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ヒストンデアセチラーゼのヘテロハロ阻害剤

阅读:0发布:2021-02-20

专利汇可以提供ヒストンデアセチラーゼのヘテロハロ阻害剤专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且本発明はHDAC2の阻害剤である化合物を提供する。したがって、化合物(例えば、式I、IIまたは化合物100〜128のいずれかまたは表2もしくは3中のいずれかの化合物)は、神経障害、記憶または認知機能障害または欠陥、消去学習障害、 真菌 疾患もしくは感染症、 炎症 疾患、血液疾患、または新 生物 疾患などの対象の病状を処置、軽減、もしくは予防するために、または記憶の改善のために、または記憶喪失もしくは記憶障害の処置、軽減もしくは予防のために、有用である 【選択図】なし,下面是ヒストンデアセチラーゼのヘテロハロ阻害剤专利的具体信息内容。

式I: (式中、 環Aは、 から選択され、 R1が、任意に置換されてもよい単環式または二環式ヘテロシクリルであり、 R2が、任意に置換されてもよいC2−C6アルケニル、任意に置換されてもよいヘテロアリール、任意に置換されてもよい部分不飽和ヘテロシクリル、任意に置換されてもよい部分不飽和カルボシクリル、およびパラ置換フェニルから選択され、前記フェニルは、必要に応じてさらに置換でき、環Aが2個の窒素原子を含む場合、R2は非置換フェニルからさらに選択され、 R2における隣接する環原子上の任意の2個の置換基が、必要に応じて前記隣接する環原子と共に、アリール、カルボシクリル、ヘテロアリール、またはヘテロシクリル環である環を形成し、 R3が、存在する場合、クロロ、フルオロ、−CF3および−CHF2から選択され、 nは0または1であり; 「1」が、環Aと−NH−C(O)−R1との間の結合点を表し、 「2」が、環AとR2との間の結合点を表し、 「3」が、環Aと−NH2との間の結合点を表す)の化合物であって、 以外のものである、化合物または薬学的に許容可能なその塩。環Aが、ヘテロ芳香族である請求項1に記載の化合物。nが0である、請求項2に記載の化合物。環Aが: から選択される、請求項1に記載の化合物。環Aが: から選択される、請求項1に記載の化合物。環Aが: から選択される、請求項2に記載の化合物。R1が、5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[3,4−b]ピラジン−6−イル、ピロリジン−1−イル、1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,4−c]ピリジン−2−イル、6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[3,4−b]ピリジン−6−イル、テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル、ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル、7−オキサ−2−アザスピロ[3.5]ノナン−2−イル、イソインドリン−2−イル、4,5,6,7−テトラヒドロチアゾロ[4,5−c]ピリジン−2−イル、2−オキサ−7−アザスピロ[3.5]ノナン−7−イル、2−オキサ−6−アザスピロ[3.3]ヘプタン−6−イル、および2−オキサ−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−イル、から選択され、R1が、3個までの独立に選択された置換基で任意に置換されてもよい、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。R1が、5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[3,4−b]ピラジン−6−イル、ピロリジン−1−イル、1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,4−c]ピリジン−2−イル、6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[3,4−b]ピリジン−6−イル、テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル、ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル、7−オキサ−2−アザスピロ[3.5]ノナン−2−イル、イソインドリン−2−イル、4,6−ジフルオロイソインドリン−2−イル,4,7−ジフルオロイソインドリン−2−イル、4−フルオロイソインドリン−2−イル、5−フルオロイソインドリン−2−イル、4−クロロリソインドリン−2−イル、4−メトキシイソインドリン−2−イル、5−メトキシイソインドリン−2−イル、5−クロロイソインドリン−2−イル、4−トリフルオロメチルイソインドリン−2−イル、5,6−ジフルオロイソインドリン−2−イル、5−トリフルオロメチルイソインドリン−2−イル、5−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)イソインドリン−2−イル、3−フルオロ−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[3,4−b]ピリジン−6−イル、5−(シクロプロピルメチル)−4,5,6,7−テトラヒドロチアゾロ[4,5−c]ピリジン−2−イル、4,5,6,7−テトラヒドロチアゾロ[4,5−c]ピリジン−2−イル、2−オキサ−7−アザスピロ[3.5]ノナン−7−イル、2−オキサ−6−アザスピロ[3.3]ヘプタン−6−イル、2−オキサ−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−イル、および3−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−6−イルから選択される、請求項7に記載の化合物。R2が、−C2−C4アルケニル、非置換フェニル、4−置換フェニル、ピリジン−4−イル、イソオキサゾール−5−イル、オキサゾール−5−イル、イソチアゾール−5−イル、チアゾール−5−イル、5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[1,2−b]ピラゾール−3−イル、4,5,6,7−テトラヒドロピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル、フラン−3−イル、フラン−2−イル、シクロペンタ−1−エン−1−イル、および2,5−ジヒドロフラン−3−イルから選択される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。R2が、−C(CH3)=CH2、フェニル、4−フルオロフェニル、4−ジフルオロメトキシフェニル、4−メチルフェニル、3,4−ジフルオロフェニル、ピリジン−4−イル、イソオキサゾール−5−イル、オキサゾール−5−イル、イソチアゾール−5−イル、チアゾール−5−イル、1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル、1−(2−メチルプロピル)−1H−ピラゾール−4−イル、1−トリフルオロメチル−1H−ピラゾール−4−イル、1,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル、1−シクロブチル−1H−ピラゾール−4−イル、1−シクロペンチル−1H−ピラゾール−4−イル、5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[1,2−b]ピラゾール−3−イル、4,5,6,7−テトラヒドロピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル、フラン−3−イル、フラン−2−イル、5−メチルフラン−2−イル、5−メチルフラン−3−イル、シクロペンタ−1−エン−1−イル、および2,5−ジヒドロフラン−3−イルから選択される、請求項9に記載の化合物。表1の任意の化合物から選択される、請求項1に記載の化合物。式II: (式中、 環A’B’が、少なくとも2個の窒素原子を含む縮合二環式系であり、環A’は6員ヘテロシクリルで、環B’は5員ヘテロアリールであり、 X1が炭素または窒素であり、 R3’およびR4が、それぞれ独立に、ハロ、(C1−C4)アルキル、ハロ(C1−C4)アルキル、(C1−C4)アルコキシ、またはハロ(C1−C4)アルコキシであり、 R5がハロ、ハロ(C1−C4)アルキル、(C1−C4)アルコキシ、ハロ(C1−C4)アルコキシ、単環式ヘテロシクリル、または単環式ヘテロシクリルで任意に置換されてもよい(C1−C4)アルキルであり、それぞれの前記ヘテロシクリルは、ハロ、(C1−C4)アルキル、およびハロ(C1−C4)アルキルから選択される1〜2個の基で任意におよび独立に置換されてもよく、 n’が0または1であり、 pおよびtが、それぞれ独立に、0、1、または2である)を有する化合物または薬学的に許容可能なその塩。式: の化合物または薬学的に許容可能なその塩である、請求項12に記載の化合物。式: の化合物または薬学的に許容可能なその塩である、請求項12または13に記載の化合物。環A’B’が、 から選択される、請求項12〜14のいずれか1項に記載の化合物。環A’B’が、 から選択される、請求項12〜15のいずれか1項に記載の化合物。pが0または1である、請求項12〜16のいずれか1項に記載の化合物。R4が、存在する場合、ハロである、請求項12〜17のいずれか1項に記載の化合物。tが0または1である、請求項12〜18のいずれか1項に記載の化合物。R5が、存在する場合、ハロ(C1−C4)アルキルおよび(C1−C4)アルキルから選択される、請求項12〜19のいずれか1項に記載の化合物。環A’B’および(R5)tが、一緒にまとめて、 から選択される、請求項12〜20のいずれか1項に記載の化合物。請求項1〜21のいずれか1項に記載の化合物または薬学的に許容可能なその塩および薬学的に許容可能なキャリアを含む医薬組成物。対象のHDAC活性を阻害する方法であって、有効量の請求項1〜21のいずれか1項に記載の化合物、薬学的に許容可能なその塩、または請求項22に記載の組成物を、それを必要としている前記対象に投与するステップを含む方法。神経障害、記憶もしくは認知機能障害または欠陥、消去学習障害、真菌疾患または感染、炎症性疾患、血液疾患、および新生物疾患から選択される対象の病状を処置する方法であって、有効量の請求項1〜21のいずれか1項に記載の化合物、薬学的に許容可能なその塩、または請求項22に記載の組成物を、それを必要としている前記対象に投与することを含む方法。正常な対象の記憶を改善する方法または対象の記憶喪失もしくは障害を処置、軽減、または予防する方法であって、有効量の請求項1〜21のいずれか1項に記載の化合物、薬学的に許容可能なその塩、または請求項22に記載の組成物を、それを必要としている前記対象に投与することを含む方法。前記病状が、 a.アルツハイマー病、ハンチントン病、発作誘導性記憶喪失(seizure induced memory loss)、統合失調症、ルービンスタイン・テービ症候群、レット症候群、脆弱X、レヴィー小体認知症、血管性認知症、前頭側頭型認知症、ADHD、失読症、双極性障害に関連する認知機能障害もしくは欠陥、ならびに、自閉症、外傷性頭部損傷、注意欠陥障害、不安障害、条件性恐怖反応、パニック障害、強迫性障害、外傷後ストレス障害(PTSD)、恐怖症、社会不安障害、物質依存症回復、加齢関連性記憶障害(AAMI)、加齢性認知機能低下(ARCD)、運動失調、もしくはパーキンソン病に関連する社会的認知および学習障害;または b.急性骨髄性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、および鎌状赤血球貧血から選択される血液疾患;または c.新生物疾患;または d.恐怖消去障害および外傷後ストレス障害から選択される消去学習障害である、請求項25に記載の方法。前記病状が、アルツハイマー病、ハンチントン病、前頭側頭型認知症、フリードライヒ運動失調症、外傷後ストレス障害(PTSD)、パーキンソン病、または物質依存症回復である、請求項26に記載の方法。有効量の薬学的有効成分を前記対象に投与すること、および/または 前記対象を、認知行動療法(CBT)、精神療法、行動曝露処置(behavioral exposure treatment)、仮想現実曝露(VRE)および/または認知機能改善療法に曝露することをさらに含む併用療法である、請求項27に記載の方法。外傷後ストレス障害またはアルツハイマー病を処置、軽減、および/または予防する併用療法であり、投与される前記薬学的有効成分が、アリセプト(登録商標)(ドネペジル)、メマンチン、ガランタミンおよびExcelon(登録商標)(リバスチグミン)から選択される、請求項28に記載の方法。対象のシナプス密度を増やす方法またはシナプス可塑性を増やす方法または樹状突起密度を増やす方法であって、有効量の請求項1〜21のいずれか1項に記載の化合物、薬学的に許容可能なその塩、または請求項22に記載の組成物を、このような増加を必要としている前記対象に投与することを含む方法。前記化合物、薬学的に許容可能なその塩、または前記医薬組成物中の化合物もしくは塩が、選択的にHDAC2を阻害する、請求項23〜30のいずれか1項に記載の方法。前記化合物、薬学的に許容可能なその塩、または前記医薬組成物中の化合物もしくは塩が、1種または複数の他のHDACアイソフォームに比べて、2倍、5倍、10倍、15倍、または20倍大きいHDAC2の阻害作用を有する、請求項31に記載の方法。前記他のHDACアイソフォームが、HDAC1である、請求項32に記載の方法。

说明书全文

関連出願の相互参照 本出願は、2015年7月6日に出願の米国特許仮出願第62/188,857号の優先権を主張する。この仮出願の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。

ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤は、転写を調節し、細胞増殖停止、分化およびアポトーシスを誘導することが明らかにされている。HDAC阻害剤は、放射線および化学療法剤を含む、癌処置において用いられる治療薬の細胞傷害効果も増強する。Marks,P.,Rifkind,R.A.,Richon,V.M.,Breslow,R.,Miller,T.,Kelly,W.K.Histone deacetylases and cancer:causes and therapies.Nat Rev Cancer,1,194−202,(2001);and Marks,P.A.,Richon,V.M.,Miller,T.,Kelly,W.K.Histone deacetylase inhibitors.Adv Cancer Res,91,137−168,(2004)。さらに、最近の証拠は、転写調節不全が、ハンチントン病、脊髄性筋萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、および虚血などの特定の神経変性障害の分子病態の一因となり得ることを示している。Langley,B.,Gensert,J.M.,Beal,M.F.,Ratan,R.R.Remodeling chromatin and stress resistance in the central nervous system:histone deacetylase inhibitors as novel and broadly effective neuroprotective agents.Curr Drug Targets CNS Neurol Disord,4,41−50,(2005)。最近の総説は、異常なヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)およびヒストンデアセチラーゼ(HDAC)活性が、神経変性に寄与している共通の根元的機構であり得るという証拠をまとめている。さらに、うつのマウスモデルを用いて、Nestlerは最近、うつにおけるヒストン脱アセチル化阻害剤(HDAC5)の治療的潜在能を強調している。Tsankova,N.M.,Berton,O.,Renthal,W.,Kumar,A.,Neve,R.L.,Nestler,E.J.Sustained hippocampal chromatin regulation in a mouse model of depression and antidepressant action.Nat Neurosci,9,519−525,(2006)。

それらのアクセサリードメインの構造に基づき4つのクラスに分類された、18種の既知のヒトヒストンデアセチラーゼがある。クラスIはHDAC1、HDAC2、HDAC3、およびHDAC8を含み、酵母RPD3に対する相同性を有する。HDAC4、HDAC5、HDAC7、およびHDAC9はクラスIIaに属し、酵母に対する相同性を有する。HDAC6およびHDAC10は2つの触媒部位を含み、クラスIIbに分類される。クラスIII(サーチュイン)はSIRT1、SIRT2、SIRT3、SIRT4、SIRT5、SIRT6、およびSIRT7を含む。HDAC11はHDACファミリーの最近特定されたもうひとつのメンバーで、クラスIおよびクラスIIデアセチラーゼの両方が共有するその触媒中心に保存残基を有し、時にクラスIVに入れられる。

一方で、HDACは長期記憶プロセスの強力な負の制御因子であることが示されている。非特異的HDAC阻害剤はシナプス可塑性ならびに長期記憶を増強する(Levenson et al.,2004,J.Biol.Chem.279:40545−40559;Lattal et al.,2007,Behav Neurosci 121:1125−1131;Vecsey et al.,2007,J.Neurosci 27:6128;Bredy,2008,Learn Mem 15:460−467;Guan et al.,2009,Nature 459:55−60;Malvaez et al.,2010,Biol.Psychiatry 67:36−43;Roozendaal et al.,2010,J.Neurosci.30:5037−5046)。例えば、HDAC阻害は、長期記憶につながらない学習事象を顕著な長期記憶をもたらす学習事象に変換できる(Stefanko et al.,2009,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 106:9447−9452)。さらに、HDAC阻害は、通常の記憶がなくなる時点を超えて持続する長期記憶の形をも生じ得る。HDAC阻害剤は、アルツハイマー病の遺伝モデルにおいて、認知障害を改善することが明らかにされている(Fischer et al.,2007,Nature 447:178−182、Kilgore et al.,2010,Neuropsychopharmacology 35:870−880)。これらの実証は、HDAC阻害によって、記憶を調節することが、多くの記憶および認知障害のために多くの治療的可能性を有することを示唆している。

現在、長期記憶における個々のHDACの役割が2つの最近の試験で調査されている。Kilgore et al.2010,Neuropsychopharmacology 35:870−880は、酪酸ナトリウムなどの非特異的HDAC阻害剤がクラスI HDAC(HDAC1、HDAC2、HDAC3、HDAC8)を阻害し、クラスIIa HDACファミリーメンバー(HDAC4、HDAC5、HDAC7、HDAC9)に対してはほとんど効果がないことを明らかにした。これは、クラスI HDACの阻害は多くの調査で観察された認知の増強のために非常に重要であり得ることを示唆している。事実、HDAC2の前脳およびニューロン特異的過剰発現は樹状突起棘密度、シナプス密度、シナプス可塑性および記憶形成を低減させたが、HDAC1では認められなかった。(Guan et al.,2009,Nature,459:55−60)。これに対し、HDAC2ノックアウトマウスは、ニューロンにおけるシナプス密度増大、シナプス可塑性増大および樹状突起密度増大を示した。これらのHDAC2欠損マウスは、一連の学習行動パラダイムにおいて、学習および記憶の増大も示した。この研究は、HDAC2がシナプス形成およびシナプス可塑性の重要な制御因子であることを示している。加えて、Guanらは、SAHA(HDAC1、2、3、6、8阻害剤)によるマウスの長期処理がHDAC2欠損マウスで見られた効果を再現し、HDAC2過剰発現マウスにおける認知機能障害を忌避することを示した。

したがって、HDAC2の阻害(選択的または他のクラスI HDACとの組み合わせによる)は、魅力的な治療標的である。このような阻害は、認知を高め、神経細胞集団におけるシナプスおよび樹状突起密度を高めることによる学習プロセスを促進するための潜在能力を有する。さらに、HDAC2の阻害は、多種多様な他の疾患および障害の処置においても治療上有用となる可能性がある。

1.本発明の特定の実施形態の概要 本発明はHDAC2の阻害剤である化合物を提供する。したがって、化合物は、神経障害、記憶または認知機能障害または欠陥、消去学習障害、真菌疾患もしくは感染症、炎症疾患、血液疾患、または新生物疾患などの対象の病状を処置、軽減、もしくは予防するために、または記憶の改善のために、または記憶喪失もしくは記憶障害の処置、軽減もしくは予防のために、有用である

いくつかの実施形態では、本発明は、式I:

の化合物または薬学的に許容可能なその塩を提供し、式中、 環Aは、

から選択され、 R1は、任意に置換されてもよい単環式または二環式非芳香族ヘテロシクリルであり、 R2は、任意に置換されてもよいC2−C6アルケニル、任意に置換されてもよいヘテロアリール、任意に置換されてもよい部分不飽和ヘテロシクリル、任意に置換されてもよい部分不飽和カルボシクリル、およびパラ置換フェニルから選択され、前記フェニルは、必要に応じてさらに置換でき、環Aが2個の窒素原子を含む場合、R2は非置換フェニルからさらに選択され、 R2における隣接する環原子上の任意の2個の置換基は、必要に応じて隣接する環原子と共に、アリール、カルボシクリル、ヘテロアリール、またはヘテロシクリル環である環を形成し、 R3は、存在する場合、クロロ、フルオロ、−CF3および−CHF2から選択され、 nは0または1であり; 「1」は、環Aと−NH−C(O)−R1との間の結合点を表し、 「2」は、環AとR2との間の結合点を表し、 「3」は、環Aと−NH2との間の結合点を表す。

一実施形態では、式Iの化合物におけるR2は、任意に置換されてもよいC2−C6アルケニル、任意に置換されてもよいヘテロアリール、任意に置換されてもよい部分不飽和ヘテロシクリル、任意に置換されてもよい部分不飽和カルボシクリル、およびパラ置換フェニルから選択され、環Aが2個の窒素原子を含む場合、R2は非置換フェニルからさらに選択され、 R2における隣接する環原子上の任意の2個の置換基は、必要に応じて隣接する環原子と共に、アリール、カルボシクリル、ヘテロアリール、またはヘテロシクリル環である環を形成する。

他の実施形態では、本発明は、式II:

の化合物または薬学的に許容可能なその塩を提供し、式中、 環A’B’は、少なくとも2個の窒素原子を含む縮合二環式系であり、環A’は6員ヘテロシクリルで、環B’は5員ヘテロアリールであり、 X1は炭素または窒素であり、 R3’およびR4は、それぞれ独立に、ハロ、(C1−C4)アルキル、ハロ(C1−C4)アルキル、(C1−C4)アルコキシ、またはハロ(C1−C4)アルコキシであり、 R5はハロ、ハロ(C1−C4)アルキル、(C1−C4)アルコキシ、ハロ(C1−C4)アルコキシ、単環式ヘテロシクリル、または単環式ヘテロシクリルで任意に置換されてもよい(C1−C4)アルキルであり、それぞれの前記ヘテロシクリルは、ハロ、(C1−C4)アルキル、およびハロ(C1−C4)アルキルから選択される1〜2個の基で任意におよび独立に置換されてもよく、 n’は0または1であり、 pおよびtはそれぞれ独立に、0、1、または2である。

2.化合物および定義: 本発明の化合物は、式IおよびIIとして上記で一般的に記載されたものを含み、本明細書で開示のクラス、サブクラス、および種によってさらに例示される。本明細書のそれぞれの変数に対し記載された好ましいサブセットは、任意の構造的サブセットに対しても同様に使用できることは理解されよう。本明細書で使用される場合、別に定める場合を除き、下記の定義が本明細書で適用されるものとする。

本明細書で記載のように、本発明の化合物は、上記で一般的に例示されているような、または本発明の特定のクラス、サブクラス、および種により例示されるような、1個または複数の置換基で任意に置換されてもよい。「任意に置換されていてもよい(optionally substituted)」という語句は、「置換または非置換」という語句と同義に使用される。一般に、「置換」という用語は、用語の「任意に(optionally)」が前に付くか否かに係わらず、置換が安定なまたは化学的に実現可能な化合物を生ずる限りにおいて、指定部分の素ラジカルが明記した置換基のラジカルによって置き換えられることを意味する。指定した原子に関連して使用される場合、用語の「置換可能な」は、水素ラジカルが原子に結合しており、その水素原子が好適な置換基のラジカルによって置き換えることができることを意味する。別段の指示がない限り、「任意に置換されていてもよい」基は、基のそれぞれの置換可能な位置に置換基を有してよく、任意の所与の構造における1つ以上の位置が、明記した基から選択される1個以上の置換基により置換され得る場合には、置換基は全ての位置で同じでも、または異なっていてもよい。本発明により想定される置換基の組み合わせは、安定なまたは化学的に実現可能な化合物を形成するものが好ましい。

安定な化合物または化学的に実現可能な化合物は、約−80℃〜約+40℃の温度下、水分またはその他の化学的反応条件の非存在下で、少なくとも1週間にわたり、化学構造が実質的に変わらない化合物、または、患者への治療的もしくは予防的投与に有用となるために十分な長期間にわたりその完全性を維持する化合物である。

本明細書で使用される場合、語句の「1個または複数の置換基」は、上記安定性および実現可能性の条件が満たされる限りにおいて、1個から、利用可能な結合部位の数に基づいて可能な置換基の最大数までに等しい置換基の数を意味する。

本明細書で使用される場合、「独立に選択」という用語は、単一の化合物において所与の変数の複数の実現値に対して選択し得る同じまたは異なる値を意味する。

本明細書で使用される場合、「芳香族」という用語は、以降および本明細書で一般的に記載されるような、アリールおよびヘテロアリール基を含む。

本明細書で使用される場合、用語の「脂肪族」または「脂肪族基」は、完全に飽和しているか、または1個または複数ユニットの不飽和を含む、直鎖または分岐C1−12炭化水素を意味する。例えば、好適な脂肪族基には、直鎖または分岐鎖アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキレン、アルケニレン、およびアルキニレン基が挙げられる。別段の指定がない限り、種々の実施形態では、脂肪族基は、1〜12、1〜10、1〜8、1〜6、1〜4、1〜3、または1〜2個の炭素原子を有する。脂肪族基は、非置換であるかまたは置換(例えば、本明細書で定義のように、1、2、3、または4置換基を有する)され得る。

用語の「アルケニル」は、単独でまたはより大きな部分の一部として使用される場合、少なくとも1つの二重結合を有し、2〜12、2〜10、2〜8、2〜6、2〜4、または2〜3個の炭素原子を有する、任意に置換されてもよい直鎖または分枝鎖炭化水素基を意味する。

用語の「脂環式」、「炭素環」、「カルボシクリル」、「カルボシクロ」、または「炭素環式」は、単独でまたはより大きな部分の一部として使用される場合、芳香族ではない3〜約14環炭素原子を有する、任意に置換されてもよい飽和または部分不飽和環状脂肪族環系を意味する。いくつかの実施形態では、脂環式基は、3〜8または3〜6環炭素原子を有する任意に置換されてもよい単環式炭化水素である。脂環式基には、任意に置換されてもよいシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、シクロヘプテニル、シクロオクチル、シクロオクテニル、またはシクロオクタジエニルが挙げられるが、これらに限定されない。用語の「脂環式」、「炭素環」、「カルボシクリル」、「カルボシクロ」、または「炭素環式」にはまた、6〜12、6〜10、または6〜8環炭素原子を有する、任意に置換されてもよい架橋または縮合二環式環が挙げられ、二環式系中のいずれかの個別の環は3〜8環炭素原子を有する。

本明細書で使用される場合、「ハロゲン」または「ハロ」という用語は、F、Cl、Br、またはIを意味する。

単独でまたはより大きな部分の一部として使われる場合、例えば、「アラルキル」、「アラルコキシ」、「アリールオキシアルキル」などの用語の「アリール」および「ar−」は、1〜3個の芳香環を含む任意に置換されてもよいC6−14芳香族炭化水素部分を意味する。好ましくはアリール基はC6〜C10アリール基である。アリール基には、限定されないが、任意に置換されてもよい、フェニル、ナフチル、またはアントラセニルが挙げられる。本明細書で使用される場合、用語の「アリール」および「ar−」はまた、アリール環が1個または複数の脂環式環に縮合して、テトラヒドロナフチル、インデニル、またはインダニル環などの、任意に置換されてもよい環状構造を形成する基を含む。用語の「アリール」は、用語の「アリール基」、「アリール環」、および「芳香環」と同義に使用し得る。

単独でまたはより大きな部分の一部として使われる場合、例えば、「ヘテロアラルキル」、または「ヘテロアラルコキシ」などの用語の「ヘテロアリール」および「ヘテロar−」は、5〜14環原子、好ましくは5、6、9、または10環原子;環状配列で共有された6、10、または14個のπ電子を有する;および炭素原子に加えて、1〜5ヘテロ原子を有する基を意味する。ヘテロアリール基は、それぞれの環が芳香族である限り、単環式、二環式、三環式、または多環式、好ましくは単環式、二環式、または三環式、より好ましくは単環式または二環式であってよい。用語の「ヘテロ原子」は、窒素、酸素、または硫黄を意味し、任意の窒素または硫黄の酸化型、および任意の塩基性窒素の四級化型を含む。例えば、ヘテロアリールの窒素原子は、塩基性窒素原子であってもよく、また、対応するN−酸化物に任意に酸化されていてもよい。ヘテロアリールがヒドロキシ基で置換される場合、対応する互変異性体も同様に含む。本明細書で使用される場合、用語の「ヘテロアリール」および「ヘテロar−」はまた、芳香族ヘテロ環が、1個または複数のアリール、脂環式、および/または複素環に縮合されている基を含む。ヘテロアリール基の非制限的例には、チエニル、フラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、インドリジニル、プリニル、ナフチリジニル、プテリジニル、インドリル、イソインドリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンズチアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、4H−キノリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、およびピリド[2,3−b]−1,4−オキサジン−3(4H)−オン、が挙げられる。用語の「ヘテロアリール」は、用語の「ヘテロアリール環」、「ヘテロアリール基」、または「ヘテロ芳香族」と同義に用いてよく、これらの用語の内のいずれも、任意に置換されてもよい環を含む。用語の「ヘテロアラルキル」は、ヘテロアリールで置換されたアルキル基を意味し、アルキルおよびヘテロアリール部分は、独立に任意に置換されてもよい。

本明細書で使用される場合、「ヘテロ環」、「ヘテロシクリル」、「複素環式ラジカル」、および「ヘテロ環」という用語は、同義に使用され、安定な3〜8員単環式または7〜10員二環式部分を意味し、少なくとも1個の環で飽和または部分不飽和であり、炭素原子に加えて、上記で定義の1個または複数の、より好ましくは1〜4個のヘテロ原子を有する。

ヘテロ環は、安定な構造をもたらす任意のヘテロ原子または炭素原子の位置のペンダント基に結合でき、いずれの環原子も任意に置換され得る。このような飽和または部分不飽和複素環式ラジカルの例には、限定されないが、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ピペリジニル、デカヒドロキノリニル、オキサゾリジニル、ピペラジニル、ジオキサニル、ジオキソラニル、ジアゼピニル、オキサゼピニル、チアゼピニル、モルホリニル、およびチアモルホリニル、が挙げられる。別段の指定がない限り、ヘテロシクリル基は、単環式、二環式、三環式、または多環式、好ましくは単環式、二環式、または三環式、より好ましくは単環式または二環式であってよい。さらに、ヘテロ環はまた、ヘテロ環が1個または複数のアリール、ヘテロアリールおよび/または炭素環に縮合した基も含む。

本明細書で使用される場合、「部分不飽和」という用語は、環原子間に少なくとも1個の二重結合または三重結合を含む環部分を意味する。用語の「部分不飽和」は、不飽和の複数部位を有する環を包含することが意図されているが、本明細書で定義されたような芳香族(例えば、アリールまたはヘテロアリール)部分を含むことは意図されていない。

アリールまたはヘテロアリール基は、1個または複数の置換基(例えば、1、2、3、または4個の置換基)を含んでよく、したがって、「任意に置換されてもよい」。上記および本明細書で定義の置換基に加えて、アリールまたはヘテロアリール基の不飽和の炭素原子上の好適な置換基はまた、−ハロ、−NO2、−CN、−R+、−C(R+)=C(R+)2、−C≡C−R+、−OR+、−SRO、−S(O)RO、−SO2RO、−SO3R+、−SO2N(R+)2、−N(R+)2、−NR+C(O)R+、−NR+C(S)R+、−NR+C(O)N(R+)2、−NR+C(S)N(R+)2、−N(R+)C(=NR+)−N(R+)2、−N(R+)C(=NR+)−RO、−NR+CO2R+、−NR+SO2RO、−NR+SO2N(R+)2、−O−C(O)R+、−O−CO2R+、−OC(O)N(R+)2、−C(O)R+、−C(S)RO、−CO2R+、−C(O)−C(O)R+、−C(O)N(R+)2、−C(S)N(R+)2、−C(O)N(R+)−OR+、−C(O)N(R+)C(=NR+)−N(R+)2、−N(R+)C(=NR+)−N(R+)−C(O)R+、−C(=NR+)−N(R+)2、−C(=NR+)−OR+、−N(R+)−N(R+)2、−C(=NR+)−N(R+)−OR+、−C(RO)=N−OR+、−P(O)(R+)2、−P(O)(OR+)2、−O−P(O)−OR+、および−P(O)(NR+)−N(R+)2を含み、一般的にこれらから選択され、式中、R+は、独立に水素もしくは脂肪族、アリール、ヘテロアリール、脂環式、またはヘテロシクリル基であるか、または同じ原子に結合した2個の独立に存在するR+は、それらの介在原子(単数または複数)と共に、任意に置換されてもよい5〜7員アリール、ヘテロアリール、脂環式、またはヘテロシクリル環を形成する。R+が水素でない場合、R+は、非置換でも、または1、2、3、または4個の置換基で置換されてもよい。各ROは、脂肪族、アリール、ヘテロアリール、脂環式、またはヘテロシクリル基であり、ROは、非置換であるか、または1、2、3、または4個の置換基で置換される。

アルケニル、炭素環、またはヘテロ環は、1個または複数の置換基を含んでもよく、したがって、「任意に置換されてもよい」。上記および本明細書で特に別段の規定がない場合、アルケニル、炭素環、またはヘテロ環の任意の飽和炭素上の好適な置換基は、アリールまたはヘテロアリール基の炭素原子用として上記したものから選択され、かつさらに追加して、=O、=S、=C(R*)2、=N−N(R*)2、=N−OR*、=N−NHCO2RO、=N−NHSO2ROまたは=N−R*が含まれ、式中、ROは上記で定義され、それぞれのR*は水素または非置換または1、2、3、または4個の置換基で置換されたC1−6脂肪族基から独立に選択される。

上記および本明細書で定義の置換基に加えて、非芳香族ヘテロ環の窒素上の任意の置換基はまた、−R+、−N(R+)2、−C(O)R+、−C(O)OR+、−C(O)C(O)R+、−C(O)CH2C(O)R+、−S(O)2R+、−S(O)2N(R+)2、−C(S)N(R+)2、−C(=NH)−N(R+)2、または−N(R+)S(O)2R+も含み、一般的にこれらから選択され、それぞれのR+は上記で定義されている。ヘテロアリールまたは非芳香族ヘテロ環の環窒素原子はまた、酸化されて対応するN−ヒドロキシまたはN−酸化物化合物を形成してもよい。このような酸化環窒素原子を有するヘテロアリールの非制限的例には、N−オキシドピリジルが挙げられる。

上記で詳細に述べたように、いくつかの実施形態では、同じ原子に結合した2個の独立に存在するR+(または本明細書および本明細書の特許請求の範囲で同様に定義された任意の他の変数)は、それらの介在原子(単一または複数)と共に、3〜13員脂環式、窒素、酸素、または硫黄から独立に選択される1〜5ヘテロ原子を有する3〜12員ヘテロシクリル、6〜10員アリール、または窒素、酸素、または硫黄から独立に選択される1〜5ヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリールから選択される単環式または二環式環を形成する。

別に定める場合を除き、本明細書で示した構造はまた、構造の全ての異性体(例えば、鏡像異性体、ジアステレオマー、および幾何学的(または立体構造))型;例えば、各不斉中心に対しRおよびS立体配置、(Z)および(E)二重結合異性体、および(Z)および(E)配座異性体、を含むことが意図されている。したがって、本化合物の単一立体化学的異性体ならびに鏡像異性体、ジアステレオマー、および幾何学的(または立体構造)混合物は、本発明の範囲内にある。別に定める場合を除き、本発明の化合物の全ての互変異性型は、本発明の範囲内にある。

一般式IまたはIIにより定義される化合物については、別段の指定がない限り、1個または複数の水素を重水素により置換できる。同位体濃縮は、例えば、少なくとも10%、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、87%、98%、99.0%、99.5%および99.8%を含む。一実施形態では、式IおよびIIで表される全ての水素原子は、天然存在度で存在する。表1および実施例セクションのものなどの本明細書で開示の特定の化合物に関しては、別段の指定がない限り、全ての水素原子は天然存在度で存在する。

開示化合物が少なくとも1つのキラル中心を有する場合、本発明は、対応する光学異性体を含まない1つのエナンチオマー、化合物のラセミ混合物および対応する光学異性体に比べて1種のエナンチオマーを濃縮した混合物を包含することは理解されよう。混合物がその光学異性体に比べて1つのエナンチオマーで濃縮される場合、混合物は、例えば、少なくとも50%、75%、90%、95%、99%または99.5%の鏡像体過剰率を有する。

本発明のエナンチオマーは、例えば、結晶化により分離し得るジアステレオ異性体塩の形成;例えば、結晶化、気−液または液体クロマトグラフィーにより分離し得るジアステレオ異性体誘導体または複合体の形成;1つのエナンチオマーのエナンチオマー特異的試薬との選択的反応、例えば、酵素エステル化;またはキラル環境、例えば、キラルサポート、例えば、キラルリガンドが結合したシリカもしくはキラル溶媒の存在下の環境での気−液もしくは液体クロマトグラフィーなどの当業者に既知の方法により分離し得る。上記分離手順の1つにより所望のエナンチオマーが別の化学的実体に変換される場合、所望の鏡像異性体型を遊離させるためのさらなるステップが必要である。別の選択肢としては、光学的に活性の試薬、基質、触媒または溶媒材を使って不斉合成により、または、不斉変換により1つのエナンチオマーを他のものに変換することにより、特定のエナンチオマーを合成してもよい

開示化合物が少なくとも2個のキラル中心を有する場合、本発明は、他のジアステレオマーを含まないジアステレオマー、他のジアステレオマー対を含まない1対のジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、ジアステレオマー対の混合物、他のジアステレオマー(単一または複数)に比べて1つのジアステレオマーが濃縮されたジアステレオマーの混合物および他のジアステレオマー対(単一または複数)に比べて1つのジアステレオマー対が濃縮されたジアステレオマー対の混合物を包含する。混合物で、その他のジアステレオマーまたはジアステレオマー対(単一または複数)に比べて、1つのジアステレオマーまたはジアステレオマー対(単一または複数)が濃縮されている場合、その混合物では、その化合物について、例えば、少なくとも50%、75%、90%、95%、99%または99.5%モル過剰分だけ、示されたまたは参照されたジアステレオマーまたはジアステレオマー対(単一または複数)が濃縮されている。

ジアステレオ異性体対は、当業者に既知の方法、例えば、クロマトグラフィーまたは結晶化により分離し得、それぞれの対内の個々のエナンチオマーは、上述のように分離し得る。本明細書で開示の化合物の調製に使用される前駆体のジアステレオマー対をクロマトグラフにより分離するための特定の手順は、本明細書の実施例で提供される。

3.代表的化合物の説明: 上記で一般的に記載したように、いくつかの実施形態では、本発明は、式I:

の化合物または薬学的に許容可能なその塩を提供し、式中、 環Aは、

から選択され、 R1は、任意に置換されてもよい単環式または二環式ヘテロシクリルであり、 R2は、C2−C6アルケニル、ヘテロアリール、部分不飽和ヘテロシクリル、部分不飽和カルボシクリル、およびパラ置換フェニルから選択され、環Aが2個の窒素原子を含む場合、R2は非置換フェニルからさらに選択され、 R2は必要に応じてさらに置換され、R2における隣接する環原子上の任意の2個の置換基は、必要に応じて隣接する環原子と共に、アリール、カルボシクリル、ヘテロアリール、またはヘテロシクリル環である環を形成し、 R3は、存在する場合、クロロ、フルオロ、−CF3および−CHF2から選択され、 nは0または1であり; 「1」は、環Aと−NH−C(O)−R1との間の結合点を表し、 「2」は、環AとR2との間の結合点を表し、 「3」は、環Aと−NH2との間の結合点を表す。

いくつかの実施形態では、化合物は、下記以外のものである。

いくつかの実施形態では、環Aはヘテロ芳香族である。例えば、環Aは下記から選択される。

他の実施形態では、nは0である。

さらにその他の実施形態では、nは1である。

他の実施形態では、環Aは下記から選択される。

さらなる実施形態では、環Aは下記から選択される。

いくつかの実施形態では、環Aは下記から選択される。

いくつかの実施形態では、環Aは、表1に示される化合物中のいずれかの環A部分から選択される。

いくつかの実施形態では、R1は非置換である。

他の実施形態では、R1は置換される(例えば、R1は、本明細書に記載の1、2、3または4個の追加の置換基を含む)。

いくつかの実施形態では、R1は、5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[3,4−b]ピラジン−6−イル、ピロリジン−1−イル、1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,4−c]ピリジン−2−イル、6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[3,4−b]ピリジン−6−イル、テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル、ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル、7−オキサ−2−アザスピロ[3.5]ノナン−2−イル、イソインドリン−2−イル、4,5,6,7−テトラヒドロチアゾロ[4,5−c]ピリジン−2−イル、2−オキサ−7−アザスピロ[3.5]ノナン−7−イル、2−オキサ−6−アザスピロ[3.3]ヘプタン−6−イル、および2−オキサ−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−イル、から選択され、R1は、3個までの独立に選択された置換基で任意に置換されてもよい。

さらなる実施形態では、R1は、5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[3,4−b]ピラジン−6−イル、ピロリジン−1−イル、1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,4−c]ピリジン−2−イル、6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[3,4−b]ピリジン−6−イル、テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル、ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル、7−オキサ−2−アザスピロ[3.5]ノナン−2−イル、イソインドリン−2−イル、4,6−ジフルオロイソインドリン−2−イル,4,7−ジフルオロイソインドリン−2−イル、4−フルオロイソインドリン−2−イル、5−フルオロイソインドリン−2−イル、4−クロロリソインドリン−2−イル、4−メトキシイソインドリン−2−イル、5−メトキシイソインドリン−2−イル、5−クロロイソインドリン−2−イル、4−トリフルオロメチルイソインドリン−2−イル、5,6−ジフルオロイソインドリン−2−イル、5−トリフルオロメチルイソインドリン−2−イル、5−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)イソインドリン−2−イル、3−フルオロ−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[3,4−b]ピリジン−6−イル、5−(シクロプロピルメチル)−4,5,6,7−テトラヒドロチアゾロ[4,5−c]ピリジン−2−イル、4,5,6,7−テトラヒドロチアゾロ[4,5−c]ピリジン−2−イル、2−オキサ−7−アザスピロ[3.5]ノナン−7−イル、2−オキサ−6−アザスピロ[3.3]ヘプタン−6−イル、2−オキサ−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−イル、および3−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−6−イルから選択される。

いくつかの実施形態では、R2は非置換である。

他の実施形態では、R2は置換される(例えば、R2は、本明細書に記載の1、2、3または4個の追加の置換基を含む)。

さらにその他の実施形態では、R2は、−C2−C4アルケニル、フェニル、4−置換フェニル、ピリジン−4−イル、イソオキサゾール−5−イル、オキサゾール−5−イル、イソチアゾール−5−イル、チアゾール−5−イル、5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[1,2−b]ピラゾール−3−イル、4,5,6,7−テトラヒドロピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル、フラン−3−イル、フラン−2−イル、シクロペンタ−1−エン−1−イル、および2,5−ジヒドロフラン−3−イルから選択される。

特定の実施形態では、R2は、−C(CH3)=CH2、フェニル、4−フルオロフェニル、4−ジフルオロメトキシフェニル、4−メチルフェニル、3,4−ジフルオロフェニル、ピリジン−4−イル、イソオキサゾール−5−イル、オキサゾール−5−イル、イソチアゾール−5−イル、チアゾール−5−イル、1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル、1−(2−メチルプロピル)−1H−ピラゾール−4−イル、1−トリフルオロメチル−1H−ピラゾール−4−イル、1,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル、1−シクロブチル−1H−ピラゾール−4−イル、1−シクロペンチル−1H−ピラゾール−4−イル、5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[1,2−b]ピラゾール−3−イル、4,5,6,7−テトラヒドロピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル、フラン−3−イル、フラン−2−イル、5−メチルフラン−2−イル、5−メチルフラン−3−イル、シクロペンタ−1−エン−1−イル、および2,5−ジヒドロフラン−3−イルから選択される。

上記で一般的に記載したように、いくつかの実施形態では、本発明はまた、式II:

の化合物または薬学的に許容可能なその塩を提供し、式中、 環A’B’は、少なくとも2個の窒素原子を含む縮合二環式系であり、環A’は6員ヘテロシクリルで、環B’は5員ヘテロアリールであり、 X1は炭素または窒素であり、 R3’およびR4は、それぞれ独立に、ハロ、(C1−C4)アルキル、ハロ(C1−C4)アルキル、(C1−C4)アルコキシ、またはハロ(C1−C4)アルコキシであり、 R5はハロ、ハロ(C1−C4)アルキル、(C1−C4)アルコキシ、ハロ(C1−C4)アルコキシ、単環式ヘテロシクリル、または単環式ヘテロシクリルで任意に置換されてもよい(C1−C4)アルキルであり、それぞれの前記ヘテロシクリルは、ハロ、(C1−C4)アルキル、およびハロ(C1−C4)アルキルから選択される1〜2個の基で任意におよび独立に置換されてもよく、 n’は0または1であり、 pおよびtはそれぞれ独立に、0、1、または2である。

特定の実施形態では、式IIの化合物は、式:

の化合物または薬学的に許容可能なその塩である。

他の実施形態では、式IIの化合物は、式:

の化合物または薬学的に許容可能なその塩である。

式IIおよび前述の段落0053および0054で記載のものの特定の実施形態では、環A’B’は、

から選択され、式中、残りの値は式IIに対し上記された通りである。あるいは、環A’B’は、

から選択され、式中、残りの値は式IIに対し上記された通りである。

式IIおよび前述の段落0053および0054で記載のものの特定の実施形態では、pは0または1であり、残りの値は式IIおよび段落0055の実施形態に対し上記された通りである。

式IIおよび前述の段落0053および0054で記載のものの特定の実施形態では、R4は、存在する場合、ハロであり、残りの値は式IIおよび段落0055または0056の実施形態に対し上記された通りである。

式IIおよび前述の段落0053および0054で記載のものの特定の実施形態では、tは0または1であり、残りの値は式IIおよび段落0055、0056、または0057の実施形態に対し上記された通りである。

式IIおよび前述の段落0053および0054で記載のものの特定の実施形態では、R5は、存在する場合、ハロ(C1−C4)アルキルおよび(C1−C4)アルキルから選択され、残りの値は式IIおよび段落0055、0056、0057、または0058の実施形態に対し上記された通りである。

式IIおよび前述の段落0053および0054で記載のものの特定の実施形態では、環A’B’および(R5)tをまとめた場合、

から選択され、残りの値は式IIおよび段落0055、0056、0057、0058または0059の実施形態に対し上記された通りである。

上記に示したように、本明細書で記載のいずれかの式における変数に対する種々の実施形態およびそれらの態様(例えば、式I、IIの化合物または化合物100〜128のいずれかまたは表2または3のいずれかの化合物)は、化学的部分の群から選択し得るが、本発明はまた、さらなる実施形態およびそれらの態様として、このような変数が、a)このような群における化学的部分の任意のサブセットから、およびb)このような群の任意の単一メンバーから選択される状況も包含する。さらに、種々の実施形態およびそれらの態様が本明細書で記載の式のいずれかにおいてそれぞれの変数に対し個別に示されている場合(例えば、式I、IIの化合物または化合物100〜128のいずれかまたは表2もしくは3のいずれかの化合物)、本発明は、式中のそれぞれの変数に対する異なる実施形態および態様の全ての可能な組み合わせを包含する。

本発明の代表的で、本発明に有用な化合物が、下表1に示されている。特定の実施形態では、本発明は表1に示される化合物、または薬学的に許容可能なそれらの塩を提供する。

いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書で記載の化合物(例えば、式I、IIの化合物、または化合物100〜128のいずれかまたは表2もしくは3のいずれかの化合物)または薬学的に許容可能なそれらの塩、および薬学的に許容可能なキャリアを含む医薬組成物を含む。

他の実施形態では、本発明は、対象のHDAC活性(例えば、HDAC2活性)を阻害する方法を特徴とし、該方法は、本明細書で記載の有効量の化合物(例えば、式I、IIの化合物、または化合物100〜128のいずれかまたは表2もしくは3のいずれかの化合物)または薬学的に許容可能なそれらの塩、もしくはそれらの組成物を、それらを必要としている対象に投与するステップを含む。

他の実施形態では、本発明は、神経障害、記憶もしくは認知機能障害または欠陥、消去学習障害、真菌疾患または感染、炎症性疾患、血液疾患、および新生物疾患から選択される対象の病状を処置する方法を特徴とし、該方法は、本明細書で記載の有効量の化合物(例えば、式I、IIの化合物、または化合物100〜128のいずれかまたは表2もしくは3のいずれかの化合物)または薬学的に許容可能なそれらの塩、もしくはそれらの組成物を、それらを必要としている対象に投与することを含む。

さらにその他の実施形態では、本発明は、正常な対象の記憶を改善する方法または対象の記憶喪失もしくは記憶障害を処置、軽減、または予防する方法を特徴とし、該方法は、本明細書で記載の有効量の化合物(例えば、式I、IIの化合物、または化合物100〜128のいずれかまたは表2もしくは3のいずれかの化合物)または薬学的に許容可能なそれらの塩、もしくはそれらの組成物を、それらを必要としている対象に投与することを含む。

特定の実施形態では、病状は、 a.アルツハイマー病、ハンチントン病、発作誘導性記憶喪失(seizure induced memory loss)、統合失調症、ルービンスタイン・テービ症候群、レット症候群、脆弱X、レヴィー小体認知症、血管性認知症、前頭側頭型認知症、ADHD、失読症、自閉症に関連する双極性障害ならびに社会、認知および学習障害、外傷性頭部損傷、注意欠陥障害、不安障害、条件性恐怖反応、パニック障害、強迫性障害、外傷後ストレス障害(PTSD)、恐怖症、社会不安障害、物質依存症回復、加齢関連性記憶障害(AAMI)、加齢性認知機能低下(ARCD)、運動失調、もしくはパーキンソン病;または b.急性骨髄性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、および鎌状赤血球貧血から選択される血液疾患;または c.新生物疾患;または d.恐怖消去障害および外傷後ストレス障害から選択される消去学習障害である。

さらなる実施形態では、病状は、アルツハイマー病、ハンチントン病、前頭側頭型認知症、フリードライヒ運動失調症、外傷後ストレス障害(PTSD)、パーキンソン病、または物質依存症回復である。

さらにその他の実施形態では、方法は併用療法であり、該方法は、 a.有効量の薬学的に有効成分を対象に投与すること;および/または b.対象を認知行動療法(CBT)、精神療法、行動曝露処置(behavioral exposure treatment)、仮想現実曝露(VRE)および/または認知機能改善療法に曝露することをさらに含む。

他の実施形態では、方法は、外傷後ストレス障害またはアルツハイマー病を処置、軽減、および/または予防する併用療法であり、投与される薬学的有効成分は、アリセプト(登録商標)、メマンチン、ガランタミンおよびExcelon(登録商標)(リバスチグミン)から選択される。

いくつかの実施形態では、本発明は、対象のシナプス密度を増加させる、またはシナプス可塑性を増加させる、または樹状突起密度を増加させる方法を特徴とし、該方法は、本明細書で記載の有効量の化合物(例えば、式I、IIの化合物、または化合物100〜128のいずれかまたは表2もしくは3のいずれかの化合物)または薬学的に許容可能なそれらの塩、もしくはそれらの組成物を、このような増加を必要としている対象に投与することを含む。

さらにその他の実施形態では、本明細書で記載の化合物(例えば、式I、IIの化合物、または化合物100〜128のいずれかまたは表2もしくは3のいずれかの化合物)、薬学的に許容可能なそれらの塩、または医薬組成物中の化合物もしくは塩(例えば、式I、IIの化合物、または化合物100〜128のいずれかまたは表2もしくは3のいずれかの化合物、または薬学的に許容可能なそれらの塩)は、HDAC2を選択的に阻害する。

特定の実施形態では、本明細書で記載の化合物(例えば、式I、IIの化合物、または化合物100〜128のいずれかまたは表2もしくは3のいずれかの化合物)、薬学的に許容可能なそれらの塩、または医薬組成物化合物中の化合物もしくは塩(例えば、式I、IIの化合物、または化合物100〜128のいずれかまたは表2もしくは3のいずれかの化合物、または薬学的に許容可能なそれらの塩)は、1つまたは複数の他のHDACアイソフォームに比べて、2、5、10、15、または20倍大きくHDAC2を阻害する。

さらなる実施形態では、他のHDACアイソフォームはHDAC1である。

一般的な合成方法および中間体: 本発明の化合物は、当業者に既知の方法により、および/または以下に示すスキームおよびそれに続く合成実施例を参照することにより調製できる。代表的合成ルートは下記スキーム、および実施例で示される。

当業者なら、溶媒、試薬、触媒、反応温度および反応時間を含む反応条件における多くの変更が記載のそれぞれの反応に対し可能であることを理解するであろう。合成ステップの順序および代替合成ルートの変更も同様に可能である。

本発明の化合物は、当業者に既知の方法により、および/または以下に示すスキームおよびそれに続く合成実施例を参照することにより調製できる。

4.使用、製剤および投与 代表的使用 本発明の化合物はクラスIヒストンデアセチラーゼ(HDAC)および特にHDAC2の阻害剤であり、認知機能を促進し、学習および記憶形成を増強するために有用である。その結果、これらの化合物は、例えば、ヒトおよび動物における神経障害、記憶および認知機能障害/欠陥、消去学習障害、真菌疾患、炎症疾患、血液疾患、ならびに新生物疾患を含む、種々の病状を処置、軽減、および/または予防するのに有用である。

HDAC阻害 本発明の化合物は、ヒトおよび動物の健康のための様々な用途に有用である。本発明の化合物はヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤である。本明細書で用いられるヒストンデアセチラーゼ阻害剤は、ヒストンデアセチラーゼの活性を阻害、低減、または別の方法で調節する化合物である。HDACは、ヒストンを含むタンパク質上のリジン残基からのアセチル基の除去を触媒する。HDAC阻害剤は、遺伝子発現、細胞分化、細胞周期進行、増殖停止、および/またはアポトーシスをもたらすことを含む、多様な生物学的機能も示す。(J.Med.Chem.2003,46:5097およびCurr.Med.Chem.2003,10:2343)。種々の実施形態では、本発明の化合物は、HDAC活性を少なくとも約50%、少なくとも約75%、または少なくとも約90%またはそれ以上低減させる。さらなる実施形態では、HDAC活性を少なくとも約95%または少なくとも約99%またはそれ以上低減させる。

本発明の一態様は、細胞内のヒストンデアセチラーゼを阻害する方法を提供し、該方法は、ヒストンデアセチラーゼの阻害が望まれる細胞を阻害有効量の本発明の化合物またはその組成物と接触させることを含む。本発明の化合物はヒストンデアセチラーゼ(単一または複数)を阻害するため、これらは生物学的プロセスにおけるヒストンデアセチラーゼの役割のインビトロ試験にとって有用な研究ツールである。したがって、本発明の一態様では、細胞を接触させるステップをインビトロで行う。

「阻害有効量」という用語は、多細胞生物のものであり得る細胞内の1つまたは複数のヒストンデアセチラーゼの活性の阻害を引き起こすのに十分な用量を示すことが意図されている。多細胞生物は植物、真菌、または動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトとすることができる。真菌は植物または哺乳動物、好ましくはヒトに感染してもよく、したがって植物または哺乳動物の中および/または上に位置し得る。ヒストンデアセチラーゼが多細胞生物の中にある場合、本発明のこの態様による方法は、生物に本発明の化合物または組成物を投与することを含む。ヒストンデアセチラーゼの酵素活性に対する本発明の化合物の効果の評価は、既知の手法を用いて実施される。例えば、Bradner,J.et al.Nature Chemical Biology,Vol.6,March 2010,238−243。

HDAC阻害剤の潜在能力は極めて高いが、臨床的化合物の開発には、副作用の問題、例えば、疲労、食欲不振、血液学的およびGI毒性を最小限にするために、アイソフォーム選択的化合物の設計が必要である。アイソフォーム特異的HDAC阻害剤は、他のHDACの阻害に関連する毒性を低減させることによる利点を提供する。特異的HDAC阻害剤はより高い治療指数を提供し、慢性処置または長期処置中の患者の良好な耐容性をもたらす。いくつかのHDAC阻害剤が現在専門病院で用いられているが、これらのほとんどは個々のHDACアイソフォームに対して大きな選択性を示さない。

本発明の化合物はHDAC2を阻害する。いくつかの実施形態では、化合物はその他の活性を低減させるが、細胞内の全てのヒストンデアセチラーゼよりも少ない。特定の実施形態では、化合物はHDAC2の活性を、他のヒストンデアセチラーゼよりも大幅に低減させる。

特定の実施形態では、本発明は前述の化合物に関し、この本発明の化合物は選択的HDAC2阻害剤である。

一実施形態では、本発明の化合物は、HDAC2に対し選択的であり、1つまたは複数の他のHDAC(例えば、1つまたは複数のクラスIまたはIIのHDAC)に比べて、少なくとも約2倍(例えば、少なくとも約5倍、10倍、15倍、または20倍)高いHDAC2阻害活性を有するであろう。一実施形態では、本発明の化合物は、HDAC3に比べて、少なくとも約2倍(例えば、少なくとも約5倍、10倍、15倍、または20倍)高いHDAC2阻害活性を有するであろう。一実施形態では、本発明の化合物は、HDAC1に比べて、少なくとも約2倍(例えば、少なくとも約5倍、10倍、15倍、または20倍)高いHDAC2阻害活性を有するであろう。一実施形態では、本発明の化合物は、特定のクラスのHDACの全てのその他のHDAC(例えば、1つまたは複数のクラスIまたはIIのHDAC)に比べて、少なくとも約2倍(例えば、少なくとも約5倍、10倍、15倍、または20倍)高いHDAC2阻害活性を有するであろう。一実施形態では、本発明の化合物は、全てのその他のHDACに比べて、少なくとも約2倍(例えば、少なくとも約5倍、10倍、15倍、または20倍)高いHDAC2阻害活性を有するであろう。

別の実施形態では、化合物はHDAC2を、0.0000001μMよりも大きく、0.1μM、1μM、5μM、または30μM以下のIC50値で選択的に阻害する。

本明細書で記載の化合物(例えば、式I、IIの化合物、または化合物100〜128のいずれかまたは表2もしくは3のいずれかの化合物)は、選択性および増加した安全性が得られる追加の機構を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書で記載の化合物(例えば、式I、IIの化合物、または化合物100〜128のいずれかまたは表2もしくは3のいずれかの化合物)は、特定細胞内でHDAC2の活性を部分的に阻害する。理論に制限されるものではないが、HDAC2が細胞中の複数のタンパク質複合体内に存在する場合、この部分的阻害は、HDAC2に対する差次的効力の結果であると仮定される。HDAC2を含む複数のタンパク質複合体は、細胞間で異なり、特定の細胞型内には特定の複合体がある。したがって、本明細書で記載の化合物(例えば、式I、IIの化合物、または化合物100〜128のいずれかまたは表2もしくは3のいずれかの化合物)は、いくつかの複合体では、不完全にHDAC2活性を阻害し、HDAC2の十分な機能を残しておき、向上した安全性を与え、同時に、十分な阻害効力を維持し、所望の効果をもたらすということが提唱されている。

神経障害 一態様では、本発明は、神経障害を処置、軽減、および/または予防するための方法および組成物を提供する。

最近の報告は、ニューロン分化、記憶形成、薬物依存、およびうつなどの中枢神経系(「CNS」)機能におけるヒストンアセチル化の重要性を詳述している(Citrome,Psychopharmacol.Bull.2003,37,Suppl.2,74−88、Johannessen,CNS Drug Rev.2003,9,199−216、Tsankova et al.,2006,Nat.Neurosci.9,519−525)。

一態様では、本発明は、神経障害を処置、軽減、および/または予防するための方法および組成物を提供する。本明細書において、用いられる「神経障害」なる用語は、神経疾患、神経変性疾患および神経精神障害を含む。神経障害は、要素として中枢または末梢神経系機能不全を有する病状である。神経障害は、発育異常、疾患、遺伝的欠陥、損傷または毒素に起因する神経系の構造または機能における障害を引き起こし得る。これらの障害は中枢神経系(例えば、脳、脳幹および小脳)、末梢神経系(例えば、脳神経、脊髄神経、ならびに交感神経および副交感神経系)および/または自律神経系(例えば、不随意活動を調節し、交感神経および副交感神経系に分類される神経系の一部)に影響をおよぼし得る。

本明細書で使用される場合、「神経変性疾患」という用語は、新しいニューロンの生成を刺激する作用物質で回復、阻止、管理、処置、改善、または除去し得る任意の障害を意味する。神経変性障害の例には、次記が挙げられる:(i)家族性または散発性筋萎縮性側索硬化症(それぞれFALSおよびALS)、家族性および散発性パーキンソン病、ハンチントン病、家族性および散発性アルツハイマー病、多発性硬化症、筋ジストロフィー、オリーブ橋小脳萎縮、多系統萎縮、ウィルソン病、進行性核上麻痺、びまん性レヴィー小体疾患、大脳皮質歯状核黒質変性症、進行性家族性間代性筋痙攣性てんかん、線条体黒質変性、捻転性失調、家族性振戦、ダウン症候群、ジルドラトゥーレット症候群、ハレルフォルデン・スパッツ病、糖尿病性末梢神経障害、ボクサー認知症、AIDS認知症、加齢性認知症、加齢関連性記憶障害、ならびに伝達性海綿状脳症に関連するプリオンタンパク質(PrP)によって、引き起こされるもの(クロイツフェルトヤコブ病、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候、スクレイピー、およびクールー)、および過剰なシスタチンC蓄積によって、引き起こされるもの(遺伝性シスタチンC血管障害)などのアミロイド関連神経変性疾患などの慢性神経変性疾患、および(ii)外傷性脳損傷(例えば、外科手術に関連する脳損傷)、脳浮腫、末梢神経損傷、脊髄損傷、リー病、ギラン・バレー症候群、リポフスチン症などのリソソーム蓄積疾患、アルパース病、不隠脚症候群、CNS変性の結果としてのめまい、例えば、青斑核および小脳におけるニューロンの変性、薬物性運動障害を含む、慢性アルコールまたは薬物乱用により起こる病態、認知障害および運動障害につながる小脳ニューロンおよび皮質ニューロンの変性を含む、加齢により起こる病態、ならびに運動障害につながる大脳基底核ニューロンの変性を含む、慢性アンフェタミン乱用により起こる病態、脳卒中、局所的虚血、血行障害、低酸素性虚血性脳症、高血糖、低血糖または直接的外傷などの局所的外傷から生じる病的変化、治療薬および処置の負の副作用として起こる病態(例えば、グルタミン酸受容体のNMDAクラスのアンタゴニストの抗けいれん薬投与量に反応しての帯状皮質ニューロンおよび嗅内皮質ニューロンの変性)ならびにウェルニッケ・コルサコフ関連認知症などの急性神経変性障害。感覚ニューロンに影響をおよぼす神経変性疾患には、フリードライヒ運動失調症、糖尿病、末梢神経障害、および網膜神経変性症が含まれる。他の神経変性疾患には、脊髄損傷に関連する神経損傷または外傷が含まれる。辺縁系および皮質系の神経変性疾患には、脳アミロイドーシス、ピック萎縮症、およびレット症候群が含まれる。前述の例は包括的であることを意図するものではなく、単に「神経変性障害」という用語の例示として提示する。

いくつかの場合において、神経障害は神経精神障害であり、これは脳の機能および認知プロセスまたは行動に関連する病状または障害を意味する。神経精神障害は、知的能力に影響をおよぼす神経障害のタイプに基づいてさらに分類してもよい。本明細書において、「神経障害」のサブセットと考えられる「神経精神障害」という用語は、一般には1つまたは複数の適応プロセスの崩壊によって、特徴付け得る障害を意味する。したがって、このような障害は、機能の損傷または欠陥のいずれか(すなわち、認知症または老化によるような精神機能の欠陥)を生じる、思考、感情および/または行動の異常で主に表される。現在、American Psychiatric Association’s Diagnostic and Statistical Manual of Mental Health(DSM−IV)の最新版に示される基準を用い、様々な神経精神障害について個人を評価し得る。

神経精神障害の1つのグループは、統合失調症およびせん妄などの、思考および認知の障害を含む。神経精神障害の第二のグループは、感情障害および不安などの、気分障害を含む。神経精神障害の第三のグループは、性格欠陥および人格障害などの、社会的行動の障害を含む。神経精神障害の第四のグループは、精神遅滞および認知症などの、学習、記憶、および知能の障害を含む。したがって、神経精神障害は、統合失調症、せん妄、注意欠陥障害(ADD)、統合失調感情障害、アルツハイマー病、ルービンスタイン・テービ症候群、うつ病、躁病、注意欠陥障害、薬物依存、認知症、震盪、感情鈍麻、不安、精神病、人格障害、双極性障害、単極性情動障害、強迫性障害、摂食障害、外傷後ストレス障害、易刺激性、青年期行動障害および脱抑制を含む。

一実施形態では、神経障害はアルツハイマー病、ハンチントン病、発作性記憶喪失、統合失調症、ルービンスタイン・テービ症候群、レット症候群、脆弱X染色体、レヴィー小体認知症、血管性認知症、ADHD、ADD、失読症、双極性障害、ならびに自閉症に関連する社会、認知および学習障害、外傷性頭部損傷、または注意欠陥障害である。

別の実施形態では、神経障害は不安障害、条件付け恐怖反応、パニック障害、強迫性障害、外傷後ストレス障害、恐怖、社会不安障害、または物質依存症回復である。

いくつかの実施形態では、神経障害を神経細胞内のDNA損傷の量を減少させることにより処置または予防する。いくつかの実施形態では、神経障害を、神経細胞内のヒストンデアセチラーゼ活性を高めることにより処置または予防する。いくつかの実施形態では、神経障害を、神経細胞内のヒストンアセチルトランスフェラーゼ活性を低下させることにより処置または予防する。いくつかの実施形態では、神経障害を、クラスIヒストンデアセチラーゼの活性を高めることにより処置または予防する。

認知機能の増強 一態様では、本発明は、正常対象ならびに記憶喪失および認知機能障害/欠陥を患っている対象の両方における認知機能を促進し、学習および記憶形成を増強するための方法および組成物を提供する。本明細書で使用される場合、正常対象は、認知機能障害に関連する障害と診断されていない対象である。「認知機能」とは、情報収集および/または処理、情報および/または概念の理解、推論、および/または適用;概念および/または情報の抽象化または特異化;創造性、問題解決、およびおそらくは直感の行為;ならびに概念および/または情報の学習、知覚、および/または自覚などの精神プロセスに関連する、対象の精神プロセスを意味する。精神プロセスは信念、欲求などのプロセスとは異なる。

記憶障害/欠陥 転写は長期記憶プロセスのための鍵となるステップと考えられる(Alberini,2009,Physiol.Rev.89,121−145)。転写は、ヒストン−DNA相互作用を調節するヒストンアセチル化などの、特定のクロマチン修飾により促進される(Kouzarides,2007,Cell,128:693−705)。ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)およびヒストンデアセチラーゼ(HDAC)などの修飾酵素は、ヒストン尾部のアセチル化の状態を制御する。一般に、ヒストンアセチル化は遺伝子発現を促進するが、ヒストン脱アセチル化は遺伝子サイレンシングを引き起こす。多くの調査は、強力なHATであるcAMP応答配列結合タンパク質(CREB)−結合タンパク質(CBP)がシナプス可塑性の長期持続型および長期記憶のために必須であることを示している(総説については、Barrett,2008,Learn Mem 15:460−467参照)。

本明細書で使用される場合、「記憶」は、過去の事象または知識についての情報を回復する能力を意味する。記憶には短期記憶(作業記憶または近時記憶とも呼ぶ)および長期記憶が含まれる。短期記憶は最近の事象を含む一方、長期記憶は、さらに遠い過去の事象の想起に関連する。記憶を呼び戻す能力の評価法は当業者には既知で、日常的な認知試験を含み得る。記憶を増強または想起することは学習とは異なる。しかし、当技術分野のいくつかの場合には、学習を記憶と呼ぶ。学習は、記憶増強とは異なり、以前は存在していなかった新しい記憶を作る能力を意味する。したがって、対象の古い記憶を追想するのではなく、学習する能力をもたらす化合物の能力を試験するためには、化合物を記憶が作られるよりも前またはそれと同時に投与することになろう。以前に作られた記憶を想起させる、化合物の能力を試験するためには、化合物を記憶が作られた後、好ましくは記憶が失われた後に投与する。

本明細書で使用される場合、「加齢性記憶喪失」とは、本明細書において、さらに定義され、かつ/またはDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders:4th Edition of the American Psychiatric Association(DSM−IV,1994)により定義されるとおり、認知症のレベルまでは至っていない、神経機能の悪化によって特徴付けられる一連の任意の病状を意味する。加齢性記憶喪失は、高齢対象において、その対象の若い時に比べて客観的記憶喪失が見られるが、認知試験成績は対象の年齢の正常限界範囲内であることで特徴付けられる。加齢性記憶喪失の対象は、DSM−IVにより示される、認知症の標準化診断試験に対し、正常範囲内のスコアである。さらに、DSM−IVは加齢性認知機能低下と呼ぶ病状に対する別の診断基準を提供する。本発明においては、同様に「加齢関連性記憶障害」および「年齢相応の記憶低下」なる用語は加齢性記憶喪失と同義であることが理解される。加齢性記憶喪失は脳重量の低下、脳回萎縮、脳室拡張、および異なる脳領域内のニューロンの選択的損失を含み得る。本発明のいくつかの実施形態のために、記憶喪失のより進行性の形態も加齢性記憶障害の定義に含まれる。したがって、年齢正常値を超える記憶喪失および認知機能障害を有するが、明白な認知症の診断閾値を超えないスコアを有する人は、軽度神経認知障害、軽度認知機能障害、晩年物忘れ、良性老人性物忘れ、初期認知症、暫定認知症などを有すると呼ぶこともある。そのような対象は後に明白な認知症を発症する可能性がわずかに高いと考えられる(米国特許出願公開第2006/008517号(Vasogen Ireland limited)も参照されたい。この特許出願公開は参照により本明細書に組み込まれる)。加齢性記憶喪失に関連する症状には、IL−1β、IFN−γ、p−JNK、p−ERKなどの加齢脳に関連する生化学的マーカーの変化、長期増強の低下により証明される、シナプス可塑性などのシナプス活性または機能の低下、記憶および学習の減退が含まれるが、それらに限定されるわけではない。

本明細書で使用される場合、「損傷関連記憶喪失」とは、脳に損傷があり、神経損傷もあった可能性がある、記憶喪失を意味する。脳損傷の原因には、振盪性損傷または侵襲性頭部外傷などの外傷性脳損傷、脳腫瘍、アルコール中毒、アルツハイマー病、卒中、心発作および脳から酸素を奪う他の病状、髄膜炎、AIDS、ウイルス性脳炎、ならびに水頭症が含まれる。

記憶を増強するための方法には、記憶の呼び出しを再建すること、ならびに記憶を取り戻すことが含まれ得る。本明細書で使用される場合、呼び出しを再建することという用語は、記憶の取り出しを増大させることを意味する。出願人らは作用機序に拘泥するものではないが、本発明の化合物は、シナプス回路網を再建することにより記憶の取り出しを増大させる上で有効であると考えられる。シナプス回路網を再建するプロセスは、活性脳シナプスの数の増大および/またはニューロン欠損の回復を含み得る。

ニューロン新生、すなわち新しい神経細胞の誕生は、成長中の生物においてのみ起こると考えられていた。しかし、最近の調査では、実際には、ニューロン新生は成人の生涯にいたるまで、またその間を通して続くことを示している。進行中のニューロン新生は、ニューロン可塑性の根底にある重要な機構であり、生物が環境変化に適応できるようにし、生涯を通じて学習および記憶に影響をおよぼすと考えられる。一態様では、本発明は、対象におけるシナプス密度を増大させる方法を含み、該方法は、そのような増大を必要としている対象に本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくはプロドラッグを投与することを含む。一態様では、本発明は、対象におけるシナプス可塑性を増大させる方法を含み、該方法は、そのような増大を必要としている対象に本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくはプロドラッグを投与することを含む。一態様では、本発明は、対象のニューロンにおける樹状突起密度を増大させる方法を含み、該方法は、そのような増大を必要としている対象に本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくはプロドラッグを投与することを含む。

本発明は、記憶障害を有する対象において、記憶を増強する方法を提供する。記憶障害のタイプの例には、アルツハイマー病、うっかり博士、注意力散漫、健忘、前向健忘、一時的意識喪失(アルコール関連健忘)、臭素中毒、小児健忘、虚偽記憶症候群、遁走状態、超記憶症候群、コルサコフ症候群、脱漏健忘、記憶不信症候群、記憶喪失、外傷後健忘、相貌失認、心因性健忘、抑圧された記憶、逆行健忘、リボーの記憶法則、選択的記憶喪失、出典健忘、ソースモニタリングエラー、記憶の7つの罪(the seven sins of memory)、舌先現象、一過性てんかん性健忘、一過性全健忘、および朦朧睡眠が含まれる。

一実施形態では、アルツハイマー病が記憶障害である。そのような方法は、場合により、阻害剤を投与することおよび以前に失った記憶の回復を確認するために対象をモニターすることを含む。対象を、当技術分野において既知の日常的試験によって、モニターしてもよい。

他の実施形態では、アルツハイマーの対象は、後期アルツハイマー病を有する対象である。アルツハイマー病を処置するために推奨される薬物の多くは、プラーク蓄積を予防することにより初期の疾患を処置するように設計されている。本発明の化合物は、プラーク蓄積だけを予防するというよりも、実際に記憶および認知を改善するため、初期および後期両方の認知症を処置するために有用である。

認知機能障害/欠陥 本発明は、認知機能障害/欠陥を処置、軽減、および/または予防する方法に関する。

認知機能障害とは、同年齢の正常対象で観察されるものほどしっかりしていない認知機能を意味し、認知機能が低下している病状を含む。いくつかの場合には、認知機能は、同年齢の正常対象で測定した認知機能と比べて、約5%、約10%、約30%、またはそれ以上低下している。認知機能は任意の検出可能な程度に促進し得るが、ヒトにおいては、障害のある対象が通常の生活の日常活動を行えるようにするのに十分に促進するのが好ましい。

いくつかの実施形態では、認知機能障害または欠陥はアルツハイマー病、ハンチントン病、発作誘導性記憶喪失、統合失調症、ルービンスタイン・テービ症候群、レット症候群、脆弱X、レヴィー小体認知症、血管性認知症、双極性障害、ならびに自閉症、注意欠陥多動性障害(ADHD)、失読症、学習障害、外傷性頭部損傷、卒中誘導性認知および運動障害、外傷性脳損傷、神経変性および神経細胞損失による認知機能障害や、注意欠陥障害に関連する社会的認知および学習障害に関連するが、これらに限定されない。

いくつかの実施形態では、認知機能障害または欠陥は不安障害、条件性恐怖反応、パニック障害、強迫性障害、外傷後ストレス障害、恐怖、社会不安障害、物質依存症回復、または加齢関連性記憶障害(AAMI)、および加齢性認知機能低下(ARCD)に関連するが、これらに限定されない。

いくつかの実施形態では、本発明は、血管性認知症を処置、軽減、および/または予防する方法に関する。血管性認知症は「多発梗塞性認知症」とも呼ばれ、すべて脳の血管傷害をきたす異なる機構が原因の症候群を意味する。血管性認知症の主なサブタイプは、例えば、血管性軽度認知機能障害、多発梗塞性認知症、戦略的単一梗塞による血管性認知症(視床、前大脳動脈、頭頂葉または帯状回に影響をおよぼす)、出血性病変による血管性認知症、小血管疾患(例えば、陰窩病変による血管性認知症およびビンスワンゲル病を含む)、およびアルツハイマー病と血管性認知症との混合である。

いくつかの実施形態では、本発明は、ハンチントン病を処置、軽減、および/または予防に関する。ハンチントン病は、死への容赦ない進行に関連する認知減退をきたす神経疾患である。ハンチントン病に関連する認知症状には、知的速度、注意、および短期記憶の低下、ならびに/または行動症状が含まれる。

認知機能は、認知機能に対する1つまたは複数の試験またはアッセイにより評価し、それにより、必要に応じて定義してもよい。認知機能に対する試験またはアッセイの非限定例には、CANTAB(例えば、Fray et al.”CANTAB battery: proposed utility in neurotoxicology.”Neurotoxicol Teratol 1996;18(4):499−504参照)、ストループテスト、トレイルメイキング、ウェクスラー数字復唱検査、またはCogStateコンピューター認知試験が含まれる(Dehaene et al.”Reward−dependent learning in neuronal networks for planning and decision making.”Brain Res.2000;126:21729、Iverson et al.”Interpreting change on the WAIS−III/WMS−III in clinical samples.”Arch Clin Neuropsychol.2001;16(2):183−91、およびWeaver et al.”Mild memory impairment in healthy older adults is distinct from normal aging.”Cogn.2006;60(2):146−55も参照されたい)。本発明の方法を用いて、正常対象の認知機能を促進してもよく、または対象の認知障害を処置、軽減および/もしくは予防してもよい。本明細書で使用される場合、正常対象は、認知機能障害に関連する障害と診断されていない対象である。

消去学習障害 一態様では、本発明は、消去学習障害、例えば、恐怖消去障害を処置、軽減、および/または予防する方法に関する。

HDAC阻害剤である酪酸ナトリウムまたはトリコスタチンAの投与は、マウスにおいて、恐怖消失を促進することが示されており、この促進は一般に用いられる行動操作によって、引き起こされるものを反映し、恐怖条件付け文脈学習での恐怖の消失における海馬の役割を示す他の試験に一致している(Lattal,et al.,2007,Behav.Neurosci.121,5,1125−1131)。

本発明の化合物を用いて、消去学習の精神プロセスを促進することができ、したがって神経精神障害および他の関連する障害を処置、軽減、および/または予防するために有用である。長期的に投与され、不安の精神症状に対処する、従来の抗不安薬とは異なり、本発明の化合物は第2の治療法、例えば、精神療法と共に、長期的または短期的に用いることができる。

一態様では、本発明は、対象の神経精神障害を処置、軽減、および/または予防する方法を目的とする。この方法は、対象を併用療法プロトコルの1つまたは複数のセッションに供することを含み、ここで併用療法プロトコルは、精神療法のセッションと併用しての、学習または条件付けを増強する本発明の化合物の治療的有効量の短期投与を含む。「短期投与」とは、学習または条件付けを増強する治療的有効量の化合物への対象の単回曝露が意図されている。一態様では、化合物への曝露は、精神療法のセッションを開始する前の約24時間以内、好ましくは約12時間以内、好ましくは精神療法のセッションを開始する前の約6時間以内に行う。神経精神障害の処置の全過程は、この併用療法プロトコルの少なくとも1つのセッションを必要とする。

本発明のために、対象は本明細書に記載の方法によって、処置、軽減、および/または予防される単一の障害を有していてもよく、または一連の障害を有していてもよい。

本発明において意図される神経精神障害には、恐怖および不安障害、物質乱用障害を含む嗜癖障害、ならびに気分障害が含まれるが、これらに限定されない。恐怖および不安障害の範疇内で、本発明は、パニック障害、特定恐怖症、外傷後ストレス障害(PTSD)、強迫性障害、およびトゥーレット症候群などの運動障害の処置または予防を含む。本明細書において意図される障害は、例えば、DSM−IV(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders (4th ed.,American Psychiatric Association,Washington D.C.,1994))において、定義されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。

不安関連障害は、恐怖、不安、依存などによって、特徴付けられる障害に関する。不安関連障害の患者は、単一のそのような障害を有する場合もあり、または一連の障害を有する場合もある。本発明において意図される不安関連障害には、不安障害、物質乱用障害を含む嗜癖障害、気分障害(例えば、うつおよび/または双極性障害)、トゥーレット症候群などの運動障害、心因性勃起不全(男性の陰茎勃起達成または維持の不能に起因する性交不能)、不眠(例えば、慢性不眠)、および摂食障害(例えば、食欲不振)が含まれるが、これらに限定されない。

不安障害には、パニック障害、広場恐怖、社会恐怖、特定の恐怖、PTSD、強迫性障害、および全般性不安障害が含まれるが、これらに限定されない。本明細書において意図される障害は、例えば、DSM−IV(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders(4th ed.,American Psychiatric Association,Washington D.C.,1994))において定義されている。

運動障害は、運動の速度、流暢性、質、および容易さに影響をおよぼす神経学的病状である。代表的な運動障害には、運動失調、舞踏病、間代性筋痙攣、ジストニア、パーキンソン病、不穏脚症候群、チック、およびトゥーレット症候群が含まれるが、これらに限定されない。運動障害は、典型的には脳の基底核領域の損傷または疾患の結果生じる。運動障害は、加齢性変化、薬物、遺伝的障害、代謝障害、疾患、脳卒中、または損傷に起因し得る。卒中または損傷後の運動の回復は、本発明の方法にしたがって処置した場合に促進され得る。

嗜癖障害は、活動または物質に対する依存によって、特徴付けられる障害で、例えば、アルコール依存症、薬物依存症、およびギャンブル依存症が含まれる。

うつとは、大うつ病性障害として公知の臨床病状を意味し、個人の社会機能および/または日常生活の活動に対し破壊的である点まで進行した、激しい悲嘆、メランコリー、または絶望の状態によって、特徴付けられる。うつは、うつの症状の重症度または頻度のいずれか(または両方)が低減した場合に軽減される。しかし、処置がうつを軽減する上で実際にうまくいったかどうかにかかわらず、対象を本発明の方法に従ってうつに対し処置できる。

不眠は、本明細書において、通常の睡眠時間中に眠り込むまたは十分な時間眠り続けることができないと定義される。これには、一過性または短期間型のいずれかで起こる急性不眠、および慢性不眠が含まれる。また、眠りに入ることが困難と定義される初期不眠、夜中に覚醒し、その後最終的には眠りに戻るが、困難が伴うと定義される中期不眠、および通常の起床時間前に覚醒し、眠りに戻ることができないと定義される末期不眠も含まれる。

米国立精神衛生研究所により定義されているとおり、広汎性発達障害(PDD)としても広く公知の、自閉症スペクトラム障害(ASD)は、思考、感情、言語、および他者と関係を持つ能力の重度かつ広範な障害を引き起こす。これらの障害は通常、幼児期に初めて診断され、自閉症性障害と呼ばれる重症型から、特定不能の広汎性発達障害(PDD−NOS)を経由して、はるかに軽度のアスペルガー症候群までの範囲である。これらには、2つの稀な障害であるレット症候群および小児期崩壊性障害も含まれる。

注意欠陥多動性障害(ADHD)は、小児において発生する最も一般的な精神障害の1つである。ADHDの子供は典型的には、家庭、学校、および仲間との関係を含む複数の状況において機能障害を有する。ADHDの症状には、衝動性、活動亢進、および不注意が含まれる。

本発明に含まれる典型的処置には併用療法が含まれる。例えば、併用療法は薬物療法(すなわち、本発明の化合物)および行動療法であってもよい。行動療法には、電気痙攣発作療法、運動、グループ療法、話し合い療法、または条件付けが含まれるが、これらに限定されない。別の実施形態では、行動療法は認知−行動療法である。進行中の方法において、用い得る行動療法の例は、例えば、Cognitive−Behavioral Therapies by K.Dobson,ed.,Guilford Publications,Inc.,2002,The new Handbook of Cognitive Therapy:Basics and Beyond by Judith S.S.Beck,Guilford Publications,Inc.1995に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。当業者によって、学習または条件付けを増強する薬物であると認識されている任意の薬学的有効成分を、本発明の方法において用いることができる。例えば、本明細書において意図される薬学的有効成分の1つのこのようなクラスは、脳内のノルエピネフリンのレベルを増大させる化合物を含む。このような化合物には、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤として作用するもの、例えば、トモキセチン、レボキセチン、デュロキセチン、ベンラファキシン、およびミルナシプラン、ならびにノルエピネフリンの放出を引き起こす化合物、例えば、アンフェタミン、デキストロアンフェタミン、ペモリン、およびメチルフェニデートが含まれる。そのような薬学的有効成分の別のクラスは、例えば、アセチルコリンの分解を阻止する化合物を含む、脳内のアセチルコリンのレベルを増大させる化合物である。そのような化合物の例には、限定されないが、ドネペジルHClまたはアリセプト(商標)およびタクリンが含まれ、これらはコリンエステラーゼ活性を阻害する。

本発明の方法は、対象が処置を受けている特定の精神障害に適した、任意のタイプの精神療法と、本発明の化合物との併用での使用も含む。精神療法の好適な方法には、曝露療法に基づいた精神療法、認知精神療法、および精神力動的に方向付けられた精神療法が含まれる。本発明の方法は、対象を認知行動療法(CBT)、行動曝露処置、仮想現実曝露(VRE)または認知機能改善療法に曝露することも含む。

本発明の方法は、消去訓練も含む。消去訓練のゴールは、以前に有害な、望まれない反応を引き起こした刺激を、負の結果に導かない新しい学習と対にし、それにより対象において、以前の望ましくない反応と競合し、理想的には置き換えるための、刺激に対する新しい、より適切な反応を生成することである。消去訓練はしばしば対象を有害な結果の非存在下で刺激または状況に曝露し、例えば、所与の刺激または状況に対し有害な、高度不安反応を有する対象を、有害な結果の非存在下でその刺激または状況に曝露する。消去訓練の典型的ゴールは、元の刺激または状況の非有害結果とのペアリングに由来する、対象の新しい学習を生じ、それにより、その後の刺激への曝露において、望まれない反応の代わりにより適切な反応を生成することである。消去学習事象とは、完了した刺激/反応消去訓練サイクルを意味する。

消去訓練の1つの形は精神療法を必要とする。例えば、本発明の方法は(i)適切なヒト対象において、不安関連障害を処置、軽減、および/または予防するための精神療法を投与すること、および(ii)該対象に治療的有効用量の本発明の化合物を、間欠的(achronic)、訓練後、睡眠前を基本として投与することにより、不安障害を処置、緩和、および/または予防することを意図している。精神療法の好適な方法には、曝露療法に基づいた精神療法、認知精神療法、および精神力動的に方向付けられた精神療法が含まれるが、これらに限定されない。

特に意図される精神療法の1つの方法は、本発明の方法を用いて不安障害を処置、軽減、および/または予防するための、仮想現実(VR)曝露療法の使用である。

本発明の化合物または組成物と併用して用いる場合に特に有益な、精神療法の別の方法は、認知行動療法(「CBT])である。CBTは、認知療法および行動療法を組み合わせ、人々に彼らが行うとおりに行動し、感じさせる上での思考の重要な役割を強調する、精神療法の形態である。したがって、個人が望まれない感情および行動を経験している場合、CBTは望ましくない感情および/または行動を引き起こしている思考を特定し、いかにしてこの有害な思考をより望ましい反応に導く考えと置き換えるかを学習することが重要であると教示している。CBTは、一連の精神衛生上の困難を経験している人々を助けるために広く用いられ、その困難のいくつかは特定の医学的苦痛の定義に都合よくあてはまらない。CBTは、特に不安障害、気分障害、嗜癖障害、摂食障害、不眠、慢性疼痛、統合失調症、線維筋痛、ADHD、および自閉症スペクトラム障害を処置するために用いられてきた。CBT処置に続き、本発明の化合物の消去訓練後、睡眠前投与を用いて、これらの医学的病状に対するCBT処置の有効性を増強できる。

一実施形態では、社会不安障害を患っている対象は、苦痛を処置するために、1週間に1回の認知行動療法セッションに供される。各療法セッションの後、対象に治療的に有効な本発明の化合物の製剤を消去訓練後、睡眠前を基本として投与する。認知行動療法だけで処置した対象、または認知行動療法およびプラシーボで処置した対象に比べて、社会不安障害に関連する不安は、認知行動療法および本発明の化合物の消去訓練後、睡眠前を基本とする間欠的投与の併用で処置した対象では、大幅に低減されると予想される。

本発明の別の実施形態では、消去訓練が当日に陽性結果を出した場合、本発明の化合物を消去訓練後のみに投与する。例えば、PTSDに対する認知行動療法を受けている対象で、認知行動療法が対象および/または治療者による判定でうまくいったと考えられる場合、本発明の化合物を消去訓練後のみに投与する。一態様では、化合物を消去後、睡眠前を基本として投与する。別の態様では、PTSDに対する認知行動療法を受けている対象に本発明の化合物を、消去訓練前に投与する。一態様では、化合物を消去前、睡眠前を基本として投与する。この方法は、自閉症スペクトラム障害または注意欠陥多動性障害の処置に適用した場合にも有用でありうる。

いくつかの実施形態では、本発明は、記憶を書き換えることを含む病状の処置に関する。ある事象の記憶は、関連する感情的要素を有することが多い。例えば、外傷性事象の記憶は、悲嘆、自責、または喪失の感情、ならびに怒り、激情、または攻撃などの負の情動応答を引き起こし得る。逆に、正の事象の記憶は、歓喜を引き起こし、自信および自負の感情を高め得る。記憶が呼び戻される期間中は、記憶は関連性を変えるように修正でき、記憶に対する情動的反応を減らす、または変更することができる。いくつかの実施形態では、認知行動療法または仮想現実療法と組み合わされたHDAC阻害剤は、感情と記憶との結びつきを書き換え可能とし、より長期のまたはより大きな治療の恩恵をもたらし得る。

本発明の別の実施形態では、PTSDなどの不安障害に苦しんでいる対象に、眼球運動による脱感作および再処理法(EMDR)を用いて消去訓練を行い、続いて治療的有効用量の本発明の化合物を消去訓練後、睡眠前を基本として投与する。

消去訓練の別の形はバイオフィードバックにより提供され、これは対象が血圧、心拍、筋張力、および皮膚温度などの、通常は不随意に起こる生理的プロセスの制御を学ぶことを可能にする上で特に有用である。本明細書で使用される場合、「バイオフィードバック」という用語は、対象を自身の生理的反応を制御するために自身の体からのシグナルを用いることによって、その健康を改善するよう訓練する技術を意味する。

本発明の一実施形態では、慢性疼痛を患っている対象に疼痛の軽減を助けるためにバイオフィードバックセッションを行う。対象が慢性疼痛を低減する反応の学習/発生において、進歩を示した各セッションの終了後、所望の学習を固定するために対象に本発明の化合物を消去訓練後、睡眠前を基本として投与する。

別の実施形態では、幻肢症候群を患っている対象に、症状を低減し、できれば除去するために、熱バイオフィードバックセッションを行う。各セッション後、対象に治療的に有効な本発明の化合物の製剤を消去訓練後、睡眠前を基本として投与する。

別の実施形態では、消去訓練を理学療法、または仮想現実歩行療法などの仮想現実理学療法により提供できる。例えば、歩き方を再学習している卒中犠牲者に仮想現実歩行療法を行い、次いで本発明の化合物を間欠的、消去訓練後、睡眠前を基本として投与できる。

消去訓練の別の形は、薬物療法によって提供できる。例えば、Davis et al.,NeuroRx:The Journal of the American Society for Experimental NeuroTherapeutics,93:82−96,2006、を参照されたい。例えば、内在性カンナビノイド(eCB)の操作は、精神疾患および障害を処置するための新規治療薬が見つけられる可能性、および例えば、不安および情動学習に関連する領域中のCB1レセプターの高濃度発現という両方の理由で興味深い。例えば、調査は、遺伝的CB1ノックアウトマウスおよびCB1レセプターの薬理学的封鎖を受けたマウスは両方とも、消去において類似の効果を示すことを明らかにした(Davis,page 87)。ラットでCB1アンタゴニストのリモナバンを使った調査は、この薬剤の全身投与が、消去の顕著な、用量依存減少をもたらしたことを示した。他CB1アゴニストのWIN55、212−2ならびにCB1再取り込みおよび破壊の阻害剤の投与に関連する他の調査も一緒に考慮すると、CB1レセプターは、消去学習において重要であり得、また、内在性カンナビノイド系を調節して、消去を低減または増大させることができる。

消去訓練は訓練を受けた専門家の介入を必ずしも必要としない。個人は消去訓練を自分自身で行うことができる。

真菌疾患または感染症 いくつかの態様では、本発明は、真菌疾患または感染症を処置、軽減、および/または予防する方法に関し、該方法は、対象に本発明の化合物を投与することを含む。本発明は、HIVおよび癌患者を含む免疫無防備状態の患者を攻撃する院内感染真菌感染症を処置、軽減、および/または予防する方法を提供する。一実施形態では、本発明は、癌を患っていない対象の真菌疾患を処置、軽減、および/または予防する方法を提供する。

炎症疾患 いくつかの態様では、本発明は、限定されないが、卒中、関節リウマチ、紅斑性狼蒼、潰瘍性結腸炎および外傷性脳損傷を含む、炎症疾患を処置、軽減、および/または予防する方法に関する(Leoni et al.,PNAS,99(5);2995−3000(2002)、Suuronen et al.J.Neurochem.87;407−416(2003)およびDrug Discovery Today,10:197−204(2005)。

新生物疾患 いくつかの態様では、本発明は、新生物細胞の終末分化、ならびに細胞成長停止および/またはアポトーシスを選択的に誘導し、それによりそのような細胞の増殖を阻害する方法に関する。本発明の化合物は、対象の癌を処置、軽減、および/または予防する上で有用である。

「癌」という用語は、固形腫瘍、新生物、癌腫、肉腫、白血病、リンパ腫などの、新生物細胞の増殖によって、引き起こされる任意の癌を意味する。特に、本発明の化合物によって、処置、軽減、および/または予防し得る癌には、心臓癌、癌、胃腸癌、性器尿路系癌、肝臓癌、神経系癌、婦人科の癌、血液癌、皮膚癌、および副腎癌が含まれるが、これらに限定されない。

いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、肉腫(血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫)、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、脂肪腫および奇形腫から選択される心臓癌を処置、軽減、および/または予防することに関する。

いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、気管支原性癌(りん状細胞、未分化小細胞、未分化大細胞、腺癌)、肺胞(細気管支)癌、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨腫様過誤腫、および中皮腫から選択される肺癌を処置、軽減、および/または予防することに関する。

いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、食道(扁平上皮癌、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(癌腫、リンパ腫、平滑筋肉腫)、膵(導管性腺癌、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、ビポーマ)、小腸(腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋肉腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、および大腸(腺癌、腺管腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋肉腫)から選択される胃腸癌を処置、軽減、および/または予防することに関する。

いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、腎臓(腺癌、ウィルムス腫瘍[腎芽細胞腫]、リンパ腫、白血病)、膀胱および尿道(扁平上皮癌、移行上皮癌、腺癌)、前立腺(腺癌、肉腫)、ならびに精巣(精上皮腫、奇形腫、胎児性癌、奇形癌、絨毛癌、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、腺腫様腫瘍、脂肪腫)から選択される性器尿路系癌を処置、軽減、および/または予防することに関する。

いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、ヘパトーマ(肝細胞癌)、胆管癌、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、および血管腫から選択される肝臓癌を処置、軽減、および/または予防することに関する。

いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、骨原性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨大細胞腫瘍脊索腫、骨軟骨腫(骨軟骨性外骨症)、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨腫および巨大細胞腫瘍から選択される骨癌を処置、軽減、および/または予防することに関する。

いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、頭蓋(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳(星状細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫[松果体腫]、多形膠芽腫、乏突起細胞腫、シュワン腫、網膜芽細胞腫、先天性腫瘍)、および脊髄(神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫)から選択される神経系癌を処置、軽減、および/または予防することに関する。

いくつかの態様において、本発明の化合物は、子宮(子宮内膜癌)、子宮頸部(子宮頸癌、前腫瘍子宮頚部異形成)、卵巣(卵巣癌[漿液性嚢胞腺癌、粘液性嚢胞腺癌、未分類癌腫]、顆粒膜卵胞膜細胞腫、セルトリ−ライディッヒ細胞腫、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰(扁平上皮癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、黒色腫)、膣(明細胞癌、扁平上皮癌、ブドウ状肉腫(胎児性横紋筋肉腫)、および卵管(癌腫)から選択される婦人科の癌を処置、軽減、および/または予防することに関する。

いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、悪性黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮癌、カポジ肉腫、異形成母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、および乾癬から選択される皮膚癌を処置、軽減、および/または予防することに関する。

いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、神経芽腫から選択される副腎癌を処置、軽減、および/または予防する方法に関する。

いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、限定されないが、下記を含む、癌の処置、軽減、および/または予防において、有用である:急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)およびヘアリーセル白血病などの急性白血病および慢性白血病を含む白血病、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、非皮膚末梢T細胞リンパ腫、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)などのヒトTリンパ球向性ウイルス(HLTV)に関連するリンパ腫、ホジキン病および非ホジキンリンパ腫、大細胞リンパ腫、びまん性大細型B細胞リンパ腫(DLBCL)などのリンパ腫、バーキットリンパ腫、中皮腫、原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、多発性骨髄腫、脳腫瘍、神経芽腫、網膜芽腫、ウィルムス腫瘍、骨腫瘍、および軟部組織肉腫などの小児期固形腫瘍、頭頸部癌(例えば、口腔、喉頭および食道)、尿生殖器癌(例えば、前立腺、膀胱、腎臓、子宮、卵巣、精巣、直腸および結腸)、肺癌、乳癌、膵癌、黒色腫および他の皮膚癌、胃癌、脳腫瘍、肝臓癌ならびに甲状腺癌。

血液疾患 いくつかの態様では、本発明は、血液疾患を処置、軽減、または予防する方法に関する。血液疾患には、血液細胞の異形成変化を引き起こし得る血液細胞の異常な成長および様々な白血病などの血液系腫瘍が含まれる。血液疾患の例には、急性骨髄性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、および鎌状赤血球貧血が含まれるが、これらに限定されない。

急性骨髄性白血病(AML)は、成人で発生する急性白血病の最も一般的な型である。いくつかの遺伝性遺伝子障害および免疫不全状態はAMLのリスクの増大に関連している。これらには、ブルーム症候群、ファンコーニ貧血、リ・フラウメニ家系、血管拡張性失調症、およびX連鎖無γグロブリン血症などの、ランダム染色体切断につながる、DNA安定性の欠損を有する障害が含まれる。

急性前骨髄球性白血病(APML)は、AMLの別のサブグループを表す。このサブタイプは、15;17染色体転座を含む前骨髄球性芽球を特徴とする。この転座は、レチノイン酸受容体および配列PMLからなる融合転写産物の生成につながる。

急性リンパ芽球性白血病(ALL)は、様々なサブタイプにより提示される独特の臨床特徴を伴う不均一疾患である。細胞遺伝学的異常の再発が、ALLにおいて、明らかになっている。最も一般的な細胞遺伝学的異常は、9;22転座である。結果としてのフィラデルフィア染色体は、患者の予後不良を表す。

慢性骨髄性白血病(CML)は、多能性幹細胞のクローン性骨髄増殖障害である。CMLは、染色体9および22の転座を伴う特異的染色体異常を特徴とし、フィラデルフィア染色体を生じる。電離放射線が、CMLの発症に関連している。

骨髄異形成症候群(MDS)は、骨髄系、赤血球系、および巨核球系の異形成変化を含む、1つまたは複数の造血系の異形成変化の存在のために、一緒に分類された不均一なクローン性造血幹細胞障害である。これらの変化は、三系統の1つまたは複数で血球減少を生ずる。MDSに苦しんでいる患者は、典型的には、貧血、好中球減少症(感染症)、または血小板減少症(出血)に関連する合併症を発症する。一般に、MDS患者の約10%〜約70%が急性白血病を発症する。

鎌状赤血球症は、脱酸素化ヘモグロビンの重合、赤血球の変形、微小血管閉塞、溶血、ならびにその結果としての、疼痛、卒中、および肺の合併症を含む疾患発現につながる、β−グロビン遺伝子における単一アミノ酸置換の同型接合遺伝に起因する(Bunn HF,1997,J.Med.337:762−769)。多くの生化学的、疫学的、および臨床的証拠は、高レベルのγグロビン、すなわちβグロビンの胎児型が、鎌状赤血球ヘモグロビンの異常な重合を阻害し、疾患表現型を改善することを明らかにしている。鎌状赤血球症に対して米国食品医薬品局(FDA)が承認した唯一の薬物、ヒドロキシ尿素は、胎児ヘモグロビンの顕著な誘導、疾患重症度の低下を引き起こし、全般的死亡率に対して有益である(Letvin et al.,1984,N Engl J Med 310:869−873、Platt OS,et al.,1984,J Clin Invest 74:652−656、Charache S,et al.,1995,N Engl J.Med 332:317−1322、Steinberg MH,et al.,2003,JAMA 289:1645−1651)。それにもかかわらず、ヒドロキシ尿素は骨髄抑制効果を有し、患者のかなりの部分で効果的でない(Charache S,et al.、Steinberg MH,et al.,2003、Steinberg MH,1999,N Engl J.Med 340:1021−1030)。胎児ヘモグロビンをより実質的に誘導し、骨髄抑制が少ない薬物は、鎌状赤血球症において、より高い治療的有用性を有することが期待される。

ヒトグロビン遺伝子座の転写調節は集中的に研究されてきた。γ−グロビン遺伝子発現は、多タンパク質複合体の一部としての転写因子(GATA−1、EKLF、NF−E4p22、イカロス)およびクロマチン修飾酵素[SWI/SNF複合体、HAT、およびヒストンデアセチラーゼ(HDAC)]、ならびにβ−グロビン活性クロマチンハブ(βACH)(8〜11)と呼ばれる独特の動的クロマチン構造によって、影響を受ける。転写リプレッサー、BCL11Aにおける多型性は基準の胎児ヘモグロビンレベルを変化させ、BCL11aを含む多タンパク質複合体はβ−グロビン遺伝子座に結合して、γ−グロビンの発現を抑制する(Menzel S,et al.,2007,Nat Genet 39:1197−1199、Lettre G,et al.,2008,Proc Natl Acad Sci USA 105:11869−11874、Sankaran VG,et al.,2008,Science 322:1839−1842、Uda M,et al.,2008,Proc NATL Acad Sci USA 105:1620−1625、Sankaran VG,et al.,2009,Nature 460:1093−1097)。このかなり進んだ細分化にもかかわらず、リガンド発見のための努力の対象となる個別の標的は特定されておらず、機能的に確認されてもいない。

胎児ヘモグロビンの誘導は、鎌状赤血球症の症状および合併症を改善するための有効性が検証された戦略である。標的療法の開発は、個別の新薬の開発につながるような標的がないことにより限られていた。Bradner et al.,2010,PNAS,107:28,12617−12622は、ヒト赤血球初代細胞における胎児ヘモグロビン転写産物の誘導物質特定のための独特のビーズによる戦略を開発し、これはヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤の中で顕著なクラス関連活性を有すると特定された生物活性化合物の小分子選別を含む。偏りのある化学プローブのフォーカストライブラリーとRNA干渉による逆遺伝学とを組み合わせる化学的遺伝的戦略を用いて、Bradnerらは胎児ヘモグロビン誘導を仲介する分子標的としてHDAC1およびHDAC2を特定した。HDAC1およびHDAC2のアイソフォーム選択的阻害剤は、鎌状赤血球症の処置のための標的である。

医薬組成物 したがって、本発明の別の態様では、医薬組成物が提供され、これらの組成物は、本明細書に記載のいずれかの化合物、および必要に応じ、薬学的に許容可能なキャリア、アジュバントまたはビークルを含む。特定の実施形態では、これらの組成物は必要に応じて、1つまたは複数の追加の治療薬をさらに含む。

本発明の特定の化合物は、処置のための遊離型として、または適切な場合には、その薬学的に許容可能な誘導体として存在し得る。本発明では、薬学的に許容可能な誘導体としては、薬学的に許容可能なプロドラッグ、塩、エステル、このようなエステルの塩、もしくは任意のほかの付加物または必要としている患者への投与時に、直接または間接的に、本明細書の別のところで記載の化合物を提供可能な誘導体、もしくはその代謝物または残留物が含まれるが、これらに限定されない。

本明細書で使用する場合、「薬学的に許容可能な塩」という用語は、健全な医学判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、およびアレルギー反応などもなく、人間および下等動物の組織との接触下の使用に適し、また、合理的利益/リスク比率に見合っているこれらの塩を意味する。「薬学的に許容可能な塩」は、任意の非毒性の本発明の化合物の塩またはエステルの塩を意味し、これは、レシピエントへの投与時に、直接にまたは間接的に、本発明の化合物または阻害活性のあるその代謝物または残留物を提供することができる。本明細書で使用される場合、「阻害活性のあるその代謝物または残留物」という用語は、その代謝物または残留物もまた本明細書に記載のHDACアイソフォームの阻害剤であることを意味する。

薬学的に許容可能な塩は、当技術分野で周知である。例えば、S.M.Bergeらは、J.Pharm.Sci.,66,66:1−19、中で薬学的に許容可能な塩について詳細に記載している。この文献は、参照により本明細書に組み込まれる。本発明の化合物の薬学的に許容可能な塩には、好適な無機および有機酸ならびに塩基から誘導されるものが含まれる。薬学的に許容される無毒の酸付加塩は、アミノ基と、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、および過塩素酸などの無機酸との塩、または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸もしくはマロン酸などの有機酸との塩、またはイオン交換などの当該技術分野において使用される他の方法の使用による塩である。その他の薬学的に許容可能な塩には、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、ショウノウスルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、蟻酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸、グリセロ燐酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが含まれる。適切な塩基から誘導される塩には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムおよびN+(C1−4アルキル)4の塩が含まれる。本発明はまた、本明細書で開示の化合物の任意の塩基性窒素含有基の四級化も想定している。水または油可溶性または分散性生成物をこのような四級化により得てもよい。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩には、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、などの塩が含まれる。さらなる薬学的に許容可能な塩には、適切な場合には、無毒性アンモニウム、四級アンモニウム、ならびにハライド、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩およびアリールスルホン酸塩などの対イオンの使用により形成される、アミンカチオンが含まれる。

上述のように、本発明の薬学的に許容可能な組成物は、薬学的に許容可能なキャリア、アジュバント、またはビークルをさらに追加して含み、これらには、本明細書で使用される場合、特定の所望剤形に好適する、任意のおよび全ての溶媒、希釈剤、またはその他の液体ビークル、分散または懸濁助剤、界面活性剤、等張剤、増粘化または乳化剤、防腐剤、固体バインダー、潤滑剤などが含まれる。Remington’s Pharmaceutical Sciences,Sixteenth Edition,E.W.Martin(Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1980)は、薬学的に許容可能な組成物で使用される種々のキャリアおよびそれらの調製のための既知の技術を開示している。任意の従来のキャリア媒体が、何らかの望ましくない生物学的作用を生ずることにより、または別の方法で有害になるように薬学的に許容可能な組成物の任意のその他の構成要素(単一または複数)と相互作用することにより、本発明の化合物と相いれない場合を除き、その使用は本発明の範囲内に入ることが意図されている。薬学的に許容可能なキャリアとしてとして役立ち得る物質のいくつかの例には、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、燐酸塩などの緩衝物質、グリシン、ソルビン酸もしくはソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド、水、硫酸プロタミン、リン酸一水素二ナトリウム、カリウムリン酸水素、塩化ナトリウム、亜鉛塩などの塩もしくは電解質、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー、羊毛脂、ラクトース、ブドウ糖およびスクロースなどの糖類;コーンスターチおよびジャガイモデンプンなどのデンプン;カルボキシルメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなどのセルロースおよびその誘導体;粉末状トラガント;麦芽;ゼラチン;滑石;ココアバターおよび坐剤ワックスなどの賦形剤;ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油および大豆油などの油;プロピレングリコールもしくはポリエチレングリコールなどのグリコール;オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;アルギン酸;発熱性物質非含有水;等張食塩水;リンゲル液;エチルアルコール、およびリン酸緩衝液、ならびにラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなどのその他の非毒性で適合性のある潤滑剤が挙げられ、さらに着色料、離型剤、コーティング剤、甘味料、調味料および芳香剤、防腐剤および酸化防止剤も、配合技術者の判断に従って、組成物中に存在し得るが、これらに限定されない。

さらに別の態様では、増殖性、炎症性、または心血管障害を処置する方法が提供され、該方法は、有効量の化合物、または医薬組成物をそれを必要としている対象に投与することを含む。本発明の特定の実施形態では、「有効量」の化合物または医薬組成物は、増殖性、炎症性、または心血管障害の処置のための有効量、または癌を処置するための有効量である。他の実施形態では、「有効量」の化合物は、PI3Kの結合を阻害し、PI3Kの結合により生じる、成長因子、レセプターチロシンキナーゼ、プロテインセリン/スレオニンキナーゼ、Gタンパク質共役型受容体およびリン脂質キナーゼならびにホスファターゼの異常活性をもたらすシグナル伝達カスケードを遮断する量である。

本発明の方法による化合物および組成物は、疾患の処置に効果的な、任意の量および任意の投与経路を使って投与してよい。必要とされる正確な量は、対象の種、年齢、および全身状態、障害の重症度、特定の薬剤、その投与モード、などに応じて対象毎に変化するであろう。本発明の化合物は、投与の容易さと、投与量の均一性のために、投与単位剤形として処方されるのが好ましい。本明細書で使用される場合、「投与単位剤形」という表現は、処置される患者にとって適切な、物理的に別々の単位の薬剤を意味する。しかしながら、本明細書に記載の化合物および組成物の総一日使用量は、健全な医学的判断の範囲内で主治医によって決定されることは理解されよう。任意の特定の患者または生物に対する具体的な有効量レベルは、処置する障害およびその障害の重症度;使用する特定の化合物の活性;使用する特定の組成物;患者の年齢、体重、総体的な健康、性別、および食事;使用する特定の化合物の投与時間、投与経路、および排出速度;処置期間;使用する特定の化合物と組み合わせて、またはそれと同時に使用する薬物;ならびに医療技術分野において周知の類似の要因を含む種々の要因に依存するであろう。本明細書で使用される場合、用語の「患者」は、動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを意味する。

本発明の薬学的に許容可能な組成物は、人間およびその他の動物に、処置される感染症の重症度に応じて、経口、直腸内、非経口、嚢内、膣内、腹腔内、局所(粉末、軟膏、または点滴として)、口腔内、口腔または鼻内噴霧として、などにより投与することができる。特定の実施形態では、本発明の化合物は、所望の治療効果を得るために、1日につき対象の体重当たり、約0.01mg/kgから約50mg/kgおよび好ましくは約1mg/kgから約25mg/kgの投与量レベルで、1日に1回または複数回、経口または非経口により投与され得る。

経口投与のための液体剤形には、限定されないが、薬学的に許容可能なエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシル剤が含まれる。液体剤形は、活性化合物に加えて、当該技術分野において一般的に使用される不活性希釈剤、例えば、水またはその他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実、アメリカホドイモ、トウモロコシ、微生物、オリーブ、トウゴマおよびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステルおよびこれらの混合物を含んでよい。不活性希釈剤の他に、経口組成物はまた、湿潤剤、乳化および懸濁剤、甘味料、調味料、および芳香剤などのアジュバントを含むことができる。

注射可能製剤、例えば、無菌注射可能水性または油性の懸濁液は、適切な分散または湿潤剤および懸濁剤を使用して、既知の技術に従い処方してよい。また、無菌注射可能製剤は、非毒性非経口的に許容可能な希釈剤または溶媒中の、無菌の注射可能溶液、懸濁液または乳剤、例えば、1、3−ブタンジオール中の溶液であってもよい。許容され得るビークルおよび溶媒中でも特に使用してよいのは、水およびリンゲル溶液、米国薬局方および等張性塩化ナトリウムである。さらに、無菌の不揮発性油は、溶媒または懸濁剤として従来から採用されている。この目的には、合成のモノまたはジグリセリドを含む任意の銘柄の油を使用することができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸も注射可能製剤中に入れて使用することができる。

注射可能製剤は、例えば、除菌フィルターを通した濾過により、または無菌水またはいくつかのその他の無菌の注射可能媒体中に使用前に溶解もしくは分散できる無菌固体組成物の形態で殺菌剤を混合することにより、滅菌することができる。

本発明の化合物の効果を持続させるために、多くの場合、皮下または筋肉注射により化合物の吸収を遅らせるのが望ましい。これは、低い水溶性の結晶質または非晶質物質の懸濁液の使用により実現し得る。したがって、薬物の吸収速度は、その溶解速度に依存し、この溶解速度は、次に、結晶寸法および結晶型に依存し得る。あるいは、非経口投与化合物形態の遅延吸収は、化合物を油性ビークル中に溶解または懸濁することにより実現される。注射可能デポー剤は、ポリラクチド−ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中の化合物のマイクロカプセルマトリックスを形成することにより作製される。ポリマーに対する化合物の比率および用いた特定のポリマーの性質に応じて、化合物放出速度を制御できる。その他の生分解性ポリマーの例には、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。デポー注射可能製剤はまた、化合物を体組織と適合性のあるリポソームまたはマイクロエマルジョン中に封入することにより調製される。

直腸または腟投与用の組成物は、坐剤であるのが好ましく、これは、本発明の化合物を、周囲温度では固体であるが体温では液体であり、したがって、直腸または膣腔中では溶解し活性化合物を放出する、ココアバター、ポリエチレングリコールまたは坐剤ワックスなどの好適な非刺激性賦形剤またはキャリアと混合物ことにより調製できる。

経口投与用の固形剤形には、カプセル剤、錠剤、丸薬、散剤、および粒剤が含まれる。このような固形剤形では、活性化合物は少なくとも1種の不活性の薬学的に許容可能な、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムなどの賦形剤またはキャリアおよび/または、a)充填剤または増量剤、例えば、デンプン、ラクトース、ショ糖、グルコース、マンニトール、およびケイ酸、b)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖およびアラビアゴム、c)湿潤剤、例えば、グリセロール、d)崩壊剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、および炭酸ナトリウム、e)溶解遅延剤、例えば、パラフィン、f)吸収促進剤、例えば、第4級アンモニウム化合物;g)湿潤剤、例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロール、h)吸収剤、例えば、カオリンおよび/またはベントナイト粘土;i)潤滑剤、例えば、滑石、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびこれらの混合物と混合される。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、剤形はまた、緩衝剤を含み得る。

また、類似の種類の固体組成物を、ラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使って、ソフトおよびハード充填ゼラチンカプセルのフィラーとして用いてもよい。錠剤、糖衣錠、カプセル、丸薬、および顆粒剤の固形剤形は、腸溶性コーティングおよび医薬品処方技術分野で公知のその他のコーティングなどのコーティングおよびシェルを使って調製できる。これらは、必要に応じて、乳白剤を含んでもよく、また、有効成分(単一または複数)のみを、または選択的に腸管の特定の部分で、必要に応じて、遅延方式で、放出する組成物とすることもできる。使用可能な包埋組成物の例としては、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。また、類似の種類の固体組成物を、ラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使って、ソフトおよびハード充填ゼラチンカプセルのフィラーとして用いてもよい。

有効成分はまた、1種または複数の上述の賦形剤を使って、マイクロカプセル化形態とすることもできる。錠剤、糖衣錠、カプセル、丸薬、および顆粒剤の固形剤形は、腸溶性コーティング、放出制御コーティングおよび医薬品処方技術分野で公知のその他のコーティングなどのコーティングおよびシェルを使って調製できる。このような固形剤形では、活性化合物は少なくとも1種の不活性希釈剤、例えば、ショ糖、ラクトースまたはデンプンなどと混合してよい。このような剤形はまた、通常の実施方法と同じく、不活性希釈剤以外の追加の物質、例えば、ステアリン酸マグネシウムなどの錠剤化潤滑剤およびステアリン酸マグネシウムおよび微結晶セルロースなどの他の錠剤化助剤を含んでもよい。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、剤形は緩衝剤も含み得る。これらは、必要に応じて、乳白剤を含んでもよく、また、有効成分(単一または複数)のみを、または選択的に腸管の特定の部分で、必要に応じて、遅延方式で、放出する組成物とすることもできる。使用可能な包埋組成物の例としては、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。

本発明の化合物の局所または経皮投与のための剤形としては、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉剤、液剤、噴霧剤、吸入剤および貼付剤が挙げられる。活性化合物は無菌条件下で薬学的に許容可能なキャリア、および必要に応じて、必要な任意の保存剤、緩衝剤と混合され得る。眼製剤、点剤、および点眼薬も、本発明の範囲内に入ることが意図されている。さらに、本発明は、経皮貼付剤の使用を意図しており、これは、化合物の身体への制御送達を可能とするという追加の利点を有する。このような剤形は、化合物を適切な媒体中に溶解または調剤することにより作製できる。吸収賦活薬を使って、化合物の皮膚を通る流れを高めることもできる。この速度は、速度制御膜を備えることによりまたはポリマーマトリックスまたはゲル中に化合物を分散させることにより制御できる。

1種または複数の本発明の化合物を単独療法の適用で使用して、障害、疾患または症状を処置してもよいが、それらを併用療法で使用してもよく、その場合、本発明の化合物または組成物(治療薬)の使用は、同じおよび/または他の種類の障害、症状および疾患を処置するための1つまたは複数の他の治療薬の使用と組み合わされる。併用療法は、治療薬の同時または逐次投与を含む。あるいは、治療薬を、患者に投与する1つの組成物中に組み合わせることができる。

一実施形態では、本発明の化合物は、他の治療薬と組み合わせて使用される。他の実施形態では、本発明の化合物は、細胞傷害薬、放射線療法、および免疫療法からなる群より選択される治療薬と共に投与される。他の組み合わせを採用してもよいが、その場合も、本発明の範囲内にあることは理解される。

これらの追加の薬剤は、複数薬剤投与計画の一部として、用意された併用療法とは別に投与してもよい。あるいは、これらの薬剤は、単一組成物として本発明の化合物と一緒に混合された単一剤形の一部であってもよい。併用療法の一部として投与される場合には、2つの治療薬は、同時に、逐次に、または相互に一定期間内に、通常は相互に約1時間〜12時間以内に投入してよい。例えば、1つの治療薬を、併用療法で使われるその他の治療薬または複数治療薬の投与から、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12時間以内に投与できる。

併用療法は、本明細書で記載のいずれの治療指標に対しても使用できる。一態様では、本発明は、対象に(1)薬学的に活性な成分を投与すること、または対象を(2)認知行動療法(CBT)、(3)精神療法、(4)行動曝露処置、(5)仮想現実曝露(VRE)、もしくは(6)認知機能改善療法に曝露すること、あるいは(7)それらの任意の組み合わせをさらに含む、併用療法である方法を提供する。一態様では、本発明は、対象の外傷後ストレス障害(PTSD)またはアルツハイマー病を処置、軽減、および/または予防するための併用療法を提供し、該併用療法は、有効量の(1)本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくはプロドラッグならびに(2)Aricept(登録商標)、メマンチン、およびガランタミンから選択され、投与される薬学的に活性な成分を、それを必要としている対象に、投与することを含む。

一態様では、本発明は、対象の消去学習障害を処置する方法を提供し、該方法は、その処置を必要としている対象に有効量の本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくはプロドラッグを投与することを含む。一態様では、消去学習障害は恐怖消去障害である。一態様では、消去学習障害は外傷後ストレス障害である。一態様では、方法は、消去学習障害の処置を必要としている対象にその処置をするための併用療法であって、該併用療法は、(1)有効量の本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくはプロドラッグを対象に投与すること、および(2)認知行動療法(CBT)、精神療法、行動曝露処置、仮想現実曝露(VRE)または認知機能改善療法に対象を曝露することを含む。

本明細書で使用される場合、「組み合わせ」、「組み合わされた」という用語、および関連用語は、本発明による治療薬の同時または逐次投与を意味する。例えば、本発明の組み合わせは、別の治療薬と共に、同時にまたは逐次に、別の単位剤形でまたは単一の単位剤形で一緒に投与され得る。

本発明の別の態様は、生物試料または患者中のHDAC活性を阻害することに関し、この方法は、患者に投与すること、または前記生物試料と、本明細書で記載の化合物もしくは前記化合物を含む組成物とを接触させることを含む。本明細書で使用される場合、用語の「生物試料」は通常、インビボ、インビトロ、およびエクスビボ材料を含み、また、限定されないが、細胞培養液またはその抽出物;哺乳動物から得た生検用に採取した材料またはその抽出物;および血液、唾液、尿、糞便、精液、涙、またはその他の体液もしくはその抽出物も含む。

さらに別の本発明の態様は、単一のパッケージ中に別々の容器を含むキットを提供することである。本発明の医薬化合物、組成物および/またはもしくはこれらの塩は、薬学的に許容可能なキャリアと組み合わせて使用して、HDACが関与する障害、症状および疾患が処置される。

下記の実施例で示すように、特定の代表的実施形態、化合物が以下の一般的手順に従って調製される。一般的な方法は、特定の本発明の化合物の合成を示すが、以下の一般的方法、および当業者に既知の他の方法は、本明細書に記載のように、全ての化合物およびサブクラスならびにそれぞれのこれら化合物の化学種に適用できる。

一般情報 スポットをUV光(254および365nm)で可視化した。シリカゲル(200〜300メッシュ)を使って、カラムおよびフラッシュクロマトグラフィーによる精製を実施した。溶媒系は、溶媒の比率として報告されている。

NMRスペクトルをBruker400(400MHz)分光計で記録した。1Hの化学シフトのδ値は、内部標準としてテトラメチルシラン(TMS=0.00ppm)を用いて、ppmで報告される。

ESI(+)イオン化モードを備えたAgilent1200シリーズ6110または6120質量分析計でLCMSスペクトルを取得した。

実施例1.化合物100の合成

153−1の合成。153−0(2.00g、8.4mmol)および(NH4)2CO3(4.00g、42mmol)のDMF(20mL)中溶液を90℃に一晩加熱した。混合物を室温に冷却し、水(100mL)中に注ぎ込んだ。沈殿物を濾別し、ジエチルエーテル(Et2O)および石油エーテル(PE)の混合物(Et2O:PE=1:1)で洗浄して、153−1(1.50g、76%)を黄色固体として得た。

153−2の合成。153−1(1.40g、6.0mmol)、4−フルオロフェニルボロン酸(920mg、7.7mmol)およびCs2CO3(5.83g、18.0mmol)のジオキサン/H2O(30mL/6mL)中混合物に、窒素雰囲気下でPd(PPh3)4(693mg、0.6mmol)を加えた。混合物を95℃で2時間攪拌した後、減圧下で濃縮した。残渣を酢酸エチル(EtOAc;100mL)に溶解し、溶液をブライン(30mLx3)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させた後、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=5:1〜3:1)で精製し、153−2(1.10g、74%)を黄色固体として得た。

153−3の合成。153−2(260mg、1.0mmol)およびトリメチルアミン(TEA;810mg、8.0mmol)のジクロロメタン(DCM;15mL)中溶液に、氷浴下でトリホスゲン(330mg、1.1mmol)を加えた。溶液を室温まで暖め、3時間にわたり攪拌を継続した。その後、TEA(200mg、2.0mmol)およびSM0(210mg、1.1mmol)を加えた。得られた溶液を50℃で2時間加熱した。LCMSにより反応の完了を確認後、溶液をDCM(15mL)で希釈し、得られた溶液をブライン(10mLx3)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させて、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:1〜30:1)で精製し、153−3(200mg、50%)を黄色固体として得た。

100の合成。153−3(200mg、0.5mmol)およびPd/C(60mg)のMeOH/THF(5mL/5mL)中混合物を、H2雰囲気下、室温で2時間撹拌した。その後、Pd/Cをセライトを使った濾過により除去した。濾液を濃縮した後、残渣をMTBEで再結晶化して100(60mg、33%)を黄色固体として得た。

100の適切に置換したアミン変異体を使って、化合物114、116および119を類似の方法で合成した。 化合物114。120mg、50%、白色固体。 化合物116。160mg、54%、白色固体。 化合物119。14mg、8%、白色固体。

実施例2.化合物101の合成

155−1の合成。155−0(869mg、5.1mmol)およびフェニルヒドラジン(500mg、4.6mmol)のAcOH/H2O(10mL/2mL)中混合物に、NaOAc・3H2O(1.40g、10.0mmol)を加えた。反応混合物をマイクロ波を用いて130℃で30分間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、氷水を加えた。濾過により沈殿物を集め、Et2OおよびPEの混合物(Et2O:PE=1:1)で洗浄し、155−1(1.03g、96%)を黄色固体として得た。

155−1aの合成。撹拌している155−1(1.00g、4.3mmol)のHBr水溶液(48%、5mL)中の溶液に、NaNO2(310mg、4.5mmol)のH2O(3mL)中溶液を氷浴下で滴加した。この温度で溶液を1.5時間撹拌した後、CuBr(443mg、3.0mmol)のHBr水溶液(48%、5mL)中溶液を滴加した。得られた混合物を60℃でさらに1.5時間攪拌した。LCMSにより反応の完了を確認後、混合物を水(40mL)中に注ぎ込み、得られたものをEtOAc(20mLx3)で抽出した。合わせた有機層をH2O(20mLx3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥、濃縮し、155−1a(1.20g、94%)を褐色固体として得て、これをさらに精製することなく次のステップに直接使用した。

155−2の合成。155−1a(750mg、2.5mmol)、ジフェニルメタンイミン(508mg、2.8mmol)、キサントホス(148mg、0.25mmol)およびCs2CO3(2.5g、7.6mmol)のジオキサン(15mL)中溶液に、封管中、窒素雰囲気下でPd(OAc)2(115mg、0.51mmol)を加えた。この混合物を130℃で3時間、マイクロ波で加熱した。得られた混合物を減圧下で濃縮した。残渣をH2O(50mL)中に注ぎ込み、得られたものをEtOAc(30mLx3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(30mLx3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させて、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(PE:EA=10:1〜2:1)で精製し、155−2(500mg、50%)を黄色油として得た。

155−3の合成。155−2(150mg、0.38mmol)のメタノール(MeOH;4mL)中溶液に、KOH水溶液(2mL)を氷浴下で滴加した。混合物を60℃で4時間攪拌した後、水(40mL)中に注ぎ込んだ。得られたものをEtOAc(20mL)で洗浄し、水層を希HCl溶液でpH=5に調節した。混合物をEtOAc(30mLx3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(30mLx3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させて、減圧下で濃縮し、155−3(96mg、69%)を黄色固体として得た。

155−4の合成。155−3(560mg、1.5mmol)のトルエン(7mL)中溶液に、TEA(0.64mL、4.6mmol)およびDPPA(840mg、3.0mmol)を加えた。得られた混合物を室温で2時間撹拌した。LCMSにより反応の完了を確認後、混合物を水(7mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥した。得られた溶液を濃縮して、155−4(510mg、85%)を黄色固体として得て、これをさらに精製することなく次のステップに直接使用した。

155−5の合成。155−4(390mg、1.3mmol)のトルエン(7mL)中溶液を80℃で4時間加熱した。室温に冷却後、TEA(0.55mL、3.9mmol)およびSM0(175mg、0.91mmol)を続けて加えた。得られた混合物を50℃で16時間攪拌した。LCMSにより反応の完了を確認後、混合物をEtOAc(30mL)で希釈した。得られたものを水(20mLx3)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させて、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=20:1)で精製し、155−5(130mg、21%)を黄色固体として得た。

101の合成。155−5(120mg、0.25mmol)のEtOAc(5mL)中懸濁液に、濃HCl(0.1mL)を加えた。混合物を室温で5分間攪拌した後、減圧下で濃縮した。残渣を分取HPLCにより精製し、101(30mg、38%)を白色固体として得た。

実施例3.化合物102の合成

158−1の合成。155−0(2.00g、11.8mmol)および(4−フルオロフェニル)ヒドラジン(1.35g、10.7mmol)のAcOH/H2O(30mL/6mL)中混合物に、NaOAc・3H2O(3.03g、23.3mmol)を加えた。反応混合物をマイクロ波を用いて130℃で30分間撹拌した。室温まで冷却後、氷水を加えた。濾過により沈殿物を集め、Et2OおよびPEの混合物(Et2O:PE=1:1)で洗浄して、158−1(2.00g、75%)を黄色固体として得た。

158−2の合成。撹拌している158−1(1.40g、5.6mmol)のTHF(20mL)中の溶液に、NaH(269mg、6.7mmol)を氷浴下で加えた。この温度で溶液を1時間撹拌した後、ベンジルクロロホルメート(CbzCl;1.14g、6.7mmol)のTHF(8mL)中溶液を滴加した。得られた混合物を室温でさらに2時間撹拌した。LCMSにより反応の完了を確認後、混合物を水(40mL)で希釈した。得られたものをEtOAc(30mLx3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(30mLx3)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥後、減圧下で濃縮し、158−2を粗生成物として得て、これをさらに精製することなく次のステップに直接使用した。

158−3の合成。158−2(粗生成物)およびLiOH・H2O(470mg、11.2mmol)のTHF(30mL)中混合物を60℃で4時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去した。残渣を水(20mL)で希釈し、得られたものをEtOAc(20mL)で洗浄した。水層を2NのHCl溶液でpH=5に調節した。得られた混合物をEtOAc(30mLx3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(30mLx3)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させて、減圧下で濃縮し、155−3(0.90g、2つのステップを合わせて45%)を黄色固体として得た。

158−4の合成。158−3(532mg、1.5mmol)およびTEA(454mg、4.5mmol)のDCE(10mL)中混合物を、室温で20分間撹拌した。次に、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA;825mg、3mmol)を滴加した。混合物を45℃で3時間攪拌した。室温に冷却後、得られた混合物を水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥後、濃縮(40℃未満)し、158−4(600mg)を粗生成物として得て、これをさらに精製することなく次のステップに直接使用した。

158−5の合成。158−4(600mg、1.5mmol)のトルエン(10mL)中溶液を80℃で2時間撹拌した。室温に冷却後、TEA(454mg、4.5mmol)およびSM0(286mg、1.5mmol)を続けて加えた。得られた混合物を50℃で4時間攪拌した。溶媒を除去し、残渣をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=50:1〜5:1)で精製し、185−5(200mg、28%)を黄色固体として得た。

102の合成。158−5(200mg、0.42mmol)およびPd/C(60mg)のMeOH(15mL)中混合物を、H2雰囲気下、室温で一晩撹拌した。その後、Pd/Cをセライトを使った濾過により除去した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣を分取HPLCにより精製し、黄色固体(35mg、25%)として得た。

102の適切に置換したアミン変異体を使って、化合物103を類似の方法で合成した。 化合物103。10mg、7%、白色固体。

実施例4.化合物104の合成

224−1の合成。155−0(20.0g、116.3mmol)のピリジン(400mL)中溶液に、エチルカルボノクロリデート(15.1g、139.5mmol)を氷浴下で滴加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去した。残渣をEtOAc(200mL)に溶解し、得られた溶液を水(30mLx5)で洗浄した。有機層をNa2SO4上で乾燥後、濃縮し、224−1(20.0g、70%)を黄色固体として得た。

224−2の合成。撹拌している224−1(17.0g、69.7mmol)の濃H2SO4(80mL)中の溶液に、濃HNO3(10mL)を氷浴下で加えた。混合物を40℃で48時間攪拌した。室温に冷却後、混合物を氷水(400mL)中に注ぎ込んだ。濾過により沈殿物を集め、乾燥して、224−2(4.80g、24%)を黄色固体として得た。

224−3の合成。224−2(4.80g、16.7mmol)およびKOH(1.87g、33.4mmol)のEtOH/H2O(50mL/50mL)中混合物を95℃で2時間撹拌した。揮発性溶媒を減圧下で除去した。水溶液をEtOAc(20mL)で洗浄した後、2NのHCl溶液でpH=5に調節した。濾過により沈殿物を集め、乾燥して、224−3(2.70g、75%)を黄色固体として得た。

224−4の合成。224−3(1.50g、6.0mmol)、4−フルオロフェニルボロン酸(1.01g、7.2mmol)およびCs2CO3(3.91g、12.0mmol)のジオキサン/H2O(30mL/6mL)中混合物に、N2雰囲気下でPd(PPh3)4(693mg、0.6mmol)を加えた。混合物を95℃で2時間攪拌した後、減圧下で濃縮した。残渣をEtOAc(100mL)に溶解し、得られた溶液をブライン(30mLx3)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させて、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:1〜50:1)で精製し、224−4(1.00g、72%)を黄色固体として得た。

224−5の合成。224−4(233mg、1.0mmol)およびTEA(810mg、8.0mmol)のDCM(15mL)中溶液に、氷浴下でトリホスゲン(330mg、1.1mmol)を加えた。溶液を室温まで暖め、3時間にわたり攪拌を継続した。その後、TEA(200mg、2.0mmol)およびSM1(122mg、1.1mmol)を加えた。反応混合物を、50℃で2時間加熱した。LCMSにより反応の完了を確認後、溶液をDCM(15mL)で希釈し、得られた溶液をブライン(10mLx3)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させて、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:1〜20:1)で精製し、224−5(180mg、49%)を黄色固体として得た。

104の合成。224−5(180mg、0.5mmol)およびPd/C(60mg)のMeOH(5mL)中混合物を、H2雰囲気下、室温で2時間撹拌した。その後、Pd/Cをセライトを使った濾過により除去した。濾液を濃縮した後、残渣をMTBEで再結晶化して104(60mg、36%)を黄色固体として得た。

実施例5.化合物105の合成

323−1の合成。323−0(1.00g、4.6mmol)、4−フルオロフェニルボロン酸(733mg、5.5mmol)およびCs2CO3(3.00g、9.2mmol)のジオキサン/H2O(20mL/4mL)中混合物に、N2雰囲気下でPd(PPh3)4(531mg、0.5mmol)を加えた。混合物を95℃で2時間攪拌した後、減圧下で濃縮した。残渣をEtOAc(60mL)で溶解し、得られた溶液をブライン(20mLx3)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させて、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:1〜50:1)で精製し、323−1(1.00g、93%)を黄色固体として得た。

323−2の合成。323−1(300mg、1.3mmol)およびTEA(1.05g、10.4mmol)のDCM(15mL)中溶液に、氷浴下でトリホスゲン(425mg、1.4mmol)を加えた。溶液を室温まで暖め、3時間にわたり攪拌を継続した。その後、TEA(263mg、2.6mmol)およびピロリジン(102mg、1.4mmol)を加えた。反応混合物を、50℃で2時間加熱した。LCMSにより反応の完了を確認後、溶液をDCM(15mL)で希釈し、得られた溶液をブライン(10mLx3)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させて、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:1〜20:1)で精製し、323−2(130mg、30%)を黄色固体として得た。

105の合成。323−2(130mg、0.4mmol)およびPd/C(50mg)のMeOH(5mL)中混合物を、H2雰囲気下、室温で2時間撹拌した。その後、Pd/Cをセライトを使った濾過により除去した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣を分取HPLCにより精製し、105(25mg、21%)を黄色固体として得た。

105の適切に置換したアミン変異体を使って、化合物108を類似の方法で合成した。 化合物108。15mg、24%、白色固体。

実施例6.化合物106の合成

528−1の合成。323−1(100mg、0.4mmol)のピリジン(3mL)中溶液に、POCl3(91mg,0.6mmol)を氷浴下で滴加した。混合物を室温に暖め、一晩攪拌した。LCMSにより反応の完了を確認後、混合物を氷水(10mL)中に注ぎ込んだ。濾過により沈殿物を集め、乾燥して、528−1(60mg、40%)を黄色固体として得た。

106の合成。528−1(60mg、0.2mmol)およびPd/C(20mg)のMeOH(3mL)中混合物を、H2雰囲気下、室温で2時間撹拌した。Pd/Cをセライトを使った濾過により除去した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣を分取HPLCにより精製し、106(13mg、24%)を白色固体として得た。

実施例7.化合物107の合成

464−1の合成。464−0(2.00g、11.6mmol)、4−フルオロフェニルボロン酸(1.95g、13.9mmol)およびK2CO3(3.20g、23.2mmol)のジオキサン/H2O(40mL/8mL)中混合物に、N2雰囲気下でPd(PPh3)4(1.4g、1.2mmol)を加えた。混合物を95℃で2時間攪拌した後、減圧下で濃縮した。残渣をEtOAc(100mL)で溶解し、得られた溶液をブライン(30mLx3)で洗浄した。有機層をNa2SO4上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:1〜50:1)で精製し、464−1(1.70g、63%)を黄色固体として得た。

501−1の合成。464−1(90mg、0.4mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF;3mL)中溶液に、NaH(32mg,0.8mmol)を氷浴下で加えた。溶液を同じ温度で1時間攪拌後、ピロリジン−1−カルボニルクロリド(67mg,0.5mmol)を加えた。得られた溶液を室温まで暖め、2時間にわたり攪拌を継続した。LCMSにより反応の完了を確認後、反応混合物を氷水(10mL)中に注ぎ込んだ。濾過により沈殿物を集め、乾燥して、501−1(85mg、64%)を黄色固体として得た。

107の合成。501−1(85mg、0.3mmol)およびPd/C(20mg)のMeOH(5mL)中混合物を、H2雰囲気下、室温で2時間撹拌した。Pd/Cをセライトを使った濾過により除去した。濾液を濃縮し、残渣を分取HPLCにより精製し、107(20mg、26%)を白色固体として得た。

107の適切に置換したアミン変異体を使って、化合物111、120を類似の方法で合成した。 化合物111。20mg、28%、白色固体。 化合物120。14mg、38%、黄色固体。

実施例8.化合物109の合成

505−1の合成。464−1(300mg、1.3mmol)のピリジン(5mL)中溶液に、POCl3(297mg,2.0mmol)を氷浴下で滴加した。溶液を室温に暖め、一晩攪拌した。LCMSにより反応の完了を確認後、混合物を氷水(10mL)中に注ぎ込んだ。濾過により沈殿物を集め、乾燥して、505−1(60mg、13%)を黄色固体として得た。

109の合成。505−1(60mg、0.2mmol)およびPd/C(20mg)のMeOH/THF(3mL/3mL)中混合物を、H2雰囲気下、室温で2時間撹拌した。Pd/Cをセライトを使った濾過により除去した。濾液を濃縮し、残渣を分取HPLCにより精製し、109(20mg、31%)を白色固体として得た。

実施例9.化合物110の合成

553−1の合成。553−0(2.00g、11.5mmol)、4−フルオロフェニルボロン酸(1.93mg、13.8mmol)およびK2CO3(3.00g、9.2mmol)のジオキサン(40mL)中混合物に、N2雰囲気下でPd(OAc)2(271mg、1.2mmol)および1,1’−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセン(D−t−BPF;284mg、0.6mmol)を加えた。混合物を100℃で2時間攪拌した後、減圧下で濃縮した。残渣をEtOAc(100mL)で溶解し、得られた溶液をブライン(30mLx3)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させて、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:1〜30:1)で精製し、553−1(500mg、19%)を黄色固体として得た。

553−2の合成。553−1(100mg、0.4mmol)およびTEA(323mg、3.2mmol)のDCM(15mL)中溶液に、氷浴下でトリホスゲン(149mg、0.5mmol)を加えた。溶液を室温に暖め、3時間攪拌した。その後、TEA(81mg、0.8mmol)およびピロリジン(36mg、0.5mmol)を加えた。得られた溶液を50℃で2時間加熱した。反応の完了後、混合物をDCM(15mL)で希釈し、得られた溶液をブライン(10mLx3)で洗浄した。有機層をNa2SO4上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:1〜10:1)で精製し、553−2(60mg、45%)を黄色固体として得た。

110の合成。553−2(60mg、0.2mmol)およびPd/C(20mg)のMeOH(5mL)中混合物を、H2雰囲気下、室温で2時間撹拌した。Pd/Cをセライトを使った濾過により除去した。濾液を濃縮し、残渣をMTBEで再結晶化して110(40mg、73%)を黄色固体として得た。

110の適切に置換したアミン変異体を使って、化合物121を類似の方法で合成した。 化合物121。24mg、43%、黄色固体。

実施例10.化合物112の合成

728−1の合成。728−0(4.65g、35.7mmol)のDMF(30mL)中溶液に、0℃でDCM(20mL)中のNBS(6.36g、35.7mmol)溶液を加えた。得られた溶液を同じ温度で30分間攪拌し、室温に暖め、撹拌を1時間続けた。溶液をEtOAc(100mL)で希釈した。得られた溶液をブライン(30mLx3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥した。合わせた有機層を減圧下で濃縮し、728−1(6.5g、93%)を黄色固体として得た。

728−2の合成。728−1(2.7g、11.5mmol)4−フルオロベンゼンボロン酸(1.93g、13.8mmol)、Cs2CO3(11.2g、34.5mmol)、およびPd(PPh3)4のジオキサン/H2O(45mL/15mL)中混合物を、N2でパージし、95℃で3時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮した。残渣をEtOAc(50mL)で溶解し、得られた溶液をブライン(15mLx3)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させた後、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=10:1〜4:1)で精製し、728−2(2.6g、90%)を黄色固体として得た。

728−3の合成。728−2(1.5g、6.0mmol)、(Boc)2O(2.87g、13.2mmol)、DMAP(732mg、6.0mmol)のTHF(50mL)中混合物を80℃で3時間撹拌した。LCMSにより反応の完了を確認後、混合物を水(150mL)で希釈した。得られた混合物をEtOAc(50mLx3)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させて、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=20:1〜10:1)で精製し、728−3(2.0g、74%)を白色固体として得た。

728−4の合成。728−3(2.0g、4.4mmol)およびPd/C(200mg)のMeOH(30mL)中溶液を、H2雰囲気下、室温で3時間撹拌した。Pd/Cをセライトを使った濾過により除去した。ろ液を濃縮し、728−4(1.5g、81%)を黄色固体として得た。

728−5の合成。728−4(200mg、0.5mmol)、TEA(404mg、4.0mmol)のDCM(10mL)中溶液に、氷浴下でトリホスゲン(169mg、0.6mmol)を加えた。溶液を室温まで暖め、1時間にわたり攪拌を継続した。その後、TEA(202mg、2.0mmol)およびピロリジン(50mg、0.70mmol)を加えた。得られた溶液を50℃で2時間加熱した。室温に冷却後、混合物をDCM(10mL)で希釈した。得られた溶液をブライン(10mLx3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させて、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:1〜20:1)で精製し、728−5(205mg、81%)を灰色固体として得た。

112の合成。728−5(205mg、0.4mmol)のHCl/EA(20mL)中の混合物を、室温で2時間撹拌した。減圧下で溶媒を除去した。残渣を水(3mL)に溶解し、1NのNaOH溶液によりpHを7超に調節した。得られたものをEtOAc(5mLx3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(10mLx3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させて、減圧下で濃縮した。残渣を分取HPLCにより精製し、112(90mg、71%)を白色固体として得た。

適切にフェニル置換した112の誘導体を使って、類似の方法により化合物113および117を合成した。 化合物113。130mg、45%、白色固体。 化合物117。70mg、86%、白色固体。

実施例11.化合物115の合成

732−0の合成。SM2(230mg、1.8mmol)および触媒量のDMFのTHF(15mL)中溶液に、(COCl)2(0.2mL、2.7mmol)を氷浴下で滴加した。得られた混合物を室温で1時間撹拌後、減圧下濃縮して、732−0(240mg、90%)を黄色油として得て、これをさらに精製することなく次のステップに直接使用した。

732−1の合成。153−2(300mg、1.2mmol)のDMF(12mL)中溶液に、氷浴下でNaH(144mg、3.6mmol)を加えた。混合物を室温に温め、撹拌を30分間続けた。0℃に冷却後、732−0(265mg、1.8mmol)のDMF(6mL)中溶液を滴加した。その後、得られた混合物を室温に暖め、さらに3時間攪拌した。LCMSにより反応の完了を確認後、混合物を氷水(50mL)中に加えた。得られたものをEtOAc(30mLx3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20mLx3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させて、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=10:1〜5:1)で精製し、732−1(360mg、83%)を黄色固体として得た。

115の合成。732−1(360mg、1.0mmol)およびPd/C(72mg)のMeOH/THF(25mL/5mL)中混合物を、H2雰囲気下、室温で2時間撹拌した。Pd/Cをセライトを使った濾過により除去した。濾液を濃縮し、残渣を分取HPLCにより精製し、115(190mg、57%)を白色固体として得た。

適切にフェニル置換した115の誘導体を使って、類似の方法により化合物118を合成した。 化合物118。72mg、52%、白色固体。

実施例12.化合物122の合成

156−1の合成。ニトロメタン(4.67g、77.0mmol)のDMF(50mL)中溶液に、DMF−DMA(6.72g、92.0mmol)を加えた。混合物を45℃で45分間撹拌した。次に、混合物を室温に冷却し、EtOAc(100mL)中に注ぎ込んだ。得られたものを水(50mLx3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥、減圧下濃縮して、156−1(3.50g、39%)を黄色油として得て、これをさらに精製することなく次のステップに直接使用した。

156−2の合成。NaNO2(7.24g,105mmol)のH2O(15mL)中の0℃に冷却した溶液を、アニリン(9.3g、100mmol)、H2O(100mL)および濃HCl(23mL)の混合物に、激しく撹拌しながら、ゆっくり加えた。調製したジアゾ溶液を、エチル2−クロロ−3−オキソブタノエート(16.4g、100mmol)および酢酸ナトリウム(12.3g、150mmol)の最小限の量の水を含む10mLのエタノール中溶液に、0〜5℃で滴加した。反応混合物を1時間継続して撹拌した。得られ沈殿物を濾別し、水で洗浄し、開放空気中で乾燥して、156−2(11.3g、50%)を黄色固体として得て、これをさらに精製することなく次のステップに直接使用した。

156−3の合成。156−1(2.17g、19.0mmol)および156−2(8.48g、37mmol)のCHCl3(110mL)中の撹拌混合物に、TEA(3.79g、37mmol)を加えた。得られた混合物を24時間加熱還流した後、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(PE:EA=10:1)で精製し、156−3(3.7g、76%)を褐色固体として得た。

156−4の合成。156−3(1.85g、7.1mmol)のTHF(33mL)中溶液に、LiOH・H2O(893mg、21mmol)の水(11mL)中溶液を氷浴下で滴加した。その後、MeOH(11mL)を添加した。混合物を室温で3時間撹拌した。揮発性溶媒を減圧下で除去し、水層を2NのHCl溶液でpH=4に調節した。得られたものをEtOAc(30mLx3)で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4上で乾燥させて、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=50:1〜15:1)で精製し、156−4(780mg、48%)を褐色固体として得た。

156−5の合成。156−4(400mg、1.7mmol)およびTEA(0.45mL、3.3mmol)のアセトン(13mL)中溶液に、エチルカルボノクロリデート(370mg、3.4mmol)を氷浴下で滴加した。混合物をこの温度で30分間撹拌した。次に、NaN3(212mg、3.3mmol)のH2O(1mL)中溶液を滴加し、反応混合物を0℃で2時間撹拌した。LCMSにより反応の完了を確認後、溶媒を減圧下で除去し、残渣をDCM(30mL)で希釈した。得られた混合物を水(20mL)で洗浄した。有機層をNa2SO4上で乾燥し、濃縮して、156−5(370mg、83%)を褐色固体として得て、これをさらに精製することなく次のステップに直接使用した。

156−5aの合成。156−5(580mg、2.2mmol)、t−BuOH(20mL)およびジオキサン(5mL)の混合物を90℃で2時間撹拌した。その後、減圧下で溶媒を除去し、156−5a(530mg、77%)を黄色固体として得た。

156−5bの合成。156−5a(680mg、2.2mmol)のDCM(17mL)中溶液に、TFA(3.3mL、45mmol)を氷浴下で滴加した。混合物を室温で3時間攪拌し、溶媒を減圧下で除去した。残渣をヘキサン/EA/DCM(75mL/15mL/10mL)で希釈した。形成された沈殿物を濾過し、上記溶媒混合液で洗浄して、黄色固体を得た。固形物をDCM(20mL)で希釈し、混合物をTEAを使ってpH=8に調節した。得られたものを水(20mL)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥し、濃縮して、156−5b(410mg、90%)を黄色固体として得た。

156−6の合成。156−5b(300mg、1.5mmol)およびTEA(1.65mL、12.0mmol)のDCM(18mL)中溶液に、氷浴下でトリホスゲン(480mg、1.6mmol)を続けて加えた。混合物を35℃で3時間攪拌した。0℃に冷却後、SM−0(312mg、1.6mmol)およびTEA(0.8mL、5.9mmol)のDMF(6mL)中溶液を滴加した。得られた混合物を50℃に加熱し、さらに2時間撹拌した。室温に冷却後、混合物をDCM(10mL)で希釈した。得られたものを水(10mLx3)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させた後、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:1〜20:1)で精製し、156−6(230mg、45%)を黄色固体として得た。

122(T−156)の合成。156−6(230mg、0.67mmol)およびPd/C(45mg)のMeOH(15mL)中混合物を、H2雰囲気下、室温で4時間撹拌した。Pd/Cをセライトを使った濾過により除去した。濾液を濃縮し、残渣を分取HPLCにより精製し、122(T156)(25mg、12%)を白色固体として得た。

実施例13.化合物143の合成

143−Aの合成。tert−ブチル5−オキソヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート(1.00g、4.7mmol)のDCM(10mL)中溶液に、TFA(10.8g、47.4mmol)を滴加した。その後、溶液を室温で1時間攪拌した。溶液を減圧下で濃縮し、1450−A(0.99g、94%)を無色の油として得た。

143−Bの合成。6−クロロ−3−ニトロピリジン−2−アミン(10.0g、57.6mmol)、4−フルオロフェニルボロン酸(8.87g、63.4mmol)およびCs2CO3(37.56g、115.2mmol)のジオキサン/H2O(200mL/20mL)中混合物に、N2雰囲気下でPd(PPh3)4(2.44g、2.9mmol)を加えた。混合物を95℃で2時間攪拌した後、減圧下で濃縮した。残渣をEtOAc(200mL)で溶解し、溶液をブライン(100mLx3)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させた後、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=5:1〜3:1)で精製し、143−B(11.2g、83%)を黄色固体として得た。

143−Cの合成。撹拌している143−B(3.0g、13.0mmol)のピリジン(60mL)中溶液に、フェニルカルボノクロリデート(4.45g、28.5mmol)を滴加した。添加完了後、混合物を50℃に4時間加熱した。混合物を減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=8:1〜3:1)で精製し、143−C(5.2g、84%)を黄色固体として得た。

143−Dの合成。143−A(0.99g、4.2mmol)および143−C(0.9g、1.9mmol)のアセトニトリル(20mL)中混合物を、50℃で30分間撹拌した後、Na2CO3(1.82g、19.0mmol)を上記混合物に加え、50℃で2時間撹拌した。混合物を室温まで冷却した。Na2CO3を濾過により除去し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=50:1〜10:1)で精製し、143−D(1.47g、91%)を黄色固体として得た。

143−Eの合成。143−D(150mg、0.39mmol)およびアゼチジン塩酸塩(73mg、0.78mmol)のDCE(5mL)中混合物に、酢酸(1滴)を加え、50℃で2時間撹拌した後、NaBH(OAc)3(165mg、0.78mmol)を上記混合物に加えた。その後、混合物を50℃で2時間撹拌した。混合物を室温まで冷却した。混合物を水(15mL)で希釈し、DCM(10mLx3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(10mLx3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させた後、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:1〜20:1)で精製し、143−E(80mg、48%)を黄色固体として得た。

143の合成。143−E(80mg、0.19mmol)およびPd/C(80mg)のMeOH(5mL)中混合物を、H2雰囲気下、室温で30分間撹拌した。Pd/Cをセライトを使った濾過により除去した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣を分取TLC(DCM:MeOH=10:1)により精製して、143(40mg、53%)を淡黄色固体として得た。

143の適切に置換したアミン変異体を使って、化合物172、179、181、237および238を類似の方法で合成した。 化合物172。100mg、60%、白色固体。 化合物179。60mg、43%、白色固体。 化合物181。18mg、19%、白色固体。 化合物188。40mg、41%、白色固体。 化合物237。8mg、45%、淡黄色固体。 化合物248。30mg、54%、淡黄色固体。

フラン−2−イルボロン酸および143の適切に置換したアミン変異体を使って、化合物189を類似の方法で合成した。 化合物189。27mg、19%、黄色固体。

フェニルボロン酸および143の適切に置換したアミン変異体を使って、化合物191を類似の方法で合成した。 化合物191。80mg、67%、黄色固体。

実施例14.化合物123の合成

123−Aの合成。4−ニトロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(8.00g、50.1mmol)のMeOH(160mL)中溶液に、SOCl2(11.92g、100.2mmol)を氷浴下で滴加した。次に、溶液を室温で一晩攪拌した。溶液を減圧下で濃縮し、123−A(8.70g、84%)を白色固体として得た。

123−Bの合成。123−A(6.10g、29.4mmol)、4−フルオロフェニルボロン酸(5.43g、38.8mmol)、ピリジン(9.29g、117.6mmol)および酢酸銅(II)(8.03g、44.1mmol)のDCM(120mL)中混合物を、室温で一晩撹拌した。残留物をDCM(100mL)で希釈し、溶液をブライン(40mLx3)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させた後、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=50:1〜10:1)で精製し、123−B(4.80g、62%)を黄色固体として得た。

123−Cの合成。123−B(4.80g、18.1mmol)およびKOH(1.01g、18.1mmol)のTHF/H2O(40mL/5mL)中混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を減圧下で除去した。残渣を水(20mL)で溶解後、希塩酸溶液でpH=3に調節した。濾過により沈殿物を集め、乾燥して、123−B(4.00g、88%)を白色固体として得た。

123−Dの合成。123−C(3.50g、13.9mmol)、DPPA(7.65g、27.8mmol)、TEA(7.02g、69.5mmol)およびt−BuOH(20.57g、278.0mmol)のジオキサン(70mL)中混合物を、N2雰囲気下で4時間加熱還流した。溶媒を減圧下で除去した。残渣をEtOAc(100mL)で溶解し、溶液をブライン(40mLx3)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させた後、減圧下で濃縮して、123−Dを粗生成物として得た。

123−Eの合成。123−D(前のステップの粗生成物)のDCM(14mL)中溶液に、TFA(7mL)を氷浴下で滴加した。その後、溶液を室温で3時間攪拌した。溶媒を減圧下で除去した。残渣をDCM(20mL)で溶解後、NaOH(1N)溶液で10超のpHに調節した。混合物をDCM(50mLx3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(50mLx3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させた後、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:1〜30:1)で精製し、123−E(2.30g、65%(2つのステップ合わせて))を黄色固体として得た。

123−Fの合成。123−E(222mg、1.0mmol)およびTEA(808mg、8.0mmol)のDCM(8mL)中溶液に、氷浴下でトリホスゲン(297mg、1.0mmol)を加えた。溶液を室温まで暖め、3時間にわたり攪拌を継続した。その後、TFA(200mg、2.0mmol)およびSM5(234mg、1.0mmol)のDCM(4mL)中溶液を加えた。反応混合物を、50℃で2時間加熱した。LCMSにより反応の完了を確認後、溶液をDCM(15mL)で希釈し、得られた溶液をブライン(10mLx3)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させて、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:1〜10:1)で精製し、123−F(200mg、41%)を黄色固体として得た。

123の合成。123−F(120mg、0.25mmol)およびPd/C(30mg)のEtOAc/MeOH(8mL/2mL)中混合物を、H2雰囲気下、室温で1時間撹拌した。その後、Pd/Cをセライトを使った濾過により除去した。濾液を濃縮し、残渣を分取TLC(DCM:MeOH=10:1)により精製し、123(40mg、36%)を白色固体として得た。

123の適切に置換したアミン変異体を使って、化合物124、125、130、131、132、133、134、135、136、137および140を類似の方法で合成した。 化合物124。85mg、49%、黄色固体。 化合物125。53mg、32%、白色固体。 化合物130。45mg、23%、黄色固体。 化合物131。18mg、10%、黄色固体。 化合物132。40mg、22%、黄色固体。 化合物133。70mg、33%、白色固体。 化合物134。70mg、38%、白色固体。 化合物136。50mg、31%、黄色固体。 化合物137。35mg、25%、灰色固体。 化合物140。60mg、37%、灰色固体。

フェニルボロン酸および123の適切に置換したアミン変異体を使って、化合物128、129および142を類似の方法で合成した。 化合物128。56mg、50%、白色固体。 化合物129。62mg、52%、白色固体。 化合物142。48mg、23%、白色固体。

4−(ジフルオロメトキシ)フェニルボロン酸および123の適切に置換したアミン変異体を使って、化合物139を類似の方法で合成した。 化合物139。11mg、9%、灰色固体。

実施例15.化合物135の合成

135−Aの合成。123−E(300mg、1.35mmol)のピリジン(6mL)中溶液に、POCl3(1.04g,6.75mmol)を氷浴下で滴加した。混合物を室温に暖め、1時間攪拌した。LCMSにより反応の完了を確認後、混合物を氷水(10mL)中に注ぎ込んだ。濾過により沈殿物を集め、乾燥して、135−A(200mg、44%)を黄色固体として得た。

135の合成。242−5(200mg、0.6mmol)およびPd/C(50mg)のEtOAc(10mL)中混合物を、H2雰囲気下、室温で2時間撹拌した。Pd/Cをセライトを使った濾過により除去した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣を分取HPLCにより精製し、135(70mg、38%)を白色固体として得た。

フェニルボロン酸および135の適切に置換したアミン変異体を使って、化合物126および141を類似の方法で合成した。 化合物126。54mg、45%、白色固体。 化合物141。47mg、17%、黄色固体。

実施例16.化合物138の合成

138−Aの合成。メトキシメチルトリフェニルホスホニウムクロリド(1.03g、3.0mmol)のTHF(15mL)溶液にカリウムヘキサメチルジシラン(1.8mL、1.7Mトルエン溶液)を0℃で滴加した。得られた混合物を50℃で2時間攪拌した。その後、143−D(576mg、1.50mmol)のTHF(5mL)溶液を上記混合物に滴加した。混合物を50℃で24時間撹拌した。混合物を室温まで冷却した。混合物を水(15mL)で希釈し、EtOAc(10mLx3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(10mLx3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させた後、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=50:1〜20:1)で精製し、138−A(200mg、32%)を黄色固体として得た。

138−Bの合成。138−A(200mg、0.49mmol)のTHF(4mL)溶液に、1NのHCl(2.5mL)を滴加した。その後、溶液を室温で16時間攪拌した。溶液を減圧下で濃縮し、138−Bを次のステップに直接使用する粗生成物として得た。

138−Cの合成。138−B(前のステップからの粗生成物)およびピロリジン(105mg、1.47mmol)のDCE(5mL)中混合物に、酢酸(1滴)を加え、50℃で1時間撹拌した後、NaBH(OAc)3(312mg、1.47mmol)を上記混合物に加えた。その後、混合物を50℃で2時間撹拌した。混合物を室温まで冷却した。混合物を水(15mL)で希釈し、DCM(10mLx3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(10mLx3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥した後、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=50:1〜10:1)で精製し、138−C(50mg、23%(2つのステップを合わせて))を黄色固体として得た。

138の合成。138−C(50mg、0.11mmol)およびPd/C(50mg)のMeOH(4mL)中混合物を、H2雰囲気下、室温で30分間撹拌した。Pd/Cをセライトを使った濾過により除去した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣を分取TLC(DCM:MeOH=8:1)により精製して、138(15mg、32%)を淡黄色固体として得た。

実施例17.化合物146の合成

146−Aの合成。1−(ブロモメチル)−4−ヨードベンゼン(2.50g、8.4mmol)、ジメチルアミン塩酸塩(1.37g、16.8mmol)およびK2CO3(1.60g、33.6mmol)のTHF(50mL)中混合物を室温で12時間撹拌した。混合物をDCM(100mL)で希釈し、ブライン(40mLx3)で洗浄した。合わせた有機層をブライン(30mLx3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させた後、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=5:1〜2:1)で精製し、146−A(1.70g、77%)を黄色油として得た。

146−Bの合成。Zn(628mg、9.6mmol)のTHF(3mL)中混合物に、1,2−ジブロモエタン(181mg、0.96mmol)をN2下、室温で添加した。混合物を65℃に加熱し、10分間撹拌した。室温に冷却後、TMSCl(104mg、0.96mmol)を滴加した。混合物を室温で30分間攪拌した。Zn粉末が暗色でねばねばになった。tert−ブチル 3−ヨードアゼチジン−1−カルボキシレート(1.70g、6.0mmol)のTHF(3mL)中溶液を、1時間かけて滴加したが、明確なZn粉末消費は観察されなかった。混合物を65℃に加熱して10分間撹拌し、混合物が濁った。25℃まで冷却後、混合物を1時間攪拌した。大部分のZnが消費されて、146−Bを得た(次のステップで直接使用した)。

146−Cの合成。146−Bの溶液にPd2(dba)3(34.5mg、0.06mmol)およびトリ−2−フリルホスフィン(56mg、0.24mmol)を加え、続けて、THF(3mL)中の146−A(943mg、3.6mmol)を加えた。混合物を65℃で16時間攪拌した後、減圧下で濃縮した。残渣をDCM(50mL)で溶解し、溶液をブライン(20mLx3)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させた後、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:1〜20:1)で精製し、146−C(200mg、20%)を黄色固体として得た。

146−Dの合成。146−C(200mg、0.69mmol)のDCM(5mL)中溶液に、TFA(2mL)を加え、室温で1時間撹拌し、この時点で、LCMSは反応が終了したことを示した。溶媒を減圧下で除去し、146−Dを次のステップに直接使用する粗生成物として得た。

146−Eの合成。143−C(160mg、0.35mmol)および146−E(前のステップの粗生成物)のアセトニトリル(5mL)中混合物を、50℃で30分間撹拌した。その後、Na2CO3(370mg、2.5mmol)を上記混合物に加え、50℃で3時間撹拌した。LCMSにより反応の完了を確認後、混合物を室温に冷却した。Na2CO3を濾過により除去した。濾液を減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:1〜50:1)で精製し、146−E(50mg、35%)を黄色固体として得た。

146の合成。146−E(50mg、0.11mmol)およびNi(50mg)のMeOH(5mL)中混合物を、H2雰囲気下、室温で1時間撹拌した。その後、Niをセライトを使った濾過により除去した。濾液を濃縮し、残渣を分取TLCにより精製し、146(12mg、26%)を黄色固体として得た。

170の合成。146−E(40mg、0.09mmol)およびPd/C(40mg)のMeOH(5mL)中混合物を、H2雰囲気下、室温で1時間撹拌した。その後、Pd/Cをセライトを使った濾過により除去した。濾液を濃縮し、残渣を分取TLC(DCM:MeOH=10:1)により精製し、170(12mg、48%)を黄色固体として得た。

実施例18.化合物147の合成

147−Aの合成。6−クロロ−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]ピリジン(2.00g、12.98mmol)およびジ−tert−ブチルジカルボネート(4.24g、19.48mmol)のDCM(40mL)中溶液に、DIEA(3.34g、25.96mmol)を滴加した。混合物を室温で1時間撹拌した。TLCで反応の完了を確認後、混合物をDCM(20mL)で希釈し、ブライン(20mLx3)で洗浄した。合わせた有機成分をブライン(20mLx3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させた後、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=2:1)で精製し、147−A(2.10g、66%)を白色固体として得た。

147−Bの合成。147−A(600mg、2.4mmol)、アゼチジン塩酸塩(659mg、7.08mmol)、t−BuONa(680mg、7.08mmol)、Pd2(dba)3(216mg、0.24mmol)およびXPhos(225mg、0.47mmol)のトルエン(12mL)中混合物をアルゴン下、80℃で12時間攪拌した。混合物をEtOAc(30mL)で希釈し、溶液をブライン(40mLx3)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させた後、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=50:1〜10:1)で精製し、147−B(500mg、77%)を黄色固体として得た。

147−Cの合成。147−B(250mg、0.91mmol)のDCM(5mL)中溶液に、TFA(2mL)を加え、室温で1時間撹拌し、この時点で、LCMSは反応が終了したことを示した。溶媒を減圧下で除去し、147−Cを粗生成物(次のステップに直接使用する)として得た。

147−Dの合成。143−C(150mg、0.34mmol)および147−C(前のステップの粗生成物)のアセトニトリル(5mL)中混合物を、50℃で30分間撹拌した。その後、Na2CO3(230mg、2.40mmol)を上記混合物に加え、50℃で3時間撹拌した。LCMSにより反応の完了を確認後、混合物を室温に冷却した。Na2CO3を濾過により除去した。濾液を減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:1〜50:1)で精製し、147−D(80mg、58%)を黄色固体として得た。

147の合成。147−D(80mg、0.18mmol)およびPd/C(80mg)のMeOH(3mL)中混合物を、H2雰囲気下、室温で1時間撹拌した。その後、Pd/Cをセライトを使った濾過により除去した。濾液を濃縮し、残渣を分取TLC(DCM:MeOH=15:1)により精製し、147(30mg、41%)を黄色固体として得た。

147の適切に置換したアミン変異体を使って、化合物150、157、158、159、160、254、260を類似の方法で合成した。 化合物150。50mg、67%、黄色固体。 化合物157。15mg、16%、黄色固体。 化合物158。12mg、13%、黄色固体。 化合物159。80mg、57%、黄色固体。 化合物160。60mg、43%、黄色固体。 化合物249。20mg、25%、白色固体。 化合物254。53mg、57%、黄色固体。

実施例19.化合物148の合成

148−Aの合成。147−A(600mg、2.36mmol)、SM−B(825mg、3.54mmol)およびK2CO3(980mg、7.08mmol)のジオキサン/H2O(15mL/1.5mL)中混合物に、N2雰囲気下でPd(PPh3)4(96mg、0.12mmol)を加えた。混合物を95℃で5時間攪拌した後、減圧下で濃縮した。残渣をEtOAc(20mL)で溶解し、溶液をブライン(20mLx3)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させた後、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=5:1〜2:1)で精製し、148−A(285mg、40%)を黄色固体として得た。

148−Bの合成。148−A(280mg、0.88mmol)のDCM(5mL)中溶液に、TFA(2mL)を加え、室温で1時間撹拌し、この時点で、LCMSは反応が終了したことを示した。溶媒を減圧下で除去し、148−Bを粗生成物(次のステップに直接使用する)として得た。

148−Cの合成。143−C(208mg、0.44mmol)および148−A(前のステップからの粗生成物)のアセトニトリル(5mL)中混合物を、50℃で30分間撹拌した。その後、Na2CO3(140mg、1.32mmol)を上記混合物に加え、50℃で3時間撹拌した。LCMSにより反応の完了を確認後、混合物を室温に冷却した。Na2CO3を濾過により除去した。濾液を減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:1〜50:1)で精製し、148−C(160mg、38%)を黄色固体として得た。

148の合成。1422−4(80mg、0.16mmol)およびPd/C(80mg)のMeOH(5mL)中混合物を、H2雰囲気下、室温で30分間撹拌した。その後、Pd/Cをセライトを使った濾過により除去した。濾液を濃縮し、残渣を分取TLC(DCM:MeOH=15:1)により精製し、148(30mg、40%)を白色固体として得た。

148の適切に置換したアミン変異体を使って、化合物149、240、250、251、252、253、および255を類似の方法で合成した。 化合物149。30mg、40%、白色固体。 化合物240。14mg、29%、白色固体。 化合物250。28mg、29%、黄色固体。 化合物251。43mg、31%、黄色固体。 化合物252。130mg、76%、黄色固体。 化合物253。40mg、43%、黄色固体。 化合物255。10mg、32%、白色固体。

実施例20.化合物151の合成

151−Aの合成。147−A(320mg、1.38mmol)、トリメチルボロキシン(522mg、4.14mmol)およびK2CO3(952mg、6.9mmol)のジオキサン(15mL)中混合物に、N2雰囲気下でPd(dppf)2Cl2(57mg、0.07mmol)を加えた。混合物を95℃で24時間攪拌した後、減圧下で濃縮した。残渣をEtOAc(20mL)で溶解し、溶液をブライン(20mLx3)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させた後、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=5:1〜2:1)で精製し、151−A(160mg、50%)を白色固体として得た。

151−Bの合成。151−A(160mg、0.68mmol)のDCM(5mL)中溶液に、TFA(2mL)を加え、室温で1時間撹拌し、この時点で、LCMSは反応が終了したことを示した。溶媒を減圧下で除去し、151−Bを次のステップに直接使用する粗生成物として得た。

151−Cの合成。143−C(215mg、0.45mmol)および151−B(前のステップからの粗生成物)のDMSO(5mL)中混合物を、室温で10分間撹拌した。その後、Na2CO3(382mg、3.6mmol)を上記混合物に加え、室温で2時間撹拌した。LCMSにより反応の完了を確認後、混合物を水(30mL)で希釈し、EtOAc(10mLx3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(10mLx3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥した後、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:1〜50:1)で精製し、151−C(160mg、90%)を黄色固体として得た。

151の合成。151−C(160mg、0.41mmol)およびPd/C(160mg)のMeOH(5mL)中混合物を、H2雰囲気下、室温で30分間撹拌した。その後、Pd/Cをセライトを使った濾過により除去した。濾液を濃縮し、残渣を分取TLC(DCM:MeOH=10:1)により精製し、151(103mg、69%)を白色固体として得た。

実施例21.化合物153の合成

153−Aの合成。4−クロロピリジン−3−アミン(30.0g、234.4mmol)およびTEA(47.3g、468.8mmol)のTHF(600mL)中混合物に、2−クロロ−2−オキソアセテート(30.0g、246.2mmol)を氷浴下で滴加した。この溶液を室温で2時間攪拌した。反応混合物を水(100mL)で希釈後、EtOAc(100mLx3)で抽出した。合わせた有機成分をブライン(100mLx3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させた後、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=10:1〜5:1)で精製し、153−A(31.0g、62%)を白色固体として得た。

153−Bの合成。153−A(15.0g、70.1mmol)およびローソン試薬(19.8g、49.1mmol)のトルエン(300mL)中混合物を室温で一晩加熱還流させた。反応混合物を水(100mL)で希釈後、EtOAc(100mLx3)で抽出した。合わせた有機成分をブライン(100mLx3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させた後、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=10:1〜3:1)で精製し、153−B(2.0g、15%)を黄色固体として得た。

153−Cの合成。153−B(2.0g、10.3mmol)およびPtO2(400mg)の酢酸(100mL)中混合物を、5MPaのH2雰囲気下、70℃で一晩撹拌した。その後、PtO2をセライトを使った濾過により除去した。濾液を濃縮し、残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=50:1〜20:1)で精製し、153−C(820mg、40%)を白色固体として得た。

153−Dの合成。153−C(360mg、1.82mmol)ならびにホルムアルデヒド溶液(37%w/w、0.7mL)および酢酸(2滴)のMeOH(10mL)中混合物を、40℃で1時間撹拌した後、NaBH(OAc)3(772mg、3.64mmol)を上記混合物に加えた。反応混合物を40℃で2時間攪拌した。溶液を室温に冷却した。溶液を水(10mL)で希釈し、EtOAc(10mLx3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(10mLx3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥した後、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=50:1〜20:1)で精製し、153−D(350mg、91%)を白色固体として得た。

153−Eの合成。153−D(350mg、1.65mmol)およびLiOH・H2O(139mg、3.30mmol)のMeOH/H2O(10mL/4mL)中混合物を、室温で一晩撹拌した。LCMSにより反応の完了を確認後、MeOHを減圧下で除去した。水性成分を1NのHClでpH=6に調節した。その後、溶液を濃縮乾固して、196−Dを白色固体として得て、これをさらに精製することなく次のステップに直接使用した。

154−Fの合成。CDI(161mg、0.99mmol)のDMF(5mL)中溶液に、154−E(0.83mmol、前のステップからの粗生成物)を少しずつ分けて添加し、溶液を室温で1時間撹拌して、溶液Aを得た。同時に、143−B(193mg、0.83mmol)のDMF(5mL)中溶液に、NaH(鉱物油中の60%)(66mg、1.65mmol)を少しずつ分けて添加し、混合物を室温で1時間撹拌して、溶液Bを得た。次に、溶液Aを溶液Bに滴加し、得られた混合物の撹拌を室温で1時間継続した。LCMSにより反応の完了を確認後、混合物を水(10mL)中に注ぎ込んだ。濾過により沈殿物を集め、濃縮乾固して、154−F(150mg、44%)を黄色固体として得た。

153の合成。169−C(150mg、0.36mmol)およびPd/C(150mg)のEtOAc(5mL)中混合物を、H2雰囲気下、室温で30分間撹拌した。その後、Pd/Cをセライトを使った濾過により除去した。濾液を濃縮し、残渣を分取TLC(DCM:MeOH=8:1)により精製し、153(100mg、70%)を白色固体として得た。

153の適切に置換したハロゲン変異体を使って、化合物165を類似の方法で合成した。 化合物165。80mg、57%、黄色固体。

フラン−2−イルボロン酸および153の適切に置換したハロゲン変異体を使って、化合物163を類似の方法で合成した。 化合物163。35mg、38%、白色固体。

ピリジン−3−イルボロン酸および153の適切に置換したハロゲン変異体を使って、化合物164を類似の方法で合成した。 化合物164。10mg、14%、黄色固体。

実施例22.化合物155の合成

155−Aの合成。カリウム(ブロモメチル)トリフルオロボレート(1.00g、4.98mmol)およびピロリジン(371mg、5.23mmol)のTHF(10mL)中混合物を80℃で4時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去した。残渣をアセトン中に溶解させ、溶液を濾過してKClを除去した。濾液を減圧下で濃縮し、最小限の量の熱アセトン(10mL)に溶解し、Et2O(5mL)の滴加により沈殿させた。追加のEt2O(150mL)を加え、濾過を容易にして、155−A(750mg、98%)を白色固体として得た。

155−Bの合成。155−A(750mg、4.9mmol)、SM−A(500mg、4.67mmol)、Cs2CO3(4.56mg、14.0mmol)、Pd(OAc)2(52mg、0.23mmol)およびXPhos(224mg、0.47mmol)のTHF/H2O(20mL/2mL)中混合物をアルゴン下、80℃で12時間攪拌した。混合物を室温に冷却し、H2O(50mL)で希釈した。混合物をEtOAc(20mLx3)で抽出した。合わせた有機成分をブライン(20mLx3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させた後、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=8:1〜3:1)で精製し、155−B(700mg、47%)を黄色固体として得た。

155−Cの合成。155−B(350mg、1.15mmol)のDCM(8mL)中溶液に、TFA(4mL)を加え、室温で1時間撹拌し、この時点で、LCMSは反応が終了したことを示した。溶媒を減圧下で除去し、155−Cを次のステップに直接使用する粗生成物として得た。

155−Dの合成。143−C(200mg、0.42mmol)および155−C(前のステップの粗生成物)のアセトニトリル(5mL)中混合物を、50℃で30分間撹拌した。その後、Na2CO3(356mg、3.36mmol)を上記混合物に加え、50℃で3時間撹拌した。LCMSにより反応の完了を確認後、混合物を室温に冷却した。Na2CO3を濾過により除去した。濾液を減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:1〜50:1)で精製し、155−D(180mg、93%)を黄色固体として得た。

155の合成。155−D(180mg、0.39mmol)およびPd/C(180mg)のMeOH(5mL)中混合物を、H2雰囲気下、室温で1時間撹拌した。Pd/Cをセライトを使った濾過により除去した。濾液を濃縮し、残渣を分取TLC(DCM:MeOH=8:1)により精製し、155(125mg、74%)を黄色固体として得た。

155のチオフェン−2−イルボロン酸変異体を使って、化合物144を類似の方法で合成した。 化合物144。80mg、60%、黄色固体。

実施例23.化合物156の合成

156−Aの合成。6−クロロ−3−ニトロピリジン−2−アミン(10.00g、57.6mmol)、チオフェン−2−イルボロン酸(8.12g、63.4mmol)およびCs2CO3(37.56g、115.2mmol)のジオキサン/H2O(200mL/20mL)中混合物に、N2雰囲気下でPd(PPh3)4(2.44g、2.88mmol)を加えた。混合物を95℃で2時間攪拌した後、減圧下で濃縮した。残渣をEtOAc(200mL)で溶解し、溶液をブライン(100mLx3)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させた後、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=5:1〜3:1)で精製し、156−A(10.0g、79%)を黄色固体として得た。

156−Bの合成。撹拌している156−A(1.30g、5.88mmol)のピリジン(20mL)中溶液に、フェニルカルボノクロリデート(2.29g、14.7mmol)を滴加した。添加完了後、混合物を50℃に4時間加熱した。混合物を減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=8:1〜3:1)で精製し、156−B(2.4g、89%)を黄色固体として得た。

156−Cの合成。156−B(300mg、0.65mmol)および143−C(190mg、0.98mmol)のDMSO(10mL)中混合物を、室温で10分間撹拌した後、Na2CO3(312mg、3.25mmol)を上記混合物に加え、室温で2時間撹拌した。混合物を水(30mL)で希釈し、EtOAc(10mLx3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(10mLx3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥した後、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:1〜20:1)で精製し、156−C(200mg、84%)を黄色固体として得た。

143の合成。143−E(200mg、0.54mmol)およびPd/C(200mg)のMeOH(5mL)中混合物を、H2雰囲気下、室温で30分間撹拌した。Pd/Cをセライトを使った濾過により除去した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣を分取TLC(DCM:MeOH=10:1)により精製して、156(118mg、65%)を淡黄色固体として得た。

4−メトキシフェニルボロン酸および156の適切に置換したアミン変異体を使って、化合物173、187を類似の方法で合成した。 化合物173。6mg、7%、黄色固体。 化合物187。85mg、71%、黄色固体。

4−フルオロフェニルボロン酸および156の適切に置換したアミン変異体を使って、化合物186、224、229、238、259および260を類似の方法で合成した。 化合物186。35mg、37%、白色固体。 化合物224。40mg、26%、黄色固体。 化合物225。25mg、13%、白色固体。 化合物229。12mg、43%、白色固体。 化合物238。70mg、50%、黄色固体。 化合物259。20mg、20%、赤色固体。 化合物260。50mg、54%、黄色固体。

フェニルボロン酸および156の適切に置換したアミン変異体を使って、化合物197および212を類似の方法で合成した。 化合物197。16mg、43%、黄色固体。 化合物212。80mg、87%、白色固体。

ピリジン−3−イルボロン酸および156の適切に置換したアミン変異体を使って、化合物214、216、218および221を類似の方法で合成した。 化合物171。15mg、25%、黄色固体。 化合物214。7mg、10%、黄色固体。 化合物216。30mg、41%、黄色固体。 化合物217。25mg、22%、黄色固体。 化合物218。30mg、33%、黄色固体。 化合物220。20mg、16%、黄色固体。 化合物221。165mg、66%、白色固体。

4−(ジフルオロメトキシ)フェニルボロン酸および156の適切に置換したアミン変異体を使って、化合物228、230および232を類似の方法で合成した。 化合物228。25mg、21%、黄色固体。 化合物230。20mg、71%、白色固体。 化合物232。70mg、51%、白色固体。

1−メチル−1H−ピラゾール−4−イルボロン酸および156の適切に置換したアミン変異体を使って、化合物231を類似の方法で合成した。 化合物231。35mg、28%、黄色固体。

実施例24.化合物167の合成

167−Aの合成。6−クロロ−3−ニトロピリジン−2−アミン(6.00g、34.6mmol)、1H−ピラゾール(7.06g、103.76mmol)およびt−BuOK(11.64g、103.76mmol)のジオキサン(120mL)中混合物を、マイクロ波下、120℃で1時間撹拌した。混合物を水(50mL)で希釈し、EtOAc(50mLx3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(10mLx3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥した後、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=2:1〜1:2)で精製し、167−A(4.0g、56%)を黄色固体として得た。

167−Bの合成。撹拌している167−A(2.00g、9.75mmol)のピリジン(40mL)中溶液に、フェニルカルボノクロリデート(3.36g、21.44mmol)を滴加した。添加完了後、混合物を50℃に2時間加熱した。混合物を減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=5:1〜2:1)で精製し、167−C(3.2g、74%)を黄色固体として得た。

167−Dの合成。167−C(258mg、0.58mmol)、183−B(183mg、1.16mmol)およびNa2CO3(286mg、2.31mmol)のアセトニトリル中混合物を、50℃で3時間撹拌した。混合物を室温まで冷却した。Na2CO3を濾過により除去した。濾液を減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:1〜50:1)で精製し、167−D(160mg、71%)を黄色固体として得た。

167の合成。167−D(160mg、0.41mmol)およびPd/C(160mg)のMeOH(5mL)中混合物を、H2雰囲気下、室温で1時間撹拌した。その後、Pd/Cをセライトを使った濾過により除去した。濾液を濃縮し、残渣を分取TLC(DCM:MeOH=8:1)により精製し、167(125mg、84%)を白色固体として得た。

176の適切に置換したアミン変異体を使って、化合物177、184、185および190を類似の方法で合成した。 化合物177。75mg、65%、黄色固体。 化合物184。20mg、11%、黄色固体。 化合物185。30mg、33%、白色固体。 化合物190。20mg、36%、黄色固体。

実施例25.化合物168の合成

168−Aの合成。カリウム(ブロモメチル)トリフルオロボレート(1.00g、4.98mmol)および1−メチルピペラジン(524mg、5.23mmol)のTHF(10mL)中混合物を80℃で4時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去した。残渣をアセトン中に溶解させ、溶液を濾過してKClを除去した。濾液を減圧下で濃縮し、最小限の量の熱アセトン(10mL)に溶解し、Et2O(5mL)の滴加により沈殿させた。追加のEt2O(150mL)を加え、濾過を容易にして、168−A(760mg、79%)を白色固体として得た。

168−Bの合成。168−A(336mg、1.80mmol)、SM−A(500mg、1.70mmol)、Cs2CO3(1.60g、5.0mmol)、Pd(OAc)2(12mg、0.05mmol)およびXPhos(48mg、0.1mmol)のTHF/H2O(10mL/1mL)中混合物をアルゴン下、80℃で12時間攪拌した。混合物を室温に冷却し、H2O(50mL)で希釈した。混合物をDCM(20mLx3)で抽出した。合わせた有機成分をブライン(20mLx3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させた後、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=8:1〜3:1)で精製し、168−B(320mg、60%)を黄色固体として得た。

168−Cの合成。168−B(200mg、0.62mmol)のDCM(4mL)中溶液に、TFA(2mL)を加え、室温で1時間撹拌し、この時点で、LCMSは反応が終了したことを示した。溶媒を減圧下で除去し、168−Cを次のステップに直接使用する粗生成物として得た。

168−Dの合成。143−C(160mg、0.35mmol)および168−C(前のステップの粗生成物)のアセトニトリル(5mL)中混合物を、50℃で30分間撹拌した。その後、Na2CO3(370mg、2.5mmol)を上記混合物に加え、50℃で3時間撹拌した。LCMSにより反応の完了を確認後、混合物を室温に冷却した。Na2CO3を濾過により除去した。濾液を減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:1〜50:1)で精製し、168−D(130mg、75%)を黄色固体として得た。

168の合成。168−D(130mg、0.26mmol)およびPd/C(130mg)のMeOH(5mL)中混合物を、H2雰囲気下、室温で1時間撹拌した。Pd/Cをセライトを使った濾過により除去した。濾液を濃縮し、残渣を分取TLC(DCM:MeOH=8:1)により精製し、168(100mg、83%)を黄色固体として得た。

168の適切に置換したアミン変異体を使って、化合物154、155、162および178を類似の方法で合成した。 化合物154。60mg、64%、黄色固体。 化合物155。110mg、65%、黄色固体。 化合物162。18mg、50%、黄色固体。 化合物178。125mg、61%、白色固体。

チオフェン−2−イルボロン酸および168の適切に置換したアミン変異体を使って、化合物144および145を類似の方法で合成した。 化合物144。80mg、60%、黄色固体。 化合物145。50mg、15%、黄色固体。

ピリジン−3−イルボロン酸および168の適切に置換したアミン変異体を使って、化合物161を類似の方法で合成した。 化合物161。30mg、32%、黄色固体。

4−フルオロ−2−メチルフェニルボロン酸および168の適切に置換したアミン変異体を使って、化合物261を類似の方法で合成した。 化合物261。46mg、55%、黄色固体。

実施例26.化合物169の合成

169−Aの合成。tert−ブチルヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート(750mg、3.54mmol)、1−メチルピペリジン−4−オン(800mg、7.08mmol)および酢酸(2滴)のDCE(15mL)中混合物を、50℃で2時間撹拌した。その後、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.50g、7.08mmol)を上記混合物に加え、50℃でさらに2時間撹拌した。LCMSにより反応の完了を確認後、溶媒を水(10mL)で希釈した後、DCM(10mLx3)で抽出した。合わせた有機成分をブライン(10mLx3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させた後、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:1〜50:1)で精製し、169−A(750mg、69%)を黄色油として得た。

169−Bの合成。169−A(400mg、1.29mmol)のDCM(10mL)中溶液に、TFA(5mL)を加え、室温で1時間撹拌し、この時点で、LCMSは反応が終了したことを示した。溶媒を減圧下で除去し、169−Bを次のステップに直接使用する粗生成物として得た。

169−Cの合成。143−C(306mg、0.65mmol)および169−B(前のステップの粗生成物)のアセトニトリル(6mL)中混合物を、50℃で30分間撹拌した。その後、Na2CO3(624mg、6.50mmol)を上記混合物に加え、50℃で3時間撹拌した。LCMSにより反応の完了を確認後、混合物を室温に冷却した。Na2CO3を濾過により除去した。濾液を減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:1〜20:1)で精製し、169−C(230mg、76%)を黄色固体として得た。

169の合成。169−C(230mg、0.49mmol)およびPd/C(230mg)のMeOH(10mL)中混合物を、H2雰囲気下、室温で30分間撹拌した。その後、Pd/Cをセライトを使った濾過により除去した。濾液を濃縮し、残渣を分取TLC(DCM:MeOH=10:1)により精製し、169(150mg、70%)を白色固体として得た。

169の適切に置換したアルデヒドまたはケトン変異体を使って、化合物152、182、199、201、202、235、236および256を類似の方法で合成した。 化合物152。50mg、36%、淡黄色固体。 化合物182。70mg、38%、赤色固体。 化合物199。50mg、54%、淡黄色固体。 化合物201。30mg、42%、黄色固体。 化合物202。30mg、42%、黄色固体。 化合物203。30mg、18%、黄色固体。 化合物235。170mg、87%、白色固体。 化合物236。70mg、50%、白色固体。 化合物256。20mg、8%、淡黄色固体。

169の適切に置換したアミン変異体を使って、化合物210、211、215、222、223、242、および262を類似の方法で合成した。 化合物210。160mg、96%、黄褐色固体。 化合物211。70mg、40%、白色固体。 化合物215。70mg、75%、白色固体。 化合物222。30mg、42%、黄色固体。 化合物223。35mg、31%、白色固体。 化合物242。50mg、34%、白色固体。 化合物262。38mg、43%、白色固体。

実施例27.化合物183の合成

183−Aの合成。tert−ブチルヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート(2.00g、9.4mmol)、1−ブロモ−2−フルオロエタン(2.35g、18.8mmol)およびTEA(1.90g、18.8mmol)のDCM(40mL)中溶液を室温で24時間撹拌した。混合物をDCM(40mL)で希釈し、ブライン(20mLx3)で洗浄して、無水Na2SO4上で乾燥させた後、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=20:1〜5:1)で精製し、183−A(1.50g、63%)を無色の油として得た。

183−Bの合成。183−A(200mg、0.77mmol)のDCM(5mL)中溶液に、TFA(2mL)を加え、室温で1時間撹拌し、この時点で、LCMSは反応が終了したことを示した。溶媒を減圧下で除去し、183−Bを次のステップに直接使用する粗生成物として得た。

183−Cの合成。143−C(180mg、0.39mmol)、183−B(0.77mmol、前のステップからの粗生成物)およびK2CO3(270mg、1.95mmol)のアセトニトリル中混合物を、50℃で3時間撹拌した。混合物を室温まで冷却した。Na2CO3を濾過により除去した。濾液を減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:1〜50:1)で精製し、183−C(130mg、85%)を黄色固体として得た。

183の合成。183−C(130mg、0.31mmol)およびPd/C(130mg)のMeOH(10mL)中混合物を、H2雰囲気下、室温で1時間撹拌した。その後、Pd/Cをセライトを使った濾過により除去した。濾液を濃縮し、残渣を分取TLC(DCM:MeOH=10:1)により精製し、183(90mg、75%)を黄色固体として得た。

183の適切に置換したアミン変異体を使って、化合物166および176を類似の方法で合成した。 化合物166。12mg、28%、白色固体。 化合物176。35mg、41%、白色固体。

フラン−2−イルボロン酸および183の適切に置換したアミン変異体を使って、化合物174および175を類似の方法で合成した。 化合物174。65mg、50%、黄色固体。 化合物175。20mg、11%、黄色固体。

実施例28.化合物192の合成

192−Aの合成。アゼチジン−3−カルボン酸(5.00g、49.5mmol)のMeOH(100mL)中溶液に、SOCl2(11.8g、99.0mmol)を氷浴下で滴加した。溶液を室温で一晩攪拌した。反応混合物を濃縮乾固し、192−A(6.8g、90%)を白色固体として得た。

192−Bの合成。2,3−ジクロロピリジン(5.0g、31.6mmol)、192−A(5.7g、37.9mmol)およびDIEA(12.2g、94.8mmol)のDMSO(100mL)中混合物を120℃に1時間加熱した。反応混合物を水(100mL)で希釈後、EtOAc(100mLx3)で抽出した。合わせた有機成分をブライン(100mLx3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させた後、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=10:1〜5:1)で精製し、192−B(1.0g、14%)を黄色固体として得た。

192−Cの合成。192−B(1.0g、4.42mmol)、TEA(1.3g、13.26mmol)およびPd/C(1.0g)のMeOH(40mL)中混合物を、H2雰囲気下、40℃で1時間撹拌した。その後、Pd/Cをセライトを使った濾過により除去した。濾液を濃縮し、残渣をDCM(50mL)で溶解した後、ブライン(20mLx3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させて、減圧下で濃縮し、192−C(770mg、91%)を黄色固体として得た。

192−Dの合成。192−C(700mg、3.65mmol)およびLiOH・H2O(460mg、10.95mmol)のMeOH/H2O(10mL/10mL)中混合物を、室温で2時間撹拌した。LCMSにより反応の完了を確認後、MeOHを減圧下で除去した。水性成分を1NのHClでpH=6に調節した。その後、溶液を濃縮乾固して、192−Dを白色固体として得て、これをさらに精製することなく次のステップに直接使用した。

192−Eの合成。CDI(162mg、1.0mmol)のDMF(5mL)中溶液に、192−D(1.0mmol、前のステップからの粗生成物)を少しずつ分けて添加し、溶液を室温で1時間撹拌して、溶液Aを得た。同時に、143−B(233mg、1.0mmol)のDMF(5mL)中溶液に、NaH(鉱物油中の60%)(120mg、3.0mmol)を少しずつ分けて添加し、混合物を室温で1時間撹拌して、溶液Bを得た。次に、溶液Aを溶液Bに滴加し、得られた混合物の撹拌を室温で1時間継続した。LCMSにより反応の完了を確認後、混合物を水(10mL)中に注ぎ込んだ。濾過により沈殿物を集め、濃縮乾固して、192−E(160mg、41%)を黄色固体として得た。

192の合成。169−C(160mg、0.36mmol)およびPd/C(160mg)のMeOH(5mL)中混合物を、H2雰囲気下、室温で30分間撹拌した。その後、Pd/Cをセライトを使った濾過により除去した。濾液を濃縮し、残渣を分取TLC(DCM:MeOH=10:1)により精製し、192(60mg、39%)を白色固体として得た。

192の適切に置換したアミン変異体を使って、化合物193および195を類似の方法で合成した。 化合物193。80mg、41%、白色固体。 化合物195。60mg、43%、灰色固体。

実施例29.化合物196の合成

196−Aの合成。tert−ブチルピペラジン−1−カルボキシレート(200mg、1.1mmol)およびTEA(326mg、3.3mmol)のDCM(20mL)中混合物に、氷浴下でアセチルクロリド(93mg、1.2mmol)を滴加した。反応混合物を室温で3時間撹拌した。LCMSにより反応の完了を確認後、溶液をDCM(15mL)で希釈し、得られた溶液をブライン(10mLx3)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させて、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:1〜30:1)で精製し、196−A(150mg、60%)を淡黄色固体として得た。

196−Bの合成。196−A(150mg、0.66mmol)のHCl/ジオキサン(2N、5mL)中溶液を室温で2時間撹拌した。LCMSにより反応の完了を確認後、溶液を濃縮して、196−Bをさらに精製することなく次のステップに直接使用する粗生成物として得た。

196−Cの合成。196−B(0.66mmol、前のステップからの粗生成物)、メチル 2−ブロモ酢酸(100mg、0.66mmol)およびDIEA(428mg、3.30mmol)のMeCN(5mL)中溶液を室温で3時間撹拌した。LCMSにより反応の完了を確認後、混合物を水(5mL)で希釈し、EtOAc(5mLx3)で抽出した。合わせた有機成分をブライン(50mLx3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させた後、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=50:1〜10:1)で精製し、196−C(120mg、91%)を淡黄色油として得た。

196−Dの合成。196−C(120mg、0.60mmol)およびLiOH・H2O(101mg、2.40mmol)のMeOH/H2O(10mL/10mL)中溶液を、室温で一晩撹拌した。LCMSにより反応の完了を確認後、MeOHを減圧下で除去した。水性成分を1NのHClでpH=6に調節した。その後、溶液を濃縮乾固して、196−Dを粗生成物として得て、これをさらに精製することなく次のステップに直接使用した。

196−Eの合成。CDI(97mg、0.60mmol)のDMF(2mL)中溶液に、196−D(0.60mmol、前のステップからの粗生成物)を少しずつ分けて添加し、溶液を室温で1時間撹拌して、溶液Aを得た。同時に、3−ニトロ−6−フェニルピリジン−2−アミン(129mg、0.60mmol)のDMF(4mL)中溶液に、NaH(鉱物油中の60%)(48mg、1.2mmol)を少しずつ分けて添加し、混合物を室温で1時間撹拌して、溶液Bを得た。次に、溶液Aを溶液Bに滴加し、得られた混合物の撹拌を室温で1時間継続した。LCMSにより反応の完了を確認後、混合物を水(10mL)中に注ぎ込んだ。濾過により沈殿物を集め、濃縮乾固して、196−E(150mg、56%)を黄色固体として得た。

196の合成。196−E(150mg、0.39mmol)およびPd/C(150mg)のEtOAc(10mL)中混合物を、H2雰囲気下、室温で1時間撹拌した。その後、Pd/Cをセライトを使った濾過により除去した。濾液を濃縮し、残渣を分取TLC(DCM:MeOH=8:1)により精製し、196(120mg、87%)を白色固体として得た。

196の適切に置換した酸変異体を使って、化合物194を類似の方法で合成した。 化合物194。16mg、43%、黄色固体。

実施例30.化合物198の合成

198−Aの合成。6−ブロモ−3−ニトロピリジン−2−アミン(5.0g、23.0mmol)、フラン−2−イルボロン酸(3.1g、27.6mmol)およびCs2CO3(22.5g、69.0mmol)のジオキサン/H2O(100mL/10mL)中混合物に、N2雰囲気下でPd(PPh3)4(2.44g、2.88mmol)を加えた。混合物を95℃で3時間攪拌した後、減圧下で濃縮した。残渣をEtOAc(200mL)で溶解し、溶液をブライン(100mLx3)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させた後、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=10:1〜5:1)で精製し、198−A(2.0g、42%)を黄色固体として得た。

198−Bの合成。CDI(395mg、2.44mmol)のDMF(5mL)中溶液に、196−D(490mg、2.44mmol)を少しずつ分けて添加し、溶液を室温で1時間撹拌して、溶液Aを得た。同時に、198−A(500mg、2.44mmol)のDMF(5mL)中溶液に、NaH(鉱物油中の60%)(195mg、4.88mmol)を少しずつ分けて添加し、混合物を室温で1時間撹拌して、溶液Bを得た。次に、溶液Aを溶液Bに滴加し、得られた混合物の撹拌を室温で1時間継続した。LCMSにより反応の完了を確認後、溶液を水(20mL)で希釈し、EtOAc(10mLx5)で抽出した。合わせた有機層をブライン(10mLx3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥した後、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=10:1〜2:1)で精製し、198−B(680mg、72%)を黄色固体として得た。

198−Cの合成。198−B(200mg、0.52mmol)のDCM(5mL)中溶液に、TFA(2mL)を氷浴下で滴加した。その後、溶液を室温で1時間攪拌した。溶媒を減圧下で除去し、198−Cを粗生成物として得た。

198−Dの合成。198−C(0.52mmol、前のステップからの粗生成物)、ベンズアルデヒド(110mg、1.04mmol)および酢酸(2滴)のMeOH(5mL)中混合物を、40℃で1時間撹拌した後、NaBH(OAc)3(221g、1.04mmol)を上記溶液に加えた。反応混合物を40℃で4時間攪拌した。溶液を室温に冷却した。溶液を水(10mL)で希釈し、EtOAc(10mLx3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(10mLx3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥した後、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=200:1〜50:1)で精製し、198−D(110mg、56%(2つのステップ合わせて))を黄色固体として得た。

198の合成。198−D(110mg、0.29mmol)亜鉛粉末(94mg、1.45mmol)およびギ酸アンモニウム(183mg、2.90mmol)のMeOH(3mL)中混合物を、室温で1時間撹拌した。その後、亜鉛粉末をセライトを使った濾過により除去した。濾液を濃縮し、残渣を分取TLC(DCM:MeOH=15:1)により精製し、198(20mg、20%)を黄色固体として得た。

4−フルオロフェニルボロン酸および198の適切に置換した酸変異体を使って、化合物204、239、241、263および264を類似の方法で合成した。 化合物204。60mg、73%、白色固体。 化合物239。60mg、62%、白色固体。 化合物241。69mg、58%、白色固体。 化合物263。83mg、64%、白色固体。 化合物264。50mg、79%、白色固体。

1H−ピラゾールおよび205の適切に置換した酸変異体を使って、化合物205を類似の方法で合成した。 化合物205。20mg、43%、白色固体。

実施例31.化合物206の合成

206−Aの合成。エチル 3−ブロモ−2−オキソプロパノエート(10.8g、55.3mmol)およびピラジン−2−アミン(5.0g、52.6mmol)のDME(150mL)中混合物を室温で5時間撹拌した。濾過により沈殿物を収集した。その後、ケーキをEtOH(100mL)に溶解し、80℃で2時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=2:1〜1:2)で精製し、206−A(2.0g、20%)を黄色固体として得た。

206−Bの合成。206−A(1.50g、7.85mmol)Pd/C(750mg)および濃塩酸(15mL)のEtOAc(285mL)中混合物を、40psiのH2雰囲気下、室温で16時間撹拌した。その後、Pd/Cをセライトを使った濾過により除去した。濾液を濃縮して、206−Bを粗生成物として得て、これをさらに精製することなく次のステップに直接使用した。

206−Cの合成。206−B(4.1mmol、前のステップからの粗生成物)、ホルムアルデヒド溶液(37%w/w、2mL)および酢酸(2滴)のMeOH(20mL)中溶液を40℃で1時間撹拌した後、NaBH(OAc)3(2.61g、12.3mmol)を上記溶液に加えた。反応混合物を40℃で2時間攪拌した。溶液を室温に冷却した。溶液を水(10mL)で希釈し、EtOAc(10mLx3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(10mLx3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥した後、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:1〜30:1)で精製し、206−C(500mg、58%)を黄色固体として得た。

206−Dの合成。196−C(500mg、2.4mmol)およびLiOH・H2O(400mg、9.6mmol)のMeOH/H2O(10mL/10mL)中溶液を、室温で一晩撹拌した。LCMSにより反応の完了を確認後、MeOHを減圧下で除去した。水性成分を1NのHClでpH=6に調節した。その後、溶液を濃縮乾固して、206−Dを粗生成物として得て、これをさらに精製することなく次のステップに直接使用した。

206−Eの合成。206−D(0.50mmol、前のステップからの粗生成物)およびDMF(1滴)のDCM(5mL)中溶液に、(COCl)2(127mg、1.0mmol)を氷浴下添加した。得られた混合物を室温で1時間撹拌し、濃縮して白色固体Aを得た。同時に、3−フェニルピリジン−2−アミン(100mg、0.50mmol)のDMF(5mL)中溶液に、NaH(鉱物油中の60%)(40mg、1.0mmol)を少しずつ分けて添加し、混合物を室温で1時間撹拌して、溶液Bを得た。次に、固体Aを溶液Bに滴加し、得られた混合物の撹拌を室温で1時間継続した。LCMSにより反応の完了を確認後、混合物を水(20mL)中に注ぎ込んだ。濾過により沈殿物を集め、濃縮乾固して、206−E(80mg、42%)を黄色固体として得た。

206の合成。206−E(80mg、0.21mmol)およびPd/C(80mg)のMeOH(3mL)中混合物を、H2雰囲気下、室温で1時間撹拌した。その後、Pd/Cをセライトを使った濾過により除去した。濾液を濃縮し、残渣を分取TLC(DCM:MeOH=10:1)により精製し、206(25mg、34%)を白色固体として得た。

206の適切に置換した酸変異体を使って、化合物208を類似の方法で合成した。 化合物208。28mg、38%、淡黄色固体。

ピリジン−3−イルボロン酸および206の適切に置換した酸変異体を使って、化合物219を類似の方法で合成した。 化合物219。10mg、8%、黄色固体。

4−フルオロフェニルボロン酸および206の適切に置換した酸変異体を使って、化合物226を類似の方法で合成した。 化合物226。60mg、44%、黄色固体。

実施例32.化合物243の合成

243−Aの合成。tert−ブチル3−ブロモ−5H−ピロロ[3,4−b]ピリジン−6(7H)−カルボキシレート(820mg、2.75mmol)、酢酸カリウム(540mg、5.5mmol)、dppf(111mg、0.08mmol)および酢酸パラジウム(8.5mg、0.03mmol)のエタノール(20mL)中混合物を1.5MPaのCO雰囲気下、100℃で12時間攪拌した。反応混合物を、室温に冷却し、セライトを用いて濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をDCM(50mL)で溶解した後、ブライン(10mLx3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させて、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=8:1〜3:1)で精製し、243−A(670mg、84%)を白色固体として得た。

243−Bの合成。243−A(500mg、1.7mmol)およびNaBH4(390mg、10.2mmol)のエタノール(50mL)中混合物を、室温で12時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣をDCM(50mL)で溶解した後、ブライン(10mLx3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥後、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:1〜20:1)で精製し、243−B(350mg、81%)を白色固体として得た。

243−Cの合成。243−B(150mg、0.6mmol)のTHF(5mL)中溶液に、NaH(鉱物油中の60%)(96mg、2.4mmol)を室温で添加した。得られた混合物を室温で40分間撹拌した。次に、MeI(170mg、1.2mmol)を上記混合物に滴加した。得られた混合物を室温で30分間撹拌した。溶液を水(10mL)で希釈し、EtOAc(10mLx3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(10mLx3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥した後、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=8:1〜3:1)で精製し、243−C(60mg、38%)を黄色固体として得た。

243−Dの合成。243−C(60mg、0.23mmol)のDCM(4mL)中溶液に、TFA(2mL)を氷浴下で滴加した。その後、溶液を室温で1時間攪拌した。溶媒を減圧下で除去し、243−dを粗生成物として得た。

243−Eの合成。243−D(0.23mmol、前のステップからの粗生成物)、143−C(80mg、0.17mmol)およびNa2CO3(122mg、1.15mmol)のアセトニトリル中混合物を、50℃で3時間撹拌した。LCMSにより反応の完了を確認した。Na2CO3を濾過により除去し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:1〜50:1)で精製し、243−E(70mg、73%)を黄色固体として得た。

243の合成。243−E(70mg、0.16mmol)およびPd/C(70mg)のMeOH(5mL)中混合物を、H2雰囲気下、室温で1時間撹拌した。その後、Pd/Cをセライトを使った濾過により除去した。濾液を濃縮し、残渣を分取TLC(DCM:MeOH=15:1)により精製し、243(48mg、78%)を黄色固体として得た。

実施例33.化合物224および225の合成

244−Aの合成。tertーブチル 4,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾール−5(2H)−カルボキシレート(1.40g、6.70mmol)のDCM(10mL)中溶液に、TFA(3mL)を氷浴下で滴加した。その後、溶液を室温で1時間攪拌した。溶媒を減圧下で除去し、244−Aを粗生成物として得た。

244−Bの合成。244−A(前のステップからの粗生成物)および143−C(1.58g、3.35mmol)のアセトニトリル(30mL)中混合物を、50℃で30分間撹拌した後、Na2CO3(3.55g、33.5mmol)を上記混合物に加え、50℃で1時間撹拌した。混合物を室温まで冷却した。Na2CO3を濾過により除去し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:1〜50:1)で精製し、244−B(0.98g、78%)を黄色固体として得た。

244−Cおよび245−Cの合成。244−B(250mg、0.68mmol)のDMF(5mL)中溶液に、NaH(鉱物油中の60%)(54mg、1.36mmol)を氷浴下で添加し、室温で30分間撹拌した。その後、SM−A(204mg、0.82mmol)を上記混合物に加え、室温で2時間撹拌した。混合物を水(15mL)でクエンチし、EtOAc(10mLx3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(10mLx3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥した後、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:1〜30:1)で精製し、244−Cおよび245−C(300mg、82%)を黄色固体として得た。

244−Dおよび245−Dの合成。244−Cおよび245−C(300mg、0.56mmol)のDCM(3mL)中溶液に、TFA(1mL)を氷浴下で滴加した。その後、溶液を室温で1時間攪拌した。溶媒を減圧下で除去し、244−Dおよび245−Dを粗生成物として得た。

244−Eおよび245−Eの合成。244−Dおよび245−D(前のステップからの粗生成物)、ホルムアルデヒド溶液(37%w/w、0.6mL)および酢酸(2滴)のMeOH(6mL)中混合物を40℃で1時間撹拌した後、NaBH(OAc)3(1.80g、8.48mmol)を上記溶液に加えた。反応混合物を40℃で16時間攪拌した。溶液を室温に冷却した。溶液を水(10mL)で希釈し、EtOAc(10mLx3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(10mLx3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥した後、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=200:1)で精製し、244−E(30mg、12%(2つのステップを合わせて))を黄色固体として、および245−E(90mg、36%(2つのステップを合わせて))を黄色固体として得た。

244の合成。244−E(30mg、0.07mmol)およびPd/C(30mg)のMeOH(2mL)中混合物を、H2雰囲気下、室温で1時間撹拌した。その後、Pd/Cをセライトを使った濾過により除去した。濾液を濃縮し、残渣を分取TLC(DCM:MeOH=10:1)により精製し、244(15mg、52%)を黄色固体として得た。

245の合成。245−E(90mg、0.20mmol)およびPd/C(90mg)のMeOH(6mL)中混合物を、H2雰囲気下、室温で1時間撹拌した。その後、Pd/Cをセライトを使った濾過により除去した。濾液を濃縮し、残渣を分取TLC(DCM:MeOH=10:1)により精製し、245(50mg、59%)を黄色固体として得た。

244の適切に置換したハロゲン変異体を使って、化合物246および247を類似の方法で合成した。 化合物246。20mg、54%、黄色固体。 化合物247。6mg、43%、黄色固体。

実施例34.化合物257および258の合成

257Aおよび258−Aの合成。4,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾール−5(2H)−カルボキシレート(314mg、1.50mmol)、Cs2CO3(978mg、3.00mmol)およびヨードメタン(320mg、2.25mmol)のDMF(6mL)中混合物を、室温で16時間撹拌した。混合物を水(18mL)で希釈し、EtOAc(10mLx3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(10mLx3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥した後、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:1〜50:1)で精製し、257−Aおよび258−A(270mg、81%)を黄色固体として得た。

257−Bおよび258−Bの合成。257−Aおよび258−A(270mg、1.21mmol)のDCM(6mL)中溶液に、TFA(2mL)を氷浴下で滴加した。その後、溶液を室温で1時間攪拌した。溶媒を減圧下で除去し、257−Bおよび258−Bを粗生成物として得た。

257−Cおよび258−Cの合成。257−Bおよび258−B(前のステップからの粗生成物)および143−C(286mg、0.61mmol)のアセトニトリル(10mL)中混合物を、50℃で30分間撹拌した後、Na2CO3(581mg、6.05mmol)を上記混合物に加え、50℃で1時間撹拌した。混合物を室温まで冷却した。Na2CO3を濾過により除去し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=200:1)で精製し、257−C(100mg、44%)を黄色固体として、および258−C(50mg、22%)を黄色固体として得た。

257の合成。257−C(100mg、0.26mmol)およびPd/C(100mg)のMeOH(5mL)中混合物を、H2雰囲気下、室温で1時間撹拌した。その後、Pd/Cをセライトを使った濾過により除去した。濾液を濃縮し、残渣を分取TLC(DCM:MeOH=15:1)により精製し、257(50mg、55%)を黄色固体として得た。

258の合成。258−C(50mg、0.13mmol)およびPd/C(50mg)のMeOH(3mL)中混合物を、H2雰囲気下、室温で1時間撹拌した。その後、Pd/Cをセライトを使った濾過により除去した。濾液を濃縮し、残渣を分取TLC(DCM:MeOH=15:1)により精製し、258(25mg、55%)を黄色固体として得た。

実施例35.化合物271の合成

127−Aの合成。tert−ブチル3−ブロモ−5H−ピロロ[3,4−b]ピリジン−6(7H)−カルボキシレート(820mg、2.75mmol)、酢酸カリウム(540mg、5.5mmol)、dppf(111mg、0.08mmol)および酢酸パラジウム(8.5mg、0.03mmol)のエタノール(20mL)中混合物を1.5MPaのCO雰囲気下、100℃で12時間攪拌した。反応混合物を、室温に冷却し、セライトを用いて濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をDCM(50mL)で溶解した後、ブライン(10mLx3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させて、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=8:1〜3:1)で精製し、127−A(670mg、84%)を白色固体として得た。

127−Bの合成。127−A(500mg、1.7mmol)およびNaBH4(390mg、10.2mmol)のエタノール(50mL)中混合物を、室温で12時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣をDCM(50mL)で溶解した後、ブライン(10mLx3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥後、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:1〜20:1)で精製し、127−B(350mg、81%)を白色固体として得た。

127−Cの合成。127−B(150mg、0.6mmol)およびTEA(121mg、1.2mmol)のDCM(10mL)中混合物に、MsCl(104mg、0.9mmol)を滴加し、混合物を室温で1時間撹拌した。溶液をDCM(20mL)で希釈し、溶液をブライン(10mLx3)で洗浄して、無水Na2SO4上で乾燥させた後、減圧下で濃縮して、127−Cを次のステップに直接使用する粗生成物として得た。

127−Dの合成。127−C(前のステップからの粗生成物)、3−フルオロアゼチジン(59mg、0.78mmol)、K2CO3(166mg、1.2mmol)のアセトニトリル(5mL)中混合物を、40℃に12時間加熱した。溶媒を減圧下で除去した。残渣をDCM(100mL)で溶解し、溶液をブライン(30mLx3)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させた後、減圧下で濃縮して、127−D(150mg、81%)を黄色固体として得た。

127−Eの合成。127−D(150mg、0.49mmol)のDCM(4mL)中溶液に、TFA(2mL)を氷浴下で滴加した。その後、溶液を室温で1時間攪拌した。溶媒を減圧下で除去し、271−Eを次のステップに直接使用する粗生成物として得た。

127−Fの合成。127−E(前のステップからの粗生成物)、143−C(118mg、0.25mmol)およびNa2CO3(212mg、2.0mmol)のアセトニトリル中混合物を、50℃で3時間撹拌した。LCMSにより反応の完了を確認した。Na2CO3を濾過により除去し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:1〜50:1)で精製し、127−F(100mg、86%)を黄色固体として得た。

127の合成。127−F(100mg、0.14mmol)およびNi(100mg)のMeOH(5mL)中混合物を、H2雰囲気下、室温で1時間撹拌した。その後、Niをセライトを使った濾過により除去した。濾液を濃縮し、残渣を分取TLC(DCM:MeOH=15:1)により精製し、271(16mg、17%)を黄色固体として得た。

実施例36.化合物351の合成

351−Aの合成。4−ニトロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(8.00g、50.1mmol)の、氷浴下で冷却したMeOH(160mL)中溶液に、SOCl2(11.92g、100.2mmol)を滴加した。反応混合物をゆっくり室温まで暖めて、一晩攪拌した。その後、MeOHおよびSOCl2を留去し、残渣を氷水(50mL)でクエンチした。生成物をDCM(100mLx3)で抽出した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させた後、減圧下で濃縮した。反応混合物をジエチルエーテル(100mL)でトリチュレートし、351−A(8.70g、84%)を灰色がかった白色の固体として得た。

351−Bの合成。351−A(6.10g、29.4mmol)、4−フルオロフェニルボロン酸(5.43g、38.8mmol)、ピリジン(9.29g、117.6mmol)および酢酸銅(II)(8.03g、44.1mmol)のDCM(120mL)中混合物を、室温下、空気中で48時間撹拌した。残渣をDCM(100mL)で希釈し、溶液をブライン(40mLx3)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させた後、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=50:1〜10:1)で精製し、351−B(4.80g、62%)を灰色がかった白色の固体として得た。

351−Cの合成。351−B(4.80g、18.1mmol)およびKOH(1.01g、18.1mmol)のTHF/H2O(35mL/15mL)中混合物を室温で一晩撹拌した。THFを減圧下で除去した。水層を希HCl溶液でpH=3に調節した。濾過により沈殿物を集め、乾燥して、351−C(4.00g、88%)を白色固体として得た。

351−Dの合成。351−C(3.50g、15.0mmol)、DPPA(7.65g、27.8mmol)およびTEA(7.02g、69.5mmol)をt−BuOH(50mL)中混合物を、N2雰囲気下で一晩加熱還流した。溶媒を減圧下で除去した。残渣をEtOAc(100mL)で溶解し、溶液をブライン(40mLx3)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させた後、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=70:30〜50:50)で精製し、351−D(2g、44%)を黄色固体として得た。

351−Eの合成。351−D(2g、6.58mmol)のDCM(14mL)中溶液に、TFA(7mL)を氷浴下で滴加した。その後、溶液を室温で3時間攪拌した。溶媒を減圧下で除去した。残渣をDCM(20mL)で溶解後、NaOH(1N)溶液で10超のpHに調節した。混合物をDCM(50mLx3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(50mLx3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させた後、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:1〜30:1)で精製し、351−E(1.2g、80%)を黄色固体として得た。

351−Fの合成。NaH(118mg、鉱物油中50%、2.45mmol)のDMF(2mL)中の冷却した(0℃)懸濁液に、351−E(200mg、0.98mmol)を添加し、10分間撹拌した。炭酸ジフェニル(385mg、1.96mmol)を混合物に加え、室温までゆっくり温めながら1時間撹拌した。AM351(312mg、1.47mmol)を0℃で加え、室温までゆっくり温めながら1時間撹拌した。反応混合物を冷水(10mL)でクエンチし、DCM(20mLx3)で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4上で乾燥させた後、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:1〜25:1)で精製し、351−F(150mg、38%)を褐色固体として得た。

351の合成。351−F(150mg、0.37mmol)およびPd/C(35mg)のMeOH(5mL)中混合物を、H2雰囲気下、室温で1時間撹拌した。その後、Pd/Cをセライトを使った濾過により除去した。濾液を濃縮し、残渣を分取HPLCにより精製し、351(45mg、32%)を灰色がかった白色の固体として得た。

351の適切に置換したアミン変異体を使って、化合物352、353、360、361、382、383および384を類似の方法で合成した。 化合物352。20mg、28%、灰色がかった白色の固体。 化合物353。17mg、20%、灰色がかった白色の固体。 化合物360。31mg、34%、茶色がかった固体。 化合物361。35mg、37%、白色固体。 化合物382。15mg、14%、灰色がかった白色の固体。 化合物383。12mg、13%、灰色がかった白色の固体。 化合物384。25mg、21%、灰色がかった白色の固体。

実施例37.化合物364の合成

364−Aの合成。2−アミノ−6−クロロ−3−ニトロピリジン(5g、28.80mmol)、4−フルオロフェニルボロン酸(8.06g、57.61mmol)およびCs2CO3(23.89g、72.02mmol)の1,4−ジオキサン(50mL)および水(15mL)中の脱気混合物に、Pd(pph3)2Cl2(0.5g、0.72mmol)を加え、混合物を100℃で一晩撹拌した。反応混合物を、減圧下で濃縮した。残渣を酢酸エチル(100mL)で溶解し、溶液をブライン(50mLx3)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させて、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=75:25〜70:30)で精製し、364−A(4.8g、71.53%)を黄色固体として得た。

364−Bの合成。NaH(82mg、鉱物油中50%、1.71mmol)のDMF(2mL)中の冷却した(0℃)懸濁液に、364−A(200mg、0.85mmol)を加え、10分間撹拌した。炭酸ジフェニル(458mg、2.14mmol)を混合物に加え、室温までゆっくり温めながら1時間撹拌した。3,3−ジフルオロピロリジン(137.71mg、1.28mmol)を0℃で加え、室温までゆっくり温めながら1時間撹拌した。反応混合物を冷水(10mL)でクエンチし、DCM(20mLx3)で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4上で乾燥させた後、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:1〜25:1)で精製し、364−B(150mg、47%)を黄色固体として得た。

364の合成。364−B(140mg、0.38mmol)およびPd/C(35mg)のMeOH(5mL)中混合物を、H2雰囲気下、室温で1時間撹拌した。その後、Pd/Cをセライトを使った濾過により除去した。濾液を濃縮し、残渣を分取HPLCにより精製し、364(70mg、54%)を淡黄色固体として得た。

適切に置換したボロン酸および364のアミン変異体を使って、化合物362、363、365、367、371、372、373、374、385、386、387、388、389、390、392、396および397を類似の方法で合成した。 化合物362。15mg、18%、灰色がかった白色の固体。 化合物363。68mg、34%、灰色がかった白色の固体。 化合物365。30mg、54%、灰色がかった白色の固体。 化合物367。52mg、55%、灰色がかった白色の固体。 化合物371。47mg、45%、灰色がかった白色の固体。 化合物372。45mg、38%、灰色がかった白色の固体。 化合物373。42mg、38%、灰色がかった白色の固体。 化合物374。48mg、34%、灰色がかった白色の固体。 化合物385。80mg、44%、灰色がかった白色の固体。 化合物386。130mg、76%、灰色がかった白色の固体。 化合物387。15mg、19%、灰色がかった白色の固体。 化合物388。60mg、33%、灰色がかった白色の固体。 化合物389。168mg、73%、灰色がかった白色の固体。 化合物390。80mg、43%、灰色がかった白色の固体。 化合物392。70mg、38%、灰色がかった白色の固体。 化合物396。85mg、56%、淡黄色固体。 化合物397。27mg、27%、淡黄色固体。 化合物398。110mg、46%、黄色がかった固体。 化合物399。100mg、46%、灰色がかった白色の固体。 化合物400。32mg、34%、灰色がかった白色の固体。 化合物401。8mg、06%、灰色がかった白色の固体。 化合物403。145mg、78%、灰色がかった白色の固体。 化合物404。165mg、91%、灰色がかった白色の固体。 化合物405。64mg、46%、灰色がかった白色の固体。 化合物408。45mg、43%、灰色がかった白色の固体。 化合物409。15mg、18%、灰色がかった白色の固体。 化合物410。33mg、30%、灰色がかった白色の固体。 化合物411。100mg、63%、灰色がかった白色の固体。

実施例38.化合物381の合成

381−Aの合成。N−bocピペリジン−4−カルボン酸(1g、4.36mmol)のDCM(10mL)中の冷却した(0℃)溶液に、CDI(0.84g、5.23mmol)を加え、反応混合物を0〜4℃で8時間撹拌した。反応混合物をジエチルエーテル(50mL)で希釈し、水(20mL)、NaHCO3(10mL、10%水溶液)およびブライン(10mL)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させて、減圧下で濃縮して、381−A(1g、70%)を白色固体として得た。

381−Bの合成。NaH(222mg、鉱物油中50%、4.62mmol)のDMF(5mL)中の冷却した(0℃)懸濁液に、364−A(0.5g、2.31mmol)を加え、20分間撹拌した。381−A(0.37g、2.31mmol)を混合物に加え、室温までゆっくり温めながら2時間撹拌した。その後、反応混合物を冷水(25mL)でクエンチし、DCM(25mLx3)で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4上で乾燥させた後、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:1〜50:1)で精製し、381−B(0.7g、71%)を黄色固体として得た。

381−Cの合成。381−B(0.5g、1.17mmol)のDCM(10mL)中の冷却した(0℃)溶液に、TFA(1mL)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌した。その後、反応混合物を、減圧下で濃縮した。残渣をジエチルエーテルでトリチュレートし、381−C.TFA(0.35g、68%)を黄色固体として得た。

381−Dの合成。381−C.TFA(0.3g、0.92mmol)およびオキセタン−3−オン(0.36g、5.05mmol)のDCM(7.5mL)およびMeOH(2.5mL)中溶液に、AcOH(5.5mg、0.09mmol)を加え、室温で4時間撹拌した。NaBH3CN(0.17g、2.85mmol)を0℃で加え、室温で一晩撹拌した。反応混合物を水(15mL)でクエンチし、DCM(25mLx3)で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4上で乾燥させた後、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:10〜50:50)で精製し、381−D(200mg、57%)を黄色固体として得た。

381の合成。381−D(150mg、0.39mmol)およびPd/C(35mg)のMeOH(5mL)中混合物を、H2雰囲気下、室温で1時間撹拌した。その後、Pd/Cをセライトを使った濾過により除去した。濾液を濃縮し、残渣を分取HPLCにより精製し、381(45mg、34%)を褐色ガムとして得た。

適切に置換した364−Aおよび381のカルボニル化合物変異体を使って、化合物368、377、378および379を類似の方法で合成した。 化合物368。35mg、47%、灰色がかった白色の固体。 化合物377。45mg、35%、灰色がかった白色の固体。 化合物378。75mg、20%、灰色がかった白色の固体。 化合物379。75mg、53%、灰色がかった白色の固体。

実施例39.化合物357の合成

381−Cの364−A変異体を使って、化合物357−Cを類似の方法で合成した。

357の合成。357−C(150mg、0.48mmol)およびPd/C(35mg)のMeOH(5mL)中混合物を、H2雰囲気下、室温で1時間撹拌した。その後、Pd/Cをセライトを使った濾過により除去した。濾液を濃縮し、残渣を分取HPLCにより精製し、357(20mg、15%)を灰色がかった白色の固体として得た。

実施例40.化合物354の合成

381−Cから381−Dへの合成に使用したものと類似の手順で、化合物357−A(140mg、67%、黄色固体)を合成した。

357−Cから357への合成に使用したものと類似の手順で、化合物354(35mg、38%、灰色がかった白色の固体)を合成した。

実施例41.化合物358の合成

358−Aの合成。357−C(150mg、0.48mmol)およびTEA(144mg、1.42mmol)のDCM(10mL)中溶液に、Ac2O(48mg、0.48mmol)を加え、混合物を室温で4時間撹拌した。反応混合物を水(10mL)でクエンチし、DCM(20mLx3)で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4上で乾燥させた後、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:1〜50:1)で精製し、358−A(100mg、58%)を黄色固体として得た。

357−Cから357への合成に使用したものと類似の手順で、化合物358(40mg、44%、褐色固体)を合成した。

実施例42.化合物359の合成

381−Cから381−Dへの合成に使用したものと類似の手順で、化合物359−A(75mg、63%、褐色固体)を合成した。

357−Cから357への合成に使用したものと類似の手順で、化合物379(15mg、23%、茶色がかった固体)を合成した。

実施例43.化合物375の合成

364−Aに対し使用したものと類似の手順で、化合物375−A(500mg、40%、黄色固体)を合成した。

364−Bの代わりに(1−メチルピペリジン−4−イル)メタノールを使って、類似の方法で、化合物375−B(100mg、29%、黄色半固体)を合成した。

364−Bから364への合成に使用したものと類似の手順で、化合物375(10mg、11%、無色半固体)を合成した。

実施例44.化合物366の合成

364−Bの適切に置換したアミン変異体を使って、化合物366−A(100mg、30%、黄色固体)を類似の方法で合成した。 366の合成。366−AのTHF(5mL)中の冷却した(0℃)溶液に、窒素下でTHF中のLAH溶液を加え、混合物を10℃までゆっくり温めながら2時間撹拌した。反応混合物をNa2SO4の飽和水溶液でクエンチした。固形物を濾過し、DCM(20mL)で洗浄した。合わせた濾液を無水Na2SO4上で乾燥させて、減圧下で濃縮した。残渣を分取HPLCにより精製し、366(10mg、11%)を灰色がかった白色の固体として得た。

366の適切に置換したオルトニトロアミンおよびボロン酸変異体を使って、化合物350および395を類似の方法で合成した。 化合物350。13mg、14%、灰色がかった白色の固体。 化合物395。10mg、11%、緑色を帯びた固体。

実施例45.化合物394の合成

394−Aの合成。396−A(130mg、0.32mmol)およびMnO2(250mg、3.2mmol)のDCM(10mL)中混合物を、室温で一晩撹拌した。その後、MnO2をセライトを使った濾過により除去した。ろ液を濃縮し、394−A(125mg、96%)を黄色がかった固体として得た。

394−Bの合成。394−A(115mg、0.28mmol)のTHF中の冷却した(−78℃)溶液に、窒素下でMeMgBr(0.37mL、THF中3M、1.12mmol)の溶液を加え、混合物を室温までゆっくり温めながら一晩撹拌した。反応混合物を飽和Na2SO4溶液でクエンチした。固形物を濾過し、DCM(20mL)で洗浄した。有機部分を減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:1〜100:5)で精製し、394−B(55mg、46%)を黄色固体として得た。

364−Bから364への合成に使用したものと類似の手順で、化合物394(10mg、20%、灰色がかった白色の固体)を合成した。

実施例46.化合物369の合成

369−Aの合成。2−アミノ−6−クロロ−3−ニトロピリジン(1g、5.7mmol)およびK2CO3(1.99g、14.45mmol)のアセトニトリル(5mL)中懸濁液に、1H−ピラゾール(579.05mg、8.64mmol)を加え、混合物を70℃で一晩加熱した。その後、K2CO3をセライトを使った濾過により除去した。濾液を濃縮し、残渣をジエチルエーテルでトリチュレートすることにより精製し、369−A(800mg、67%)を黄色固体として得た。

364−Aから364−Bへの合成に使用したものと類似の手順で、化合物369−B(110mg、43%、黄色固体)を合成した。

364−Bから364への合成に使用したものと類似の手順で、化合物369(43mg、47%、灰色がかった白色の固体)を合成した。

実施例47.化合物391の合成

364−Bのアミン変異体を使って、化合物391−A(200mg、45%、黄色固体)を類似の方法で合成した。

391−Bの合成。391−A(200mg、0.48mmol)、1−メチルピペラジン(58mg、0.58mmol)、キサントホス(14mg、0.024mmol)およびNaOBut(80mg、0.72mmol)のトルエン(10mL)中の脱気した混合物に、N2雰囲気下でPd2(dba)3(22mg、0.024mmol)を加え、混合物を100℃で一晩撹拌した。反応混合物を、減圧下で濃縮した。残渣を酢酸エチル(50mL)に溶解し、ブライン(30mL)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させて、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(DCM:CHCl3=100:1〜100:5)で精製し、391−B(100mg、43%)を黄色固体として得た。

364−Bから364への合成に使用したものと類似の手順で、化合物391(15mg、16%、灰色がかった白色の固体)を合成した。

実施例48.AM351の合成

AM351−Aの合成。tert−ブチル 5−ブロモイソインドリン−2−カルボキシレート(5.0g、16.76mmol)、Pd(OAc)2(564mg、2.51mmol)、DPPP(1.38g、3.35mmol)およびTEA(5.08g、50.30mmol)の、MeOH(30mL)およびDMSO(30mL)の混合物中の脱気した混合物を一酸化炭素雰囲気下、80℃で一晩加熱した。その後、Pd(OAc)2をセライトを使った濾過により除去した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=75:25〜70:30)により精製し、AM351−A(2.5g、53%)を灰色がかった白色の固体として得た。

AM351−Bの合成。AM351−A(2g、7.17mmol)のTHF(20mL)中の冷却した(0℃)溶液に、窒素下でTHF中のLAH溶液(10.8mL、THF中1M、10.8mmol)を加え、混合物を10℃までゆっくり温めながら2時間撹拌した。反応混合物をNa2SO4の飽和水溶液でクエンチした。固形物を濾過し、DCM(100mL)で洗浄した。合わせた濾液を無水Na2SO4上で乾燥させて、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=50:50〜40:60)で精製し、AM351−B(1.5g、80%)を白色固体として得た。

AM351−Cの合成。AM351−B(0.8g、3.21mmol)およびPPh3(1.26g、4.82mmol)のジクロロメタン中混合物に、CBr4(1.59g、4.82mmol)を加え、混合物を室温で4時間混合した。残渣を濃縮し、粗生成物をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=80:20〜70:30)で精製し、AM351−C(570mg、57%)を白色固体として得た。

AM351−Dの合成。AM351−C(570mg、1.9mmol)およびK2CO3(655mg、6.75mmol)のTHF(10mL)中混合物に、ジメチルアミン.HCl(387mg、4.75mmol)を少しずつ分けて加えた。次に、混合物を室温で4時間撹拌した。その後、K2CO3をセライトを使った濾過により除去し、DCM(20mL)で洗浄した。合わせた濾液を減圧下で濃縮し、AM351−D(480mg、95%)を黄色がかった半固体として得た。

AM351の合成。AM351−D(480mg、1.89mmol)のDCM(5mL)中の冷却した(0℃)溶液に、ジエチルエーテル中の乾燥HCl溶液(10mL、2M)を加え、混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣をジエチルエーテルでトリチュレートし、AM351(350mg、95%)を紫色の固体として得た。

AM351の適切に置換したアミン変異体を使って、化合物AM353、AM355、AM363、AM386、AM408およびAM410を類似の方法で合成した。 化合物AM353。210mg、87%、灰色の固体。 化合物AM355。300mg、93%、薄紅色の固体。 化合物AM363。300mg、94%、灰色がかった白色の固体。 化合物AM386。300mg、92%、灰色がかった白色の固体。 化合物AM408。210mg、84%、灰色の固体。 化合物AM410。210mg、89%、灰色の固体。

適切な出発材料およびAM351のアミン変異体を使って、化合物AM411(200mg、84%、白色固体)を類似の方法で合成した。

実施例49.AM362の合成

AM362−Aの合成。tert−ブチル 5−ブロモイソインドリン−2−カルボキシレート(1g、3.3mmol)、1−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−ボロン酸ピナコールエステル(1.12g、5.031mmol)およびCs2CO3(3.2g、9.9mmol)のジオキサン(10mL)中の脱気した混合物に、N2雰囲気下でPd(dppf)Cl2を加え、混合物を95℃で一晩加熱した。反応混合物をDCM(25mL)で希釈し、触媒をセライトを使った濾過により除去した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=80:20〜60:40)により精製し、AM362−A(0.8g、76%)を褐色ガムとして得た。

AM351−DからAM351への合成に使用したものと類似の手順で、化合物AM362(450mg、95%、褐色固体)を合成した。

AM362の適切に置換したボロン酸ピナコールエステル変異体を使って、化合物AM403(250mg、96%、黄色固体)を類似の方法で合成した。

実施例50.AM393の合成

AM393−Aの合成。NaH(190mg、鉱物油中50%、4.0mmol)のDMF(5mL)中の冷却した(0℃)溶液に、AM351−A(400mg、1.6mmol)を添加し、混合物を室温で20分間撹拌した。反応混合物を、0℃に冷却し、ヨウ化メチルを加えた。反応混合物を室温までゆっくり温めながら1時間撹拌した。反応混合物を氷冷水(10mL)でクエンチし、生成物をDCM(20mLx3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、残渣をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=90:10〜85:15)で精製して、AM393−A(360mg、85%)を黄色がかったガムとして得た。

AM351−DからAM351への合成に使用したものと類似の手順で、化合物AM393(120mg、99%、灰色の固体)を合成した。

実施例51.AM374の合成

AM374−Aの合成。tert−ブチル 5−ブロモイソインドリン−2−カルボキシレート(1g、3.35mmol)、1−メチルピペラジン(403mg、4.03mmol)、キサントホス(97mg、0.17mmol)およびNaOBut(482mg、5.03mmol)のトルエン(10mL)中の脱気した混合物に、N2雰囲気下でPd2(dba)3(153mg、0.17mmol)を加え、混合物を100℃で一晩撹拌した。反応混合物を、減圧下で濃縮した。残渣を酢酸エチル(50mL)に溶解し、ブライン(30mL)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させて、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(MeOH:CHCl3=99:1〜95:5)で精製し、AM374−A(800mg、75%)を白色固体として得た。

AM351−DからAM351への合成に使用したものと類似の手順で、化合物AM374(510mg、93%、灰色がかった白色の固体)を合成した。

実施例52.AM398の合成

AM398−Aの合成。tert−ブチル 5−ブロモイソインドリン−2−カルボキシレート(1.0g、3.35mmol)のDMF(10mL)中の脱気した溶液に、トリ−n−ブチル(1−エトキシビニル)スタンナン(1.33g、3.69mmol)およびPd(PPh3)2Cl2(117mg、0.16mmol)を加え、混合物をマイクロ波中で130℃で2時間加熱した。反応混合物を、減圧下で濃縮した。残渣を酢酸エチル(50mL)で溶解し、ブライン(30mL)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させて、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=75:25〜70:30)で精製し、AM398−A(400mg、46%)を黄色固体として得た。

AM398−Bの合成。AM398−A(400mg、1.53mmol)のTHF(10mL)中溶液に、ピロリジン(435mg、6.13mmol)およびTi(IV)イソプロポキシド(1.39g、6.13mmol)を加え、混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物にEtOH(5mL)を加え、0℃に冷却した。NaBH4(232mg、6.13mmol)を少しずつ分けて加え、混合物を室温で30分撹拌した。その後、反応混合物を氷冷水(10mL)でクエンチし、酢酸エチル(50mLx3)で抽出した。有機層をブライン(30mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させて、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=60:40〜50:50)で精製し、AM398−B(300mg、62%)を淡黄色固体として得た。

AM351−DからAM351への合成に使用したものと類似の手順で、化合物398(210mg、87%、黄色がかった固体)を合成した。

実施例53.レポーター置換アッセイ C末端Hisタグ(Proteros)および蛍光標識抗His抗体を含むHDAC2を1つのバイアルのアッセイバッファー:50mMトリス、pH8.0、1mMのDTT、150mMのNaCl、および0.01%のツイーン20中に希釈する。成分を30分間、プレインキュベートした後、少量のレポータープローブ(Proteros)を高度濃縮ストックから添加し、インキュベーションをさらに30分間継続する。レポータープローブを添加後の最終濃度は、20nMのHDAC2、4nMの抗体、および180nMのプローブとなる。

予め形成された複合体の10μl/ウエルを384ウエルアッセイプレート(Corning)に移す。プロファイル解析される化合物は、1x101〜5.7x10−5mMの範囲で、DMSO中で系列希釈され、ピンツールトランスファー(CybiWell,Cybio)によりアッセイプレートに添加される。蛍光強度シグナルは、4時間後に、Pherastar FS(BMG Labtech)により337/665nmで読み取られる。

Kdの決定のために、それぞれの化合物濃度に対し、プローブ置換値%が計算され、化合物濃度に対してプロットされる。IC50様値(50%のプローブ置換に対応する)が、標準的フィッティングアルゴリズムを使って計算される。レポータープローブはそれ自身のKd値を反映する濃度で使用されるので、化合物Kd値は、Cheng Prusoffの式に従って計算できる。

本発明にて有用な化合物に対するこのアッセイの結果を下表4に示す。表中で、「A」は0.1μM未満のKd値;「B」は0.1μM〜0.5μMのKd値;「C」は0.5μMより大きく、5.0μM以下のKd値;および「D」は5.0μMより大きいKd値を示す。

実施例54.酵素および細胞アッセイ HDAC酵素アッセイ 全ての組換え型ヒトHDACをBPS Bioscienceから購入した。基質であるFAM−TSRHK(AC)KL−CONHは、NanoSynで合成した。最終的アッセイ反応物は次記を含んでいた:100mMヘペス(pH7.5)、50mMのKCl、0.1%BSA、0.01%トリトンX−100、1%DMSO、1uM基質および5nMのHDAC酵素。酵素および化合物を25℃で5時間プレインキュベートし、基質の添加により反応を開始した。10uLの反応物を25℃で17時間インキュベートし、100mMヘペス(pH7.5)、0.1%BSA、0.01%トリトンX−100および0.05%SDSを含む40uLの緩衝液の添加により終了させた。それぞれの試料中に存在する基質および生成物ペプチドを、LabChip3000キャピラリー電気泳動装置を使って、電気泳動により分離した。基質および生成物のピークの相対的蛍光強度の変化は酵素活性を反映している。反応の進行を積和比率(SPR):P/(S+P)として決定した。式中、Pは生成物ペプチドのピーク高さであり、Sは基質ペプチドのピーク高である。反応は、12種の濃度(30uMから始まる3X系列希釈)で2回繰り返して実施した。4パラメータロジスティックモデルを使って、IC50値を計算した。

細胞培養および阻害剤処理 SH−SY5Y細胞(Sigma)を10%ウシ胎仔血清およびpen/strepを補充したイーグルの修飾基本培地中で培養した。化合物の注入の24時間前に、ホワイト384ウエルプレートに1,500細胞/ウエルの密度で20uLの細胞を播種した。未希釈のDMSO中に化合物を系列希釈した後、FBSなしで培地中に1:100v/vに希釈し、混合した。培地を播種した細胞から除去し、無血清培地中に希釈した化合物(1%v/v最終DMSO)を加え、37℃で5時間インキュベートした。次に、0.1%のトリトンX−100を含む10uLのHDAC−Glo2試薬を加え、プレートを混合し、室温で100分間発光させた。その後、0.4秒の積分時間を採用したSpectramax LMaxルミノメーターを使ってプレートを読み取った。正規化データを用いて用量反応曲線を構築した。ここで、100uMのCI−994を100%阻害、DMSO単独を0%阻害と定義した。

「A」は0.1μM未満のIC50またはEC50値;「B」は0.1μM〜0.5μMのIC50またはEC50値;「C」は0.5μMより大きく、5.0μM以下のIC50またはEC50値;および「D」は5.0μMより大きいIC50またはEC50値を示す。

モリス水迷路試験 本明細書で記載の化合物(例えば、式I、IIによる化合物、または化合物100〜128のいずれかまたは表2もしくは3のいずれかの化合物)は、モデル行動パラダイムであるモリス水迷路試験におけるその効力に関し、後述の通り試験できる。

水迷路試験は、最初はMorrisらにより設計された(J Neurosci Methods.1984;11:47−60)。試験は、25.0±1.0℃の透明な水を満たした大きな暗色のタンク(直径200cm)中で実施した。水没した台(正方形台:10x10cm;水面下15cm)をNW四分円の中央に配置した。N、NE、E、SE、S、SW、W、NWと標識したスタート位置を、プールの縁上に任意に配置する。スタート点の1つで、ラットをその鼻を壁に向けてプールに入れる。台位置(NW)に隣接する解放点は使用されない。

最初、化合物処理の開始前に、視認可能な台の予備訓練を実施して、何らかの認知と関連しない動作障害(例えば、視力障害および/または水泳障害)が存在するかどうかを判断する。これは、場所テスト(place trial)またはプローブテスト(probe trial)に関する動作に影響を与える可能性がある。全てのラットは1日に15分の間隔をあけて4つのテストを受ける。それぞれのテストで、ラットは、水泳プール中の定位置に壁に面して配置され、水面上20cmにランダムに配置されたロッド(キュー)を備えた台に向かって泳がされる。ラットは台を見つけるまでに60秒を与えられ、その上に15秒間載ったまま留まった後、プールから取り出される。ラットが60秒以内に台を見つけられない場合には、ラットは台に優しく誘導され、そこに15秒間留まらせられる。それぞれのラットのキュー台に到達する時間、泳いだ距離、接触走性、および水泳速度が記録される。視認可能な台の予備訓練が完了後、データが解析され、ラットは予備訓練成績に基づいて、異なる処理群に割付けられる。この手順は、それぞれの処理群が、キュー方式(cued version)の水迷路試験において、良好および不十分な成績の両方の動物から均等に構成されることを確実にするために実施される。

習得訓練−1週目:キューテストの完了後、習得(場所)テストを実施し、遠方のキューと逃避台(水没し、キューロッドなし)との間の空間的関係を学習するラットの能力を判定する。この台は全場所テストに対し同じ位置のままである。スタート点は無作為化される(NWは使用されない)。ラットは毎日4つのテスト(15分のテスト間隔、各テストは最大60秒)を4日間受ける。潜時、経路長、接触走性および水泳速度が記録される。

習得訓練−2週目:第2セットの習得テストを実施し、遠方のキューと逃避台(水没し、キューロッドなし)との間の空間的関係を学習するラットの能力を判定した。この台は全場所テストに対し同じ位置のままである。スタート点は無作為化される(NWは使用されない)。ラットは毎日4つのテスト(15分のテスト間隔、各テストは最大60秒)を4日間受ける。潜時、経路長、接触走性および水泳速度が記録される。

プローブテスト:最後の場所テスト後、単一のプローブテストを24時間実施して、記憶保持能力を評価する。台を水迷路から取り除き、台が前に配置されていた位置と反対側の四分円中でラットの水泳を開始させる。ラットは、プローブテストの間、60秒間泳がされる。プローブテスト中、標的四分円および標的台環(台のまわりの直径36cmの環状領域)中で過ごした時間、ならびに標的台の位置を横切った時間を測定する(記憶保持)。

行動試験の完了後、ラットを屠殺し、さらなる分析のために組織を収集する。血液を収集し、処理して末梢単核細胞および血漿を得る。細胞のアセチル化標識の測定を行い、化合物がHDAC2活性を阻害していたことを実証できる。血漿を凍結して、後で行う質量分析により化合物の存在に関しアッセイすることができる。脳を収集し、小脳および海馬に切開することができる。小脳を凍結して、後でホモジナイズして、化合物を抽出し、質量分析により測定できる。

海馬脳組織を処理して、遺伝子発現分析用にRNAを抽出できる。組織をリン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄できる。製造業者の説明書にしたがって、RNAをRNeasy単離キット(Qiagen)を使って単離できる。RNAは30μlのRNアーゼ不含水で溶出される。単離したRNAの濃度は、NanoDropにより測定できる。iScriptキット(BioRad)を用い、製造業者の説明書にしたがって、RNAをcDNAに変換できる。試料当たり800ngのRNAを使用した。cDNA合成後、ミリQ水を使って、DNAを1:5に希釈した。SSo advanced supermix(BioRad)を使って、定量的PCRを行った。反応をホワイト96ウエルプレートで実施でき、それぞれの反応物には、1μlのテンプレート、0.75μlのプライマーミックス(順方向および逆方向、両方10μM)、5.75μlの水および7.5μlのSSo SYBR green advanced supermixを含めた。検出をCFX Connect Instrument(Biorad)で行うことができる。これらの調査では、次の遺伝子に対する遺伝子特異的プライマーを使用できる:GAPDH−グリセルアルデヒド−3−ホスフェート脱水素酵素:BDNF−脳由来神経栄養因子:GRIN2AおよびGRIN2B グルタミン酸受容体N−メチル D−アスパラギン酸結合タンパク質1&2:CDK5−サイクリン依存性キナーゼ5:HOMER1:GRIA1およびGRIA2−グルタミン酸受容体、AMPA1&2:EGR1−初期増殖応答因子1:NEFL−神経フィラメント、ライトポリペプチド:SYT1−シナプトタグミン1:SYP−シナプトフィジン。値はGAPDHの発現レベルに正規化できる。各アッセイで、各試料の3回の反復実験を行うことができ、反復実験の平均を統計的に有意な変化を比較できる。

末梢血単核球をFicoll−Paque Plus(GE Healthcare)を使って単離でき、さらに、HDCA2阻害剤で処理後に、アセチル化標識を調べることができる。血液細胞を溶解して、プロテイナーゼ(complete、Roche)およびホスファターゼ阻害剤(1mM β−グリセロホスフェート、10mM NaF、0.1mM Na3VO4)を含む13RIPA緩衝液を使ってタンパク質を抽出でき、その後、PVdF膜(BioRad)上に転写して、ストリッピングバッファー(Thermo Scientific)を用いてストリッピングできる。次の一次抗体を使用できる:アセチル−K(Cell Signaling)およびアクチン(Sigma)。二次抗体は、西洋ワサビペルオキシダーゼ結合(GE Healthcare)とした。シグナル強度をImageJ 1.42qを使って定量化し、アクチンの値に正規化できる。

我々は、本発明の多くの実施形態を記載してきたが、我々の基本的な実施例を変更して、本発明の化合物および方法を利用する他の実施形態を提供し得ることは明らかである。したがって、本発明の範囲は、例として提示されている特定の実施形態によってではなく、添付の特許請求の範囲により定められるべきであることは理解されよう。

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