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ダイマー脂肪酸−ポリエーテル反応生成物、およびこの反応生成物を含むコーティング組成物

阅读:1发布:2021-09-03

专利汇可以提供ダイマー脂肪酸−ポリエーテル反応生成物、およびこの反応生成物を含むコーティング組成物专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且,下面是ダイマー脂肪酸−ポリエーテル反応生成物、およびこの反応生成物を含むコーティング組成物专利的具体信息内容。

(a) ダイマー脂肪酸を、 (b) 一般構造式(I) (式中、 Rは、C3〜C6アルキレンラジカルであり、nはそれに従って、ポリエーテル(b)が2250〜6000g/molの数平均分子量を有するように選択される)の少なくとも1つのポリエーテルと反応させることによって製造できる、ダイマー脂肪酸−ポリエーテル反応生成物であって、成分(a)および成分(b)は、0.7対2.3から1.6対1.7のモル比で使用され、得られる反応生成物は、4800〜40000g/molの数平均分子量および10mgKOH/g未満の酸価を有する、ダイマー脂肪酸−ポリエーテル反応生成物を含むことを特徴とする顔料入り性ベースコート材料。使用されるダイマー脂肪酸が、少なくとも90wt%のダイマー分子、5wt%未満のトリマー分子、ならびに5wt%未満のモノマー分子および他の副生成物からなる、請求項1に記載の顔料入り水性ベースコート材料。ポリエーテル(b)が、2400〜5200g/molの数平均分子量を有する、請求項1に記載の顔料入り水性ベースコート材料。一般構造式(I)に示す基Rが、イソプロピレンラジカルまたはテトラメチレンラジカルを含み、ポリエーテル(b)が、2500〜4800g/molの数平均分子量を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の顔料入り水性ベースコート材料。成分(a)および成分(b)が、0.9対2.1から1.5対1.8のモル比で使用される、請求項1から4のいずれか一項に記載の顔料入り水性ベースコート材料。5000〜30000g/molの数平均分子量を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の顔料入り水性ベースコート材料。請求項1から6のいずれか一項に記載のすべての反応生成物の質量百分率割合の総計が、顔料入り水性ベースコート材料の合計質量に対して0.1〜30wt%である、請求項6に記載の顔料入り水性ベースコート材料。さらなる結合剤として、少なくとも1つのポリウレタン樹脂を含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の顔料入り水性ベースコート材料。オレフィン性不飽和モノマーによってグラフトされておりヒドロキシル基をさらに含むポリウレタン樹脂、およびメラミン樹脂を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の顔料入り水性ベースコート材料。前記反応生成物が、付着を改善するために使用される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の顔料入り水性ベースコート材料。(1) 顔料入り水性ベースコート材料を素地に塗布し、 (2) 段階(1)で塗付されたコーティング材料からポリマー塗膜を形成し、 (3) 得られたベースコート塗膜にクリアコート材料を塗布し、続いて、 (4) ベースコート塗膜を、クリアコート塗膜と一緒に硬化させる 多層皮膜型塗料系を生産するための方法であって、 請求項1から10のいずれか一項に記載の顔料入り水性ベースコート材料を段階(1)で使用する、方法。段階(1)からの前記素地が、欠陥を有する多層皮膜型塗料系である、請求項11に記載の方法。請求項11に記載の方法によって生産できる、多層皮膜型塗料系。欠陥を呈しており素地として使用される多層皮膜型塗料系が、請求項13に記載の系である、請求項12に記載の方法。

说明书全文

本発明は、革新的なダイマー脂肪酸−ポリエーテル反応生成物に関する。本発明は、上記ポリマーを含む顔料入り性ベースコート材料にもさらに関し、顔料入り水性ベースコート材料中に前記ポリマーを使用する方法にもさらに関する。本発明は、顔料入り水性ベースコート材料を用いて多層皮膜型塗料系を生産するための方法にも関し、前記方法によって生産できる多層皮膜型塗料系にも関する。本発明は、多層皮膜型塗料系にある欠陥の補修塗装にさらに関する。

多層皮膜型有色塗料系および/または多層皮膜型エフェクト塗料系を生産するための方法が数多く知られている。従来技術(例えば、独国特許出願DE19948004A1、17頁、37行目から19頁、22行目、または独国特許DE10043405C1、第3段、[0018]段落、および第8段、[0052]段落から第9段、[0057]段落と、第6段、[0039]段落から第8段、[0050]段落とを照合されたい)から下記の方法が公知であり、例えば、この方法では、 (1) 顔料入り水性ベースコート材料を素地に塗布し、 (2) 段階(1)で塗付されたコーティング材料からポリマー塗膜が形成され、 (3) 得られたベースコート塗膜にクリアコート材料を塗布し、続いて、 (4) ベースコート塗膜を、クリアコート塗膜と一緒に硬化させる。

上記方法は、例えば、自動車のOEM仕上げ塗装のためにも、金属製およびプラスチック製の付属部品の塗装のためにも、幅広く用いられている。ここで、特定の条件において、付着の課題が、特にベースコート塗膜とクリアコート塗膜との間に起きる。さらに、上記方法は、自動車ボディの補修塗装のためにも使用される。上述の補修塗装とは、OEM自動車補修塗装も意味するし、加えて、例えば作業場で実施される自動車補修塗装も意味する。こうした状況で特に課題となるのが、初期仕上げ塗膜と、仕上げ塗装で使用されたベースコートまたはこのベースコートから生産されたコーティング塗膜との付着である。ベースコート材料の特性、およびこのベースコート材料から生産されたコーティング塗膜の特性は特に、ベースコート材料中に存在する結合剤および添加剤、例えば特定の反応生成物によって決定される。

独国特許出願DE19948004A1

独国特許DE10043405C1

したがって、本発明によって対処する課題は、従来技術における上で特定した欠点をもはや有さないコーティングを生産するために使用され得る反応生成物を提供することである。したがって、コーティング、特にベースコート塗膜の付着は、金属素地およびプラスチック素地を塗装する場合および自動車補修塗装を実施する場合、著しく改良すべきである。金属素地およびプラスチック素地の塗装の場合、こうした素地の最前面は、素地にベースコートが付着し、加えて、ベースコートとクリアコートとが付着することにより、占められた。自動車補修塗装の場合、自動車の最前面は、ベースコートとクリアコートとが付着し、加えて、ベースコートと初期仕上げ塗膜とが付着することにより、占められた。このようにして占められることは、特にOEM自動車補修塗装における使用のために改良すべきである。したがって、特に意図された事柄は、新たな反応生成物の提供と、コーティング組成物、特に顔料入りベースコート材料中にこの反応生成物を使用する方法とによって、多層皮膜型塗料系中にある皮膜における各界面へのこれらのベースコート材料の付着を改良することであった。

従来技術から公知の系に影響する付着の課題は特に、コーティング加工済み素地が風化作用に曝された場合、際立って顕著になり得る。したがって、風化作用への曝露後でさえ極めて優れた付着特性を依然として有するコーティングを提供することが、本発明のさらなる一目的である。

付着不良は、風化作用に曝された場合、膨れおよび膨潤が発生したときに、特に明らかになる。したがって、本発明によって対処する中心的な課題は、風化作用への曝露後の膨れおよび膨潤の発生を低減し、または完全に予防さえすることであった。

特定された課題は、 (a)ダイマー脂肪酸を、 (b)一般構造式(I)

(式中、Rは、C3〜C6アルキレンラジカルであり、nはそれに従って、ポリエーテル(b)が2250〜6000g/molの数平均分子量を有するように選択される)の少なくとも1つのポリエーテルと反応させることによって製造できる、ダイマー脂肪酸−ポリエーテル反応生成物であって、成分(a)および成分(b)は、0.7対2.3から1.6対1.7のモル比で使用され、得られる反応生成物は、4800〜40000g/molの数平均分子量および10mg KOH/g未満の酸価を有する、ダイマー脂肪酸−ポリエーテル反応生成物によって解決された。

前記ポリエーテルが2250〜6000g/molの数平均分子量を有するようにnが選択される条件は、次のように説明することができる。例えばRがヘキサメチレンラジカルであり、数平均分子量を3000g/molにすべき場合、nは平均で、29から30の間である。当業者ならば、与えられた上記の条件付けから、対応する反応生成物をどのように製造または選択するかについては、完全に十分に認識する。このようにして認識すること以外にも、以下に後続する記述、特に例により、追加情報がさらに提供されている。それゆえ、パラメータnは、数平均分子量と同様に、統計上の平均値だと理解すべきである。

こうした新たな反応生成物は以下、本発明の反応生成物とも呼ぶ。本発明の反応生成物の好ましい実施形態は、後続の記述からも従属請求項からも明白である。

本発明の反応生成物を含む顔料入り水性ベースコート材料、および付着を改良するために水性ベースコート材料中に本反応生成物を使用する方法も本発明によって同様に提供される。本発明は、素地上に多層皮膜型塗料系を生産するための方法に特に関し、前記方法によって生産された多層皮膜型塗料系にも関する。本発明は、本発明のベースコートが使用される、多層皮膜型塗料系にある欠陥を補修塗装するための方法にも関する。

本発明の反応生成物は、本反応生成物を含むベースコート材料またはベースコート塗膜と、こうしたベースコートの下に位置する素地、および加えて、こうしたベースコートの上に位置するクリアコートとの極めて優れた付着を生み出す。さらに、さらなる要素は、初期仕上げ塗膜への極めて優れた付着、および欠陥を有する初期仕上げ塗膜への極めて優れた付着が特に達成されることであり、こうした欠陥は、必要に応じて研磨しておくことも可能である。不十分な付着を提示する典型的な現象、特に、各塗料系中における膨れおよび膨潤を最小化することは、特に効果的である。したがって、初期仕上げ塗装の部門、特に自動車産業の部門以外にも、本発明の反応生成物、および加えて、本発明のベースコート材料は、自動車補修塗膜の部門において、特に良好な効果を伴って使用され得る。

成分(a) 本発明の反応生成物は、少なくとも1つのダイマー脂肪酸(a)を用いて製造される。

ダイマー脂肪酸(ダイマー化脂肪酸またはダイマー酸としてもかねて知られている)は一般に、本発明との関連においては特に、不飽和脂肪酸のオリゴマー化によって製造された混合物である。上記ダイマー脂肪酸は、例えば、不飽和植物脂肪酸の触媒式ダイマー化によって製造することができ、使用される出発物質は、より特定すると、不飽和C12〜C22脂肪酸である。結合は、ディールス−アルダー方式に主に従っているため、ダイマー脂肪酸の製造用に使用される脂肪酸中にある二重結合の数および位置に応じて、主にダイマー生成物の混合物が結果として生じ、これらのダイマー生成物は、カルボキシル基同士の間に脂環式基、線形脂肪族基、分岐脂肪族基、および加えて、C6芳香族炭化水素基を有する。機構および/または任意に後続する水素化に応じて、脂肪族ラジカルは、飽和していてもよく、または不飽和であってもよく、芳香族基の割合もまた、変動し得る。それゆえ、カルボン酸基同士の間にあるラジカルは、例えば24個から44個の炭素原子を含有する。上記のダイマー脂肪酸の製造用には、18個の炭素原子を有する脂肪酸を使用するのが好ましく、この結果、ダイマー生成物が36個の炭素原子を有する。ダイマー脂肪酸のカルボキシル基同士を結合させるラジカルは、好ましくは不飽和結合および芳香族炭化水素ラジカルを有さない。

それゆえ、本発明の目的においては、C18脂肪酸が、上記のダイマー脂肪酸の製造に使用されるのが好ましい。リノレン酸、リノール酸および/またはオレイン酸を使用することが特に好ましい。

反応様式に応じて、上で特定したオリゴマー化により、主要部分としてダイマー分子を含むが、トリマー分子と、モノマー分子および他の副生成物とをさらに含む、混合物が生成する。精製は、一般的に、蒸留によって実施される。商用ダイマー脂肪酸は一般に、少なくとも80wt%のダイマー分子、最大19wt%のトリマー分子、ならびに1wt%以下のモノマー分子および他の副生成物を含有する。

少なくとも90wt%のダイマー脂肪酸分子、好ましくは少なくとも95wt%のダイマー脂肪酸分子、非常に好ましくは少なくとも98wt%のダイマー脂肪酸分子からなるダイマー脂肪酸を使用することが好ましい。

本発明の目的においては、少なくとも90wt%のダイマー分子、5wt%未満のトリマー分子、ならびに5wt%未満のモノマー分子および他の副生成物からなるダイマー脂肪酸を使用することが好ましい。95〜98wt%のダイマー分子、5wt%未満のトリマー分子、ならびに1wt%未満のモノマー分子および他の副生成物からなるダイマー脂肪酸の使用が特に好ましい。少なくとも98wt%のダイマー分子、1.5wt%未満のトリマー分子、ならびに0.5wt%未満のモノマー分子および他の副生成物からなるダイマー脂肪酸も同様に、使用されるのが特に好ましい。ダイマー脂肪酸中にあるモノマー分子、ダイマー分子およびトリマー分子の割合ならびに他の副生成物の割合の測定は、例えば、ガスクロマトグラフィー(GC)によって実施してもよい。この場合はGC分析前に、ダイマー脂肪酸を、三フッ化ホウ素法(DIN EN ISO5509と照合されたい)によって対応するメチルエステルに変換した後、GCによって分析する。

したがって、本発明との関連における「ダイマー脂肪酸」の基本的な識別要素は、ダイマー脂肪酸の製造が不飽和脂肪酸のオリゴマー化を包含することである。上記オリゴマー化の主要な生成物、言い換えると、好ましくは上記オリゴマー化の少なくとも80wt%程度の生成物、より好ましくは少なくとも90wt%程度の生成物、非常に好ましくは少なくとも95wt%程度の生成物、より特定すると少なくとも98wt%程度の生成物は、ダイマー生成物である。したがって、上記オリゴマー化により、正確に2個の脂肪酸分子を含有するダイマー生成物が主に生成することが、こうした「ダイマー脂肪酸」という記号表示の根拠となっており、このことは、いかなる場合においても通例となる事柄である。したがって、「ダイマー脂肪酸」という関連用語の代替表現は、「ダイマー化脂肪酸を含む混合物」である。

使用すべきダイマー脂肪酸は、商用製品として入手することができる。例としては、Oleon製のRadiacid0970、Radiacid0971、Radiacid0972、Radiacid0975、Radiacid0976およびRadiacid0977、Croda製のPripol1006、Pripol1009、Pripol1012およびPripol1013、Cognis製のEmpol1008、Empol1061およびEmpol1062、ならびにArizona Chemical製のUnidyme10およびUnidyme TIが挙げられる。

成分(b) 使用される成分(b)は、一般構造式(I)

(式中、Rは、C3〜C6アルキルラジカルである)の少なくとも1つのポリエーテルである。添え字nは、いずれの場合においても、前記ポリエーテルが2250〜6000g/molの数平均分子量を有するように選択すべきである。ポリエーテルは、好ましくは2300〜5600g/molの数平均分子量、より好ましくは2400〜5200g/molの数平均分子量、より特定すると2500〜4800g/molの数平均分子量、非常に特に好ましくは2700〜4700g/molの数平均分子量を有する。そうではないと明記されていない限り、本発明における数平均分子量は、蒸気圧浸透によって測定される。測定は、蒸気圧浸透圧計(Knauer製のモデル10.00)を使用し、50℃のトルエンに溶かした一連の濃度の調査対象成分について実施し、このとき、実験における較正定数を使用機器に関して決定するための較正物質として、ベンゾフェノンを用いた(ベンジルが較正物質として使用されたE.Schroeder、G.Mueller、K.−F.Arndt、「Leitfaden der Polymercharakterisierung」、Akademie−Verlag、Berlin、47〜54頁、1982年に従った)。

数平均分子量は常に、統計上の平均値であると知られている。それゆえ、同じ事柄が、式(I)に従ったパラメータnにも当てはまらなければならない。成分(b)用として選択され、こうした選択との関連で明確化すべきものである、ポリエーテルという用語は、次のように理解される。ポリマー、例えばポリエーテル(b)は常に、相異なるサイズを有する分子の混合物を含む。これらの分子の少なくとも一部またはすべては、一続きになった同一のまたは異なるモノマー単位(反応済み形態のモノマーの状態)によって区別される。したがって、ポリマーまたは分子の混合物は原則として、複数の(すなわち、少なくとも2つの)同一のまたは異なるモノマー単位を含む分子を含む。上記混合物中には、モノマー自体、言い換えると、モノマーの未反応形態もまた、比例的に存在し得ると理解される。このことが、公知のように、製造反応(すなわち、モノマーの重合)は一般に、分子の一様性を伴って進行しないことの唯一の理由である。したがって、規定されたモノマーには個別の分子量を割り当てることができる一方で、ポリマーは常に、分子量が相違する分子の混合物である。したがって、ポリマーは、個別の分子量によって記述することができない代わりに、公知のように、例えば上記に明記された数平均分子量等の平均分子量が常に割り当てられる。

本発明による使用のためのポリエーテルにおいて、n個のすべてのラジカルRを同一にしておくことも可能である。しかしながら、相異なる種類のラジカルRが存在することも同様に可能である。好ましくは、すべてのラジカルRが同一である。

Rは、好ましくは、C3またはC4アルキレンラジカルである。特に好ましくは、Rは、イソプロピレンラジカルまたはテトラメチレンラジカルである。

非常に特に好ましくは、本発明による使用のためのポリエーテルは、ポリプロピレングリコールまたはポリテトラヒドロフランである。

反応生成物 本発明の反応生成物の製造に関して、特殊な点は存在しない。成分(a)と成分(b)とは、常識的なエステル化によって互いに結合する。したがって、成分(a)のカルボキシル基は、成分(b)のヒドロキシル基と反応する。反応は例えば、バルクまたは一般的な有機溶媒との溶液中において、例えば50℃〜300℃の温度で実施することができる。当然ながら、硫酸、スルホン酸および/もしくはテトラアルキルチタネート、亜鉛アルコキシレートおよび/もしくはスズアルコキシレート、例えばジ−n−ブチルスズオキシド等のジアルキルスズオキシド、またはジアルキルスズオキシドの有機塩等、一般的な触媒を用いることも可能である。慣例的には、水分離器をさらに使用して、縮合反応中に生成した水を収集する。

ここで、成分(a)および成分(b)は、0.7対2.3から1.6対1.7のモル比、好ましくは0.8対2.2から1.6対1.8のモル比、非常に好ましくは0.9対2.1から1.5対1.8のモル比で使用される。本発明の反応生成物が10mg KOH/g未満の酸価を有すると、反応は中断される。本発明の反応生成物は、7.5mg KOH/g未満の酸価、非常に好ましくは5mg KOH/g未満の酸価を有するのが好ましい。酸価は、DIN53402によって測定される。

得られる反応生成物は、4800〜40000g/molの数平均分子量、好ましくは5000〜30000g/molの数平均分子量、非常に好ましくは5500〜20000g/molの数平均分子量、特に6000〜12000g/molの数平均分子量を有する。

本発明の反応生成物は、一般に、低い水溶性を有する。本発明の反応生成物は一般に、水性系中に使用される場合、例えば非相溶性であるため界面に集合していき、この結果、隣接した塗膜への付着の改良に寄与することができる。

本発明の反応生成物は、一般にヒドロキシ官能性であり、好ましくはジヒドロキシ官能性である。

特に好ましい実施形態が、下記に明示されている。

a) 本発明の反応生成物の特に好ましい一実施形態において、ダイマー脂肪酸は、リノレン酸、リノール酸および/またはオレイン酸から製造されており、少なくとも98wt%のダイマー分子、1.5wt%未満のトリマー分子、ならびに0.5wt%未満のモノマー分子および他の副生成物からなる。

b) 本発明の反応生成物の特に好ましい別の実施形態において、本発明による使用のためのポリエーテルは、ポリプロピレングリコールまたはポリテトラヒドロフランであり、2500〜4800g/molの数平均分子量をさらに有する。

c) 本発明の反応生成物の特に好ましい別の実施形態において、成分(a)および成分(b)は、0.9対2.1から1.5対1.8のモル比で使用される。

d) 本発明の反応生成物の特に好ましい別の実施形態において、前記生成物は、5mg KOH/g未満の酸価を有する。

e) 本発明の反応生成物の特に好ましい別の実施形態において、前記生成物は、6000〜12000g/molの数平均分子量を有する。

本発明の反応生成物の特に好ましい一実施形態においては、a)からe)に提示した特徴のすべてを組み合わせて実現する。

顔料入り水性ベースコート材料 本発明は、少なくとも1つの本発明の反応生成物を含む、顔料入り水性ベースコート材料にさらに関する。

ベースコート材料は、自動車仕上げ塗装に場合にも、一般的な工業用塗装の場合にも使用される、着色作用のある中塗りコーティング材料である。このベースコート材料は一般に、サーフェーサーもしくはプライマーサーフェーサーによって前処理しておいた金属素地もしくはプラスチック素地に塗布し、または、このようにして塗布できない場合は時折、プラスチック素地に直接塗布することもある。使用される素地は、既存の塗料系をさらに含んでいてもよく、こうした既存の塗料系には、任意に、(例えば研磨による)前処理も要求することができる。1つより多いベースコート塗膜を塗布することは、現在、すっかり慣例的になっている。したがって、上述のように1つより多いベースコート塗膜を塗布する場合、第1のベースコート塗膜は、こうした第2の塗膜のための素地を意味する。特に環境による影響からベースコート塗膜を保護するために、少なくとも1つの追加用クリアコート塗膜がベースコート塗膜の上に塗布される。

すべての本発明の反応生成物の質量百分率割合の総計は、顔料入り水性ベースコート材料の合計質量に対して、好ましくは0.1wt%〜30wt%であり、より好ましくは1wt%〜20wt%であり、非常に好ましくは1.5wt%〜15wt%であり、または2wt%〜12wt%でさえある。

本発明の反応生成物の量が0.1wt%未満である場合、付着の改良がもはや達成されない可能性もあり得る。上記の量が30wt%超である場合、特定の状況下においては、例えばベースコート材料中の前記反応生成物の非相溶性等といった欠点が存在し得る。このような非相溶性は、例えば、不均一なレベリングがあったときにも、浮きまだらまたは沈殿があったときにも、明らかになり得る。

すでに上述したように、本発明の反応生成物は、一般に、水性系への溶解度が不十分である。したがって、本発明の反応生成物は、顔料入り水性ベースコート材料の生産中に直接使用されるのが好ましく、生産が実施された後で、上記反応生成物以外は完全なベースコート材料に加えられると限られているわけではない。

好ましい一実施形態において、すべての本発明の反応生成物の質量百分率割合の総計は、顔料入り水性ベースコート材料の合計質量に対して0.1〜30wt%である。本発明の反応生成物の好ましい実施形態が用いられる場合、本発明の反応生成物のすべての好ましい実施形態の質量百分率割合の総計も同様に、顔料入り水性ベースコート材料の合計質量に対して0.1〜30wt%であるのが好ましい。特に好ましくは、顔料入り水性ベースコート材料は、本発明の反応生成物として、本発明の反応生成物の好ましい実施形態のみを含む。

好ましい一実施形態において、すべての本発明の反応生成物の質量百分率割合の総計は、顔料入り水性ベースコート材料の合計質量に対して1〜20wt%である。本発明の反応生成物の好ましい実施形態が用いられる場合、本発明の反応生成物のすべての好ましい実施形態の質量百分率割合の総計も同様に、顔料入り水性ベースコート材料の合計質量に対して1〜20wt%であるのが好ましい。特に好ましくは、顔料入り水性ベースコート材料は、本発明の反応生成物として、本発明の反応生成物の好ましい実施形態のみを含む。

特に好ましい一実施形態において、本発明のすべての反応生成物の質量百分率割合の総計は、顔料入り水性ベースコート材料の合計質量に対して1.5〜15wt%である。本発明の反応生成物の好ましい実施形態が用いられる場合、本発明の反応生成物のすべての好ましい実施形態の質量百分率割合の総計も同様に、顔料入り水性ベースコート材料の合計質量に対して1.5〜15wt%であるのが好ましい。特に好ましくは、顔料入り水性ベースコート材料は、本発明の反応生成物として、本発明の反応生成物の好ましい実施形態のみを含む。

同様に特に好ましい一実施形態において、すべての本発明の反応生成物の質量百分率割合の総計は、顔料入り水性ベースコート材料の合計質量に対して2〜12wt%である。本発明の反応生成物の好ましい実施形態が用いられる場合、本発明の反応生成物のすべての好ましい実施形態の質量百分率割合の総計も同様に、顔料入り水性ベースコート材料の合計質量に対して2〜12wt%であるのが好ましい。特に好ましくは、顔料入り水性ベースコート材料は、本発明の反応生成物として、本発明の反応生成物の好ましい実施形態のみを含む。

例示の意味で好ましい本発明の反応生成物の実施形態の例として、下記の特に好ましい実施形態を挙げることができる。

a) 本発明の反応生成物の特に好ましい一実施形態において、ダイマー脂肪酸は、リノレン酸、リノール酸および/またはオレイン酸から製造されており、少なくとも98wt%のダイマー分子、1.5wt%未満のトリマー分子、ならびに0.5wt%未満のモノマー分子および他の副生成物からなる。

b) 本発明の反応生成物の特に好ましい別の実施形態において、本発明による使用のためのポリエーテルは、ポリプロピレングリコールまたはポリテトラヒドロフランであり、2500〜4800g/molの数平均分子量も有する。

c) 本発明の反応生成物の特に好ましい別の実施形態において、成分(a)および成分(b)は、0.9対2.1から1.5対1.8のモル比で使用される。

d) 本発明の反応生成物の特に好ましい別の実施形態において、前記生成物は、5mg KOH/g未満の酸価を有する。

e) 本発明の反応生成物の特に好ましい別の実施形態において、前記生成物は、6000〜12000g/molの数平均分子量を有する。

この意味で好ましい本発明の反応生成物の実施形態のさらなる一例として、a)からe)に明示した特徴のすべてを組み合わせて実現する実施形態を挙げることができる。

本発明によって使用されるベースコート材料は、有色顔料および/またはエフェクト顔料を含む。このような有色顔料およびエフェクト顔料は当業者に公知であり、例えば、Roempp−Lexikon Lacke und Druckfarben、Georg Thieme Verlag、Stuttgart、New York、1998年、176頁および451頁で記述されている。顔料の割合は、例えば、顔料入り水性ベースコート材料の合計質量に対して1〜40wt%の範囲、好ましくは2〜30wt%の範囲、より好ましくは3〜25wt%の範囲に収まり得る。

本発明との関連において好ましいベースコート材料は、物理硬化、熱硬化または熱と光化学的作用のある放射線の両方による硬化が可能なポリマーを結合剤として含む、ベースコート材料である。本発明における結合剤は、関係するDIN EN ISO4618によれば、顔料および充填剤を含めない、コーティング組成物の不揮発性部分である。したがって、特定の結合剤は、下記においてこうした結合剤という表現が、例えば特定のポリウレタン樹脂のように、物理硬化、熱硬化または熱と光化学的作用のある放射線の両方による硬化が可能な特定のポリマーについて主に使用されているとしても、例えば一般的なコーティング加工用添加剤、本発明の反応生成物、または、下記で後述する一般的な架橋剤を含める。

本発明の反応生成物の他にも、本発明の顔料入り水性ベースコート材料は、より好ましくは、少なくとも1つのポリウレタン樹脂を結合剤として含む。ポリウレタン樹脂を含むこうした種類のコーティング材料もまた、慣例的には、物理硬化してもよく、熱硬化してもよく、または熱と光化学的作用のある放射線の両方によって硬化してもよい。

本発明の目的においては、「物理硬化」という用語は、ポリマー溶液またはポリマー分散物からの溶媒の消失による塗膜の形成を表す。一般的に、架橋剤は、こうした物理硬化のためには必要でない。

本発明の目的においては、「熱硬化」という用語は、母体となるコーティング材料(parent coating material)中に別個の架橋剤または自己架橋形成用結合剤を用いた状態で、熱により開始される、コーティング塗膜の架橋形成を表す。架橋剤は、結合剤中に存在する反応性官能基と相補的な反応性官能基を含む。上記のようなコーティング塗膜の架橋形成は一般的に、当業者によって、外部架橋形成と呼ばれている。相補的な反応性官能基、または自己反応性官能基、すなわち同じ種類の基と反応する基が結合剤分子中にすでに存在する場合、存在する結合剤により、自己架橋が形成されている。適切とされる相補的な反応性官能基および自己反応性官能基の例は、独国特許出願DE19930665A1、7頁、28行目から9頁、24行目によって公知である。

本発明の目的においては、光化学的作用のある放射線は、近赤外線(NIR)と、紫外線等の電磁放射線、より特定すると紫外線と、電子放射線等の粒子放射線とを意味する。紫外線による硬化は、一般的に、ラジカルまたはカチオン性光開始剤によって開始される。

熱硬化および光化学的作用のある光による硬化が同時に用いられる場合、「二重硬化」という用語も使用される。

本発明の目的においては、物理硬化するベースコート材料も好ましく、熱硬化するベースコート材料、または熱と光化学的作用のある放射線の両方によって硬化する、すなわち「二重硬化」によって硬化する、ベースコート材料も好ましい。

熱硬化する好ましいベースコート材料は、結合剤としてのポリウレタン樹脂、好ましくはヒドロキシル含有ポリウレタン樹脂、および架橋剤としてのアミノプラスト樹脂またはブロック型もしくは非ブロック型ポリイソシアネート、好ましくはアミノプラスト樹脂を含む、ベースコート材料である。アミノプラスト樹脂の中でも特に、メラミン樹脂が好ましい。

すべての架橋剤、好ましくはアミノプラスト樹脂ならびに/またはブロック型および/もしくは非ブロック型ポリイソシアネート、より特に好ましくはメラミン樹脂の質量百分率割合の総計は、顔料入り水性ベースコート材料の合計質量に対して、好ましくは1〜20wt%であり、より好ましくは1.5〜17.5wt%であり、非常に好ましくは2〜15wt%であり、または2.5〜10wt%でさえある。

存在するのが好ましいポリウレタン樹脂は、イオン型親水性および/またはノニオン型親水性により安定化することができる。本発明の好ましい実施形態において、ポリウレタン樹脂は、イオン型親水性により安定化されている。好ましいポリウレタン樹脂は、線形であり、または分岐の場合を含む。より好ましくは、ポリウレタン樹脂は、そのポリウレタン樹脂の存在下でオレフィン性不飽和モノマーが重合されたポリウレタン樹脂である。このポリウレタン樹脂は、オレフィン性不飽和モノマーの重合に由来したポリマーと一緒に存在することが、このポリマーとポリウレタン樹脂とが互いに共有結合していなくても、可能である。しかしながら、ポリウレタン樹脂もやはり、オレフィン性不飽和モノマーの重合に由来したポリマーに同じように共有結合することができる。オレフィン性不飽和モノマーは、好ましくは、アクリレート基および/またはメタクリレート基を含有するモノマーである。使用すべきアクリレート基および/またはメタクリレート基を含有するモノマーは、アクリレート基またはメタクリレート基を含有しない他のオレフィン性不飽和化合物と組み合わせて使用することも同様に好ましい。ポリウレタン樹脂に結合するオレフィン性不飽和モノマーは、より好ましくは、アクリレート基またはメタクリレート基を含有するモノマーであり、これにより、ポリウレタン(メタ)アクリレートを生成する。非常に好ましくは、ポリウレタン樹脂は、ポリウレタン(メタ)アクリレートである。存在するのが好ましいポリウレタン樹脂は、物理硬化、熱硬化、または熱と光化学的作用のある放射線の両方による硬化が可能である。より特定すると、上記ポリウレタン樹脂は、熱硬化または熱と光化学的作用のある放射線の両方による硬化が可能である。特に好ましくは、ポリウレタン樹脂は、外部架橋形成を可能にする反応性官能基を含む。

適切な飽和または不飽和ポリウレタン樹脂は、例えば、 − 独国特許出願DE19914896A1、第1段、29行目から49行目、および第4段、23行目から第11段、5行目 − 独国特許出願DE19948004A1、4頁、19行目から13頁、48行目、 − 欧州特許出願EP0228003A1、3頁、24行目から5頁、40行目、 − 欧州特許出願EP0634431A1、3頁、38行目から8頁、9行目、または − 国際特許出願WO92/15405、2頁、35行目から10頁、32行目 で記述されている。

ポリウレタン樹脂は、好ましくは、当業者に公知の脂肪族化合物型ポリイソシアネート、脂環式化合物型ポリイソシアネート、脂肪族化合物−脂環式化合物型ポリイソシアネート、芳香族化合物型ポリイソシアネート、脂肪族化合物−芳香族化合物型ポリイソシアネートおよび/または脂環式化合物−芳香族化合物型ポリイソシアネートを用いて製造される。

ポリウレタン樹脂を製造するためのアルコール成分として、比較的高い分子質量の飽和および不飽和ポリオールならびに低い分子質量の飽和および不飽和ポリオールを使用し、さらには任意に、当業者に公知な少量のモノアルコールも使用することが好ましい。使用される低い分子質量のポリオールは、より特定すると、分岐の場合を導入するためのジオールおよび少量のトリオールである。高い分子質量の適切なポリオールの例は、飽和またはオレフィン性不飽和ポリエステルポリオールおよび/またはポリエーテルポリオールである。高い分子質量のポリオールは、より特定すると、ポリエステルポリオールであり、特に、400〜5000g/molの数平均分子量を有するポリエステルポリオールである。

親水性による安定化および/または水性媒体への分散性の増大を目的とした場合、存在するのが好ましいポリウレタン樹脂は、特定のイオン性基、および/またはイオン性基に変換され得る(潜在的にイオン性の基であり得る)基を含有してもよい。こうした種類のポリウレタン樹脂は、本発明の目的においては、イオン型親水性により安定化されたポリウレタン樹脂と呼ぶ。ノニオン型親水性による修飾基も同様に存在し得る。しかしながら、イオン型親水性により安定化されたポリウレタンが好ましい。より正確に言えば、修飾基は、代替的には、 − 中和剤および/もしくは第四級化用作用物質によってカチオンに変換され得る官能基、ならびに/またはカチオン性基(カチオン型修飾)、 または − 中和剤によってアニオンに変換され得る官能基、および/もしくはアニオン性基(アニオン型修飾)、 ならびに/または − ノニオン型親水性基(ノニオン型修飾) である。

当業者が認識しているように、カチオン型修飾のための官能基は例えば、第一級、第二級および/または第三級アミノ基、第二級スルフィド基(secondary sulfide group)および/または第三級ホスフィン基、より特定すると第三級アミノ基および第二級スルフィド基(secondary sulfide group)(中和剤および/または第四級化用作用物質によってカチオン性基に変換され得る官能基)である。第一級、第二級、第三級および/または第四級アンモニウム基、第三級スルホニウム基ならびに/または第四級ホスホニウム基、より特定すると第四級アンモニウム基および第三級スルホニウム基等のカチオン性基(当業者に公知の中和剤および/または第四級化用作用物質を用いて上記官能基から製造された基)もまた、言及しておく価値がある。

アニオン型修飾のための官能基は、公知のように、例えばカルボン酸基、スルホン酸基および/またはホスホン酸基、より特定するとカルボン酸基(中和剤によってアニオン性基に変換され得る官能基)、ならびに加えて、カルボキシレート基、スルホネート基および/またはホスフェート基等のアニオン性基(当業者に公知の中和剤を用いて上記官能基から製造された基)である。

ノニオン型親水性修飾のための官能基は、好ましくはポリ(オキシアルキレン)基、より特定するとポリ(オキシエチレン)基である。

イオン型親水性修飾は、(潜在的に)イオン性の基を含有するモノマーによって、ポリウレタン樹脂に導入することができる。ノニオン型修飾は例えば、ポリウレタン分子の側基または末端基としてポリ(エチレン)オキシドポリマーを組み入れることによって、導入される。親水性修飾は例えば、イソシアネート基に対して反応性の少なくとも1つの基、好ましくは少なくとも1つのヒドロキシル基を含有する化合物によって、導入される。イオン型修飾を導入するためには、修飾基と少なくとも1つのヒドロキシル基とを含有するモノマーを使用することも可能である。ノニオン型修飾を導入するためには、当業者に公知のポリエーテルジオールおよび/またはアルコキシポリ(オキシアルキレン)アルコールを使用することが好ましい。

ポリウレタン樹脂は、好ましくは、グラフトポリマーであり得る。より特定すると、ポリウレタン樹脂は、オレフィン性不飽和化合物、好ましくはオレフィン性不飽和モノマーによってグラフトされたポリウレタン樹脂である。この場合、後でポリウレタンは、例えばオレフィン性不飽和モノマーを主体とした側基および/または側鎖によってグラフトされる。より特定すると、上記側鎖は、ポリ(メタ)アクリレートを主体とした側鎖である。本発明の目的におけるポリ(メタ)アクリレートは、アクリレート基および/またはメタクリレート基を含有するモノマーを含み、好ましくは、アクリレート基および/またはメタクリレート基を含有するモノマーからなる、ポリマーまたはポリマーラジカルである。ポリ(メタ)アクリレートを主体とした側鎖は、(メタ)アクリレート基含有モノマーを用いてグラフト重合中に構築された側鎖であると理解される。ここで、グラフト重合においては、グラフト重合で使用されるモノマーの合計量に対して50mol%超の(メタ)アクリレート基含有モノマー、より特定すると75mol%超の(メタ)アクリレート基含有モノマー、特に100mol%の(メタ)アクリレート基含有モノマーを使用することが好ましい。

記述された側鎖は、好ましくはポリウレタン樹脂一次分散物の製造後に、ポリマーに導入される。この場合、上記一次分散物中に存在するポリウレタン樹脂は、オレフィン性不飽和化合物とのグラフト重合を後で進行させるのに用いられる、オレフィン性不飽和側基および/またはオレフィン性不飽和末端基を含有してもよい。したがって、グラフトのためのポリウレタン樹脂は、不飽和ポリウレタン樹脂(A)であってもよい。この場合、グラフト重合は、オレフィン性不飽和反応物質のラジカル重合である。例えば、グラフト重合のために使用されるオレフィン性不飽和化合物は、少なくとも1つのヒドロキシル基を含有することも同様に可能である。この場合は最初に、ポリウレタン樹脂の遊離イソシアネート基との反応により、これらのヒドロキシル基を介してオレフィン性不飽和化合物をポリウレタン樹脂に結合させることも同様に可能である。こうした結合は、オレフィン性不飽和化合物と、ポリウレタン樹脂中に任意に存在するオレフィン性不飽和側基および/またはオレフィン性不飽和末端基とのラジカル反応の代わりに実施され、または、このラジカル反応に加えて実施される。上記の結合の後にはやはり、上記で先述したように、ラジカル重合を用いたグラフト重合が続く。オレフィン性不飽和化合物、好ましくはオレフィン性不飽和モノマーによってグラフトされたポリウレタン樹脂が、いかなる場合においても、結果として生じる。

ポリウレタン樹脂(A)をグラフトするのに用いるのが好ましいオレフィン性不飽和化合物としては、このグラフトを目的とした場合に当業者が利用できる事実上すべてのラジカル重合可能なオレフィン性不飽和有機モノマーを使用することができる。いくつかの好ましいモノマーの種類が、例示として明示することができ、すなわち、 − (メタ)アクリル酸またはその他のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル、 − アルキルラジカル中に最大20個の炭素原子を有する(メタ)アクリル酸アルキルおよび/またはシクロアルキルエステル、 − 少なくとも1個の酸基、より特定すると例えば(メタ)アクリル酸等の正確に1個のカルボキシル基を含むエチレン性不飽和モノマー、 − 5個から18個の炭素原子を有するα位で分岐したモノカルボン酸のビニルエステル、 − (メタ)アクリル酸と、5個から18個の炭素原子を有するα位で分岐したモノカルボン酸のグリシジルエステルとの反応生成物、 − オレフィン(例えば、エチレン)、(メタ)アクリルアミド、ビニル芳香族炭化水素(例えば、スチレン)、塩化ビニル等のビニル化合物および/またはエチルビニルエーテル等のビニルエーテル等、さらなるエチレン性不飽和モノマー を例示として明示することができる。

(メタ)アクリレート基を含有するモノマーを使用することが好ましく、この結果、グラフトによって結合させる側鎖は、ポリ(メタ)アクリレートを主体とした側鎖になる。

オレフィン性不飽和化合物とのグラフト重合を進行できるようにする、ポリウレタン樹脂中のオレフィン性不飽和側基および/またはオレフィン性不飽和末端基が、好ましくは特定のモノマーによって、ポリウレタン樹脂に導入される。これらの特定のモノマーは、オレフィン性不飽和基の他にも、例えば、イソシアネート基に対して反応性である少なくとも1つの基をさらに含む。ヒドロキシル基も好ましく、第一級アミノ基および第二級アミノ基も好ましい。ヒドロキシル基が特に好ましい。

ポリウレタン樹脂中へのオレフィン性不飽和側基および/またはオレフィン性不飽和末端基の導入を可能にするものとして記述されたモノマーは当然ながら、後でオレフィン性不飽和化合物によってポリウレタン樹脂をさらにグラフトすることなく、用いることもできる。しかしながら、ポリウレタン樹脂は、オレフィン性不飽和化合物によってグラフトされるのが好ましい。

存在するのが好ましいポリウレタン樹脂は、自己架橋形成および/または外部架橋形成用結合剤であってもよい。ポリウレタン樹脂は、好ましくは、外部架橋形成を可能にする反応性官能基を含む。この場合、顔料入り水性ベースコート材料中に少なくとも1つの架橋剤が存在することが好ましい。外部架橋形成を可能にする反応性官能基は、より特定すると、ヒドロキシル基である。特に有利なことに、本発明の方法においては、ポリヒドロキシ官能性ポリウレタン樹脂を使用することが可能である。このようにポリヒドロキシ官能性ポリウレタン樹脂の使用が可能であることは、ポリウレタン樹脂が、分子1個当たりの平均で1個より多いヒドロキシル基を含有することを意味する。

ポリウレタン樹脂は、ポリマー化学において慣例的な方法によって製造される。この方法は例えば、ポリイソシアネートとポリオールとを重合させてポリウレタンにすること、および、好ましくはこの後に続いて、オレフィン性不飽和化合物とグラフト重合させることを意味する。方法は当業者に公知であり、個別に適合させることもできる。例示的な製造プロセスおよび反応条件は、欧州特許EP0521928B1、2頁、57行目から8頁、16行目に見出すことができる。

存在するのが好ましいポリウレタン樹脂は、好ましくは200〜30000g/molの数平均分子量、より好ましくは2000〜20000g/molの数平均分子量を有する。上記ポリウレタン樹脂は、例えば0〜250mg KOH/gのヒドロキシル価をさらに有するが、より特定すると20〜150mg KOH/gのヒドロキシル価をさらに有する。ポリウレタン樹脂の酸価は、好ましくは5〜200mg KOH/gであり、より特定すると10〜40mg KOH/gである。ヒドロキシル価は、本発明の目的においては、DIN53240に従って測定され、酸価は、DIN53402に従って測定される。

ポリウレタン樹脂含量は、いずれの場合においても、ベースコート材料の塗膜形成固形分に対して、好ましくは5wt%から80wt%の間であり、より好ましくは8wt%から70wt%の間であり、非常に好ましくは10wt%から60wt%の間である。

塗膜形成固形分とは、最終的に結合剤割合に相当するものであり、顔料および必要に応じた充填剤も存在しないベースコート材料の不揮発分質量割合を意味する。塗膜形成固形分は、次のように測定することができる。顔料入り水性ベースコート材料の試料(約1g)を50〜100倍の量のテトラヒドロフランと混合し、次いで約10分撹拌する。次いで、不溶性顔料およびすべての充填剤をろ過によって除去し、残留物を少しばかりのTHFによってすすぎ洗いし、得られたろ液からTHFをロータリーエバポレータによって除去する。ろ液の残留物を120℃で2時間乾燥させ、得られた塗膜形成固形分を量り取る。

すべてのポリウレタン樹脂の質量百分率割合の総計は、顔料入り水性ベースコート材料の合計質量に対して、好ましくは2〜40wt%であり、より好ましくは2.5〜30wt%であり、非常に好ましくは3〜20wt%である。

使用すべき顔料入り水性ベースコート材料は、本発明の反応生成物と異なる少なくとも1つのポリエステル、より特定すると400〜5000g/molの数平均分子量を有するポリエステルを結合剤としてさらに含んでいてもよい。このようなポリエステルは、例えば、DE4009858の第6段、53行目から第7段、61行目、および第10段、24行目から第13段、3行目で記述されている。

増粘剤も存在することが好ましい。適切な増粘剤は、フィロシリケートでできた群の無機増粘剤である。しかしながら、無機増粘剤の他にも、1つまたは複数の有機増粘剤も同様に使用することができる。これらの増粘剤は好ましくは、例えば商用製品Rheovis ASS13(BASF)等、およびポリウレタン増粘剤、例えばRheovis PU1250(BASF)等の(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリレートコポリマー増粘剤からなる群より選択される。使用される増粘剤は、使用される結合剤と異なる。

さらに、顔料入り水性ベースコート材料は、少なくとも1つの補助剤をさらに含んでいてもよい。このような補助剤の例は、残留物を伴うことなくまたは残留物を実質的に伴うことなく熱分解し得る塩、物理硬化、熱硬化および/または光化学的作用のある放射線による硬化が可能でポリウレタン樹脂と異なる結合剤樹脂、さらなる架橋剤、有機溶媒、反応性希釈剤、透明顔料、充填剤、分子の分散により溶かすことできる型の染料(molecularly dispersely soluble dye)、ナノ粒子、光安定剤、抗酸化剤、脱気剤、乳化剤、滑剤、重合阻害剤、ラジカル重合開始剤、付着促進剤、レベリング剤、塗膜形成助剤、たれ抑制剤(SCA:sag control agent)、難燃剤、防食剤、ワックス、乾燥剤、殺生物剤およびつや消し剤である。

上記種類の適切な補助剤は、例えば、 − 独国特許出願DE19948004A1、14頁、4行目から17頁、5行目、 − 独国特許DE10043405C1、第5段、[0031]段落から[0033]段落 によって公知である。

上記の適切な補助剤は、慣例的な公知の量で使用される。

本発明のベースコート材料の固形分含量は、取り扱う事例の要件に応じて変動し得る。固形分含量は、塗布、より特定するとスプレー塗布に必要な粘度によって主に導き出され、この結果、当業者ならば、当人の常識的な技術知識に基づいて調整することができ、任意に、いくつかの範囲を見定めるための試験(rangefinding test)を用いてもよい。

ベースコート材料の固形分含量は、好ましくは5wt%〜70wt%であり、より好ましくは8wt%〜60wt%であり、非常に好ましくは12wt%〜55wt%である。

固形分含量(不揮発性部分)は、指定条件下で蒸発させたときに残留物として残留する、質量割合を意味する。本明細書において、固形分は、DIN EN ISO3251に従って測定される。こうした測定は、ベースコート材料を130℃で60分蒸発させることによって実施される。

そうではないとの記載がない限り、上記試験方法は、例えば、ベースコート材料の合計質量の一部分として様々なベースコート材料の成分の割合を測定するためにも同様に用いられる。したがって、例えば、ベースコート材料に加えるべきポリウレタン樹脂の分散物にある固形分は、組成物全体の一部分としての上記ポリウレタン樹脂の割合を確認するために対応させて測定することもできる。

本発明のベースコート材料は、水性である。このようなベースコート材料との関連において、「水性」という表現は、当業者に公知である。原則として、この「水性」という語句は、有機溶媒のみを主体としていないベースコート材料を意味しており、すなわち、原則として、この「水性」という語句は、有機溶媒のみを主体としていないベースコート材料を意味しており、すなわち、溶媒として有機系溶媒のみを含有するのではなく、溶媒としてかなりの量の水を含むという著しく異なる点がある、ベースコート材料を意味する。好ましくは、本発明における「水性」は、当該のコーティング材料、より特定するとベースコート材料が、いずれの場合においても、存在する溶媒(すなわち、水および有機溶媒)の合計量に対して少なくとも40wt%、好ましくは少なくとも50wt%、非常に好ましくは少なくとも60wt%という水の割合を有することを意味するものだと理解すべきである。好ましくは、水の割合は、いずれの場合においても、存在する溶媒の合計量に対して40〜90wt%であり、より特定すると50〜80wt%であり、非常に好ましくは60〜75wt%である。

本発明によって用いられるベースコート材料は、ベースコート材料の生産用に慣例的で公知な混合処理用の組立体および混合技法を用いて生産してもよい。

本発明の方法および本発明の多層皮膜型塗料系 本発明のさらなる一態様は、 (1) 顔料入り水性ベースコート材料を素地に塗布し、 (2) 段階(1)で塗付されたコーティング材料からポリマー塗膜が形成され、 (3) 得られたベースコート塗膜にクリアコート材料を塗布し、続いて、 (4) ベースコート塗膜を、クリアコート塗膜と一緒に硬化させる 多層皮膜型塗料系を生産するための方法であって、本発明の少なくとも1つの反応生成物を含む顔料入り水性ベースコート材料を段階(1)で使用することを含む、方法である。本発明の反応生成物および顔料入り水性ベースコート材料に関する上記すべての所見は、本発明の方法に対しても有効である。より特定すると、こうした適用は、すべての好ましい特徴、非常に好ましい特徴および特に好ましい特徴にも当てはまる。

前記方法は好ましくは、多層皮膜型有色塗料系、エフェクト塗料系および有色型エフェクト塗料系を生産するために用いられる。

本発明によって使用される顔料入り水性ベースコート材料は、一般的に、サーフェーサーまたはプライマーサーフェーサーによって前処理しておいた金属素地またはプラスチック素地に塗布しる。前記ベースコート材料は、任意に、プラスチック素地に直接塗布することもできる。

金属素地は、コーティング加工すべき場合、電着塗膜系によってさらにコーティング加工した後、サーフェーサーまたはプライマーサーフェーサーを塗布するのが好ましい。

プラスチック素地は、コーティング加工する場合、サーフェーサーまたはプライマーサーフェーサーによってさらに前処理した後、塗布するのが好ましい。このような前処理のために最も頻繁に用いられる技法は、火炎処理、プラズマ処理およびコロナ放電の技法である。火炎処理を使用するのが好ましい。

本発明の顔料入り水性ベースコート材料は、例えば5〜100マイクロメートルの範囲、好ましくは5〜60マイクロメートルの範囲に収まる、自動車産業において慣例的な塗膜厚さにして金属素地に塗布してもよい。こうした塗布は、例えば圧縮空気スプレー塗り、エアレススプレー塗り、高速回転法、静電スプレー塗布(ESTA)等のスプレー塗布方法を単独で用いて実施され、または、例えば熱風式スプレー塗り等のホットスプレー塗布と組み合わせて用いて実施される。

顔料入り水性ベースコート材料は、塗布した後、公知の方法によって乾燥させることができる。例えば、好ましい1K型(1成分型)ベースコート材料は、室温で1〜60分フラッシュした後、好ましくは30〜90℃という任意に若干高くした温度で乾燥させることができる。本発明におけるフラッシュおよび乾燥は、その結果として塗料がより乾燥した状態になるが硬化には至らない、または完全に架橋されたコーティング塗膜が形成されるには至っていない、有機溶媒および/または水の蒸発を意味する。

次いで、商用クリアコート材料を同様に一般的な方法によって塗布するが、塗膜厚さはやはり、慣例的な範囲、例えば5〜100マイクロメートルに収まる。

クリアコート材料は、塗布後、例えば室温で1〜60分フラッシュすることができ、任意に乾燥させてもよい。次いで、クリアコートを、塗布した顔料入りベースコートと一緒に硬化させる。この手順の途中では、架橋反応が起きて、例えば、本発明の多層皮膜型有色塗料系および/または多層皮膜型エフェクト塗料系が素地上に生成される。硬化は好ましくは、60℃から200℃の温度で熱により実施される。好ましくは、熱硬化するベースコート材料は、さらなる結合剤としてのポリウレタン樹脂および架橋剤としてのアミノプラスト樹脂またはブロック型もしくは非ブロック型ポリイソシアネート、好ましくはアミノプラスト樹脂を含む、ベースコート材料である。アミノプラスト樹脂の中でも特に、メラミン樹脂が好ましい。

プラスチック素地のコーティング加工は、金属素地のコーティング加工と基本的に同じ方法により実施される。しかしながら、ここで、一般に、硬化は、30〜90℃という著しく低くした温度で実施される。したがって、二成分型クリアコート材料の使用が好ましい。結合剤としてのポリウレタン樹脂を含み、ただし架橋剤を含まないベースコート材料の使用は、さらに好ましい。

本発明の方法は、金属素地および非金属素地、より特定するとプラスチック素地、好ましくは自動車ボディまたはこれらの素地の成分を塗装するために使用することができる。

さらに、本発明の方法は、OEM仕上げ塗装における二重仕上げ塗装のためにも使用することができる。この二重仕上げ塗装とは、本発明の方法によってコーティング加工されていた素地に対して、本発明の方法による2回目の塗装がさらに実施されることを意味する。

本発明は、上記方法によって生産できる多層皮膜型塗料系にさらに関する。こうした多層皮膜型塗料系は以下、本発明の多層皮膜型塗料系と呼ぶ。

本発明の反応生成物、顔料入り水性ベースコート材料および本発明の方法に関する上記すべての所見は、前記多層皮膜型塗料系にも相応に適用される。こうした適用は特に、すべての好ましい特徴、より好ましい特徴および非常に好ましい特徴にも当てはまる。

本発明の多層皮膜型塗料系は、好ましくは、多層皮膜型有色塗料系、エフェクト塗料系および有色型エフェクト塗料系である。

本発明のさらなる一態様は、段階(1)の前記素地が、欠陥を有する多層皮膜型塗料系を含む、本発明の方法に関する。したがって、こうした欠陥を有する素地/多層皮膜型塗料系は、補修すべきまたは余すところなく再コーティング加工すべき初期仕上げ塗膜である。

本発明の方法は、多層皮膜型塗料系にある欠陥を適宜補修するのに適している。欠陥または塗膜欠陥とは、一般的に言えば、コーティング上およびコーティング内にある障害であり、通常、形状または外観に応じて名付けられる。当業者ならば、このような塗膜欠陥に数多の種類があり得ることは、認識している。こうした塗膜欠陥の種類については、例えば、Roempp−Lexikon Lacke und Druckfarben、Georg Thieme Verlag、Stuttgart、New York、1998年、235頁、「Film defects」で記述されている。

本発明の方法によって生産された多層皮膜型塗料系も同様に、上述の欠陥を有し得る。したがって、本発明の方法の好ましい一実施形態において、段階(1)の素地は、欠陥を呈した本発明の多層皮膜型塗料系である。

好ましくは、上記多層皮膜型塗料系は、自動車OEM仕上げ塗装との関連で上記した本発明の方法により、自動車ボディ上または自動車ボディの部品上に生産される。上述の欠陥は、OEM仕上げ塗装の実施直後に発生した場合、直ちに補修される。したがって、「OEM自動車補修塗装」という用語も使用されている。少しばかりの欠陥にのみ補修が必要な場合、「スポット」のみが補修され、ボディ全体は、余すところなく再コーティング加工(二重コーティング)されるわけではない。後に挙げた方のプロセスは、「スポット補修」と呼ばれる。したがって、OEM自動車補修塗装において、本発明の多層皮膜型塗料系(初期仕上げ塗膜)にある欠陥を修復するために本発明の方法を使用することは、特に好ましい。

本発明との関連において自動車補修塗膜の分野に言及する場合、言い換えると、欠陥の補修が局所的であり、指定された素地が、欠陥を有する多層皮膜型塗料系である場合、このことは当然ながら、こうした欠陥を有する素地/多層皮膜型塗料系(初期仕上げ塗膜)が一般に、上記のようにプラスチック素地または金属素地上に配置されていることを意味する。

補修された部位と、初期仕上げ塗膜の残り部分とに色の差異がないようにすべく、欠陥を補修するために本発明の方法の段階(1)で使用される水性ベースコート材料は、欠陥(初期仕上げ塗膜)を有する素地/多層皮膜型塗料系を生産するために使用された水性ベースコート材料と同じであることが好ましい。

したがって、本発明のポリマーおよび水性顔料入りベースコート材料に関する上記所見は、多層皮膜型塗料系にある欠陥を補修するための本発明の方法に関して論述されている使用にも有効である。このような適用は特に、記載されたすべての好ましい特徴、非常に好ましい特徴および特に好ましい特徴にも当てはまる。補修すべき本発明の多層皮膜型塗料系は、多層皮膜型有色塗料系、エフェクト塗料系および有色型エフェクト塗料系であるのがさらに好ましい。

本発明の多層皮膜型塗料系にある上記欠陥は、本発明の上記方法によって補修することができる。こうした補修を目的とした場合、補修すべき多層皮膜型塗料系の表面は、最初に研磨してもよい。好ましくは、研磨は、初期仕上げ塗膜を部分的にサンディングすることによって実施され、または、初期仕上げ塗膜からベースコートおよびクリアコートのみをサンディングで取り除き、一般にベースコートおよびクリアコートの真下に位置するプライマー層およびサーフェーサー層はサンディングで取り除かないようにすることによって、実施される。このようにすれば、補修塗膜中に特殊なプライマーおよびプライマーサーフェーサーを新しく塗布することは、特に必要でない。こうした研磨の形態は、OEM自動車補修塗装の分野において特に確立されており、ここで、この理由としては、作業場での補修塗装とは著しく異なり、一般的に言えば、欠陥は、ベースコート領域および/またはクリアコート領域内にのみ発生するが、これらの領域の下に位置するサーフェーサー皮膜およびプライマー皮膜の領域内には特に発生しないという点がある。後に挙げたプライマー皮膜中にある欠陥の方が、作業場における補修塗膜の部門においては、見受けることになる可能性がより高い。例としては、引っかき傷等の塗料損傷が挙げられ、この塗料損傷は、例えば機械的効果によって生成されるものであり、しばしば、素地表面(金属素地またはプラスチック素地)に至るまで延在する。

この研磨手順の後には、顔料入り水性ベースコート材料を、圧搾空気式噴霧により、初期仕上げ塗膜中の欠陥部位に塗布する。顔料入り水性ベースコート材料は、塗布した後、公知の方法によって乾燥させることができる。例えば、ベースコート材料は、室温で1〜60分乾燥させた後、30〜80℃という任意に若干高くした温度で乾燥させてもよい。本発明の目的におけるフラッシュおよび乾燥とは、それによってもコーティング材料がまだ完全には硬化していない状態である、有機溶媒および/または水の蒸発を意味する。本発明の目的においては、ベースコート材料は、結合剤としてのポリウレタン樹脂および架橋剤としてのアミノプラスト樹脂、好ましくはメラミン樹脂を含むのが好ましい。

続いて、同様に通例の技法によって商用クリアコート材料を塗布する。クリアコート材料は、塗布後、例えば室温で1〜60分フラッシュすることができ、任意に乾燥させてもよい。次いで、クリアコートを、塗布された顔料入りベースコートと一緒に硬化させる。

いわゆる低温焼付けの場合、好ましくは、硬化は、20〜90℃の温度で実施される。ここで、二成分型クリアコート材料を使用することが好ましい。上記のように、ポリウレタン樹脂がさらなる結合剤として使用され、アミノプラスト樹脂が架橋剤として使用される場合、上記温度では、ベースコート塗膜中でアミノプラスト樹脂によって形成される架橋がわずかしか存在しない。ここで、アミノプラスト樹脂は、硬化剤としての機能に加えて、可塑化のためにも役立つものであり、顔料の湿潤を補助することができる。アミノプラスト樹脂の他にも、非ブロック型イソシアネートも同様に使用することができる。使用されるイソシアネートの性質によっては、イソシアネートは、20℃程度の低さの温度で架橋する。

いわゆる低温焼付けの場合、硬化は好ましくは、130〜150℃の温度で実施される。ここで、一成分型クリアコート材料と二成分型クリアコート材料の両方が使用される。上記のように、ポリウレタン樹脂がさらなる結合剤として使用され、アミノプラスト樹脂が架橋剤として使用される場合、上記温度では、ベースコート塗膜中でアミノプラスト樹脂によって架橋が形成される。

多層皮膜型塗料系にある欠陥を補修することを目的とした場合、言い換えると、素地が、欠陥を有する初期仕上げ塗膜、好ましくは欠陥を呈した本発明の多層皮膜型塗料系である場合、低温焼付けを用いるのが好ましい。

本発明のさらなる一態様は、付着を改良するために、顔料入り水性ベースコート材料中に本発明の反応生成物を使用する方法である。こうした改良は、本発明の反応生成物を含まない顔料入り水性ベースコート材料に比べた付着の改良だと理解すべきである。

本発明の反応生成物は、金属素地およびプラスチック素地のコーティングにおける付着を改良するために使用することができる。本発明のダイマー脂肪酸/ポリエステルジオール反応生成物は、自動車補修塗装にも同様に使用することができる。自動車補修塗装は、OEM自動車補修塗装を意味するだけでなく、例えば作業場で実施される自動車補修塗装も意味する。

前記顔料入り水性ベースコート材料が金属素地およびプラスチック素地のコーティング中に使用される場合、本発明の反応生成物を使用すると、ベースコート塗膜と、このベースコート塗膜に直接隣接したクリアコート塗膜との付着が特に改良される。したがって、本発明の反応生成物は、金属素地およびプラスチック素地のコーティングにおいて、ベースコート塗膜とクリアコート塗膜との付着を改良するために使用するのが好ましい。

前記顔料入り水性ベースコート材料が自動車補修塗膜中に使用される場合、本発明の反応生成物を使用すると、ベースコートと初期仕上げ塗膜との付着が特に改良される。したがって、本発明の反応生成物もまた、自動車補修塗膜、より好ましくはOEM自動車補修塗膜中のベースコート塗膜と初期仕上げ塗膜との付着を改良するために使用されるのが好ましい。

従来技術による系の場合、付着の課題は、コーティング加工済み素地が風化作用に曝されるとき、特に目立つ。こうした種類の風化作用条件は、凝縮水貯蔵と呼ばれるものによってシミュレーションすることができる。「凝縮水貯蔵」という用語は、DIN EN ISO6270−2:2005−09に準拠のCH試験条件に従った気候室内に、コーティング加工済み素地を貯蔵することを表す。

したがって、本発明の反応生成物は、特に、凝縮水貯蔵後の付着を改良するためにも使用される。付着は、好ましくは、DIN55662:2009−12の試験方法Aに従った水蒸気噴流試験によって調査される。

コーティング加工済み素地が風化作用に曝される場合、付着不良は、膨れおよび膨潤が発生したときにも、明らかになる。したがって、本発明の反応生成物は、特に、多層皮膜型塗料系中における膨れおよび膨潤の発生を予防または低減するためにも使用される。こうした低減または予防との関連において、膨れおよび膨潤の存在は、目視により評価することができる。

以下、本発明について例を用いて説明する。

特定の成分に関する指定および測定方法 ダイマー脂肪酸: 使用されるダイマー脂肪酸は、1.5wt%未満のトリマー分子、98wt%のダイマー分子および0.3wt%未満の脂肪酸(モノマー)を含有している。使用されるダイマー脂肪酸は、リノレン酸、リノール酸およびオレイン酸(Pripol(商標)1012−LQ−(GD)(Croda製))を主体として製造される。

ポリエステル1(P1) DE4009858Aの第16段、37〜59行目にある例Dに従って製造した。対応するポリエステル溶液は、60wt%の固形分含量を有しており、使用される溶媒は、ブタノールではなくブチルグリコールであり、この結果、存在する溶媒は、主にブチルグリコールおよび水である。

数平均分子量の測定: 数平均分子量を蒸気圧浸透によって測定した。測定は、蒸気圧浸透圧計(Knauer製のモデル10.00)を使用し、50℃のトルエンに溶かした一連の濃度の調査対象成分について実施し、このとき、実験における較正定数を使用機器に関して決定するための較正物質として、ベンゾフェノンを用いた(ベンジルが較正物質として使用されたE.Schroeder、G.Mueller、K.−F.Arndt、「Leitfaden der Polymercharakterisierung」、Akademie−Verlag、Berlin、47〜54頁、1982年に従った)。

本発明の反応生成物(IR1)の製造: アンカー型撹拌器、温度計、カラム、頂部温度測定用の温度計、凝縮器および水分離器を備え付けた4l容ステンレス鋼製反応器内に、37.4mg KOH/g(0.2873mol)のOH価を有する861.8gの線形ジオール型PolyTHF3000(linear diolic PolyTHF3000)、83.2gのダイマー脂肪酸(0.1436mol)および29.3gのキシレンを、0.8gのジ−n−ブチルスズオキシド(Chemtura製のAxion(登録商標)CS2455)の存在下で100℃に加熱した。縮合が開始するまでゆっくりと加熱し続けた。次いで、85℃の最大頂部温度にして、加熱を200℃まで段階的に継続した。反応の進行は、酸価の測定によって監視した。1.5mg KOH/g以下の酸価に到達したら、依然として存在するキシレンを真空蒸留によって除去した。24時間後、これにより、室温では固体のポリマーが生じた。ガスクロマトグラフィーにより、0.1%未満のキシレン含量が見出された。

凝縮物(水)の量:6.2g 酸価:0.6mg KOH/g 固形分含量(GC):100.0% 数平均分子量:6450g/mol 粘度(樹脂:キシレン=2:1):2330mPas (Brookfield製の回転粘度計、モデルCAP2000+、スピンドル3を用いて23℃で測定、せん断速度:10000s−1)

水性ベースコート材料の生産 銀色型の比較用水系ベースコート1(C1)の生産 表Aの「水性相」以下に列記された諸成分を、記載されている順番で混ぜ合わせて、水性混合物を得た。次の工程において、有機混合物を、「有機相」以下に列記された諸成分から製造した。有機混合物を水性混合物に加えた。次いで、合わせた混合物を10分撹拌したら、脱イオン水およびジメチルエタノールアミンを用いてpH8に調整し、回転粘度計(Mettler−Toledo製のRheomat RM180という機器)を用いて測定して1000s−1のせん断荷重下において23℃で58mPasのスプレー用粘度に調整した。

本発明の水系ベースコート材料1(I1)の生産 本発明の水系ベースコート材料I1を生産するために、比較用水系ベースコート1(C1)の生産用と同様にして、ポリエステルP1ではなくIR1を水性相中と有機相中の両方に用いて、塗料を生産した。ここで、濃度80%のブチルグリコール溶液としてIR1を使用した。固形分割合(不揮発性部分)に対して、I1中に使用されたIR1の量は、C1中に使用されたポリエステルP1の量と同じであった。分散物P1の固形分と分散物IR1の固形分が相異なる結果、分散物P1と分散物IR1のブチルグリコールの量も相異なることは、ブチルグリコールを相応に加えることにより、配合物I1中で補償した。

表1では、水系ベースコート材料C1およびI1中に使用されたポリエステルおよび反応生成物ならびに(水系ベースコート材料の合計量に対する)これらの比率が、概略として、さらに示されている。

多層皮膜型塗料系の生産および多層皮膜型塗料系の性能調査 凝縮水貯蔵後の膨れおよび膨潤の発生に対する安定性を測定するために、多層皮膜型塗料系を、下記の一般的指示に従って生産した。

標準的なカソード電着塗膜(BASF Coatings GmbH製のCathoguard(登録商標)800)によってコーティング加工済みで10×20cmの寸法を有する鋼製パネルを、標準的なサーフェーサー(ALG670173サーフェーサー、ミディアムグレー、Hemmelrath製)によってコーティング加工した。80℃で10分の期間にわたって水性サーフェーサーを予備乾燥した後、サーフェーサーを、190℃の温度で30分の期間にわたって焼き付けた。

次いで、表1の各水系ベースコート材料を圧搾空気により塗布した。得られた水系ベースコート塗膜を室温で2分フラッシュし、続いて、70℃の強制換気オーブン内で10分乾燥させた。慣例的な二成分型クリアコート材料(BASF Coatings GmbH製のProgloss(登録商標)345)を、乾燥済み水系ベースコート塗膜に塗布した。得られたクリアコート塗膜を室温で20分フラッシュした。次いで、水系ベースコート塗膜およびクリアコート塗膜を、160℃の強制換気オーブン内で30分硬化させた。本系は、過剰に焼き付けた初期の系を意味しており、下記では、初期仕上げ塗膜と呼ぶ。

上記の初期仕上げ塗膜を研磨紙によって研磨し、次いで表1の各水系ベースコート材料を、こうして研磨した初期仕上げ塗膜に圧搾空気により塗布する。得られた水系ベースコート塗膜を2分フラッシュし、続いて、70℃の強制換気オーブン内で10分乾燥させた。いわゆる80℃二成分型クリアコート材料(FF230500 2K型補修用クリアコート、耐引っ掻き製あり、BASF Coatings GmbH製)を、乾燥済み水系ベースコート塗膜に塗布した。得られたクリアコート塗膜を室温で20分フラッシュした。次いで、水系ベースコート塗膜およびクリアコート塗膜を、80℃の強制換気オーブン内で30分硬化させた。

このようにして処理した鋼製パネルは次いで、DIN EN ISO6270 2:2005−09に従って、CH試験条件下の条件調整室内に10日の期間にわたって貯蔵した。条件調整室から取り出して24時間たった後、パネルを、膨れおよび膨潤について検査した。

膨れの発生を、2つの値を組み合わせて次のように評価した。

− m1が非常に少数の膨れを表し、m5が非常に多数の膨れを表す、1から5の定量的な数値により、膨れの数を査定した。 − g1が非常に小さな膨れを表し、g5が非常に大きな膨れを表す、やはり1から5のサイズ数値により、膨れのサイズを査定した。 − したがって、m0g0という記号表示は、凝縮水貯蔵後に膨れが存在せず、「満足な」結果を意味する膨れの観点から、塗料系を表す。

表2は、水系ベースコート材料C1およびI1に対応する結果を示している。

記号解説: m=膨れの数 g=膨れのサイズ sat=満足な結果 unsat=不満足な結果

上記結果により、本発明の反応生成物を使用した場合、凝縮水曝露後には膨れがもはや発生しないこと、および、膨潤の実例がもはや視認できないことが確認されている。

銀色型の比較用水系ベースコート2(C2)の生産 表Bの「水性相」以下に列記された諸成分を、記載されている順番で混ぜ合わせて、水性混合物を形成した。次の工程において、有機混合物を、「有機相」以下に列記された諸成分から製造した。有機混合物を水性混合物に加えた。次いで、合わせた混合物を10分撹拌したら、脱イオン水およびジメチルエタノールアミンを用いてpH8に調整し、回転粘度計(Mettler−Toledo製のRheomat RM180という機器)を用いて測定して1000s−1のせん断荷重下において23℃で58mPasのスプレー用粘度に調整した。

本発明の水系ベースコート材料2(I2)の生産 本発明の水系ベースコート材料I2を生産するために、比較用水系ベースコート2(C2)の生産用と同様にして、ポリエステルP1ではなくIR1を水性相中と有機相中の両方に用いて、塗料を生産した。ここで、濃度80%のブチルグリコール溶液としてIR1を使用した。固形分割合(不揮発性部分)に対して、I2中に使用されたIR1の量は、C2中に使用されたポリエステルP1の量と同じであった。分散物P1と分散物IR1の固形分が相異なる結果、分散物P1と分散物IR1のブチルグリコールの量も相異なることは、ブチルグリコールを相応に加えることにより、配合物I2中で補償した。

表3では、水系ベースコート材料C2およびI2中に使用されたポリエステルおよび反応生成物ならびに(水系ベースコート材料の合計量に対する)これらの比率が、概略として、さらに示されている。

多層皮膜型塗料系の生産および多層皮膜型塗料系の性能調査 上記プロトコルと同様にして、相当する多層皮膜型塗料系(初期仕上げ塗膜)を、水系ベースコート材料C2およびI2を用いて製造して研磨し、次いで再コーティング加工した。この後に次いで、膨れおよび膨潤についての上記調査を実施した。

表4は、対応する結果を示している。

記号解説: m=膨れの数 g=膨れのサイズ sat=満足な結果 unsat=不満足な結果

上記結果により、本発明の反応生成物を用いた場合、凝縮水曝露後には膨れがもはや発生しないこと、および、膨潤の実例がもはや視認できないことが確認されている。さらに、標準的なエステル(P1)の使用時よりも特性が明瞭に改良されている。

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