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Gal2輸送体のバリアントおよびその使用

阅读:502发布:2021-12-01

专利汇可以提供Gal2輸送体のバリアントおよびその使用专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且本発明は、T354に対応する 位置 における少なくとも1つのアミノ酸置換、および任意選択でさらなるアミノ酸置換(複数可)を含むGal2バリアントであるポリペプチドに関する。本発明は、さらに、ポリペプチドをコードする核酸分子および前記核酸分子を含有する宿主細胞に関する。本発明は、さらに、バイオエタノールおよび/または他のバイオベース化合物を産生するための方法であって、前記核酸分子を、好ましくは前記宿主細胞において発現させることを含む方法に関する。本発明は、バイオエタノールおよび/もしくは他のバイオベース化合物を産生するため、ならびに/または、ペントース(複数可)、好ましくはD−キシロースおよび/もしくはL−アラビノースを含有するバイオマテリアルの組み換え発酵を行うための、ポリペプチド、核酸分子または宿主細胞の使用にも関する。,下面是Gal2輸送体のバリアントおよびその使用专利的具体信息内容。

配列番号1のアミノ酸配列のT354に対応する位置における少なくとも1つのアミノ酸置換を含むポリペプチドであって、 前記ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも60%または好ましくは少なくとも70%もしくは80%もしくは90%もしくは95%の配列同一性を有し、かつ 前記ポリペプチドは、in vitroおよび/またはin vivoにおけるペントース輸送機能を有する、ポリペプチド。Saccharomyces cerevisiaeのGal2である、請求項1に記載のポリペプチド。配列番号1のアミノ酸配列のT354に対応する位置における前記アミノ酸置換がT354Aである、請求項1または2に記載のポリペプチド。配列番号1のアミノ酸配列のV71に対応する位置におけるさらなるアミノ酸置換、例えばアミノ酸置換V71Iを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のポリペプチド。T354に対応する位置における前記アミノ酸置換により、前記in vitroおよび/またはin vivoにおけるペントース輸送機能の活性が、そのようなアミノ酸置換を有さない前記ポリペプチドと比較して増大する、請求項1から4のいずれか一項に記載のポリペプチド。T354に対応する位置における前記アミノ酸置換(複数可)により、ペントース(複数可)に対する前記ポリペプチドの親和性が、そのようなアミノ酸置換を有さない前記ポリペプチドと比較して増大する、請求項1から5のいずれか一項に記載のポリペプチド。前記ペントースが、D−キシロースおよび/またはL−アラビノースである、請求項1から6のいずれか一項に記載のポリペプチド。請求項1から7のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードする核酸分子。ベクター核酸配列、好ましくは発現ベクター配列をさらに含み、かつ/またはプロモーター核酸配列およびターミネーター核酸配列を含み、かつ/または他の調節核酸配列を含み、 かつ/またはここで前記核酸分子は、dsDNA、ssDNA、PNA、CNA、RNAもしくはmRNAもしくはこれらの組合せを含む、 請求項8に記載の核酸分子。請求項8または9のいずれか一項に記載の核酸分子を含有し、好ましくは前記核酸分子を発現する宿主細胞であって、 ここで、前記宿主細胞は、好ましくは真菌細胞、より好ましくは酵母細胞、例えば、Saccharomyces種、Kluyveromyces sp.、Hansenula sp.、Pichia sp.またはYarrowia sp.である、宿主細胞。Saccharomyces cerevisiae種に属する、請求項10に記載の宿主細胞。請求項8または9に記載の核酸分子を含有しない細胞と比較してD−キシロースおよび/またはL−アラビノースの取り込み速度が上昇している、請求項10または11に記載の宿主細胞。− キシロース代謝経路のタンパク質(好ましくはキシロースイソメラーゼおよびキシルロキナーゼ)をコードする核酸分子、 ならびに/または − アラビノース代謝経路のタンパク質(好ましくはアラビノースイソメラーゼ、リブロキナーゼ、リブロース−5−P 4−エピメラーゼ)をコードする核酸分子 をさらに含有する、請求項10から12のいずれか一項に記載の宿主細胞。請求項8または9に記載の核酸分子を含有しない細胞と比較して、D−キシロースおよび/もしくはL−アラビノースの消費速度が増大しており、かつ/またはD−キシロースおよび/もしくはL−アラビノースを用いた成長速度がより速い、請求項13に記載の宿主細胞。バイオエタノールおよび/または他のバイオベース化合物を産生するための方法であって、請求項8または9に記載の核酸分子を、好ましくは請求項10から14のいずれか一項に記載の宿主細胞において、発現させることを含む、方法。バイオエタノールおよび/もしくは他のバイオベース化合物を産生するため、ならびに/または、ペントース(複数可)、好ましくはD−キシロースおよび/もしくはL−アラビノースを含有するバイオマテリアルの組み換え発酵を行うための、請求項1から7のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項8もしくは9に記載の核酸分子、または請求項10から14のいずれか一項に記載の宿主細胞の使用。前記他のバイオベース化合物が、以下: 1−ブタノール、イソブタノール、2−ブタノール、他のアルコール、 乳酸、酢酸、コハク酸、リンゴ酸、他の有機酸 アミノ酸、アルカン、テルペン、イソプレノイド、溶媒、医薬化合物、 ビタミン から選択される、請求項15に記載の方法または請求項16に記載の使用。

说明书全文

本発明は、T354に対応する位置における少なくとも1つのアミノ酸置換、および任意選択でさらなるアミノ酸置換(複数可)を含むGal2バリアントであるポリペプチドに関する。本発明は、さらに、ポリペプチドをコードする核酸分子および前記核酸分子を含有する宿主細胞に関する。本発明は、さらに、バイオエタノールおよび/または他のバイオベース化合物(bio−based compound)を産生するための方法であって、前記核酸分子を、好ましくは前記宿主細胞において発現させることを含む方法に関する。本発明は、バイオエタノールおよび/もしくは他のバイオベース化合物を産生するため、ならびに/または、ペントース(複数可)、好ましくはD−キシロースおよび/もしくはL−アラビノースを含有するバイオマテリアルの組み換え発酵を行うための、ポリペプチド、核酸分子または宿主細胞の使用にも関する。

ビール酵母、ワイン酵母およびパン酵母であるSaccharomyces cerevisiaeは、糖を発酵させてエタノールおよび二酸化炭素を生じさせるその特徴のために、数世紀にわたってパン、ワインおよびビールの生産に使用されてきた。バイオテクノロジーにおいては、S.cerevisiaeは、特に、異種タンパク質の産生に加えて、工業目的のエタノール産生において使用されている。エタノールは、工業の多数の支流において合成の最初の基質として使用されている。油の存在の不足が増していること、油の価格が上昇していること、および世界的にガソリンの必要性が継続的に増していることに起因して、代替燃料としてのエタノールの重要性が増している。さらに、S.cerevisiaeは、イソブタノール、コハク酸、ファルネセン/ファルネサンまたはアルテミシニンのような他のバイオ燃料または価値のある生化学的化合物の産生のためにも使用されている。

価格が好都合なものであり、かつ効率的なバイオ燃料の産生を可能にするために、例えば、麦わら、木材産業および農業の廃棄物、ならびに日常の家庭の廃棄物の有機成分などの、リグノセルロースを含有するバイオマスの使用が最初の基質として提示される。第1に、前記バイオマスは、非常に都合のよいものであり、第2に、多量に存在する。リグノセルロースの3つの主要な成分は、リグニン、セルロースおよびヘミセルロースである。ヘミセルロースは、セルロースに次いで、2番目に頻繁に存在するポリマーであり、高度に分枝したヘテロポリマーである。ヘミセルロースは、ペントース(L−アラビノース、D−キシロース)、ウロン酸(4−O−メチル−D−グルクロン酸、D−ガラクツロン酸)およびヘキソース(D−マンノース、D−ガラクトース、L−ラムノース、D−グルコース)からなる。ヘミセルロースはセルロースよりも容易に加分解することができるが、酵母S.cerevisaeが通常変換することができないペントースL−アラビノースおよびD−キシロースを含有する。

発酵にペントースを使用できるようにするためには、これらをまず、原形質膜を通して細胞に侵入させなければならない。S.cerevisiaeはD−キシロースもL−アラビノースも代謝することができないが、D−キシロースまたはL−アラビノースを細胞内に取り込むことはできる。しかし、S.cerevisiaeは、特異的な輸送体を有さない。輸送は、ヘキソース輸送体によって起こる。しかし、輸送体のD−キシロースに対する親和性はD−グルコースに対するものよりも明確に低い(KotterおよびCiriacy、1993年)。例えばP.stipitis、C.shehataeまたはP.tannophilusなどの、D−キシロースを代謝することができる酵母では(Du Preezら、1986年)、D−グルコースを輸送する非特異的な低親和性輸送体と、D−キシロースのみに対する特異的な高親和性プロトン共輸送体の両方が存在する(Hahn−Hagerdalら、2001年)。

以前の実験において、例えばCandida tropicalis、Pachysolen tannophilus、Pichia stipitis、Candida shehataeなどの、生来D−キシロースもしくはL−アラビノースを発酵させるか、または少なくとも同化することができる酵母がいくつか見いだされた。しかし、これらの酵母は、L−アラビノースおよびD−キシロースを発酵させてエタノールを生じさせる能を完全に欠く、または非常に低いエタノール収量しか有さない(Dienら、1996年)。さらに、D−キシロースおよびL−アラビノースの取り込みに関してはほとんど分かっていない。酵母C.shehataeでは、プロトン共輸送が仮定される(LucasおよびUden、1986年)。S.cerevisiaeでは、ガラクトース透過酵素Gal2から、それによりD−キシロースを輸送することが可能であるが、D−ガラクトースと構造が非常に類似したL−アラビノースも輸送されることが公知である(Kouら、1970年)。大多数のヘキソース輸送体は、D−キシロースの取り込みを媒介することができる。

とりわけ酵母株Pichia stipitisの種々の遺伝子をS.cerevisiaeの遺伝子改変のために使用した、S.cerevisiaeのバイオテクノロジーにより改変された酵母株におけるペントースのアルコール発酵が、近年、特にキシロースの発酵と関連して記載されている。工学操作(engineering)は、ここでは、特に、最初のキシロース同化のための遺伝子をキシロース発酵酵母であるPichia stipitisから、S.cerevisiaeに、すなわちヘキソースからのエタノール産生に伝統的に使用されている酵母に導入することに集中している(Jinら、2004年)。

Jeppsonら(2006年)は、天然にキシロースを使用する酵母Pichia stipitisおよびCandida shehataeにおけるものと同様であるか、または細菌代謝経路と同様であるキシロース代謝経路を導入することによる、S.cerevisiaeによるキシロース発酵について記載している。

Katahiraら(2006年)は、燃料バイオエタノールの産生のための重要な材料として木材チップなどのリグノセルロースバイオマスの硫酸加水分解産物を記載している。この研究では、キシロースおよびセロオリゴ糖を発酵させることができる組み換え酵母株が構築された。このために、すなわち、Pichia stipitis由来のキシロースレダクターゼおよびキシリトールデヒドロゲナーゼ、ならびにS.cerevisiae由来のキシルロキナーゼの細胞間発現のため、ならびにAspergillus acleatus由来のベータ−グルコシダーゼの細胞表面上への提示のために、種々の遺伝子がこの酵母株に組み込まれた。木材チップの硫酸加水分解産物の発酵では、キシロースおよびセロオリゴ糖が組み換え株によって36時間後に完全に発酵された。

Pitkanenら(2005年)は、キシロースレダクターゼおよびキシリトールデヒドロゲナーゼをコードするPichia stipitisの遺伝子ならびに内在性キシルロキナーゼをコードする遺伝子を過剰発現するS.cervisiae株のキシロースケモスタット分離株の入手および特徴付けについて記載している。分離株は、単一のまたは主要な炭素源としてのキシロースについての好気性ケモスタット培養物から得られた。30g/lのキシロースを伴う最少培地での好気条件下で、ケモスタット分離株の成長速度は、元の株の成長速度の3倍であった(0.05h−1と比較して0.15h−1)。キシロース取り込み速度はほぼ2倍に上昇した。ペントースリン酸代謝経路の重要な酵素(トランスケトラーゼ、トランスアルドラーゼ)の活性は2倍に上昇した一方、それに従って、それらの基質(ペントース−5−リン酸、セドヘプツロース−7−リン酸)の濃度は低下した。

Bratら(2009年)は、推定キシロースイソメラーゼをコードする配列について核酸データベースをスクリーニングし、最終的に、嫌気性細菌Clostridium phytofermentans由来の高度に活性な新しい種類のキシロースイソメラーゼをクローニングし、S.cerevisiaeにおいて首尾よく発現させることができた。この酵素の異種発現により、酵母細胞にD−キシロースを代謝する能力およびそれを唯一の炭素源およびエネルギー源として使用する能力が付与される。

Demekeら(2013年)は、D−キシロースイソメラーゼ、およびペントースリン酸経路の酵素をコードするC.phytofermentans xylAを含めた13種の遺伝子を含有する発現カセットを開発し、カセットを工業用S.cerevisiae株であるEthanol Redのゲノムに2コピーで挿入した。その後のEMS変異誘発、ゲノムシャッフリングおよびD−キシロース富化リグノセルロース加水分解産物における選択、続いてD−キシロースを伴う複合培地中での多数ラウンドの進化的な工学操作により、高度に効率的なD−キシロース発酵が徐々に確立された。

BeckerおよびBoles(2003年)は、成長のためにL−アラビノースを使用し、それを発酵してエタノールを生じさせることができるS.cerevisiaeの実験室株の工学操作および選択について記載している。これは、Bacillus subtilis AraAならびにEscherichia coli AraBおよびAraDからなる細菌のL−アラビノース代謝経路を過剰発現させること、ならびに、酵母株においてL−アラビノースを輸送する酵母ガラクトース透過酵素を同時に過剰発現させることによって可能であった。選択された株の分子解析から、L−アラビノースの使用のため予め決定された前提条件が、L−リブロキナーゼのより低い活性であることが示された。しかし、とりわけ、この酵母株では非常に遅い成長が報告されている。

WiedemannおよびBoles(2008年)は、Bacillus licheniformis由来のL−アラビノースイソメラーゼならびにEscherichia coli由来のL−リブロキナーゼおよびL−リブロース−5−P 4−エピメラーゼのコドン最適化された遺伝子を発現させることにより、L−アラビノース変換速度が強力に改善されたことを示している。

Farwickら(2014年)は、もはやグルコースによって阻害されないペントース輸送体のスクリーニングおよび工学操作のための新しいシステムを開発した。このシステムは、全てのヘキソース輸送体および全てのヘキソ/グルコキナーゼが欠失したD−キシロース発酵酵母株(hxt0 hxk0株)に基づくものであった。D−グルコースはもはや炭素源として使用され得ないが、輸送レベルでD−キシロース利用に干渉する。結果として、漸増濃度のD−グルコースの存在下でD−キシロースの取り込みを可能にする変異体輸送体を容易に選択することができた。進化的な工学操作および変異誘発手法においてこのシステムを使用して、著者らは、S.cerevisiaeヘキソース輸送体から特異的なD−キシロース輸送体を生成することができた。これらの変異体輸送体のいくつかは、ガラクトース輸送体Gal2のN376に対応する位置における交換を有した。しかし、これらは、グルコースに対する耐性を証明したが、大半で、キシロース取り込み速度が低下した。

WO 2008/080505 A1には、酵母細胞がL−アラビノースを取り込めるようにする、Pichia stipitis由来のアラビノース輸送体が開示されている。EP 11 001 841.3には、ペントース発酵酵母を構築するための植物Arabidopsis thalianaの特異的なアラビノース輸送体が開示されている。

WO 2012/049170 A2およびWO 2012/049173 A1には、他の核酸のなかでも、輸送体をグルコースの阻害効果に対して耐性にするGal2のT219位置におけるアスパラギンへの変異またはN376におけるセリンへの変異を含む、アラビノース透過酵素活性を有するポリペプチドを含有し発現するペントースおよびグルコース発酵酵母細胞が開示されている。

国際公開第2012/049170号

国際公開第2012/049173号

ペントースに対するより高い親和性および/またはより高い活性を、特にグルコース耐性と組み合わせて有し、低ペントース濃度においてさえもD−キシロースおよび/またはL−アラビノースを酵母細胞などの細胞に高い取り込み速度で特異的に取り込ませること、したがって、特に、グルコースが同時に存在する中で、ペントース、特にD−キシロースおよび/またはL−アラビノースの利用および発酵を促進することを可能にする特異的なペントース輸送体、特に、特異的なD−キシロース輸送体が当技術分野で依然として必要とされている。

したがって、本発明の目的は、D−キシロースおよび/またはL−アラビノースなどのペントース(複数可)をより高い活性および/またはより高い親和性で輸送する、改善されたかつ/またはより特異的な輸送体を提供することである。

本発明によると、この目的は、配列番号1のアミノ酸配列のT354に対応する位置における少なくとも1つのアミノ酸置換を含むポリペプチドであって、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも60%または好ましくは少なくとも70%もしくは80%もしくは90%もしくは95%の配列同一性を有し、in vitroおよび/またはin vivoにおけるペントース輸送機能を有するポリペプチドによって解決される。

本発明によると、この目的は、本発明のポリペプチドをコードする核酸分子によって解決される。

本発明によると、この目的は、本発明の核酸分子を含有し、好ましくは前記核酸分子を発現する宿主細胞であって、好ましくは真菌細胞、より好ましくは酵母細胞、例えば、Saccharomyces種、Kluyveromyces sp.、Hansenula sp.、Pichia sp.またはYarrowia spである宿主細胞によって解決される。

本発明によると、この目的は、バイオエタノールおよび/または他のバイオベース化合物を産生するための方法であって、本発明による核酸分子を、好ましくは本発明による宿主細胞において発現させることを含む方法によって解決される。

本発明によると、この目的は、本発明によるポリペプチド、本発明による核酸分子、または本発明による宿主細胞を、バイオエタノールおよび/もしくは他のバイオベース化合物を産生するため、ならびに/または、ペントース(複数可)、好ましくはD−キシロースおよび/もしくはL−アラビノースを含有するバイオマテリアルの組み換え発酵を行うために使用することによって解決される。

本発明を以下により詳細に記載する前に、本明細書に記載されている特定の方法体系、プロトコールおよび試薬は変動し得るので、本発明はこれらに限定されないことが理解されるべきである。本明細書において使用される用語法は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることも理解されるべきである。別段の定義のない限り、本明細書において使用される全ての技術用語および科学用語は、当業者に一般に理解されるものと同じ意味を有する。本発明の目的に関して、本明細書において引用された全ての参考文献は、それらの全体が参照により組み込まれる。

Gal2バリアント 上記の通り、本発明は、Gal2バリアントを提供する。

特に、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列のT354に対応する位置における少なくとも1つのアミノ酸置換を含むポリペプチドを提供する。

本発明のポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも60%または好ましくは少なくとも70%もしくは80%もしくは90%もしくは95%の配列同一性を有し、in vitroおよび/またはin vivoにおけるペントース輸送機能を有する。

本発明のポリペプチドは、Saccharomyces cerevisiaeのGal2であることが好ましい。

配列番号1は、CEN.PK2−1CおよびCEN.PK113−7DのGal2の野生型タンパク質またはアミノ酸配列である。

CEN.PK2−1CのGal2は、574アミノ酸のタンパク質である。http://www.yeastgenome.org/cgi−bin/FUNGI/getSeq.pl?seq=YLR081W_CEN.PK113−7D

本発明によるポリペプチド、好ましくはGal2バリアントは、配列番号1のアミノ酸配列、または配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも60%同一、好ましくは少なくとも70%同一、より好ましくは少なくとも80%同一、なお一層好ましくは少なくとも90%同一、さらに一層好ましくは95%同一、さらに一層好ましくは99%同一であるアミノ酸配列のT354に対応する位置における少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。

本明細書で使用される場合、「に対応する位置における」という用語は、配列番号1におけるそれぞれの位置を意味するが、関連するポリペプチド鎖において、それは、別の相対的な位置番号を有し得る。等価の置換は、比較のためにアラインメントすることができる両方の配列における位置を比較することによって決定することができる。アミノ酸の相対的な位置は、関連するポリペプチドの長さが異なること、または関連するポリペプチドにおけるアミノ酸の欠失もしくは付加に起因して変動し得る。

本発明によるポリペプチド、好ましくはGal2バリアントは、in vitroおよび/またはin vivoにおけるペントース輸送機能、特に、in vitroおよび/またはin vivoにおけるD−キシロースおよび/またはL−アラビノース輸送機能を有する。

ペントースは、D−キシロースおよび/またはL−アラビノースであることが好ましい。

本明細書で使用される場合、別段の指定がなければ、「キシロース」という用語はD−キシロースと同じものを意味し、「アラビノース」という用語はL−アラビノースと同じものを意味し、「グルコース」という用語はD−グルコースと同じものを意味する。

本明細書で使用される場合、「パーセント(%)同一」という用語は、2つのアミノ酸配列間の配列同一性を指す。同一性は、比較のためにアラインメントすることができる両方の配列における位置を比較することによって決定することができる。比較される配列内の等価の位置が同じアミノ酸によって占められている場合、分子はその位置において同一であるとみなされる。

本明細書で使用される場合、「機能的等価物」という用語は、配列番号1のアミノ酸配列と100%同一ではなく、配列番号1のアミノ酸配列を有するタンパク質と比較して、タンパク質の活性または機能を変更または変化させないアミノ酸の付加および/または挿入および/または欠失および/または置換および/または交換を含むアミノ酸配列を指す、すなわち、「機能的等価物」は、例えば、保存的アミノ酸置換またはより小さな欠失および/もしくは挿入がin vitroおよび/またはin vivoにおけるL−アラビノース輸送機能に実質的に影響を及ぼさない限り、これらの改変を有するアミノ酸配列を包含する。

一般に、タンパク質のアミノ酸配列内のいくつかのアミノ酸の交換は、そのタンパク質の(二次または三次)構造、機能および/または活性に影響を及ぼさないという事実は、当業者には知られている。本明細書に開示されているアミノ酸配列と比較してそのような「中性」のアミノ酸の交換を伴うアミノ酸配列は、本発明の範囲内に入る。

好ましい実施形態では、配列番号1のT354に対応する位置における少なくとも1つのアミノ酸置換を含む本発明によるポリペプチド、好ましくはGal2バリアントは、アミノ酸置換T354Aを含む。

T354に対応する位置におけるアミノ酸置換により、in vitroおよび/またはin vivoにおけるペントース輸送機能の活性が、そのようなアミノ酸置換(複数可)を有さないポリペプチドと比較して増大することが好ましい。

T354に対応する位置におけるアミノ酸置換により、ポリペプチドのペントース(複数可)に対する親和性が、そのようなアミノ酸置換(複数可)を有さないポリペプチドと比較して増大することが好ましい。

− さらなるアミノ酸置換(複数可) 一実施形態では、本発明によるポリペプチド、好ましくはGal2バリアントは、さらなるアミノ酸置換(複数可): 好ましくは配列番号1のアミノ酸配列のV71に対応する位置におけるアミノ酸置換(複数可) を含む。

前記さらなるアミノ酸置換は、V71Iであることが好ましい。 本発明は、好ましくは、以下のポリペプチド/Gal2バリアント: − T354A − T354A/V71I を提供する。

核酸分子 上記の通り、本発明は、本発明によるポリペプチドをコードする核酸分子を提供する。

一実施形態では、本発明の核酸分子は、 − ベクター核酸配列、好ましくは発現ベクター配列、 ならびに/または、 − プロモーター核酸配列およびターミネーター核酸配列 をさらに含み、 かつ/または、 − 他の調節核酸配列を含む。

一実施形態では、本発明の核酸分子は、dsDNA、ssDNA、PNA、CNA、RNAまたはmRNAまたはこれらの組合せを含む。

本発明による核酸分子は、(本発明によるアミノ酸置換(複数可)の追加以外は)天然に存在する核酸配列と同一であるかまたは宿主細胞における使用に関してコドン最適化された、核酸配列を含むことが好ましい。

本発明に従って使用される核酸分子は、核酸発現構築物であることが好ましい。

本発明による核酸発現構築物は、例えば、本発明による核酸分子を含む発現カセット、または本発明による核酸分子もしくは発現カセットを含む発現ベクターである。

核酸発現構築物は、本発明のポリペプチド(複数可)をコードする核酸配列と作動可能に連結したプロモーター配列およびターミネーター配列などの調節配列を含むことが好ましい。

核酸発現構築物は、5’および/もしくは3’認識配列ならびに/または選択マーカーをさらに含んでよい。

宿主細胞 上記の通り、本発明は、本発明による核酸分子を含有する宿主細胞を提供する。

本発明の宿主細胞は、前記核酸分子を発現することが好ましい。

好ましくは、本発明による宿主細胞は、真菌細胞、より好ましくは酵母細胞である。

酵母細胞は、Saccharomyces種、Kluyveromyces sp.、Hansenula sp.、Pichia sp.またはYarrowia sp.の群より選択される属のメンバーであることが好ましい。

酵母細胞は、S.cerevisiae、S.bulderi、S.barnetti、S.exiguus、S.uvarum、S.diastaticus、K.lactis、K.marxianus、K.fragilis、H.polymorpha、P.pastorisおよびY.lipolyticaの群より選択される種のメンバー、例えば、S.cerevisiae、K.lactis、H.polymorpha、P.pastorisまたはY.lipolyticaであることがより好ましい。

好ましい実施形態では、宿主細胞は、Saccharomyces cerevisiae種に属する。

本発明のポリペプチド(好ましくはGal2バリアント(複数可))をコードする核酸分子/配列が宿主細胞(好ましくは酵母細胞)において発現されると、宿主細胞に、D−キシロースおよび/またはL−アラビノースを取り込む能力が付与され、これらは、その後、さらに代謝され得る。これを通じて、細胞は、D−キシロースおよび/またはL−アラビノースを炭素源として成長することができる。

宿主細胞(好ましくは酵母細胞)は、本発明による核酸分子を含有しない細胞と比較してD−キシロースおよび/またはL−アラビノースの取り込み速度が上昇していることが好ましい。

好ましい実施形態では、本発明の宿主細胞(好ましくは酵母細胞)は、 −キシロース代謝経路のタンパク質(好ましくはキシロースイソメラーゼおよびキシルロキナーゼ)をコードする核酸分子、 ならびに/または、 − アラビノース代謝経路のタンパク質(好ましくはアラビノースイソメラーゼ、リブロキナーゼ、リブロース−5−P 4−エピメラーゼ)をコードする核酸分子 さらに含有する。

そのような宿主細胞は、 − D−キシロースおよび/もしくはL−アラビノース利用速度の上昇 ならびに/または、 − 本発明による核酸分子を含有しない細胞と比較して、D−キシロースおよび/もしくはL−アラビノースを用いたより速い成長速度 を有することが好ましい。

例えば、本発明の宿主細胞(好ましくは酵母細胞)は、アラビノース代謝経路のタンパク質、特に、アラビノースイソメラーゼ、リブロキナーゼ、リブロース−5−P 4−エピメラーゼをコードする核酸分子をさらに含有してよい。

細菌のアラビノース代謝経路のタンパク質、特に、E.coli araB L−リブロキナーゼ、E.coli araD L−リブロース−5−P 4−エピメラーゼ、およびB.licheniformis araA L−アラビノース−イソメラーゼが好ましい。

好ましい実施形態では、本発明による宿主細胞(好ましくは酵母細胞)を遺伝子araA(L−アラビノース−イソメラーゼ)、araB(L−リブロキナーゼ)およびaraD(L−リブロース−5−P−4−エピメラーゼ)の導入および発現によって改変し、さらに、例えば、EP 1 499 708 B1において本発明者らにより記載されている通り、TAL1(トランスアルドラーゼ)遺伝子を過剰発現させ、これに加えて、本発明による核酸分子を少なくとも1つ含有させる。

酵母細胞の意図された使用に応じて、前記酵母細胞に、トランスアルドラーゼTAL1および/もしくはTAL2、トランスケトラーゼTKL1および/もしくはTKL2、D−リブロース−5−リン酸3−エピメラーゼRPE1、リボース−5−リン酸ケトール−イソメラーゼRKI1、または同じ酵素活性をコードする他の生物体由来の対応する配列などの、さらなるタンパク質をコードするさらなる核酸配列を含有、発現または過剰発現させることができる。

例えば、本発明の宿主細胞(好ましくは酵母細胞)に、キシロース代謝経路のタンパク質、特にキシロースイソメラーゼおよびキシルロキナーゼをコードする核酸分子をさらに過剰発現させることができる。

Clostridium phytofermentansまたはPiromyces xylAキシロースイソメラーゼおよびS.cerevisiae XKS1キシルロキナーゼが好ましい。

好ましい実施形態では、本発明による宿主細胞(好ましくは酵母細胞)を、遺伝子xylA(キシロースイソメラーゼ)、XKS1(キシルロキナーゼ)の導入および/または過剰発現によって改変し、さらに、TAL1(トランスアルドラーゼ)遺伝子を過剰発現させる。

酵母細胞の意図された使用に応じて、前記酵母細胞に、トランスアルドラーゼTAL1および/もしくはTAL2、トランスケトラーゼTKL1および/もしくはTKL2、D−リブロース−5−リン酸3−エピメラーゼRPE1、リボース−5−リン酸ケトール−イソメラーゼRKI1、または同じ酵素活性をコードする他の生物体由来の対応する配列などの、さらなるタンパク質をコードするさらなる核酸配列を含有、発現または過剰発現させることができる。

バイオエタノールを産生するための方法および使用 上記の通り、本発明は、バイオエタノールおよび/または他のバイオベース化合物を産生するための方法を提供する。

前記方法は、本発明による核酸分子を、好ましくは本発明による宿主細胞において発現させることを含む。

上記の通り、本発明は、 バイオエタノールおよび/もしくは他のバイオベース化合物を産生するため、ならびに/または、ペントース(複数可)、好ましくはD−キシロースおよび/もしくはL−アラビノースを含有するバイオマテリアルの組み換え発酵を行うための、 − 本発明によるポリペプチド、 − 本発明による核酸分子、または、 − 本発明による宿主細胞 の使用を提供する。

「バイオベース化合物」または「他のバイオベース化合物」という用語は、本明細書で使用される場合、特に微生物を使用することによって、生物材料および原料(バイオマス)から得られる化学化合物および物質を指す。

(他の)バイオベース化合物は、これらに限定されないが、 乳酸、酢酸、コハク酸、リンゴ酸または他の有機酸、 1−ブタノール、イソブタノール、2−ブタノール、他のアルコール、 アミノ酸、アルカン、テルペン、イソプレノイド、溶媒、医薬化合物、 ビタミン から選択される化合物であってよい。

好ましい実施形態についてのさらなる記載 本発明者らは、 野生型またはそれぞれのアミノ酸置換(複数可)を有さないGal2ポリペプチドと比較して、 − in vitroおよび/もしくはin vivoにおけるペントース輸送機能の活性の増大、ならびに/または − ペントース(複数可)に対する親和性の増大 を示すGal2バリアントを同定した。

したがって、本発明者らは、宿主細胞(好ましくは酵母細胞)に、D−キシロースおよび/またはD−アラビノースを取り込む能力、好ましくは、ペントース(複数可)、好ましくはD−キシロースおよび/またはD−アラビノースの取り込みを増加する能力をこのように付与するGal2バリアントを同定した。

これに関して、実施例および図面も参照する。

− L−アラビノースおよびD−キシロースの取り込み ペントース(複数可)、特に、D−キシロースおよび/またはL−アラビノースがS.cerevisiaeによって代謝されるのを可能にするには、これらがまず細胞に取り込まれなければならない。

ペントースであるD−キシロースについて試験したヘキソース輸送体は全て、ヘキソースに対してD−キシロースに対するものよりもはるかに高い親和性を有する。L−アラビノースについても同様の状況が仮定される。ペントース(D−キシロースまたはL−アラビノース)を利用することができる今までに構築された全ての株については、成長が比較的遅いことが報告されている。とりわけ、ペントースの取り込みが遅く乏しいことがこの理由として挙げられている(BeckerおよびBoles、2003年;Richardら、2002年)。D−グルコースとD−キシロースまたはD−グルコースとL−アラビノースからなる糖混合物における発酵では、糖は同時には変換されない。輸送体のD−グルコースに対する親和性が高いことに起因して、D−グルコースが最初に代謝される。いわゆるディオーキシーシフト(diauxic shift)が起こる。D−グルコースが使い尽くされた後に初めて、ペントースが、第2の明確により遅い成長相で変換される(Kuyperら、2005年a;Kuyperら、2005年b)。これはペントースに特異的な輸送体が存在しないことにより説明される。

− Gal2 ヘキソースであるガラクトースは、グルコースに対しても同等に親和性(Km=1.5〜1.9)である高親和性輸送体Gal2(Km=1〜5mM)によって輸送される(例えば、Reifenbergerら、1997年を参照されたい)。ガラクトースを利用するために必要な他の構造遺伝子(GAL1、ガラクトースキナーゼ;GAL10、ムタロターゼ/UDP−グルコース−4−エピメラーゼ;GAL7、ガラクトース−1−リン酸ウリジルトランスフェラーゼ)と同じく、Gal2の発現は、グルコースの存在下で抑圧され、またガラクトースによる誘導も必要である。Gal2はまた、異化産物不活化の標的でもある(HorakおよびWolf、1997年)。Gal2は、L−アラビノースを輸送することができるごく少ない輸送体のうちの1つである。他のヘキソース輸送体の大部分と同じく、Gal2は、D−キシロースを輸送することができる。しかし、L−アラビノースおよびD−キシロースに対する親和性はかなり低い。したがって、低D−キシロース濃度または低L−アラビノース濃度では、取り込み活性は非常に低い。

Farwickら(2014年)は、D−グルコースの存在下でD−キシロースの取り込みを可能にする変異体輸送体を開発した。これらの変異体輸送体のいくつかは、ガラクトース輸送体Gal2のN376に対応する位置におけるアミノ酸の交換を有した。しかし、これらのグルコースに対する耐性は証明されたが、それらの大部分で、キシロース取り込み速度が低下した。

本発明のポリペプチドは、特に、それらをグルコースによる阻害に対して耐性にする変異と組み合わせて、キシロースに対する取り込み速度および/または親和性の増大を示す。

改善されたGal2由来のペントース輸送体を見いだすために、種々の変異誘発方法を使用する必要があっただけでなく、非常に特異的な条件下で、種々の異なる改変を有する工学操作された酵母株を用いて、進化的に工学操作する必要があった。これらの輸送体を綿密なスクリーニングシステムにおいて成長試験および糖取り込みアッセイを用いて試験する必要があった。最後に、変異体輸送体を配列決定する必要があり、また種々の変異からいずれが最終的に性質の改善に関与するかを解明する必要があった。

D−キシロースは、硬材および麦わらなどのキシランに富んだリグノセルロース系バイオマス中の糖全体の最大35%を占める(Demekeら、2013年を参照されたい)。有意な量のアラビノースを有するバイオマス(データ源:U.S.Department of Energy http://www.eere.energy.gov/biomass/progs/search1.cgi): バイオマスの型 L−アラビノース[%] スイッチグラス 3.66 アブラススキ(Large bothriochloa) 3.55 ヒロハノウシノケグサ 3.19 ニセアカシア 3 トウモロコシ茎葉 2.69 麦わら 2.35 サトウキビバガス(Sugar can bagasse) 2.06 メドハギ 1.75 モロコシ(Sorghum bicolor) 1.65

本発明によるGal2バリアントはまた、その利用が非常に重要である。

酵母S.cerevisiaeにおける機能的であり同時に特異的であるペントース輸送体の使用の可能性は、第一には、リグノセルロース加水分解産物からのバイオエタノールの産生、および、特にペントース濃度が低くグルコースが同時に存在する場合の、さらなる化学合成のための高品質の前駆産物の産生である。

以下の一覧は、「Top Value Added Chemicals From Biomass」試験に由来する(www1.eere.energy.gov/biomass/pdfs/35523.pdfを参照されたい)。ここでは、バイオマスから産生することができる30種の化学物質が特に価値があるとカテゴリー化された。

これらの化学物質がリグノセルロースから生物変換(例えば酵母を用いた発酵)によって産生されたらすぐに、ヘミセルロース糖であるアラビノースおよびキシロースに対して特異的な高度に活性な輸送体(複数可)を有することが重要である。

以下の実施例および図面は本発明を例示するが、本発明はそれらに限定されない。

図1:EBY.VW4000におけるGal2_T354Aの成長試験。形質転換体を、20g/lのマルトースを伴うSCM−ura、5ml中、30℃で培養し、水で洗浄し、OD

600を1に調整した。その後、段階希釈した。それぞれの培地に5μlを滴下し、それを30℃で3日間インキュベートした。希釈に対する対照として20g/lのマルトースを伴うSCM−uraを取得した。変異させた輸送体の細胞を、0.2%グルコースを伴うSCD−uraおよび2%グルコースを伴うSCD−ura、ならびに、0.2%D−ガラクトースを伴うSCG−uraおよび2%D−ガラクトースを伴うSCG−uraに滴下して、それらの機能性を試験した。さらに、CEN.PK2およびEthanol RedならびにGal2_ep3.1の野生型を比較のために使用した。変異T354Aを有するガラクトース輸送体はHDY.GUF10に由来する。

図2:AFY10におけるGal2_T354Aの成長試験。形質転換体を、2%エタノールを伴うSCE−ura−leu、5ml中、30℃で培養し、水で洗浄し、OD

600を1に調整した。その後、段階希釈した。それぞれの培地に5μlを滴下し、それを30℃で5日間インキュベートした。希釈に対する対照として、2%エタノールを伴うSCE−ura−leuを取得した。変異させた輸送体の細胞を、0.2%D−キシロースを伴うSCX−ura−leuおよび2%D−キシロースを伴うSCX−ura−leu、ならびに1%D−キシロースと4%D−グルコースと共に伴うSC−ura−leuおよび0.2%D−キシロースと2%D−グルコースを伴うSC−ura−leuに滴下して、それらの機能性を試験した。さらに、CEN.PK2およびEthanol RedならびにGal2_ep3.1の野生型を比較のために使用した。変異T354Aを有するガラクトース輸送体はHDY.GUF10に由来する。

図3:30℃で4日後のEBY.VW4000におけるGal2_T354AとV71IおよびL280Rの組合せの滴下試験。いくつかの希釈物を左から右に滴下した(無希釈、1:10、1:100、1:1000)。

図4:30℃で6日後のAFY10におけるGal2_T354AとV71IおよびL280Rの組合せの滴下試験。いくつかの希釈物を左から右に滴下した(無希釈、1:10、1:100、1:1000)。

(実施例) 方法 株および培地

− 細菌 E.coli SURE(Stratagene)

完全培地LB 1%トリプトン、0.5%酵母抽出物、0.5%NaCl、pH7.5(SambrookおよびRussell、2001年を参照されたい)

プラスミドによりコードされる抗生物質耐性に関する選択のために、オートクレーブ処理した後に培地に40μg/mlのアンピシリンを添加した。固形培養培地は1.9%寒天をさらに含有した。培養は37℃で行った。

− 酵母 CEN.PK2−1C MATa leu2−3,112 ura3−52 trp1−289 his3−Δ1 MAL2−8c SUC2(EUROSCARF、Frankfurt)

EBY.VW4000株 EBY.VW4000(遺伝子型:MATa leu2−3,112ura3−52 trp1−289 his3−Δ1 MAL2−8c SUC2 Δhxt1−17Δgal2 stlΔ::loxP agt1Δ::loxP mph2Δ::loxP mph3Δ::loxP)(Wieczorkeら、1999年)

Ethanol Red株 Lesaffre、Lille、Franceから入手可能。Demekeら(2013年)に記載されている。

HDY.GUF10株 Ethanol Redに由来する、キシロースおよびアラビノースを消費する工業用S.cerevisiae株(Dietz 2013年)。

AFY10株 EBY.VW4000 glk1Δ::loxP hxk1Δ::loxP hxk2Δ::loxP ylr446wΔ::loxP pyk2Δ::pPGK1−opt.XKS1−tPGK1 pTPI1−TAL1−tTAL1 pTDH3−TKL1−tTKL1 pPFK1−RPE1−tRPE1 pFBA−RKI1−tRKI1 loxP(Farwickら、2014年)。

AFY10X株 AFY10+YEp−kanR_optXI(Farwickら、2014年)。

− 合成完全選択的培地SC 0.67%酵母ニトロゲンベース アミノ酸および硫酸アンモニウム不含、0.5%硫酸アンモニウム、20mMのリン酸二水素カリウム、pH6.3、使用するプラスミドの栄養要求性マーカーの対応するアミノ酸を伴わないアミノ酸/核酸塩基溶液、それぞれ示されている濃度の炭素源

合成完全培地中のアミノ酸および核酸塩基の濃度(Zimmermann、1975年):アデニン(0.08mM)、アルギニン(0.22mM)、ヒスチジン(0.25mM)、イソロイシン(0.44mM)、ロイシン(0.44mM)、リシン(0.35mM)、メチオニン(0.26mM)、フェニルアラニン(0.29mM)、トレオニン(0.48mM)、トリプトファン(0.19mM)、チロシン(0.34mM)、ウラシル(0.44mM)およびバリン(0.49mM)。炭素源として、L−アラビノース、D−グルコース、D−ガラクトース、D−マンノース、エタノールおよびマルトースを示されている通り使用した。

固形完全培地および選択的培地は1.9%寒天をさらに含有した。酵母細胞の培養は30℃で行った。

DNAの調製 − E.coliからのプラスミドDNAの単離 E.coli培養物からのプラスミドDNAの小規模調製をGeneJET(商標)Plasmid Miniprep Kit(Fisher Scientific)を製造者の説明書に従って使用して行った。大規模調製にはQUIAGEN Plasmid Maxi Kitを使用した。

− S.cerevisiaeからのプラスミドDNAおよびゲノムDNAの単離 酵母細胞からゲノムDNAおよびプラスミドDNAを単離するために、定常期培養物5〜10mlを遠心分離(1分、2000×g)によって回収し、1mlの滅菌ddH2Oで1回洗浄した。細胞ペレットを400μlのYP緩衝液1に、ボルテックスすることによって再懸濁させ、次いで、400μlのYP緩衝液2、1/3〜2/3Volのガラスビーズ(φ0.25〜0.5mm)を添加し、VXR basic Vibrax(IKA)において2000rpmで8分振とうすることによって溶解させた。細胞片を遠心分離(30秒、16000×g)によってペレット化し、上清650μlを新しいエッペンドルフチューブに移した。325μlの冷YP緩衝液3を添加し、タンパク質および他の混入物を沈殿させるために、試料をボルテックスし、次いで、氷上で10分間インキュベートした。試料を遠心分離し(10〜15分、4℃、16000×g)、上清700μlを新しいエッペンドルフチューブに移し、イソプロパノール700μlを添加した。勢いよく混合した後、試料を室温で10分間インキュベートしてDNAを沈殿させ、次いでこれを遠心分離(≧30分、室温、16000×g)によってペレット化した。DNAペレットを、冷(−20℃)70%(v/v)エタノール500μlを用いて2回、室温、16000×gで5分の遠心分離ステップを伴って洗浄し、次いで、室温で10分間乾燥させ、DNAペレットのサイズに応じて15〜30μlの滅菌ddH2Oに溶解させた。

− DNA濃度の決定 DNA濃度は、240〜300nmの波長範囲のスペクトル測光法によって測定される。E260nm/E280nmの商によって決定されたDNAの純度が1.8である場合、吸光度E260nm=1.0は、50μgのdsDNA/mlのDNA濃度に対応する(SambrookおよびRussell、2001年)。

− PCR産物のDNA精製 PCR産物の精製は、Qiagen社の「QIAquick PCR Purification Kit」を製造者による情報に従って用いて行った。

制限エンドヌクレアーゼを用いたDNAの消化(制限消化) DNAの部位特異的切断のために、New England Biolabs(NEB)またはFermentasからの制限エンドヌクレアーゼを、提供された緩衝液と共に、製造者の説明書に従って使用した。DNA1μg当たり通常1〜3ユニットを反応に使用し、これを2〜12時間インキュベートした。この方法を使用して、組み換えクローニングのためのベクターを調製するか、正確に組み立てられたプラスミドを確認するか、または混合物からある特定のプラスミドを特異的に分解した。

ポリメラーゼ連鎖反応(PCR) この研究では、異なるPCR実験に異なるポリメラーゼを使用した。ゲノムの遺伝子欠失または組み込みを確認するために、Crimson Taqポリメラーゼ(NEB)を使用した。ORF(配列決定のため)、ゲノムの遺伝子欠失または組み込みのための組み込みカセットの組み換えクローニングまたは増幅のための遺伝子を増幅するために、PhusionまたはQ5ポリメラーゼ(NEB)を使用した。PCR反応物の組成および対応するPCRプログラムを下の表に示す。プライマー対のアニーリング温度はNEBホームページ上のTm計算機ツールを用いて算出した。PCRは全てMastercycler勾配(Eppendorf)、Piko Thermo Cycler(Finnzymes)またはProgene PCR cycler(Techne)で実施した。

融合PCR 組み換えクローニング用のHXT7−N370FのORFを構築するために融合PCRを使用した。第1のステップでは、HXT7のオーバーラップしている2つの断片を、p426H7_HXT7を鋳型として用いた2つの別々のQ5 PCR反応で増幅し、PCR反応物を1.5%アガロースゲルで分離し、正確な断片を対応するゲル小片から精製した。等モル量の両方の断片(最低20ng)を、プライマーを用いないQ5 PCR反応に使用した。このPCR反応を6サイクル行った後、フォワードプライマーおよびリバースプライマー(10μMのストックから)を1μl添加した。次いで、反応をさらに20サイクル行った。

エラープローンPCR(epPCR) GAL2のランダム変異誘発されたORFを生成するために、GeneMorph II Random Mutagenesis Kit(Agilent Technologies)を適用した。製造者のプロトコールに従った。PCR反応を33サイクル行った。異なる変異率を達成するために、鋳型DNAの量を変動させた(下表を参照されたい)。epPCR産物の分析により、所望の増幅規格に適合することが明らかになった。PCR断片を精製し、Phusion PCR反応の鋳型として使用して、断片の末端を相同な突出部を用いて伸長させた。

DNA分離またはRNA分離のためのアガロースゲル電気泳動 DNA試料またはRNA試料中の断片を、アガロースゲルを0.7%(w/v)アガロースから2.0%(w/v)アガロースの範囲の濃度で使用してサイズによって分離した(SambrookおよびRussell、2001年)。1×TAE緩衝液をゲルの調製のため、および泳動緩衝液として使用した。DNA断片のサイズ決定のためにGeneRuler 1kb DNA Ladder(Fisher Scientific)を使用した。DNA試料を、ゲルにローディングする前に1/5Volの6×DNAローディング色素と混合した。RNA試料を同じ体積の2×RNAローディング色素と混合し、96℃で10分間インキュベートし、ローディングする前に氷上で保管した。ゲルを、電流、ゲル百分率および予測される断片サイズに応じて6〜10V/cmまで、30〜45分間流した。ゲルを臭化エチジウム浴中でのインキュベーション後、DNAおよびRNAをUV光(254nm)によって可視化した。

アガロースゲルからのDNA精製およびDNA抽出 DNAを精製するため(例えばPCR反応からまたは制限消化後に)、およびアガロースゲルからDNAを抽出するために、NucleoSpin(登録商標)Extract II−Kit(Macherey−Nagel)を製造者の説明書に従って使用した。

DNA配列決定 DNA試料の配列決定はGATC Biotech AG(Konstanz、Germany)により行った。試料は30〜100ng/μl(プラスミド)または10〜50ng/μl(PCR産物)のDNAを含有した。適切なプライマー(10μM)をDNA試料と一緒にGATC Biotechに送付した。

E.coliの形質転換 E.coli細胞を、Dower(Dowerら、1988年)およびWirth(Wirth、1989年)のプロトコールに従い、Bio−Rad Gene Pulserを使用して電気穿孔によって形質転換した。DNA(E.coli調製物または酵母DNA調製物に由来する)を凍結したコンピテントなE.coli細胞に添加し、試料をインキュベートし、氷上で10分間解凍した。次いで、細胞懸濁物を電気穿孔キュベットに移し、直接パルスを印加した。Bio−Rad Gene Pulserを、1cm当たり2.5kVの電圧、200Ωの抵抗および25μFの容量に設定した。パルスを印加したすぐ後に、細胞を、予め加温したSOC培地1mlと混合し、エッペンドルフチューブに移した。細胞を、37℃、Thermomixer(Eppendorf)において600〜800rpmで45分間インキュベートした後、カナマイシンまたはアンピシリンを含有する選択的LB寒天プレートにプレーティングした。細胞を、HXT7をコードするプラスミドで形質転換した場合には、インキュベーションを室温で4時間、振とうせずに、または20〜25℃で振とうしながら2時間実施した。

S.cerevisiaeの形質転換 S.cerevisiaeの形質転換のために、Gietzら(GietzおよびSchiestl、2007年a、GietzおよびSchiestl、2007年b)のLiAc/SSキャリアDNA/PEG法の2つの異なるプロトコールを少し変更して使用した。液体培養物を、適切な培地でODが0.6〜1.0になるまで成長させた。培養物の遠心分離および洗浄ステップは3000×gで2分に短縮した。一本鎖キャリアDNAを10mg/ml溶液として使用し、形質転換ミックス中のDNAの体積をそれぞれ54μlまたは74μlにした。熱ショックの持続時間は35分であった。形質転換後、再生のために、細胞懸濁物全体を選択培地に直接プレーティングしたか、または、優性選択マーカーを用いた形質転換の場合には、適切な液体培地5mlに移した。再生後、細胞をペレット化し、培地50〜100μlに再懸濁させ、広げてプレーティングした(plate out)。

形質転換のためのDNA量は、単一のプラスミドについてはおよそ500ng、多数のプラスミドを用いた同時形質転換についてはそれぞれ≧1000ng、ならびに組込みDNAカセット(例えば遺伝子欠失用)については≧2000ngおよびそれ超であった。

遺伝子のコドン最適化 いくつかの遺伝子のORFはコドン最適化されたものであった。コドンは、解糖遺伝子の好ましいコドンによって決定されるS.cerevisiaeのコドン使用に適合させたものであった。Wiedemannら(WiedemannおよびBoles、2008年)に記載されている。

相同組み換え(組み換えクローニング)によるプラスミド構築 S.cerevisiaeにおける適切なDNA断片(ベクターの骨格および挿入物(複数可))の相同組み換えによってin vivoにおいてプラスミドを構築した。この目的のために、それぞれのベクターを挿入の部位において制限消化によって直線化した。任意選択で、得られたベクターの骨格をアガロースゲル電気泳動およびその後のゲル抽出によって精製した。挿入物は、挿入のために標的化された領域と、または、多数の挿入断片の場合には互いと相同な隣接配列(>30bp)を有するように設計した。挿入物をPCRによって増幅し、対応する5’末端(相同な突出部)を有するプライマーを使用することによって、相同な配列をもたらすことができた。DNA断片を用いてS.cerevisiaeを形質転換し、形質転換体を選択的培地に広げてプレーティングした。コロニーを採集して選択的液体培地に接種した。プラスミドの分離および増殖のために、DNAをこれらの培養物から単離し、E.coliを形質転換するために使用した。ジャイレース阻害剤遺伝子ccdBを含有するプラスミドは、大半のE.coli株に対して毒性であり、したがって、ccdB耐性株E.coli DB3.1をこれらのプラスミドに使用した。プラスミドをE.coli単一コロニー培養物から単離し、分析的な制限消化およびDNA配列決定によって検証した。正確なクローンについてグリセロールストック培養物を設けた。

相同組み換えによるゲノム遺伝子欠失または挿入 S.cerevisiaeのゲノムにおける遺伝子欠失のために、マーカーカセットを相同組み換えによってそれぞれの遺伝子に組み込んだ(CarterおよびDelneri、2010年、Guldenerら、1996年、Sauer、1987年)。マーカーカセットを、標的遺伝子と相同な5’末端を有するプライマーを使用したPCRによって増幅して、部位特異的挿入を可能にした。カセットは、プロモーター(pTEF)およびターミネーター(それぞれtTEF、tCYC1およびtADH1)およびloxP部位に挟まれた、優性マーカー遺伝子(kanMX4/G418、hphNT1/ハイグロマイシンB、natNT2/clonNAT)で構成される。これらの部位により、ゲノムに組み込まれたマーカーカセットを、別のラウンドの遺伝子欠失のためにマーカーを取り除くcreリコンビナーゼによって切除することが可能になる。欠失カセットを用いたS.cerevisiaeの形質転換後、細胞を選択的培地に広げてプレーティングし、同じ培地に一度複製プレーティングした。単一のコロニーを再度画線して単一のクローンを得、次いでこれを採集し、選択的培地で成長させた。DNAをこれらの培養物から単離し、正確な組み込みを、異なるプライマーの組合せを用いたPCRによって確認した。確認用のプライマーは、下記の表において見られる通り名付けた。正確なクローンについてグリセロールストック培養物を設けた。

マーカーを再利用するために、細胞を、ガラクトース誘導性GAL1−プロモーターの制御下でcreリコンビナーゼをコードするプラスミド(pSH47またはpNatCre)で形質転換した。リコンビナーゼを軽く誘導した後、細胞を、複製プレーティングによって優性マーカーの欠如について選択した。hxt0株ではリコンビナーゼの完全な発現は致死的であるので、これらの株に対しては非誘導条件下でのリコンビナーゼの基底の発現を使用した。カセットの除去をPCRによって再度制御した(上記を参照されたい)。遺伝子を過剰発現させるための遺伝子カセットの組み込みを適宜行った。これらのカセットの中では、優性マーカーのみがloxP部位で挟まれ、切除され、カセットの残部はゲノム内に残る。

細胞培養および発酵実験のための方法 細胞密度の分光光度測定による決定 液体培養物中の細胞濃度を、600nmにおける光学密度(OD600)を測定することによって分光光度的に定量化した。細胞培養の試料またはその希釈物をポリスチレン(PS)キュベットに入れ、Ultrospec 2100 pro分光光度計(GE Healthcare、USA)で600nmにおいて分析した。

グリセロールストック培養物 特定の株およびプラスミドを含有するE.coliの長時間にわたる保管のために、グリセロールストック培養物を調製した。この目的のために、S.cerevisiaeの定常培養物またはE.coliの成長培養物を50%(v/v)グリセロールと1:1で混合し、−80℃で保管した。

半固形寒天培養 プラスミドcDNAライブラリーを増大させる(E.coliにおいて)ために、半固形寒天培養法を選択した。この方法によると、液体培養物における成長中に生じ得る代表的な偏りを最小化することができる。不安定なクローンの安定化を補助するためにインキュベーションを30℃で行う(Hanahanら、1991年、Sassone−Corsi、1991年)。プロトコールは、Life technologiesのウェブサイトにおいて見ることができる。簡単に述べると、2倍濃縮したLB培地と3g/lのSeaPrepアガロースを撹拌しながら混合し、オートクレーブ処理し、37℃に冷却する。抗生物質および4・105〜6・105(培地450ml当たり)を培地に添加し、2分間混合する。次いで、ボトルを氷浴中0℃で1時間インキュベートし、次いで、30℃で40〜45時間のインキュベーションに穏やかに移行する(乱さずに)。成長させた後、10400×gで遠心分離することによって細胞を半固形寒天からペレット化することができる。

段階希釈スポットアッセイ(滴下試験) 種々の成長条件下での異なるS.cerevisiae株の成長を容易に比較するために、段階希釈スポットアッセイを実施した。細胞を適切な培地中の液体培養で対数期まで成長させ、遠心分離(2000×g、2分)によって収集し、滅菌水で2回洗浄し、次いで、炭素源を伴わない選択的培地中にOD600が1.0になるように再懸濁させた。この細胞懸濁物から、選択的培地中10倍段階希釈物を調製した(4回の希釈ステップ)。各細胞懸濁物6μlを検査される培地のプレート上にスポットし、乾燥させた。プレートを30℃でインキュベートした。

好気性バッチ発酵 種々のサイズ(培養物の体積の5〜10倍の体積)の振とうフラスコ中、回転式振とう機(150〜180rpm)、通常30℃で好気性バッチ発酵を行った。段階的な好気性バッチ発酵として進化的な工学操作を行った(詳細は以下を参照されたい)

嫌気性バッチ発酵 嫌気性バッチ発酵については、振とうフラスコをゴム栓および発酵ロック(fermentation lock)で密閉した。フラスコの体積は培養物の体積100mlに適応させた。培養物を、30℃で磁気スターラーにおいて120rpmで継続的に撹拌した。この研究では、発酵をOD600=10で行った。この目的のために、成長した細胞を回収し、炭素源を伴わない発酵培地50ml中、OD600を20に設定した。実験を開始するために、この細胞懸濁物を、2倍濃縮した炭素源を補充した発酵培地50mlを含有する調製フラスコに添加した。細胞濃度を決定するため、およびHPLC分析のための試料を、挿入した滅菌針およびシリンジによって取得した。

発酵槽における嫌気性発酵 工業用S.cerevisiae株を用いた一部の発酵は、作業体積が800mlであり、温度、pH、O2およびCO2センサーを備えたInfors Multifors発酵槽(2×1.4l)で行った。発酵槽を濃縮した発酵培地(炭素源および補充物質を伴わない)530mlで満たし、次いで、オートクレーブ処理した。発酵を開始する前に、濃縮した炭素源溶液250ml、100μl/lのAntifoam 204および他の補充物質(ビタミン、微量元素および抗生物質)を濃縮した培地に添加した。発酵槽を窒素ガスでパージして最初に嫌気条件を創出した。実験の間、嫌気条件を維持するためにヘッドスペースへの窒素ガスの供給(0.4l/分)を適用した。ガスの出口を冷却して蒸気を凝縮させ、戻し、次いで、ガス洗浄ボトルを通じてパイプ移送した。培養物を300rpmで撹拌し、温度を35℃に維持し、2MのKOHまたは2MのH2PO4の自動添加によってpHを5.0に維持した。全ての設定パラメーターが達せられ、一定になったら、細胞の接種材料(発酵培地20ml中)を添加した。発酵中、細胞乾燥重量の決定およびHPLC分析のための試料を取得した。Iris 5.2 Software(Infors)を使用し発酵槽を作動させ、実験をモニターした。

細胞乾燥質量の決定 細胞乾燥質量を決定するために、液体培養物5〜10mlを、予洗し、乾燥させた(下記の通り)フィルター(ニトロセルロース、孔径0.45μm)を通して真空濾過し、その後、ddH2Oで2回洗浄した。フィルターを電子レンジにおいて120〜150Wで15分間乾燥させ、冷却し、デシケーター中でさらに15分間乾燥させた。細胞乾燥重量を測定するために、濾過前および乾燥後にフィルターを秤量した。記載されている方法の出典はAskら(Askら、2013年)である。

進化的な工学操作 進化的な工学操作を段階的な好気性バッチ発酵として行った。形質転換体をまず選択的SCE2に接種してバイオマスを得、次いで、20g/lのキシロースを伴う選択的SCおよびSM培地で成長させて株をキシロース利用に適応させた。これらの最初の培養後、細胞を10g/lのキシロースおよび漸増濃度のグルコースを伴う培地に切り換えて進化的圧力を適用した。細胞が対数期後期〜定常期初期に到達したら、細胞を遠心分離(2000×g、2分)によって回収し、新鮮な培地にOD600が0.2になるように移した。適応を見ることができたか現行のグルコース濃度によって成長が負の影響を受けなかったたびにグルコース濃度を上昇させた。全ての培地に、液体および固形のG418を添加して、AFY10株バックグラウンドを選択した。液体培地には、hxk0表現型のサプレッサー変異体の形成を抑制するために0.5g/lの2−デオキシ−D−グルコース(2−DOG)をさらに含有させた。hxk0株は2−DOGに対して耐性であるが、野生型株は2−DOGに対して耐性ではない(SubtilおよびBoles、2012年)。培養試料をグルコース培地プレートに画線することによって、およびHPLC分析によってもグルコース消費の欠如が確認された。

HPLCによる代謝産物分析 代謝産物を分析するために、無細胞試料(5〜10分、4℃、16000×g)を、1/9体積の50%(w/v)5−スルホサリチル酸と混合し、遠心分離した(5〜10分、4℃、16000×g)。上清をHyperREZ XP Carbohydrate H+8μmカラムおよび屈折率検出器(Thermo Shodex RI−101)を備えたThermo ScientificによるUHPLC+システム(Dionex UltiMate 3000)で分析した。カラム温度65℃、5mMの硫酸を移動相として用いて0.6ml/分の流量で分離を行った。システムを制御するため、およびデータを解析するためにChromeleon 6.80ソフトウェアを使用した。5種の標準物質(0.01〜3%(w/v)の濃度のD−グルコース、D−キシロース、キシリトール、酢酸塩、グリセロールおよびエタノールの混合物)を異なる化合物の定量化について分析した。

糖取り込みアッセイ 糖取り込みアッセイを、Walshら(Walshら、1994年)による改変と共に、Bissonら(BissonおよびFraenkel、1983年)に記載されているようにして行った。

EBY.VW4000株の形質転換体を、選択的YEPE中でODが1.1〜1.6になるまで成長させ、遠心分離によって回収し、氷冷の取り込み緩衝液で2回洗浄した(室温、3分、3000×g)。ここから細胞を氷上で維持した。細胞ペレットを氷冷の取り込み緩衝液に60mgww/mlの濃度に再懸濁させ、110μlの一定分量にした。細胞懸濁物の一定分量1つおよび糖溶液1つを水浴中、30℃で4〜5分間インキュベートした。細胞懸濁物100μlを糖溶液(50μl)にピペットで入れ、ピペッティングによって軽く混合し、5秒間(D−[U−14C]−グルコース)または20秒間(D−[1−14C]−キシロース)インキュベートした。混合物100μlを氷冷のクエンチ緩衝液10mlに移すことによって取り込み反応を停止させ、それをすぐにDuraporeメンブランフィルター(孔径0.22μm、Millipore)を通して濾過した。フィルターを氷冷のクエンチ緩衝液10mlで2回洗浄し、シンチレーション反応混液(Rotiszint eco plus、Roth)4mlを含有するシンチレーションバイアルに移し、徹底的に振とうした。反応における総計数(cpmtotal)を決定するために、このフィルター試料(cpmfilter)に加えて、各反応物10μlを、シンチレーション反応混液4mlを伴うシンチレーションバイアルに直接移した。細胞表面またはフィルターに非特異的に結合した糖についての値(cpmblank)を決定するために、33,3μl糖溶液および66,6μl細胞懸濁物の少数の試料を氷冷のクエンチ緩衝液10ml中に混合し、上記の通り処理した。全てのバイアルの放射能をWallac 1409液体シンチレーションカウンターで分析した。

(H2O中)2M、500mMまたは20mMのグルコースまたはキシロースのストック溶液を使用して、アッセイ用の糖溶液を調製した(取り込み反応における所望の濃度の3倍(S、基質濃度)、50μlの一定分量)。グルコースについては0.2、1、5、25および100mM、ならびにキシロースについては1、5、25、66、100、200および500mMの糖濃度で取り込みを測定した。キシロースの取り込みのグルコースによる阻害を、追加的な25および100mMの非標識グルコースを伴う25、66および100mMのキシロースで測定した。糖溶液は、0.135〜0.608μCiのD−[U−14C]−グルコース(290〜300mCi/mmol)またはD−[1−14C]−キシロース(55mCi/mmol)(American Radiolabeled Chemicals Inc.、St. Louis、MO、USA)を含有した。

取り込みアッセイのデータを以下の算出のために使用した: インキュベーション時間(t、秒単位)の間ある特定の糖濃度(S、mM単位)において取り込まれた糖の量(Asugar、nmol単位): Asugar=((cpmsample−cpmblank)/(cpmtotal・10))・S・100μl

細胞(m、mgww単位)のミリグラム数当たりで算出される輸送速度(nmol・min−1・mgww−1単位): V=(Asugar・60s)/(t・m)

Km(ミカエリス定数)、Vmax(最大の取り込み初速度)およびKi(競合阻害についての阻害剤定数)の算出を、Prism 5(GraphPad Software、Inc.)において、3つの独立した測定値を用いて非線形回帰分析および全体的な曲線あてはめによって行った。

バイオインフォマティクス法 DNA配列をSaccharomyces Genome Database(SGD、(Cherryyら、2012年))から入手した。輸送体タンパク質についての配列アラインメントを、PRALINE多重アラインメントサーバー((SimossisおよびHeringa、2005年))を使用し、標準の設定とそれに加えてPHOBIUS膜貫通構造予測(Kaellら、2004年)を用いて行った。系統樹を、ClustalW2系統学(Larkinら、2007年)を用いたPRALINEアラインメントから算出し、Phylodendronソフトウェア(http://iubio.bio.indiana.edu/soft/molbio/java/apps/trees/)を用いて可視化した。タンパク質配列間の類似性および同一性を、SIAS(http://imed.med.ucm.es/Tools/sias.html)を使用してPRALINEアラインメントから算出した。配列アラインメントの図をALINEソフトウェア(BondおよびSchuttelkopf、2009年)を用いて作成した。

(実施例1 T354A) 1.1 Gal2_T354Aの調査 Ethanol Redは、リグノセルロース加水分解産物の発酵に関する有望な候補である工業用株である。キシロースおよびアラビノース代謝経路に関する酵素をコードする遺伝子をゲノムに組み込み、HDY.GUF5株を得ることができた(Demekeら、2013年)。HDY.GUF5をキシロースに対してさらに進化させ、遺伝子工学によって工学操作し、最終的にHDY.GUF9株を得た(Dietz 2013年)。HDY.GUF9を進化的な工学操作によってアラビノースに対してさらに進化させ、HDY.GUF10株を得た。この株は、キシロースでの成長挙動も改善されていた。キシロース消費速度は約80%、アラビノース消費速度は約25%改善された。放射性糖取り込みアッセイを用いたキシロース取り込み速度の決定により、HDY.GUF10のキシロース取り込み速度がHDY.GUF9よりも35%高いことが明らかになった。Gal2は、S.cerevisiaeにおいてキシロースおよびアラビノースを有意な量で輸送することができる唯一の輸送体であるので、GAL2遺伝子を両方の株から単離し、配列決定した。Gal2_HDY.GUF10において、Gal2_HDY.GUF9と比較してアミノ酸置換が1つ見いだされ、これは、おそらく細胞外側の膜貫通へリックス7内の輸送チャネル内に位置するT354Aである。この位置は、輸送体のコンフォメーションの変更に関して役割を果たし得る。改変されたGal2pを調査するために、HDY.GUF10の染色体DNAから所望の配列を増幅し、p426にクローニングした。対照として、Ethanol RedのGal2pを使用した。受け入れたベクターをスクリーニング株中へ形質転換して、いくつかの培地における成長を試験した。

1.2 Gal2_T354Aの機能性に関する試験 まず、グルコースおよびマルトース培地においてVW4000中のベクターを用いて成長試験を実施した。野生型CEN.PK2、ならびにGal2_ep3.1のガラクトース輸送体を対照として、かつ比較として使用した。予測通り、工業用株であるEthanol RedのGal2p野生型はCEN.PK2の野生型と同じ成長を示した。Gal2_GUF10の成長は、ガラクトースに関してはどちらの野生型とも同様の成長であったが、グルコースでの成長はエラープローン変異体の成長と同様に見えた(図1)。

さらに、この試験を、形質転換体のキシロース特異性およびグルコース親和性を調査するために、AFY10を用いても行った。野生型Gal2_EtOH Redは、0.2%のような低キシロース濃度では成長することができなかった。しかし、Gal2_GUF10の成長はこの培地で観察された。それにもかかわらず、Gal2_GUF10の成長は2%キシロースではGal2_ep3.1よりも劣っていた。したがって、Gal2_GUF10は、より高いキシロース親和性を有すると思われる。追加的なグルコースを伴う培地では、エラープローン変異体のみが成長を示した(図2)。

(実施例2 T354A/V71I) 2.1 T354Aと他の変異の組合せの効果 HDY.GUF9株に由来し、アラビノースに対して進化させたものであるEthanol Red HDY.GUF10株では、Gal2におけるアミノ酸の交換T354Aが見いだされた。これは、Gal2のアラビノースに対する輸送特性が改善されたことを示す。HDY.GUF10のGal2におけるT354A変異により、低キシロース濃度での成長が回復し得ることも示された。Ethanol Red Gal2およびGal2_HDY.GUF9の配列は、CEN.PK株のGal2から2つのアミノ酸が異なる(L280RおよびV71I)。これらの2つの差異の効果を決定するために、CEN.PKのGal2を用いて、V71IおよびL280Rを単独で、またはT354Aと組み合わせて有するプラスミド発現構築物を作製した。それらの性質を決定するために、スクリーニング株EBY.VW4000およびAFY10を用いて構築物を形質転換した後に成長滴下試験を実施した、対照として、CEN.PK Gal2野生型、p426_空ベクターおよびCEN.PK Gal2におけるT354A単独を使用した。

2.2 L280RおよびV71Iと組み合わせたGal2_T354Aを含む細胞のヘキソースでの成長 以下のGal2のバリアントを発現ベクターにおいて構築した:T354A、T354A+V71I、T354A+L280R、L280RおよびI71V。これらをコンピテントEBY.VW4000細胞中へ形質転換した。次いで、異なる炭素源での滴下試験を実施した。

見られ得るように(図3)、V71IおよびL280Rは単独ではグルコースまたはガラクトースの取り込みに対する効果を有さない。T354A単独では、グルコースでの成長が強力に損なわれる。V71IとT354Aの組合せでは、グルコースでの成長は媒介されない。しかし、T354AとL280Rの組合せでは、グルコースでの成長を媒介することができる。しかし、成長はGal2野生型を用いた場合よりも遅い。

2.3 L280RおよびV71Iと組み合わせたGal2_T354Aを含む細胞のキシロースおよび糖混合物での成長 種々の構築物を、ベクターYEp181_pHXT7−optXI_Closと一緒にAFY10細胞中へ形質転換し、段階希釈成長滴下試験を実施した。

いずれのバリアントもキシロース−グルコース混合物プレートでの成長を媒介することができず、これにより、変異体輸送体が全てグルコースによって阻害されることが示される。高キシロース濃度(20g/l)を用いた成長は種々の構築物の間で大きな差異はない。しかし、低キシロース濃度(2g/l)での成長では有意差を示す:L280RではGal2野生型と同様の成長が媒介される;L280RとT354Aの組合せの成長はT354A単独または空ベクター対照と同様に見える。V71Iでは2g/lのキシロースで非常に遅い成長が媒介される。しかし、V71IとT354Aの組合せでは、Gal2野生型と同様の成長が媒介され(図4)、対照的に、T354AおよびV71I単独では、低キシロース濃度で不十分な成長が媒介される。これにより、Ethanol RedのGal2におけるアミノ酸の交換V71Iが、とりわけ低キシロース濃度での低キシロースの取り込み活性に関与することが実証される。この欠陥は、T354Aの追加的な交換によって抑制される。これによりGUF−10の成長挙動がGUF−9と比較して改善されることが説明される。GUF−10はアラビノース培地に対して進化させたものであるので、Ethanol Red由来のGal2によるアラビノースの取り込みも、T354A変異により、V71I交換が抑制されることによって改善されると結論づけることができる。

以上の明細書、特許請求の範囲および/または添付の図面に開示されている特徴は、別々におよびそれらの任意の組合せでのいずれによっても、本発明をその多様な形態で理解するための材料となり得る。

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