本発明は、メダルを用いる遊技機に隣接して設置され、利用者の操作に応じて所定数のメダルを払い出すメダル貸出機、特に、多様の有価価値媒体処理装置（紙幣識別装置、カード処理装置など）とを有機的に組み合わせて用いることが可能なメダル貸出機に関する。

従来、メダル投出部形式とメダルシュート形式の両方に対応しながら、生産効率を向上させると共に、製品の廃棄や入れ換え工事のための休業といった無駄を低減させる目的で複数のメダルの払出部を選択的に取り付けた形式のメダル貸出機が開発されている。 例えば、特開２００２−４５５６１（特許文献１）に開示されているようなメダル貸出機では、メダルを用いる遊技機に隣接して設置され、利用者の操作に応じて所定数のメダルを払い出すメダル貸出機において、前面側が、前記遊技機の前面と略整列するように設置される本体と、この本体の前面側に対して着脱自在に取り付けられる払出部パネルとを備え、前記払出部パネルとして、（ｉ）利用者が手でメダルを取り出すための受皿形のメダル投出部を有する払出部パネルと、（ii）前記遊技機の前面に設けられたメダル受皿に対してメダルを送り込むためのメダルシュートを有する払出部パネルとのいずれかを任意に選択可能となっている構造が用いられている。 （呼称は、特許文献１に記載のものを使用した。）

しかしながら、このような、特許文献１に開示された構造では、たしかに、複数の投出部形式に対応することができ、一定の生産効率を向上させると共に、製品の廃棄や入れ換え工事のための休業といった無駄を低減させるという効果は期待できるが、昨今のように、各種形式の識別装置、カード処理装置を含めた形式のメダル貸出機に対するためには、それらの装置に対応する構成が不十分であり、生産効率を向上させると共に、製品の廃棄や入れ換え工事のための休業といった無駄を低減させるという効果を充分満足しているとは言えなかった。

特開２００２−４５５６１号公報

本発明は、メダルの補給タンクと払出装置を配設した上部筐体と、有価価値媒体処理装置を配設した下部筐体と、前記の上部筐体と下部筐体を分離可能に接続する接続部材を備えたメダル貸出機において、前記上部筐体は、前記払出装置の異なる複数の払出フロントパネルを選択的に脱着可能に取付け、前記下部筐体は、有価価値媒体処理装置を構成する異なる複数の紙幣収納式識別装置または、紙幣搬送装置と連係する異なる複数の紙幣識別装置を各々選択的に取り外し可能に収納した識別装置収納部と、有価価値媒体処理装置を構成する異なる複数のカード処理装置を選択的に取り外し可能に収納したカード処理装置収納部とを備えたことによって、複数の払出部形式に対応することができることはむろんのこと、各種形式の識別装置、カード処理装置を含めた各種装置にも対応することができ、メダル貸出機として、総合的に生産効率を向上させると共に、製品の廃棄や入れ換え工事のための休業といった無駄を低減させることができるメダル貸出機を提供することを目的とする。

上記の課題を解決するために、本発明は、メダルの補給タンクと払出装置を配設した上部筐体と、有価価値媒体処理装置を配設した下部筐体と、前記の上部筐体と下部筐体を分離可能に接続する接続部材を備えたメダル貸出機において、前記上部筐体は、前記払出装置の異なる複数の払出フロントパネルを選択的に脱着可能に取付け、前記下部筐体は、有価価値媒体処理装置を構成する異なる複数の紙幣収納式識別装置または、紙幣搬送装置と連係する異なる複数の紙幣識別装置を各々選択的に取り外し可能に収納した識別装置収納部と、有価価値媒体処理装置を構成する異なる複数のカード処理装置を選択的に取り外し可能に収納したカード処理装置収納部とを備えたものである。

上記のように構成することにより、一般的に共通して用いられる補給タンクと払出装置を上部筐体にまとめて配設して、その払出装置の収納部開口に複数のメダル貸出部を選択的に着脱可能に取り付けるとともに、有価価値媒体処理装置を下部筐体に配設するようにして、上部筐体と下部筐体とをサブアッセンブリー化した後に組み合わせることによって、遊技店の要求に応じた各装置を筐体別に配設した状態で供給して組み付けることによって、所望のメダル貸出機を得ることができ、その結果、各装置ならびに各筐体、惹いてはメダル貸出機の生産効率を向上させると共に、製品の廃棄や入れ換え工事のための休業といった無駄を低減させることができる。

次の発明は、前記異なる複数の紙幣収納式識別装置は、小額紙幣対応型紙幣収納式識別装置と高額紙幣対応型紙幣収納式識別装置とよりなり、前記異なる複数の紙幣識別装置は、小額紙幣対応型紙幣識別装置と高額紙幣対応型紙幣識別装置とよりなるものである。

上記のように構成することにより、紙幣収納式識別装置間の形式ならびに紙幣識別装置間の形式の選択とそれら相互間の組み合わせを選択することができ、遊技店の要求に応じた組み合わせで効率的にメダル貸出機を提供することができる。

次の発明は、前記異なる複数のカード処理装置は、プリペードカード対応型カード処理装置と会員カード対応型カード処理装置とよりなり、各々、高額紙幣対応型紙幣収納式識別装置または高額紙幣対応型紙幣識別装置とのいずれか一装置と組み合わされて構成されたものである。

上記のように構成することにより、高額紙幣を使用して遊技を行なったときのプリペードカードによる釣銭の支払いや会員カードによる釣銭の支払い、貯メダルに対応することができ、より効率的に遊技店の要望に答えることができる。

次の発明は、前記異なる複数の払出フロントパネルは、各々メダル自動投入型、ヘルメット型、ノズルシュート型、または皿型のメダル貸出部を形成したものである。

上記のように構成することにより、下部筐体に組み込まれた装置に係りなく所望の形式のメダル貸出部を形成した払出フロントパネルを選択することができ、より効率的に各装置を備えたメダル貸出機を提供することができる。

本発明は、メダルの補給タンクと払出装置を配設した上部筐体と、有価価値媒体処理装置を配設した下部筐体と、前記の上部筐体と下部筐体を分離可能に接続する接続部材を備えたメダル貸出機において、
前記上部筐体は、前記払出装置の異なる複数の払出フロントパネルを選択的に脱着可能に取付け、前記下部筐体は、有価価値媒体処理装置を構成する異なる複数の紙幣収納式識別装置または、紙幣搬送装置と連係する異なる複数の紙幣識別装置を各々選択的に取り外し可能に収納した識別装置収納部と、有価価値媒体処理装置を構成する異なる複数のカード処理装置を選択的に取り外し可能に収納したカード処理装置収納部とを備えたことによって、複数の払出部形式に対応することができることはむろんのこと、各種形式の識別装置、カード処理装置を含めた各種装置にも対応することができ、メダル貸出機として、総合的に、生産効率を向上させると共に、製品の廃棄や入れ換え工事のための休業といった無駄を低減させることができるメダル貸出機を提供することができる。

以下、本発明の一実施例を添付図面に基づいて説明する。 図１は、本発明のメダル貸出機における各装置の配置と各種メダル貸出部を形成した払出フロントパネルを示した説明図、図２は、下部筐体に配設される各装置の関係を示した説明図である。

本発明のメダル貸出機１は、上部筐体１０と下部筐体２０ならびに上部筐体１０を下部筐体２０に載置した状態でそれらを接続固定する接続部材７０と、上部筐体１０の内部に形成された補給タンク５０と払出装置６０と、下部筐体２０の内部に取り付けられた有価価値媒体処理装置４０を備えている。

上部筐体１０は、縦長の矩形状に形成されていて、内部を上下に二分し、上側に補給タンク５０を形成し、下側に払出装置６０の収納部１１を形成している。 そして、補給タンク５０の前面には、補給口５１が形成され、補給用フロントパネル５２が開閉可能に取り付けられている。 また、収納部１１の収納部開口１２には、払出フロントパネル３０が脱着可能に取り付けられている。

下部筐体２０は、上部筐体１０と比較して背の低い縦長の矩形状に形成されていて、内部を上下に二分し、上側に有価価値媒体処理装置４０であるカード処理装置４３の収納部２１を、下側に、有価価値媒体処理装置４０である紙幣収納式識別装置４１又は紙幣識別装置４２の収納部２２を形成している。 尚、図示しないが、収納部２１と収納部２２の前面は、フロントパネルで開閉可能に閉塞されている。

一方、上部筐体１０と下部筐体２０の側面上下端縁には、各々端縁側に解放された縦長の嵌合凹部７１が対向して形成されており、この嵌合凹部７１に接続プレート７２を嵌合させスクリュー（図示しない）などで固定することによって、上部筐体１０を下部筐体２０に載置固定している。 尚、この上部筐体１０を下部筐体２０の位置関係を上下逆転して配置させることも可能である。

払出フロントパネル３０は、前述した上部筐体１０の下側部分に形成された払出装置６０の収納部１１の収納部開口１２を取り外し可能に閉塞するもので、払出装置６０から払い出されたメダルを遊技者に貸し出すためのもので、その前面には、メダル貸出部が形成されている。 そして、払出フロントパネル３０は、収納部開口１２への取付け構造（図示しない）を共通化し、メダル貸出部の形によって、各種タイプが用意されている。 例えば、払い出されたメダルを自動的に遊技機（図示しない）のメダル投入口（図示しない）まで搬送するメダル自動投入型メダル貸出部３１を形成したタイプ、また、遊技機（図示しない）の受皿（図示しない）まで送り出すノズルシュート型メダル貸出部３２を形成したタイプ、更に、一旦払出口に貯留し、遊技者がカバーを持ち上げてメダルを受取るヘルメット型メダル貸出部３３を形成したタイプ、また、受皿にメダルを払い出す皿型メダル貸出部３４を形成したタイプなどがある。 これら、各種タイプのメダル貸出部を形成した払出フロントパネル３０は、メダル貸出機１のタイプに応じて選択され、収納部１１の収納部開口１２を取り外し可能に閉塞する。

一方、下部筐体２０の下側部分に画成された空間には、有価価値媒体処理装置４０
が配設される。 この有価価値媒体処理装置４０も各種タイプが用意されている。 例えば、紙幣収納式識別装置４１のように、取込んだ紙幣を識別して真券と判断された紙幣を紙幣収納式識別装置４１の内部に貯蓄するタイプ、このタイプには、小額紙幣対応型紙幣収納式識別装置４１１と高額紙幣対応型紙幣収納式識別装置４１２などがある。 また、識別紙幣識別装置４２のように、取込んだ紙幣の識別をして、真券をメダル貸出機１の外部に設けた紙幣搬送装置を介して外部の金庫（図示しない）に貯蓄するタイプ、このタイプにも、小額紙幣対応型紙幣識別装置４２１と高額紙幣対応型紙幣識別装置４２２などがある。 更に、カード処理装置４３が配設される。 このカード処理装置４３も各種タイプが用意されている。 例えば、プリペードカード対応型カード処理装置４３１のように、遊技店で発行しているプリペードカードを挿入して遊技を行なうタイプ、このタイプにも、使い切りタイプと前述した高額紙幣対応型紙幣収納式識別装置４１２或いは、高額紙幣対応型紙幣識別装置４２２と接続され、高額紙幣の釣銭を書き込むタイプなどがある。 また、会員カード対応型カード処理装置４３２のように、あらかじめ遊技店に会員登録をしておき、前述と同様に、使い切りタイプと高額紙幣対応型紙幣収納式識別装置４１２或いは、高額紙幣対応型紙幣識別装置４２２と接続され、高額紙幣の釣銭を書き込むことに加え、貯メダルも可能なタイプなどがある。 これら、各種タイプの有価価値媒体処理装置４０は、メダル貸出機１のタイプに応じて選択される。

次に、各種装置を組み合わせてメダル貸出機１を構成した一例を説明する。 補給タンク５０を設けた上部筐体１０の収納部１１に払出装置６０を配設した後に、メダル自動投入型メダル貸出部３１を形成した払出フロントパネル３０を取り付ける。 一方、下部筐体２０の内部の上側部分に有価価値媒体処理装置４０を構成するカード処理装置４３の内プリペードカード対応型カード処理装置４３１を配設する。 また、下側部分には、高額紙幣対応型紙幣収納式識別装置４１２が配設されている。 そして、プリペードカード対応型カード処理装置４３１と高額紙幣対応型紙幣収納式識別装置４１２の間を結線する。 この結線により、高額紙幣を高額紙幣対応型紙幣収納式識別装置４１２に投入して遊技を行なった後、清算結果（釣銭）がプリペードカード対応型カード処理装置４３１に挿入されているプリペードカード９０に記録される。

図２は、装置の他の組み合わせ関係を示したものである。
ａ：図１の組み合わせに対し、収納部２２に配設されていた高額紙幣対応型紙幣収納式識別装置４１２を小額紙幣対応型紙幣収納式識別装置４１１に交換したものである。 この場合、原則的には、カード処理装置４３は不要であるが、遊技店でプリペードカード９０や会員カード９１（２図の収納部２１に図示した）を使用したいときには、カード処理装置４３を配設すれば良い。 この場合、一般には、小額紙幣対応のため、釣銭は発生しないので小額紙幣対応型紙幣収納式識別装置４１１とカード処理装置４３とは結線されていない。
ｂ：次に、紙幣収納式識別装置４１に替えて紙幣識別装置４２を用いた場合、例えば、小額紙幣対応型紙幣識別装置４２１を収納部２２に配設したときには、ａと同様に、原則的には、カード処理装置４３は不要であるが、遊技店でプリペードカード９０や会員カード９１（図２の収納部２１に図示した）を使用したいときには、カード処理装置４３を配設すれば良い。 この場合、一般には、小額紙幣対応のため、釣銭は発生しないので小額紙幣対応型紙幣識別装４２１とカード処理装置４３とは結線されていない。
ｃ：次に、高額紙幣対応型紙幣識別装置４２２を使用した場合には、原則的には、釣銭が発生するのでカード処理装置４３と対で用いられる。

以上に説明した様に、本発明のメダル貸出機１は、上部筐体１０に形成された払出装置６０の収納部１１の収納部開口１２を取り外し可能に閉塞する払出フロントパネル３０をメダル自動投入型メダル貸出部３１、ノズルシュート型メダル貸出部３２、ヘルメット型メダル貸出部３３、皿型メダル貸出部３４などから選択して用いるとともに、下部筐体２０のカード処理装置４３の収納部２１にプリペードカード対応型カード処理装置４３１、
会員カード対応型カード処理装置４３２（図２の収納部２１に図示した）などから選択して用いる。

更に、紙幣収納式識別装置４１ならびに紙幣識別装置４２の収納部２２に紙幣識別装置４２の小額紙幣対応型紙幣収納式識別装置４１１、高額紙幣対応型紙幣収納式識別装置４１２や紙幣識別装置４２の小額紙幣対応型紙幣識別装置４２１、高額紙幣対応型紙幣識別装置４２２などを選択して用いる。 そして、必要に応じて、カード処理装置４３と紙幣収納式識別装置４１または紙幣識別装置４２と結線してメダル貸出機１を構成しても良い。

本発明のメダル貸出機における各装置の配置と各種メダル貸出部を形成した払出フロントパネルを示した説明図である。

下部筐体に配設される各装置の関係を示した説明図である。

符号の説明

１ メダル貸出機 １０ 上部筐体 １１ 収納部（払出装置の）
１２ 収納部開口 ２０ 下部筐体 ２１ 収納部（有価価値媒体処理装置のカード処理装置の）
２２ 収納部（有価価値媒体処理装置の紙幣識別装置の）
３０ 払出フロントパネル ３１ メダル自動投入型メダル貸出部 ３２ ノズルシュート型メダル貸出部 ３３ ヘルメット型メダル貸出部 ３４ 皿型メダル貸出部 ４０ 有価価値媒体処理装置 ４１ 紙幣収納式識別装置 ４１１ 小額紙幣対応型紙幣収納式識別装置 ４１２ 高額紙幣対応型紙幣収納式識別装置 ４２ 紙幣識別装置 ４２１ 小額紙幣対応型紙幣識別装置 ４２２ 高額紙幣対応型紙幣収納式識別装置 ４３ カード処理装置 ４３１ プリペードカード対応型カード処理装置 ４３２ 会員カード対応型カード処理装置 ５０ 補給タンク ５１ 補給口５１
５２ 補給用フロントパネル ６０ 払出装置 ７０ 接続部材 ７１ 嵌合凹部 ７２ 接続プレート ８０ 紙幣搬送装置９０ プリペードカード９１ 会員カード