本発明は、ＰＯＳ（ｐｏｉｎｔ ｏｆ ｓａｌｅｓ）システム、釣銭機、釣銭機の貨幣取り込み方法に関し、特に、吟味台から直接、紙幣および硬貨を釣銭機内に取り込み、レジ係員の貨幣の取扱作業を不要とするＰＯＳシステム、釣銭機、釣銭機の貨幣取り込み方法に関する。

従来のＰＯＳシステムは、釣銭機をキャッシュドロワーの代替としてＰＯＳ端末の下に配置する。 取引に係る紙幣または硬貨（以降、紙幣と硬貨とを含む総称を貨幣と表記する）の顧客からの預り金は、釣銭および商品の受け渡しなど、販売取引が終わるまで、金額を確認するために吟味台上に一時的に置く。 取引終了後、レジ作業員は、吟味台上の貨幣を各々釣銭機の紙幣入金口、硬貨入金口に投入する。

従って、レジ作業員は、預り金の貨幣を吟味台から紙幣入金口、硬貨入金口へ各々投入して収納する作業が必要となる。

このため、商品購入代金支払いでレジに並んでいる顧客は、待ち時間が長くなる。

また、作業員は、貨幣を吟味台から手に取り、釣銭機の各入金口へ投入するときに過って取り落としたり、誤投入するなどのオペミスをするという欠点がある。

そこで、作業員は、取引毎の預り金の収納作業を容易に行うことができるものがある（例えば、特許文献１参照。）。

特許文献１の釣銭自動払出装置は、硬貨投入口に投入した硬貨を金種別に選別して収納し、必要に応じて収納した硬貨を払い出す。 釣銭自動払出装置は、閉塞手段により吟味台を閉塞位置に位置づけて硬貨投入口を閉塞し、吟味台の上で預り金額を確認可能にし、開放手段により吟味台を開放位置へ開放して硬貨投入口を開放し、預り金を硬貨投入口から投入可能とする。 作業員は、吟味台を開放位置へ変位させる作業を行うだけで、吟味台上の預り金を吟味台から硬貨投入口へ直接投入させることができる。

特開２００１ー０３４８３９号公報

上述の釣銭機をキャッシュドロワーの代替としてＰＯＳ端末の下に配置するＰＯＳシステムは、レジ作業員が預り金の貨幣を吟味台から紙幣入金口、硬貨入金口へ各々投入して収納する作業が必要となる。

従って、商品購入代金支払いでレジに並んでいる顧客は、収納する作業時間だけ、待ち時間が長くなるという課題がある。

また、作業員は、貨幣を吟味台から手に取り、釣銭機の各入金口へ投入するときに誤って取り落としたり、誤投入するなどのオペミスをするという課題がある。

特許文献１の技術は、預り金の紙幣についてはレジ作業員がドロワを引き出して、紙幣吟味台からドロワの紙幣入金口への収納作業が必要となる。

従って、紙幣を扱う取引においては、顧客は、紙幣収納時間だけ、待ち時間が長くなり、また、作業員は、作業中に紙幣を誤って取り落とすケースが発生するという課題がある。

本発明の目的は、レジ作業員の貨幣の入金の取扱作業を不要とするＰＯＳシステム、釣銭機、釣銭機の貨幣取り込み方法を提供することにある。 そのため、本発明は、紙幣吟味台および硬貨吟味台から各々、直接、紙幣および硬貨を釣銭機内に取り込む構成を設ける。

本発明のＰＯＳシステム入は、出金処理を行う釣銭機と、釣銭機上に載置し会計処理を行うＰＯＳ端末とを有するＰＯＳシステムであって、釣銭機は、顧客からの預り金の紙幣を収納する紙幣吟味台部と、預り金の硬貨を収納する硬貨吟味台部と、紙幣吟味台部上の紙幣および硬貨吟味台部上の硬貨を釣銭機内に取り込む貨幣取込ボタンとを有することを特徴とする。

釣銭機は、Ｌ型形状を有し、ＰＯＳ端末は、Ｌ型の水平部に載置し、紙幣吟味台部と硬貨吟味台部とは、Ｌ型の垂直部の上面に設けることを特徴とする。

紙幣吟味台部は、投入紙幣の入金口と、紙幣受け台と、紙幣を抑えるクランプローラと、クランプローラに対向して配置し紙幣を搬送する第１フィードローラと、第１フィードローラにより取り込んだ紙幣を挟んで搬送する１対の第２フィードローラと、投入紙幣の有無を検出する紙幣検知センサとを有することを特徴とする。

第２フィードローラは、紙幣投入時のストッパ機能を有することを特徴とする。

紙幣検知センサは、発光部と受光部とを有することを特徴とする。

硬貨吟味台部は、硬貨を収納する中空部を有する方形部と、中空部に設ける可動シャッタープレートと、可動シャッタープレートの下方に設け入金した硬貨を釣銭機内に取り込む繰出ベルトと、繰出ベルト上の硬貨をならすリバースローラとを有することを特徴とする。

方形部は、硬貨の投入ガイドとなるテーパ部を４周囲の内壁に有することを特徴とする。

貨幣取込ボタンを販売処理終了時に押下操作により、紙幣吟味台部と硬貨吟味台部とに収納した紙幣と硬貨とを釣銭機内に取り込むことを特徴とする。

本発明の釣銭機は、会計処理を行うＰＯＳ端末を載置し入出金処理を行う釣銭機であって、顧客からの預り金の紙幣を収納する紙幣吟味台部と、預り金の硬貨を収納する硬貨吟味台部と、紙幣吟味台部上の紙幣および硬貨吟味台部上の硬貨を釣銭機内に取り込む貨幣取込ボタンとを有することを特徴とする。

ＰＯＳ端末を載置する水平部と、紙幣吟味台部と硬貨吟味台部とを垂直部の上面に設けるＬ型形状を有することを特徴とする。

紙幣吟味台部は、投入紙幣の入金口と、紙幣受け台と、紙幣を抑えるクランプローラと、クランプローラに対向して配置し紙幣を搬送する第１フィードローラと、第１フィードローラにより取り込んだ紙幣を挟んで搬送する１対の第２フィードローラと、投入紙幣の有無を検出する紙幣検知センサとを有することを特徴とする。

第２フィードローラは、紙幣投入時のストッパ機能を有することを特徴とする。

紙幣検知センサは、発光部と受光部とを有することを特徴とする。

発光部と受光部とは、紙幣に対して両側に対向して設けることを特徴とする。

硬貨吟味台部は、硬貨を収納する中空部を有する方形部と、中空部に設ける可動シャッタープレートと、可動シャッタープレートの下方に設け入金した硬貨を釣銭機内に取り込む繰出ベルトと、繰出ベルト上の硬貨をならすリバースローラとを有することを特徴とする。

方形部は、硬貨の投入ガイドとなるテーパ部を４周囲の内壁に有することを特徴とする。

貨幣取込ボタンを販売処理終了時に押下操作により、紙幣吟味台部と硬貨吟味台部とに収納した紙幣と硬貨とを釣銭機内に取り込むことを特徴とする。

本発明の釣銭機の貨幣取り込み方法は、会計処理を行うＰＯＳ端末を載置し入出金処理を行う釣銭機の貨幣取り込み方法であって、顧客からの預り金の紙幣を紙幣吟味台部へ収納するステップと、預り金の硬貨を硬貨吟味台部へ収納するステップと、貨幣取込ボタンを販売処理終了時に押下操作により、紙幣吟味台部上の紙幣および硬貨吟味台部上の硬貨を釣銭機内に取り込むステップとを有することを特徴とする。

紙幣吟味台部は、紙幣を紙幣受け台へ収納するステップと、入金口へ紙幣を投入するステップと、クランプローラにより紙幣を抑えるステップと、クランプローラに対向して配置した第１フィードローラにより紙幣を搬送するステップと、第１フィードローラにより取り込んだ紙幣を１対の第２フィードローラにより挟んで搬送するステップと、投入紙幣の有無を紙幣検知センサにより検出するステップとを有することを特徴とする。

硬貨吟味台部は、中空部を有する方形部へ硬貨を収納するステップと、中空部に設けた可動シャッタープレートを開閉するステップと、可動シャッタープレートの下方に設け入金した硬貨を繰出ベルトにより釣銭機内に取り込むステップと、繰出ベルト上の硬貨をリバースローラによりならすステップとを有することを特徴とする。

本発明のＰＯＳシステムは、レジ作業員による貨幣の入金の取扱作業を不要とし、入金処理を効率化でき、顧客の待ち時間を短縮できるという効果がある。

その理由は、貨幣取込ボタンの押下操作により、釣銭機は、紙幣吟味台部上の紙幣および硬貨吟味台部上の硬貨を直接、釣銭機内に取り込むためである。

次に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。

図１は、本発明のＰＯＳシステム１００の概略斜視図、図２は、図１中の紙幣吟味台部４０の概略構成断面図、図３は、図１中の硬貨吟味台部３０の概略構成断面図である。

図１を参照すると、ＰＯＳシステム１００は、入出金処理を行う釣銭機２０と、釣銭機２０上に載置し会計処理を行うＰＯＳ端末１０とで構成する。

釣銭機２０は、顧客からの預り金の紙幣を収納する紙幣吟味台部４０と、預り金の硬貨を収納する硬貨吟味台部３０と、紙幣吟味台部４０上の紙幣および硬貨吟味台部３０上の硬貨を釣銭機２０内に取り込む貨幣取込ボタン５０とで構成する。 なお、貨幣取込ボタン５０は、ＰＯＳ端末１０に設ける構成としても良い。

釣銭機２０は、ＰＯＳ端末１０を載置する水平部２１と、紙幣吟味台部４０と硬貨吟味台部３０とを垂直部２２の上面２３に設けるＬ型形状で構成する。 紙幣吟味台部４０と、硬貨吟味台部３０とは、ＰＯＳシステム１００のオペレータと、商品購入代金の支払いを行う顧客との両者から見える位置に設ける。 なお、水平部２１の下部には、紙幣出金口２５を設け、垂直部２２の下部には、硬貨出金口２４を設ける。

図２を参照すると、紙幣吟味台部４０は、投入紙幣の入金口４１と、紙幣受け台４２と、紙幣を抑えるクランプローラ４３と、クランプローラ４３に対向して配置し紙幣を搬送する第１フィードローラ４４と、第１フィードローラ４４により取り込んだ紙幣を挟んで搬送する１対の第２フィードローラ４５と、投入紙幣の有無を検出する紙幣検知センサ４６とで構成する。

第１フィードローラ４４と第２フィードローラ４５とは、貨幣取込ボタン５０の押下と連動して回転動作を開始させる駆動機構を備える（図示省略）。 また、クランプローラ４３は、第１フィードローラ４４に対して離接する機構（図２上では上下動機構）を備える（図示省略）。 上下動機構は、紙幣検知センサ４６のオン／オフ信号をトリガーとして動作する構成を備える。 なお、第２フィードローラ４５は、紙幣投入時のストッパ機能を備える。 紙幣検知センサ４６は、発光部４６ａと受光部４６ｂとで構成し、発光部４６ａと受光部４６ｂとは、紙幣に対して両側に対向して設ける。 なお、紙幣検知センサ４６は、発光部４６ａと受光部４６ｂとを一体構成として、紙幣の片側に設ける構成としても良い。

図３を参照すると、硬貨吟味台部３０は、硬貨を収納する中空部を有する方形部３１と、中空部に設ける可動シャッタープレート３２と、可動シャッタープレート３２の下方に設け入金した硬貨を釣銭機２０内に取り込む繰出ベルト３３と、繰出ベルト３３上の硬貨をならすリバースローラ３４とで構成する。 方形部３１は、硬貨の投入ガイドとなるテーパ部３７を４周囲の内壁３８に設ける。 なお、繰出ベルト３３で搬送し、硬貨繰出ゲート部３５を通過した硬貨は、硬貨搬送ベルト３６により、釣銭機２０内に取り込むが、硬貨搬送ベルト３６以降の構造については、図示省略する。 また、可動シャッタープレート３２を開閉する機構は図示省略するが、例えば、ソレノイドを設け、貨幣取込ボタン５０の押下と連動してソレノイド電源をオン／オフすることにより、可動シャッタープレート３２を開閉する機構を設ける。

次に、上述のように構成したＰＯＳシステム１００の動作について、図面を参照して説明する。

図４は、ＰＯＳシステム１００の動作を説明するためのフローチャートである。

図４および図２を参照して、先ず、紙幣吟味台部４０の動作について説明する。

紙幣吟味台部４０は、待機状態（Ｓ１０１）において、商品計数が終わり、顧客からの支払代金の預り金について、レジ作業員が受け取った紙幣、硬貨を読み上げ計数し、紙幣を紙幣受け台４２へ投入する（Ｓ１０２）。

投入した紙幣の先端は、クランプローラ４３と第１フィードローラ４４との間を通過し、最大では第２フィードローラ４５に当たる所まで挿入できる。

紙幣検知センサ４６は、紙幣が発光部４６ａと受光部４６ｂとの間を通り、発光部４６ａからの光を遮光する（便宜上、オンと表示）と、紙幣を投入したことを検知する（Ｓ１０３）。

紙幣検知センサ４６は、紙幣を検知すると、クランプローラ４３は、第１フィードローラ４４方向に下がり、投入した紙幣をクランプする（Ｓ１０４）。

レジ作業員は、顧客からの預かり紙幣の返却の有無を確認し（Ｓ１０５）、返却はないと判断したとき、貨幣取込ボタン５０を押下する（Ｓ１０６）。 なお、預かり紙幣を返却する必要があると判断したとき、レジ作業員は、紙幣を紙幣受け台４２から抜き取り、顧客へ返却し（Ｓ１１１）、紙幣吟味台部４０は、後述の（Ｓ１１０）へ進む。

貨幣取込ボタン５０の押下に伴い、第１フィードローラ４４と第２フィードローラ４５とは、回転動作を開始し、紙幣取込動作を開始する（Ｓ１０７）。

紙幣取込開始後、紙幣検知センサ４６は、紙幣の後端が発光部４６ａと受光部４６ｂとの間を完全に通り過ぎ、受光部４６ｂにより発光部４６ａからの光を受光し（オフと表示）、紙幣を取り込んだことを検知する（Ｓ１０８）。

紙幣取込を検知すると、紙幣吟味台部４０は、紙幣取込動作を終了する（Ｓ１０９）。

紙幣取込終了後、クランプローラ４３は、第１フィードローラ４４から離れる方向へ移動し、紙幣の投入待ち状態となる（Ｓ１１０）。 なお、取り込んだ紙幣は、釣銭機２０の内部で処理するが、図示、説明共に省略する。

レジ作業員は、ＰＯＳ端末１０による預り金の入力、顧客への釣銭、商品渡しを終えて、顧客との取引は終了となる。

上述のように、レジ作業員は、紙幣の入金の取扱作業が不要となり、紙幣の入金処理を効率化でき、顧客の待ち時間を短縮できることになる。

次に、図４および図３を参照して、硬貨吟味台部３０の動作について説明する。

硬貨吟味台部３０は、待機状態（Ｓ２０１）において、顧客からの支払代金の預り金の硬貨を方形部３１へ投入する（Ｓ２０２）。

レジ作業員は、顧客からの預かり硬貨の返却の有無を確認し（Ｓ２０３）、返却はないと判断したとき、貨幣取込ボタン５０を押下する（Ｓ１０６）。 なお、預かり硬貨を返却する必要があると判断したとき、レジ作業員は、硬貨を方形部３１から抜き取り、顧客へ返却し（Ｓ２０８）、硬貨吟味台部３０は、硬貨の投入待ち状態となる。

貨幣取込ボタン５０の押下に伴い、硬貨吟味台部３０は、硬貨取込動作を開始する（Ｓ２０４）。

硬貨取込動作は、可動シャッタープレート３２が動作して（図３上では左側へスライドする）開き（Ｓ２０５）、硬貨が繰出ベルト３３上に落下し、その後、可動シャッタープレート３２が元の位置に戻り、中空部を閉じる（Ｓ２０６）。

預り金の方形部３１から下部の繰出ベルト３３への硬貨取込動作は、終了する（Ｓ２０７）。

上述のように、レジ作業員は、硬貨の入金の取扱作業が不要となり、硬貨の入金処理を効率化でき、顧客の待ち時間を短縮できることになる。

繰出ベルト３３上に落下した硬貨は、繰出ベルト３３で釣銭機２０の内部へ搬送するが、繰出ベルト３３上にある硬貨は、硬貨繰出ゲート部３５方向に搬送し、硬貨が山積みとなったときにはリバースローラ３４でならしながら搬送する。

硬貨繰出ゲート部３５を通過した硬貨は、硬貨搬送ベルト３６により、釣銭機２０内に取り込むが、硬貨搬送ベルト３６以降の動作については、省略する。

以上説明したように、上記ＰＯＳシステム１００は、預り金の釣銭機２０内への取込処理において、レジ作業員が、紙幣、硬貨に触れない故、貨幣を落とすとか、誤挿入するなどの人為的オペレーションミスを防ぐことができる。 また、ＰＯＳシステム１００は、繁忙時において、レジ処理が間に合わず、レジ操作員による預り金を一時プールする必要が無いため、置き忘れ、紛失などを防ぐことができる。

なお、以上説明したＰＯＳシステム１００は、貨幣取込ボタン５０の押下により、紙幣吟味台部４０と硬貨吟味台部３０とを同時に貨幣取込動作を行う構成としているが、個別に取込動作を行う構成としてもよい。 貨幣取込ボタン５０の代わりに、紙幣吟味台部４０用の貨幣取込ボタン５０と、硬貨吟味台部３０用の貨幣取込ボタン５０とを設け、レジ作業員が入金時に選択して押下する構成とすることも本発明に含まれることは云うまでもない。

本発明のＰＯＳシステムの概略斜視図である。

図１中の紙幣吟味台部の概略構成断面図である。

図１中の硬貨吟味台部の概略構成断面図である。

ＰＯＳシステムの動作を説明するためのフローチャートである。

符号の説明

１０ ＰＯＳ端末 ２０ 釣銭機 ２１ 水平部 ２２ 垂直部 ２３ 上面 ２４ 硬貨出金口 ２５ 紙幣出金口 ３０ 硬貨吟味台部 ３１ 方形部 ３２ 可動シャッタープレート ３３ 繰出ベルト ３４ リバースローラ ３５ 硬貨繰出ゲート部 ３６ 硬貨搬送ベルト ３７ テーパ部 ３８ 内壁 ４０ 紙幣吟味台部 ４１ 入金口 ４２ 紙幣受け台 ４３ クランプローラ ４４ 第１フィードローラ ４５ 第２フィードローラ ４６ 紙幣検知センサ ４６ａ 発光部 ４６ｂ 受光部 ５０ 貨幣取込ボタン １００ ＰＯＳシステム