【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、有料テレビ放送表示装置に関する。 詳しくは、支払われた料金に応じて、テレビ画面の映像領域や映像自体を制限すると共に、映像制限された部分に広告を表示できるようにすることによって、有料テレビ放送視聴への喚起を促すと共に、有料テレビ放送をできるだけ安く視聴できるようにしたものである。

【０００２】

【従来の技術】ホテルなどに設置してある有料テレビなどでは有料放送用のチャネルを選局すると、最初の所定時間内、例えば５秒ないし１０秒程度そのチャネルの映像（サンプル映像など）を流し、その間に視聴者がその映像を続けて見たい意思表示をした場合、例えば有料チャネルのキーを操作したようなときには、そのままチャネルの映像を見ることができるようになっている。 料金は事前徴収か、事後精算である。

【０００３】これに対して、所定時間が経過しても特定のキー操作がなされていないことが確認されたときには、チャネルの映像がスクランブルされ、正常な映像を視聴できなくなるようになっている。

【０００４】有料テレビ放送は配給された映像の他に、
最近では衛星放送の場合もある。 この有料衛星テレビ放送の場合でも、時間を区切り、その時間内に視聴者が意思表示しない限り、映像が自動的にスクランブルされて、正常な映像を視聴できなくなるシステムを構築している。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、この方式では無料のサンプル映像を特定の時間だけ提供するようにして視聴者の継続視聴を促すようにしているので、サンプル映像時間以外にはその映像を全く見ることができない。 したがって特定時間が経過した後ではそのチャネル映像を視聴するための判断材料がなくなってしまう。 迷った挙げ句、そのチャネル映像を楽しみたいときもしばしば経験するが、このようなときの再チャレンジ手段がないことになる。

【０００６】また見るか、見ないかの選択しかないため、例えば料金が格安であれば、映像の表示領域が狭くした状態でも見たいような場合もある。 現在の有料テレビ放送システムではこのような選択肢を視聴者が選ぶことは不可能である。

【０００７】さらには、映像にスクランブルがかかると、テレビ画面にはノイズしか表示されないので、スクランブル後の映像には付加価値が全く存在しないと言える。 そこで、この発明はこのような従来の課題を解決したものであって、特に支払い料金に合わせて映像表示面積を制限すると共に、制限された領域に広告を表示できるようにして付加価値を高めた有料テレビ放送表示装置を提案するものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するため、請求項１に記載したこの発明に係る有料テレビ放送表示装置では、支払い料金に合わせて映像表示面積に制限を加える制限手段と、映像表示制限部分に広告を表示させる表示手段とを有することを特徴とする。

【０００９】この発明では、支払い料金に合わせて映像表示面積を制限する。 そのために映像表示制限用の枠を設ける。 映像表示制限枠は表示バー、矩形状の表示枠の何れかである。 徴収料金を例えば１００円、３００円、
５００円、１０００円の４段階に分けたとき、料金として１０００円を支払ったときには、通常の映像として楽しむことができる。 つまり映像表示の制限はなされない。

【００１０】これに対して、５００円しか支払われていないときには、映像表示面積を通常の１／２とする。 ３
００円の場合には映像表示面積を１／３とする。 そして最低料金である１００円しか支払われていないときには、映像表示面積をさらに狭めて、例えば１／４とする。

【００１１】例えば１／３あるいは１／４に制限された映像を見る場合には、その映像のあらすじなどを大凡知ることができるから、次回からは表示制限ない映像にシフトしたいと言うように、視聴欲求を刺激することができる。

【００１２】また、この映像表示制限領域に広告を載せる。 広告を載せることによって、付加価値が生まれる。
広告によって支払い料金を安く設定することも可能になり、これによってさらに有料テレビ放送の利用率を高めることができる。

【００１３】有料テレビ放送の映像そのものを縮小することによって、映像表示面積を制限することもできる。
この場合でも、表示枠の枠幅を支払い料金に応じて変化させると共に、その中に広告を表示することで付加価値を高める。

【００１４】

【発明の実施の形態】続いて、この発明に係る有料テレビ放送表示装置の一実施形態を図面を参照して詳細に説明する。 この発明では有料テレビ放送を視聴する場合には、支払い料金に合わせて映像表示面積を制限する。 そのために映像表示制限用の枠を設ける。 映像表示制限枠は表示バー、矩形状の表示枠の何れかである。 映像表示制限枠の大きさは支払い料金に合わせて数種類用意する。

【００１５】例えば支払い料金を４段階方式とした場合、一番高い第１の支払い料金（例えば１０００円）では映像表示の制限はしない。 ２番目に第２の高い支払い料金（例えば５００円）では映像表示面積を通常の１／
２とする。 第３の支払い料金（例えば３００円）の場合には映像表示面積を１／３とする。 そして最低料金である第４の支払い料金（例えば１００円）しか支払われていないときには、映像表示面積をさらに狭めて、例えば１／４とする。

【００１６】図１は表示バーによって映像表示制限枠を構成し、図４は矩形枠によって映像表示制限枠を構成した場合である。 図１から説明する。 映像表示制限枠としての表示バー１２は上下２本で構成された黒帯であって、帯状の表示バー１２ａ、１２ｂの幅は支払い料金に応じて変える。 上述したように支払い料金を４段階に設定したときには、図１Ａ〜図１Ｄのようになる。 図１Ａ
から図１Ｄに行くにしたがって帯状の幅が広がり、この表示バー１２ａ、１２ｂによって映像表示面積が次第に制限されるようになる。

【００１７】映像表示面積を制限するこの映像表示制限枠である表示バー１２ａ、１２ｂには図２のように広告内容が表示される。 広告用の映像は静止映像である。 この映像内容は広告主によって変わる。 例えばある製品を製造しているメーカが広告主であるときには、図２Ａのように上の表示バー１２ａに例えば「新製品 発売中」
のような文章を表示し、下の表示バー１２ｂには例えば「△△△は×××へ」などと言った提供メーカ名とその製品名などを表示する。

【００１８】図２Ａは第２の支払い料金のときに表示される表示バー１２に広告を表示した場合であるが、第４
の支払い料金となると、図２Ｂのように表示バー１２の幅が広がるので、この場合には図２Ａと同じ広告内容を例えば拡大して表示することもできれば、図２Ｂのように、内容を追加した広告を表示することもできる。 広告は有料テレビ放送が終了するまで継続して表示されるので、視聴者には相当インパクトのある広告となる。 広告の内容は定期的に交換することもできる。

【００１９】図３は同じ表示バー１２による映像表示制限枠であっても、その表示位置を時間ごとに変えるようにした場合である。 例えば第４の支払い料金の場合には一定時間ごとに表示位置を図３Ａから図３Ｂ、図３Ｃへの変えて表示した場合で、図３Ｃからは図３Ｂ，図３Ａ
へと戻るようなサイクルで広告が表示される。 もちろん順次連続的にスクロールさせる表示方法でもよい。

【００２０】このように、この発明では支払い料金に合わせて映像表示面積を制限するが、料金によっては映像表示面積が変わるだけであり、映像そのものにはスクランブルがかけられていないために、その映像を楽しむことができる。 したがって例えば１／３あるいは１／４に映像表示領域が制限された映像を見る場合でも、その映像のあらすじなどを大凡知ることができるから、次回からは表示制限ない映像にシフトしたいと言うように、視聴欲求を刺激することができる。

【００２１】また、この映像表示制限領域に広告を載せることで付加価値が生まれる。 広告によって支払い料金を安く設定することも可能になり、これによってさらに有料テレビ放送の利用率を高めることができる。

【００２２】図４は映像表示制限枠として矩形枠１４を使用した場合である。 この場合には矩形枠１４の幅が支払い料金に応じて図４Ａから順次幅広となる図４Ｄへと変化する。 これによって映像表示面積が次第に狭くなる。

【００２３】この実施の形態では、このような矩形枠１
４を使用するときには、表示する映像自体も矩形枠１４
に応じて順次縮小するようにした場合である。 つまり、
第１の支払い料金のときには図４Ａのように正常な大きさで表示される。 第２の支払い料金の場合には、図４Ｂ
のように矩形枠１４の幅に応じた縮小率で、例えば正常表示の８０％程度に縮小した映像を表示する。 このとき、映像の有効画面の外側が少なくとも矩形枠１４の内側の縁に接するように縮小されるか、若しくは矩形枠１
４の幅が選定される。

【００２４】第３の支払い料金の場合には、矩形枠１４
の幅も太くなるから、それに応じて正常表示の５０％程度に縮小した映像を表示する。 そして第４の支払い料金のときには、３０％程度まで縮小して映像を表示する。
こうすることによって、矩形枠１４の幅が広がり、映像面積が縮小されるに伴って表示される映像自体も次第に縮小されて表示される。

【００２５】この発明ではさらにこの矩形枠１４の中に広告用の静止映像が表示される。 図５にその実施の形態を示す。 図５Ａは図２Ａに対応するもので、この場合には上下の枠１４ａと１４ｂのそれぞれの領域を利用して広告用の映像が表示される。 矩形枠１４が図５Ｂのようにその幅が広がればそれだけ表示面積が増えるので、広告すべき映像領域が広がるから、図２Ｂと同じように、
広告映像を拡大表示するか、別の内容を追加して表示することができる。

【００２６】図４の矩形枠１４を使用する場合でも、スクロール表示することが可能である。 この場合には例えば画面の中央に向かって矩形枠１４を拡大したり、縮小すればよい。

【００２７】さて、図２に示すような映像表示制限枠を使用したときの有料テレビ放送表示装置２０の実施の形態を図５に示す。 図５に示す表示装置２０において、有料テレビ放送用映像ソース２２には、例えば有線などを利用して配給された有料テレビ放送用の映像情報が蓄積されている。 この映像情報は上述したように有料衛星テレビ放送などでもよければ、双方の映像情報を蓄積しておくこともできる。

【００２８】この映像は後述する映像はめ込み手段（映像合成手段）２４を介してモニタ２６に供給されて映像がモニタ画面に表示される。 表示装置２０には料金判定手段２８が設けられ、これにはコイン投入部３０とカード差し込み部３２の双方が設けられている。 コイン投入部３０から投入された料金は、料金判定手段２８で判定され、判定結果が有料テレビ放送に対する支払い料金となる。 またプリペイドカードが差し込まれたときには、
操作部３４からのキー操作によって支払い料金が特定される。 したがってこの料金判定手段２８では支払い料金に応じた映像表示制限枠（表示バー）が設定される。

【００２９】この枠指定信号は表示枠設定手段３６に供給されて表示バーの幅を制御するための設定信号が生成される。 この幅設定信号に基づいて枠幅制御部３８が制御されるが、これについては後述する。 したがって料金判定手段２８から枠制御部３８までが映像表示面積に制限を加える制限手段を構成することになる。

【００３０】さらにこの発明では、映像表示制限枠生成手段４０と広告用映像ソース蓄積手段４２が設けられる。 映像表示制限枠生成手段４０では、この実施の形態の場合基準となる幅を持った表示バー信号が生成される。 この基準表示バー信号が広告用映像信号と合成器４
４で合成される。

【００３１】表示バー信号と広告用映像信号とは同期して出力されるようにすることで、図２Ａのように上下の表示バー信号中に広告用映像を合成することができる。
したがって映像表示制限枠生成手段４０と広告用映像ソース蓄積手段４２とで映像表示制限部分に広告を表示させる表示手段を構成することになる。

【００３２】映像ソース蓄積手段４２には複数の広告主の映像信号を納めておくことができ、そのうちのどの映像ソースを選択するかは、表示装置２０の管理者が外部より指定できるものとする。 したがってこの広告用映像ソースは有料テレビ放送の映像ソースを配給するときに同時に配給してこの蓄積手段４２に蓄積するようにしてもよい。

【００３３】広告用映像信号を合成した表示バー信号は枠制御部３８に供給されて、表示バー１２の大きさが枠設定信号に基づいて制御される。 表示幅が制御されたこの表示バー信号は映像はめ込み部２４に供給されて有料テレビ放送用映像信号とのはめ込み処理（合成処理）が行われる。 つまり、表示バーの領域では、表示バー信号のみが出力される処理が行われる。

【００３４】ここで、枠制御部３８では表示バー信号（広告用映像信号が合成されたもの）の基準幅が枠設定信号によって制御される。 例えば第１の支払い料金であるときには、基準枠をゼロにする。 それによって広告用映像信号もゼロになるから、モニタ画面には有料テレビ放送用映像のみが映し出される。 第２の支払い料金であるときには、表示バー信号の幅は基準枠幅に制御されて出力されるから、これによって図２Ｂのような合成された広告表示付きの映像がモニタ画面に表示されることになる。

【００３５】第３の支払い料金であるときには、表示バー信号の幅は基準幅よりも広くなるような拡大制御処理が行われる。 その結果図２Ｃのような表示となる。 そして、第４の支払い料金の場合には、表示バー信号の幅が設定されたうちの最大幅となるような拡大制御処理が行われることで、図２Ｄのような表示となる。

【００３６】図６は図４に示す表示処理に適用したときの実施の形態である。 図６の表示装置２０は図５とその構成が殆ど同じであるので、同一構成の部分についてはその説明を省略する。

【００３７】この実施の形態では、映像表示制限枠は矩形枠であるので、その生成手段４０として矩形枠信号が生成される。 また映像ソースの蓄積手段２２の出力段側には映像縮小手段５０が接続され、枠設定信号に応じて映像ソースの縮小処理が行われる。 縮小処理は、間引き処理であって、水平、垂直方向に対して間引きを行って映像を縮小する。

【００３８】この映像縮小処理と、上述した矩形枠信号の拡大処理とは相補的な処理であって、表示バー信号の幅が基準幅から図２のように広がるように制御されるときには、映像ソース側では逆に次第に縮小率が大きくなるように制御される。

【００３９】その結果、第２の支払い料金のときには、
矩形枠１２の枠幅が基準幅であるので、このときには映像ソースの縮小率は８０％程度になされる。 したがってはめ込み後の広告映像を含めた映像は図４Ｂのようになる。 第３の支払い料金では、矩形枠１４の幅がさらに広がるので、そのときの縮小率はさらに大きくなる。 その結果、図４Ｃのようなはめ込み映像となる。 そして第４
の支払い料金であるときには、矩形枠１４の拡大率が最大となると共に、映像ソースの縮小率も最大となって、
最も縮小された映像がモニタ画面上に表示されることになる。

【００４０】

【発明の効果】以上説明したようにこの発明では、支払い料金に合わせて映像表示面積に制限を加えると共に、
この映像表示制限部分に広告を表示させるようにしたことを特徴とするものである。

【００４１】支払い料金に合わせて映像表示面積を制限するが、料金によっては映像表示面積が変わるだけで、
映像そのものにはスクランブルがかけられていないために、その映像を楽しむことができる。 したがって例えば１／３あるいは１／４に映像表示領域が制限された映像を見る場合には、その映像のあらすじなどを大凡知ることができるから、次回からは表示制限ない映像にシフトしたいと言うように、視聴欲求を刺激することができる。

【００４２】また、この映像表示制限領域に広告を載せることで付加価値が生まれる。 広告によって支払い料金を安く設定することも可能になり、これによってさらに有料テレビ放送の利用率を高められるなどの特徴を有する。 したがってこの発明は有料テレビなどに適用して極めて好適である。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明に係る映像表示の面積を制限する説明図である。

【図２】映像表示制限枠に広告を表示する説明図である。

【図３】映像表示制限枠をスクロールする説明図である。

【図４】この発明に係る映像表示の面積を制限する他の説明図である。

【図５】映像表示制限枠に広告を表示する他の説明図である。

【図６】この発明に係る有料テレビ放送表示装置の実施の形態を示す要部の系統図である。

【図７】この発明に係る有料テレビ放送表示装置の他の実施の形態を示す要部の系統図である。

【符号の説明】

１２・・・表示バー、１４・・・矩形枠、２２・・・有料テレビ放送用映像ソース蓄積手段、２４・・・映像はめ込み手段、２６・・・映像モニタ、２７・・・テレビチューナ、２８・・・・料金判定手段、３６・・・表示枠設定手段、３８・・・枠制御部、４０・・・映像表示制限枠生成手段、４２・・・広告用映像ソースの蓄積手段