配列;3’−非翻訳領域(3’UTR);5’非翻訳領域(5’UTR);核酸から切除され得る1つもしくは複数のイントロンヌクレオチド配列、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。

本明細書に記載された組成物、方法、およびキットにおける使用のための修飾mRNAは、内部リボソーム進入部位(IRES)をさらに含むことができる。IRESは、唯一のリボソーム結合部位として作用することができ、またはmRNAの複数のリボソーム結合部位の1つとして働き得る。1つより多くの機能的リボソーム結合部位を含むmRNAは、該リボソーム(「マルチシストロニックmRNA」)により独立して翻訳される、本明細書に記載されたDC誘導因子などの複数のペプチドまたはポリペプチドをコードすることができる。核酸にIRESが設けられている場合、さらに場合により提供されるのが、第二の翻訳可能な領域である。本発明により用いられ得るIRES配列の例としては、ピコルナウイルス(例えば、FMDV)、ペストウイルス(CFFV)、ポリオウイルス(PV)、脳心筋炎ウイルス(ECMV)、手足口病ウイルス(FMDV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、ブタコレラウイルス(CSFV)、ネズミ白血球ウイルス(MLV)、サル免疫不全ウイルス(SW)、またはコオロギ麻痺ウイルス(CrPV)が挙げられるが、これらに限定されない。

本明細書に記載された組成物、方法、およびキットの幾つかの実施形態において、該合成された修飾RNA分子は、少なくとも1つの修飾ヌクレオシドを含む。本明細書に記載された組成物、方法、およびキットの幾つかの実施形態において、該合成された修飾RNA分子は、少なくとも2つの修飾ヌクレオシドを含む。

本明細書に記載された組成物、方法、およびキットの幾つかの実施形態において、該修飾ヌクレオシドは、5−メチルシトシン(5mC)、N6−メチルアデノシン(m6A)、3,2’−O−ジメチルウリジン(m4U)、2−チオウリジン(s2U)、2’フルオロウリジン、2’−O−メチルウリジン(Um)、2’デオキシウリジン(2’dU)、4−チオウリジン(s4U)、5−メチルウリジン(m5U)、2’−O−メチルアデノシン(m6A)、N6,2’−O−ジメチルアデノシン(m6Am)、N6,N6,2’−O−トリメチルアデノシン(m62Am)、2’−O−メチルシチジン(Cm)、7−メチルグアノシン(m7G)、2’−O−メチルグアノシン(Gm)、N2,7−ジメチルグアノシン(m2,7G)、N2,N2,7−トリメチルグアノシン(m2,2,7G)、およびイノシン(I)からなる群から選択される。幾つかの実施形態において、該修飾ヌクレオシドは、5−メチルシトシン(5mC)、シュードウラシル、またはそれらの組み合わせである。

修飾mRNAは、分子の長さ全体に沿って均一に修飾される必要はない。異なるヌクレオチド修飾および/またはバックボーン構造が、核酸内の様々な位置に存在し得る。当業者は、核酸の機能が実質的に低減しないように、該ヌクレオチド類似体または他の修飾(複数可)が核酸の任意の位置に配置され得ることを、察知するであろう。修飾は、5’または3’末端修飾でもあり得る。該核酸は、最小1%および最大100%の修飾ヌクレオチド、または任意の介在するパーセント値、例えば少なくとも50%の修飾ヌクレオチド、少なくとも80%の修飾ヌクレオチド、または少なくとも90%の修飾ヌクレオチドを含み得る。

幾つかの実施形態において、分子中の所与のヌクレオシドの各出現が修飾されていること(例えば、各シトシンが修飾シトシン、例えば5−メチルシトシンであり、各ウラシルが修飾ウラシル、例えばシュードウラシルである、など)が、好ましいが、絶対に必要ではない。例えば、該修飾mRNAは、ウラシルまたはシトシンなどの修飾ピリミジンを含むことができる、幾つかの実施形態において、核酸中のウラシルの少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%または100%が、修飾ウラシルで置き換えられている。同じヌクレオシドの異なる出現が、所与の合成された修飾RNA分子内で異なる方法で修飾され得ることもまた、企図される。該修飾ウラシルは、単一の特有構造を有する化合物で置き換えることができ、または異なる構造(例えば2、3、4以上の特有構造)を有する複数の化合物で置き換えることができる。幾つかの実施形態において、核酸中のシトシンの少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%または100%が、修飾シトシンで置き換えられていてもよい。該修飾シトシンは、単一の特有構造を有する化合物で置き換えることができ、または異なる構造(例えば2、3、4以上の特有構造)を有する複数の化合物で置き換えることができる(例えば、5mCとして修飾された幾つかのシトシン、2’−O−メチルシトシンまたは他のシトシン類似体として修飾された他のもの)。RNA分子が合成されている場合に、所望の修飾ヌクレオシドのみが、DC誘導因子をコードする得られたRNA分子に取り込まれるように、そのような多重修飾合成RNA分子は、所望の修飾ヌクレオシド全てを含むリボヌクレオシドブレンドまたは混合物を用いることにより生成することができる。

特定の実施形態において、例えばタンパク質生成の精密なタイミングが望ましい場合には、細胞に導入される修飾核酸を細胞内で分解することが望ましい。したがって、本明細書に記載された組成物、方法、およびキットの幾つかの実施形態において、本明細書で提供されるのは、細胞内での指揮された手法で作用され得る分解ドメインを含む修飾核酸である。

iDCが、核酸(DNAまたはRNA)またはアミノ酸配列の形態でのDC誘導因子の送達により生成され得ることは理解されるであろうが、本明細書に記載された組成物、方法、およびキットの幾つかの実施形態において、例えば1種または複数のDC誘導因子の発現を誘導する小分子または小分子カクテルなどの薬剤での細胞の処置によってなど、他の方法を用いて、iDC誘導が誘導され得る。

本明細書に記載された組成物、方法、およびキットを用いて細胞に導入される、または細胞集団に誘導されるDC誘導因子の発現の検出が、例えばウェスタンブロット分析、免疫細胞化学的測定、および蛍光外在性検出をはじめとする当業者に公知の複数の技術のいずれかにより実現され得る。

DC誘導因子の所与の組み合わせがiDCを生成したか否かを識別するために、1種または複数のDC活性またはパラメータ、例えば幾つかの実施形態において、表面抗原の差次的発現を測定することができる。本明細書に記載された組成物、方法、およびキットを用いた誘導DCの生成が、好ましくは例えばCLEC9A、MHC−I、MHC−II、CD40、CD80、CD86、CD103などの内因性DCの特徴である細胞表面表現型を出現させる。

DCは、最も確実には機能的挙動により他の免疫細胞から識別される。抗原特異性T細胞応答を誘導する樹状細胞の能力など、DC表現型または樹状細胞活性の機能的態様は、当該技術分野で公知であり本明細書に記載される、例えば図面に、即ち図1〜44に記載される日常的方法を用いて、当業者により容易に決定され得る。本明細書に記載された態様の幾つかの実施形態において、リプログラミング因子を同定する機能的アッセイを用いることができる。例えば幾つかの実施形態において、抗原提示および抗原交差提示アッセイを用いて、その組成物、方法およびそれらのキットを用いて生成されたiDCのT細胞応答の抗原特異性誘導(抗原提示の可能性)を確証することができる。サイトカイン分泌を用いて、本明細書に記載された組成物、方法、およびキットを用いて生成されたiDCの免疫調整特性を確証することができる。本明細書に記載された組成物、方法、およびキットを用いて生成されたiDCの粒子、タンパク質および死亡細胞を貪食する能力は、それぞれ標識されたビーズ、オボアルブミンまたは死亡細胞の存在下で形質導入された細胞を培養して、フローサイトメトリー分析を行うことにより、評価することができる。

本明細書で用いられる「細胞パラメータ」、「DCパラメータ」または「抗原提示活性」は、内因性または自然DCの測定可能成分または量、特に正確に測定され得る成分を指す。細胞パラメータは、細胞の表現型、機能または挙動に関する任意の測定可能パラメータであり得る。そのような細胞パラメータとしては、細胞表面決定基、受容体、立体配座または翻訳後修飾を含むタンパク質、脂質、炭水化物、有機または無機分子、核酸、例えばmRNA、DNA、全体的な遺伝子発現パターンなどの、生存性、細胞成長、マーカーの1種もしくは複数、または組み合わせの発現における変動を含むが、これらに限定されない、DCまたはDC集団の特徴およびマーカーにおける変動が挙げられる。そのような細胞パラメータは、当業者に公知の種々のアッセイのいずれかを用いて測定することができる。例えば、生存性および細胞成長は、トリパンブルー色素排除、CFSE希釈、および3H−チミジン取り込みなどのアッセイにより測定することができる。タンパク質またはポリペプチドマーカーの発現は、例えばフローサイトメトリーアッセイ、ウェスタンブロット技術、または顕微鏡測定法を利用して測定することができる。遺伝子発現プロファイルは、例えばRNA配列決定法および定量的または半定量的リアルタイムPCRアッセイを利用して、アッセイすることができる。細胞パラメータはまた、機能的パラメータまたは機能的活性を指すこともできる。ほとんどの細胞パラメータは、定量的読み出し情報を提供するであろうが、幾つかの例において、半定量的または定量的結果が許容され得る。読み出し情報としては、単一の計測値を挙げることができ、または平均値、中央値もしくは分散などを挙げることができる。特徴的には、一定範囲のパラメータ読み出し値が、複数の同じアッセイからの各パラメータについて得ることができる。可変性が予測され、テストパラメータのセットのそれぞれについての値範囲は、標準的統計方法を、単一の値を提供するのに用いられる一般的な統計方法と共に用いて得られるであろう。

本明細書に記載された組成物、方法、およびキットの幾つかの実施形態において、さらなる因子および薬剤を用いて、iDCリプログラミングを増進することができる。例えばエピジェネティックな経路を修飾する因子および薬剤を用いて、iDCへのリプログラミングを促進することができる。

本質的には、任意の初代体細胞型を、本明細書に記載された組成物、方法およびキットに従って、iDCを生成するため、または体細胞をiDCにリプログラミングするために用いることができる。そのような初代体細胞型はまた、誘導多能性幹細胞(iPS細胞)などの多能性幹細胞;他の複能性幹細胞;寡能性幹細胞;および(5)単能性幹細胞をはじめとする他の幹細胞型を包含する。本明細書に記載された方法の様々な態様および実施形態において有用な初代体細胞の幾つかの非限定的例としては、線維芽細胞、上皮細胞、内皮細胞、神経細胞、脂肪細胞、心臓細胞、骨格筋細胞、造血または免疫細胞、幹細胞、脾臓細胞、胚細胞、循環血細胞、胃腸細胞、腎臓細胞、骨髄細胞、および膵臓細胞、ならびにそれらの細胞を誘導する幹細胞が挙げられるが、これらに限定されない。該細胞は、非限定的に、脾臓、骨髄、血液、脳、肝臓、肺、消化管、胃、腸、脂肪、筋肉、子宮、皮膚、脾臓、内分泌系、臓器、骨などをはじめとする任意の体細胞組織から単離された初代細胞であり得る。用語「体細胞」は、体細胞が不死化されていないことを前提に、幾つかの実施形態において、培養で生育された初代細胞をさらに包含する。該細胞が、インビトロ条件下で維持される場合、従来の組織培養条件および方法を用いることができ、それは当業者に公知であり、様々な初代体細胞のための単離および培養方法は、当業者の能力に充分含まれる。

本明細書に記載されたこれらの態様およびそのような全ての態様の幾つかの実施形態において、該体細胞は、線維芽細胞である。

本明細書に記載されたこれらの態様およびそのような全ての態様の幾つかの実施形態において、該体細胞は、造血系譜の細胞であり得る。

本明細書に記載されたこれらの態様およびそのような全ての態様の幾つかの実施形態において、該体細胞は、癌細胞または腫瘍細胞であり得る。

本明細書に記載された組成物、方法およびキットの幾つかの実施形態において、iDCにリプログラミングまたは作製される体細胞は、造血系起源の細胞である。本明細書で用いられる用語「造血系由来細胞」、「造血系由来分化細胞」、「造血系譜の細胞」および「造血起源の細胞」は、複能性造血幹細胞(HSC)から誘導または分化された細胞を指す。したがって本明細書に記載された組成物、方法およびキットでの使用のための造血系譜の細胞としては、複能性、寡分化性、および系譜限定の造血前駆細胞、顆粒球(例えば、前骨髄球、赤血球)、赤血球(例えば、網状赤血球、赤血球)、血小板(例えば、巨核球、巨核球を産生する血小板、血小板)、単球(例えば、単球、マクロファージ)、樹状細胞、およびリンパ球(例えば、T細胞受容体(TCR)を担うTリンパ球、免疫グロブリンを発現して抗体を産生するBリンパ球またはB細胞、NK細胞、NKT細胞、および自然リンパ球)が挙げられる。本明細書で用いられる用語「造血前駆細胞」は、非限定的に、顆粒球、単球、赤血球、巨核球、ならびにリンパ球B細胞およびT細胞をはじめとする造血系の2種以上の細胞型に分化することが可能な複能性、寡分化性、および系譜限定の造血細胞を指す。造血前駆細胞は、複能性始原細胞(MPP)、共通骨髄始原細胞(CMP)、共通リンパ始原細胞(CLP)、顆粒球−単球始原細胞(GMP)、およびpre巨核球−赤血球始原細胞を包含する。系譜限定の造血前駆細胞としては、巨核球−赤血球始原細胞(MEP)、ProB細胞、PreB細胞、PreProB細胞、ProT細胞、二重陰性T細胞、proNK細胞、pre顆粒球/マクロファージ細胞、顆粒球/マクロファージ始原(GMP)細胞、およびPro肥満細胞(ProMC)が挙げられる。造血系譜の分化チャートを、図1に提供する。

本明細書に記載された組成物、方法およびキットにおける使用のための造血起源の細胞は、胎児組織、臍帯血、骨髄、末梢血、動員された末梢血、脾臓、肝臓、胸腺、リンパなど、これらの細胞を含むことで知られる任意の供給源から得ることができる。これらの供給源から得られた細胞は、当業者に許容できる任意の方法を利用してエクスビボで増大されて、本明細書に記載されたiDCを作製するための組成物、方法、およびキットで使用することができる。例えば、当業者に許容できる任意の手順を利用して、細胞を選別して画分し、処理して、特異的細胞型を除去し、または他の方法で操作して、本明細書に記載された方法における使用のための細胞の集団を得ることができる。単核リンパ球を、例えば米国特許第4,690,915号に記載された連続フロー細胞分離装置を用いて反復白血球フェレーシスにより、回収されてもよい、あるいは血球計数器を用いたフローサイトメトリー、抗体もしくはタンパク質コーティングビーズを用いた磁気分離、特異的タンパク質もしくはタンパク質型の発現もしくは発現欠如により細胞を基質に保持するアフィニティークロマトグラフィーもしくは固体担体アフィニティー分離、または該当する細胞型により特異的に発現される1種もしくは複数の表面抗原に対する1種もしくは複数の抗体を利用したバッチ精製などのCLP方法のアフィニティー精製ステップを利用して単離されてもよい。造血起源の細胞は、末梢血から得ることもできる。末梢血からの細胞の採取の前に、対象を、例えば顆粒球−コロニー刺激因子などのサイトカインで処理して、骨髄から血液区画への細胞遊走を促進し、かつ/または該当する集団の活性化および/もしくは増殖を促進することができる。例えば表面タンパク質を同定するのに適した任意の方法を用いて、異種集団から造血起源の細胞を単離することができる。幾つかの実施形態において、リンパ球などの造血起源の細胞のクローン集団を得ることができる。幾つかの実施形態において、造血起源の細胞は、クローン集団ではない。

さらに、本明細書に記載された組成物、方法およびキットの様々な態様および実施形態に関係して、体細胞は、非限定的例としてネズミ、ウシ、サル、ブタ、ウマ、ヒツジ、またはヒト細胞をはじめとする任意のホ乳動物種から得ることができる。幾つかの実施形態において、該体細胞は、ヒト細胞である。幾つかの実施形態において、該細胞は、非ヒトホ乳動物などの非ヒト生物体のものである。

本明細書に記載されたiDCを作製するための方法は、当業者に利用可能で周知である任意の培地において、造血起源の細胞などの体細胞を培養すること、または増大させることを含む。そのような培地として、Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium(登録商標)(DMEM)、DMEM F12 Medium(登録商標)、Eagle’s Minimum Essential Medium(登録商標)、F−12K Medium(登録商標)、Iscove’s Modified Dulbecco’s Medium(登録商標)、RPMI−1640 Medium(登録商標)、ならびにDCの培養および増大用の無血清培地が挙げられるが、これらに限定されない。多くの培地はまた、ナトリウムを含む、または含まない低糖配合物として入手できる。本明細書に記載された方法で用いられる培地は、幾つかの実施形態において、1種または複数の免疫刺激性サイトカインを補充することができる。一般に用いられる成長因子としては、G−CSF、GM−CSF、TNF−α、IL−4、Flt−3リガンドおよびkitリガンドが挙げられるが、これらに限定されない。加えて、好ましい実施形態において、該免疫刺激性サイトカインは、インターロイキン(例えば、IL−1α、IL−1β、IL−2、IL−3、IL−4、IL−6、IL−8、IL−9、IL−10、IL−12、IL−18、IL−19、IL−20)、インターフェロン(例えば、IFN−α、IFN−β、IFN−γ)、腫瘍壊死因子(TNF)、トランスフォーミング成長因子β(TGF−β)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、Flt−3リガンドおよびkitリガンドからなる群から選択される。

培養される細胞は、例えば懸濁させて、または細胞外マトリックス成分などの固体担体に付着されて、または例えばフィーダー細胞などに播種して、維持することができる。本明細書に記載された方法で用いられる細胞は、固体担体、幾つかの実施形態ではI型およびII型コラーゲン、コンドロイチン硫酸、フィブロネクチン、「スーパーフィブロネクチン」およびフィブロネクチン様ポリマー、ゼラチン、ポリ−Dおよびポリ−L−リシン、トロンボスポンンジン、およびビトロネクチンなどへの付着を促進するさらなる因子を必要とし得る。幾つかの実施形態において、該細胞は、懸濁培養における成長に適する。懸濁コンピーテント宿主細胞は、概ね単分散であるか、または実質的な凝集を含まない緩い凝集体の中で成長する。懸濁コンピーテント宿主細胞としては、適合または操作を行わずに懸濁培養に適する細胞(例えば、リンパ細胞などの造血起源の細胞)、および付着依存性細胞(例えば、上皮細胞、線維芽細胞)の修飾または適合により懸濁コンピーテントにされた細胞が挙げられる。

本明細書に記載されたこれらの態様およびそのような全ての態様の幾つかの実施形態において、該単離された誘導樹状細胞(iDC)は、必要とする対象への投与のために、医薬的に許容できる担体をさらに含む。

同じく幾つかの態様において、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載されたDC誘導組成物およびiDCを調製する方法を利用して、または本明細書に記載されたDC誘導因子、DC誘導組成物もしくはiDCを調製する方法の組み合わせのいずれかを利用して生成された、単離された誘導樹状細胞(iDC)およびその細胞クローンを利用して、抗原特異性免疫応答を誘導し、癌細胞または感染物質を排除する処置を必要とする対象を処置する方法である。そのような処置方法において、線維芽細胞または造血系譜の細胞などの体細胞を最初、対象から単離し、単離された細胞に、それぞれ発現ベクターまたは合成mRNAを含むDC誘導組成物を、本明細書に記載された通り形質導入またはトランスフェクトすることができる。本明細書に記載されたDC誘導因子、DC誘導組成物、またはiDCを調製する方法の組み合わせのいずれかを利用して生成された単離された誘導樹状細胞(iDC)をその後、対象へのiDCの全身注射を介するなど、対象に投与することができる。

同じく幾つかの態様において、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載されたDC誘導組成物、およびDC誘導因子の組み合わせのいずれかを利用して、抗原特異性免疫応答を誘導して、癌細胞または乾癬物質を排除する処置を必要とする対象を処置する方法である。そのような処置方法において、該細胞に、発現ベクターを含むDC誘導組成物を、本明細書に記載された通り形質導入する。癌細胞を最初、対象から単離し、発現ベクターを含むDC誘導組成物を該細胞に形質導入し、その後、全身注射を介するなど、対象に投与することができる。該修飾された癌細胞は、抗原提示能力を獲得し、それらの腫瘍抗原をT細胞に提示して、T細胞自体への細胞傷害性応答を排除する。

本明細書に記載された組成物、方法およびキットを用いて生成されたリプログラムされたiDCは、本明細書に記載された処置方法の幾つかの実施形態において、直接使用するか、または免疫療法を必要とする対象に投与することができる。したがって、本明細書に記載された方法の様々な実施形態は、細胞療法を必要とする個体または対象への、本明細書に記載された組成物、方法、およびキットのいずれかを利用して生成されたiDCまたはiDC集団の有効量の投与を含む。投与される細胞または細胞集団は、自家性集団であり得る、または1種もしくは複数の異種供給源に由来し得る。さらにそのようなiDCは、リンパ節に遊走させてエフェクターT細胞を活性化させる手法で、投与することができる。

細胞を対象に投与するための種々の手段が、当業者に公知である。そのような方法としては、全身注射、例えば静脈注射、または対象の標的部位への細胞植え込みを挙げることができる。細胞は、対象への注射または植え込みによる導入を容易にする送達デバイスに挿入されてもよい。そのような送達デバイスとしては、レシピエント対象の身体に細胞および流体を注射するためのチューブ、例えばカテーテルを挙げることができる。1つの好ましい実施形態において、該チューブはさらに、例えば細胞を所望の位置で対象に導入し得る、針を有する。該細胞は、種々の異なる形態で送達されるように調製することができる。例えば該細胞は、溶液もしくはゲルに懸濁することができ、またはそのような送達デバイスに含まれると、支持マトリックス中に埋入することができる。細胞が生存性を維持するような医薬的に許容できる担体または希釈剤と、細胞を混合することができる。

したがって、本明細書に記載された方法により生成された細胞を用いて、非限定的に乳癌、前立腺癌、リンパ腫、皮膚癌、膵臓癌、結腸癌、黒色腫、悪性黒色腫、卵巣癌、脳癌、原発性脳癌腫、頭頸部癌、膠腫、膠芽腫、肝臓癌、膀胱癌、非小細胞肺癌、頭部または頸部癌腫、乳房癌腫、卵巣癌腫、肺癌腫、小細胞肺癌腫、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌腫、精巣癌腫、膀胱癌腫、膵臓癌腫、胃癌腫、結腸癌腫、前立腺癌腫、尿生殖器癌腫、甲状腺癌腫、食道癌腫、骨髄腫、多発性骨髄腫、副腎癌腫、腎細胞癌腫、子宮内膜癌腫、副腎皮質癌腫、悪性膵臓インスリノーマ、悪性カルチノイド癌腫、絨毛癌腫、菌状息肉腫、悪性高カルシウム血症、子宮頸部過形成、白血病、急性リンパ球性白血病、慢性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性顆粒球性白血病、急性顆粒球性白血病、毛様細胞白血病、神経芽細胞腫、横紋筋肉腫、カポジ肉腫、真性多血症、本態性血小板増加症、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、軟組織肉腫、骨肉腫、原発性マクログロブリン血症、および網膜芽細胞腫などをはじめとする複数の癌および腫瘍を処置または緩和するように細胞を調製することができる。

上述のことに加えて、本発明の方法を用いて、特定の癌に罹患し易くなることが知られる病原体による感染を予防または排除することができる。本明細書で提供された癌ワクチン中での使用のための特別な関心がある病原体としては、B型肝炎ウイルス(肝細胞癌腫)、C型肝炎ウイルス(肝癌(heptomas))、エプスタイン・バー・ウイルス(EBV)(バーキットリンパ腫、鼻咽頭癌、免疫抑制された個体におけるPTLD)、HTLVL(成人T細胞白血病)、発癌性ヒトパピローマウイルス16、18、33、45型(成人子宮頸癌)、およびヘリコバクター・ピロリ菌(B細胞胃リンパ腫)が挙げられる。他の医療的に関係がありホ乳動物、より詳細にはヒトにおいて抗原として働き得る微生物は、文献、例えばC. G. A Thomas,Medical Microbiology,Bailliere Tindall,(1983)に詳細に記載されている。

上述のことに加えて、本発明の方法は、ウイルス感染に用いることができる。模範的なウイルス病原体としては、ホ乳動物、より詳細にはヒトに感染する感染性ウイルスが挙げられるが、これに限定されない。感染性ウイルスの例としては、レトロウイスル科(例えば、HIV−I(HTLV−III、LAVまたはHTLV−III/LAVまたはHIV−IIIとも称される)およびHIV−LPなどの他の単離物などのヒト免疫不全ウイルス);ピコルナウイルス科(例えば、ポリオウイルス、A型肝炎ウイルス、エンテロウイルス、ヒトコクサッキーウイルス、ライノウイルス、エコーウイルス);カリシウイルス科(Calciviridae)(例えば、胃腸炎を誘発する株);トガウイルス科(例えば、ウマ脳炎ウイルス、黄熱病ウイルス);フラビウイルス科(flaviridae)(例えば、デングウイルス、脳炎ウイルス、黄熱病ウイルス);コロナウイルス科(Coronoviridae)(例えば、SARSコロナウイルスなどのコロナウイルス);ラブドウイルス科(例えば、水疱性口内炎ウイルス、狂犬病ウイルス);フィロウイルス科(例えばエボラウイルス);パラミクソウイルス科(例えば、パラインフルエンザウイルス、流行性下腺炎ウイルス、麻疹ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス);オルトミクソウイルス科(例えば、インフルエンザウイルス);ブニヤウイルス科(例えば、ハンタンウイルス、ブニヤウイルス、フレボウイルスおよびナイロウイルス);アレナウイルス科(出血熱ウイルス);レオウイルス科(例えば、レオウイルス、オルビウイルス、およびロタウイルス);ビルナウイルス科;ヘパドナウイルス科(B型肝炎ウイルス);パルボウイルス科(パルボウイルス);パポバウイルス科(パピローマウイルス、ポリオーマウイルス);アデノウイルス科(ほとんどのアデノウイルス);ヘルペスウイルス科(単純ヘルペスウイルス(HSV)1型および2型、水痘−帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、ヘルペスウイルス);ポックスウイルス科(P.oxyiridae)(痘瘡ウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス);およびイリドウイルス科(例えばアフリカブタ熱ウイルス);ならびに未分類のウイルス(例えば、海綿状脳症の病原体、デルタ肝炎の病原体(B型肝炎ウイルスの欠損型サテライト(defective satellite)であると考えられる)、非A非B型肝炎の病原体(クラス1=内因的に伝染するもの;クラス2=非経口的に伝染するもの(即ち、C型肝炎);ノーウォークウイルスおよび関連ウイルス、ならびにアストロウイルス)などが挙げられるが、これらに限定されない。

上述のことに加えて、本発明の方法を用いて、脊髄動物のグラム陰性およびグラム陽性菌を標的にすることができる。そのようなグラム陽性菌としては、パスツレラ属の菌種、ブドウ球菌の菌種、および連鎖状球菌属の菌種が挙げられるが、これらに限定されない。グラム陰性菌としては、大腸菌、シュードモナス属の菌種、およびサルモネラ属の菌種が挙げられるが、これらに限定されない。感染性細菌の特異的例としては、ヘリコバクター・ピロリ、ボレリア・ブルグドルフェリ、レジオネラ・ニューモフィリア、マイコバクテリウム属の菌種(例えば、M.ツベルクローシス、M.アビウム、M.イントラセルラーレ、M.カンサシイ(M.kansaii)、M.ゴルドネ)、黄色ブドウ球菌、ナイセリア・ゴノレー、ナイセリア・メニンギティディス、リステリア・モノサイトゲネス、ストレプトコッカス・ピオゲネス(A群連鎖球菌)、ストレプトコッカス・アガラクティエ(B群連鎖球菌)、連鎖球菌(緑色)、ストレプトコッカス・フェカリス、ストレプトコッカス・ボビス、連鎖球菌(嫌気性の菌種)、ストレプトコッカス・ニューモニエ、病原性カンピロバクター菌、腸球菌の菌種、インフルエンザ菌、炭疽菌、ジフテリア菌、コリネバクテリウム属の菌種、豚丹毒菌、ウェルシュ菌、破傷風菌、エンテロバクター・エアロゲネス、クレブシエラ・ニューモニエ、パスツレラ・ムルトシダ、バクテロイデス属の菌種、フソバクテリウム・ナクレタム、ストレプトバシラス・モニフォルミス、トレポネーマ・パリジウム、トレポネーマ・ペルテヌエ、レプトスピラ、チケッチアおよびアクチノマイセス・イスラエリが挙げられるが、これらに限定されない。

上述のことに加えて、本発明の方法を用いて、非限定的にホ乳動物、より詳細にはヒトに感染する感染性真菌および寄生虫をはじめとする病原体を標的とすることができる。感染性真菌の例としては、クリプトコッカス・ネオフォルマンス、ヒストプラズマ・カプスラーツム、コクシディオイデス・イミティス、ブラストマイセス・デルマティティディス、クラミジア・トラコマティス、およびカンジダ・アルビカンスが挙げられるが、これらに限定されない。

上述のことに加えて、本発明の方法を用いて、細胞内寄生虫および偏性細胞内寄生虫などの寄生虫を標的とすることができる。寄生虫の例としては、熱帯熱マラリア原虫、卵形マラリア原虫、四日熱マラリア原虫、三日熱マラリア原虫、二日熱マラリア原虫、ネズミバベシア、多型バベシア、トリパノソーマ・クルージ、トキソプラズマ・ゴンディ、トリヒネラ・スピラリス、森林型熱帯リーシュマニア、リーシュマニア・ドノバニ、リーシュマニア・ブラジリエンシス、リーシュマニア・トロピカ、トリパノソーマ・ガンビエンス、トリパノソーマ・ローデシエンス、ウケレリア・バンクロフティ、ブルギア・マライ、ブルギア・チモリ、アスカリス・ランブリコイデス、オンコセルカ・ボルブルスおよびマンソン住血吸虫が挙げられるが、これらに限定されない。

修飾された誘導樹状細胞を、1種または複数の標的抗原への将来または既存の免疫応答の抑制を含む寛容原性応答を誘導するために用い得る場合。したがってDCを誘導するのは、例えば移植片拒絶、移植片対宿主病、アレルギー、寄生虫疾患、炎症性疾患および自己免疫疾患をはじめとする望ましくない免疫応答を処置または予防するのに有用である。本発明に従って処置または予防され得る移植片拒絶の例としては、骨髄の移植、および心臓、肝臓、膵臓、腎臓、肺、目、皮膚などの臓器の移植に関連する拒絶が挙げられる。アレルギーの例としては、季節性呼吸器アレルギー;枯草熱などの空中アレルゲンへのアレルギー;血清IgEおよび好酸球増加を低減することにより処置可能なアレルギー;喘息;湿疹;動物アレルギー;食物アレルギー;ラテックスアレルギー;皮膚炎;またはアレルギー減感作により処置可能なアレルギーが挙げられる。本発明により処置または予防され得る自己免疫疾患としては、例えば乾癬、全身性エリテマトーデス、重症筋無力症、スティッフマン症候群、甲状腺炎、シデナム舞踏病、関節リウマチ、糖尿病、および多発性硬化症が挙げられる。炎症性疾患の例としては、クローン病、慢性炎症性眼疾患、慢性炎症性肺疾患および慢性炎症性肝疾患、自己免疫性溶血性貧血、特発性白血球減少症、潰瘍性大腸炎、皮膚筋炎、強皮症、混合性結合組織病、過敏性腸症候群、全身性エリテマトーデス(SLE)、多発性硬化症、重症筋無力症、ギラン・バレー症候群(抗リン脂質症候群)、原発性粘液浮腫、甲状腺中毒症、悪性貧血、自己免疫性萎縮性胃炎、アジソン病、インスリン依存性糖尿病(IDDM)、グッドパスチャー症候群、ベーチェット症候群、シェーグレン症候群、関節リウマチ、交感性眼炎、橋本病/甲状腺機能低下、セリアック病/疱疹状皮膚炎、脱髄性疾患、原発性胆汁性肝硬変、混合性結合組織病、慢性活動性肝炎、グレーブス病/甲状腺機能亢進症、強皮症、慢性特発性血小板減少性紫斑症、糖尿病性腎症および敗血症性ショックが挙げられる。

医薬的に許容できる担体および希釈剤としては、生理食塩水、水性緩衝溶液、溶媒および/または分散媒が挙げられる。そのような担体および希釈剤の使用は、当該技術分野で周知である。該溶液は、好ましくは滅菌性であり、流体である。好ましくは、細胞導入の前に、該溶液は、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどの使用により、製造および貯蔵の条件下で安定しており、細菌および真菌などの微生物の汚染作用から防護される

細胞投与様式が例えば静脈注射、吸入による肺送達、局所、または鼻内投与により、相対的に非侵襲性であることが好ましい。しかし、該細胞投与経路は、処置さえる組織に依存することになり、植え込みを包含し得る。細胞送達のための方法は、当業者に公知であり、本明細書に記載された方法および組成物での利用については、医薬品の当業者によって推定され得る。

同じく幾つかの態様において、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載された1種または複数の発現ベクター成分を含むDC誘導組成物のいずれかを含む、誘導樹状細胞(iDC)を作製するためのキットである。

同じく幾つかの態様において、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載された誘導樹状細胞を作製する方法のための成分としての、本明細書に記載されたDC誘導因子の1種または複数を含むキットである。

したがって、幾つかの態様において、本明細書で提供されるのは、以下の成分:(a)BATF3(配列番号1、配列番号2)、SPIB(配列番号3、配列番号4)、IRF8(配列番号5、配列番号6)、PU.1(配列番号7、配列番号8)、STAT3(配列番号11、配列番号12)、TCF4(配列番号13、配列番号14)、IKZF1(配列番号15、配列番号16)、ID2(配列番号17、配列番号18)、BCL11A(SEQ. ID.19、配列番号20)、RELB(配列番号21、配列番号22)、ZBTB46(配列番号23、配列番号24)、RUNX3(配列番号25、SEQ: ID. 26)、GFI1(配列番号27、配列番号28)、IRF2(配列番号29、配列番号30)、NFIL3(配列番号31、配列番号32)、BCL6(配列番号33、配列番号34)、L−MYC(配列番号35、SEQ. ID.36)、NR4A3(配列番号37、配列番号38)から選択される少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8種以上のDC誘導因子をコードする1種または複数の発現ベクターと、(b)それらのための包装および使用説明書導入と、を含む誘導樹状細胞を調製するためのキットである。

幾つかの実施形態において、本明細書に記載されたキットはさらに、該合成mRNAまたはDC誘導因子をコードする1種もしくは複数の発現ベクターを、混和物として、または分離したアリコットとして提供することができる。

幾つかの実施形態において、該キットは、リプログラミングの効率を増進するための薬剤をさらに含むことができる。幾つかの実施形態において、該キットは、樹状細胞状態に誘導された細胞を同定するために細胞型特異性マーカーを検出する1種または複数の抗体またはプライマー試薬をさらに含むことができる。

幾つかの実施形態において、該キットは、緩衝剤をさらに含むことができる。幾つかのそのような実施形態において、該緩衝液は、pH7.0のRNase不含のTE緩衝液である。幾つかの実施形態において、該キットは、細胞培養培地を含むコンテナをさらに含む。

本明細書に記載されたキットの全てが、緩衝剤、細胞培地、形質導入もしくはトランスフェクション媒体、および/または媒体サプリメントをさらに含むことができる。好ましい実施形態において、該緩衝剤、細胞培地、トランスフェクション媒体、および/または媒体サプリメントは、DNAaseおよびRNAase不含である。幾つかの実施形態において、該キット中で提供される合成された修飾RNAは、エンドユーザーが適切な量の緩衝剤または媒体を添加して、該成分を所望の濃度、例えば100ng/μlにするように、凍結乾燥粉末など、特定量または質量、例えば20μgの非溶液形態であり得る。

本明細書に記載されたキットの全てが、非植え込み可能な送達デバイス、例えば針、シリンジ、ペンデバイス、または植え込み可能な送達デバイス、例えばポンプ、半永久型ステント(例えば、静脈内、腹腔内、大槽内または関節内)、またはリザーバーなど、本明細書に記載されたキット成分を利用して作製される細胞の単回投与または反復もしくは頻回輸液を容易にするデバイスをさらに含むことごとができる。幾つかのそのような実施形態において、該送達デバイスとしては、iDCを含む医薬組成物の単一用量を分配する機器を挙げることができる。幾つかの実施形態において、該デバイスは、該組成物を連続で、例えば拡散により放出する。幾つかの実施形態において、該デバイスとしては、対象内のパラメータをモニタリングするセンサーを挙げることができる。例えば該デバイスはポンプ、例えば、任意選択的に関連の電子装置を含むことができる。

一実施形態において、誘導樹状細胞は、例えば、体細胞、多能性細胞、始原細胞もしくは幹細胞の本明細書に開示された因子の少なくとも1種の遺伝子発現を修飾することにより、または本明細書に開示された少なくとも1種のタンパク質を生成する少なくとも1種のタンパク質もしくはRNAにこれらの細胞型の任意の1種を暴露することにより、人の手によって作製される。該細胞はさらに、それらを、本明細書に開示された因子の少なくとも1種を刺激する小分子に暴露することにより作製することができる。幾つかの態様において、少なくとも2、3、4、5、6、7、または8種の因子を用いて、誘導樹状細胞を作製する。

一実施形態において、開示の実施形態全ての幾つかの態様における該誘導樹状細胞は、天然由来の内因性樹状細胞と、機能的特徴が類似しているが遺伝子発現が顕著に異なる。

一実施形態において、本明細書に記載された誘導樹状細胞は、翻訳後修飾シグネチャーおよびそれらの遺伝子発現シグネチャーの両方が、天然由来の樹状細胞と異なる。

一実施形態において、本明細書に記載された誘導樹状細胞は、インビトロで接着培養物として成長し、培養で1ヶ月以上生き残る能力が、天然由来の樹状細胞と異なる。

一実施形態において、誘導樹状細胞はまた、天然由来の樹状細胞と異なる遺伝子発現シグネチャーを含むと定義される。天然由来の樹状細胞の遺伝子発現パターンを該誘導樹状細胞のものと比較することにより、差異を実験的に示すことができる。それゆえ、本発明の幾つかの実施形態全ての幾つかの態様において、該誘導樹状細胞は、特異的遺伝子の約1〜5%、2〜5%、3〜5%、最大50%、最大40%、最大30%、最大25%、最大20%、最大15%、または最大10%の発現シグネチャーと異なる、約1〜5%、5〜10%、5〜15%または5〜20%の発現シグネチャーを含む。例えば、iDCにおけるPU.1、IRF8、BATF3およびTCF4などのDC誘導因子(複数可)の発現レベルは、DC誘導因子が過剰発現されているため、天然由来DCよりも高い。

一実施形態において、マウス胚性線維芽細胞(MEF)を単離して、以下の方法で精製される:Clec9aCre/Cre動物(10)をRosa26−stopflox−tdTomatoレポーターマウス(The Jackson Laboratory)と交配させて、二重ホモ接合Clec9aCre/Cre RosatdTomato/tdTomato(C9A−tdTomato)マウスを作製した。C57BL/6マウス、Rag2構成ノックアウト(KO)/OT−IIランダムトランスジェニック(Rag2KO/OT−II)マウスおよびRag2KO/OT−Iランダムトランスジェニックマウスを、それぞれCharles RiverおよびTaconicから得た(17〜19)。動物は全て、温度制御下で(23±2℃)で飼育され、一定の12時間明暗周期に供され、飼料および水に自由に接近できた。

一実施形態において、MEFの初代培養物を、C9A−tdTomatoまたはC57BL/6マウスのE13.5胚から単離した(6、10)。頭部、胎児肝臓および全ての内部臓器を摘出して、残留する組織を、機器で分離した。切断された組織を、0.12%トリプシン/0.1mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)溶液(3mL/胚)および37℃で15分間のインキュベーションを用いて酵素消化した。同じ溶液を胚あたり追加で3mL添加して、さらに15分間インキュベートした。単一細胞懸濁液を得て、生育培地中で0.1%ゼラチンコーティング付き10cm組織培養皿に播種した。細胞を、コンフルエンスになるまで2〜3日間成育させて、Tryple Expressで解離させ、ウシ胎仔血清(FBS)10%ジメチルスルホキシド(DMSO)中で凍結させた。MEFを、レンチウイルス形質導入のために播種する前に、造血能を有する細胞を表し得る残りのCD45+およびtdTomato+細胞を除去するために選別した。スクリーニングおよび後の実験で用いられるMEFは、tdTomato− CD45−であり、純度99.8%で、4継代まで増大させた。

一実施形態において、HEK293T細胞、MEFおよびヒト皮膚線維芽細胞(HDF、ScienCell)を、生育培地[10%(v/v)FBS、2mM L−グルタミンおよび抗生物質(10μg/mlペニシリンおよびストレプトマイシン)を補充されたDulbecco’s modified eagle medium(DMEM)]に保持し、OP−9およびOP−9−DL1細胞株を、20%FBS、1mM L−グルタミンおよびペニシリン/ストレプトマイシン(10μg/ml)含有の最小必須培地(MEM)アルファで培養した。OP−9およびOP−9−DL1は、日常的に80%コンフルエントで継代した。細胞は全て、37℃および5%(v/v)CO2で維持した。他に断りがなければ、組織培養試薬は全て、Thermo Fisher Scientific製であった。

一実施形態において、ウイルス形質導入およびリプログラミング実験は、以下の方法で実施した:C9A−tdTomato MEFを、0.1%ゼラチンコーティング付き6ウェルプレートに40,000細胞/ウェルの密度で播種した。細胞を、8μg/mLポリブレンを補充された生育培地中に1:1比のFUW−TetO−TFおよびFUW−M2rtTAレンチウイルス粒子と共に一夜インキュベートした。TFの組み合わせをテストする場合、等しいMOIの各ウイルス粒子を適用した。細胞を連続数日間内に2回形質導入し、一夜インキュベートした後、培地を新鮮な生育培地に交換した。二回目の形質導入の後、生育培地にドキシサイクリン(1μg/mL)を補充した(0日目)。培地は、培養期間中に2〜3日ごとに取り換えた。出現したtdTomato+細胞を、形質導入後の1〜15日後に分析した。断りがあれば、異なる培養条件、即ちRPMI−1640、リポ多糖(LPS、100ng/ml、Sigma)、2−メルカプトエタノール(1×104μM;2−ME)、L−グルタミン(2μmol/ml)、GM−CSF(10ng/ml、STEMCELL Technologies)、IL−4(20ng/ml、STEMCELL Technologies)およびFlt3l(100ng/ml、STEMCELL Technologies)を適用した。

一実施形態において、蛍光顕微鏡測定および免疫蛍光法を、以下の方法で評価した:MEFおよび形質導入HDF中のC9Aに促されたtdTomatoを、倒立顕微鏡(Zeiss AxioVert 200M)下の6ウェルプレート上で直接視覚化し、AxioVisionおよびAdobe Photoshopソフトウエアで画像処理した。DAPI(4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール、1μg/mL、Sigma)およびファロイジン(50μg/ml、Sigma)を用いて、それぞれ核およびF−アクチンを染色した。タイムラプス顕微鏡測定の場合、Dox添加後の6日と4時間の間に1時間ごとに、INCELL Analyzer 2200(GE Healthcare)を用いて蛍光写真を得た。動画を、ImageJソフトウエア(NIH)で作成した。

一実施形態において、フローサイトメトリー分析を、以下の方法で実施した:形質導入されたC9A−tdTomato MEFまたは形質導入されたヒト線維芽細胞を、TrypLE Expressで解離して、PBS 5%FBS 200μLで再懸濁させて、BD Accuri C6 Flow Cytometer(BD Biosciences)での分析の前に4℃に保持した。試料の回収を、3−blue−1−red構成(FL1内の533/30フィルター;FL2内の585/40フィルター、FL3内の670 LPフィルターおよびFL4内の675/25フィルター)で実施した。tdTomato蛍光は、FL2チャネルで分析した。CD45またはMHC−II細胞表面マーカー発現の分析については、解離された細胞を、ラット血清(1/100、GeneTex)の存在下、PBS 5%FBSで希釈されたAPC−Cy7ラット抗マウスCD45抗体またはAlexa Fluor 647ラット抗マウスI−A/I−Eと共に、4℃で30分間インキュベートして、非特異的結合を遮断した。細胞をPBS5%FBSで洗浄し、PBS5%FBSで再懸濁させて、BD Accuri C6フローサイトメーターで分析した。CD45 APC−Cy7およびI−A/I−E Alexa Fluor 647の蛍光を、FL4チャンネルで分析した。MHCII、CD80およびCD86細胞表面発現の複合分析のために、解離された細胞をAlexa Fluor 647ラット抗マウスI−A/I−E、BV650ラット抗マウスCD80およびPE−CY7ラット抗マウスCD86で染色して、BD FACSAria III(BD Biosciences)で分析した。形質導入されたHDFの分析のために、解離された細胞をAPCマウス抗ヒトCLEC9AおよびFITCマウス抗ヒトHLA−DRで染色した。APCとの共培養7日後のCD4+およびCD8+T細胞増殖および活性化を評定するために、カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)標識T細胞を、PEラット抗マウスCD44と共にインキュベートして、BD Accuri C6で分析した。フローサイトメトリーのデータを、FlowJoソフトウエア(FLOWJO、LLC、バージョン7.6)を用いて解析した。

一実施形態において、蛍光活性化セルソーティング(FACS)を、以下の方法で実施した:C9A−tdTomato MEFを精製するために、細胞を、PBS 5%FBSで希釈されたAPC−Cy7抗CD45抗体と共に4℃で30分間インキュベートした。次に、MEFをPBS5%FBSで洗浄し、PBS5%FBSで再懸濁させて、tdTomato−CD45−MEFをBD FACSAria IIIで精製した。記載されたtdTomato+細胞を、BD FACSAria IIIを用いて精製して、ドキシサイクリンの非存在下または存在下で培養する場合。脾臓DCの単離の場合、脾臓細胞をAlexa Fluor 647ラット抗マウスI−A/I−E、FITCラット抗マウスCD11cおよびAPC−Cy7ラット抗マウスCD8aと共にインキュベートした。CD11c+MHCII+CD8a+脾臓DCを、BD FACSAria III(BD Biosciences)で精製した。FACSデータを、FlowJoソフトウエアで処理した。

一実施形態において、GPSforGenesソフトウエアを用いて、DC系譜についての Pu.1、Irf8およびBatf3の組み合わせの特異度を計算した。遺伝子発現データを、BioGPSデータベース(GeneAtlas MOE430)からダウンロードして、対数領域に変換し、発現値を異なる試料にまたがり各遺伝子について0〜1範囲にするように正規化した。得られたデータをその後、Pu.1+Irf8+Batf3の最高平均発現となる試料を検索した。

一実施形態において、シングルセルmRNAseq分析を、以下の方法で実施した:シングルエンドリードを、k=21のSalmon v0.8.1を用いて、mm10マウスゲノム(Ensembl注釈、リリース89)にマッピングした。得られたTPMを、tximportライブラリーを用いてRにインポートし、Monocleライブラリーで実行されたセンサスアルゴリズムを用いて、mRNAカウントに変換した。Scatterライブラリーを用いて、品質管理閾値をパスしない細胞および遺伝子を廃棄した。以下のQC基準を用いた:1)細胞あたりのライブラリーサイズ;2)各単一細胞で検出された遺伝子数;3)ミトコンドリア遺伝子におけるカウントのパーセンテージ。最初にプロファイリングされた192の細胞のうち、163の個々の細胞が品質管理フィルターをパスし、解析に用いられた。Custom Rスクリプトを用いて、t分布型確率的近傍埋め込み(tSNE)(MonocleおよびScatterパッケージ)、主成分分析(PCA)(MonocleおよびScatterパッケージ)、階層クラスタリング(SC3パッケージ)、分散分析を実施し、ヒートマップ、箱ひげ図、散布図、バイオリンプロット、デンドログラム、棒グラフ、およびヒストグラムを構築した。概して、ggplot2、gplots、graphicsおよびpheatmapパッケージを用いて、データグラフを作成した。

一実施形態において、異なる発現分析を、Monocleパッケージを用いて実施し、0.05未満のBH補正p値を有する遺伝子を選択した。得られた遺伝子を次に、分散によりフィルタリングした(全ての条件で1以上の分散を有する遺伝子を選択した)。最後に、得られた6,525の遺伝子を、階層クラスタリングに基づいて4つの異なるクラスターに群分けした。

一実施形態において、遺伝子の内因性発現を、デフォルト設定を含むSTAR v2.5.3aを利用して計測した。ウィンドウを、5’および3’非翻訳領域(UTR)に対応する遺伝子開始−10kbおよび遺伝子終了+10kbに基づいて定義し、それを用いて、bedtools v2.27.0のmulticovを利用してUTR内の読み取り数を計算した。

一実施形態において、iDCのDC系譜を、SchlitzerによるcDC1およびcDC2遺伝シグネチャーを用いることにより決定した(11)。遺伝子の大部分は、MEFにおいて、および本発明者らの全条件で高度に発現された。これらの遺伝子を、廃棄した。さらに、sDC細胞を、cDC1マーカーのCD11c、MHC−IIおよびCD8αについて精製されたため、sDCにおいて発現されるが同時にcDC2シグネチャーリストに見いだされる遺伝子を、廃棄した。その後、cDC1/cDC2遺伝子リストを用いて、階層クラスタリングを実施した。次に、MEF細胞における遺伝子発現中央値が3日目、7日目および9日目に比較して有意に低かったクラスターのみを、選択した。その他に、cDC2遺伝子リストについて、先に記載された手順に加えて、sDC細胞内での遺伝子発現中央値が3日目、7日目および9日目に比較して有意に高かった遺伝子クラスターも、廃棄した。次に、各選択された遺伝子にまたがる遺伝子発現中央値を、各特定条件から計算した。最後に、Schlitzerとその共同研究者により定義されたプリソートされたcDC1およびcDC2遺伝子シグネチャー全てにわたる遺伝子発現中央値を、計算した。

一実施形態において、最小全域木での独立成分分析を利用して擬似時系列パスに沿って細胞を連結させるアルゴリズムのMonocleパッケージを、MEFからiDC細胞リプログラミングまでの擬似時間経過で細胞を整列させるのに用いた。Monocle解析は、9日目がcDC1様細胞になることを立証する代替的アプローチであるため、細胞発達を定義する遺伝子としてのSchlitzer,2015(11)によるcDC1およびcDC2遺伝子に基づいて実施した。得られたトラジェクトリーを、Monocle関数を利用して視覚化した。単一細胞トラジェクトリーが、枝を含んでいたため、枝の間で差次的に発現された遺伝子を見出すために、Monocleパッケージで実行される特別な統計学的検定:分岐発現解析モデリング(branched expression analysis modeling)(BEAM)を用いた。Monocle分岐アルゴリズムの代替的アプローチとして、クラスターを連結する最小全域木を構成することにより、クラスタリングと擬時間解析とを組み合わせたTSCANを用いた。Monocleと対照的にTSCANは、全ての遺伝子を利用して、細胞を整列させることができる。

一実施形態において、遺伝子オントロジー(生物学的プロセス、細胞成分およびKEGG経路)を、Enrichr(http://amp.pharm.mssm.edu/Enrichr/)およびDatabase for Annotation, Visualization and Integrated Discovery(DAVID)クラスター化関数解析(david.ncifcrf.gov/)を用いて実施した。

一実施形態において、マイクロRNA標的相互作用解析を、miRTarBase 2017, Enrichr website (http://amp.pharm.mssm.edu/Enrichr/)を用いて実施した。

一実施形態において、マウス表現型解析を、Network2canvas(http://www.maayanlab.net/N2C/#.WmRvOjLc8yk)を用いて実施した。

一実施形態において、全ての可能な条件と状態の間の遺伝子セットエンリッチメント解析(GSEA)を、Molecular Signatures Database(MSigDB)およびNetPathからのC7:免疫シグネチャーに対して実施した。

一実施形態において、TFネットワーク解析を、Pearson相関係数を用いたペアワイズ相関行列により算出した。TFを、マウスにおけるDBD:転写因子予測データベース (http://www.transcriptionfactor.org/)に基づいて選択した。その目的は、mefから9日目までの条件の切り替えを研究することであるため、mefから3日目に;3日目から7日目に;7日目から9日目に切り替えることに対応する3種のリストを作成して、条件対ごとにlogFC=0.5を有するそれらのTFのみを組み入れた。次に、3つの条件対ごとのlogFCに基づいて定義されたTFから、少なくとも5つの他のTFと0.35より大きなPearson相関係数を有するTFを選択した。それらの結果が偶然に得られる可能性がある、という事実を考慮して、TFが偶然にこの閾値をパスする確率を決定するために、順列を利用した。100の順列を実施して、それらの全てで、この閾値をパスするTFが0となった。3つの条件対について選択されたTFのためにPearsonペアワイズ相関行列を採用して、graph.adjacency() of igraph Rパッケージの関数を用いた。

一実施形態において、メチルセルロースクローン原性アッセイを、以下の方法で実施した:Dox添加後3、5、7、10および25日目のPIB形質導入MEFを、1%メチルセルロース培地(Methocult M3434、Stem Cell Technologies)中でアッセイした。選別されたsDC1(MHC−II+CD11c+CD8a+)、ならびに未選別の脾臓細胞および骨髄細胞を、対照として用いた。造血系コロニーをスコアリングして、37℃の5%CO2中での培養の7〜10日後にカウントした。

一実施形態において、ビーズ取り込みアッセイを、以下の方法で評価した:形質導入C9A−tdTomato MEFおよび形質導入HDF培養物を、生育培地中で1:1000比の2.5%黄緑色蛍光カップリング固体ラテックスビーズ(カルボキシラート修飾ポリスチレン、Sigma)と共にインキュベートした。16時間後に、細胞をPBS 5%FBSで2回洗浄し、倒立顕微鏡下で分析した。DAPI(1μg/mL、Sigma)を、核染色に用いた。

一実施形態において、標識オボアルブミンの取り込みを、以下の方法で評価した:形質導入されたMEFおよびヒト線維芽細胞培養物を、Alexa647標識オボアルブミン(Life Technologies)と共に37℃または4℃で20分間インキュベートした。PBS 5%FBSでの洗浄後に、細胞をBD Accuri C6で分析した。

一実施形態において、死亡細胞の取り込みを、以下の方法で評価した:HEK293T細胞を紫外(UV)線に暴露して、細胞死を誘導し、CellVue(登録商標)Claret Far Red Fluorescent Cell Linker Kit(Sigma)で、製造業者の使用説明書に従って標識した。形質導入MEFを、近赤外線標識された死亡細胞と共に一夜インキュベートして、BD Accuri C6で分析した。

一実施形態において、炎症性サイトカインアッセイを、以下の方法で実施した:サイトカインのインターロイキン−6(IL−6)、インターロイキン−10(IL−10)、インターロイキン−12p70(IL−12p70)、インターフェロン−γ(IFN−γ)および腫瘍壊死因子(TNF)のレベルを、Dox補充の10日後にiDC培養物の上清で評定した。9日目に、100ng/mL LPSまたは25μg/mLポリイノシン酸−ポリシチジル酸(poly I:C)(Invivogen)を、一夜刺激の間に添加した。6ウェルプレートのウェルの培養上清50μLを採取して、CBA Mouse Inflammation Kit(BD Biosciences)により、製造業者の使用説明書に従って分析した。BD Accuri C6でデータ取得を実施して、データをFCAPアレイソフトエア、バージョン3.0(BD Biosciences)を利用して解析した。CBAの検出限界は、IL−6、20.91 pg/ml;IL−10、10.55 pg/ml;IFN−γ、18.2 pg/ml;TNF、18.13 pg/ml;IL−12p70、20.05 pg/mlであった。

一実施形態において、脾臓DC単離物を、以下の方法で評価した:新たに単離された脾臓を、2枚の滅菌スライドのフロストの端部を用いてホモジナイズした。細胞を、2%FBSを補充されたPBS中に採取して、70μmセルストレイナー(BD Biosciences)で濾過した。赤血球細胞を、BD Pharm Lyse(BD Biosciences)により室温で8分間溶解した。MHC−II+CD11c+DCを、FACS(BD FACSAria III、BD Biosciences)により精製して、直ちに抗原提示アッセイに用いた。

一実施形態において、CD4+T細胞単離および抗原提示アッセイを、以下の方法で評価した:Rag2KO/OT−IIマウスの脾臓由来のCD4+T細胞を、Dynabeads Untouched Mouse CD4 Cells Kit(BD Biosciences)を用い、製造業者の使用説明書に従って濃縮した。濃縮されたCD4+T細胞を、CFSE 5μMにより室温で10分間標識し、洗浄してカウントした後、APCと共に培養した。Dox添加後8日目のiDC培養物または脾臓CD11c+MHC−II+DC細胞を、100ng/mL LPSの存在下または非存在下でOVAタンパク質(10μg/mL)またはOVA323−339ペプチド(10μg/mL)と共にインキュベートして、非接触CFSE標識OT−II CD4+T細胞と共培養した。iDC培養物(20000細胞)または20000個の脾臓CD11c+MHC−II+DCを、96ウェル丸底組織培養プレートにおいて、20000個のCFSE標識CD4+T細胞と共にインキュベートした。T細胞増殖(CFSE染色の希釈)および活性化(CD44発現)を、共培養の7日後のフローサイトメトリーにより評定した。

一実施形態において、CD8+T細胞単離および抗原交差提示を、以下の方法で評価した:Rag2KO/OT−Iマウスの脾臓由来のCD8+T細胞を、Dynabeads Untouched Mouse CD8 Cells Kit(BD Biosciences)を用い、製造業者の使用説明書に従って濃縮した。濃縮されたCD8+T細胞を、CFSE 5μMにより室温で10分間標識し、洗浄してカウントした後、APCと共に培養した。Dox添加後8日目のiDC培養物または脾臓CD11c+MHC−II+DC細胞を、25ng/mL Poly I:Cの存在下でOVAタンパク質(10μg/mL)と共にインキュベートして、非接触CFSE標識OT−I CD8+T細胞と共培養した。iDC培養物(20000細胞)または20000個の脾臓CD11c+MHC−II+DCを、96ウェル丸底組織培養プレートにおいて、20000個のCFSE標識CD8+T細胞と共にインキュベートした。T細胞増殖(CFSE染色の希釈)および活性化(CD44発現)を、共培養の4日後のフローサイトメトリーにより評定した。

一実施形態において、ハイブリドーマ交差提示アッセイを、以下の方法で実施した:Dox添加後16日目のPIB形質導入Clec9a−tdTomato MEFを、TrypLE Expressで解離させて、生育培地で再懸濁させ、異なる濃度のOVAタンパク質と共に4時間インキュベートした。大規模に洗浄した後、PIB形質導入MEF(100,000細胞)を、96ウェル丸底組織培養プレート内で100ng/mL LPSまたは25μg/mL PICの存在下または非存在下で100,000個のB3Z細胞と共培養した。18時間後に、細胞を0.125% Nonidet P−40(代替品)、9mM MgCl2、および比色性CPRG β−ガラクトシダーゼ基質を含有する緩衝液で溶解した。β−ガラクトシダーゼ活性を、590nmでの光学密度としてマイクロプレートリーダーで測定した。

一実施形態において、Clec9a−tdTomato+細胞によるサイトゾルへの抗原輸送の効率を、細胞蛍光法に基づくアッセイにより分析した。手短に述べるとDox添加後16日目のPIB形質導入MEFを、TrypLE Expressで解離させて、ローディング緩衝液で再懸濁させ、1μM CCF4−AMにより室温で30分間ロードした。その後、細胞を洗浄して、2mg/mL β−ラクタマーゼと共に37℃で30、60および90分間インキュベートした。反応を停止させるために、細胞を氷冷PBSに移し入れた。BD FACSAriaIIIでのフローサイトメトリー分析の直前に、細胞をFixable Viability Dye eFluor 780(eBioscience)で染色した。高い青色:緑色(V450/V500)蛍光比率で生存するClec9a−tdTomato+細胞のパーセンテージを、細胞質への抗原輸送の効率の尺度として用いた。

一実施形態において、群間の比較を、一元配置ANOVAと、その後のGraphPad Prism 5ソフトウエアでのBonferroni多重比較検定により実施した。関連していれば、P値を示す(*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001)。

当業者は、日常的実験法だけを利用することで、本明細書に記載された本発明の特定の実施形態の多くの均等物を認識するであろう、または確認することができよう。本発明の範囲は、上記記載に限定されることを意図するのではなく、むしろ添付の特許請求の範囲に示される通りである。

要素または特色の単一形態が、特許請求の範囲の詳細で用いられる場合、具体的に排除されていなければ、複数形態も含まれ、そしてその逆もあてはまる。例えば用語「1つの細胞」または「その細胞」もまた、複数形態の「細胞」または「その細胞」を含み、そしてその逆もあてはまる。特許請求の範囲において、「a」、「an」、および「the」などの物品は、反することが示されない限り、または他の方法で文脈から明らかでない限り、1以上を意味する場合がある。反することが示されない限り、または他の方法で文脈から明らかでない限り、群の1つまたは複数のメンバーの間に「または」を含む特許請求の範囲または明細書は、群のメンバーの1つ、1つより多く、または全てが、所与の生成物もしくは工程の中に存在するか、所与の生成物もしくは工程で用いられるか、または他の方法で所与の生成物もしくは工程に関係するか、を満たしていると判断される。本発明は、群の厳密に1つのメンバーが、所与の生成物もしくは工程の中に存在する、所与の生成物もしくは工程で用いられる、または他の方法で所与の生成物もしくは工程に関係する、実施形態を包含する。本発明はまた、群のメンバーの1つより多く、または全てが所与の生成物もしくは工程の中に存在する、所与の生成物もしくは工程で用いられる、または他の方法で所与の生成物もしくは工程に関係する、実施形態を包含する。

さらに、本発明が、請求項の1つもしくは複数または明細書の関連部分の中の1つまたは複数の限定、要素、原因、記述用語、その他が、別の請求項に導入されるような全ての変更、組み合わせ、および並べ替えを包含することが、理解されなければならない。例えば別の請求項に従属する任意の請求項を、同じ基本の請求項に従属する任意の他の請求項の中に見いだされる1つまたは複数の限定を含むように改良することができる。さらに、請求項で組成物が挙げられている場合、ほかに示されない限り、または矛盾もしくは不一致が生じることが当業者に明白でない限り、本明細書に開示された目的のいずれかのために該組成物を使用する方法が含まれること、および本明細書に開示された作製方法または当該技術分野で公知の他の方法のいずれかに従って該組成物を作製する方法が含まれることが、理解されなければならない。

範囲が与えられている場合、エンドポイントが含まれる。さらに、ほかに示されない限り、または他に文脈および/もしくは当業者の理解から明白にならない限り、範囲として表された値が、他に文脈に明確に示されない限り、本発明の異なる実施形態で述べられた範囲内の任意の具体的値を、該範囲の下限の単位の十分の一まで推定し得ることが、理解されなければならない。他に示されない限り、または他の方法で文脈および/もしくは当業者の理解から明白でない限り、範囲としてあらわされた値が、所与の範囲内の任意の部分的範囲を推定することができ、該部分的範囲のエンドポイントが該範囲の下限の単位の十分の一と同程度の正確さで表されることも、理解されなければならない。

加えて、本発明の任意の特定の実施形態が、請求項の任意の1つまたは複数から明白に除外され得ることが、理解されなければならない。範囲が与えられている場合、該範囲内の任意の値が、請求項の任意の1つまたは複数から明白に除外される場合がある。本発明の組成物および/または方法の任意の実施形態、要素、特色、適用、または態様は、任意の1つまたは複数の請求項から除外される可能性がある。明瞭にする目的で、1つまたは複数の要素、特色、目的または態様が除外される実施形態の全てを、本明細書に明白に示してはいない。

上記の実施形態は、組み合わせ可能である。

以下の特許請求の範囲は、本開示の特定の実施形態をさらに提示している。

本文書に挙げられた全ての参考資料は、そのあらゆる参考資料が個別に参照により組み入れられるかのごとく、全体として参照により本明細書に組み入られる。

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